JPH11115184A - アクチュエータ及びインクジェット式記録ヘッド - Google Patents

アクチュエータ及びインクジェット式記録ヘッド

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JPH11115184A
JPH11115184A JP9280676A JP28067697A JPH11115184A JP H11115184 A JPH11115184 A JP H11115184A JP 9280676 A JP9280676 A JP 9280676A JP 28067697 A JP28067697 A JP 28067697A JP H11115184 A JPH11115184 A JP H11115184A
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upper electrode
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pressure generating
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Mari Sakai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電体能動部の端部での剥離あるいはクラッ
ク発生を防止することができるアクチュエータおよびイ
ンクジェット式記録ヘッドを提供する。 【解決手段】 少なくとも上面に上電極を有する振動板
50,60と、該振動板50,60の表面に形成された
圧電体層70及び該圧電体層70の表面に形成された上
電極80からなる圧電体能動部320とからなる圧電振
動子を備えたアクチュエータにおいて、前記圧電体能動
部320の端部近傍で少なくとも端部から前記圧電体層
60の厚さの略3倍位置までの領域が非能動部320a
とし、圧電体能動部320への電圧印加の際に端部での
変位が完全になくなるので、端部での剥がれ、クラック
の発生等が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動板の上に圧電
体能動部を有するアクチュエータに関し、特に、インク
滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を
振動板で構成し、この振動板の表面に圧電体層を形成し
て、圧電体層の変位によりインク滴を吐出させるインク
ジェット式記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を吐出するノズル開口と連通す
る圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧
電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧し
てノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット
式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮す
る縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ
振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用
化されている。
【0003】前者は圧電振動子の端面を弾性板に当接さ
せることにより圧力発生室の容積を変化させることがで
きて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて
櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられ
た圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業
が必要となり、製造工程が複雑であるという問題があ
る。
【0004】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を
作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する
関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困
難であるという問題がある。
【0005】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案
されている。
【0006】これによれば圧電振動子を弾性板に貼付け
る作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、
かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができる
ばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動
が可能になるという利点がある。
【0007】また、この場合、圧電材料層は弾性板の表
面全体に設けたままで少なくとも上電極のみを各圧力発
生室毎に設けることにより、各圧力発生室に対応する圧
電振動子を駆動することができるが、単位駆動電圧当た
りの変位量および圧力発生室に対向する部分とその外部
とを跨ぐ部分で圧電体層へかかる応力の問題から、圧電
体層および上電極からなる圧電体能動部を、少なくとも
一端部以外は圧力発生室外に出ないように形成するのが
望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧電体
