JPH11192701A - マイクロデバイス、インクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents

マイクロデバイス、インクジェット式記録ヘッド及びこれらの製造方法並びにインクジェット式記録装置

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JPH11192701A
JPH11192701A JP26254698A JP26254698A JPH11192701A JP H11192701 A JPH11192701 A JP H11192701A JP 26254698 A JP26254698 A JP 26254698A JP 26254698 A JP26254698 A JP 26254698A JP H11192701 A JPH11192701 A JP H11192701A
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film
hole
fragile
multilayer film
manufacturing
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JP26254698A
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Yutaka Furuhata
豊 古畑
Yoshinao Miyata
佳直 宮田
Hajime Mizutani
肇 水谷
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貫通部を効率よく、且つ確実に形成できるマ
イクロデバイスの製造方法及びマイクロデバイス、特
に、インクジェット式記録ヘッドの製造方法及びインク
ジェット式記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置
を提供する。 【解決手段】 基板の一方面に能動板と当該能動板を駆
動する能動板駆動部とを構成する多層膜構造を有するマ
イクロデバイスにおいて、前記基板を貫通する貫通孔3
0と、前記多層膜40の前記貫通孔30となる部分の周
縁又は当該貫通孔30となる部分を横断して設けられ且
つ他の部分よりも相対的に厚さの薄い脆弱部41とを具
備することにより、脆弱部41に沿って、又はその内側
で多層膜40を切断することにより、多層膜40に開口
を形成して貫通孔30を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロデバイス
の製造方法及びマイクロデバイスに関し、特に、インク
滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を
振動板で構成し、この振動板を介して圧電素子を設け
て、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式
記録ヘッド並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、基板の一方面に他方面への能動
板及び当該能動板を駆動する能動板駆動部を有するマイ
クロデバイスの一種としてインクジェット式記録ヘッド
がある。
【0003】このインクジェット式記録ヘッドは、イン
ク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部
を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形さ
せて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からイン
ク滴を吐出させるものであり、圧電素子が軸方向に伸
長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用
したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを
使用したものの2種類が実用化されている。
【0004】前者は圧電素子の端面を振動板に当接させ
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0005】これに対して後者は、圧電材料のグリーン
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
【0006】一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消す
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
【0007】これによれば圧電素子を振動板に貼付ける
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
【0008】また、この場合、基板として、例えばシリ
コン単結晶基板を用い、圧力発生室やリザーバ等の流路
を異方性エッチングにより形成し、圧力発生室の開口面
積を可及的に小さくして記録密度の向上を図ることが可
能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなシリコ
ン単結晶基板を異方性エッチングする際には、圧力発生
室と同時に、貫通孔となる部分、例えば、位置決めのた
めの基準孔、インク導入のためのインク導入口、ウェハ
上に複数のチップを形成する場合のチップ毎の分離を行
うための分離孔などを形成する。この際、一般には、最
下層の二酸化シリコン膜のみを残してシリコン単結晶基
板をエッチングした後、貫通孔の部分の膜をエッチング
又は物理的に除去するが、膜の除去の際に貫通孔の周囲
までオーバーエッチングされてしまったり、又は貫通孔
の周囲の膜剥離の原因になったりするという問題があ
る。また、二酸化シリコン膜のみを残した場合、膜欠陥
により、エッチングガス又はエッチング液が反対側に侵
入してしまうという問題がある。さらに、特に、基準ピ
ン等を挿入することによって物理的に除去する場合、遊
離した膜が発生して基準ピン等と貫通孔との間にかみ込
まれ、芯合わせ不良等が発生するという問題がある。
【0010】このような問題はインクジェット式記録ヘ
ッドだけではなく、基板の一方側に能動板及び能動板駆
動部を有するマイクロセンサなどのマイクロデバイスに
ついても存在する。
【0011】本発明は、このような事情に鑑み、貫通部
を効率よく、且つ確実に形成できるマイクロデバイスの
製造方法及びマイクロデバイス、特に、インクジェット
式記録ヘッドの製造方法及びインクジェット式記録ヘッ
ド並びにインクジェット式記録装置を提供することを課
題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第1の態様は、基板の一方面に能動板と当該能動板
を駆動する能動板駆動部とを構成する多層膜構造を有す
るマイクロデバイスにおいて、前記基板を貫通する貫通
孔と、前記多層膜の前記貫通孔となる部分の周縁又は当
該貫通孔となる部分を横断して設けられ且つ他の部分よ
りも相対的に厚さの薄い脆弱部とを具備することを特徴
とするマイクロデバイスにある。
【0013】かかる第1の態様では、脆弱部を介して多
層膜が容易に切断されて貫通孔を簡便に形成でき、ま
た、貫通部形成時の薄膜の飛散が防止され、貫通孔に基
準ピン等を確実に嵌合できる。
【0014】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記貫通孔となる部分を覆う前記多層膜は、少なく
とも上層に引っ張り方向の面内応力を有する膜を有して
当該多層膜全体の面内応力が引っ張り方向となるもので
あり、前記脆弱部は、前記多層膜の前記貫通孔となる部
分の縁部に沿って又は当該貫通孔となる部分を横断して
設けられて且つ他の部分よりも相対的に脆性の低い脆弱
切断部を含むことを特徴とするマイクロデバイスにあ
る。
【0015】かかる第2の態様では、貫通孔形成時に、
多層膜が縁部に沿ってめくれ上がり、基準ピン等と貫通
孔との当接が確実にできる。
【0016】本発明の第3の態様は、第2の態様におい
て、前記脆弱切断部が帯状に形成されていることを特徴
とするマイクロデバイスにある。
【0017】かかる第3の態様では、多層膜が帯状の脆
弱切断部に沿って容易に切断され、流路形成基板に貫通
孔をさらに簡便に形成できる。
【0018】本発明の第4の態様は、第2又は3の態様
において、前記脆弱切断部が、前記多層膜の少なくとも
一層に形成された切欠き溝であることを特徴とするマイ
クロデバイスにある。
【0019】かかる第4の態様では、多層膜は切り欠き
