JP3603931B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を弾性膜で構成し、この弾性膜の表面に圧電体層を形成して、圧電体層の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を弾性膜で構成し、この弾性膜を圧電振動子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電振動子が軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電振動子の端面を弾性膜に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で弾性膜に圧電振動子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
【0005】
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、特開平5−286131号公報に見られるように、弾性膜の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成したものが提案されている。
【0006】
これによれば圧電振動子を弾性膜に貼付ける作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、かつ簡便な手法で圧電振動子を作り付けることができるばかりでなく、圧電振動子の厚みを薄くできて高速駆動が可能になるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した薄膜技術およびリソグラフィ法による製造方法では、薄膜のパターニング後に圧力発生室を形成するが、その際、上電極及び圧電体層の内部応力緩和の影響により、振動板が圧力発生室側に撓んでしまい、この撓みが振動板の初期変形として残留してしまうという問題がある。特に、下電極をオーバーエッチングした構造の場合には、撓み量が大きく、圧電体能動部の駆動による振動板の変形量が計算上の値よりも小さくなってしまう。これは、上電極及び圧電体層(及び下電極)の引張方向の内部応力緩和の影響で振動板が撓むことにより弾性域を越え、塑性変形領域に達しているためであると考えられる。
【0008】
そこで、本発明はこのような事情に鑑み、振動板が駆動時に効率よく変形することが可能なインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の表面に形成された上電極とを備え、前記圧力発生室に対応する領域に圧電振動子を形成したインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記弾性膜が、前記圧力発生室から外側に向かって凸に弾性変形していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0010】
かかる第1の態様では、初期状態において、弾性膜がインク吐出とは反対側に変形しているので、インク吐出のための弾性膜及び下電極からなる振動板の変形量が向上される。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記上電極の主成分は、Pt,Pd,Ir,Rh,Os,Ru及びReからなる群から選択される金属であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】
かかる第2の態様では、上電極を所定の金属で形成することにより圧縮応力とすることができ、この上電極の圧縮応力によって弾性膜及び下電極からなる振動板が上に凸に変形される。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記上電極は、スパッタ法で形成され、且つ前記金属中に所定のガスが添加されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】
かかる第3の態様では、上電極にさらに大きい圧縮応力が付与される。
【0015】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記ガスは、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びRnの群から選択される不活性ガスであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】
かかる第4の態様では、ガスが上電極と反応することなく、上電極に確実に圧縮応力が付与される。
【0017】
本発明の第5の態様は、第2の態様において、前記上電極は、前記金属に、異なる成分の金属、半金属、半導体及び絶縁体からなる群から選択される少なくとも一種の添加物が添加されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】
かかる第5の態様では、上電極にさらに大きい圧縮応力が付与される。
【0019】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記添加物が、イオン打ち込みにより前記上電極に添加されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】
かかる第6の態様では、上電極の上層側により多くの添加物が添加されるため、上層側がより大きい圧縮応力となる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第5の態様において、前記添加物が、前記上電極上に設けられた層からの固相拡散により前記上電極に添加されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0022】
かかる第7の態様では、上電極の上層側により多くの添加物が添加されるため、上層側がより大きい圧縮応力となる。
【0023】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記固相拡散は、不活性ガス又は真空下で加熱することにより行われることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0024】
