JP3512067B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置Info
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- JP3512067B2 JP3512067B2 JP5467099A JP5467099A JP3512067B2 JP 3512067 B2 JP3512067 B2 JP 3512067B2 JP 5467099 A JP5467099 A JP 5467099A JP 5467099 A JP5467099 A JP 5467099A JP 3512067 B2 JP3512067 B2 JP 3512067B2
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部に振動板を介
して圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク
滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインク
ジェット式記録装置に関する。
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧して
ノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦
振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、た
わみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの
2種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電素子を駆動することができるが、単位駆動電圧当たり
の変位量及び圧力発生室に対向する部分とその外部とを
跨ぐ部分で圧電体層へかかる応力の問題から、圧電体能
動部を構成する圧電体層及び上電極は、できるだけ圧力
発生室外に出ないように形成することが望ましい。
を絶縁体層で覆い、この絶縁体層に各圧電素子を駆動す
るための電圧を供給するリード電極との接続部を形成す
るための窓(以下、コンタクトホールという)を各圧力
発生室に対応して設け、各圧電素子とリード電極との接
続部をコンタクトホール内に形成する構造が提案されて
いる。
とリード電極とを接続するためにコンタクトホールを設
ける構造では、コンタクトホールを設ける部分の全体の
膜厚が厚くなってしまい、変位特性が低下してしまうと
いう問題がある。
録ヘッドにおいては、圧電素子の駆動による変位効率を
向上させるために、圧電素子の両側に対応する部分の振
動板を薄くする構造が提案されているが、このように変
位を大きくとるようにすると、特に、コンタクトホール
近傍にクラック等の破壊が生じ易い傾向が助長される。
層を成膜技術で形成した場合に生じやすい。なぜなら、
成膜技術で形成した圧電材料層は非常に薄いため、圧電
素子を貼付したものに比較して剛性が低いためである。
生室と周壁との境界部での圧電体層の破壊を防止したイ
ンクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装
置を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室
と、この圧力発生室に対応する領域に設けられた下電
極、該下電極上に設けられた圧電体層及び該圧電体層の
表面に設けられた上電極からなる圧電素子とを備えるイ
ンクジェット式記録ヘッドにおいて、前記圧電体層及び
前記上電極が前記圧力発生室内に対向する領域内に設け
られており、前記圧電体層及び前記上電極が前記圧電素
子に連続して当該圧電素子の幅より狭い幅で前記圧力発
生室に対向する領域から周壁に対向する領域まで延設さ
れて延設部を構成し、少なくとも当該延設部の前記圧力
発生室と周壁との境界部分の近傍は、前記下電極が除去
された下電極除去部となっており、当該下電極除去部は
前記下電極が前記圧力発生室の端部から前記圧電素子と
前記延設部との境界領域を囲むように除去されて当該圧
電素子の内側まで設けられ、且つ前記圧電素子の前記延
設部が引き出された側の端部の外側には前記下電極が存
在し、前記下電極除去部以外の前記圧力発生室に対向す
る領域は前記下電極によって覆われていることを特徴と
するインクジェット式記録ヘッドにある。
ターニングされた上電極の周囲には、前記下電極の端部
がないので放電が生じにくく圧電体層の絶縁破壊が防止
され、且つ下電極除去部により圧電体層及び上電極の引
き出し部の絶縁破壊が防止される。
て、前記圧力発生室の長手方向一端部には前記下電極除
去部があり、前記圧電体層及び前記上電極の延設部は前
記圧力発生室内の前記圧電素子の幅よりも狭い幅で前記
下電極除去部上を周壁上まで延設されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
電素子の端部近傍での電界が分散され、圧電体層の絶縁
破壊が防止される。
て、前記下電極除去部の幅が、前記圧力発生室の幅より
も狭いことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
近傍での剛性を低下させることなく、圧電体層の絶縁破
壊が防止される。
て、前記圧電体層及び前記上電極が、前記圧力発生室の
長手方向略中央部から前記圧力発生室の幅方向の少なく
とも一方の周壁上に延設されていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
手方向中央部に電圧を印加することができ、圧電体能動
部の駆動ロスが抑えられる。
何れかにおいて、前記下電極除去部が略円形形状を有す
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
と周壁との境界部分の上電極と下電極の間に印加される
電界がより広く分散され、圧電体層の絶縁破壊が防止さ
れる。
の態様において、前記圧力発生室の周壁に対向する領域
の前記上電極には、前記圧電素子に電圧を印加するため
のリード電極が接続されていることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
とを比較的容易に接続できる。
の態様において、前記上電極の縁部が前記下電極上から
前記下電極除去部上へ交差する方向と、当該上電極が周
壁上に延設される方向とが一致しないことを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
と周壁との境界部分の上電極と下電極との間に印加され
る電界が確実に分散され、圧電体層の絶縁破壊が確実に
防止される。
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電素子の各
層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであ
ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを
特徴とするインクジェット式記録装置にある。
び信頼性を向上したインクジェット式記録装置を実現す
ることができる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長
手方向における断面構造を示す図である。
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成
されている。
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、圧力発生室12を高密度に配列することが
できる。
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここでは、
圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位
が生じる弾性膜と合わせて圧電アクチュエータと称す
る。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜6
0が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ね
るようにしてもよい。
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4及び図5を参照しながら説明する。なお、図4
は、圧力発生室12の長手方向の断面図であり、図5
は、幅方向の断面図である。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
リングで下電極膜60を形成する。この下電極膜60の
材料としては、白金等が好適である。これは、スパッタ
リング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70
は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜
1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があ
るからである。すなわち、下電極膜60の材料は、この
ような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければ
ならず、殊に、圧電体膜70としてチタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による導
電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由から
白金が好適である。
60をパターニングする。本実施形態では、圧力発生室
12の長手方向一端部側でパターニングして、圧力発生
室12の長手方向一端部側に、圧力発生室12に対向す
る領域の幅方向の一部を除去した下電極膜除去部61を
形成する。
70を成膜する。本実施形態では、金属有機物を触媒に
溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、
さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体
膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成し
た。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸
鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに
使用する場合には好適である。なお、この圧電体膜70
の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリン
グ法で形成してもよい。
法等によりPZTの前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液
中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用い
てもよい。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能
動部320のパターニングを行う。以上が膜形成プロセ
スである。また、このようにして膜形成を行った後、図
5(b)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシ
リコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生
室12等を形成する。
チングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成
し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサ
イズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した
流路形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基
板30、及びインク室側板40と順次接着して一体化
し、インクジェット式記録ヘッドとする。
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口42からインクを取り込み、共通インク室31から
ノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、
図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、下電
極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜
50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体膜70を
たわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力
が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
録ヘッドの要部平面及び断面を図6に示す。
体能動部320は基本的には圧力発生室12に対向する
領域内に設けられ、圧電体膜70及び上電極膜80が、
圧電体能動部320よりも狭い幅で圧力発生室12の長
手方向一端部から周壁に対向する領域まで連続的に延設
され、その端部近傍で上電極膜80と外部配線とが接続
されている。
圧力発生室12に対応する領域に亘って設けられ、圧力
発生室12の圧電体膜70及び上電極膜80が延設され
る側の端部は、圧力発生室12の端部近傍の周壁でパタ
ーニングされている。また、この下電極膜60は、基本
的には、各圧力発生室12に対向する領域を覆って形成
されているが、圧電体膜70及び上電極膜80が延設さ
れる領域は、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で除去さ
れた下電極膜除去部61となっている。
延設される部分と下電極膜除去部61とは、上電極膜8
0の縁部が下電極膜60上から下電極除去部61上へ交