溝に沿って容易に切断され、流路形成基板に貫通孔を簡
便に形成できる。
【0020】本発明の第5の態様は、第2〜4の何れか
の態様において、前記多層膜が、圧縮応力を有する酸化
シリコン膜と、この酸化シリコン膜上に形成されて引っ
張り応力を有する金属膜とを有することを特徴とするマ
イクロデバイスにある。
【0021】かかる第5の態様では、多層膜が、酸化シ
リコン膜の応力と金属膜の応力とにより全体として引っ
張り応力となり、流路形成基板に貫通孔を簡便に形成で
きる。
【0022】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、前記多層膜が、さらに、引っ張り応力を有する絶縁
体層を上層に有することを特徴とするマイクロデバイス
にある。
【0023】かかる第6の態様では、多層膜の全体の引
っ張り応力が強くなり、貫通孔形成時に、多層膜が確実
にめくれ上がり、流路形成基板に貫通孔をさらに簡便に
形成できる。
【0024】本発明の第7の態様は、第5又は6の態様
において、前記脆弱切断部が、前記多層膜の少なくとも
金属膜の厚さの少なくとも一部に形成された切欠き溝で
あることを特徴とするマイクロデバイスにある。
【0025】かかる第7の態様では、多層膜は金属膜の
切欠き溝で容易に切断され、流路形成基板に貫通孔がさ
らに簡便に形成できる。
【0026】本発明の第8の態様は、第1〜7の何れか
の態様において、前記脆弱部は、前記貫通孔となる部分
を囲むと共に前記多層膜の周囲より全体の膜厚が薄い帯
状の薄膜部を含むことを特徴とするマイクロデバイスに
ある。
【0027】かかる第8の態様では、多層膜が薄膜部の
外側まで剥離するのを防止できる。
【0028】本発明の第9の態様は、第8の態様におい
て、さらに、前記薄膜部の内側に当該薄膜部より相対的
に厚い膜厚を有する厚膜部を有することを特徴とするマ
イクロデバイスにある。
【0029】かかる第9の態様では、薄膜部の内部に貫
通孔を覆う蓋を除去した際に残った厚膜部が存在する。
【0030】本発明の第10の態様は、第1〜9の何れ
かのマイクロデバイスを備えたインクジェット式記録ヘ
ッドであり、前記マイクロデバイスは、ノズル開口に連
通する圧力発生室が前記基板に形成され、前記基板の一
方面に前記能動板として前記圧力発生室に対応する弾性
膜又は下電極からなる振動板と、前記能動板駆動部とし
て下電極、圧電体層、上電極からなる圧電素子とを多層
構造として具備するものであることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
【0031】かかる第10の態様では、流路形成基板に
貫通孔を簡便に形成できるインクジェット式記録ヘッド
が実現される。
【0032】本発明の第11の態様は、第10の態様に
おいて、前記脆弱部が、前記振動板からなることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0033】かかる第11の態様では、多層膜が脆弱部
に沿って又はその内側で切断され、貫通孔の周囲の多層
膜への影響が回避される。
【0034】本発明の第12の態様は、第10の態様に
おいて、前記脆弱部が、前記振動板の厚さ方向の一部を
除去したものであることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドにある。
【0035】かかる第12の態様では、多層膜が脆弱部
に沿って又はその内側で確実に切断さ、貫通孔の周囲の
多層膜への影響が回避される。
【0036】本発明の第13の態様は、第10の態様に
おいて、前記脆弱部が、前記弾性膜からなることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0037】かかる第13の態様では、多層膜が脆弱部
に沿って又はその内側で確実に切断され、貫通孔の周囲
の多層膜への影響が回避される。
【0038】本発明の第14の態様は、第10の態様に
おいて、前記脆弱部が、前記弾性膜の厚さ方向の一部を
除去したものであることを特徴とするインクジェット式
記録にある。
【0039】かかる第14の態様では、多層膜が脆弱部
に沿って又はその内側で確実に切断され、貫通孔の周囲
の多層膜への影響が回避される。
【0040】本発明の第15の態様は、第10〜14の
何れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備する
ことを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0041】かかる第15の態様では、ヘッドを確実に
且つ簡便に製造することができ、インクジェット式記録
装置の製造が容易となる。
【0042】本発明の第16の態様は、基板の一方面に
能動板と当該能動板を駆動する能動板駆動部とを構成す
る多層膜構造を有するマイクロデバイスの製造方法にお
いて、前記基板を貫通する貫通孔となる部分の周縁又は
当該貫通孔となる部分を横断して、前記多層膜に当該多
層膜の他の部分よりも相対的に厚さの薄い脆弱部を形成
するステップと、前記貫通孔となる部分を前記基板の他
方面からエッチングすることにより前記多層膜まで貫通
する貫通部を形成するステップと、前記貫通部を形成
後、前記脆弱部に沿って又は当該脆弱部の内側で前記多
層膜を切断して当該多層膜に開口を形成して前記貫通孔
を形成するステップとを具備することを特徴とするマイ
クロデバイスの製造方法にある。
【0043】かかる第16の態様では、貫通孔を簡便に
形成でき、また、貫通部形成時の薄膜の飛散が防止さ
れ、貫通孔に基準ピン等を確実に嵌合できる。
【0044】本発明の第17の態様は、第16の態様に
おいて、前記貫通孔を形成前に、前記基板を貫通する貫
通孔となる部分を覆う多層膜の少なくとも上層に引っ張
り方向の面内応力を有する膜を設けて当該多層膜全体の
面内応力を引っ張り方向とするステップを有し、前記貫
通部を形成後に、前記引っ張り方向の面内応力を利用し
て前記多層膜に開口を形成して前記貫通孔を形成するこ
とを特徴とするマイクロデバイスの製造方法にある。
【0045】かかる第17の態様では、多層膜が縁部に
沿ってめくれ上がり、基準ピン等と貫通孔との当接が確
実にできる。
【0046】本発明の第18の態様は、第17の態様に
おいて、前記脆弱部は、前記多層膜の前記貫通孔となる
部分の縁部に沿って且つ他の部分よりも相対的に脆性の
低い脆弱切断部を含むことを特徴とするマイクロデバイ
スの製造方法にある。
【0047】かかる第18の態様では、貫通孔形成時
に、多層膜が縁部に沿ってめくれ上がり、基準ピン等と
貫通孔との当接が確実にできる。
【0048】本発明の第19の態様は、第17又は18
の態様において、前記脆弱部は、前記多層膜の前記貫通
孔となる部分を横断して設けられて且つ他の部分よりも
相対的に脆性の低い脆弱切断部を含むことを特徴とする
マイクロデバイスの製造方法にある。
【0049】かかる第19の態様では、多層膜が貫通孔
の中央部で切断され、縁部に沿って確実にめくれ上が
り、基準ピン等と貫通孔との当接が確実にできる。
【0050】本発明の第20の態様は、第18又は19
の態様において、前記脆弱切断部が帯状に形成されてい
ることを特徴とするマイクロデバイスの製造方法にあ
る。
【0051】かかる第20の態様では、多層膜が帯状の
脆弱部に沿って切断され、貫通孔をさらに簡便に形成で
きる。
【0052】本発明の第21の態様は、第17〜20の
何れかの態様において、前記脆弱切断部が、前記多層膜
の少なくとも一層に形成された切欠き溝であることを特
徴とするマイクロデバイスの製造方法にある。
【0053】かかる第21の態様では、多層膜は切り欠
き溝に沿って容易に切断され、貫通孔を簡便に形成でき
る。
【0054】本発明の第22の態様は、第17〜21の
何れかの態様において、前記多層膜が、圧縮応力を有す
る酸化シリコン膜と、この酸化シリコン膜上に形成され
て引っ張り応力を有する金属膜とを有することを特徴と
するマイクロデバイスの製造方法にある。
【0055】かかる第22の態様では、多層膜が、酸化
シリコン膜の応力と金属膜の応力とにより全体として引
っ張り応力となり、貫通孔を簡便に形成できる。
【0056】本発明の第23の態様は、第22の態様に
おいて、前記多層膜が、さらに、引っ張り応力を有する
絶縁体層を上層に有することを特徴とするマイクロデバ
イスの製造方法にある。
【0057】かかる第23の態様では、多層膜の全体の
引っ張り応力が強くなり、多層膜が確実にめくれ上が
り、貫通孔をさらに簡便に形成できる。
【0058】本発明の第24の態様は、第22又は23
の態様において、前記脆弱切断部が、前記多層膜の少な
くとも金属膜の厚さの少なくとも一部に形成された切欠
