JP4335612B2 - 液体吐出方法及び配線パターン形成方法 - Google Patents

液体吐出方法及び配線パターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材に溶液を吐出する液体吐出方法及び基材に配線パターンを形成する配線パターン形成方法に関する。
従来のインクジェット記録方式としては、圧電素子の振動によりインク流路を変形させることによりインク液滴を吐出させるピエゾ方式、インク流路内に発熱体を設け、その発熱体を発熱させて気泡を発生させ、気泡によるインク流路内の圧力変化に応じてインク液滴を吐出させるサーマル方式、インク流路内のインクを帯電させてインクの静電吸引力によりインク液滴を吐出させる静電吸引方式が知られている。
従来の静電吸引方式のインクジェットプリンタとして、先端部からインクの吐出を行う複数の凸状インクガイドと、各インクガイドの先端に対向して配設されると共に接地された対向電極と、各インクガイドごとにインクに吐出電圧を印加する吐出電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、凸状インクガイドは、インクを案内するスリット幅が異なる二種類のものを用意し、これらのものを使い分けることで、二種類の大きさの液滴を吐出可能とすることを特徴とする。
さらに、この従来のインクジェットプリンタは、吐出電極にパルス電圧を印加することでインク液滴を吐出し、吐出電極と対向電極間で形成された電界によりインク液滴を対向電極側に導いている。
また、インクジェット技術を用いてプラスチック基板やガラス基板の表面に所定のパターンを描画する方法が知られているが、親油性(疎水性)を有する基板の表面にインク等の疎水性の液滴を吐出すると、基板表面に着弾した液滴が濡れ拡がって着弾物のパターンが崩れてしまい、微細な細線等のパターンニングに支障をきたす場合がある。さらに、金属微粒子を含む液滴を吐出して基板表面に回路の配線パターンを描画する場合において、上記のようにパターンニングを適正に行うことができないと、所望の特性を得られなかったり回路がショートしたりしてしまうといった問題があった。
そこで、パターン形成の前に、プラズマ処理等により基板の表面に疎水性や親水性の領域をパターンニングする基板の表面処理方法が開発されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平11−277747号公報(第2図及び第3図) 特表2003−518756号公報
しかしながら、上記従来例には以下の問題がある。
(1)微小液滴形成の限界と安定性
ノズル径が大きいため、ノズルから吐出される液滴の形状が安定せず、液滴の微小化に限界がある。
(2)高印加電圧
微小液滴の吐出のためには、ノズルの吐出口の微細化を図ることが重要因子となってくるが、従来の静電吸引方式の原理では、ノズル径が大きいことにより、ノズル先端部の電界強度が弱く、液滴を吐出するのに必要な電界強度を得るために、高い吐出電圧(例えば2000[V]に近い非常に高い電圧)を印加する必要があった。従って、高い電圧を印加するために、電圧の駆動制御が高価になり、さらに、安全性の面からも問題があった。
そこで、微小液滴を吐出可能な液体吐出方法を提供することを第一の目的とする。また同時に、安定した液滴を吐出することが可能な液体吐出方法を提供することを第二の目的とする。さらに、微小液滴を吐出可能で、且つ着弾精度の良い液体吐出方法の提供を第三の目的とする。さらに、印加電圧を低減することを可能とし、安価で安全性の高い液体吐出方法を提供することを第四の目的とする。
また、基材表面に着弾した液滴の濡れ拡がりを抑制する上で適用される上記特許文献2等の基材の表面処理方法にあっては、複雑な処理を必要とするために、作業が煩雑であり、着弾物(パターン)の形成を簡便に行うことができない。即ち、基材の表面にパターンを直接描画することができるというインクジェット技術の利点を生かしきれていない。そこで、基材に着弾した液滴の濡れ拡がりの抑制を容易に図ることができ、これにより、着弾物の形成を簡便に且つ適正に行うことができる液体吐出方法を提供することを第五の目的とする。
請求項1に記載の発明は、先端部の内部直径が0.2[μm]より大きく8[μm]以下のノズル内の溶液に対する吐出電圧の印加に基づいて、前記ノズルの先端部から前記先端部に対向配置された基材に対し、帯電した溶液を液滴として吐出する吐出工程を備える液体吐出方法であって、
前記吐出工程の前に、前記基材の液滴受面一面に当該液滴受面よりも前記溶液に対して高い撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程を備え
前記吐出工程において、前記撥液性を有する撥液層が一面に形成された前記基材の液滴受面に前記液滴を吐出することを特徴としている。
以下、ノズル径という場合には、液滴を吐出する先端部におけるノズルの内部直径(ノズルの先端部の内部直径)を示すものとする。なお、ノズル内の液体吐出穴の断面形状は円形に限定されるものではない。例えば、液体吐出穴の断面形状が多角形、星形その他の形状である場合にはその断面形状の外接円が25[μm]以下となることを示すものとする。以下、ノズル径或いはノズルの先端部の内部直径という場合において、他の数値限定を行っている場合にも同様とする。また、ノズル半径という場合には、このノズル径(ノズルの先端部の内部直径)の1/2の長さを示すものとする。
