JP3409662B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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JP3409662B2 JP28067997A JP28067997A JP3409662B2 JP 3409662 B2 JP3409662 B2 JP 3409662B2 JP 28067997 A JP28067997 A JP 28067997A JP 28067997 A JP28067997 A JP 28067997A JP 3409662 B2 JP3409662 B2 JP 3409662B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴を吐出す
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板の表面の圧電体層を形成して、圧電体
層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を振動板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を振動板に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
【0007】また、この場合、基板として、例えばシリ
コン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路
を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面
積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可
能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなシリコン単結晶基板に薄膜形成及びパターニングに
より、各圧力発生室に対向する圧電体能動部を形成した
場合には、膜形成時の応力が残留して初期応力となり、
圧電振動子の特性が低下するという問題がある。また、
かかる流路形成基板と接合される連通板又は封止板など
の部材が、通常、ステンレス鋼又はガラス等であるの
で、線膨張率が異なる。したがって、接着時に熱がかか
るので、接着後に反りが発生し、これにより、圧電振動
子に残留する応力が大きくなり、圧電特性がさらに低下
したり、チップ内で特性のバラツキが大きくなったりす
るという虞もある。
【0009】また、記録密度を上げようとすると、圧力
発生室を区画する隔壁の肉厚を薄くせざるを得ず、これ
により圧力発生室を区画する隔壁の剛性が低下し、上述
した問題を助長する。
【0010】本発明はこのような事情に鑑み、流路形成
基板の初期不良を緩和し、圧電特性の低下及びチップ内
での圧電特性のバラツキを防止することができるインク
ジェット式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
一方面にノズル開口に連通すると共に複数の隔壁で区画
された圧力発生室の列を備え、他方面に前記圧力発生室
の一部を構成する振動板および前記圧力発生室に対向す
る領域に形成された圧電体能動部からなる圧電振動子を
備えた流路形成基板と、この流路形成基板の前記他方面
に接合される接合部材とを具備するインクジェット式記
録ヘッドにおいて、前記流路形成基板は、前記圧力発生
室の列方向に沿って該圧力発生室の形成面を凸側に屈曲
された状態で前記接合部材に接合されていることを特徴
とする。
【0012】かかる第1の態様では、流路形成基板が接
合部材に屈曲された状態で接合されることにより、流路
形成基板の初期応力が緩和される。
【0013】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記接合部材の前記流路形成基板との接合面が該流
路形成基板の屈曲された状態に合わせた凸面であり、前
記圧電体能動部に対向する領域には当該圧電体能動部の
駆動を許容する凹部が形成されていることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】かかる第2の態様では、流路形成基板が凸
面に沿って接合されることにより、屈曲された状態で保
持され、初期応力が緩和され、一方、圧電体能動部は凹
部内に収容される。
【0015】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記凹部は、前記圧電体能動部のそれぞれに対応す
る形状に形成されていることを特徴とするインクジェッ
ト式記録ヘッドにある。
【0016】かかる第3の態様では、各圧電体能動部が
それぞれに対応する凹部内に位置してその駆動が許容さ
れる。
【0017】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記流路形成基板は、接合前の前記圧
電体能動部の応力が緩和された状態で前記接合部材に接
合されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドにある。
【0018】かかる第4の態様では、流路形成基板の初
期応力が緩和され、圧電特性が向上する。
【0019】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記流路形成基板は、接合前の反りを
さらに大きくした状態で前記接合部材に接合されている
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】かかる第5の態様では、流路形成基板の屈
曲をさらに大きくすることにより初期応力を低減する。
【0021】本発明の第6の態様は、第1〜5の何れか
の態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板
に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の
各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたもので
あることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにあ
る。
【0022】かかる第6の態様では、高密度のノズル開
口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比
較的容易に製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0024】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図
であり、図2は、平面図およびその1つの圧力発生室の
長手方向における断面構造を示す図である。
【0025】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0026】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0027】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0028】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0029】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0030】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0031】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0032】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0033】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室1
2のインク供給側端部の近傍を横断する一のスリット孔
21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであって
もよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の
一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力
から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20
は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0034】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0035】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0036】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実
施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極と
し、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としている
が、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はな