き溝であることを特徴とするマイクロデバイスの製造方
法にある。
【0059】かかる第24の態様では、金属膜の切欠き
溝で容易に切断される。
【0060】本発明の第25の態様は、第16〜24の
何れかの態様において、前記貫通孔となる部分の前記多
層膜を押圧することにより前記開口を形成することを特
徴とするマイクロデバイスの製造方法にある。
【0061】かかる第25の態様では、押圧で開口を形
成することにより、脆弱部に沿って多層膜がめくれ上が
り、所望の形状の貫通孔が得られる。
【0062】本発明の第26の態様は、第25の態様に
おいて、前記押圧を前記貫通部側から行うことを特徴と
するマイクロデバイスの製造方法にある。
【0063】かかる第26の態様では、貫通部側から押
圧を行うことで、多層膜が貫通孔の外部にめくれ上が
り、貫通孔を確実に形成できる。
【0064】本発明の第27の態様は、第25又は26
の態様において、前記押圧の前に前記脆弱切断部の少な
くとも一部に亀裂を生じさせることを特徴とするマイク
ロデバイスの製造方法にある。
【0065】かかる第27の態様では、脆弱部の一部に
亀裂が生じた結果、容易に貫通孔が形成できる。
【0066】本発明の第28の態様は、第16〜27の
何れかの態様において、前記脆弱部は、前記貫通孔とな
る部分を囲むと共に前記多層膜の周囲より全体の膜厚が
薄い帯状の薄膜部を含むことを特徴とするマイクロデバ
イスの製造方法にある。
【0067】かかる第28の態様では、多層膜が薄膜部
の外側まで剥離されることがない。
【0068】本発明の第29の態様は、第28の態様に
おいて、前記脆弱部を形成するステップは、前記薄膜部
と、この薄膜部より全体として膜厚が厚く且つ前記貫通
孔となる部分を覆う蓋部とを形成するステップを含み、
前記貫通部を形成後、前記貫通孔が前記蓋部を除去する
ことにより形成されることを特徴とするマイクロデバイ
スの製造方法にある。
【0069】かかる第29の態様では、貫通孔のエッチ
ングの際には、蓋部によりエッチング漏れが防止され、
エッチング後の蓋部の除去の際には、貫通孔周辺部に薄
膜部があるので、除去が簡便且つ確実に行える。
【0070】本発明の第30の態様は、第29の態様に
おいて、前記薄膜部の少なくとも外縁部が前記貫通孔と
なる部分を囲んでいることを特徴とするマイクロデバイ
スの製造方法にある。
【0071】かかる第30の態様では、薄膜部の少なく
とも外縁部が貫通孔となる部分を囲んでいるため、薄膜
部内縁部は貫通孔内に対向する位置にあってもよい。
【0072】本発明の第31の態様は、第29又は30
の態様において、前記蓋部の除去を吸引又は吹飛ばしな
がら物理的に行うことを特徴とするマイクロデバイスの
製造方法にある。
【0073】かかる第31の態様では、エッチング後、
蓋部を物理的に除去する際、剥離部等が吸引により除去
される。
【0074】本発明の第32の態様は、第29〜31の
何れかの態様において、前記蓋部の除去を機械的加工又
はレーザ加工により行うことを特徴とするマイクロデバ
イスの製造方法にある。
【0075】かかる第32の態様では、エッチング後の
蓋部の除去を針等により、又はレーザ照射により簡便に
行い、その際、薄膜部によりその周囲の膜への悪影響が
防止される。
【0076】本発明の第33の態様は、第29〜31の
何れかの態様において、前記蓋部の除去をエッチングに
より行うことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法
にある。
【0077】かかる第33の態様では、エッチング後の
蓋部の除去をエッチングにより確実に行い、その際、薄
膜部によりオーバーエッチングによる周囲の膜への影響
が防止される。
【0078】本発明の第34の態様は、第16〜33の
何れかの態様において、前記基板がシリコン単結晶基板
であり、前記多層膜構造が成膜及びリソグラフィ法によ
り形成されることを特徴とするマイクロデバイスの製造
方法にある。
【0079】かかる第34の態様では、シリコン単結晶
基板の異方性エッチングにより貫通孔が形成でき、その
際のエッチング及び開口作業等を簡便且つ確実に行うこ
とができる。
【0080】本発明の第35の態様は、第16〜34の
何れかの態様のマイクロデバイスの製造方法によるイン
クジェット式記録ヘッドの製造方法であり、前記マイク
ロデバイスは、ノズル開口に連通する圧力発生室が前記
基板に形成され、前記基板の一方面に前記能動板として
前記圧力発生室に対応する弾性膜及又は下電極からなる
振動板と、前記能動板駆動部として下電極、圧電体層、
上電極からなる圧電素子とを多層構造として具備するも
のであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
の製造方法にある。
【0081】かかる第35の態様では、インクジェット
式記録ヘッドの流路形成基板に形成する基準孔等の貫通
孔の形成を確実且つ簡便に行うことができる。
【0082】本発明の第36の態様は、第35の態様に
おいて、前記蓋部が前記振動板と、前記能動板駆動部と
しての下電極、前記圧電体層及び前記上電極の少なくと
も一層とからなり、前記脆弱部が前記振動板からなるこ
とを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法
にある。
【0083】かかる第36の態様では、振動板によりエ
ッチングの際の漏れが確実に防止され、また、開口作業
を簡便且つ確実に行うことができる。
【0084】本発明の第37の態様は、第35の態様に
おいて、前記蓋部が少なくとも前記振動板からなり、前
記脆弱部が前記振動板の厚さ方向の一部を除去したもの
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
【0085】かかる第37の態様では、脆弱部の膜が薄
いので、エッチング後の膜の切断又は除去を簡便且つ確
実に行うことができる。
【0086】本発明の第38の態様は、第35の態様に
おいて、前記蓋部が少なくとも前記振動板からなり、前
記脆弱部が前記弾性膜からなることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
【0087】かかる第38の態様では、脆弱部の膜が非
常に薄いので、エッチング後の膜の切断又は除去を非常
に簡便且つ確実に行うことができる。
【0088】本発明の第39の態様は、第35の態様に
おいて、前記蓋部が前記弾性膜からなり、前記脆弱部が
前記弾性膜の厚さ方向の一部を除去したものであること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法に
ある。
【0089】かかる第39の態様では、脆弱部の膜が非
常に薄いか全くないので、エッチング後の膜の切断又は
除去を非常に簡便且つ確実に行うことができる。
【0090】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施形態に基づい
て詳細に説明する。
【0091】(実施形態1)図1は、本発明の実施形態
に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図で
あり、図2(a)及び(b)は、その1つの圧力発生室
の長手方向及びそれに交差する方向におけるそれぞれの
断面構造を示す図である。
【0092】図示するように、流路形成基板10は、本
実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板か
らなる。流路形成基板10としては、通常、150〜3
00μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは18
0〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の
厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室
間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるから
である。
【0093】流路形成基板10の一方の面は開口面とな
り、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリ
コンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成
されている。
【0094】一方、流路形成基板10の開口面には、シ
リコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、
複数の隔壁11により区画された圧力発生室12の列1
