JP4807060B2 - ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法及び液体吐出ヘッド - Google Patents

ノズルプレート、ノズルプレートの製造方法及び液体吐出ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、ノズルプレート、このノズルプレートの製造方法及びこのノズルプレートを用いた液体吐出ヘッドに関する。
近年、インクジェット記録方法での画質の高精細化の進展および工業用途における適用範囲の拡大に伴い、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請がますます強まっている。これらの課題を従来のインクジェット記録方法で解決しようとすると、ノズルの微小化や高粘度のインク吐出による液吐出力の向上を図る必要が生じ、それに伴ってインクの吐出のための駆動電圧が高くなり、ヘッドや装置のコストが非常に高価になってしまうため、実用に適う装置は実現されていない。
そこで、上記要請に応え、微小化されたノズルから低粘度のみならず高粘度の液滴を吐出させる技術として、ノズル内の液体を帯電させ、ノズルと液滴の着弾を受ける対象物となる各種の基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により吐出させるいわゆる静電吸引方式の液滴吐出技術が知られている(特許文献1参照)。
しかし、静電吸引方式の液滴吐出技術において液滴吐出面がフラットな液体吐出ヘッドを用いる場合、ノズル内の液体や吐出孔部分のメニスカスへの電界集中の程度が小さく、必要な静電吸引力を得るために液体吐出ヘッドと基材との間に印加する電圧として非常に高い電圧を印加する必要があった。
そこで、この液滴吐出技術と、ピエゾ素子の変形や液体内部での気泡の発生による圧力を利用して液滴を吐出する技術とを組み合わせた、いわゆる電界アシスト法を用いた液滴吐出装置の開発が進んでいる(例えば、特許文献2〜5参照)。この電界アシスト法は、メニスカス形成手段と静電吸引力を用いてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させることにより、メニスカスに対する静電吸引力を高め、液表面張力に打ち勝ってメニスカスを液滴化し吐出する方法である。
国際公開第03/070381号パンフレット 特開平5−104725号公報 特開平5−278212号公報 特開平6−134992号公報 特開2003−53977号公報
しかしながら、電界アシスト法を用いたこれらの液体吐出装置は、従来のピエゾ方式やサーマル方式を用いたインクジェット記録法に比べ、吐出効率は良いが、電界による静電吸引力が最大限に活用されていないため、メニスカスの形成や液滴の吐出が効率的に行われておらず、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請に応えようとすると、従来のインクジェット記録法と同様に、インクの吐出のための駆動電圧を高くする必要が生じ、ヘッドや装置のコストが高価になってしまうという問題があった。また、静電吸引力を高めるために印加電圧を上げると、ヘッドと基材間とで絶縁破壊が発生してしまい装置を駆動できない場合が生じるという問題もあった。
電界アシスト法を用いたこれらの液体吐出装置において、液体を吐出するノズルが設けられた液体吐出ヘッドとしてフラットな液体吐出ヘッドを用いた場合、構造が単純であるために生産性に優れ、また、液体吐出ヘッドのクリーニング時における吐出面のワイピングの際にワイパにノズルが引っ掛からないという大きな利点がある。
しかし、フラットな液体吐出ヘッドは、ピエゾ素子の変形等で圧力を発生させてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させ、隆起させたメニスカスに選択的に電界集中させて静電吸引力により液体を吐出させる電界アシスト法を用いた液体吐出装置の場合でも、電界集中が小さいためにメニスカスを形成するうえで静電吸引力によるメニスカスを引き出す作用が小さく、結果的にピエゾ素子等の圧電素子アクチュエータよりなる圧力発生手段に高い電圧を印加する必要があるという問題があった。
なお、本発明において、フラットなノズルやノズルプレート、液体吐出ヘッドとは、ノズルプレートの吐出面からのノズルの突出が30μm以下のものを意味し、上記のワイピングの際に破損等の支障を生じることがなく、ノズルの突出が小さく突出による電界集中効果が期待できないものをいう。
そこで、このフラットな液体吐出ヘッドの問題点を解消するため、電界アシスト法を用いた液体吐出装置では、液体吐出ヘッドのノズルプレートから吐出面側にノズルを避雷針状に突出させ、ノズルの突起先端に電界を集中させてノズルの吐出効率を高めた液体吐出ヘッドが用いられることが多い。
しかし、液体吐出ヘッドのノズルプレートから吐出面側に高さ数十μm程度の避雷針状のノズルを多数立設させなければならないため、構造が複雑になり生産性が低下する。また、液体吐出ヘッドのクリーニング時に立設されたノズルが折れるなど操作性に劣るという問題があった。
また、近年、インクジェット記録法を利用した産業用のパターニングの応用が広く考えられている。その理由は、インクジェット記録法を利用することで、直接、基板等にパターニングが可能となるという大きな利点が生じるからである。例えば、基板にパターニングする場合、リソグラフィ工程が必要であり、リソグラフィ工程を利用しない場合には、印刷等が考えられるが、印刷工程では一般に版が必要であり、またその版の洗浄等の工程も必要である。これらに対して、インクジェット記録法によるパターニングは、リソグラフィ工程や版等が不要になり、工程が非常に簡単になる。このようなパターニングにおいては、着弾径が30μm以下とする高精細化が望まれおり、これに答えるには、インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴の直径を概ね15μm以下とする必要があるとされている。
そこで、本発明は、微小なノズルから正確で安定した液体の吐出が可能なフラットな吐出面を有するノズルプレート及びこのノズルプレートの製造方法並びにこのノズルプレートを用いた液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記目的は、以下の手段の何れかによって達成される。
1.吐出孔から液体が液滴として吐出されるノズルを有し液体吐出ヘッドに用いられるノズルプレートにおいて、
前記ノズルプレートは、
前記ノズルの吐出孔が形成されている面がフラットで体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラスからなる第1プレートと、
前記第1プレートに重ねて、該第1プレートの前記吐出孔に連通する大径穴を有する体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂又はガラスからなる第2プレートと、で積層構成されると共に、前記第2プレートにおける前記第1プレートとの積層面とは反対側の面と前記大径穴の内周面とは導電素材で被覆されていることを特徴とするノズルプレート。
2.前記大径穴の径は、前記吐出孔の径より大きいことを特徴とする1に記載のノズルプレート。
3.前記第1プレートの前記吐出孔から液体が吐出される面は撥液層が設けられていることを特徴とする1又は2に記載のノズルプレート。
