JPWO2006068036A1 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

ノズルが設けられたノズルプレートと、キャビティと、液体のメニスカスを形成する圧力発生手段及びノズル内の液体に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを有する液体吐出ヘッドと、圧力発生手段を駆動する駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段と液体吐出ヘッドに対向する対向電極とを備え、吐出電圧印加手段により印加されたノズル内の液体と対向電極との間に生じる静電吸引力とノズル内に生じる圧力とにより液体を吐出する液体吐出装置において、液体のメニスカスを形成する圧力発生手段はノズルの吐出孔にノズルの半径の1.3倍以上の高さのメニスカスを形成する。

Description

本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に係り、特にフラットノズルを有する電界集中型の液体吐出装置に関する。
近年、インクジェットでの画質の高精細化の進展および工業用途における適用範囲の拡大に伴い、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請がますます強まっている。これらの課題を従来のインクジェット記録法で解決しようとすると、ノズルの微小化や高粘度のインク吐出による液吐出力の向上を図る必要が生じ、それに伴って駆動電圧が高くなり、ヘッドや装置のコストが非常に高価になってしまうため、実用に適う装置は実現されていない。
そこで、前記要請に応え、微小化されたノズルから低粘度のみならず高粘度の液滴を吐出させる技術として、ノズル内の液体を帯電させ、ノズルと液滴の着弾を受ける対象物となる各種の基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により吐出させるいわゆる静電吸引方式の液滴吐出技術が知られている(特許文献1参照)。
また、この液滴吐出技術と、ピエゾ素子の変形や液体内部での気泡の発生による圧力を利用して液滴を吐出する技術とを組み合わせた、いわゆる電界アシスト法を用いた液滴吐出装置の開発が進んでいる(例えば、特許文献2〜5等参照)。この電界アシスト法は、ピエゾ素子等の圧力発生手段であるメニスカス形成手段と静電吸引力を用いてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させることにより、メニスカスに対する静電吸引力を高め、液表面張力に打ち勝ってメニスカスを液滴化し吐出する方法である。
国際公開第03/070381号パンフレット 特開平5−104725号公報 特開平5−278212号公報 特開平6−134992号公報 特開2003−53977号公報
電界アシスト法を用いたこれらの液体吐出装置は、従来のピエゾ方式やサーマル方式を用いたインクジェット記録法に比べ、吐出効率は良いが、電界による静電吸引力が最大限に活用されていないため、メニスカスの形成や液滴の吐出が効率的に行われておらず、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請に応えようとすると、従来のインクジェット記録法と同様に、駆動電圧を高くする必要が生じ、ヘッドや装置のコストが高価になってしまうという問題があった。また、静電吸引力を高めるために印加電圧を上げると、ヘッドと基材間で絶縁破壊が発生してしまい装置を駆動できない場合が生じるという問題もあった。
しかし、圧力発生手段によるメニスカス形成時における振動により本来吐出を意図していないノズルから液体が誤射出されてしまうという問題が生じたり、ノズルから吐出される液体が糸引き状となり(以下「テーラーコーン」という)、液体がミスト状になって飛び散ったり、主液滴以外の意図しない微小な液滴すなわち「サテライト」が発生してしまうという問題があった。
そこで、本発明の課題は、誤射出が発生しにくく、さらに、ノズルから吐出される液体の形状がミスト状になって飛び散ったり、分裂してサテライトを形成したりすることを防止できる液体吐出装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、項1に記載の液体吐出装置は、液体を吐出するノズルが設けられたノズルプレートと、前記ノズルの吐出孔から吐出される液体を貯蔵するキャビティと、前記液体のメニスカスを形成する圧力発生手段及び前記ノズル内の液体に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを有する液体吐出ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動する駆動電圧の印加及び前記吐出電圧印加手段による前記吐出電圧の印加を制御する動作制御手段と前記液体吐出ヘッドに対向する対向電極とを備え、前記吐出電圧印加手段により印加された前記ノズル内の液体と前記対向電極との間に生じる静電吸引力と前記ノズル内に生じる圧力とにより液体を吐出する液体吐出装置において、液体のメニスカスを形成する圧力発生手段は前記ノズルの吐出孔に前記ノズルの半径の1.3倍以上の高さのメニスカスを形成することを特徴とする。
