JP3384294B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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JP3384294B2
JP3384294B2 JP25221497A JP25221497A JP3384294B2 JP 3384294 B2 JP3384294 B2 JP 3384294B2 JP 25221497 A JP25221497 A JP 25221497A JP 25221497 A JP25221497 A JP 25221497A JP 3384294 B2 JP3384294 B2 JP 3384294B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面に圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子の軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を振動板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を振動板に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
【0007】また、この場合、圧電材料層は振動板の表
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電振動子を駆動することができるが、単位駆動電圧当た
りの変位量および圧力発生室に対向する部分とその外側
とを跨ぐ部分で圧電体層にかかる応力の問題から、圧電
体層及び上電極からなる圧電体能動部を、圧力発生室に
対向する領域内に設けるか、少なくとも一端部以外は圧
力発生室に対向する領域外に出ないように形成するのが
望ましい。
【0008】さらに、このようなたわみモードの圧電振
動子を使用した記録ヘッドでは、各圧力発生室に対応す
る圧電振動子は絶縁体層で覆われ、この絶縁体層には各
圧電振動子を駆動するための電圧を供給する導電体膜と
の接続部を形成するために窓(以下、コンタクトホール
という)が各圧力発生室に対応して設けられており、各
圧電振動子と導電体膜との接続部がコンタクトホール内
に形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電体
膜のパターンを形成した際に発生した応力がコンタクト
部を介して圧電体膜に伝わるためか、コンタクト部周辺
で圧電体層にクラックが発生しやすいという問題があ
る。
【0010】また、上述したように、各圧力発生室に対
応する圧電体能動部と導電体膜との接続部が形成される
コンタクトホール部は、圧電振動子の駆動により大きな
応力が発生し易く、また、導電体膜の応力が圧電体能動
部に作用し、クラック、破壊等が発生する虞があるとい
う問題がある。
【0011】これらの問題は、特に、圧電材料層を成膜
技術で形成した場合に問題となる。すなわち、成膜技術
で形成した圧電材料層は非常に薄いため、圧電振動子を
貼付したものに比較して剛性が低いためである。
【0012】本発明はこのような事情に鑑み、コンタク
ト部での応力集中によるクラック、破壊等を防止し、コ
ンタクト部の変位効率低下を防止することができるイン
クジェット式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本実施形態の第1の態様
は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成し、
少なくとも上面が下電極として作用する振動板と、該振
動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体層の表面
に形成された上電極からなり且つ前記圧力発生室に対向
する領域に形成された圧電体能動部とからなる圧電振動
子を備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記
圧電体能動部の上面に形成された絶縁体層と、該絶縁体
層のコンタクトホール内に形成された前記圧電体能動部
に電圧を印加するための導電体膜との接続部となるコン
タクト部と、を有し、前記導電体膜は、平面的に前記コ
ンタクト部を含み、且つ前記圧力発生室の少なくとも2
方向の周壁まで延設されていることを特徴とする。
【0014】かかる第1の態様では、前記リード部の応
力が複数の前記周壁に受け止められ、コンタクト部周辺
で、圧電体能動部にかかる応力が低減される。
【0015】
【0016】
【0017】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記導電体膜は前記圧力発生室の幅より幅広で前記
圧力発生室の長手方向端部からコンタクト部の上方まで
延設されてなることを特徴とする。
【0018】かかる第2の態様では、導電体膜の圧力が
圧力発生室の複数の周壁に受け止められ、コンタクト部
周辺で、圧電体能動部にかかる圧力が低減される。
【0019】本発明の第3の態様は、第1の態様におい
て、前記コンタクト部と対向する領域に形成された前記
導電体膜の前記圧力発生室の長手方向に沿った寸法は、
前記圧力発生室の長手方向に沿った前記コンタクト部の
寸法よりも幅広であることを特徴とする。
【0020】かかる第3の態様では、導電体膜の応力が
圧力発生室の幅方向両側の周壁に受け止められ、コンタ
クト部周辺で、圧電体能動部にかかる応力が低減され
る。
【0021】本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れ
かの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基
板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子
の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたもの
であることを特徴とする。
【0022】かかる第4の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明を一実施形態に基づ
いて詳細に説明する。
【0024】(実施形態1)図1は、本発明の一実施形
態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図
であり、図2は、平面図およびその1つの圧力発生室の
長手方向における断面構造を示す図である。
【0025】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0026】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0027】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0028】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0029】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0030】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0031】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0032】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0033】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガ
ラスセラミックスからなる。なお、インク供給連通口2
1は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室
12のインク供給側端部の近傍を横断する一のスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0034】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0035】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0036】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実
施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極と
し、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としている
が、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はな
い。また、本実施形態では、圧電体膜70を各圧力発生