4.前記液体吐出ヘッドは、静電吸引方式の液体吐出ヘッドであることを特徴とする1乃至3の何れか一つに記載のノズルプレート。
5.前記ノズルのノズル径が10μm以下であることを特徴とする1乃至4の何れか一つに記載のノズルプレート。
6.吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを有し液体吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、
体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラス基板にフォトリソグラフィ処理及びドライエッチング処理を行い前記吐出孔を設けることで、前記ガラス基板を第1プレートとする第1プレート製造工程と、
体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂基板又はガラス基板に前記第1プレートに重ねて、該第1プレートの前記吐出孔に連通する大径穴を設けることで、前記樹脂基板又は前記ガラス基板を第2プレートとする第2プレート製造工程と、
前記第1プレートに設けた前記吐出孔と前記第2プレートに設けた前記大径穴とが連通するように該第1プレートと該第2プレートとを貼り合わせる工程と、
前記第2プレートにおける前記第1プレートとの貼り合わせ面とは反対側の面と前記大径穴の内周面とに導電素材からなる被覆層を設ける工程と、を有することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
7.前記第1プレート製造工程は、
前記ガラス基板に金属膜を設ける工程と、
前記金属膜にフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を行い前記吐出孔の金属膜のパターンマスクを形成する工程と、
前記吐出孔の金属膜のパターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記吐出孔を形成する工程と、
前記金属膜を除去する工程と、を有することを特徴とする6に記載のノズルプレートの製造方法。
8.前記大径穴の径は、前記吐出孔の径より大きいことを特徴とする6又は7に記載のノズルプレートの製造方法。
9.前記第1プレートの前記吐出孔から液体が吐出される面に撥液層を設ける撥液処理工程を有することを特徴とする6乃至8の何れか一つに記載のノズルプレートの製造方法。
10.前記液体吐出ヘッドは、静電吸引方式の液体吐出ヘッドであることを特徴とする6乃至9の何れか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
11.前記ノズルのノズル径が10μm以下であることを特徴とする6乃至10の何れか一つに記載のノズルプレートの製造方法。
12.吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを有するノズルプレートと、
前記ノズルプレートと貼り合わせることで、前記ノズルに連通するキャビティとなるキャビティ溝が形成されたボディープレートとを備え、
前記ノズル内の液体と前記ノズルプレートの液滴を吐出する面に対向して設けられた基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により液滴を吐出し前記基材に着弾させる液体吐出ヘッドにおいて、
前記ノズルプレートは、1乃至5の何れか一つに記載のノズルプレート又は6乃至11の何れか一つに記載のノズルプレートの製造方法により製造されるノズルプレートであって、
前記ノズルの前記吐出孔から吐出される液体と前記基材間に静電電圧が印加されて静電吸引力を発生させる静電電圧印加手段を備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
13.前記ノズル内の液体に圧力を印加して、メニスカスを形成する圧力発生手段を備えていることを特徴とする12に記載の液体吐出ヘッド。
請求項1及びに記載の発明によれば、本ノズルプレートには次のような効果ある。まず、ノズルの吐出孔が設けてある第1プレートがガラスであるため剛性が確保され、また微細な加工を高精度に行うことができることから、取り扱いが容易で吐出孔が微小な径で複数であっても形状の揃った孔とされることができるため吐出される液滴が揃った高い品質での記録を可能とすることができる。また、ノズルプレートの高精度で微小な吐出孔が形成されている部分と大径穴が形成されている部分とはそれぞれ第1プレートと第2プレートとの2つに分離されているため、第1プレートで高精度な吐出孔を確保しつつ第2プレートでは必要精度に応じた材料及び加工方法を選択することができる。よって、必要精度が確保されていながら低コストとすることができるコストパフォーマンスの良いノズルプレート及びこのノズルプレートの製造方法を提供できる。
また、第1プレート及び第2プレートは、体積抵抗率が1015Ω・m以上としていることから、吐出孔が形成されている面がフラットであってもノズル内の液体に電界を印加することで、強い電界を吐出孔周辺の液体に生じさせることが可能とされることから、微小な液滴を吐出することができる静電吸引方式の液体吐出ヘッドに利用することができる。また吐出面がフラットとすることができるため製造が容易であるとともにヘッドの清掃時のワイピング等によりノズルが損傷することもないことから液体の吐出状態が安定して長寿命であるノズルプレート及びこのノズルプレートの製造方法を提供できる。
請求項12に記載の発明によれば、液体吐出ヘッドは、上記の効果を有するノズルプレートを持ち、静電電圧印加手段を備えていることから、次のような効果がある。まず、微小な径で複数であっても形状の揃った吐出孔から液体を吐出することができることから、吐出される液滴による高精細なパターンを形成することができる。また、コストパフォーマンスの良いノズルプレートを用いることからコストパフォーマンスの良い液体吐出ヘッドを提供することができる。
また、ノズルプレートは、体積抵抗率が1015Ω・m以上とされていることから、吐出孔が形成されている面がフラットであっても静電電圧印加手段により実用的な範囲での静電電圧をノズル内の液体に電界を印加することで、強い電界を吐出孔周辺の液体に生じさせることが可能とすることができることから、微小な液滴を効率良く吐出することができる静電吸引方式の液体吐出ヘッドとすることができる。また吐出面がフラットであることから、製造が容易であるとともに液体吐出ヘッドの清掃時のワイピング等によるノズルの損傷が発生することもないことから液体の吐出状態が安定して長寿命である液体吐出ヘッドを提供できる。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドの実施形態に関して、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の一例である液体吐出ヘッド2を用いて構成した液体吐出装置1の全体構成を示す断面図である。図1の液体吐出ヘッド2は、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
液体吐出装置1は、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル10が形成された液体吐出ヘッド2と、動作制御手段4と、液体吐出ヘッド2のノズル10に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極3とを備えている。