3が2列と、2列の圧力発生室12の三方を囲むように
略コ字状に配置されたリザーバ14と、各圧力発生室1
2とリザーバ14とを一定の流体抵抗で連通するインク
供給口15がそれぞれ形成されている。なお、リザーバ
14の略中央部には、外部から当該リザーバ14にイン
クを供給するためのインク導入口16が形成されてい
る。
【0095】ここで、異方性エッチングは、シリコン単
結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々
に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面
と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且
つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(1
11)面とが出現し、(110)面のエッチングレート
と比較して(111)面のエッチングレートが約1/1
80であるという性質を利用して行われるものである。
かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(11
1)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成され
る平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行う
ことができ、圧力発生室12を高密度に配列することが
できる。
【0096】本実施形態では、各圧力発生室12の長辺
を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で
形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板1
0をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングす
ることにより形成されている。ここで、弾性膜50は、
シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵
される量がきわめて小さい。また各圧力発生室12の一
端に連通する各インク供給口15は、圧力発生室12よ
り浅く形成されている。すなわち、インク供給口15
は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチン
グ(ハーフエッチング)することにより形成されてい
る。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整
により行われる。
【0097】なお、流路形成基板10の対角線上の二つ
の隅部には、流路形成基板10の位置合わせのための基
準孔30が形成されている。
【0098】また、流路形成基板10の開口面側には、
各圧力発生室12のインク供給口15とは反対側で連通
するノズル開口17が穿設されたノズルプレート18が
接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。な
お、ノズルプレート18は、厚さが例えば、0.1〜1
mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜
4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、又
は不錆鋼などからなる。ノズルプレート18は、一方の
面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン
単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果
たす。なお、ノズルプレート18には、流路形成基板1
0の基準孔30に対応する位置に基準孔19が形成され
ている。
【0099】ここで、インク滴吐出圧力をインクに与え
る圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズ
ル開口17の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出
スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、
1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノ
ズル開口17は数十μmの径で精度よく形成する必要が
ある。
【0100】一方、流路形成基板10の開口面とは反対
側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分を
いう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極
を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力
発生室12毎にパターニングして構成する。そして、こ
こではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体
膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電
歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施
形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極と
し、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としてい
るが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障は
ない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体
能動部が形成されていることになる。また、ここでは、
圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位
が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称す
る。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜6
0が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ね
るようにしてもよい。
【0101】そして、このような流路形成基板10及び
ノズルプレート18は、これらを保持する凹部を有する
固定部材20に固定される。なお、固定部材20にも、
流路形成基板10の基準孔30と対応する位置に基準孔
20aが形成されている。
【0102】ここで、シリコン単結晶基板からなる流路
形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセス
を図3及び図4を参照しながら説明する。
【0103】図3(a)に示すように、まず、流路形成
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性
膜50を形成する。
【0104】次に、図3(b)に示すように、スパッタ
リングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料
としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリン
グ法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、
成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜10
00℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるか
らである。すなわち、下電極膜60の材料は、このよう
な高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければなら
ず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合に
は、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望
ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0105】次に、図3(c)に示すように、圧電体膜