さらに、本発明において、「基材」とは吐出された溶液の液滴の着弾を受ける対象物をいい材質的には特に限定されない。従って、例えば、上記構成をインクジェットプリンタに適応した場合には、用紙やシート等の記録媒体が基材に相当し、導電性ペーストを用いて回路の形成を行う場合には、回路が形成されるべきベースが基材に相当することとなる。
また、上記構成にあっては、ノズルの先端部に液滴受面が対向するように、ノズル又は基材が配置される。これら相互の位置関係を実現するための配置作業は、ノズルの移動又は基材の移動のいずれにより行っても良い。
そして、ノズル内の溶液は吐出を行うために帯電した状態にあることが要求される。なお、溶液の帯電は、吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段により吐出されない範囲での帯電専用の電極による電圧印加により行っても良い。
請求項1に記載の発明によれば、基材の液滴受面一面に当該液滴受面よりも溶液に対して高い撥液性を有する撥液層を形成して、その後、撥液性を有する撥液層が一面に形成された基材の液滴受面に対してノズルから溶液を液滴として吐出するので、基材の液滴受面に着弾した液滴は液滴受面になじみにくくなって、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができる。即ち、ノズルの先端部の内部直径を0.2[μm]より大きく8[μm]以下とすることによって、当該ノズルから吐出される液滴を微小なものとすることができ、この微小な液滴は従来のインクジェット技術を用いて吐出される液滴よりも速い速度で乾燥することとなる。つまり、液滴が液滴受面に着弾してから乾燥・固定するまでの時間が極めて短いため、この短時間内の液滴の濡れ拡がりを、液滴受面に撥液層を設けることにより容易に抑制することができ、これにより、着弾物の形成を簡便に且つ適正に行うことができる。
また、上記構成にあっては、ノズルを従来にないノズル径が[μm]以下のノズルとすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めることに特徴がある。ノズルの小径化に関しては後の記載により詳述する。かかる場合、ノズルの先端部に対向する対向電極がなくとも液滴の吐出を行うことが可能である。例えば、対向電極が存在しない状態で、ノズル先端部に対向させて基材を配置した場合、当該基材が導体である場合には、基材の液滴受面を基準としてノズル先端部の面対称となる位置に逆極性の鏡像電荷が誘導され、基材が絶縁体である場合には、基材の液滴受面を基準として基材の誘電率により定まる対称位置に逆極性の映像電荷が誘導される。そして、ノズル先端部に誘起される電荷と鏡像電荷又は映像電荷間での静電力により液滴の飛翔が行われる。
但し、本発明の構成は、対向電極を不要とすることを可能とするが、対向電極を併用しても構わない。対向電極を併用する場合には、当該対向電極の対向面に沿わせた状態で基材を配置すると共に対向電極の対向面がノズルからの液滴吐出方向に垂直に配置されることが望ましく、これにより、ノズル−対向電極間での電界による静電力を飛翔電極の誘導のために併用することも可能となるし、対向電極を接地すれば、帯電した液滴の電荷を空気中への放電に加え、対向電極を介して逃がすことができ、電荷の蓄積を低減する効果も得られるので、むしろ併用することが望ましい構成といえる。
また、ノズルの先端部の内部直径を8[μm]以下とすることにより、電界強度分布が狭くなる。このことにより、さらに電界を集中させることができる。その結果、形成される液滴をさらに微小で且つ形状の安定化したものとすることができると共に、総印加電圧を低減することができる。また、液滴は、ノズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズルから離れると電界は急激に低下するので、その後は、空気抵抗により減速する。しかしながら、微小液滴でかつ電界が集中した液滴は、対向電極に近づくにつれ、鏡像力により加速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。
また、飛翔時に対向電極の距離の変動が電界強度分布に影響することを低減させることができるので、対向電極の位置精度や基材の特性や厚さの液滴形状への影響や着弾精度への影響を低減することができる。
さらに、電界集中の度合いが高まることにより、多ノズル化時のノズルの高密度化で課題となる電界クロストークの影響が軽減し、一層の高密度化が可能となる。
また、ノズルの先端部の内部直径を0.2[μm]より大きくすることで、液滴の帯電効率を向上させることができるので、液滴の吐出安定性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体吐出方法において、
前記溶液は、疎水性を有するものであり、
前記撥液層は、親水性を有してなることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、溶液は、疎水性を有するものであり、撥液層は、親水性を有しているので、基材の液滴受面に形成された撥液層は溶液に対して撥性を示すこととなって、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の液体吐出方法において、