液体吐出ヘッド2は、ノズルプレート11とボディープレート19とから構成され、またノズルプレート11の対向電極3に対向する吐出面12からノズル10が突出されない、或いはノズル10が30μm程度しか突出しないフラットな吐出面を有するヘッドとして構成とされている(例えば、後述する図3(C)参照)。更に、ノズルプレート11は、対向電極3に対向する側から順に吐出孔13を有する第1プレート11a、次に第2プレート11bとからなる積層構造とされている。よって、ノズルプレートの厚みは、第1プレート11aの厚みと第2プレートとの厚みを加えた値となる。
各ノズル10は、ノズルプレート11に穿孔されて形成されており、各ノズル10には、それぞれ第1プレート11aの吐出面12に吐出孔13を有する小径部14とその背後に位置する第2プレート11bに設けられている大径の大径部15との2段構造とされている。本実施形態の一例である液体吐出ヘッド2において、ノズル10の小径部14は円筒状に、大径部15は断面円形で対向電極3側がより小径とされたテーパ状に形成されており、小径部14の吐出孔13の内部直径(以下、ノズル径と称する。)が8μm、大径部15の小径部14から最も離れた側の開口端の内部直径が100μmとなるように構成されている。
ここで、ノズルプレート11の製造に関して説明する。図2は液体吐出ヘッド2のノズルプレート11を作製する工程の概略を断面図でもって模式的に示した図であり、完成したノズルプレートは図2(b5)及び図2(c2)に示している。
まず、ノズルプレート11を構成している第1プレート11aの製造に関して図2(A)に示す概略工程を用いて説明する。第1プレート11aは、体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラスとし、本実施形態では石英(概体積抵抗率1016Ω・m)を用いている。第1プレート11aの厚みは、加工、組み立て時の取り扱いの容易さを考慮しながら、所望のノズル径から適宜決めれば良い。厚みに関しての具体的な説明は、ノズル径に関することも含めて、以降で説明する。ここで、以降、体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラスを高抵抗ガラスと称する。具体的な高抵抗ガラスの材料としては、例えば上記の石英、合成石英等の高純度ガラス材料が挙げられる。
図2(A)において、高抵抗ガラス基板2−1の片面に撥液層2−3を設ける(図2(a1))。この撥液層2−3に関しては以降で説明する。撥液層2−3を設けた面に公知のフォトリソグラフィ技術を用いて高抵抗ガラス基板2−1に吐出孔パターンを有するレジストパターン層2−5’を形成する(図2(a3))。このレジストパターン層2−5’をマスクとしてマスクされてない吐出孔部分に該当する撥液層の除去を行う(図2(a4))。除去方法としては、高精度な加工を容易に行うことができる例えば公知の酸素プラズマを用いたアッシング法が挙げられる。マスクされてない部分の撥液層の除去後、撥液層の除去に用いたレジスト層2−5’を再度マスクとして吐出孔2−7を持つ小径部2−9を形成する。この吐出孔2−7を持つ小径部2−9の形成方法は、石英基板2−1の高精度な加工を容易に行うことができる例えば公知のCF4ガスを用いたプラズマドライエッチング法が挙げられ、このエッチング方法を用いることでほぼ円筒形に精度良く吐出孔2−7を持つ小径部2−9を設けることができる。穴加工が終了した後、レジスト膜2−5’を除去することで撥液層2−3’を持つ第1プレート2A(図1の11aに相当する。)を完成することができる(図2(a6))。
また、より高精度な吐出孔を設ける場合、石英基板2−1の加工用マスクとして金属膜を用いるのが好ましい。公知のスパッタリング法によりマスクとする金属膜を形成する。使用する金属は、Cr、Ni、Al、Cu、Pt、Mo、Ti等が挙げられるが、これらに限定される必要はなく次に説明するエッチングレート比を考慮してマスクとして使用できればよい。
金属膜の厚みは、石英基板の厚みと石英と金属膜とのエッチングレート比(同じエッチング環境下で石英と金属膜とが除去される比率で、エッチング選択比とも言う。)とにより適宜決めれば良い。例えば、金属膜をCrとする場合、このエッチングレート比は10から30程度であるとされており、石英基板の厚みが30μmとする場合、エッチングレート比を20とするとCr膜の厚みは1.5μmとすることになる。実際には、予め実験等を行い使用する金属及び厚みを決めれば良い。尚、撥液層は、吐出孔の形成後に設けてもよい。
なお、石英基板2−1をプラズマエッチングする際には、例えばシリコン基板を台板として、この上にグリースまたは粘着性がグリース程度の粘着性が比較的弱い粘着剤で仮固定するのが取り扱い上好ましい。仮固定の方法の具体例としては、例えば、クールグリース(商品名)等の熱伝導性グリースや熱伝導性粘着シートを用いることが挙げられる。
ここで、撥液層2−3’に関して説明する。第1プレート2Aの吐出孔2−7が存在する面に撥液層2−3’を設けるのが好ましい。撥液層2−3’を設けることで、吐出孔2−7から液体Lが吐出面2−11に馴染むことでの染み出しや広がりを抑制することができる。具体的には、例えば液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面2−11に成膜されている。膜厚の厚みは、特に限定されるものではないが、概ね0.1μmから3μmとするのが好ましい。
なお、撥液層2−3’は、第1プレート2−1’の吐出面2−11に直接成膜してもよいし、撥液層2−3’の密着性を向上させるために中間層を介して成膜することも可能である。本実施の形態の例として図1に示す第1プレート11aの撥液層は厚み0.2μmの四フッ化エチレンとしている。
次に第2プレートは、体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂又は上記で説明した高抵抗ガラスからなっている。以後、体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂を高抵抗樹脂と称する。
最初に第2プレートに高抵抗樹脂、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用する場合、例えば公知の射出成形法を用いて、図2(C)に示す第2プレート2C(図1の11bに相当する。)を形成することができる。大径部2−13は、第1プレートであるノズルプレート2Aに第2プレートを重ねた際にノズルプレート2Aのそれぞれの小径部2−9に連通し、その開口部をふさぐことがないように設けてある。
次に第2プレートに高抵抗ガラスを使用する場合、図2(B)で示す様に例えば公知のドライフィルムレジスト2−15を使用するフォトリソグラフィ技術を用いて大径部パターンを有するレジスト層2−15’を高抵抗ガラス基板2−17に形成する(図2(b2))。このレジスト層2−15’をマスクとして大径部2−19を設ける(図2(b3))。穴の加工方法としては、例えばサンドブラスト法、レーザー加工法、ウエットエッチング法、超音波加工法等が挙げられいずれを用いても良い。穴加工が終了した後、レジスト膜2−15’を除去することで第2プレート2B(図1の11bに相当する。)を完成することができる(図2(b4))。大径部2−19は、第1プレートであるノズルプレート2Aに第2プレートを重ねた際にノズルプレート2Aのそれぞれの小径部2−9に連通し、その開口部をふさぐことがないように設けてある。