差する方向と、上電極膜80が周壁上に延設される方向
とが一致しないようにするのが好ましい。すなわち、上
電極膜80が下電極膜60を横切る部分に流れる電流の
向きと、延設された上電極膜80に流れる電流の向きと
の角度が大きくなるようにするのが好ましく、例えば、
本実施形態では、これら部分に流れる電流の向きの角度
が約90°となっている。
部320の圧電体膜70及び上電極膜80が周壁上まで
延設される部分の下電極膜60を除去して下電極膜除去
部61とすると共に、それ以外の圧力発生室12に対向
する領域を下電極膜60で覆うようにした。これによ
り、圧電体能動部320を構成する上電極膜80の周囲
には、下電極膜60の端部がなく放電が起こりにくい。
また、圧電体膜70及び上電極膜80の延設部分では、
上電極膜80が下電極膜60を横切る部分に流れる電流
の向きと、延設された上電極膜80に流れる電流の向き
が一致しないようにしたので、延設された上電極膜80
から圧電体能動部320に流れ込む電流が下電極膜60
との交差部分で広がって分散されるため、電界集中等に
よる圧電体膜70の絶縁破壊を防止することができ、ヘ
ッドの耐久性及び信頼性を向上することができる。
上電極膜80に対応する領域の下電極膜60を略矩形に
除去して下電極膜除去部61としたが、これに限定され
ず、例えば、図7(a)に示すように、圧力発生室12
に対向する領域の下電極膜除去部61を略楕円形状とし
てもよい。また、この場合、延設される圧電体膜70及
び上電極膜80の基端部分の圧電体能動部320の一部
をさらに内側まで除去するようしてもよい。これによ
り、上電極膜80が下電極膜60を横切る部分に流れる
電流の向きと、延設された上電極膜80に流れる電流の
向きとの角度が大きくなる、すなわち、延設された上電
極膜80から圧電体能動部320に流れ込む電流の広が
る方向が大きくなり、上電極膜80と下電極膜60との
間に印加される電界がさらに分散される。
電極膜除去部61の形状を略半円形状とすると共に、圧
電体能動部320の長手方向端部の幅を漸次減少するよ
うにし、下電極膜除去部61の円弧部分で下電極膜60
と上電極膜80とが交差するようにしてもよい。これの
ような構成によっても、上電極膜80が下電極膜60を
横切る部分に流れる電流の向きと、延設された上電極膜
80に流れる電流の向きとの角度が大きくなる。したが
って、上述と同様に、下電極膜60と上電極膜80との
間に印加される電界が分散される。
体膜70及び上電極膜80の延設部分との形状は特に限
定されないが、上電極膜80の延設された部分に流れる
電流の向きと、下電極膜60を横切る部分に流れる電流
の向きとの角度が5〜180°となるようにするのが好
ましい。
インクジェット式記録ヘッドの要部平面図である。
極膜60が圧力発生室12の幅方向両側の周壁上の長手
方向略中央部で除去され、圧電体能動部320の圧電体
膜70及び上電極膜80が、圧力発生室12の長手方向
略中央部の下電極膜除去部61上を介して周壁上まで延
設されている。また、周壁上に延設された上電極膜80
がリード電極100を介して外部配線と接続されている
以外は、実施形態1と同様である。
0を圧力発生室12の幅方向中央部から延設することに
より、圧電体能動部320の駆動ロスが抑えられ、立ち
上がりを早くすることができ、インク吐出特性を向上す
ることができる。また、勿論、実施形態1と同様の効果
も得ることができる。
インクジェット式記録ヘッドの要部平面図である。
能動部320の圧電体膜70及び上電極80が圧力発生
室12の幅方向両側から周壁上まで延設されている以外
は、実施形態2と同様である。
態と同様の効果が得られる。また、圧力発生室12の両
側から圧電体膜70及び上電極膜80を周壁上に延設す
るようにしたので、圧電体能動部320の駆動ロスをさ
らに抑えることができ、インクの吐出特性を向上するこ
とができる。
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
0及び上電極膜80を圧力発生室12に対向する領域か
ら周壁上まで延設し、その端部近傍で上電極膜80と外
部配線とを直接接続するようにしたが、これに限定され
ず、例えば、他の配線を介して外部配線と接続するよう
にしてもよい。すなわち、図10に示すように、圧電体
膜70及び上電極膜80を圧力発生室12の長手方向一
端部でパターニングする。そして、周壁に対向する領域
の下電極膜60を各圧力発生室12毎に独立してパター
ニングした配線用下電極膜62を設け、上電極膜80と
配線用下電極膜62とをリード電極100で接続し、配
線用下電極膜62の端部近傍で外部配線と接続するよう
にしてもよい。また、勿論、配線用下電極膜を設けず
に、周壁上にリード電極100を延設するようにしても
よい。
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
を図11、その流路の断面を図12にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電素子とは反対の
ノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と
圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止
板20、共通インク室形成板30及び薄肉板41A及び
インク室側板40Aを貫通するように配されている。
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述し
た実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付し
て重複する説明は省略する。
内に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも
同様に応用できる。
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図13
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
ら圧電体膜及び上電極膜が延設される領域の下電極膜を
除去すると共に圧力発生室のそれ以外の領域を下電極膜
で覆うようにしたので、圧電体能動部の端部で下電極膜
と上電極膜との間に印加される電界が分散され、電界集
中による圧電体膜の絶縁破壊を防止でき、耐久性及び信
頼性を向上したインクジェット式記録ヘッドを実現する
ことができる。
録ヘッドの分解斜視図である。
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
ある。
ある。
録ヘッドの要部平面図及び断面図である。
録ヘッドの変形例を示す平面図である。
録ヘッドの要部平面図である。
録ヘッドの要部平面図である。
式記録ヘッドの要部断面図である。
式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
式記録ヘッドを示す断面図である。
記録装置の概略図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室と、こ