項1に記載の発明によれば、メニスカスの高さを1.3倍以上とすることでテーラーコーンの形成を防止することができるとともに、液体を単一の液滴として吐出することができる。
項2に記載の発明は、項1に記載の液体吐出装置であって、前記ノズルの吐出孔の内部直径が15μm以下であることを特徴とする。
項2に記載の発明によれば、ノズルの吐出孔の内部直径15μm以下とすることで、それによって形成されるメニスカスに電界集中を効率よく行うことができる。また、効率的な電界集中を行うことで微小なノズル径のノズルから微小な液体を吐出して高画質の画像を形成することが可能となる。
項3に記載の発明は、項1又は項2に記載の液体吐出装置において、前記ノズルは吐出面から突出していないフラットなノズルであることを特徴とする。
項3に記載の発明によれば、フラットノズルを使用する場合であっても、サテライトやミストの発生を防止することができる。なお、フラットなノズルとはノズルプレートから大きく突出していない形状のノズルであり、その突出高さは30μm以下のものを指す。突出量が小さい為、ノズルプレート表面のワイプ時に引っかかったり破損することもなくワイプ操作ができる利点を持つ。
項4に記載の発明は、項3に記載の液体吐出装置において、前記ノズルプレートの体積抵抗率が1015Ωm以上であることを特徴とする。
項4に記載の発明によれば、ノズルが形成されるノズルプレートとして、体積抵抗率が1015Ωm以上の材料を用いることで、静電電圧印加手段からノズル内の液体に印加される静電電圧が1.5kV程度の電圧であっても、ノズルの吐出孔部分に形成される液体のメニスカスに効果的に電界を集中することができる。
項5に記載の発明は、項4に記載の液体吐出装置において、前記液体は、導電性溶媒を含有する液体であり、前記ノズルプレートの前記液体の吸収率が0.6%以下であることを特徴とする。
項5に記載の発明によれば、ノズルプレートの導電性溶媒を含有する液体の吸収率が0.6%以上の場合には液体から導電性溶媒を吸収してしまうが、前記液体の吸収率を0.6%以下とすることで、液体から導電性の溶媒を吸収することを防止することができる。
項1に記載の発明によれば、液体をノズルから安定して吐出することができるとともに、ノズルから吐出された液体がテーラーコーン状に形成されることはなく、ミストやサテライトの発生を防ぐとともに単一の主液滴を安定して射出することが可能となり、射出の安定性及び画質の向上を図ることができる。
項2に記載の発明によれば、液体を微小液滴として安定して吐出することができる。
項3に記載の発明によれば、フラットなノズルを使用した場合であってもノズルから吐出された液体からミストやサテライトの発生を防止するとともに、安定して液体の吐出を行うことができる。
項4に記載の発明によれば、ノズルが形成されるノズルプレートとして、体積抵抗率が1015Ωm以上の材料を用いることで、静電電圧印加手段からノズル内の液体に印加される静電電圧が1.5kV程度の電圧であっても、ノズルの吐出孔部分に形成される液体のメニスカスに効果的に電界を集中することができ、メニスカスの先端部の電界強度を液滴が効率良く安定的に吐出される電界強度とすることが可能となる。
項5に記載の発明によれば、ノズルプレートの液体の吸収率が0.6%以下とすることでノズルプレートが、液体から導電性の溶媒を吸収して体積抵抗率が低下させて、ノズルから安定的な液体の吐出ができなくなるという事態が生じることを有効に防止することができ、項5に記載の発明の効果をより効果的に発揮することが可能とする。
本実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を示す断面図である。 キャビティ部分が異なるノズルの変形例を示す図である。 ノズル半径に対するメニスカスの高さ比とメニスカスの射出される電界強度との関係を表したグラフである。 シミュレーションによるノズルの吐出孔付近の電位分布を示す模式図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズルプレートの体積抵抗率との関係を示す図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズルプレートの厚さとの関係を示す図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズル径との関係を示すグラフである。 メニスカス先端部の電界強度とノズルのテーパ角との関係を示す図である。 本実施形態の液体吐出装置におけるメニスカスの高さをノズル半径の1.3倍に形成する場合の液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する図である。 本実施形態の液体吐出装置におけるメニスカスの高さをノズル半径の10倍に形成する場合の液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する図である。 本実施形態の液体吐出装置におけるメニスカスの高さをノズル半径の0.8倍に形成する場合の液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する図である。 ピエゾ素子に印加する駆動電圧の変形例を示す図である。
以下、本発明に係る液体吐出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を示す断面図である。なお、本発明の液体吐出ヘッド2は、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