次に上記で用意した第1プレート2Aの撥液層を設けた反対面と第2プレート2B及び2Cの大径部2−19又は2−13の小開口側の面とを接着剤で貼り合わせることでノズルプレート2F及び2Gを完成することができる(図2(b5)及び(c2))。
なお、図1で示す本実施形態の液体吐出ヘッド2の第1プレート11a及びノズルベース板11bに貼り合わせることで成るノズル10の形状は上記の図2で示す形状に限定されず、例えば、図3(A)〜(D)に示すように、形状が異なる種々のノズル10を用いることが可能である。また、ノズル10は、断面円形状に形成する代わりに、断面多角形状や断面星形状等としてもよい。尚、断面形状が円でない場合の直径は、対象とする断面の断面積を同じ面積の円形に置き換えた場合の直径とする。
次に図1で示すように、完成したノズルプレート11のボディープレート19と接合される面及び大径部15の内周面17に、例えばNiP等の導電素材よりなるノズル内の液体Lを帯電させるための静電電圧印加手段である帯電用電極16を層状に設ける。このよう層状に帯電用電極16を設けることで、単一の帯電用電極16がノズルプレート上のすべての大径部15内の液体に接触することになり、静電電圧電源18から帯電用電極16に静電電圧が印加されると、全ての大径部15内の液体が同時に帯電され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようにすることができる。
この帯電用電極16を設ける方法は特に限定されるものではなく、公知の真空蒸着法、スパッタリング法等を用いれば良い。また、導電素材としては、液体に接することで腐食等を生じないものを適宜選択すれば良い。
次に図1に示す液体吐出ヘッド2の帯電用電極16の背後には、シリコンからなるボディープレート19が設けられている。ボディープレート19の各ノズル10に対応する大径部15の開口端に面する部分には、それぞれ開口端にほぼ等しい内径を有する略円筒状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lを一時貯蔵するためのキャビティ20とされている。
ボディープレート19には、キャビティ20に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。具体的には、シリコン基板に公知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてキャビティ20、共通流路、および共通流路とキャビティ20とを結ぶ流路を設けることができる。
共通流路には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路やキャビティ20、ノズル10等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
各キャビティ20に対応する背面部分には、圧力発生手段としての圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子22がそれぞれ設けられており、ピエゾ素子22には、ピエゾ素子22に駆動電圧を印加してピエゾ素子22を変形させるための駆動電圧電源23が接続されている。ピエゾ素子22は、駆動電圧電源23からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。ここで、上記で述べたように吐出孔13の存在するフラットな吐出面に撥液層28が設けてあることで、ノズルの吐出孔13部分に形成される液体のメニスカスが吐出孔13の周囲の吐出面12に広がることによるメニスカス先端部への電界集中の低下を効果的に防止することができる。なお、圧力発生手段22は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータやサーマル方式等を採用することも可能である。
駆動電圧電源23および帯電用電極16に静電電圧を印加する静電電圧電源18は、それぞれ動作制御手段4に接続されており、それぞれ動作制御手段4による制御を受けるようになっている。
動作制御手段4は、本実施形態ではCPU25やROM26やRAM27等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU25は、ROM26に格納された電源制御プログラムに基づいて静電電圧電源18および各駆動電圧電源23を駆動させてノズル10の吐出孔13から液体Lを吐出させるようになっている。
液体吐出ヘッド2の下方には、基材Kを支持する平板状の対向電極3が液体吐出ヘッド2の吐出面12に平行に所定距離離間されて配置されている。対向電極3と液体吐出ヘッド2との離間距離は、0.1〜3mm程度の範囲内で適宜設定される。
本実施形態では、対向電極3は接地されており、常時接地電位に維持されている。そのため、静電電圧電源18から帯電用電極16に静電電圧が印加されると、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界が生じるようになっている。また、帯電した液滴Dが基材Kに着弾すると、対向電極3はその電荷を接地により逃がすようになっている。
なお、対向電極3又は液体吐出ヘッド2には、液体吐出ヘッド2と基材Kとを相対的に移動させて位置決めするための図示しない位置決め手段が取り付けられており、これにより液体吐出ヘッド2の各ノズル10から吐出された液滴Dは、基材Kの表面に任意の位置に着弾させることが可能とされている。
液体吐出装置1による吐出を行う液体Lは、例えば、無機液体としては、水、COCl2、HBr、HNO3、H3PO4、H2SO4、SOCl2、SO2Cl2、FSO3Hなどが挙げられる。
また、有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して用いてもよい。
さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを液体Lとして使用し、吐出を行う場合には、前述した液体Lに溶解又は分散させる上記の物質としては、ノズル10で目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。
ここで、本発明の液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理について図1が示す液体吐出装置1を用いて説明する。
液体吐出装置1では、静電電圧電源18から液体Lに対する静電電圧印加手段である帯電用電極16に静電電圧を印加し、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界を生じさせる。また、駆動電圧電源23からピエゾ素子22に駆動電圧を印加してピエゾ素子22を変形させ、それにより液体Lに生じた圧力でノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させる。
本実施形態のように、ノズルプレート11の絶縁性が高くなると、図4にシミュレーションによる等電位線4−1で示すように、ノズルプレート11の内部に、吐出面12に対して略垂直方向に等電位線4−1が並び、ノズル10の小径部14の液体Lや液体Lのメニスカス部分に向かう強い電界が発生する。
特に、図4でメニスカスの先端部では等電位線4−1が密になっていることから分かるように、メニスカス先端部では非常に強い電界集中が生じる。そのため、電界の静電力によってメニスカスが引きちぎられてノズル内の液体Lから分離されて液滴Dとなる。さらに、液滴Dは静電力により加速され、対向電極3に支持された基材Kに引き寄せられて着弾する。その際、液滴Dは、静電力の作用でより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾の際の角度等が安定し正確に行われる。