室12に対応して個別に設けたが、圧電体膜を全体に設
け、上電極膜80を各圧力発生室12に対応するように
個別に設けてもよい。何れの場合においても、各圧力発
生室12毎に圧力能動部が形成されていることになる。
【0037】そして、かかる各上電極膜80の上面の少
なくとも周縁、及び圧電体膜70の側面を覆うように電
気絶縁性を備えた絶縁体層90が形成されている。絶縁
体層90は、成膜法による形成やまたエッチングによる
整形が可能な材料、例えば酸化シリコン、窒化シリコ
ン、有機材料、好ましくは剛性が低く、且つ電気絶縁性
に優れた感光性ポリイミドで形成するのが好ましい。
【0038】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4を参照しながら説明する。
【0039】図4(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0040】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成
膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜100
0℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるから
である。すなわち、下電極膜70の材料は、このような
高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0041】次に、図4(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥
してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物
からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を
用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録
ヘッドに使用する場合には好適である。
【0042】次に、図4(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0043】次に、図5に示すように、下電極膜60、
圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0044】まず、図5(a)に示すように、下電極膜
60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチン
グして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部32
0のパターニングを行う。次に、図5(c)に示すよう
に、各圧力発生室12(図5では圧力発生室12は形成
前であるが、破線で示す)の幅方向両側に対向した領域
である圧電体能動部320の両側の振動板の腕に相当す
る部分の下電極膜60を除去することにより、下電極膜
除去部350を形成する。このように下電極膜除去部3
50を設けることにより、圧電体能動部320への電圧
印加による変位量の向上を図るものである。
【0045】なお、下電極除去部350は、下電極膜6
0を完全に除去せずに、厚さを薄くしたものでもよい。
また、圧電体能動部320の腕部に相当する部分に下電
極除去部350を形成しているが、これに限定されず、
例えば、圧電体能動部320の両端部よりも長手方向外
側まで形成するようにしてもよいし、圧力発生室12の
周縁部ほぼ全体に亘って形成してもよい。勿論、この下
電極除去部350は、必ずしも設ける必要はない。
【0046】以上のように、下電極膜60等をパターニ
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の
少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60
の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を
形成する(図1参照)。
【0047】そして、絶縁体層90の各圧電体能動部3
20の一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部に
は後述する導電体膜100と接続するために上電極膜8
0の一部を露出させるコンタクトホール90aが形成さ
れている。そして、このコンタクトホール90aを介し
て各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端子
部に延びる導電体膜100が形成されている。
【0048】このような絶縁体層及び導電体膜の形成プ
ロセスを図6に示す。
【0049】まず、図6(a)に示すように、上電極膜
80の周縁部、圧電体膜70および下電極膜60の側面
を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層9
0の好適な材料は上述した通りであるが、本実施形態で
はネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0050】次に、図6(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各圧力発生室12
のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタクト
ホール90aを形成する。このコンタクトホール90a
は、後述する導電体膜100と上電極膜80との接続を
するためのものである。なお、コンタクトホール90a
は、圧力発生室12の圧電体能動部320に対応する部
分に設ければよく、例えば、中央部やノズル側端部に設
けてもよい。
【0051】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、導電
体膜100を形成する。
【0052】このように形成された導電体膜100と圧
電体能動部320との位置関係を図7に示す。
【0053】図7に示すように、圧電体膜70および上
電極膜80からなる圧電体能動部320は、圧力発生室
12に対向する領域内に設けられており、導電体膜10
0は、圧力発生室12の幅よりも幅広で、圧力発生室1
2の長手方向端部からコンタクトホール90a上方まで
延設されている。すなわち、導電体膜100は圧力発生
室12の3方向の周壁に対向する領域を覆うように形成
されている。
【0054】このような構造にすることにより、導電体
膜100に発生した応力は、圧力発生室12の複数の周
壁、本実施形態では3方向の周壁に受け止められるた
め、コンタクトホール90a近傍の圧電体能動部320
に作用する応力が低減され、圧電体能動部320の剥が
れ及び割れ等を防止することができる。また、導電体膜
100をコンタクトホール90a近傍を覆うように形成
したことにより、コンタクトホール90aの外縁部全体
から上電極80へ流れ込むことになり、電流密度の集中
が低減され、マイグレーションに起因する絶縁破壊等を
防止することができると考えられる。
【0055】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0056】また、このようなインクジェット式記録ヘ
ッドでは、上述の一連の膜形成及び異方性エッチング
で、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プ
ロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの
流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形
成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板3
0、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、イ
ンクジェット式記録ヘッドとする。
【0057】このように構成したインクジェット式記録
ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したイ
ンク導入口42からインクを取り込み、共通インク室3
1からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たし
後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、
導電体膜100を介して下電極膜60と上電極膜80と
の間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧
電体膜70をたわみ変形させることにより、圧力発生室
12内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐
出する。
【0058】(実施形態2)図8には、実施形態2に係