本実施形態の液体吐出装置1は、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル11が形成された液体吐出ヘッド2と、液体吐出ヘッド2のノズル11に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極3とを備えている。
液体吐出ヘッド2の対向電極3に対向する側には、複数のノズル11を有する樹脂製のノズルプレート12が設けられている。液体吐出ヘッド2は、ノズルプレート12の対向電極3に対向する吐出面13からノズル11が突出されない、或いは前述したようにノズル11が30μm程度しか突出しないフラットな吐出面を有するヘッドとして構成されている(例えば、後述する図2(D)参照)。
各ノズル11は、ノズルプレート12に穿孔されて形成されており、各ノズル11には、それぞれノズルプレート12の吐出面13に吐出孔14を有する小径部15とその背後に形成されたより大径の大径部16との2段構造とされている。本実施形態では、ノズル11の小径部15および大径部16は、それぞれ断面円形で対向電極側がより小径とされたテーパ状に形成されており、小径部15の吐出孔14の内部直径(以下、ノズル径という。)が10μm、大径部16の小径部15から最も離れた側の開口端の内部直径が75μmとなるように構成されている。ノズル径は、15μm以上とすると液体を吐出するために高い吐出電圧を必要とする不利が生じ得るので15μm以下とすることが望ましい。
なお、ノズル11の形状は前記の形状に限定されず、例えば、図2(A)〜(E)に示すフラットノズルのように、形状が異なる種々のノズル11を用いることが可能である。また、ノズルは図2(F)(G)に示すようなノズルが吐出面13より吐出している突出型のノズルを用いることとしてもよい。また、ノズル11は、断面円形状に形成する代わりに、断面多角形状や断面星形状等であってもよい。
ノズルプレート12の吐出面13と反対側の面には、例えばNiP等の導電素材よりなりノズル11内の液体Lを帯電させるための帯電用電極17が層状に設けられている。本実施形態では、帯電用電極17は、ノズル11の大径部16の内周面18まで延設されており、ノズル内の液体Lに接するようになっている。
また、帯電用電極17は、静電吸引力を生じさせる静電電圧を印加する静電電圧印加手段としての静電電圧電源19に接続されており、単一の帯電用電極17がすべてのノズル11内の液体Lに接触しているため、静電電圧電源19から帯電用電極17に静電電圧が印加されると、全ノズル11内の液体Lが同時に帯電され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようになっている。
帯電用電極17の背後には、ボディ層20が設けられている。ボディ層20の前記各ノズル11の大径部16の開口端に面する部分には、それぞれ開口端にほぼ等しい内径を有する略円筒状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lを一時貯蔵するためのキャビティ21とされている。
ボディ層20の背後には、可撓性を有する金属薄板やシリコン等よりなる可撓層22が設けられており、可撓層22により液体吐出ヘッド2が外界と隔されている。
なお、ボディ層20の可撓層22との境界部には、キャビティ21に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。具体的には、ボディ層20としてのシリコンプレートをエッチング加工して共通流路および共通流路とキャビティ21とを結ぶ流路とが設けられており、共通流路には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路やキャビティ21、ノズル11等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
可撓層22の外面の各キャビティ21に対応する部分には、それぞれ圧力発生手段としての圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子23が設けられており、ピエゾ素子23には、素子に駆動電圧を印加して素子を変形させるための駆動電圧電源24が接続されている。ピエゾ素子23は、駆動電圧電源24からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル11の吐出孔14に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。なお、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータやサーマル方式等を採用することも可能である。
ここで、圧力発生手段により形成されるメニスカスの高さはノズルの半径の1.3倍以上であって6倍以下であることが好ましい。
図3は、ノズル半径に対するメニスカスの高さ比とメニスカスの射出される電界強度との関係を表したグラフであり、縦軸を電界強度[V/m]、横軸をノズル半径[μm]に対するメニスカスの高さ[μm]の比を表したものであり、後述の実験と同様の条件下において行われたものである。図3に示すグラフから明らかなように、メニスカスの射出電界強度は 1.5×10V/mに達するのは、ノズル半径に対するメニスカスの高さの比が0.8倍以上となった場合である。