い。また、本実施形態では、圧電体膜70を各圧力発生
室12に対応して個別に設けたが、圧電体膜を全体に設
け、上電極膜80を各圧力発生室12に対応するように
個別に設けてもよい。何れの場合においても、各圧力発
生室12毎に圧力能動部が形成されていることになる。
【0037】そして、かかる各上電極膜80の上面の少
なくとも周縁、及び圧電体膜70の側面を覆うように電
気絶縁性を備えた絶縁体層90が形成されている。絶縁
体層90は、成膜法による形成やまたエッチングによる
整形が可能な材料、例えば酸化シリコン、窒化シリコ
ン、有機材料、好ましくは剛性が低く、且つ電気絶縁性
に優れた感光性ポリイミドで形成するのが好ましい。
【0038】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図4を参照しながら説明する。
【0039】図4(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0040】次に、図4(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成
膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜100
0℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるから
である。すなわち、下電極膜70の材料は、このような
高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0041】次に、図4(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リングを用いることもできるが、本実施形態では、金属
有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥
してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物
からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を
用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録
ヘッドに使用する場合には好適である。
【0042】次に、図4(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0043】次に、図5に示すように、下電極膜60、
圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0044】まず、図5(a)に示すように、下電極膜
60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチン
グして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及
び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部32
0のパターニングを行う。次に、図5(c)に示すよう
に、各圧力発生室12(図5では圧力発生室12は形成
前であるが、破線で示す)の幅方向両側に対向した領域
である圧電体能動部320の両側の振動板の腕に相当す
る部分の下電極膜60を除去することにより、下電極膜
除去部350を形成する。このように下電極膜除去部3
50を設けることにより、圧電体能動部320への電圧
印加による変位量の向上を図るものである。
【0045】なお、下電極除去部350は、下電極膜6
0を完全に除去せずに、厚さを薄くしたものでもよい。
また、圧電体能動部320の腕部に相当する部分に下電
極除去部350を形成しているが、これに限定されず、
例えば、圧電体能動部320の両端部よりも長手方向外
側まで形成するようにしてもよいし、圧力発生室12の
周縁部ほぼ全体に亘って形成してもよい。勿論、この下
電極除去部350は、必ずしも設ける必要はない。
【0046】以上のように、下電極膜60等をパターニ
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の
少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60
の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を
形成する(図1参照)。
【0047】そして、絶縁体層90の各圧電体能動部3
20の一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部に
は後述するリード電極100と接続するために上電極膜
80の一部を露出させるコンタクトホール90aが形成
されている。そして、このコンタクトホール90aを介
して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端
子部に延びるリード電極100が形成されている。
【0048】このような絶縁体層及びリード電極の形成
プロセスを図6に示す。
【0049】まず、図6(a)に示すように、上電極膜
80の周縁部、圧電体膜70および下電極膜60の側面
を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層9
0の好適な材料は上述した通りであるが、本実施形態で
はネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0050】次に、図6(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各圧力発生室12
のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタクト
ホール90aを形成する。このコンタクトホール90a
は、後述するリード電極100と上電極膜80との接続
をするためのものである。なお、コンタクトホール90
aは、圧力発生室12の圧電体能動部320に対応する
部分に設ければよく、例えば、中央部やノズル側端部に
設けてもよい。
【0051】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
【0052】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図6(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0053】また、このようなインクジェット式記録ヘ
ッドでは、上述の一連の膜形成及び異方性エッチング
で、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プ
ロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの
各流路形成基板10に分割する。
【0054】かかる流路形成基板10は、形成した膜の
収縮等により初期応力が残留しており、僅かではある
が、圧力発生室12の形成面を凸側にして反っている。
本実施形態では、かかる流路形成基板10の膜形成面を
保持部材110に接合する。
【0055】本実施形態の保持部材110は、最終的に
インクジェット式記録ヘッド全体を保持するケースを兼
ねており、流路形成基板10との接合面が、凸面111
となり、また、上述した成膜により形成した圧電体能動
部を逃がすための凹部112を有する。
【0056】ここで、凸面111は、当該凸面111に
流路形成基板10を密着接合することにより、流路形成
基板10の上述した反りがさらに助長されるような曲が
りを有する。
【0057】また、保持部材110は、このように密着
接合された流路形成基板10の反力を受けても変形しな
い程度の剛性を有している必要がある。しかしながら、
必要な曲がりよりも曲がりが大きな凸面を有して接合後
に流路形成基板10の反力により変形して結果的に適正
な曲がりとなるものであってもよい。
【0058】また、凹部112は、圧電体能動部の駆動
を許容できるものであればよく、所定の深さを有する溝
であっても、貫通孔であってもよいが、本実施形態で
は、配線等の関係から貫通孔としている。
【0059】このように流路形成基板10を接合部材1
10の凸面111に接合すると、流路形成基板10の成
膜部は、さらに圧縮方向の応力を受けることになり、初
期応力をなくす又は緩和することができる。
【0060】ここで、凸面111の曲がりの程度である
が、このように初期応力を緩和できるものであれば特に
限定されないが、例えば、圧力発生室12の列方向の寸
法が10mm程度として、最大突出部の突出量が数μm
〜数十μm程度である。
【0061】なお、接合部材110の材質は特に限定さ
れない。例えば、樹脂を射出成形などで一体成形しても
よく、また、金属製として凸面をレーザ加工又は研磨加
工等により形成したものであってもよい。
【0062】また、接合手段も特に限定されず、簡便に
は接着剤を用いて行うことができる。
【0063】このように接合部材110に接合した流路
形成基板10は、さらに、封止板20、共通インク室形
成基板30、及びインク室側板40と順次接着して一体
化し、インクジェット式記録ヘッドとする。なお、流路
形成基板10と各部材との接合の順番は特に限定され
ず、例えば、接合部材110との接合を最後に行っても
よい。
【0064】かかるインクジェット式記録ヘッドは、図
示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口4