発明者らが、図5に示す液体吐出装置1’を使用して電極間の電界の電界強度が実用的な値である1.5kV/mmとなるように構成し、各種の絶縁体でノズルプレート11’を形成して下記の実験条件に基づいて行った実験では、ノズル10’から液滴D’が吐出される場合と吐出されない場合があった。
[実験条件]
ノズルプレート11’の吐出面12’と対向電極3’の対向面との距離:1.0mm
ノズルプレート11’の厚さ:125μm
ノズル径:10μm
静電電圧:1.5kV
駆動電圧:20V
実験に使用した液体吐出ヘッド2’のノズル10’には4°のテーパ角を持っている。このテーパ角は、ノズル10’の断面において、吐出面12’に対する垂線から吐出面12’から離れる方向に広がる角度を示している。
この液体吐出装置1’による実験で、液滴D’がノズルから安定に吐出されたすべての場合について、メニスカス先端部の電界強度を求めた。実際には、メニスカス先端部の電界強度を直接測定することが困難であるため、電界シミュレーションソフトウエアである「PHOTO−VOLT」(商品名、株式会社フォトン製)によるシミュレーションにより算出した。ここでの電界強度は、電流分布解析モードによる、電圧印加後300秒後の電界強度を言う。その結果、すべての場合においてメニスカス先端部の電界強度は1.5×107V/m以上であった。また、この実験において、液滴D’がノズルから安定して吐出されない場合についても、上記と同様のシミュレーションによりメニスカス先端部の電界強度を算出した。その結果、1.5×107V/m未満であった。
また、上記の実験条件と同様のパラメータを同ソフトウエアに入力してメニスカス先端部の電界強度を計算した結果、図6に示すように、電界強度はノズルプレート11’に用いる絶縁体の体積抵抗率に強く依存することが分かった。また、ノズル10’から液滴D’を安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上であることが必要であることが上記の実験より得られていることから、図6から明らかなように、ノズルプレート11’の体積抵抗率は1015Ω・m以上であればよいことが分かった。
ノズルプレート11’の体積抵抗率とメニスカス先端部の電界強度との関係が図6のような特徴的な関係になるのは、ノズルプレート11’の体積抵抗率が低いと、静電電圧を印加してもノズルプレート11’内で等電位線が図4に示したように吐出面12’に対して略垂直方向に並ぶような状態にはならず、ノズル10’内の液体L’および液体L’のメニスカスへの電界集中が十分に行われないためであると考えられる。
理論上、体積抵抗率が1015Ω・m未満のノズルプレート11’でも、静電電圧を非常に大きくすればノズル10’から液滴D’が吐出される可能性はあるが、電極間でのスパークの発生等により基材K’が損傷される可能性があるため、静電電圧を非常に大きくすることは好ましくない。
なお、図6に示したようなメニスカス先端部の電界強度のノズルプレート11’の体積抵抗率に対する特徴的な関係は、ノズル径を種々に変化させてシミュレーションを行った場合でも同様に得られており、どの場合も体積抵抗率が1015Ω・m以上の場合にメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上になることが分かっている。
一方、体積抵抗率が1015Ω・m以上の絶縁体を用いてノズルプレート11’を作製しても、ノズル10’から液滴D’が吐出されない場合がある。発明者らの行った実験結果である表1に示すように、液体L’として水などの導電性溶媒を含有する液体を用いた場合、ノズルプレート11’の液体の吸収率が0.6%以下であることが必要であることが分かった。
表1の実験に関して、以下に説明する。図5に示す液体吐出ヘッド2’のノズルプレート11’を表1に示す種々の材料を用いて実際に作製し、ノズル10’の吐出孔13’から液滴D’が吐出されるか否かを基材K’に吐出させて確認し、表1において吐出できた場合を○印、できなかった場合を×印で示している。
吐出される液体L’として導電性の液体2種類と絶縁性の液体1種類の3種類とした。液体L1は、水52質量%、エチレングリコールおよびプロピレングリコールをそれぞれ22質量%、染料(CIアシッドレッド1)3質量%、界面活性剤1質量%含有する導電性の液体として調製し、液体L2は、エタノールに染料(同上)を3質量%含有する導電性の液体として調整し、液体L3は、テトラデカンにAg粒子を分散させ、絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体として調製した。
なお、体積抵抗率は、JISC2151に準拠し、シート状被測定物の面間に電圧を印加した場合の電気抵抗値より算出した。また、ノズルプレート11’の液体の吸収率は、23℃の使用対象である液体L’にノズルプレート11’または代用のシート状被測定物を24時間浸漬し、浸漬前後のノズルプレート11’または被測定物の質量変化率より算出した。液体L’が水溶性インクである場合には、ASTMD570に準拠した吸水率で代用することも可能である。
上記の液体L1〜L3に対する実験結果は上記の表1のようになった。なお、表1の吸収率の欄は、上段が水に対する吸収率(吸水率)、下段がエタノールに対する吸収率を表している。また、吐出の有無の後の「あり」は液体吸収防止層を設けた場合を示し、「なし」は液体吸収防止層を設けない場合を示している。この液体吸収防止層に関しては、以降で説明する。
表1の結果から、液体L1や液体L2のように導電性溶媒を含有する場合、液体の吸収率が低くても体積抵抗率が1015Ω・m未満の材料ではノズル10’から液体L’は吐出されないことが分かる。これは、上記のシミュレーションによる結果と同じ結果を示している。また、体積抵抗率が1015Ω・m以上の材料であればノズル10’から液体Lが吐出され得るが、吸収率が少なくとも0.6%以下でなければ液体Lは吐出されないことが分かる。
また、液体L3のように絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体を吐出する場合には、体積抵抗率が1015Ω・m以上の材料であればすべてノズル10’から液体が吐出され得ることが分かる。
上記の結果は次のように考えられる。まず、ノズルプレート11’が液体L’中から導電性溶媒を吸収すると導電性の液体である水分子等の分子が本体絶縁性であるノズルプレート11’内に存在することになるため、結果的にノズルプレート11’の電気伝導度が高くなり、特に液体L’に接する局部の実効的な体積抵抗率の値が低下し、図6に示す関係に従ってメニスカス先端部の電界強度が弱まり、液体L’の吐出に必要な電界集中が得られなくなるためと考えられる。
また、表1の液体L3の様に、絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体を用いた場合には、ノズルプレート11’は、その液体に対する吸収率に係わりなく体積抵抗率が1015Ω・m以上であれば液体Lを吐出することが分かった。これは、絶縁性溶媒がノズルプレート11’内に吸収されても絶縁性溶媒の電気伝導度が低いためノズルプレート11’の電気伝導度が大きく変化せず、実効的な体積抵抗率が低下しないためであると考えられる。