層上に上電極パターンを形成した圧電体能動部を駆動す
ると、上電極のエッジ部にクラックが入り、このクラッ
クは上電極パターンの下の圧電体層まで進展して圧電体
能動部に致命的なダメージを引き起こす虞がある。
【0009】また、上述したように帯状に形成した圧電
体能動部では、圧電体パターンの端部が剥離し易く、場
合によっては端部が、絶縁破壊、クラックの発生、又は
下電極と圧電体層との間で剥離する等の疲労破壊を発生
する虞があるという問題がある。
【0010】さらに、圧電体層の端部を圧力発生室外の
周壁上まで延設すると、圧力発生室内と周壁との境界近
傍に対向する部分からクラックが発生するという問題が
ある。
【0011】これらの問題は、特に、圧電材料層を成膜
技術で形成した場合に生じ易い。これは、成膜技術で形
成した圧電材料層は非常に薄く、圧電振動子を貼付した
ものに比較して剛性が低いためである。
【0012】また、このような問題はインクジェット式
記録ヘッドだけではなく、基板の一方側に振動板及び圧
電体能動部を有するアクチュエータにおいても同様に存
在する。
【0013】本発明はこのような事情に鑑み、圧電体能
動部の端部での剥離あるいはクラック発生を防止するこ
とができるアクチュエータおよびインクジェット式記録
ヘッドを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の態様は、少なくとも上面に下電極を有する振
動板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧
電体層の表面に形成された上電極からなる圧電体能動部
とからなる圧電振動子を備えたアクチュエータにおい
て、前記圧電体能動部の端部の外側近傍には、当該圧電
体能動部の端部から所定距離だけ離れ且つ当該圧電体能
動部に形成された上電極と電気的に接続されないフロー
ティング電極が設けられていることを特徴とするアクチ
ュエータにある。
【0015】かかる第1の態様では、上電極とフローテ
ィング電極との間に電界が形成されるので、変位する領
域と変位を全く生じない領域とが直接隣接しなくなるの
で、圧電体能動部の端部近傍で疲労破壊が生じ難くな
る。
【0016】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記圧電体能動部上にパターニングされた上電極の
端部と前記フローティング電極との前記所定距離は、前
記圧電体層の厚さの3倍以下であることを特徴とするア
クチュエータにある。
【0017】かかる第2の態様では、上電極とフローテ
ィング電極との間に電界が生じ、有効に疲労破壊等が防
止される。
【0018】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記圧電体能動部の前記上電極と前記フロー
ティング電極との間の前記圧電体層は、相対的に圧電性
が低い低活性部からなることを特徴とするアクチュエー
タにある。
【0019】かかる第3の態様では、低活性部での変位
が低減するので、疲労破壊等が有効に防止される。
【0020】本発明の第4の態様は、第1〜3の態様に
おいて、前記圧電体能動部の前記上電極と前記フローテ
ィング電極との間の前記圧電体層がハーフエッチングさ
れていることを特徴とするアクチュエータにある。
【0021】かかる第4の態様では、ハーフエッチング
によりその部分での応力が緩和されるので、疲労破壊等
が有効に防止される。
【0022】本発明の第5の態様は、少なくとも上面に
下電極を有する振動板と、該振動板の表面に形成された
圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極から
なる圧電体能動部とからなる圧電振動子を備えたアクチ
ュエータにおいて、前記圧電体能動部の端部は、当該端
部の縁が面方向に凹凸する凹凸部となっていることを特
徴とするアクチュエータにある。
【0023】かかる第5の態様では、上電極に凹凸部が
形成されているので、圧電体能動部の端部での電界の集
中が防止され、疲労破壊等が防止される。
【0024】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記凹凸部の凹凸の大きさ及び間隔がそれぞれ前記
圧電体層の厚さの3倍以下であることを特徴とするアク
チュエータにある。
【0025】かかる第6の態様では、凹凸部形成によ
り、電界の集中の抑制効果が有効に発揮される。
【0026】本発明の第7の態様は、第5又は6の態様
において、前記圧電体能動部の端部の外側近傍には、当
該圧電体能動部の端部から所定距離だけ離れ且つ当該圧
電体能動部に形成された上電極と電気的に接続されない
フローティング電極が設けられていることを特徴とする
アクチュエータにある。
【0027】かかる第7の態様では、凹凸部とフローテ
ィング電極の相応効果により、疲労破壊等が有効に防止
される。
【0028】本発明の第8の態様は、第7の態様におい
て、前記圧電体能動部の前記上電極と前記フローティン
グ電極との間の前記圧電体層は、相対的に圧電性が低い
低活性部からなることを特徴とするアクチュエータにあ
る。
【0029】かかる第8の態様では、さらに、低活性部
による変位抑制効果が発揮される。
【0030】本発明の第9の態様は、第7又は8の態様
において、前記圧電体能動部の前記上電極と前記フロー
ティング電極との間の前記圧電体層がハーフエッチング
されていることを特徴とするアクチュエータにある。
【0031】かかる第9の態様では、ハーフエッチング
によりその部分での応力が緩和されるので、疲労破壊等
が有効に防止される。