70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタ
リング法を用いることもできるが、本実施形態では、金
属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾
燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化
物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法
を用いている。圧電体膜70の材料としては、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記
録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0106】次に、図3(d)に示すように、上電極膜
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、Al、Au、Ni、Pt等の多くの金属
や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態では、P
tをスパッタリングにより成膜している。
【0107】次に、図3(e)に示すように、各圧力発
生室12それぞれに対して圧電素子を配設するように、
上電極膜80及び圧電体膜70のパターニングを行う。
図3(e)では圧電体膜70を上電極膜80と同一のパ
ターンでパターニングを行った場合を示しているが、上
述したように、圧電体膜70は必ずしもパターニングを
行う必要はない。これは、上電極膜80のパターンを個
別電極として電圧を印加した場合、電界はそれぞれの上
電極膜80と、共通電極である下電極膜60との間にか
かるのみで、その他の部位には何ら影響を与えないため
である。しかしながら、この場合には、同一の排除体積
を得るためには大きな電圧印加が必要となるため、圧電
体膜70もパターニングするのが好ましい。また、この
後、下電極膜60をパターニングして不要な部分を除去
する。
【0108】ここで、パターニングには、レジストパタ
ーンを形成した後、エッチング等を行うことにより実施
する。
【0109】レジストパターンは、例えば、ネガレジス
トをスピンコートなどにより塗布し、所定形状のマスク
を用いて露光・現像・ベークを行うことにより形成す
る。なお、勿論、ネガレジストの代わりにポジレジスト
を用いてもよい。
【0110】また、エッチングは、ドライエッチング装
置、例えば、イオンミリング装置を用いて二酸化シリコ
ンからなる弾性膜50が露出するまで行う。なお、エッ
チング後には、レジストパターンをアッシング装置等を
用いて除去する。
【0111】また、ドライエッチング法としては、イオ
ンミリング法以外に、反応性エッチング法等を用いても
よい。また、ドライエッチングの代わりにウェットエッ
チングを用いることも可能であるが、ドライエッチング
法と比較してパターニング精度が多少劣り、上電極膜8
0の材料も制限されるので、ドライエッチングを用いる
のが好ましい。
【0112】次いで、図4(a)に示すように、上電極
膜80の周縁部及び圧電体膜70の側面を覆うように絶
縁体層90を形成する。この絶縁体層90の材料は、本
実施形態ではネガ型の感光性ポリイミドを用いている。
【0113】次に、図4(b)に示すように、絶縁体層
90をパターニングすることにより、各連通部14に対
向する部分にコンタクトホール90aを形成する。この
コンタクトホール90aは、後述するリード電極100
と上電極膜80との接続をするためのものである。
【0114】次に、例えば、Cr−Auなどの導電体を
全面に成膜した後、パターニングすることにより、リー
ド電極100を形成する。
【0115】以上が膜形成プロセスである。このように
して膜形成を行った後、図4(c)に示すように、前述
したアルカリ溶液によるシリコン単結晶基板の異方性エ
ッチングを行い、圧力発生室12等を形成する。なお、
以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一
枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス
終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形
成基板10毎に分割する。
【0116】ここで、異方性エッチング処理により、圧
力発生室12と共に、上述したインク導入口16、基準
孔30、並びに各チップに分離するためにチップ間に形
成される分離孔などの貫通孔が同時に形成されるが、本
実施形態では、後述する工程で、多層膜の貫通孔となる
部分に他の部分より脆性の低い切欠き部を設けることに
より、エッチング後の貫通作業を簡便且つ確実に行える
ようにしている。
【0117】例えば、基準孔30となる部分を覆う多層
膜40に、所定形状の切欠き部41を上述した膜形成プ
ロセスで一緒に形成する。
【0118】すなわち、図5(a)に示すように、ま
ず、流路形成基板10上に多層膜40を形成する。この
多層膜40は、本実施形態では、下層が、圧縮方向の面
内応力を有する、例えば、酸化シリコン等で形成される
弾性膜50であり、上層が、引っ張り方向の面内応力を
有する、例えば、プラチナ等で形成される下電極膜60
である。このとき、多層膜40全体としては、引っ張り
方向の応力を有するように形成する。
【0119】次いで、図5(b)に示すように、所定パ
ターンの切欠き部41をエッチング等により形成する。
この切欠き部41は、本実施形態では、図6(a)に示
すように、略六角形の基準孔30の互いに対向する二辺
を残した四つの辺、及びそれらを繋ぐ一本の対角線上
に、全体として、略H字状に形成されている。この切り
欠き部41のパターンは、特に限定されず、例えば、図
6(b)に示すように、略六角形の基準孔30の三本の
対角線上に形成するようにしてもよい。すなわち、切欠
き部41に沿って切断された場合には、多層膜40の一
部は切断されておらず、且つその切断線に沿って、多層
膜40がめくれ上がった場合に、基準ピン等が当接する
縁が完全に露出するようなパターンとする。
【0120】また、切欠き部41の大きさは、特に限定
されないが、下電極膜60の厚さ方向の少なくとも一部
まで形成されることが好ましい。また、切欠き部41の
形状も、特に限定されず、本実施形態では、断面略V字
状の溝としたが、例えば、断面が半円、又は矩形の凹溝
としてもよい。
【0121】次いで、図5(c)に示すように、この状
態で、基準孔30のエッチングを行い、図5(d)に示
すように、多層膜40の基準孔30に対応する部分を貫
通することにより、基準孔30を開口する。
【0122】この多層膜40の貫通工程は、例えば、基
準孔30側から機械的に押圧を加えたり、又は、切欠き
部41の一部をレーザ光の照射等で切断したり、切欠き
部41の一部を切断した後、基準孔30側から押圧した
りすることにより、多層膜40が内部の引っ張り応力に
より上方にめくれあがることを利用して行う。
【0123】このような貫通作業において、多層膜40
は、前述のように、少なくとも一部に切欠き部41が形
成されていない部分を有するため、切断片が飛散するこ
とがない。また、基準孔30に基準ピン49等を嵌合す
る際に、図7に示すように、基準ピン49等が当接する
縁線に沿って、多層膜40が確実にめくれあがるので、
多層膜40が基準ピン49等と縁との当接部P1〜P4
に挟み込まれることがなく、基準ピン49等を確実に嵌
合することができる。
【0124】以上、基準孔30について述べたが、イン
ク導入口16などその他の貫通孔についても同様に行う
ことができる。
【0125】このように構成したインクジェットヘッド
は、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導
入口16からインクを取り込み、リザーバ14からノズ
ル開口17に至るまで内部をインクで満たした後、図示
しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電
極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に
電圧を印加し、弾性膜50と圧電体膜60とをたわみ変
形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まり
ノズル開口17からインク滴が吐出する。
【0126】(実施形態2)図8に、実施形態2に係る
インクジェット式記録ヘッドの要部断面を示す。
【0127】本実施形態は、下電極膜60の上部に、さ
らに絶縁体層を形成した以外は、上述の実施形態と同様
である。