かかる第8の態様では、不活性ガス又は真空下で加熱することにより、比較的容易に固相拡散を行うことができる。
【0025】
本発明の第9の態様は、第1の態様において、前記上電極は、前記圧電体層の表面に形成される第1の電極と、この第1の電極上に積層される第2の電極とを有し、前記第2の電極は、導電性の酸化膜又は窒化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0026】
かかる第9の態様では、上電極の上層が下層より大きい圧縮応力を有する酸化膜で構成され、弾性膜及び下電極からなる振動板が確実に上に凸に変形される。
【0027】
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記第1の電極の主成分が、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru及びReからなる群から選択される金属であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0028】
かかる第10の態様では、第1の電極を所定の金属で形成することにより、上電極にさらに大きい圧縮応力が付与される。
【0029】
本発明の第11の態様は、第9又は10の態様において、前記第2の電極を構成する酸化膜の主成分が、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化モリブデンからなる群から選択されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0030】
かかる第11の態様では、上電極の上層を酸化膜で形成することにより、下層より大きい圧縮応力とすることができ、弾性膜及び下電極からなる振動板が確実に上に凸に変形される。
【0031】
本発明の第12の態様は、第9又は10の態様において、前記第2の電極を構成する窒化膜の主成分が、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロム及び窒化バナジウムからなる群から選択されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0032】
かかる第12の態様では、上電極の上層を酸化膜で形成することにより、下層より大きい圧縮応力とすることができ、弾性膜及び下電極からなる振動板が確実に上に凸に変形される。
【0033】
本発明の第13の態様は、第9又は10の態様において、前記第2の電極は、成膜後に酸化又は窒化することにより形成されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0034】
かかる第13の態様では、比較的容易に酸化膜又は窒化膜を形成することができる。
【0035】
本発明の第14の態様は、第1の態様において、前記上電極の主成分が、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化モリブデンからなる群から選択される導電性酸化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0036】
かかる第14の態様では、上電極を導電性酸化膜によって形成することにより、さらに大きい圧縮応力とすることができる。
【0037】
本発明の第15の態様は、第1の態様において、前記上電極の主成分が、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロム及び窒化バナジウムからなる群から選択される導電性窒化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0038】
かかる第15の態様では、上電極を導電性窒化膜によって形成することにより、さらに大きい圧縮応力とすることができる。
【0039】
本発明の第16の態様は、第1〜15の何れかの態様において、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0040】
かかる第16の態様では、高密度のノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0041】
本発明の第17の態様は、第1〜16の何れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0042】
かかる第17の態様では、ヘッドのインク吐出性能を向上したインクジェット式記録装置を実現することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0044】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、平面図及びその1つの圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図である。
【0045】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなる。流路形成基板10としては、通常、150〜300μm程度の厚さのものが用いられ、望ましくは180〜280μm程度、より望ましくは220μm程度の厚さのものが好適である。これは、隣接する圧力発生室間の隔壁の剛性を保ちつつ、配列密度を高くできるからである。
【0046】
流路形成基板10の一方の面は開口面となり、他方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.1〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0047】
一方、流路形成基板10の開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより、ノズル開口11、圧力発生室12が形成されている。
【0048】