【0032】本発明の第10の態様は、少なくとも上面
に下電極を有する振動板と、該振動板の表面に形成され
た圧電体層及び該圧電体層の表面に形成された上電極か
らなる圧電体能動部とからなる圧電振動子を備えたアク
チュエータにおいて、前記圧電体能動部の端部の外側近
傍の圧電体層は、圧電性が相対的に低い低活性部からな
ることを特徴とするアクチュエータにある。
【0033】かかる第10の態様では、圧電体能動部の
外部に圧電特性が低い低活性部があるので、繰り返し駆
動による疲労破壊が防止される。
【0034】本発明の第11の態様では、第10の態様
において、前記低活性部は、前記圧電体層に原子又は分
子を衝突させることにより形成したことを特徴とするア
クチュエータにある。
【0035】かかる第11の態様は、低活性部が原子又
は分子を衝突させることにより容易に形成される。
【0036】本発明の第12の態様は、第1〜11の何
れかの態様において、前記振動板が、ノズル開口に連通
する圧力発生室の一部を構成し、前記圧電体能動部が前
記圧力発生室に対向した領域に形成されていることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0037】かかる第12の態様では、圧力発生室に対
向して圧電体能動部を形成することにより、圧電体能動
部の駆動によりインクを吐出するインクジェット式記録
ヘッドが構成され、圧電体能動部の端部での疲労破壊が
有効に防止される。
【0038】本発明の第13の態様は、第12の態様に
おいて、前記圧電体能動部の前記圧力発生室に対向する
領域内に帯状に形成され、前記端部は当該圧電体能動部
の両端部であることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0039】かかる第13の態様では、圧力発生室に対
向して設けられた圧電体能動部の両端部での疲労破壊が
防止される。
【0040】本発明の第14の態様は、第13の態様に
おいて、前記圧電体能動部の一端部から前記圧力発生室
の端部側壁に対向する領域まで前記圧電体層が連続的に
延設されていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
【0041】かかる第14の態様では、周壁上に延設さ
れた圧力体能動部の端部の疲労破壊等が有効に防止され
る。
【0042】本発明の第15の態様は、第14の態様に
おいて、前記圧電体能動部の一端部から前記圧力発生室
の端部側壁に対向する領域まで連続的に延設されている
前記圧電体層の前記一端部から少なくとも前記圧力発生
室と前記端部側壁との境界に対向する領域までが不活性
部であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
【0043】かかる第15の態様では、圧力発生室と周
壁との境界近傍の圧電体層の疲労破壊が防止される。
【0044】本発明の第16の態様は、第12〜15の
何れかの態様において、前記上電極の上面には絶縁体層
が形成され、該絶縁体層にはリード電極と前記上電極と
の前記コンタクト部を形成するための窓であるコンタク
トホール部を有することを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0045】かかる第16の態様では、各圧電体能動部
とリード電極とはコンタクトホール部を介して接続され
る。
【0046】本発明の第17の態様は、第12〜16の
何れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結
晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振
動子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成された
ものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ドにある。
【0047】かかる第17の態様では、高密度のノズル
開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ
比較的容易に製造することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0049】(実施形態1)図1には、本発明の実施形
態1に係るアクチュエータの平面及び断面を示す。図1
に示すように、基板1上には凹部1aが形成され、凹部
1a上には、下電極膜2、圧電体膜3、及び上電極膜4
が順次積層されてそれぞれ円形状にパターニングされて
おり、上電極膜4の周囲には、所定距離離れて上電極膜
4とは電気的に独立している円環状のフローティング電
極5がパターニングされている。なお、下電極膜2及び
上電極膜4は、それぞれ図示しない電源に接続されてい
る。
【0050】かかるアクチュエータでは、下電極膜2が
振動板を兼ねており、この下電極膜2上にパターニング
された圧電体膜3及び上電極膜4が圧電体能動部とな
る。したがって、下電極膜2と上電極膜4との間に電圧
を印加することにより、アクチュエータを駆動すること
ができる。
【0051】ここで、本実施形態では、アクチュエータ
駆動時に上電極膜4とフローティング電極5との間に電
界が形成されるので、上電極膜4の外側近傍のフローテ
ィング電極5を形成した部分でも多少の変位が生じる。
したがって、変位が生じる部分と変位が全く生じない部
分とが直接隣接しなくなるので、上電極膜4の端部にク
ラック等が生じ難く、アクチュエータの耐久性が著しく
向上する。
【0052】このような効果を得るため、上電極膜4の
端部とフローティング電極5との距離Aは、通常、0.