【0128】すなわち、本実施形態においても、上述の
実施形態と同様に、まず、圧縮応力を有する弾性膜50
及び引っ張り応力を有する下電極膜60を形成し、流路
形成基板10の基準孔30を覆う部分に、所定形状の切
欠き部41をエッチング等により形成する。
【0129】次いで、図8に示すように、下電極膜60
の上部に、絶縁体層90を形成し、弾性膜50、下電極
膜60、及び絶縁体層90で多層膜40Aを構成する。
このとき、絶縁体層90は、切欠き部41に対向する部
分では、その形状に沿って成膜されるため、切欠き部4
1は維持される。
【0130】この絶縁体層90は、例えば、ポリイミド
等の引っ張り方向の応力を有する材料で形成される。こ
の際、上述の実施形態と同様に、本実施形態において
も、多層膜40A全体としては、引っ張り応力を有する
ことが必要である。
【0131】また、本実施形態では、切欠き部41を形
成後に絶縁体層90を成膜したが、下電極膜60上に絶
縁体層90を成膜後、全体に切欠き部を形成してもよ
い。
【0132】その後は、上述の実施形態と同様に、基準
孔30のエッチングを行い、多層膜40Aの基準孔30
に対応する部分を貫通して、基準孔30を開口する。
【0133】これにより、多層膜40Aは、全体とし
て、さらに強い引っ張り応力を有するため、基準孔30
の貫通作業において、多層膜40Aは確実にめくれあが
る。
【0134】なお、多層膜は、上述の実施形態に限られ
ず、多層膜全体として、引っ張り方向の応力を有してい
ればよく、例えば、下電極膜60上に圧電体膜70及び
上電極膜80が形成されていてもよい。また、この場
合、切欠き部41は、少なくとも下電極膜60の厚さ方
向の一部が切り欠かれていればよく、例えば、切欠き部
41を形成した後、下電極膜60上に膜を形成するよう
にしてもよいし、膜を形成した後に下電極膜60まで届
く切欠き部を形成するようにしてもよい。
【0135】(実施形態3)図9は、実施形態3に係る
インクジェット式記録ヘッドの要部平面図であり、図1
0は、図9のA−A’断面図である。
【0136】本実施形態は、切り欠き部41を形成する
代りに、基準孔30を囲むと共に周囲より全体の膜厚が
他の部分よりも薄い薄膜部42と、この薄膜部よりも全
体として膜厚が厚く、基準孔30となる部分を覆う蓋部
43とを設けた例である。
【0137】すなわち、図9及び図10(a)に示すよ
うに、例えば、基準孔30となる部分を覆う蓋部43及
び蓋部43を囲む帯状の薄膜部42を、上述した膜形成
プロセスで一緒に形成し、図10(b)に示すように、
この状態で基準孔30のエッチングを行う。その後、図
10(c)に示すように、蓋部43の基準孔30に対応
する部分を除去することにより、基準孔30を形成す
る。この際、本実施形態では、薄膜部42と基準孔30
との間に厚膜部43aが残存している。これは、基準孔
30に対向する部分の膜除去が理想的に行われたためで
あり、膜除去の状態によっては、基準孔30の周囲には
膜除去部が形成される場合もある。
【0138】この例では、蓋部43を弾性膜50及び下
電極膜60とし、薄膜部42を弾性膜50のみとしてい
る。したがって、弾性膜50に欠陥があっても、エッチ
ングの際にエッチングガスまたはエッチング液が反対側
に侵入することがない。
【0139】また、蓋部43の除去工程は、針等で機械
的に穿孔するあるいはレーザ光を照射するなどの物理的
手段により行うことができる。なお、この除去工程は、
蓋部43の残骸を吸引あるいは吹飛ばすことにより除去
しながら行うことが好ましい。もちろん、薄膜部42又
は、薄膜部42の周囲の厚膜部44を押えるような凹形
状の蓋をして、吸引あるいは吹飛ばすことにより蓋部4
3を除去してもよい。
【0140】このような除去作業において、蓋部43の
周囲に薄膜部42を有するので、蓋部43のみが容易に
除去でき、また、その後、例えば、実装工程などにおい
て、薄膜部42の周囲の厚膜部44の膜剥離が生じる虞
がない。
【0141】なお、薄膜部42は、少なくともその外縁
が基準孔30の開口外縁より外側に位置すればよい。し
たがって、薄膜部42の内縁が基準孔30に対向する位
置にあってもよく、この場合には、基準孔30を覆う膜
を除去した場合、その周囲には薄膜部42が存在するこ
とになる。
【0142】また、蓋部43の除去工程は、エッチング
により行ってもよい。この際、薄膜部42の存在により
オーバーエッチングによる膜剥離を防止することがで
き、蓋部43のみを確実に除去することができる。
【0143】以上、基準孔30について述べたが、イン
ク導入口16などその他の貫通孔についても同様に行う
ことができる。
【0144】なお、本実施形態では、切り欠き部41の
代りに、薄膜部42及び蓋部43を設けるようにした
が、これに限定されず、勿論、これらを組合わせて設け
るようにしてもよい。例えば、図11に示すように、薄
膜部42を切り欠き部41の外側で基準孔30を囲んで
設けられ、切り欠き部41が蓋部43上に設けられるよ
うにしてもよい。このような構成では、切り欠き部41
によって、めくれ上がった多層膜40が、多層膜40が
薄膜部42の外側まで剥離することがなく、必要以上に
剥離するのを防止することができる。
【0145】(実施形態4)実施形態4に係るインクジ
ェット式記録ヘッドの要部断面を図12に示す。
【0146】本実施形態は、蓋部及び薄膜部の構造を変
更した以外は、実施形態3と同様である。
【0147】本実施形態では、図12に示すように、蓋
部43Aを弾性膜50、下電極膜60、圧電体膜70及
び上電極膜80で形成し、薄膜部42Aを弾性膜50及
び下電極膜60で形成するようにした。
【0148】従って、エッチングの際に膜欠陥による漏
れが確実に回避できる(図12(a)及び(b))。ま
た、蓋部43Aの周囲に帯状の薄膜部42Aを有するの
で、蓋部43Aの除去の際に蓋部43Aのみが簡便且つ
確実に除去でき、その周囲の厚膜部44Aに膜剥離等の
影響がでることがない。
【0149】ここで、図12(c)は、機械的加工によ
り蓋部43Aを除去し、蓋部43A全体が除去された状
態を示しており、蓋部43A除去後には、基準孔30の
周囲に膜除去部43が存在し、その周囲に薄膜部42A
が形成されている。
【0150】なお、蓋部41Aの除去はエッチングによ
り行ってもよく、エッチングによっても、薄膜部42を
有するので、オーバーエッチングによる膜剥離を防止す
ることができる。
【0151】(実施形態5)実施形態5に係るインクジ
ェット式記録ヘッドの要部断面を図13に示す。
【0152】本実施形態は、蓋部及び薄膜部の構造を変
更した以外は、実施形態3と同様である。
【0153】本実施形態では、図13に示すように、蓋
部43Bを弾性膜50及び下電極膜60で形成し、薄膜
部42Bを全部の膜を除去した膜除去部とした。
【0154】この場合、蓋部43Bによりエッチングの
際の漏れが確実に防止できる。また、蓋部43Bの周囲
に帯状の薄膜部42Bが形成されているので、蓋部43
Bの除去を簡便且つ確実に行うことができ、その周囲の
厚膜部44Bに膜剥離等の影響がでることがない。
【0155】なお、蓋部43Bの除去は、物理的に行っ
ても、エッチングによって行ってもよい。
【0156】(実施形態6)実施形態6に係るインクジ
ェット式記録ヘッドの要部断面を図14に示す。
【0157】本実施形態は、蓋部及び薄膜部の構造を変
更した以外は、実施形態3と同様である。
【0158】本実施形態では、図14に示すよう、蓋部
43Cを弾性膜50のみで形成し、薄膜部42Cを弾性
膜50の厚みの一部を除去したものとした。
【0159】この場合、弾性膜50を、膜欠陥がないよ
うに応力のコントロールを行って形成し、必要に応じて
厚めに形成するようにする。この場合、蓋部43Cの周
囲に帯状の薄膜部42Cが形成されているので、蓋部4
3Cの除去を簡便且つ確実に行うことができ、その周囲
の厚膜部44Cに膜剥離等の影響がでることが確実に回
避できる。
【0160】なお、蓋部43Cの除去は、物理的に行っ
ても、エッチングによって行ってもよい。
【0161】また、図14(c)は、機械的加工により
蓋部43Cを除去した状態を示しているが、エッチング
によっても、薄膜部42Cを有するので、オーバーエッ
チングすることなく蓋部43Cのみを除去することがで
きる。
【0162】さらに、薄膜部42Cは、弾性膜50を全
て除去した膜除去部としてもよい。
【0163】(他の実施形態)以上、本発明の実施形態
を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構
成は上述したものに限定されるものではない。
【0164】例えば、上述した実施形態では、流路形成
基板10に圧力発生室12と共にリザーバ14を形成し