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板をKOH等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に侵食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と約70度の角度をなし且つ上記(110)面と約35度の角度をなす第2の(111)面とが出現し、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われるものである。かかる異方性エッチングにより、二つの第1の(111)面と斜めの二つの第2の(111)面とで形成される平行四辺形状の深さ加工を基本として精密加工を行うことができ、圧力発生室12を高密度に配列することができる。
【0049】
本実施形態では、各圧力発生室12の長辺を第1の(111)面で、短辺を第2の(111)面で形成している。この圧力発生室12は、流路形成基板10をほぼ貫通して弾性膜50に達するまでエッチングすることにより形成されている。なお、弾性膜50は、シリコン単結晶基板をエッチングするアルカリ溶液に侵される量がきわめて小さい。
【0050】
一方、各圧力発生室12の一端に連通する各ノズル開口11は、圧力発生室12より幅狭で且つ浅く形成されている。すなわち、ノズル開口11は、シリコン単結晶基板を厚さ方向に途中までエッチング(ハーフエッチング)することにより形成されている。なお、ハーフエッチングは、エッチング時間の調整により行われる。
【0051】
ここで、インク滴吐出圧力をインクに与える圧力発生室12の大きさと、インク滴を吐出するノズル開口11の大きさとは、吐出するインク滴の量、吐出スピード、吐出周波数に応じて最適化される。例えば、1インチ当たり360個のインク滴を記録する場合、ノズル開口11は数十μmの溝幅で精度よく形成する必要がある。
【0052】
また、各圧力発生室12と後述する共通インク室31とは、後述する封止板20の各圧力発生室12の一端部に対応する位置にそれぞれ形成されたインク供給連通口21を介して連通されており、インクはこのインク供給連通口21を介して共通インク室31から供給され、各圧力発生室12に分配される。
【0053】
封止板20は、前述の各圧力発生室12に対応したインク供給連通口21が穿設された、厚さが例えば、0.1〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10−6/℃]であるガラスセラミックスからなる。なお、インク供給連通口21は、図3(a),(b)に示すように、各圧力発生室12のインク供給側端部の近傍を横断する一つのスリット孔21Aでも、あるいは複数のスリット孔21Bであってもよい。封止板20は、一方の面で流路形成基板10の一面を全面的に覆い、シリコン単結晶基板を衝撃や外力から保護する補強板の役目も果たす。また、封止板20は、他面で共通インク室31の一壁面を構成する。
【0054】
共通インク室形成基板30は、共通インク室31の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、インク滴吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を打ち抜いて作製されたものである。本実施形態では、共通インク室形成基板30の厚さは、0.2mmとしている。
【0055】
インク室側板40は、ステンレス基板からなり、一方の面で共通インク室31の一壁面を構成するものである。また、インク室側板40には、他方の面の一部にハーフエッチングにより凹部40aを形成することにより薄肉壁41が形成され、さらに、外部からのインク供給を受けるインク導入口42が打抜き形成されている。なお、薄肉壁41は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口11と反対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発生室12に、共通インク室31を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止する。本実施形態では、インク導入口42と外部のインク供給手段との接続時等に必要な剛性を考慮して、インク室側板40を0.2mmとし、その一部を厚さ0.02mmの薄肉壁41としているが、ハーフエッチングによる薄肉壁41の形成を省略するために、インク室側板40の厚さを初めから0.02mmとしてもよい。
【0056】
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の弾性膜50の上には、厚さが例えば、約0.5μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体膜70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電振動子(圧電素子)300を構成している。ここで、圧電振動子300は、下電極膜60、圧電体膜70、及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電振動子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体膜70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体膜70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電振動子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電振動子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。なお、上述した例では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板として作用するが、下電極膜が弾性膜を兼ねるようにしてもよい。
【0057】
ここで、シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10上に、圧電体膜70等を形成するプロセスを図4を参照しながら説明する。
【0058】
図4(a)に示すように、まず、流路形成基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約1100℃の拡散炉で熱酸化して二酸化シリコンからなる弾性膜50を形成する。