しかし、メニスカスの高さをノズル半径の1.3倍以下としても液体を吐出することは可能ではあるが、その際には静電吸引力を非常に大きくする必要があるため、高エネルギーが消費されることとなりランニングコストが高くなってしまう。また、メニスカスの高さをノズル半径の1.3倍以下とするとメニスカスを押し出したときと押し出さないときとの発生する電界の差が小さく、圧力発生手段によるメニスカス形成時における振動による微小なメニスカスのゆれに反応してしまい、本来吐出を意図していないノズルから液体が誤射出されてしまうという問題が生じ得る。
また、メニスカスの高さをノズルの半径の1.3倍以下とした場合には、吐出された液体はテーラーコーン状に形成される。テーラーコーン状に形成された液体は初めは糸状の形で飛翔するが、飛翔するとともに次第に分裂し、微小な複数の液滴に変化する。それぞれの液滴はお互いに反発し合い、ミスト状となったり、サテライトとなったりする。このため、液体がテーラーコーン状に形成された場合であって、ノズルとそのノズルから吐出された液体が着弾される基材Kの距離が所定の距離以上であると、前記テーラーコーン状の液体からミスト又はサテライトが発生してしまう。
メニスカスの高さを1.3倍以上とした場合には、ノズルから吐出される液体は一つの主液滴に形成されて飛翔した後に目標地点に着弾することとなるので、ミストやサテライトを発生させることはない。
メニスカスの高さをノズルの半径の6倍以下としたのは、6倍以上とするとメニスカスを形成するのに必要な吐出電力が大きくなってしまいランニングコストの高騰を招くこととなるからである。また、6倍以上とした場合には、静電気力がなく圧力のみで吐出する範囲に近づくため、静電気力を利用する効果として、液滴の飛翔速度を維持する効果及び、飛翔方向を安定化させる効果は残るが、微小液滴を形成できる特徴と圧力発生手段への負荷を低減するメリットが損なわれるためである。
駆動電圧電源24および帯電用電極17に静電電圧を印加する前記静電電圧電源19は、それぞれ動作制御手段25に接続されており、それぞれ動作制御手段25による制御を受けるようになっている。
動作制御手段25は、本実施形態では、CPU26やROM27、RAM28等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU26は、ROM27に格納された電源制御プログラムに基づいて静電電圧電源19および各駆動電圧電源24を駆動させてノズル11の吐出孔14から液体Lを吐出させるようになっている。
なお、本実施形態では、液体吐出ヘッド2のノズルプレート12の吐出面13には、吐出孔14からの液体Lの滲み出しを抑制するための撥液層29が吐出孔14以外の吐出面13全面に設けられている。撥液層29は、例えば、液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面13に成膜されている。なお、撥液層29は、ノズルプレート12の吐出面13に直接成膜してもよいし、撥液層29の密着性を向上させるために中間層を介して成膜することも可能である。
液体吐出ヘッド2の下方には、基材Kを支持する平板状の対向電極3が液体吐出ヘッド2の吐出面13に平行に所定距離離間されて配置されている。対向電極3と液体吐出ヘッド2との離間距離は、0.1〜3.0mm程度の範囲内で適宜設定される。
本実施形態では、対向電極3は接地されており、常時接地電位に維持されている。そのため、前記静電電圧電源19から帯電用電極17に静電電圧が印加されると、ノズル11の吐出孔14の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界が生じるようになっている。また、帯電した液滴Dが基材Kに着弾すると、対向電極3はその電荷を接地により逃がすようになっている。
なお、対向電極3または液体吐出ヘッド2には、液体吐出ヘッド2と基材Kとを相対的に移動させて位置決めするための図示しない位置決め手段が取り付けられており、これにより液体吐出ヘッド2の各ノズル11から吐出された液滴Dは、基材Kの表面に任意の位置に着弾させることが可能とされている。
液体吐出装置1による吐出を行う液体Lは、例えば、無機液体としては、水、COCl、HBr、HNO、HPO、HSO、SOCl、SOCl、FSOHなどが挙げられる。
また、有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して用いてもよい。
さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを液体Lとして使用し、吐出を行う場合には、前述した液体Lに溶解又は分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。
PDP、CRT、FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO:Eu、YO:Euなど、緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・α−Al:Mnなど、青色蛍光体として、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。