ているが、共通インク室を形成する部材を流路形成基板
に重ねて設けてもよい。
【0165】さらに、上述した各実施形態では、上電極
膜とリード電極との接続部は、何れの場所に設けてもよ
く、圧力発生室の何れの端部でも又は中央部であっても
よい。
【0166】また、上述の実施形態では、圧電素子とリ
ード電極との間に絶縁体層を設けた例を説明したが、こ
れに限定されず、例えば、絶縁体層を設けないで、各上
電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリ
ード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等
の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成と
してもよい。
【0167】このように、本発明は、その趣旨に反しな
い限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドの
他、他のマイクロセンサ等のマイクロデバイスに応用す
ることができる。
【0168】また、これら各実施形態のインクジェット
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図15
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
【0169】図15に示すように、インクジェット式記
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
【0170】そして、駆動モータ6の駆動力が図示しな
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ3に沿
ってプラテン8が設けられている。このプラテン8は図
示しない紙送りモータの駆動力により回転できるように
なっており、給紙ローラなどにより給紙された紙等の記
録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられ
て搬送されるようになっている。
【0171】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
貫通孔を覆う部分を全体として、内部に引っ張り応力を
有する多層膜を形成し、基板に貫通孔をエッチングで形
成する際に、切欠き部を設けたことにより、エッチング
後の多層膜を容易に且つ確実に貫通することができ、膜
の飛散等を防止し、貫通孔に基準ピン等を正確に嵌合す
ることができる。
【0172】また、基板に貫通孔をエッチングで形成す
る際に、蓋部及びこれを囲む薄膜部を設けることによ
り、エッチングの際の漏れが防止できると共に、エッチ
ング後の蓋部の除去を簡便且つ確実に行うことができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記
録ヘッドを示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す断面
図である。
【図5】本発明の実施形態1の要部基準孔の形成工程を
示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態1の要部を示す平面図であ
る。
【図7】本発明の実施形態1の要部を示す平面図であ
る。
【図8】本発明の実施形態2の要部を示す断面図であ
る。
【図9】本発明の実施形態3の要部を示す平面図であ
る。
【図10】図9のA−A’断面図である。
【図11】本発明の実施形態3の他の例を示す平面図で
ある。
【図12】本発明の実施形態4の要部を示す断面図であ
る。
【図13】本発明の実施形態5の要部を示す断面図であ
る。
【図14】本発明の実施形態6の要部を示す断面図であ
る。
【図15】本発明の一実施形態に係るインクジェット式
記録装置の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板 12 圧力発生室 17 ノズル開口 30 基準孔 40 多層膜 41 切り欠き部 42 薄膜部 43 蓋部 44 厚膜部 50 弾性膜 60 下電極膜 70 圧電体膜 80 上電極膜 90 絶縁体層 100 リード電極 300 圧電素子 320 圧電体能動部

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の一方面に能動板と当該能動板を駆
    動する能動板駆動部とを構成する多層膜構造を有するマ
    イクロデバイスにおいて、 前記基板を貫通する貫通孔と、前記多層膜の前記貫通孔
    となる部分の周縁又は当該貫通孔となる部分を横断して
    設けられ且つ他の部分よりも相対的に厚さの薄い脆弱部
    とを具備することを特徴とするマイクロデバイス。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記貫通孔となる部
    分を覆う前記多層膜は、少なくとも上層に引っ張り方向
    の面内応力を有する膜を有して当該多層膜全体の面内応
    力が引っ張り方向となるものであり、 前記脆弱部は、前記多層膜の前記貫通孔となる部分の縁
    部に沿って又は当該貫通孔となる部分を横断して設けら
    れて且つ他の部分よりも相対的に脆性の低い脆弱切断部
    を含むことを特徴とするマイクロデバイス。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記脆弱切断部が帯
    状に形成されていることを特徴とするマイクロデバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3において、前記脆弱切断
    部が、前記多層膜の少なくとも一層に形成された切欠き
    溝であることを特徴とするマイクロデバイス。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4の何れかにおいて、前記多
    層膜が、圧縮応力を有する酸化シリコン膜と、この酸化
    シリコン膜上に形成されて引っ張り応力を有する金属膜
    とを有することを特徴とするマイクロデバイス。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記多層膜が、さら
    に、引っ張り応力を有する絶縁体層を上層に有すること
    を特徴とするマイクロデバイス。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において、前記脆弱切断
    部が、前記多層膜の少なくとも金属膜の厚さの少なくと
    も一部に形成された切欠き溝であることを特徴とするマ
    イクロデバイス。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかにおいて、前記脆
    弱部は、前記貫通孔となる部分を囲むと共に前記多層膜
    の周囲より全体の膜厚が薄い帯状の薄膜部を含むことを
    特徴とするマイクロデバイス。
  9. 【請求項9】 請求項8において、さらに、前記薄膜部
    の内側に当該薄膜部より相対的に厚い膜厚を有する厚膜
    部を有することを特徴とするマイクロデバイス。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れかのマイクロデバ
    イスを備えたインクジェット式記録ヘッドであり、 前記マイクロデバイスは、ノズル開口に連通する圧力発
    生室が前記基板に形成され、前記基板の一方面に前記能
    動板として前記圧力発生室に対応する弾性膜又は下電極
    からなる振動板と、前記能動板駆動部として下電極、圧
    電体層、上電極からなる圧電素子とを多層構造として具
    備するものであることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記脆弱部が、
    前記振動板からなることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項10において、前記脆弱部が、
    前記振動板の厚さ方向の一部を除去したものであること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項10において、前記脆弱部が、
    前記弾性膜からなることを特徴とするインクジェット式
    記録ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項10において、前記脆弱部が、
    前記弾性膜の厚さ方向の一部を除去したものであること