2〜20μmある圧電体膜3の厚さの3倍以下、好まし
くは、0.2〜3倍とするのがよい。これは、上電極膜
4の端部とフローティング電極5との間に電界が生じて
上述した作用を発揮させるためである。
【0053】フローティング電極の形状は特に限定され
ず、図2に示すように、矩形の帯状の上電極膜4Aに対
しては、壊れやすい端部のみに直線上のフローティング
電極5Aを設けてもよく、また、端部が円弧状の帯状の
上電極膜4Bに対しては、円弧状の端部を囲むような円
弧状のフローティング電極5Bを設けてもよい。
【0054】また、上電極膜4とフローティング電極5
との圧電体膜3に凹部3aを、例えば、イオンミリング
によるハーフエッチングにより形成したので、電極近傍
の圧電体膜3の表面での応力が緩和される。
【0055】また、ハーフエッチングした部分の下の圧
電体膜3は、ダメージを受けて低活性部3bとなってい
る。このように低活性部3bが形成されると、その部分
での変位特性が低下するので、圧電体能動部との境界で
破壊がさらに生じ難くなる。なお、低活性部は必ずしも
ハーフエッチングして形成する必要はなく、単に、原子
又は分子を衝突させることにより形成することができ、
例えば、イオンミリング等により上電極膜4を除去する
ことによりその下の圧電体膜3の表面は低活性部とな
る。
【0056】(実施形態2)図3には、実施形態2に係
るアクチュエータの平面及び断面を示す。図3に示すよ
うに、本実施形態のアクチュエータの基本的構造は上述
した実施形態と同様であるが、本実施形態では、上電極
膜4Cの外周縁部に凹凸部6が形成されている。凹凸部
6は、上電極膜の外周縁を面方向に凹凸となるようにパ
ターニングしたものである。
【0057】かかる構成のアクチュエータでは、上電極
膜4Cの周囲での電界が平面的に分散され、応力の分布
が均一なクラックを発生させる状態ではなくなるので、
圧電体膜3にクラック等が生じ難くなる。
【0058】ここで、凹凸部6の凹凸量(凹凸の深さ)
B及び凹凸の間隔(ピッチ)Cがそれぞれ圧電体膜3の
厚さの3倍以下、好ましくは、0.2倍〜3倍程度がよ
い。これは、電界集中緩和の効果を奏するためである。
【0059】このようなアクチュエータに上述した実施
形態のフローティング電極を組み合わせることにより、
より顕著な効果を奏することができる。すなわち、図4
に示すように、上電極膜4Cの周囲に円環状のフローテ
ィング電極5Cを設けてもよい。
【0060】また、帯状にパターニングされた上電極膜
に対しては、破壊されやすい端部のみに凹凸部を設けて
もよく、さらに、フローティング電極を設けてもよい。
図5は、帯状の上電極膜4Dの端部に凹凸部6Aを設
け、さらにフローティング電極5Dを設けたものであ
る。このフローティング電極5Dは、凹凸部6に対向す
る縁が凹凸部6の凹凸に対応した凹凸形状となっている
が、このような構造を図4のフローティング電極5Cに
設けてもよいことは言うまでもない。
【0061】また、上電極膜の凹凸部のパターニング
を、例えば、イオンミリングによるハーフエッチングに
より形成し、凹凸部の外側の圧電体膜がハーフエッチン
グしてハーフエッチング部を設けてもよい。このように
ハーフエッチング部を設けると、その部分での応力が緩
和されるので、圧電体能動部との境界で破壊がさらに生
じ難くなる。
【0062】さらに、上電極膜の凹凸部は、必ずしも上
電極膜をパターニングすることにより形成する必要はな
く、例えば、図6に示すように、圧電体膜3上に内側に
凹凸部7aを有する低誘電体膜7を形成し、この上に上
電極膜4Eを形成するようにしてもよい。これにより、
上電極膜4Eと圧電体膜3とが接触する圧電体能動部の
外周は凹凸形状となり、同様な効果を奏することができ
る。
【0063】(実施形態3)図7には、実施形態3に係
るアクチュエータの平面図及び断面図を示す。図7に示
すように、本実施形態のアクチュエータは、基本的には
実施形態1に係るアクチュエータと同一であるが、実施
形態1のフローティング電極5の代わりに、上電極膜4
の外側周縁部に凹部3cをイオンミリングにより形成し
たものである。なお、凹部3cの下部には低活性部3d
が形成されている。
【0064】かかる構成では、上電極膜4の外縁部近傍
での変位特性が低下するので、圧電体能動部の繰り返し
駆動によっても、その外縁部に疲労破壊が生じにくくな
り、圧電体能動部の耐久性を向上することができる。
【0065】(実施形態4)本実施形態は、本発明をイ
ンクジェット式記録ヘッドに適用した例を示すものであ
り、図8には実施形態4に係るインクジェット式記録ヘ
ッドの組立斜視を、図9には、その平面及び1つの圧力
発生室の長手方向における断面構造を示す。
【0066】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0067】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成され
ている。
【0068】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0069】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)と約35度の角度をなす第2の(11
1)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと
比較して(111)面のエッチングレートが約1/18
0であるという性質を利用して行われるものである。か
かる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)
面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平
行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うこと
ができ、圧力発生室12を高密度に配列することができ
る。
【0070】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シ
リコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵さ
れる量がきわめて小さい。
【0071】一方、各圧力発生室12の一端に連通する
各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅
く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリ
コン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハー
フエッチング)することにより形成されている。なお、
ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行わ
れる。
【0072】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要
がある。
【0073】また、各圧力発生室12と後述する共通イ
ンク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室1
2の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク
供給連通口21を介して連通されており、インクはこの
インク供給連通口21を介して共通インク室31から供
給され、各圧力発生室12に分配される。
【0074】封止板20は、前述の各圧力発生室12に
対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例
えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下
で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラ
スセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21