上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添加するのが好ましい。用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース及びその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂及びその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミンなどのアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドン及びその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイドなどのアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白などの天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いてもよい。
液体吐出装置1をパターンニング手段として使用する場合には、代表的なものとしてはディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成、CRTの蛍光体の形成、FED(フィールドエミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形成、FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラックマトリクス層)、液晶ディスプレイ用スペーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン、ドットパターン等)などを挙げることができる。
なお、リブとは一般的に障壁を意味し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いられる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布、グラフィック用途としては、通常印刷、特殊媒体(フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、医療用途としては医薬品(微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等の塗布等に応用することができる。
ここで、本発明の液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理について本実施形態を用いて説明する。
本実施形態では、静電電圧電源19から帯電用電極17に静電電圧を印加し、ノズル11の吐出孔14の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界を生じさせる。また、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に駆動電圧を印加してピエゾ素子23を変形させ、それにより液体Lに生じた圧力でノズル11の吐出孔14に液体Lのメニスカスを形成させる。
本実施形態のように、ノズルプレート12の絶縁性が高くなると、図4にシミュレーションによる等電位線で示すように、ノズルプレート12の内部に、吐出面13に対して略垂直方向に等電位線が並び、ノズル11の小径部15の液体Lや液体Lのメニスカス部分に向かう強い電界が発生する。
特に、図4でメニスカスの先端部では等電位線が密になっていることから分かるように、メニスカス先端部では非常に強い電界集中が生じる。そのため、電界の静電力によってメニスカスが引きちぎられてノズル内の液体Lから分離されて液滴Dとなる。さらに、液滴Dは静電力により加速され、対向電極3に支持された基材Kに引き寄せられて着弾する。その際、液滴Dは、静電力の作用でより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾の際の角度等が安定し正確に行われる。
発明者らが、電極間の電界の電界強度が実用的な値である1.5kV/mmとなるように構成し、各種の絶縁体でノズルプレート12を形成して下記の実験条件に基づいて行った実験では、ノズル11から液滴Dが吐出される場合と吐出されない場合があった。[実験条件]ノズルプレート12の吐出面13と対向電極3の対向面との距離:10mmノズルプレート12の厚さ:125μmノズル径:10μm静電電圧:1.5kV駆動電圧:20V
この実機による実験で、液滴Dがノズル11から安定に吐出されたすべての場合について、メニスカス先端部の電界強度を求めた。実際には、メニスカス先端部の電界強度を直接測定することが困難であるため、電界シミュレーションソフトである「PHOTO−VOLT」(商品名、株式会社フォトン製)で電流分布解析モードによるシミュレーションにより算出した。その結果、すべての場合においてメニスカス先端部の電界強度は 1.5×10V/m(15kV/mm)以上であった。
また、前記実験条件と同様のパラメーターを同ソフトに入力してメニスカス先端部の電界強度を演算した結果、図5に示すように、電界強度はノズルプレート12に用いる絶縁体の体積抵抗に強く依存することが分かった。