【0059】
次に、図4(b)に示すように、スパッタリングで下電極膜60を形成する。下電極膜60の材料としては、Pt等が好適である。これは、スパッタリングやゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体膜70は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要があるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、このような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなければならず、殊に、圧電体膜70としてPZTを用いた場合には、PbOの拡散による導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由からPtが好適である。
【0060】
次に、図4(c)に示すように、圧電体膜70を成膜する。この圧電体膜70の成膜にはスパッタリング法を用いることもできるが、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体膜70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成した。圧電体膜70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。
【0061】
次に、図4(d)に示すように、上電極膜80を成膜する。その際、本実施形態では、上電極膜80を圧縮応力とし、下電極膜60及び圧電体膜70の引張応力より大きくなるように形成している。そのため、この上電極膜80は、圧縮応力を有し導電性の高い材料で形成するのが好ましく、例えば、Pt,Pd,Ir,Os,Ru及びReの何れかの金属が好適である。さらに、本実施形態では、上電極膜80を所定のガス中、例えば、ガス圧1Pa以下でスパッタリング法によって成膜することにより、上電極膜80中にそのガスを取り込んでいる。これにより、上電極膜80には、より大きい圧縮応力が付与される。この上電極膜80中に取り込むガスとしては、不活性ガスであることが好ましく、例えば、He,Ne,Ar,Kr,Xe又はRnが好適である。なお、スパッタリングの際のガス圧等の諸条件は、スパッタ装置及び材料等によって、適宜調整すればよい。
【0062】
次に、図5に示すように、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80をパターニングする。
【0063】
まず、図5(a)に示すように、下電極膜60、圧電体膜70及び上電極膜80を一緒にエッチングして下電極膜60の全体パターンをパターニングする。次いで、図5(b)に示すように、圧電体膜70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電体能動部320のパターニングを行う。
【0064】
本実施形態では、その後、圧力発生室12をエッチングにより形成するが、このときの圧電体能動部320が受ける応力の状態を以下に説明する。なお、図6は、圧力発生室12をエッチングにより形成前後の各層が受ける応力の状態を模式的に示した図である。
【0065】
図6(a)に示すように、圧電体膜70及び上電極膜80の各層を成膜した状態では、圧電体膜70及び下電極膜60は、それぞれ流路形成基板10から引張応力σ,σを受け、弾性膜50及び上電極膜80は、それぞれ圧縮応力σ,σを受けている。この上電極膜80の圧縮応力σの大きさは、上述のように、引張応力σ,σの大きさより大きくなっている。そして、図6(b)に示すように、圧電体能動部320をパターニングすると、圧電体膜70及び上電極膜80の応力σ,σの一部が開放される。次に、図6(c)に示すように、圧電体能動部320の下方に圧力発生室12を形成しても、圧電体膜70と上電極膜80との流路形成基板10から受ける応力の向きが逆であり、圧電体膜70の引張応力σが開放される力よりも上電極膜80の圧縮応力σが開放される力の方が大きいため、下電極膜60及び弾性膜50からなる振動板が上に凸に変形する。
【0066】
なお、上電極膜80の内部応力を圧縮応力としない場合には、図7(a)に示すように、圧力発生室12形成前に、圧電体膜70及び上電極膜80にはそれぞれ引張応力σ,σが残留しているので、圧力発生室12を形成すると、図7(b)に示すように、引張応力σ,σは開放されて収縮しようとする力となり、結果的に、下電極膜60及び弾性膜50からなる振動板は、下に凸に変形され、これが初期変形として残留する。
【0067】
このように、本実施形態では、上電極膜80に、所定の大きさの圧縮応力を付与することにより、圧電体能動部320をパターニング及び圧力発生室12形成後に、上電極膜80が引張方向の応力を受ける(圧縮応力が開放される)ため、圧電体膜70の圧縮方向の応力を相殺し、さらに、振動板を上に凸に変形させることができ、圧電体能動部320の駆動による振動板の変形量を向上することができる。
【0068】
以上の説明では、圧電体能動部320をパターニングした後、圧力発生室12を形成するようにしたが、実際には、図2に示すように、各上電極膜80の上面の少なくとも周縁、及び圧電体膜70および下電極膜60の側面を覆うように電気絶縁性を備えた絶縁体層90を形成し、さらに、絶縁体層90の各圧電体能動部320の一端部に対応する部分の上面を覆う部分の一部にはリード電極100と接続するために上電極膜80の一部を露出させるコンタクトホール90aを形成し、このコンタクトホール90aを介して各上電極膜80に一端が接続し、また他端が接続端子部に延びるリード電極100を形成するようにしてもよい。ここで、リード電極100は、駆動信号を上電極膜80に確実に供給できる程度に可及的に狭い幅となるように形成するのが好ましい。なお、本実施形態では、コンタクトホール90aは、圧力発生室12に対向する位置に設けられているが、圧電体能動部320を圧力発生室12の周壁に対向する領域まで延設し、圧力発生室12の周壁に対向する位置にコンタクトホール90aを設けてもよい。
【0069】