前記撥液層は、水酸基を有する化合物を含有してなることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、撥液層は、水酸基を有する化合物を含有しているので、撥液層は溶液に対して十分な撥性を示すこととなる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液体吐出方法において、
前記水酸基は、フェノール性水酸基であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、水酸基は、フェノール性水酸基であるので、フェノール性水酸基の有する抗酸化機能により基材の液滴受面に着弾した液滴の酸化を防止することができる。特に、基材に回路の配線パターンを形成する場合において、金属微粒子を含有する溶液の酸化を防止することができ、回路の抵抗値の調整等を適正に行うことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液体吐出方法において、
前記フェノール性水酸基を有する化合物は、ポリビニルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びレゾール樹脂のうちから選ばれる何れか一の樹脂であることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、撥液層は、ポリビニルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びレゾール樹脂のうちから選ばれる何れか一の樹脂から構成されているので、当該撥液層を絶縁性の優れたものとすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5の何れか一項に記載の液体吐出方法において、
前記撥液層形成工程は、
溶媒に溶解された前記親水性を有する化合物を前記基材の前記液滴受面に塗布する化合物塗布工程と、
前記液滴受面に塗布された前記溶媒を乾燥する溶媒乾燥工程と、を含むことを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、請求項2〜5に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、溶媒に溶解された親水性を有する化合物を基材の液滴受面に塗布した後、液滴受面に塗布された溶媒を乾燥させることにより、基材の液滴受面に撥液層を簡便に形成することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の液体吐出方法において、
前記溶媒は、親水性を有するものであることを特徴としている。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、溶媒は、親水性を有するものであるので、基材の液滴受面に撥液層を形成した後、この撥液層中に溶媒が残留した場合であっても、残留溶媒に起因した撥液層の溶液に対する撥性の低下を抑制することができる。即ち、例えば溶媒が溶液と同様の疎水性を有していると、残留溶媒により撥液層の溶液に対する撥性が低下してしまうこととなるが、溶媒が撥液層と同様の親水性を有するものであるので、撥液層の撥性が残留溶媒により低下せずに、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の液体吐出方法において、
前記溶媒は、水酸基を有してなることを特徴としている。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、溶媒は、水酸基を有しているので、残留溶媒に起因した撥液層の溶液に対する撥性の低下の抑制をさらに適正に行うことができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6〜8の何れか一項に記載の液体吐出方法において、
前記化合物塗布工程は、スピンコート、ロッドコート及びビードコートのうちから選ばれる何れか一の方法により行うことを特徴としている。
請求項9に記載の発明によれば、請求項6〜8に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、スピンコート、ロッドコート及びビードコートのうちから選ばれる何れか一の方法によって、有機溶媒に溶解された親水性を有する化合物を基材の液滴受面に塗布するので、撥液層の厚さをより均一なものとすることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項4〜10の何れか一項に記載の液体吐出方法により金属ペーストからなる溶液を吐出して前記基材に配線パターンを形成する配線パターン形成方法であって、
前記吐出工程の後に、前記基材の前記液滴受面に着弾した前記金属ペーストからなる配線パターンを焼結させる焼結工程を備えることを特徴としている。
請求項11に記載の発明によれば、請求項4〜10に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、吐出工程の後に、基材の液滴受面に着弾した金属ペーストからなる配線パターンを焼結させる焼結工程を行うようになっている。従って、焼結の際に、金属ペーストに含まれる表面活性な金属微粒子の酸化を、基材の液滴受面に形成された撥液層に含まれるフェノール性水酸基を有する化合物の抗酸化機能によって防止することができ、配線パターンの抵抗値の調整を適正に行うことができる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の液体吐出方法おいて、