図5は、ノズルプレート12に用いる絶縁体の体積抵抗率を1014Ωmから1018Ωmと置いた場合、静電電圧を印加開始し始めて後、メニスカス先端部の電界強度が変化していく様子を計算している。この計算においては空気の体積抵抗率を設定する必要があり1020Ωmとしている。図5よりノズルプレート12に用いる絶縁体のイオン分極により、その体積抵抗率が1014Ωmの場合は静電電圧を印加開始し始めて100秒後にはメニスカス先端部の電界強度が大きく低下する。この静電電圧の印加開始からメニスカス先端部の電界強度が低下し始めるまでの時間は空気の体積抵抗率とノズルプレート12に用いる絶縁体の体積抵抗率の比で決まるためノズルプレート12に用いる絶縁体の体積抵抗率が大きいほどメニスカス先端部の電界強度が低下し始める時間が遅くなる。つまり必要な電界強度が得られる時間が長くなり有利である。
文献等では絶縁体または誘電体とされる物質の体積抵抗率は1010Ωm以上のものを指すことが多く、代表的な絶縁体として知られているボリシリケイトガラス(例えば、PYREX(登録商標)ガラス)の体積抵抗率は1014Ωmである。
メニスカス先端部の電界強度がノズルプレート12の厚さに依存する理由としては、ノズルプレート12の厚さがより厚くなることで、ノズル11の吐出孔14と帯電用電極17との距離が遠くなり、ノズルプレート内の等電位線が略垂直方向に並び易くなるためメニスカス先端部への電界集中が生じ易くなることが考えられる。
また、ノズル径が小径になることで、メニスカスの径が小さくなり、より小径となったメニスカス先端部に電界が集中することで電界集中の度合が大きくなる。そのため、メニスカス先端部の電界強度が強くなると考えられる。
なお、図6に示したノズルプレート12の厚さとメニスカス先端部の電界強度との関係および図7に示したノズル径とメニスカス先端部の電界強度との関係は、本実施形態のような小径部15および大径部16よりなる2段構造のノズル11の場合のみならず、1段構造、すなわち、単純なテーパ状のノズルや円筒状のノズル、或いは多段構造のノズルの場合もほぼ同じシミュレーション結果が得られている。
さらに、前記シミュレーションにおいて、小径部15および大径部16の区別がないテーパ状または円筒状の1段構造のノズル11において、ノズル11のテーパ角を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度の変化を図8に示す。この結果から、メニスカス先端部の電界強度は、ノズル11のテーパ角に依存することが分かる。ノズル11のテーパ角は30°以下であることが好ましい。なお、テーパ角とはノズル10の内面とノズルプレート11の吐出面12の法線とがなす角のことをいい、テーパ角が0°の場合はノズル10が円筒形状であることに対応する。
また、前記実験条件と同様のパラメータを同ソフトに入力してメニスカス先端部の電界強度を演算した結果、図5に示すように、電界強度はノズルプレート12に用いる絶縁体の体積抵抗率に強く依存することが分かった。文献等では絶縁体または誘電体とされる物質の体積抵抗率は1010Ωm以上のものを指すことが多く、代表的な絶縁体として知られているボロシリケイトガラス(例えば、PYREX(登録商標)ガラス)の体積抵抗率は1014Ωmである。
しかし、このような体積抵抗率の絶縁体では、液滴Dは吐出されない。
これは、射出有無の評価中、または評価する前に電界強度が低下してしまい必要な電界強度が得られなくなった為と推定される。なお、射出評価に要した時間および観察時間から空気の体積抵抗率を1020Ωmとした場合が実験結果と合致した。
一旦、メニスカス先端部を電界強度が低下した後は、ノズルプレート12に用いる絶縁体のイオン分極を除電し、初期状態に戻す必要がある。
前記のように、ノズル11から液滴Dを安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度が 1.5×10V/m以上であることが必要であり、図5から、ノズルプレート12の体積抵抗率は少なくとも1000秒(15分間)メニスカス先端部の電界強度が維持できる1015Ωm以上が実用上必要であることが分かり実験上も同様の結果であった。
ノズルプレート12の体積抵抗率とメニスカス先端部の電界強度との関係が図5のような特徴的な関係になるのは、ノズルプレート12の体積抵抗率が低いと、静電電圧を印加してもノズルプレート内で等電位線が図4に示したように吐出面13に対して略垂直方向に並ぶような状態にはならず、ノズル内の液体Lおよび液体Lのメニスカスへの電界集中が十分に行われないためであると考えられる。
理論上、体積抵抗率が1015Ωm未満のノズルプレート12でも、静電電圧を非常に大きくすればノズル11から液滴Dが吐出される可能性はあるが、電極間でのスパークの発生等により基材Kが損傷される可能性があるため、体積抵抗率が1015Ωmのノズルプレート採用が好ましい。
なお、図5に示したようなメニスカス先端部の電界強度のノズルプレート12の体積抵抗率に対する特徴的な依存関係は、ノズル径を種々に変化させてシミュレーションを行った場合でも同様に得られており、どの場合も体積抵抗率が1015Ωm以上の場合にメニスカス先端部の電界強度が 1.5×10V/m以上になることが分かっている。また、前記実験条件中のノズルプレート12の厚さとは、本実施形態の場合は、ノズル11の小径部15の長さと大径部16の長さの和に等しい。
