JP3551748B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

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JP3551748B2
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電体層を形成して、圧電体層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電振動子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電振動子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電振動子を振動板に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができるばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
また、この場合、圧電材料層は振動板の表面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧電振動子を駆動することができるが、単位駆動電圧当たりの変位量および圧力発生室に対向する部分とその外側とを跨ぐ部分で圧電体層にかかる応力の問題から、圧電体層及び上電極からなる圧電体能動部を、圧力発生室に対向する領域内に設けるか、少なくとも一端部以外は圧力発生室に対向する領域外に出ないように形成するのが望ましい。
【0008】
さらに、このようなたわみモードの圧電振動子を使用した記録ヘッドでは、各圧力発生室に対応する圧電振動子は絶縁体層で覆われ、この絶縁体層には各圧電振動子を駆動するための電圧を供給するリード電極との接続部を形成するための窓(以下、コンタクトホールという)が各圧力発生室に対応して設けられており、各圧電振動子とリード電極との接続部がコンタクトホール内に形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接続部をコンタクトホール内に形成した場合、接続部とコンタクトホールとの隙間から大気が流入して圧電体層と接触し、圧電体層が大気中の水分を取り込んでしまう。したがって、大気中の水分を取り込んだ圧電体層に電圧を印加すると、その水分の影響により、圧電体層が絶縁破壊を起こしてしまうという問題がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、コンタクトホールからの大気の流入による圧電体層の絶縁破壊を防止することができるインクジェット式記録ヘッドを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成して少なくとも上面が下電極として作用する振動板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極からなり且つ前記圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部とからなる圧電振動子を備え、前記圧電体能動部上に設けられた絶縁体層に形成された開口部を介して当該圧電体能動部に接続されるリード電極を有するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記絶縁体層の少なくとも前記開口部に対向する領域及び当該開口部を介して前記圧電体能動部に接続される前記リード電極の周囲を覆う保護層が形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】
かかる第1の態様では、保護層により絶縁体層とリード電極との隙間が封止され、コンタクトホール内への大気の流入が防止される。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1において、前記保護層は、前記圧電体能動部に対向する領域のみに、前記開口部毎に独立して設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】
かかる第2の態様では、保護層が圧電体能動部に対向する領域のみに形成されているので、圧電体能動部の駆動による振動板の変位量を低下させることがない。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記保護層は、少なくとも前記開口部の長手方向の長さよりも広い幅を有し、隣接する前記圧電体能動部に設けられた前記保護層が連続して設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】
かかる第3の態様では、保護層を連続して設けることにより、確実に絶縁体層とリード電極との隙間が封止され、コンタクトホール内への大気の流入が防止される。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記保護層は、前記圧電体能動部に対向する全領域に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】
かかる第4の態様では、保護層を圧電体能動部に対向する全領域に設けることにより、保護層の細かいパターニングが不要となり、コンタクトホール内への大気の流入が防止される。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかにおいて、前記保護層の材質は、ポリイミド、酸化珪素、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、及び窒化珪素からなる群から選択されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】
かかる第5の態様では、圧電体能動部を環境から確実に保護することができる。
【0021】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0022】
かかる第5の態様では、高密度のノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す組立斜視図であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図である。
【0025】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0026】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0027】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0028】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0029】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。
【0030】
一方、各圧力発生室12の一端に連通する各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0031】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要がある。
【0032】
また、各圧力発生室12と後述する共通インク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室12の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク供給連通口21を介して連通されており、インクはこのインク供給連通口21を介して共通インク室31から供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0033】