    を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項10〜14の何れかのインクジ
    ェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインク
    ジェット式記録装置。
  16. 【請求項16】 基板の一方面に能動板と当該能動板を
    駆動する能動板駆動部とを構成する多層膜構造を有する
    マイクロデバイスの製造方法において、 前記基板を貫通する貫通孔となる部分の周縁又は当該貫
    通孔となる部分を横断して、前記多層膜に当該多層膜の
    他の部分よりも相対的に厚さの薄い脆弱部を形成するス
    テップと、前記貫通孔となる部分を前記基板の他方面か
    らエッチングすることにより前記多層膜まで貫通する貫
    通部を形成するステップと、前記貫通部を形成後、前記
    脆弱部に沿って又は当該脆弱部の内側で前記多層膜を切
    断して当該多層膜に開口を形成して前記貫通孔を形成す
    るステップとを具備することを特徴とするマイクロデバ
    イスの製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16において、前記貫通孔を形
    成前に、前記基板を貫通する貫通孔となる部分を覆う多
    層膜の少なくとも上層に引っ張り方向の面内応力を有す
    る膜を設けて当該多層膜全体の面内応力を引っ張り方向
    とするステップを有し、前記貫通部を形成後に、前記引
    っ張り方向の面内応力を利用して前記多層膜に開口を形
    成して前記貫通孔を形成することを特徴とするマイクロ
    デバイスの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項17において、前記脆弱部は、
    前記多層膜の前記貫通孔となる部分の縁部に沿って且つ
    他の部分よりも相対的に脆性の低い脆弱切断部を含むこ
    とを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項17又は18において、前記脆
    弱部は、前記多層膜の前記貫通孔となる部分を横断して
    設けられて且つ他の部分よりも相対的に脆性の低い脆弱
    切断部を含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造
    方法。
  20. 【請求項20】 請求項18又は19において、前記脆
    弱切断部が帯状に形成されていることを特徴とするマイ
    クロデバイスの製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項17〜20の何れかにおいて、
    前記脆弱切断部が、前記多層膜の少なくとも一層に形成
    された切欠き溝であることを特徴とするマイクロデバイ
    スの製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項17〜21の何れかにおいて、
    前記多層膜が、圧縮応力を有する酸化シリコン膜と、こ
    の酸化シリコン膜上に形成されて引っ張り応力を有する
    金属膜とを有することを特徴とするマイクロデバイスの
    製造方法。
  23. 【請求項23】 請求項22において、前記多層膜が、
    さらに、引っ張り応力を有する絶縁体層を上層に有する
    ことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項22又は23において、前記脆
    弱切断部が、前記多層膜の少なくとも金属膜の厚さの少
    なくとも一部に形成された切欠き溝であることを特徴と
    するマイクロデバイスの製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項16〜24の何れかにおいて、
    前記貫通孔となる部分の前記多層膜を押圧することによ
    り前記開口を形成することを特徴とするマイクロデバイ
    スの製造方法。
  26. 【請求項26】 請求項25において、前記押圧を前記
    貫通部側から行うことを特徴とするマイクロデバイスの
    製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項25又は26において、前記押
    圧の前に前記脆弱切断部の少なくとも一部に亀裂を生じ
    させることを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  28. 【請求項28】 請求項16〜27の何れかにおいて、
    前記脆弱部は、前記貫通孔となる部分を囲むと共に前記
    多層膜の周囲より全体の膜厚が薄い帯状の薄膜部を含む
    ことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  29. 【請求項29】 請求項28において、前記脆弱部を形
    成するステップは、前記薄膜部と、この薄膜部より全体
    として膜厚が厚く且つ前記貫通孔となる部分を覆う蓋部
    とを形成するステップを含み、前記貫通部を形成後、前
    記貫通孔が前記蓋部を除去することにより形成されるこ
    とを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  30. 【請求項30】 請求項29において、前記薄膜部の少
    なくとも外縁部が前記貫通孔となる部分を囲んでいるこ
    とを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  31. 【請求項31】 請求項29又は30において、前記蓋
    部の除去を吸引又は吹飛ばしながら物理的に行うことを
    特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  32. 【請求項32】 請求項29〜31の何れかにおいて、
    前記蓋部の除去を機械的加工又はレーザ加工により行う
    ことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
  33. 【請求項33】 請求項29〜31の何れかにおいて、
    前記蓋部の除去をエッチングにより行うことを特徴とす
    るマイクロデバイスの製造方法。
  34. 【請求項34】 請求項16〜33の何れかにおいて、
    前記基板がシリコン単結晶基板であり、前記多層膜構造
    が成膜及びリソグラフィ法により形成されることを特徴
    とするマイクロデバイスの製造方法。
  35. 【請求項35】 請求項16〜34の何れかのマイクロ
    デバイスの製造方法によるインクジェット式記録ヘッド
    の製造方法であり、 前記マイクロデバイスは、ノズル開口に連通する圧力発
    生室が前記基板に形成され、前記基板の一方面に前記能
    動板として前記圧力発生室に対応する弾性膜又は下電極
    からなる振動板と、前記能動板駆動部として下電極、圧
    電体層、上電極からなる圧電素子とを多層構造として具
    備するものであることを特徴とするインクジェット式記
    録ヘッドの製造方法。
  36. 【請求項36】 請求項35において、前記蓋部が前記
    振動板と、前記能動板駆動部としての下電極、前記圧電
    体層及び前記上電極の少なくとも一層とからなり、前記
    脆弱部が前記振動板からなることを特徴とするインクジ
    ェット式記録ヘッドの製造方法。
  37. 【請求項37】 請求項35において、前記蓋部が少な
    くとも前記振動板からなり、前記脆弱部が前記振動板の
    厚さ方向の一部を除去したものであることを特徴とする
    インクジェット式記録ヘッドの製造方法。
  38. 【請求項38】 請求項35において、前記蓋部が少な
    くとも前記振動板からなり、前記脆弱部が前記弾性膜か
    らなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
    製造方法。
  39. 【請求項39】 請求項35において、前記蓋部が前記
    弾性膜からなり、前記脆弱部が前記弾性膜の厚さ方向の
    一部を除去したものであることを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッドの製造方法。
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