また、以上説明した一連の膜形成及び異方性エッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。また、分割した流路形成基板10を、封止板20、共通インク室形成基板30、及びインク室側板40と順次接着して一体化し、インクジェット式記録ヘッドとする。
【0070】
このように構成したインクジェットヘッドは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口42からインクを取り込み、共通インク室31からノズル開口11に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極100を介して下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70をたわみ変形させることにより、圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口11からインク滴が吐出する。
【0071】
ここで、本実施形態の圧電振動子の駆動時の振動板に加わる力と弾性変形量との関係を図8(a)に示す。図示するように、本実施形態では、振動板が上電極膜80の圧縮応力によって力fを受けて、初期段階にインク吐出のための変形方向とは逆方向の変形tが生じている。したがって、圧電体能動部320の駆動による力Fによって変形Tを生じる。また、この変形Tは弾性領域で生じているため、すべての変形をインクの吐出に利用することができる。
【0072】
一方、上電極膜80を圧縮応力にしない場合には、図8(b)に示すように、圧電体膜70等の引張応力によって力f’を受けて、初期段階にインク吐出のための変形方向に変形t’が生じており、圧電体能動部の駆動時に力Fが加わると、振動板が塑性変形領域に入ってしまうため、変形Tは得られずに変形T’が生じることになり、T−T’が変形の損失となる。
【0073】
このように、本実施形態では、上電極膜80に圧縮応力を付与することにより、圧力発生室を形成する際に、振動板がインク吐出とは反対方向、すなわち上に凸に変形するため、振動板の弾性変形領域内で、圧電体能動部の駆動による変形量を増加させることができ、良好なインク吐出を行うことができる。
【0074】
なお、本実施形態では、上電極膜80中に不活性ガスを取り込むことにより、上電極膜80にさらに大きな圧縮応力を付与するようにしたが、これに限定されるわけではない。上電極膜80は、基本的には圧縮応力であり、この圧縮応力が、所望の強さ以上となっていれば、不活性ガスを取り込まなくてもよいことは言うまでもない。
【0075】
(実施形態2)
本実施形態は、上電極膜80に、不活性ガスの代わりに、上電極膜80の金属とは異なる成分の金属、半金属、半導体又は絶縁体等の添加物を添加することによって、上電極膜80を圧縮応力とした以外は実施形態1と同様である。
【0076】
これらの添加物の添加方法としては、例えば、図9(a)に示すように、上電極膜80を形成後、上電極膜80の上方からのイオン打ち込みによって、添加物を上電極膜80に添加することができる。
【0077】
また、例えば、図10(a)に示すように、上電極膜80上に、上電極膜80に添加される添加物層85を形成し、次いで、不活性ガス又は真空中で加熱処理することにより添加物層85の成分元素を上電極膜80に固相拡散させることにより、上電極膜80に添加物を添加することができる。
【0078】
このように、イオン打ち込み又は固相拡散によって上電極膜80に添加した場合には、図9(b)又は図10(b)に示すように、上電極膜80の上層部81に添加物が多く添加されるため、上電極膜80の上層部81が特に大きい圧縮応力となる。
【0079】
このように、上電極膜80に、上電極膜80の金属とは異なる金属等の添加物を添加することにより、上電極膜80は体積が膨張することによって圧縮応力となる。したがって、実施形態1と同様に、振動板を上に凸に変形させることができ、圧電体能動部320の駆動による振動板の変形量を向上することができる。また、本実施形態では、上電極膜80の上層部が特に大きい圧縮応力となっているため、圧力発生室12を形成した場合には、振動板をより確実に上に凸に変形させることができる。
【0080】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面である。
【0081】
本実施形態は、図11に示すように、上電極膜80Aを圧電体膜70に接する第1の電極膜82とその上に積層される第2の電極膜83とで構成した例である。
【0082】
本実施形態の上電極膜80Aを構成する第1の電極膜82は、実施形態1と同様、Pt,Pd,Ir,Rh,Os,Ru及びReの何れかの金属で形成され、圧縮応力を有している。また、第2の電極膜82は、第1の電極膜81よりも大きい圧縮応力を有することが好ましく、例えば、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム又は酸化モリブデン等の導電性の酸化膜、あるいは、例えば、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロム又は窒化バナジウム等の導電性の窒化膜で形成されている。
【0083】
このような本実施形態の上電極膜80Aの形成方法は、特に限定されないが、本実施形態では、以下の方法で形成した。
【0084】
実施形態1の薄膜製造工程と同様に、流路形成基板10上に、下電極膜60及び圧電体膜70を成膜後、まず上電極膜80Aを構成する第1の電極膜82を成膜し、次いで、第1の電極膜82上に、第1の電極膜82とは異なる主成分を有する第2の電極膜83を形成する。ここで、第2の電極膜83は、好ましくは導電性酸化膜又は導電性窒化膜からなるが、これらは、直接、酸化膜又は窒化膜を形成してもよいが、成膜した後、酸化又は窒化して形成してもよい。
【0085】
その後、上述の製造工程と同様に、圧電体能動部320及び圧力発生室12を形成する。
【0086】