封止板20は、前述の各圧力発生室12に対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21は、各圧力発生室12のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット孔でも、あるいは複数のスリット孔であってもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0034】
共通インク室形成基板30は、共通インク室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、インク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしている。
【0035】
インク室側板40は、ステンレス基板からなり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成するものである。また、インク室側板40には、他方の面の一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成することにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのインク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されている。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0036】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室12毎に独立して圧電振動子が設けられているが、本実施形態では、下電極膜60は圧電振動子の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、本実施形態では、圧電体膜70を各圧力発生室12に対応して個別に設けたが、圧電体膜を全体に設け、上電極膜80を各圧力発生室12に対応するように個別に設けてもよい。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。
【0037】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図3を参照しながら説明する。
【0038】
図3(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0039】
次に、図3(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0040】
次に、図3(c)に示すように、圧電体膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタリングを用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0041】
次に、図3(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料であればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、Ptをスパッタリングにより成膜している。
【0042】
次に、図4に示すように、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0043】
まず、図4(a)に示すように、圧電体膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部320のパターニングを行う。次に、図4(b)に示すように、各圧力発生室12(図4では圧力発生室12は形成前であるが、破線で示す)の幅方向両側に対向した領域である圧電体能動部320の両側の振動板の腕に相当する部分の下電極膜60を除去することにより、下電極膜除去部350を形成する。このように下電極膜除去部350を設けることにより、圧電体能動部320への電圧印加による変位量の向上を図っている。
【0044】
なお、下電極除去部350は、下電極膜60を完全に除去せずに、厚さを薄くしたものでもよい。また、圧電体能動部320の腕部に相当する部分に下電極除去部350を形成しているが、これに限定されず、例えば、圧電体能動部320の両端部よりも長手方向外側まで形成するようにしてもよいし、圧力発生室12の周縁部ほぼ全体に亘って形成してもよい。勿論、この下電極除去部350は、必ずしも設ける必要はない。
【0045】
次いで、図4(c)に示すように、下電極膜60をエッチングして下電極膜60の全体パターンをパターニングする。
【0046】
以上のように、下電極膜60等をパターニングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を形成する(図2参照)。
【0047】
そして、絶縁体層90の各圧電体能動部320の略中央部に対応する部分の一部には、コンタクトホール90aが形成されている。そして、このコンタクトホール90aを介して各上電極膜80に一端が接続し、また他端がAFC(異方性導電膜)等の接続端子部に延びるリード電極100が形成されている。
【0048】
さらに、本実施形態では、コンタクトホール90aに対向する領域のリード電極100上には、少なくともリード電極100の周囲を覆う保護膜110が形成されている。この保護膜110は、後述するように、コンタクトホール90aへの大気の流入を防止し、大気中の水分が圧電体膜70と接触するのを防止するためのものである。また、この保護膜110は、例えば、ポリイミド、酸化珪素、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、窒化珪素等の材質で形成されることが好ましい。
【0049】
このような絶縁体層90、リード電極100及び保護膜110の形成プロセスを図5に示す。
【0050】
まず、図5(a)に示すように、上電極膜80の周縁部、圧電体膜70および下電極膜60の側面を覆うように絶縁体層90を形成する。この絶縁体層90は、本実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0051】
次に、図5(b)に示すように、絶縁体層90をパターニングすることにより、各圧力発生室12の長手方向端部に対応する部分にコンタクトホール90aを形成する。
【0052】
次に、例えば、Ti−Auなどの導電体を全面に成膜した後、パターニングすることにより、リード電極100を形成する。
【0053】
次いで、本実施形態では、図5(c)に示すように、各コンタクトホール90aに対向する領域に、例えば、ポリイミド等を成膜して、パターニングすることにより保護膜110を形成する。
【0054】
以上が膜形成プロセスである。このようにして膜形成を行った後、図5(d)に示すように、前述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。
【0055】
図6は、上述のように形成されたインクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。
【0056】
図6(a)に示すように、圧電体膜70および上電極膜80からなる圧電体能動部320は、圧力発生室12に対向する領域内に設けられ、上電極膜80上には、絶縁体層90を介してリード電極100が形成されている。この上電極膜80とリード電極100とは、図6(b)に示すように、絶縁体層90の圧電体能動部320の長手方向端部近傍に形成されたコンタクトホール90a内で接続されている。また、本実施形態では、コンタクトホール90aに対向する領域のリード電極100上には、それぞれ、リード電極100の周囲を覆うように保護膜110が形成されている。
【0057】
これにより、保護膜110が、絶縁体層90とリード電極100との接合面を封止するので、この接合面から大気が流入してコンタクトホール90a内に入り込み、圧電体膜70と接触することを防止することができる。したがって、圧電体膜70の大気中の水分による絶縁破壊を防止することができる。また、本実施形態では、保護膜110を圧電体能動部320に対向する領域のみコンタクトホール90a毎に独立して設けるようにしたので、圧電体能動部320の駆動による振動板の変位量を低下させることがない。