なお、溶液L3のAg粒子の様に絶縁性溶媒に分散されている帯電可能な粒子は、例えば、電気伝導度が極めて大きな金属粒子であってもノズルプレート11’には吸収されないため、ノズルプレート11’の電気伝導度を高めることはない。なお、先の絶縁性溶媒とは、単体では静電吸引力により吐出されない溶媒をいい、具体的には、例えば、キシレンやトルエン、テトラデカン等が挙げられる。また、導電性溶媒とは、電気伝導度が10-10S/cm以上の溶媒をいう。
ここで、本実施形態のノズルプレート11は、第1プレートを体積抵抗率1.0×1016Ω・mの高抵抗ガラスである石英を使用し、第2プレートを表1で示す体積抵抗率5.0×1015Ω・mで吸収率0.4%のPET(ポリエチレンテレフタレート)または第1プレートと同じ石英を使用している。従って、ノズルプレート11は、体積抵抗率1.0×1015Ω・m以上で吸収率0.6%以下であることをどちらも満足していることになる。従って、吐出される液体が上記の液体L1、液体L2、液体L3の様な無機液体、有機液体及び高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような溶液を使用する場合であっても、常に安定した液体の吐出を可能とすることができる。
また、絶縁性溶媒を使用する場合、第2プレートの材料が吸収率0.6%以下を満足していなくても体積抵抗率1.0×1015Ω・m以上であることを満足する高抵抗樹脂、例えば表1のポリイミド(商品名:カプトン100CB及びユーピレックス−S)を選択すればよい。
更に、このポリイミドの様に吸収率が0.6%以下でない樹脂材料を導電性溶媒に適用する必要がある場合、ノズル10の内周面16に、ノズル10内の液体Lが第2プレート11bに吸収されることで体積抵抗率が低下することを防止するために、図7で示す液体吸収防止層7−1を設ければよい。液体吸収防止層7−1は、例えば、導電性を有するダイアモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)、窒化酸化シリコン(SiON)や酸化シリコン(SiOX)等を用いて形成することも可能であり、成膜法としては、例えば、プラズマイオンプレーティング、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法やFCVA(filtered cathodic Vacuum arc)蒸着法を用いることができる。
尚、高抵抗ガラスはほとんど液体の吸収性を持たないので、使用する液体による電気導電度の低下を考慮する必要はない。
また、本実施形態の例としているノズルプレート11のように、小径部と大径部といった段差を持つノズルを用いたシミュレーションにおいて、ノズルプレート11の厚みを10μm、20μm、50μm、100μmとするパラメータとして、ノズル径を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度を図8に示す。この時の小径部の長さは10μmとしている。この小径部の長さとは、ノズルプレート11を構成する第1プレートの厚みとなる。
図8より、ノズル径が小さくなる程、またノズルプレートの厚みが厚くなる程メニスカス先端部の電界強度が大きくなることが分かる。ノズルプレートの厚みとは、ノズルプレート11を構成する第1プレートの厚みと第2プレートの厚みとを加えた厚みである。
ノズル10から液滴Dが安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度が1.5×107V/m以上であることが必要なことから、例えばノズルプレートの厚みを10μmとする場合は、ノズル径を2μm未満にすることで液滴Dを安定して吐出させることができる。さらに、例えばノズルプレートの厚みを20μmとする場合は、ノズル径を3μm未満に、ノズルプレートの厚みを50μmとする場合は、ノズル径を5μm未満に、ノズルプレートの厚みを100μmとする場合は、ノズル径を7μm未満にすることで液滴Dを安定に吐出させることができる。
また、小径部14の長さを、5μm、10μm、15μm、20μmとするパラメータとしてノズル径を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度を図9に示す。この時のノズルプレート11の厚みは、100μmとしている。図9より、ノズル径が小さくなる程、また小径部の長さが長くなる程メニスカス先端部の電界強度が大きくなることが分かる。
ノズル10から液滴Dを安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度は上記と同じく1.5×107V/m以上であることが必要なことから、小径部長さを5μmとする場合は、ノズル径を6μm未満にすることで液滴Dを安定に吐出することができる。さらに、例えば小径部長さを10μmとする場合は、ノズル径を7μm未満に、小径部長さを15μmとする場合は、ノズル径を8μm未満に、小径部長さを20μmとする場合は、ノズル径を9μm未満にすることで液滴Dを安定に吐出させることができる。
従って、上記の図8及び図9におけるシミュレーションの結果により、所望のノズル径に対してノズルの小径部となる第1プレートの厚み及びノズルプレートの厚みを適宜決めれば良い。
尚、図8、図9におけるシミュレーションにおいて、ノズル孔の角度は5°としているが、このノズル孔の先端部の角度の影響は小さく、液滴を安定に吐出する条件への依存性は大きくない。
次に本実施形態の液体吐出ヘッド2の駆動に関して図1及び図10を用いて説明する。液体吐出装置1の動作制御手段4は、静電電圧電源18から帯電用電極16に一定の静電電圧Vcを印加させる。これにより、液体吐出ヘッド2の各ノズル10には常時一定の静電電圧Vcが印加され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間に電界が生じる。
また、動作制御手段4は、液滴Dを吐出させるべきノズル10ごとに、そのノズル10に対応する駆動電圧電源23からピエゾ素子22に対してパルス状の駆動電圧Vdを印加させる。このような駆動電圧Vdが印加されると、ピエゾ素子22が変形してノズル内部の液体Lの圧力を上げ、ノズル10の吐出孔13では、図10(A)の状態からメニスカスが隆起し始め、図10(B)のようにメニスカスが大きく隆起した状態となる。
すると、前述したように、メニスカス先端部に高度な電界集中が生じて電界強度が非常に強くなり、メニスカスに対して静電電圧Vcにより形成された電界から強い静電力が加わる。この強い静電力による吸引とピエゾ素子22による圧力とにより図10(C)のようにメニスカスが引きちぎられて液滴Dが形成される。液滴Dは、電界で加速されて対向電極方向に吸引され、対向電極3に支持された基材Kに着弾する。
その際、液滴Dには空気の抵抗等が加わるが、前述したように、静電力の作用で液滴Dはより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾方向がぶれることなく安定し、基材Kに正確に着弾する。
液体吐出装置1では、静電電圧電源18から帯電用電極16に印加される一定の静電電圧Vcは1.5kVに設定されており、駆動電圧電源23からピエゾ素子22に印加されるパルス状の駆動電圧Vdは20Vに設定されている。
以上のように、本実施形態の液体吐出ヘッド2によれば、液体吐出ヘッド2は、フラットな吐出面12を有するヘッドとされているため、図示を省略するが、液体吐出ヘッド2のクリーニング時に吐出面12にブレードやワイパ等の部材が接触してもノズル10が損傷する等の事態が生じることがなく、操作性に優れる。