るインクジェット式記録ヘッドの導電体膜及び圧電体能
動部の位置関係を示す。
【0059】本実施形態は、導電体膜100Aを圧力発
生室12の一方側壁及び一端部の二方向に延びるように
パターニングした以外は実施形態1と同様である。な
お、本実施形態では、圧電体層及び上電極を圧力発生室
12の一端部から周壁上まで延設するように設けている
が、これは本発明の趣旨とは直接関係ない。
【0060】したがって、このような構造にすることに
より、実施形態1と同様に、導電体膜100Aに発生し
た応力が複数の周壁、本実施形態では2方向の周壁に受
け止められ、圧電体能動部320の端部付近にかかる応
力を低減でき、剥がれ、割れ等を防止することができ
る。また、2方向の周壁で導電体膜100の応力を受け
止めるようにしたので、圧電体能動部320の変位量の
大幅な低下も抑えることができる。さらに、導電体膜1
00をコンタクトホール90aの近傍全体を覆うように
形成したことにより、コンタクトホール90aの外縁全
体から上電極80へ電流が流れ込むことにより、電流密
度の集中が低減される。
【0061】(実施形態3)図9には、実施形態3に係
るインクジェット式記録ヘッドの導電体膜及び圧電体能
動部の位置関係を示す。
【0062】本実施形態は、導電体膜100Bをコンタ
クトホール90aの圧力発生室12の長手方向に沿った
寸法より幅広で、圧力発生室12の両側壁を跨ぐように
形成し、さらに、その両端部は両側壁に沿って延設され
ている以外は実施形態1と同様である。また、本実施形
態の効果は、実施形態2と同様である。なお、本実施形
態では圧力発生室12の両側壁に外部と接続するパター
ンを設けることにより、所望の高電圧を容易に印加する
ことが可能となる。
【0063】(実施形態4)図10には、実施形態4に
係るインクジェット式記録ヘッドの導電体膜及び圧電体
能動部の位置関係を示す。
【0064】本実施形態は、コンタクトホール90aを
圧電体能動部320の長手方向略中央部に形成した以外
は実施形態3と同様であり、導電体膜100Cをコンタ
クトホール90a上面で、圧力発生室12の両側壁を跨
ぐように形成している。なお、外部との接続部となるパ
ターンは実施形態3と異なり、一方の側壁に沿って延設
されているが、その他の点では、実施形態3と同様の効
果を奏する。
【0065】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0066】例えば、上述した封止板20の他、共通イ
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
【0067】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0068】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図11、その流路の断面を図12にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対
のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11
と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封
止板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及
びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0069】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した
実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して
重複する説明は省略する。
【0070】ここで、この実施形態においても、実施形
態1〜4と同様に、導電体膜を、圧力発生室の複数の周
壁を覆うように形成することにより、圧電体能動部に作
用する応力を低減させ、割れ等の発生を防止することが
できる。
【0071】また、勿論、共通インク室を流路形成基板
に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同
様に応用できる。
【0072】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
【0073】さらに、上述した各実施形態では、振動板
として下電極膜とは別に弾性膜を設けたが、下電極膜が
弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0074】また、圧電振動子と導電体膜との間に絶縁
体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例え
ば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜を
熱溶着し、この異方性導電膜を導電体膜と接続したり、
その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術
を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0075】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0076】
【発明の効果】以述のように、本発明によれば、導電体
膜を圧力発生室の複数の周縁部に対向する領域を覆うよ
うに形成することで、導電体膜にかかる応力が周縁部に
受け止められ、コンタクトホール近傍での圧電体能動部
に作用する応力が低減されることにより、また、導電体
膜を比較的広い幅で形成しているため、コンタクトホー
ル内の導電体膜と上電極との接続部分に流れ込む電流密
度が低減され、割れ等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図であ
る。
【図3】図1の封止板の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図6】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図7】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るインクジェット式記
録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態4に係るインクジェット式
記録ヘッドの要部を示す平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 100 導電体膜 320 圧電体能動部 350 下電極除去部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口に連通する圧力発生室の一部
    を構成し、少なくとも上面が下電極として作用する振動
    板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電
    体層の表面に形成された上電極からなり且つ前記圧力発
    生室に対向する領域に形成された圧電体能動部とからな
    る圧電振動子を備えたインクジェット式記録ヘッドにお
    いて、 前記圧電体能動部の上面に形成された絶縁体層と、 該絶縁体層のコンタクトホール内に形成された前記圧電
    体能動部に電圧を印加するための導電体膜との接続部と
    なるコンタクト部と、を有し、 前記導電体膜は、平面的に前記コンタクト部を含み、且
    つ前記圧力発生室の少なくとも2方向の周壁まで延設さ
    れていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記導電体膜は前記圧力発生室の幅より幅広で前記圧力
    発生室の長手方向端部からコンタクト部上方まで延設さ
    れてなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記コンタクト部と対向する領域に形成された前記導電
    体膜の前記圧力発生室の長手方向に沿った寸法は、前記
    圧力発生室の長手方向に沿った前記コンタクト部の寸法
    よりも幅広であることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において、 前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチン
    グにより形成され、前記圧電体振動子の各層が成膜及び
    リソグラフ法により形成されたものであることを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッド。
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