前記ノズルの前記内部直径が4[μm]以下であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1〜9の何れか一項に記載の発明同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、ノズルの先端部の内部直径を4[μm]以下とすることによって、顕著な電界の集中を図ることができ、最大電界強度を高くすることができ、形状の安定な液滴の超微小化と、液滴の初期吐出速度を大きくすることができる。これにより、飛翔安定性が向上することにより、着弾精度をさらに向上させ、吐出応答性を向上することができる。
さらに、電界集中の度合いが高まることにより、多ノズル化時のノズルの高密度化で課題となる電界クロストークの影響が受けにくくなり、より一層の高密度化が可能となる。
さらに、上記各請求項の構成において、
(1)ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に吐出電圧印加用の電極を挿入あるいは当該電極として機能するメッキ形成を行うことが好ましい。
(2)上記各請求項の構成又は上記(1)の構成において、ノズルを電気絶縁材で形成し、ノズル内に電極を挿入或いは電極としてのメッキを形成すると共にノズルの外側にも吐出用の電極を設けることが好ましい。
ノズルの外側の吐出用電極は、例えば、ノズルの先端側端面或いは、ノズルの先端部側の側面の全周若しくは一部に設けられる。
(1)及び(2)により、上記各請求項による作用効果に加え、吐出力を向上させることができるので、ノズル径をさらに微細化しても、低電圧で液滴を吐出することができる。
(3)上記各請求項の構成、上記(1)又は(2)の構成において、基材を導電性材料または絶縁性材料により形成することが好ましい。
(4)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)又は(3)の構成において、吐出電圧印加手段よる吐出電圧Vを、
Figure 0004335612
で表される領域において駆動することが好ましい。
ただし、γ:液体の表面張力(N/m)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル直径(m)、h:ノズル−基材間距離(m)、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
ノズル内の溶液に対して上式(1)の範囲の吐出電圧Vの印加が行われる。上式(1)において、吐出電圧Vの上限の基準となる左側の項は、従来におけるノズル−対向電極間での電界による液滴吐出を行う場合での限界最低吐出電圧を示す。本発明は、前述したように、ノズルの超微細化による電界集中の効果により、微小液滴の吐出を、従来技術では実現されなかった従来の限界最低吐出電圧よりも低い範囲に吐出電圧Vを設定しても、実現することができる。
また、上式(1)における吐出電圧Vの下限の基準となる右側の項は、ノズル先端部における溶液による表面張力に抗して液滴の吐出を行うための本発明の限界最低吐出電圧を示す。つまり、この限界最低吐出電圧よりも低い電圧を印加しても液滴の吐出は実行されないが、例えば、この限界最低吐出電圧を境界とするこれより高い値を吐出電圧とし、これより低い値の電圧と吐出電圧とを切り替えることで、吐出動作のオンオフの制御を行うことができる。即ち、電圧の高低の切替のみにより吐出動作のオンオフの制御が可能となる。なお、この場合、吐出のオフ状態に切り替える低電圧値は、限界最低吐出電圧に近いことが望ましい。これにより、オンオフの切替における電圧変化幅を狭小化し、応答性の向上を図ることが可能となるからである。
(5)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)又は(4)の構成において、印加する吐出電圧が1000V以下であることが好ましい。
吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御を容易とすると共に装置の耐久性の向上及び安全対策の実行により確実性の向上を容易に図ることが可能となる。
(6)上記各請求項の構成、上記(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の構成において、印加する吐出電圧が500V以下であることが好ましい。
吐出電圧の上限値をこのように設定することにより、吐出制御をより容易とすると共に装置の耐久性のさらなる向上及び安全対策の実行により確実性のさらなる向上を容易に図ることが可能となる。
(7)上記各請求項の構成、上記(1)〜(6)のいずれかの構成において、ノズルと基材との距離が500[μm]以下とすることが、ノズル径を微細にした場合でも高い着弾精度を得ることができるので好ましい。
(8)上記各請求項の構成、上記(1)〜(7)のいずれかの構成において、ノズル内の溶液に圧力を印加するように構成することが好ましい。
(9)上記各請求項の構成、上記(1)〜(8)いずれかの構成において、単一パルスによって吐出する場合、
Figure 0004335612
により決まる時定数τ以上のパルス幅Δtを印加する構成としても良い。ただし、ε:溶液の誘電率(F/m)、σ:溶液の導電率(S/m)とする。
