JP3531553B2 - インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置Info
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Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部に弾性板を介
して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク
滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びその製
造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
る圧力発生室の一部を弾性板で構成し、この弾性板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で弾性板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、弾性板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
ような構造では、一般的に圧電素子が圧力発生室の周壁
上まで延設されているため、圧電素子の駆動時に圧力発
生室の端部と周壁との境界部で圧電素子に応力が集中す
るため、弾性板及び圧電体層が破壊してしまうという問
題がある。
生室と周壁との境界部での弾性板及び圧電体層の破壊を
防止したインクジェット式記録ヘッド及びインクジェッ
ト式記録装置を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室
と、この圧力発生室に対応する領域に弾性板を介して設
けられた下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子
とを備えるインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
圧電素子を構成する前記下電極、前記圧電体層及び前記
上電極が前記圧力発生室に対向する領域内から領域外ま
で延設される延設部を有し、この延設部の前記圧力発生
室の端部と周壁との境界に対向する領域の前記圧電体層
と前記弾性板との間には空間部を有し、少なくとも前記
圧電体層及び前記上電極が、前記空間部を跨いで延設さ
れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
に空間部が設けられているため、圧力発生室の端部と周
壁との境界に対応する領域の弾性板及び延設部の破壊を
防ぐことができる。
て、前記空間部は、前記下電極と前記弾性板との間に形
成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
弾性板との間に空間部が形成されているため、圧電素子
の駆動による圧力発生室の端部と周壁との境界における
弾性板の破壊を防ぐことができる。
て、前記空間部を跨いで延設された前記下電極は、断面
逆凹字状となっていることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
とすることにより、弾性板の破壊を確実に防止すること
ができる。
の態様において、前記圧電体層は、前記空間部に対向す
る領域の厚さが前記圧力発生室に対向する領域の厚さに
比べ薄く形成されていることを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドにある。
と周壁に対応する領域の弾性板の変位が阻害されず弾性
板の変位効率が向上する。
の態様において、前記空間部上に位置する前記圧電素子
は、前記圧力発生室の端部と周壁との境界に対向する領
域に設けられると共に最終的に除去される犠牲層上に形
成された薄膜から構成されることを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドにある。
に空間部を形成することができると共に薄膜プロセスで
圧電素子を容易に形成することができる。
の態様において、前記空間部の厚みは、0.2μmから
1.0μmの間であることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
みで形成することにより、より確実に空間部に対応する
領域の弾性板の破壊が防止される。
の態様において、前記下電極の前記空間部側には、保護
膜を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドにある。
表面が保護膜によって覆われているため、下電極の破壊
等が防止される。
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各
層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを
特徴とするインクジェット式記録装置にある。
出性能を向上すると共に高密度化したインクジェット式
記録装置を実現することができる。
通する圧力発生室が画成される流路形成基板の前記圧力
発生室に対応する領域に弾性板、下電極、圧電体層及び
上電極を順次形成して圧電素子を形成すると共に、該圧
電素子の前記圧力発生室に対向する領域内から領域外ま
で延設した延設部の前記圧力発生室の端部と周壁との境
界に対向する領域の前記圧電体層と前記弾性板との間に
空間部を形成し、少なくとも前記圧電体層及び前記上電
極が前記空間部を跨いで延設するインクジェット式記録
ヘッドの製造方法であって、前記流路形成基板上に前記
弾性板を形成した後、当該弾性板上の前記圧電素子を形
成する途中で前記圧力発生室の端部と周壁との境界部分
に対向する領域に犠牲層をパターン形成する工程と、前
記犠牲層を除去して前記空間部を形成する工程とを有す
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造
方法にある。
生室の端部と周壁との境界に空間部を比較的容易に形成
することができる。
おいて、前記犠牲層のパターン形成は、前記下電極を形
成する前に行われることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドの製造方法にある。
と弾性板との間に空間部を比較的容易に形成することが
できる。
おいて、前記犠牲層をパターン形成した後に、前記弾性
板上及び前記犠牲層上に保護膜を形成することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
ことにより、犠牲層を除去する際に下電極を保護するこ
とができる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、圧力発生室の長手方向における断面図
である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コン膜51上に酸化ジルコニウム膜52を形成し、この
二酸化シリコン膜51と酸化ジルコニウム膜52とから
なる弾性板50が形成されている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
結晶基板を水酸化カリウム等のアルカリ溶液に浸漬する
と、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(1
11)面と、この第1の(111)面と約70度の角度
をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第
2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチン
グレートと比較して(111)面のエッチングレートが
約1/180であるという性質を利用して行われるもの
である。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の
(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形
成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工
を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列する
ことができる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性板50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性板50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。封止板20は、一方の面で流
路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶
基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。
また、封止板20は、他面で共通インク室31の一壁面
を構成する。
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
側の弾性板50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体層70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
る。すなわち、下電極膜60とは不連続で圧電素子30
0の配線として用いられる配線用下電極膜61が、各圧
力発生室12毎に設けられており、この配線用下電極膜
61と上電極膜80とがリード電極81によって接続さ
れている。また、駆動回路や配線の都合でこれを逆にし
ても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室
毎に圧電体能動部が形成されていることになる。ここで
は、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により
変位が生じる弾性板とを合わせて圧電アクチュエータと
称する。
対向する領域内から領域外に延設された引き出し部33
0を有している。この引き出し部330では、下電極膜
60は、圧力発生室12の端部と周壁との境界に設けら
れた断面略矩形の空間部100を跨ぐ凹字状に屈曲した
屈曲部65となっている。また、空間部100上の引き
出し部330の圧電体層70は圧電体能動部320のそ
れに比べ薄くなっている。
形成基板10上に、圧電体層70等を形成するプロセス
を図3〜5を参照しながら説明する。なお、図3及び図
4は圧力発生室に対向する領域の長手方向断面図であ
り、図5は圧力発生室の隔壁に対向する領域の断面図で
ある。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコン膜51を形成
する。その後、二酸化シリコン膜51上にジルコニウム
層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱
酸化して酸化ジルコニウム膜52とする。本実施形態で
は、二酸化シリコン膜51と酸化ジルコニウム膜52と
を弾性板50とする。
0上に犠牲層90を形成すると共に後の工程で形成され
る各圧力発生室12の長手方向端部と周壁との境界に対
向する領域に各圧力発生室の幅方向に亘って犠牲層90
が残るようにパターニングする。この犠牲層90は、各
圧力発生室毎に設けてもよい。
リングで弾性板50上及び犠牲層90上に亘って下電極
膜60を形成する。このとき、下電極膜60は犠牲層9
0の表面に沿って成膜され逆凹字状に屈曲した屈曲部6
5が形成される。下電極膜60の材料としては、白金等
が好適である。これは、スパッタリング法やゾル−ゲル
法で成膜する後述の圧電体層70は、成膜後に大気雰囲
気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度
で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわ
ち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲
気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体
層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた
場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ないこ
とが望ましく、これらの理由から白金が好適である。
下電極膜60に悪影響を及ぼさないために、犠牲層90
上及び弾性板50上に亘って、例えば、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2)等の保護膜を形成後、保護膜上に下電極
膜60を形成するのが好ましい。
60上に圧電体層70を成膜する。本実施形態では、金
属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いて形成した。圧電体層70の材料としては、チタ
ン酸ジルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッ
ドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層
70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタ
リング法で形成してもよい。
法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、
アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長さ
せる方法を用いてもよい。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
70及び上電極膜80をエッチングして圧電体能動部3
20及び引き出し部330のパターニングを行う。この
とき、エッチングは上電極膜80及び圧電体層70の厚
さ分だけ行われるため、図5に示すように、圧力発生室
12の隔壁に対向する領域では、下電極膜60の屈曲部
65及び犠牲層90の一部が除去されて、犠牲層90の
一部が露出した露出部90aが形成される。
0の露出部90aから犠牲層90をウェットエッチング
または蒸気によるエッチングにより除去し、空間部10
0を形成する。本実施形態では、犠牲層90の材料とし
て、PSGを用いているため、弗酸水溶液によってエッ
チングした。なお、ポリシリコンを用いた場合には、弗
酸及び硝酸の混合水溶液、あるいは水酸化カリウム水溶
液によってエッチングすることができる。また、犠牲層
90をエッチングする際、圧電素子300に影響を及ぼ
さないために、少なくとも圧電素子300を覆うように
保護膜を形成し、保護膜の犠牲層90の露出部90aに
対向する領域に貫通孔を設け、この貫通孔から犠牲層9
0をエッチングするのが好ましい。なお、圧電体層70
にも影響を及ぼさないアセトン等の溶媒で除去できるレ
ジストを犠牲層として用いてもよく、この場合には特に
保護膜を設ける必要はない。
して膜形成を行った後、図4(d)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
330が駆動しても圧力発生室12の長手方向端部と周
壁との境界部分の下電極膜60と弾性板50との間に空
間である空間部100を設けることにより、境界の弾性
板50及び引き出し部330の破壊が防止される。
は、空間部100によって薄く形成されているため、弾
性板50の変位を阻害せず弾性板50の変位効率が向上
する。なお、本実施形態では、引き出し部330を圧力
発生室12の長手方向端部に設けるようにしたが、これ
に限定されず、引き出し部330は配線の都合によって
圧力発生室12の任意の場所に設けることができる。ま
た、圧力発生室12の長手方向両端部に同様の構造を設
けてもよい。
発生室12等の一連の膜形成及び異方性エッチングは、
一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセ
ス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路
形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基
板10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及
びインク室側板40と順次接着して一体化し、インクジ
ェット式記録ヘッドとする。
式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続
したインク導入口42からインクを取り込み、共通イン
ク室31からノズル開口11に至るまで内部をインクで
満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号
に従い、上電極膜80と下電極膜60との間に電圧を印
加し、弾性板50、下電極膜60及び圧電体層70をた
わみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が
高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
インクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の長手方向の
断面図を示す。なお、前述した実施形態で説明したもの
と同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複
する説明は省略する。
板50上に全面に亘って形成されており、空間部100