一方、体積抵抗率が1015Ωm以上の絶縁体を用いてノズルプレート12を作製しても、ノズル11から液滴Dが吐出されない場合がある。下記実施例1に示すように、液体Lとして水などの導電性溶媒を含有する液体を用いた実験では、ノズルプレート12の液体の吸収率が0.6%以下であることが必要であることが分かった。
これは、ノズルプレート12が液体L中から導電性溶媒を吸収すると導電性の液体である水分子等の分子が本体絶縁性であるノズルプレート12内に存在することになるため、結果的にノズルプレート12の電気伝導度が高くなり、特に液体Lに接する局部の実効的な体積抵抗率の値が低下し、図5に示す関係に従ってメニスカス先端部の電界強度が弱まり、液体Lの吐出に必要な電界集中が得られなくなるためと考えられる。
一方、下記実施例1によれば、液体Lとして導電性溶媒を含まない絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体を用いた場合には、ノズルプレート12は、その液体に対する吸収率に係わりなく体積抵抗率が1015Ωm以上であれば液体Lを吐出することが分かった。これは、絶縁性溶媒がノズルプレート12内に吸収されても絶縁性溶媒の電気伝導度が低いためノズルプレート12の電気伝導度が大きく変化せず、実効的な体積抵抗率が低下しないためであると考えられる。
なお、前記絶縁性溶媒に分散されている帯電可能な粒子は、例えば、電気伝導度が極めて大きな金属粒子であってもノズルプレート12には吸収されないため、ノズルプレート12の電気伝導度を高めることはない。なお、前記絶縁性溶媒とは、単体では静電吸引力により吐出されない溶媒をいい、具体的には、例えば、キシレンやトルエン、テトラデカン等が挙げられる。また、導電性溶媒とは、電気伝導度が10−10S/cm以上の溶媒をいう。
次に、本実施形態の液体吐出ヘッド2及び液体吐出装置1の作用について説明する。
図9は、本実施形態の液体吐出装置における液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する、メニスカスの高さをノズル半径の1.3倍(=d)に形成した場合の図である。なお、この場合は、静電電圧電源19から帯電用電極17に印加される一定の静電電圧Vは1.5kVに設定されており、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に印加されるパルス状の駆動電圧Vは20Vに設定されている。
液体吐出装置1の動作制御手段25は、静電電圧電源19から帯電用電極17に一定の静電電圧Vを印加させる。これにより、液体吐出ヘッド2の各ノズル11には常時一定の静電電圧Vが印加され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間に電界が生じる。
また、動作制御手段25は、液滴Dを吐出させるべきノズル11ごとに、そのノズル11に対応する駆動電圧電源24からピエゾ素子23に対してパルス状の駆動電圧Vを印加させる。このような駆動電圧Vが印加されると、ピエゾ素子23が変形してノズル内部の液体Lの圧力を上げ、ノズル11の吐出孔14では、図中Aの状態からメニスカスが隆起し始め、Bのようにメニスカスが大きく隆起した状態となる。
すると、前述したように、メニスカス先端部に高度な電界集中が生じて電界強度が非常に強くなり、メニスカスに対して前記静電電圧Vにより形成された電界から強い静電力が加わる。この強い静電力による吸引とピエゾ素子23による圧力とにより図中Cのようにメニスカスが引きちぎられて、ミストやサテライトが発生することなく液滴Dが形成される。図中Dのように液滴Dは基材Kに向かって飛翔し、その後図中Eのように電界で加速されて対向電極方向に吸引され、対向電極3に支持された基材Kの目標地点に正確に着弾する。
図10は、本実施形態の液体吐出装置における液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する、メニスカスの高さをノズル半径の10倍(=d)に形成した場合の図である。なお、この場合は、静電電圧電源19から帯電用電極17に印加される一定の静電電圧Vは2.0kVに設定されており、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に印加されるパルス状の駆動電圧Vは15Vに設定されている。また、メニスカスの高さをノズル半径の1.3倍に形成した場合と同一の部分については説明を省略する。
メニスカスの高さをノズル半径の10倍に形成する場合には、図中Cに示すように液滴は一旦ノズルから吐出されるが、その後図中Dに示すように飛翔している最中に複数の液滴に分裂する。その後図中Eに示すように、分裂下液滴は電界で加速されて対向電極方向に吸引され、対向電極3に支持された基材Kの目標地点のみだけでなく他の地点にも着弾する。
図11は、本実施形態の液体吐出装置における液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する、メニスカスの高さをノズル半径の0.8倍(=d)に形成した場合の図である。なお、この場合は、静電電圧電源19から帯電用電極17に印加される一定の静電電圧Vは3.0kVに設定されており、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に印加されるパルス状の駆動電圧Vは10Vに設定されている。また、この場合もメニスカスの高さをノズル半径の1.3倍に形成した場合と同一の部分については説明を省略する。