また、液体吐出ヘッド2の製造においてノズル10の突起等の微細構造を形成する必要がなく構造が単純であるから、容易に製造することが可能で生産性に優れる。
さらに、ノズル10が形成されるノズルプレート11として、体積抵抗率が1015Ω・m以上である高抵抗ガラスと高抵抗樹脂との積層構成としていることで、帯電用電極16に印加する静電電圧が1.5kV程度の低い電圧であっても、ピエゾ素子22の変形によりノズル10の吐出孔部分に形成される液体Lのメニスカスに電界を集中することができ、メニスカスの先端部の電界強度を液滴Dが安定的に吐出される1.5×107V/m以上とすることが可能となる。
このように、本実施形態の液体吐出ヘッド2は、フラットなヘッドでありながら、ノズルが突出されたヘッドと同様の電界集中をメニスカス先端部に効果的に生じさせることができるため、低電圧の静電電圧の印加でも効率良くかつ正確に液体を吐出することが可能となる。
なお、本実施形態では、ピエゾ素子22の変形により形成されたメニスカスを静電吸引力で分離して液滴化し、静電電圧Vcによる電界で加速して基材Kに着弾させる構成としているが、この他にも、静電電圧を選択的にノズルに印加可能な構成とすることで非吐出ノズルの帯電用電極には静電電圧を印加せず、吐出するノズルの帯電電極のみに静電電圧を印加する方法、あるいは静電電圧を選択的に各ノズルに印加可能な構成として全てのノズルの帯電用電極に吐出に至らない一定のバイアス電圧を印加し、吐出するノズルのみに吐出を可能とする電圧を重畳させて吐出させる方法としても良い。
また、本実施形態では、圧力発生手段をピエゾ素子22とする場合について示したが、圧力発生手段はこの機能を有するものであればよく、この他にも、例えば、ノズル10やキャビティ20の内部の液体Lを加熱するなどして気泡を生じさせ、その圧力を用いるように構成することも可能である。
また、本実施の形態の液体吐出ヘッド2を用いた液体吐出装置1では、対向電極3を接地する場合について述べたが、例えば、電源から対向電極3に電圧を印加して、帯電用電極16との電位差が1.5kV等の所定の電位差になるようにその電源を動作制御手段4で制御するように構成することも可能である。
ノズルプレートを製造しこれを液体吐出ヘッドに使用した例を以下で説明する。
(実施例1)
図2の製造工程順に従って具体的に説明する。
第1プレートを製造する。まず、図2(A)に示す様に第1プレートとなる石英基板2−1(厚み25μm)の片側の表面に真空蒸着により4フッ化エチレンの撥液層2−3(厚み0.2μm)を形成する。形成した撥液層2−3の上に、ドライフィルムレジスト2−5(厚み10μm)を貼り付けた。次に公知のフォトリソグラフィ技術(露光、現像)によりノズルの吐出孔及び小径部(直径8μm)を設けるためのレジストパターン2−5’を形成した。このレジストパターン2−5’をマスクとして、公知の酸素プラズマによるアッシング法により4フッ化エチレンの撥液層(厚み0.2μm)の除去を行った。次に撥液層を除いた時に使用したレジストパターンを再度マスクとしてCF4ガスを用いた公知のプラズマエッチング法を用いて、石英基板をエッチング処理し吐出孔2−7及び小径部2−9(直径約8μmでほぼ円筒形状)を形成した。最後に石英基板2−1’からレジストパターン2−5’を除去することで第1プレート2Aを完成した。
次に、第2プレートを製造する。材料として高抵抗樹脂及び高抵抗ガラスを用いた場合の2通りを行った。まず、高抵抗樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート:商品名ルミラー(東レ株式会社製))を用いて、公知の射出成形法により上記の第1プレート小径部2−9の開口部がほぼ中心となる位置に、テーパ状の大径部(第1プレート側の開口直径約80μm、反対側の開口径約110μm)となる穴が開いた第2プレート2C(厚み約75μm)を製造した。
また、高抵抗ガラスである石英を用いた場合、次の通りとした。第2プレートとなる石英基板2−17(厚み約75μm)の片側の表面にドライフィルムレジスト2−15(厚み約50μm)を貼り付けた。次に公知のフォトリソグラフィ技術(露光、現像)により大径部を設けるためのレジストパターン2−15’を形成した。このレジストパターン2−15’をマスクとして、サンドブラスト法により大径穴2−19(貫通穴)を設けた。最後に石英基板2−17’からレジストパターン2−15’を除去することで第2プレート2Bを完成した。サンドブラスト法により大径穴を設けるとその加工方法の性質上、穴形状にテーパが生じ、詳しくは、第1プレート側の開口直径は約80μmで、その反対側の面の開口直径は約110μmとなり、ノズルの大径部のテーパ角度は約8.5度であった。
最後に、上記で製造した第1プレート2Aと第2プレート2Bとを接着剤を用いて貼り合わせてノズルプレート2Fを、また第1プレート2Aと第2プレート2Cとを接着剤を用いて貼り合わせてノズルプレート2Gを完成させた。
次に完成したノズルプレート2F及び2Gのボディープレート19と接合される面及び大径部15の内周面17に、帯電用電極16として、厚み約0.3μmのNiP膜を公知のスパッタリングにより設けた。
次にボディープレートを製造する。シリコン基板を用いて、公知のフォトリソグラフィ技術(レジスト塗布、露光、現像)及びドライエッチング技術を用いて、ノズルにそれぞれ連通する複数のキャビティとなるキャビティ溝、このキャビティにそれぞれ連通する複数のインク供給路となるインク供給溝及びこのインク供給に連通する共通インク室となる共通インク室溝、並びにインク供給口を形成した。
次に、これまでに用意したノズルプレート2F及び2Gとボディープレートとを接着剤を用いて貼り合わせ、図1に示すように、ボディープレート19の各キャビティ20の背面に圧力発生手段である圧電素子22を設けた液滴吐出ヘッドを、液体吐出装置1の対向電極3に対向した位置に設置し、各ピエゾ素子22と各駆動電圧電源23、静電電圧電源18と帯電用電極16、各駆動電圧電源23及び静電電圧電源18と動作制御手段4とを接続して液体吐出装置1とした。尚、対向電極3及び静電電圧電源18のマイナス端子は接地した。
第2プレートを高抵抗樹脂及び高抵抗ガラスとした液滴吐出装置1を静電電圧1.5kV、駆動電圧20Vで動作させたところ、第2プレートをどちらとした場合もインクの吐出ムラや位置ずれがない正確で安定した吐出状態となったことを確認した。
(実施例2)
ノズル径、ノズルの小径部の長さ(第1プレートの厚み)及びノズルプレートの厚み(第1プレートの厚みと第2プレートの厚みとの和)を、シミュレーションで得られた図8及び図9に示されるメニスカスの先端部の電界強度が1.5×107V/m以上となる条件で種々変えたノズルプレートを製造し、後は上記の実施例1と同じ条件とする液体吐出装置を構成して、上記の液体L1の吐出の有無を基材Kに吐出させて確認した。また、電界強度が1.5×107V/m未満となるノズルプレートも参考のために製造し、上記の液体L1の吐出の有無を基材Kに吐出させて確認した。実験の結果を表2に示す。
表2において、液体の吐出状態を示す○印は、静電電圧1.5kVの印加により安定した吐出状態が確認されたことを示している。また、液体の吐出状態を示す△印は、静電電圧1.5kVの印加では、液滴の吐出は確認できなかったが、更に高電圧を印加することにより吐出が確認されたことを示している。