【0058】
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、上述の一連の膜形成及び異方性エッチングで、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの各流路形成基板10に分割する。また、分割した流路形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0059】
そして、このように構成したインクジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口42からインクを取り込み、共通インク室31からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70をたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0060】
上述のように、本実施形態では、保護膜110を、各コンタクトホール90aに対向する領域毎に独立して設けるようにしたが、これに限定されるわけではない。
【0061】
例えば、図7に示すように、保護膜110を、コンタクトホール90a及びリード電極100の周囲を覆うように、複数のコンタクトホール90aに対向する領域のリード電極100上に連続して設けるようにしてもよい。これにより、より確実に、絶縁体層80とリード電極100との接合面の隙間が封止され、大気のコンタクトホール90a内への流入が防止できる。
【0062】
また、例えば、図8に示すように、保護膜110を圧電体能動部320全体を覆うように設けるようにしてもよい。この場合にも、確実に大気のコンタクトホール90a内への流入を防止でき、また、保護膜110を容易に形成することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、コンタクトホール90aを圧電体能動部320の長手方向端部近傍に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、圧電体能動部320の長手方向に亘って設けるようにしてもよく、この場合にも、例えば、図9(a)に示すように、コンタクトホール90aに対向する領域を覆うように、圧電体能動部320に対向する領域に、保護膜110を形成するようにすればよい。
【0064】
また、例えば、一つの圧電体能動部320に対向する位置に複数のコンタクトホール90aを設けるようにしてもよく、この場合にも、図9(b)に示すように、全てのコンタクトホール90aを覆うように保護膜110を形成すればよい。
【0065】
このような構成においても、上述の場合と同様に、コンタクトホール90a内への大気の流入を防止でき、大気中の水分による圧電体層の絶縁破壊を防止することができる。
【0066】
なお、上述の何れの場合においても、保護膜110をコンタクトホール90a毎に独立して設けてもよいことは言うまでもない。
【0067】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0068】
例えば、上述した封止板20の他、共通インク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由である。
【0069】
また、上述した実施形態では、ノズル開口を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0070】
このように構成した実施形態の分解斜視図を図10、その流路の断面を図11にぞれぞれ示す。この実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0071】
なお、本実施形態は、その他、薄肉板41Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0072】
ここで、この実施形態においても、上述の実施形態と同様に、保護膜をコンタクトホールに対応する領域に形成することにより、コンタクトホールからの大気の流入が防止でき、大気中の水分による圧電体膜の絶縁破壊を防止することができる。
【0073】
また、以上説明した各実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0074】
さらに、上述した各実施形態では、振動板として下電極膜とは別に弾性膜を設けたが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0075】
また、圧電振動子とリード電極との間に絶縁体膜を設けた例を説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁体膜を設けないで、各上電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0076】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、コンタクトホールに対応する領域のリード電極上に、少なくともリード電極の周囲を覆う保護膜を形成することにより、絶縁体膜とリード電極との接合面の隙間が封止され、コンタクトホール内への大気の流入を防止することができる。したがって、圧電体膜が大気と接触することがないので、大気中の水分による圧電体膜の絶縁破壊を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。
【図7】保護膜の変形例を示す平面図及び断面図である。
【図8】保護膜の変形例を示す平面図である。
【図9】保護膜の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
11 ノズル開口
12 圧力発生室
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80 上電極膜
90 絶縁体層
100 リード電極
110 保護膜
320 圧電体能動部
350 下電極除去部

Claims (6)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成して少なくとも上面が下電極として作用する振動板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極からなり且つ前記圧力発生室に対向する領域に形成された圧電体能動部とからなる圧電振動子を備え、前記圧電体能動部上に設けられた絶縁体層に形成された開口部を介して当該圧電体能動部に接続されるリード電極を有するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記絶縁体層の少なくとも前記開口部に対向する領域及び当該開口部を介して前記圧電体能動部に接続される前記リード電極の周囲を覆う保護層が形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1において、前記保護層は、前記圧電体能動部に対向する領域のみに、前記開口部毎に独立して設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項1において、前記保護層は、少なくとも前記開口部の長手方向の長さよりも広い幅を有し、隣接する前記圧電体能動部に設けられた前記保護層が連続して設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 請求項1において、前記保護層は、前記圧電体能動部に対向する全領域に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記保護層の材質は、ポリイミド、酸化珪素、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、及び窒化珪素からなる群から選択されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
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