上電極膜80Aをこのような構成としても、上述の実施形態と同様に、振動板が上に凸に変形され、圧電体能動部320の駆動による振動板の変形量を向上することができる。また、上電極膜80Aを圧縮応力を有する二層で構成し、上層を導電性の酸化膜又は窒化膜等で構成することにより、下層よりも大きい圧縮応力としたので、実施形態2と同様に、圧力発生室12を形成した場合には、振動板を効果的に上に凸に変形させることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、上電極膜80を二層で構成しているが、例えば、第1の電極膜82を設けず、導電性酸化膜又は導電性窒化膜で形成される第2の電極膜83のみで構成するようにしてもよい。このような構成においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、振動板を上に凸に変形させる手段は、上述したものに限定されない。例えば、圧力発生室12を形成後、振動板の圧力発生室12とは反対側に、物理的に引張り力を付与するようにして凸に変形させるようにしてもよいし、流路形成基板10を上に凸に変形させて振動板に張力を付与して凸に変形させてもよい。
【0089】
また、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0090】
例えば、図12に示すように、圧力発生室12の幅方向両側に対向した領域である圧電体能動部320の両側のいわゆる振動板腕部に相当する部分に、下電極膜60を除去した下電極膜除去部350を設け、圧電体能動部320への電圧印加による変位量の向上を図ってもよい。この下電極膜除去部350は、下電極膜60を完全に除去せずに、厚さ方向の一部をハーフエッチング等により除去することにより形成してもよく、また、弾性膜50の厚さ方向の一部まで除去することにより形成してもよい。
【0091】
このように、下電極膜除去部350を設けた場合にも、上述の実施形態と同様に、上電極膜80に、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70の引張応力よりも大きい圧縮方向の応力を付与することにより、振動板を上に凸に変形させることができ、圧電体能動部320の駆動による振動板の変形量を向上することができる。
【0092】
また、例えば、上述した封止板20の他、共通インク室形成板30をガラスセラミックス製としてもよく、さらには、薄肉膜41を別部材としてガラスセラミックス製としてもよく、材料、構造等の変更は自由である。
【0093】
また、上述した実施形態では、ノズル開口を流路形成基板10の端面に形成しているが、面に垂直な方向に突出するノズル開口を形成してもよい。
【0094】
このように構成した実施形態の分解斜視図を図13、その流路の断面を図14にぞれぞれ示す。この実施形態では、ノズル開口11が圧電振動子とは反対のノズル基板120に穿設され、これらノズル開口11と圧力発生室12とを連通するノズル連通口22が、封止板20,共通インク室形成板30及び薄肉板41A及びインク室側板40Aを貫通するように配されている。
【0095】
なお、本実施形態は、その他、薄肉板41Aとインク室側板40Aとを別部材とし、インク室側板40に開口40bを形成した以外は、基本的に上述した実施形態と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0096】
ここで、この実施形態においても、上述した実施形態と同様に、上電極膜を圧縮応力とすることにより、圧電体能動部の駆動による振動板の変形量を増加することができる。
【0097】
また、勿論、共通インク室を流路形成基板内に形成したタイプのインクジェット式記録ヘッドにも同様に応用できる。
【0098】
また、以上説明した各実施形態は、成膜及びリソグラフィプロセスを応用することにより製造できる薄膜型のインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、基板を積層して圧力発生室を形成するもの、あるいはグリーンシートを貼付もしくはスクリーン印刷等により圧電体膜を形成するもの等、各種の構造のインクジェット式記録ヘッドに本発明を採用することができる。
【0099】
また、圧電振動子とリード電極との間に絶縁体層を設けた例を説明したが、これに限定されず、例えば、絶縁体層を設けないで、各上電極に異方性導電膜を熱溶着し、この異方性導電膜をリード電極と接続したり、その他、ワイヤボンディング等の各種ボンディング技術を用いて接続したりする構成としてもよい。
【0100】
このように、本発明は、その趣旨に反しない限り、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができる。
【0101】
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図15は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0102】
図15に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0103】
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上電極膜を下電極膜及び圧電体膜の引張応力よりも大きい圧縮応力とすることにより、振動板は、圧電体能動部のパターニング及び圧力発生室形成後に、上電極膜の圧縮応力が開放されることによる引張方向の力の影響を受ける。しがって、振動板は上に凸に変形し、圧電体能動部の駆動による変形量を向上することができ、良好なインク吐出を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す図であり、図1の平面図及び断面図である。
【図3】図1の封止板の変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1の薄膜製造工程を示す図である。
【図6】本実施形態の圧電体能動部が圧力発生室形成時に受ける応力の状態を示す図である。
【図7】従来の圧電体能動部が圧力発生室形成時に受ける応力の状態を示す図である。
【図8】圧電振動子の駆動時に、振動板に加わる力と弾性変形量との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態2の薄膜製造工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態2の薄膜製造工程の他の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態3に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【符号の説明】