は、図10(a),(b)に示すように、各圧力発生室
12のインク供給側端部の近傍を横断する一のスリット
孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであっ
てもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10
の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外
力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板2
0は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0075】共通インク室形成基板30は、共通インク
室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、イ
ンク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を
打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共
通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしてい
る。
【0076】インク室側板40は、ステンレス基板から
なり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成する
ものである。また、インク室側板40には、他方の面の
一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成するこ
とにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのイ
ンク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されて
いる。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生す
るノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するため
のもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を
経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。
本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給
手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側
板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mm
の薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄
肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の
厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0077】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子
(圧電素子)を構成している。このように、弾性膜50
の各圧力発生室12に対向する領域には、各圧力発生室
12毎に独立して圧電振動子が設けられており、下電極
膜60は圧電振動子の共通電極とし、上電極膜80を圧
電振動子の個別電極としている。また、本実施形態で
は、圧電体膜70を各圧力発生室12に対応して個別に
設けたが、圧電体膜を全体に設け、上電極膜80を各圧
力発生室12に対応するように個別に設けてもよい。何
れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動
部が形成されていることになる。
【0078】また、本実施形態では、上電極膜80の長
手方向端部から所定の距離だけ離してフローティング電
極85を配置してある。
【0079】ここで、圧力発生室と圧電体能動部の端部
との平面位置関係及びその断面を図11に示す。図11
に示すように、フローティング電極85は、上電極膜8
0と同時にパターニングにより形成されるが、上電極膜
80とは電気的に分離されるように形成されている。す
なわち、上電極膜80の端部までが圧電体能動部320
となり、その外側にフローティング電極85が形成され
ている。また、フローティング電極85の圧力発生室1
2の端部側は、上電極膜80が除去されて圧電体膜70
が露出された非能動部330となっている。
【0080】このような構造では、圧電体能動部を駆動
する際に、上電極膜80の端部とフローティング電極8
5との間に電界が生じるので、多少の変位が発生する。
したがって、圧電体能動部と非能動部との間に低能動部
が存在することになるので、上電極膜80の端部近傍に
て、繰り返し駆動による疲労破壊が生じ難くなる。
【0081】このようにフローティング電極85は、圧
力発生室12に対向して帯状に形成した上電極膜80の
端部近傍での疲労破壊等を防止するためのものであり、
長手方向両端部に設けてもよいが、相対的に疲労破壊が
生じやすい後述するコンタクトホール近傍の端部のみに
設けてもよい。なお、フローティング電極85は、上述
したように、上電極膜80とは電気的に独立するように
形成すればよく、また、上電極膜80の端部からフロー
ティング電極85までの距離は、圧電体膜70の厚さの
0.2〜3.0倍とするのが好ましい。
【0082】また、上述したアクチュエータの実施形態
で述べたように、上電極膜80とフローティング電極8
5との間の圧電体膜70をイオンミリング等でハーフエ
ッチングしてハーフエッチング部を形成してもよい。
【0083】なお、非能動部330上には、圧電体膜7
0上には、フローティング電極85と連続して又は独立
して上電極膜80を残しておいてもよい。
【0084】そして、かかる各上電極膜80及びフロー
ティング電極85の上面の少なくとも周縁、及び圧電体
膜70の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層
90が形成されている。絶縁体層90は、成膜法による
形成やまたエッチングによる整形が可能な材料、例えば
酸化シリコン、窒化シリコン、有機材料、好ましくは剛
性が低く、且つ電気絶縁性に優れた感光性ポリイミドで
形成するのが好ましい。
【0085】絶縁体層90の各上電極膜80の一端部に
対応する部分の上面を覆う部分の一部には後述するリー
ド電極100と接続するために上電極膜80の一部を露
出させるコンタクトホール90aが形成されている。そ
して、このコンタクトホール90aを介して各上電極膜
80に一端が接続し、また他端が接続端子部に延びるリ
ード電極100が形成されている。リード電極100
は、駆動信号を上電極膜80に確実に供給できる程度に
可及的に狭い幅となるように形成されている。
【0086】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図12を参照しながら説明する。
【0087】図12(a)に示すように、まず、流路形
成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約11
00℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾
性膜50を形成する。
【0088】次に、図12(b)に示すように、スパッ
タリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材
料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリ
ングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、
成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜10
00℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるか
らである。すなわち、下電極膜70の材料は、このよう
な高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0089】次に、図12(c)に示すように、圧電体
膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッ
タリングを用いることもできるが、本実施形態では、金
属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記
録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0090】次に、図12(d)に示すように、上電極
膜80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料
であればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0091】次に、図13に示すように、下電極膜6
0、圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングす
る。なお、図示はしていないが、このとき同時に、フロ
ーティング電極85をパターニングする。
【0092】まず、図13(a)に示すように、下電極
膜60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチ
ングして下電極膜60の全体パターンをパターニングす
る。次いで、図13(b)に示すように、圧電体膜70
及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部3
20のパターニングを行う。
【0093】以上説明したように、まず、下電極膜60
の全体のパターンを形成し、次いで、圧電体能動部32
0をパターニングすることによりパターニングが完了す
る。
【0094】以上のように、下電極膜60等をパターニ
ングした後には、好ましくは、各上電極膜80の上面の
少なくとも周縁、圧電体膜70の側面および下電極膜6
0の上面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90
を形成する(図8参照)。
【0095】そして、絶縁体層90の各圧電体能動部3
20の一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部に
は後述するリード電極100と接続するために上電極膜
80の一部を露出させるコンタクトホール90aが形成
されている。そして、このコンタクトホール90aを介
して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端
子部に延びるリード電極100が形成されている。リー
ド電極100は、駆動信号を上電極膜80に確実に供給
できる程度に可及的に狭い幅となるように形成されてい
る。なお、本実施形態では、上述した非能動部320a
の近傍にコンタクトホール90aを形成するようにして
いる。
【0096】このような絶縁体層の形成プロセスを図1
4に示す。
【0097】まず、図14(a)に示すように、上電極
膜80の周縁部、圧電体膜70の側面および下電極膜6
0の上面を覆うように絶縁体層90を形成する。本実施
形態では、絶縁体層90としてネガ型の感光性ポリイミ
ドを用いている。
【0098】次に、図14(b)に示すように、絶縁体
層90をパターニングすることにより、各圧力発生室1
2のインク供給側の端部近傍に対応する部分にコンタク
トホール90aを形成する。このコンタクトホール90
aは、後述するリード電極100と上電極膜80との接
続をするためのものである。なお、コンタクトホール9
0aは、圧力発生室12の圧電体能動部320に対応す
る部分に設ければよく、例えば、中央部やノズル側端部
に設けてもよい。
【0099】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
【0100】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図14(c)に示すように、前
述したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性
エッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。な
お、以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチング
は、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プ
ロセス終了後、図8に示すような一つのチップサイズの
流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形
成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板3
0、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、イ
ンクジェット式記録ヘッドとする。
【0101】このように構成したインクジェットヘッド
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口42からインクを取り込み、共通インク室31から
ノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、
図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リー
ド電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との
間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電
体膜70をたわみ変形させることにより、圧力発生室1
2内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出
する。
【0102】(実施形態5)図15には、本発明の実施
形態5に係るインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室
及び圧電体能動部の端部の形状を示す。
【0103】本実施形態は、圧電体能動部320Aの端
部では、上電極膜80に凹凸部80aがパターニングさ
れている。凹凸部80aは、上電極膜80を面方向に凹
凸になるようにパターニングしたものであり、上述した
アクチュエータの実施形態と同様に、凹凸部80aの凹
凸量及び凹凸の間隔は、圧電体膜70の0.2〜3倍程
度であるのが好ましい。
【0104】このような構成とすることにより、圧電体
能動部320Aと非能動部330Aとの境界部で電界が
平面的に分散し、応力の分布が均一のクラックを発生さ
せる状態でなくなるので、繰り返し駆動による疲労破壊
が生じにくくなる。
【0105】なお、このような構成に加えて、フローテ
ィング電極を設けてもよいし、さらに、フローティング
電極と凹凸部との間の圧電体膜をハーフエッチングして
もよいことは、上述したアクチュエータの実施形態で述
べたとおりである。
【0106】また、上述したリード電極100との接続
を図るためのコンタクトホール90aは、例えば、凹凸
部80aの近傍に設けられる。
【0107】(実施形態6)図16には、本発明の実施
形態6に係るインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室
及び圧電体能動部の端部の形状を示す。
【0108】本実施形態は、上電極膜80がパターニン
グされた圧電体能動部320Bに隣接して圧力発生室1
2の端部に設けられた非能動部330Bの圧電体膜をイ
オンミリングでハーフエッチングしてハーフエッチング