本発明によれば、基材の液滴受面一面には、当該液滴受面よりも溶液に対して高い撥液性を有する撥液層が形成されているので、その後、撥液性を有する撥液層が一面に形成された基材の液滴受面に対してノズルから溶液を液滴として吐出しても、基材の液滴受面に着弾した液滴は液滴受面になじみにくくなって、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができる。即ち、ノズルの先端部の内部直径を0.2[μm]より大きく8[μm]以下とすることによって、当該ノズルから吐出される液滴を微小なものとすることができ、この微小な液滴は従来のインクジェット技術を用いて吐出される液滴よりも速い速度で乾燥することとなる。つまり、液滴が液滴受面に着弾してから乾燥・固定するまでの時間が極めて短いため、この短時間内の液滴の濡れ拡がりを、液滴受面に撥液層を設けることにより容易に抑制することができ、これにより、着弾物の形成を簡便に且つ適正に行うことができる。
また、本発明によれば、従来のようにノズルと対向電極間に形成される電界により生じる静電力を利用して液滴を飛翔させるものではなく、ノズルを従来にない超微細径(0.2[μm]より大きく8[μm]以下のノズル径)とすることでノズル先端部に電界を集中させて電界強度を高めると共にその際に誘導される基材側の鏡像電荷或いは映像電荷までの間に生じる電界の静電力により液滴の飛翔を行っている。
従って、基材が導電体であっても絶縁体であっても良好に液滴の吐出を行うことが可能となる。また、対向電極の存在を不要とすることが可能となる。さらに、これにより、装置構成における備品点数の低減を図ることが可能となる。よって、本発明を業務用インクジェットシステムに適用した場合、システム全体の生産性の向上に貢献し、コスト低減をも図ることが可能となる。
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
以下の実施形態で説明する液体吐出装置のノズル径は、25[μm]以下であることが好ましく、さらに好ましくは20[μm]未満、さらに好ましくは10[μm]以下、さらに好ましくは8[μm]以下、さらに好ましくは4[μm]以下とすることが好ましい。また、ノズル径は、0.2[μm]より大きいことが好ましい。以下、ノズル径と電界強度との関係について、図1〜図6を参照しながら以下に説明する。図1〜図6に対応して、ノズル径をφ0.2,0.4,1,8,20[μm]及び参考として従来にて使用されているノズル径φ50[μm]の場合の電界強度分布を示す。
ここで、各図において、ノズル中心位置とは、ノズル先端の液体吐出孔の液体吐出面の中心位置を示す。また、各々の図の(a)は、ノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。なお、印加電圧は、各条件とも200[V]と一定にした。図中の分布線は、電荷強度が1×106[V/m]から1×107[V/m]までの範囲を示している。
図7に、各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。
図1〜図6から、ノズル径がφ20[μm](図5)以上だと電界強度分布は広い面積に広がっていることが分かった。また、図7の図表から、ノズルと対向電極の距離が電界強度に影響していることも分かった。
これらのことから、ノズル径がφ8[μm](図4)以下であると電界強度は集中すると共に、対向電極の距離の変動が電界強度分布にほとんど影響することがなくなる。従って、ノズル径がφ8[μm]以下であれば、対向電極の位置精度及び基材の材料特性のバラ付きや厚さのバラツキの影響を受けずに安定した吐出が可能となる。
次に、上記ノズルのノズル径とノズルの先端位置に液面があるとした時の最大電界強度と強電界領域の関係を図8に示す。
図8に示すグラフから、ノズル径がφ4[μm]以下になると、電界集中が極端に大きくなり最大電界強度を高くすることができるのが分かった。これによって、溶液の初期吐出速度を大きくすることができるので、液滴の飛翔安定性が増すと共に、ノズルの先端部での電荷の移動速度が増すために吐出応答性が向上する。
続いて、吐出した液滴における帯電可能な最大電荷量について、以下に説明する。液滴に帯電可能な電荷量は、液滴のレイリー分裂(レイリー限界)を考慮した以下の(3)式で示される。
Figure 0004335612
ここで、qはレイリー限界を与える電荷量(C)、ε0は真空の誘電率(F/m)、γは溶液の表面張力(N/m)、d0は液滴の直径(m)である。
上記(3)式で求められる電荷量qがレイリー限界値に近いほど、同じ電界強度でも静電力が強く、吐出の安定性が向上するが、レイリー限界値に近すぎると、逆にノズルの液体吐出孔で溶液の霧散が発生してしまい、吐出安定性に欠けてしまう。
ここで、ノズルのノズル径とメニスカス部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示すグラフを図9に示す。
図9に示すグラフから、ノズル径がφ0.2[μm]からφ4[μm]の範囲において、吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比が0.6を超え、液滴の帯電効率が良い結果となっており、該範囲において安定した吐出が行えることが分かった。
例えば、図10に示すノズル径とノズルの先端部の強電界(1×106[V/m]以上)の領域の関係で表されるグラフでは、ノズル径がφ0.2[μm]以下になると電界集中の領域が極端に狭くなることが示されている。このことから、吐出する液滴は、加速するためのエネルギーを十分に受けることができず飛翔安定性が低下することを示す。よって、ノズル径はφ0.2[μm]より大きく設定することが好ましい。