メニスカスの高さをノズル半径の0.8倍に形成する場合には、液体は一旦テーラーコーン状に形成されてから図中Cに示すように吐出され、その後図中Dに示すように飛翔している最中に複数の微小な液滴に分裂する。そして、それぞれの液滴は後図中Eに示すように、基材Kの目標地点に必ずしも着弾せずミストが発生する。
なお、ピエゾ素子23に印加する駆動電圧Vとしては、本実施形態のようにパルス状の電圧とすることも可能であるが、この他にも、例えば、電圧が漸増した後漸減するいわば三角状の電圧や、電圧が漸増した後一旦一定値を保ちその後漸減する台形状の電圧、或いはサイン波の電圧を印加するように構成することも可能である。また、図12(A)に示すように、ピエゾ素子23に常時電圧Vを印加しておいて一旦切り、再度電圧Vを印加してその立ち上がり時に液滴Dを吐出させるようにしてもよい。また、図12(B)、(C)に示すような種々の駆動電圧Vを印加するように構成してもよく適宜決定される。
以上のように、本実施形態にかかる発明によれば、液体をノズルから安定して吐出することができるとともに、ノズルから吐出された液体が液滴上に形成され、ミストやサテライトの発生を防いで射出の安定性を得ることができる。
メニスカスの高さをノズルの半径の1.3倍以上の高さに形成した場合には、ノズルか吐出される液体の形状を液滴状に形成するのでミストやサテライトが生じる恐れはなく、ノズルの基材の距離に関係なく射出を安定して行うことができる。
また、ノズルの半径を15μm以下とすることで、微小な液滴を安定して吐出することができる。
実施例1
本実施形態のノズルの半径、メニスカスの高さ、及びインクジェットヘッドノズル面と基材Kの距離について種々の変更を行い、ノズル11の吐出孔14から吐出される液体の射出状態を確認した。
液体吐出ヘッド2の構成は、前記実験条件と同様の条件で作製し、インクジェットヘッドノズル面と基材Kの距離は10mmとした。メニスカスの高さはメニスカスの隆起高さを観察しながら、ピエゾ素子に印加する電圧Vを調整した。
また、吐出電圧Vcを変化させ吐出する状態に調整した。上限は2kVとした。順次吐出電圧Vcを変化させながら吐出状態を観察し最も吐出状態の良い条件での結果を表1に記載した。観察には、ストロボライト照射下で5000倍レンズCCDカメラを使用した。
また、吐出する液体は、は水を47%エチレングリコールとプロピレングリコールを夫々22%界面活性剤を1%染料(CIアシッドレッド1)を3%含有する物を用いた。ノズルは撥液加工をした125μm厚みのポリエチレンテレフタレートシート(体積抵抗率1015Ωm)にレーザー加工で形成したフラットノズルを用いた。
実験結果は下記の表1のようになった。なお、表における「○」とは誤射出が生じず、またミストやサテライトも発生しない場合を意味し、×とは、誤射出、ミスト又はサテライトのいずれかが発生した場合を意味する。
この結果から、ノズルの直径を15μm以下としない場合には液体が吐出されず、×であった。
また、メニスカスの高さがノズル半径の1.3倍未満の場合には、誤出射が生じたり、ミストやサテライトが発生して×であった。
また、メニスカスの高さがノズルの半径の1.3倍以上の場合には、液体は単一の主液滴に形成されて吐出され、ミストやサテライトも発生せず射出状態は良好で○であった。

Claims (5)

  1. 液体を吐出するノズルが設けられたノズルプレートと、前記ノズルの吐出孔から吐出される液体を貯蔵するキャビティと、前記液体のメニスカスを形成する圧力発生手段及び前記ノズル内の液体に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段とを有する液体吐出ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動する駆動電圧の印加及び前記吐出電圧印加手段による前記吐出電圧の印加を制御する動作制御手段と前記液体吐出ヘッドに対向する対向電極とを備え、前記吐出電圧印加手段により印加された前記ノズル内の液体と前記対向電極との間に生じる静電吸引力と前記ノズル内に生じる圧力とにより液体を吐出する液体吐出装置において、液体のメニスカスを形成する圧力発生手段は前記ノズルの吐出孔に前記ノズルの半径の1.3倍以上の高さのメニスカスを形成することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記ノズルの吐出孔の内部直径が15μm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の液体吐出装置。
  3. 前記ノズルは吐出面から突出していないフラットなノズルであることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の液体吐出装置。
  4. 前記ノズルプレートの体積抵抗率が1015Ωm以上であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体は、導電性溶媒を含有する液体であり、前記ノズルプレートの前記液体の吸収率が0.6%以下であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の液体吐出装置。
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