10 流路形成基板
12 圧力発生室
50 弾性膜
60 下電極膜
70 圧電体膜
80,80A 上電極膜
90 絶縁体層
100 リード電極
300 圧電振動子
320 圧電体能動部
350 下電極膜除去部

Claims (17)

  1. ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を構成する弾性膜と、該弾性膜上に設けられた下電極と、該下電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の表面に形成された上電極とを備え、前記圧力発生室に対応する領域に圧電振動子を形成したインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記弾性膜が、前記圧力発生室から外側に向かって凸に弾性変形していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1において、前記上電極の主成分は、Pt,Pd,Ir,Rh,Os,Ru及びReからなる群から選択される金属であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項2において、前記上電極は、スパッタ法で形成され、且つ前記金属中に所定のガスが添加されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  4. 請求項3において、前記ガスは、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びRnの群から選択される不活性ガスであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  5. 請求項2において、前記上電極は、前記金属に、異なる成分の金属、半金属、半導体及び絶縁体からなる群から選択される少なくとも一種の添加物が添加されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  6. 請求項5において、前記添加物が、イオン打ち込みにより前記上電極に添加されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  7. 請求項5において、前記添加物が、前記上電極上に設けられた層からの固相拡散により前記上電極に添加されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  8. 請求項7において、前記固相拡散は、不活性ガス又は真空下で加熱することにより行われることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  9. 請求項1において、前記上電極は、前記圧電体層の表面に形成される第1の電極と、この第1の電極上に積層される第2の電極とを有し、前記第2の電極は、導電性の酸化膜又は窒化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  10. 請求項9において、前記第1の電極の主成分が、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru及びReからなる群から選択される金属であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  11. 請求項9又は10において、前記第2の電極を構成する酸化膜の主成分が、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化モリブデンからなる群から選択されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  12. 請求項9又は10において、前記第2の電極を構成する窒化膜の主成分が、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロム及び窒化バナジウムからなる群から選択されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  13. 請求項9又は10において、前記第2の電極は、成膜後に酸化又は窒化することにより形成されることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  14. 請求項1において、前記上電極の主成分が、酸化ルテニウム、酸化インジウム錫、酸化カドミウムインジウム、酸化錫、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化イリジウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム及び酸化モリブデンからなる群から選択される導電性酸化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  15. 請求項1において、前記上電極の主成分が、窒化チタン、窒化ニオブ、窒化ジルコニウム、窒化タングステン、窒化ハフニウム、窒化モリブデン、窒化タンタル、窒化クロム及び窒化バナジウムからなる群から選択される導電性窒化膜であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  16. 請求項1〜15の何れかにおいて、前記圧力発生室がシリコン単結晶基板に異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が成膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  17. 請求項1〜16の何れかのインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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