[液体吐出装置]
(液体吐出装置の全体構成)
以下、液体吐出装置100について図11及び図12に基づいて説明する。図11は、本発明を適用した一実施の形態として例示する液体吐出装置100のうち、溶液の吐出動作に直接関わりある構成のみを図示したノズル51に沿った断面図である。また、図12は溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、図12(A)は吐出を行わない状態であり、図12(B)は吐出状態を示す。
図11に示すように、液体吐出装置100は、帯電可能な溶液の液滴をその先端部から吐出する超微細径のノズル51と、ノズル51の先端部に対向する対向面を有すると共にその対向面で液滴の着弾を受ける基材Kを支持する対向電極23と、ノズル51内に溶液を供給する溶液供給部53と、ノズル51内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段35とを備えている。なお、上記ノズル51と溶液供給部53の一部の構成と吐出電圧印加手段35の一部の構成はノズルプレート56により一体的に形成されている。
また、説明の便宜上、図12ではノズル51の先端部が上方を向いた状態で図示されているが、実際上は、ノズル51が水平方向か或いはそれよりも下方、より望ましくは垂直下方に向けた状態で使用される。
ここで、液体吐出装置100の液滴の吐出に直接関わりある構成について先に説明することとする。
(溶液)
上記液体吐出装置100による吐出を行う溶液の例としては、無機液体としては、水、COCl2、HBr、HNO3、H3PO4、H2SO4、SOCl2、SO2Cl2、FSO3Hなどが挙げられる。
また、有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、などのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類、などが挙げられる。
また、上記各液体を二種以上混合して溶液として用いても良い。
さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを溶液として使用し、吐出を行う場合には、上述した液体に溶解又は分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。PDP、CRT、FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO3:Eu、YO3:Euなど、緑色蛍光体として、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・α−Al23:Mnなど、青色蛍光体として、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添加するのが好ましい。用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミン等のアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイド等のアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いても良い。
また、本実施の形態の液体吐出装置100にあっては、溶液として疎水性を示す溶液を用いることが好ましい。ここで、疎水性を示す溶液とは、疎水性の特性を示す有機溶剤に溶解された溶液のことである。疎水性の溶液は、溶解度パラメータ(Solubility Parameter)が小さいものほど、疎水性が高い性質を有しており、極性の弱い溶剤、特に、非極性溶剤は、溶解度パラメータが小さく、好ましい。
非極性溶剤或いは極性の弱い溶剤としては、例えば、n−ヘキサデカン、n−テトラデカン、n−ドデカン、n−アンデカン、n−デカン、n−ノナン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、キシレン、トルエン、ミネラルスピリット、テルピネオール、エチルベンゼン、メシチレン、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン等が挙げられる。
液体吐出装置100をパターンニング方法として使用する場合には、代表的なものとしてはディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成、CRTの蛍光体の形成、FED(フィールドエミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形成、FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラックマトリクス層)、液晶ディスプレイ用スペーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン、ドットパターン等)などが挙げることができる。ここでいうリブとは一般的に障壁を意味し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いられる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布、グラフィック用途としては、通常印刷、特殊媒体(フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、医療用途としては医薬品(微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等の塗布等に応用することができる。