表2の結果から、電界強度がシミュレーションにより1.5×107V/m以上となるノズル径、ノズルの小径部の長さ及び厚みの条件を満たすノズルプレートを有する液体吐出ヘッドからは何れも安定した液滴の吐出が確認された。一方、電界強度が1.5×107V/m未満となるノズルプレートを有する液体吐出ヘッドにおいては、シミュレーションと同一の印加電圧では液滴の吐出は確認されず、液滴を吐出させるためには更に高い電圧の印加が必要であった。
これらのことより、シミュレーションによる結果が実機による吐出実験結果と同じ結果であることがわかる。
本発明に係わる液体吐出ヘッドを断面及び液体吐出装置の全体構成を示す図である。 本発明に係わるノズルプレートの製造工程を断面図で説明する図である。 形状が異なるノズルの変形例を断面図で示す図である。 シミュレーションによるノズルの吐出孔付近の電位分布を模式的に示す図である。 実機による実験を行った液体吐出装置の全体構成を示す図である。 ノズルプレートの体積抵抗率とメニスカス先端部の電界強度との関係を示す図である。 液体吸収防止層を設けたノズルプレートの例の断面を示す図である。 ノズル径とメニスカス先端部の電界強度との関係をノズルプレートの厚さをパラメータとして示す図である。 ノズル径とメニスカス先端部の電界強度との関係を小径部の長さをパラメータとして示す図である。 本実施の形態で示す一例の液体吐出ヘッドの駆動例に関して説明する図である。
符号の説明
1 液体吐出装置
2 液体吐出ヘッド
3 対向電極
4 動作制御手段
10 ノズル
11 ノズルプレート
11a 第1プレート
11b 第2プレート
12 吐出面
13 吐出孔
14 小径部
15 大径部
16 帯電用電極
17 大径部の内周面
18 静電電圧電源
19 ボディープレート
20 キャビティ
22 ピエゾ素子
23 駆動電圧電源
25 CPU
26 ROM
27 RAM
28 撥液層
D 液滴
K 基材
L 液体

Claims (13)

  1. 吐出孔から液体が液滴として吐出されるノズルを有し液体吐出ヘッドに用いられるノズルプレートにおいて、
    前記ノズルプレートは、
    前記ノズルの吐出孔が形成されている面がフラットで体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラスからなる第1プレートと、
    前記第1プレートに重ねて、該第1プレートの前記吐出孔に連通する大径穴を有する体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂又はガラスからなる第2プレートと、で積層構成されると共に、前記第2プレートにおける前記第1プレートとの積層面とは反対側の面と前記大径穴の内周面とは導電素材で被覆されていることを特徴とするノズルプレート。
  2. 前記大径穴の径は、前記吐出孔の径より大きいことを特徴とする請求項1に記載のノズルプレート。
  3. 前記第1プレートの前記吐出孔から液体が吐出される面は撥液層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズルプレート。
  4. 前記液体吐出ヘッドは、静電吸引方式の液体吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のノズルプレート。
  5. 前記ノズルのノズル径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のノズルプレート。
  6. 吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを有し液体吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、
    体積抵抗率が1015Ω・m以上のガラス基板にフォトリソグラフィ処理及びドライエッチング処理を行い前記吐出孔を設けることで、前記ガラス基板を第1プレートとする第1プレート製造工程と、
    体積抵抗率が1015Ω・m以上の樹脂基板又はガラス基板に前記第1プレートに重ねて、該第1プレートの前記吐出孔に連通する大径穴を設けることで、前記樹脂基板又は前記ガラス基板を第2プレートとする第2プレート製造工程と、
    前記第1プレートに設けた前記吐出孔と前記第2プレートに設けた前記大径穴とが連通するように該第1プレートと該第2プレートとを貼り合わせる工程と、
    前記第2プレートにおける前記第1プレートとの貼り合わせ面とは反対側の面と前記大径穴の内周面とに導電素材からなる被覆層を設ける工程と、を有することを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  7. 前記第1プレート製造工程は、
    前記ガラス基板に金属膜を設ける工程と、
    前記金属膜にフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を行い前記吐出孔の金属膜のパターンマスクを形成する工程と、
    前記吐出孔の金属膜のパターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記吐出孔を形成する工程と、
    前記金属膜を除去する工程と、を有することを特徴とする請求項6に記載のノズルプレートの製造方法。
  8. 前記大径穴の径は、前記吐出孔の径より大きいことを特徴とする請求項6又は7に記載のノズルプレートの製造方法。
  9. 前記第1プレートの前記吐出孔から液体が吐出される面に撥液層を設ける撥液処理工程を有することを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  10. 前記液体吐出ヘッドは、静電吸引方式の液体吐出ヘッドであることを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  11. 前記ノズルのノズル径が10μm以下であることを特徴とする請求項6乃至10の何れか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  12. 吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを有するノズルプレートと、
    前記ノズルプレートと貼り合わせることで、前記ノズルに連通するキャビティとなるキャビティ溝が形成されたボディープレートとを備え、
    前記ノズル内の液体と前記ノズルプレートの液滴を吐出する面に対向して設けられた基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により液滴を吐出し前記基材に着弾させる液体吐出ヘッドにおいて、
    前記ノズルプレートは、請求項1乃至5の何れか一項に記載のノズルプレート又は請求項6乃至11の何れか一項に記載のノズルプレートの製造方法により製造されるノズルプレートであって、
    前記ノズルの前記吐出孔から吐出される液体と前記基材間に静電電圧が印加されて静電吸引力を発生させる静電電圧印加手段を備えていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  13. 前記ノズル内の液体に圧力を印加して、メニスカスを形成する圧力発生手段を備えていることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
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