2からインクを取り込み、共通インク室31からノズル
開口11に至るまで内部をインクで満たした後、図示し
ない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極
100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電
圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜7
0をたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の
圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0065】(実施形態2)図7には、実施形態2に係
るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視を、図8には
その流路の断面を示す。
【0066】本実施形態の接合部材110Aは、基本的
には、上述した接合部材110と同一で、凸面111A
を有するが、凹部112Aが、各圧電体能動部に対応し
た形状となっている。すなわち、凹部112Aは、端部
側略半分が貫通部112aとなっているが、残りの半分
が各圧電体能動部毎の溝部112bとなっている。した
がって、溝部112bの間には支持部113を有し、支
持部113は、各圧電体能動部の間の非能動部に接触す
るようになっている。
【0067】このような形状にしたことにより、初期応
力を緩和するという効果は同一であるが、さらに、流路
形成基板10が接合部材110Aで確実に保持され、圧
電特性のバラツキ等が抑制される。
【0068】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、本実施形
態では、面に垂直な方向に突出するノズル開口を形成し
ている。すなわち、本実施形態では、ノズル開口11が
圧電振動子とは反対のノズル基板120に穿設され、こ
れらノズル開口11と圧力発生室12とを連通するノズ
ル連通口22が、封止板20,共通インク室形成板30
及び薄肉板41A及びインク室側板40Aを貫通するよ
うに配されている。
【0069】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40Aに開口40bを形成した以外は、基本的に上述し
た実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付し
て重複する説明は省略する。
【0070】また、接合部材110Aは、例えば、樹脂
の一体成型物、あるいは金属製のブロックに加工を施し
たものでもよいが、複数部材を組み合わせて形成しても
よい。すなわち、図9に示すように、貫通部112aに
対応する貫通孔212を有する第1の接合部材210a
と、貫通孔212に連通する貫通部222aと溝部11
2bに対応する溝を形成するための溝形成貫通部222
bとを有する第2の接合部材210bとから、上述した
接合部材110Aと同一形状の接合部材を形成してもよ
い。
【0071】ここで、本実施形態では、第1の接合部材
210aは所定の曲がりを有する凸面211aを有し、
一方、第2の接合部材210bは平らな板状であるが、
第2の接合部材210bは、第1の接合部材210aの
凸面211bに接合されることにより、所定の曲がりを
有する凸面211bを有する。
【0072】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0073】例えば、上述した封止板20の他、共通イ
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
【0074】また、勿論、共通インク室を流路形成基板
に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同
様に応用できる。
【0075】以上説明した各実施形態は、成膜及びリソ
グラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜
型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論こ
れに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して
圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを
貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成す
るもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成するもの
等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明
を採用することができる。
【0076】さらに、上述した各実施形態では、振動板
として下電極膜とは別に弾性膜を設けたが、下電極膜が
弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0077】また、圧電振動子とリード電極との間に絶
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0078】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
流路形成基板を曲げた状態で接合部材に接合することに
より、初期応力が緩和され、圧電特性の低下又はバラツ
キの発生が防止されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の変形例を示す斜視図であ
る。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図6】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図で
ある。
【図7】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るインクジェット式記
録ヘッドの断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式
記録ヘッドの分解斜視図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 14 リザーバ 15 インク供給口 16 インク導入口 17 ノズル開口 18 ノズルプレート 21,21A,21B スリット 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 90a コンタクトホール 100 リード電極 110,110A 接合部材 111,111A 凸面 112,112A 凹部

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方面にノズル開口に連通すると共に複
    数の隔壁で区画された圧力発生室の列を備え、他方面に
    前記圧力発生室の一部を構成する振動板および前記圧力
    発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部からな
    る圧電振動子を備えた流路形成基板と、この流路形成基
    板の前記他方面に接合される接合部材とを具備するイン
    クジェット式記録ヘッドにおいて、 前記流路形成基板は、前記圧力発生室の列方向に沿って
    該圧力発生室の形成面を凸側に屈曲された状態で前記接
    合部材に接合されていることを特徴とするインクジェッ
    ト式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記接合部材の前記
    流路形成基板との接合面が該流路形成基板の屈曲された
    状態に合わせた凸面であり、前記圧電体能動部に対向す
    る領域には当該圧電体能動部の駆動を許容する凹部が形
    成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
    ッド。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記凹部は、前記圧
    電体能動部のそれぞれに対応する形状に形成されている
    ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記流
    路形成基板は、接合前の前記圧電体能動部の応力が緩和
    された状態で前記接合部材に接合されていることを特徴
    とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記流
    路形成基板は、接合前の反りをさらに大きくした状態で
    前記接合部材に接合されていることを特徴とするインク
    ジェット式記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、前記圧
    力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングによ
    り形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラ
    フィ法により形成されたものであることを特徴とするイ
    ンクジェット式記録ヘッド。
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