部70aとしたものである。
【0109】このような構成とすることにより、圧電体
能動部320Bと非能動部330Bとの境界部で応力が
緩和されるので、繰り返し駆動による疲労破壊が生じに
くくなる。
【0110】なお、上述したリード電極100との接続
を図るためのコンタクトホール90aは、例えば、非能
動部330Bの近傍に設けられる。
【0111】(実施形態7)図17には、本発明の実施
形態7に係るインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室
及び圧電体能動部の端部の形状を示す。
【0112】本実施形態は、実施形態5と同様に圧電体
能動部320Cの端部において上電極膜80に凹凸部8
0aがパターニングされているが、圧電体膜70を圧力
発生室12の一端部から周壁上まで延設した点が相違す
る。さらに、圧力発生室12とその周壁との境界に対向
する圧電体膜をイオンミリングでハーフエッチングして
ハーフエッチング部70bを形成している。
【0113】このような構成とすることにより、圧電体
能動部320Cと非能動部330Cとの境界部で応力が
緩和されるので、繰り返し駆動による疲労破壊が生じに
くくなる。さらに、圧力発生室12とその周壁との境界
部分近傍では、一般的には繰り返し変位により圧電体膜
70等に割れ等が発生しやすいが、本実施形態ではこの
部分がハーフエッチング部70bであるので、この部分
での割れ等の発生が防止され、さらに、非能動部330
Cの端部での膜剥離等が防止される。
【0114】なお、非能動部330C全体をハーフエッ
チングしてよく、また、非能動部330Cのハーフエッ
チングしない領域には上電極膜80を残しておいても差
し支えない。
【0115】また、上述したリード電極100との接続
を図るためのコンタクトホール90aは、例えば、凹凸
部80aの近傍に設けられる。
【0116】さらに、圧電体膜70を圧力発生室12の
周壁上に延設する場合の形状は本実施形態に限定され
ず、例えば、図18に示すように、延設される部分の圧
電体膜70の幅を広くパターニングした非能動部330
Dとしてもよい。この場合、リード電極100のパター
ンを圧電体膜に併せて幅広に形成することができ、所望
の電圧の印加が容易になる。
【0117】(他の実施形態)以上、本発明の各実施形
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
【0118】例えば、上述した封止板20の他、共通イ
ンク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよ
く、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミ
ックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由であ
る。
【0119】また、上述した実施形態では、ノズル開口
を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直
な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0120】このように構成した実施形態の分解斜視図
を図19、その流路の断面を図20にぞれぞれ示す。こ
の実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対
側のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口1
1と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、
封止板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A
及びインク室側板40Aを貫通するように配されてい
る。
【0121】なお、本実施形態は、その他、薄肉板41
Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板
40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した
実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して
重複する説明は省略する。
【0122】ここで、この実施形態においても、上述し
た実施形態と同様に、フローティング電極又は凹凸部又
は低活性部を設けて、圧電体能動部の端部での疲労破壊
等を防止することができる。
【0123】勿論、以上説明した各実施形態は、適宜組
み合わせて実施することにより、より一層の効果を奏す
るものであることは言うまでもない。
【0124】また、以上説明した各実施形態は、成膜及
びリソグラフィプロセスを応用することにより製造でき
る薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、
勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積
層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシ
ートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を
形成するもの、又は結晶成長により圧電体膜を形成する
もの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本
発明を採用することができる。
【0125】さらに、上述した各実施形態では、振動板
として下電極膜とは別に弾性膜を設けたが、下電極膜が
弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0126】また、圧電振動子とリード電極との間に絶
縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例
えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜
を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続した
り、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング
技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0127】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応
用することができる。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
圧電体能動部の端部近傍にフローティング電極又は圧電
体膜の低活性部を設け、又は圧電体能動部の上電極膜の
端部に凹凸部を設けることにより、圧電体能動部の端部
近傍での剥がれ又はクラックの発生等が防止されるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るアクチュエータを示
す平面図及び断面図である。
【図2】本発明の実施形態1の変形例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るアクチュエータを示
す要部平面図及び断面図である。
【図4】本発明の実施形態2の変形例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態2の変形例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態3に係るアクチュエータを示
す平面図及び断面図である。
【図8】本発明の実施形態4に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図9】本発明の実施形態4に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す図であり、図8の平面図及び断面図であ