の圧力発生室に対応する領域に設けられた下電極、該下
電極上に設けられた圧電体層及び該圧電体層の表面に設
けられた上電極からなる圧電素子とを備えるインクジェ
ット式記録ヘッドにおいて、 前記圧電体層及び前記上電極が前記圧力発生室内に対向
する領域内に設けられており、前記圧電体層及び前記上
電極が前記圧電素子に連続して当該圧電素子の幅より狭
い幅で前記圧力発生室に対向する領域から周壁に対向す
る領域まで延設されて延設部を構成し、少なくとも当該
延設部の前記圧力発生室と周壁との境界部分の近傍は、
前記下電極が除去された下電極除去部となっており、当
該下電極除去部は前記下電極が前記圧力発生室の端部か
ら前記圧電素子と前記延設部との境界領域を囲むように
除去されて当該圧電素子の内側まで設けられ、且つ前記
圧電素子の前記延設部が引き出された側の端部の外側に
は前記下電極が存在し、前記下電極除去部以外の前記圧
力発生室に対向する領域は前記下電極によって覆われて
いることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記圧力発生室の長
手方向一端部には前記下電極除去部があり、前記圧電体
層及び前記上電極の延設部は前記圧力発生室内の前記圧
電素子の幅よりも狭い幅で前記下電極除去部上を周壁上
まで延設されていることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項2において、前記下電極除去部の
幅が、前記圧力発生室の幅よりも狭いことを特徴とする
インクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項1において、前記圧電体層及び前
記上電極が、前記圧力発生室の長手方向略中央部から前
記圧力発生室の幅方向の少なくとも一方の周壁上に延設
されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記下
電極除去部が略円形形状を有することを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッド。 - 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記圧
力発生室の周壁に対向する領域の前記上電極には、前記
圧電素子に電圧を印加するためのリード電極が接続され
ていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項1〜6の何れかにおいて、前記上
電極の縁部が前記下電極上から前記下電極除去部上へ交
差する方向と、当該上電極が周壁上に延設される方向と
が一致しないことを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッド。 - 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記圧
力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングによ
り形成され、前記圧電素子の各層が成膜及びリソグラフ
ィ法により形成されたものであることを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項1〜8の何れかのインクジェット
式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェッ
ト式記録装置。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
JP5467099A JP3512067B2 (ja) | 1999-03-02 | 1999-03-02 | インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 |
US09/361,982 US6502928B1 (en) | 1998-07-29 | 1999-07-28 | Ink jet recording head and ink jet recording apparatus comprising the same |
AT99114856T ATE298668T1 (de) | 1998-07-29 | 1999-07-29 | Tintenstrahlaufzeichnungskopf und diesen kopf tragende tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung |
EP99114856A EP0976560B1 (en) | 1998-07-29 | 1999-07-29 | Ink jet recording head and ink jet recording apparatus comprising the same |
DE69925960T DE69925960T2 (de) | 1998-07-29 | 1999-07-29 | Tintenstrahlaufzeichnungskopf und diesen Kopf tragende Tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5467099A JP3512067B2 (ja) | 1999-03-02 | 1999-03-02 | インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000246897A JP2000246897A (ja) | 2000-09-12 |
JP3512067B2 true JP3512067B2 (ja) | 2004-03-29 |
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ID=12977227
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5467099A Expired - Fee Related JP3512067B2 (ja) | 1998-07-29 | 1999-03-02 | インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3512067B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7175262B2 (en) | 2002-03-18 | 2007-02-13 | Seiko Epson Corporation | Liquid-jet head, method of manufacturing the same and liquid-jet apparatus |
-
1999
- 1999-03-02 JP JP5467099A patent/JP3512067B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000246897A (ja) | 2000-09-12 |
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