を圧力発生室12の端部と周壁との境界に対向する下電
極膜60Aと圧電体層70Aとの間に設けた例である。
すなわち、引き出し部330の圧電体層70Aには、幅
方向に亘って溝が設けられており、この溝が空間部10
0となっている。
製造方法は、弾性板50上に下電極膜60Aを形成し、
下電極膜60A上に犠牲層90をパターン形成する以
外、上述した実施形態1の製造方法と同様である。ま
た、犠牲層90の材料は、後の犠牲層90を除去する工
程で圧電体層70A及び下電極膜60Aが除去されない
ように、本実施形態では、例えば、レジストからなる犠
牲層90をスピンコートで形成し、犠牲層90を除去す
る工程では、アセトン等の溶剤によりエッチングして除
去した。
ッドでは、各電極膜60A、80に電圧を印加した場
合、圧電体能動部320は駆動するが、引き出し部33
0では下電極膜60Aと圧電体層70Aとが空間部10
0によって離れているため電圧が印加されず駆動しない
ことになる。このことから引き出し部330の破壊を防
ぐことができる。
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉壁41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
を図7、その流路の断面を図8にそれぞれ示す。この実
施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対のノズ
ル基板120に穿設され、これらノズル開口11と圧力
発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止板2
0、共通インク室形成基板30、薄肉板41A及びイン
ク室側板40Aを貫通するように配されている。
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述し
た実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付し
て重複する説明は省略する。
み合わせて実施することにより、より一層の効果を奏す
るものであることは言うまでもない。
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図9は、
そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図であ
る。
ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、イ
ンク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着
脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1
Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けら
れたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられ
て搬送されるようになっている。
引き出し部の少なくとも圧電体層及び上電極と弾性板と
の間の圧力発生室の端部と周壁との境界に対向する領域
に空間である空間部を設けるようにした。これにより、
引き出し部が弾性板から浮いている構造となり、引き出
し部における応力集中による弾性板の破壊を防止するこ
とができる。また、引き出し部の圧電体層は、圧力発生
室に対向する領域のそれに比べ空間部の分だけ薄く形成
されるため、弾性板の変位を阻害せず弾性板の変位効率
が向上する。さらに、引き出し部によって弾性板の破壊
が防止されることから、引き出し部を任意の場所に設け
ることができる。
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドの要部断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図であり、圧力発生室に
対向する領域の断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図であり、圧力発生室に
対向する領域の断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す図であり、圧力発生室の隔壁
に対向する領域の断面図である。
録ヘッドの要部断面図である。
記録ヘッドの分解斜視図である。
記録ヘッドを示す断面図である。
録装置の概略図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室と、こ
の圧力発生室に対応する領域に弾性板を介して設けられ
た下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを備
えるインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記圧電素子を構成する前記下電極、前記圧電体層及び
前記上電極が前記圧力発生室に対向する領域内から領域
外まで延設される延設部を有し、この延設部の前記圧力
発生室の端部と周壁との境界に対向する領域の前記圧電
体層と前記弾性板との間には空間部を有し、少なくとも
前記圧電体層及び前記上電極が、前記空間部を跨いで延
設されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記空間部は、前記
下電極と前記弾性板との間に形成されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項2において、前記空間部を跨いで
延設された前記下電極は、断面逆凹字状となっているこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記圧
電体層は、前記空間部に対向する領域の厚さが前記圧力
発生室に対向する領域の厚さに比べ薄く形成されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記空
間部上に位置する前記圧電素子は、前記圧力発生室の端
部と周壁との境界に対向する領域に設けられると共に最
終的に除去される犠牲層上に形成された薄膜から構成さ
れることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記空
間部の厚みは、0.2μmから1.0μmの間であるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項2〜6の何れかにおいて、前記下
電極の前記空間部側には、保護膜を有することを特徴と
するインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記圧
力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングによ
り形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフ
ィ法により形成されたものであることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項1〜8の何れかのインクジェット
式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
ト式記録装置。 - 【請求項10】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画
成される流路形成基板の前記圧力発生室に対応する領域
に弾性板、下電極、圧電体層及び上電極を順次形成して
圧電素子を形成すると共に、該圧電素子の前記圧力発生
室に対向する領域内から領域外まで延設した延設部の前
記圧力発生室の端部と周壁との境界に対向する領域の前
記圧電体層と前記弾性板との間に空間部を形成し、少な
くとも前記圧電体層及び前記上電極を前記空間部を跨い
で延設するインクジェット式記録ヘッドの製造方法であ
って、 前記流路形成基板上に前記弾性板を形成した後、当該弾
性板上の前記圧電素子を形成する途中で前記圧力発生室
の端部と周壁との境界部分に対向する領域に犠牲層をパ
ターン形成する工程と、前記犠牲層を除去して前記空間
部を形成する工程とを有することを特徴とするインクジ
ェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項11】 請求項10において、前記犠牲層のパ
ターン形成を前記下電極を形成する前に行うことを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項12】 請求項11において、前記犠牲層をパ
ターン形成した後に、前記弾性板上及び前記犠牲層上に
保護膜を形成することを特徴とするインクジェット式記
録ヘッドの製造方法。
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