る。
【図10】図8の封止板の変形例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態4の要部を示す平面図及び
断面図である。
【図12】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図13】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図14】本発明の薄膜製造工程を示す図である。
【図15】本発明の実施形態5を説明する要部平面図で
ある。
【図16】本発明の実施形態6を説明する要部平面図で
ある。
【図17】本発明の実施形態7を説明する要部平面図で
ある。
【図18】本発明の実施形態7の変形例を説明する要部
平面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
式記録ヘッドを示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下電極膜 3 圧電体膜 3a,3c 凹部 3b,3d 低活性部 4 上電極膜 5 フローティング電極 6 凹凸部 10 流路形成基板 11 ノズル開口 12 圧力発生室 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 100 リード電極 320,330 圧電体能動部 320a,330a 非能動部

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも上面に下電極を有する振動板
    と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体
    層の表面に形成された上電極からなる圧電体能動部とか
    らなる圧電振動子を備えたアクチュエータにおいて、 前記圧電体能動部の端部の外側近傍には、当該圧電体能
    動部の端部から所定距離だけ離れ且つ当該圧電体能動部
    に形成された上電極と電気的に接続されないフローティ
    ング電極が設けられていることを特徴とするアクチュエ
    ータ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記圧電体能動部上
    にパターニングされた上電極の端部と前記フローティン
    グ電極との前記所定距離は、前記圧電体層の厚さの3倍
    以下であることを特徴とするアクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記圧電体能
    動部の前記上電極と前記フローティング電極との間の前
    記圧電体層は、相対的に圧電性が低い低活性部からなる
    ことを特徴とするアクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3において、前記圧電体能動
    部の前記上電極と前記フローティング電極との間の前記
    圧電体層がハーフエッチングされていることを特徴とす
    るアクチュエータ。
  5. 【請求項5】 少なくとも上面に下電極を有する振動板
    と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電体
    層の表面に形成された上電極からなる圧電体能動部とか
    らなる圧電振動子を備えたアクチュエータにおいて、 前記圧電体能動部の端部は、当該端部の縁が面方向に凹
    凸する凹凸部となっていることを特徴とするアクチュエ
    ータ。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記凹凸部の凹凸の
    大きさ及び間隔がそれぞれ前記圧電体層の厚さの3倍以
    下であることを特徴とするアクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において、前記圧電体能
    動部の端部の外側近傍には、当該圧電体能動部の端部か
    ら所定距離だけ離れ且つ当該圧電体能動部に形成された
    上電極と電気的に接続されないフローティング電極が設
    けられていることを特徴とするアクチュエータ。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記圧電体能動部の
    前記上電極と前記フローティング電極との間の前記圧電
    体層は、相対的に圧電性が低い低活性部からなることを
    特徴とするアクチュエータ。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8において、前記圧電体能
    動部の前記上電極と前記フローティング電極との間の前
    記圧電体層がハーフエッチングされていることを特徴と
    するアクチュエータ。
  10. 【請求項10】 少なくとも上面に下電極を有する振動
    板と、該振動板の表面に形成された圧電体層及び該圧電
    体層の表面に形成された上電極からなる圧電体能動部と
    からなる圧電振動子を備えたアクチュエータにおいて、 前記圧電体能動部の端部の外側近傍の圧電体層は、圧電
    性が相対的に低い低活性部からなることを特徴とするア
    クチュエータ。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記低活性部
    は、前記圧電体層に原子又は分子を衝突させることによ
    り形成したことを特徴とするアクチュエータ。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11の何れかにおいて、前
    記振動板が、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を
    構成し、前記圧電体能動部が前記圧力発生室に対向した
    領域に形成されていることを特徴とするインクジェット
    式記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項12において、前記圧電体能動
    部の前記圧力発生室に対向する領域内に帯状に形成さ
    れ、前記端部は当該圧電体能動部の両端部であることを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項13において、前記圧電体能動
    部の一端部から前記圧力発生室の端部側壁に対向する領
    域まで前記圧電体層が連続的に延設されていることを特
    徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項14において、前記圧電体能動
    部の一端部から前記圧力発生室の端部側壁に対向する領
    域まで連続的に延設されている前記圧電体層の前記一端
    部から少なくとも前記圧力発生室と前記端部側壁との境
    界に対向する領域までが不活性部であることを特徴とす
    るインクジェット式記録ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項12〜15の何れかにおいて、
    前記上電極の上面には絶縁体層が形成され、該絶縁体層
    はリード電極と前記上電極との前記コンタクト部を形成
    するための窓であるコンタクトホール部を有することを
    特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項12〜16の何れかにおいて、
    前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチン
    グにより形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリ
    ソグラフィ法により形成されたものであることを特徴と
    するインクジェット式記録ヘッド。
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