(ノズル)
上記ノズル51は、後述するノズルプレート56の上面層56cと共に一体的に形成されており、当該ノズルプレート56の平板面上から垂直に立設されている。さらに、ノズル51にはその先端部からノズルの中心に沿って貫通するノズル内流路52が形成されている。
ノズル51についてさらに詳説する。ノズル51は、その先端部における開口径とノズル内流路52とが均一であって、前述の通り、これらが超微細径で形成されている。具体的な各部の寸法の一例を挙げると、ノズル内流路52の内部直径は、30[μm]以下、さらに20[μm]未満、さらに10[μm]以下、さらに8[μm]以下、さらに4[μm]以下が好ましく、本実施の形態では、ノズル内流路52の内部直径が1[μm]に設定されている。そして、ノズル51の先端部における外部直径は2[μm]、ノズル51の根元の直径は5[μm]、ノズル51の高さは100[μm]に設定されており、その形状は限りなく円錐形に近い円錐台形に形成されている。また、ノズルの内部直径は0.2[μm]より大きい方が好ましい。
なお、ノズル内流路52の形状は、図12に示すような、内径一定の直線状に形成しなくとも良い。例えば、図13(A)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部における断面形状が丸みを帯びて形成されていても良い。また、図13(B)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部における内径が吐出側端部における内径と比して大きく設定され、ノズル内流路52の内面がテーパ周面形状に形成されていても良い。さらに、図13(C)に示すように、ノズル内流路52の後述する溶液室54側の端部のみがテーパ周面形状に形成されると共に当該テーパ周面よりも吐出端部側は内径一定の直線状に形成されていても良い。
(溶液供給部)
溶液供給部53は、ノズルプレート56の内部に、ノズル51の根元となる位置に設けられると共にノズル内流路52に連通する溶液室54と、図示しない外部の溶液タンクから溶液室54に溶液を導く供給路57と、溶液室54への溶液の供給圧力を付与する図示しない供給ポンプとを備えている。
上記供給ポンプは、ノズル51の先端部まで溶液を供給し、当該先端部からこぼれ出さない範囲の供給圧力を維持して溶液の供給を行う(図12(A)参照)。
供給ポンプとは、液体吐出ヘッドと供給タンクの配置位置による差圧を利用する場合も含み、別途、溶液供給手段を設けなくとも溶液供給路のみで構成しても良い。ポンプシステムの設計にもよるが、基本的にはスタート時に液体吐出ヘッドに溶液を供給するときに稼動し、液体吐出ヘッドから液体を吐出し、それに応じた溶液の供給は、キャピラリ及び凸状メニスカス形成手段による液体吐出ヘッド内の容積変化及び供給ポンプの各圧力の最適化を図って溶液の供給が実施される。
(吐出電圧印加手段)
吐出電圧印加手段35は、ノズルプレート56の内部であって溶液室54とノズル内流路52との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極58と、この吐出電極58に常時,直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源30と、吐出電極58にバイアス電圧に重畳して吐出に要する電位とする吐出パルス電圧を印加する吐出電圧電源31とを備えて構成されている。
上記吐出電極58は、溶液室54内部において溶液に直接接触し、溶液を帯電させると共に吐出電圧を印加する。
バイアス電源30によるバイアス電圧は、溶液の吐出が行われない範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減し、これによる吐出時の反応性の向上を図っている。
吐出電圧電源31は、溶液の吐出を行う際にのみパルス電圧をバイアス電圧に重畳させて印加する。このときの重畳電圧Vは次式(1)の条件を満たすようにパルス電圧の値が設定されている。
Figure 0004335612
ただし、γ:溶液の表面張力(N/m)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル直径(m)、h:ノズル−基材間距離(m)、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)とする。
一例を挙げると、バイアス電圧はDC300[V]で印加され、パルス電圧は100[V]で印される。従って、吐出の際の重畳電圧は400[V]となる。
(ノズルプレート)
ノズルプレート56は、図11において最も下層に位置するベース層56aと、その上に位置する溶液の供給路を形成する流路層56bと、この流路層56bのさらに上に形成される上面層56cとを備え、流路層56bと上面層56cとの間には前述した吐出電極58が介挿されている。
上記ベース層56aは、シリコン基板或いは絶縁性の高い樹脂又はセラミックにより形成され、その上に溶解可能な樹脂層を形成すると共に接続路57及び溶液室54を形成するための所定のパターンに従う部分のみを残して除去し、除去された部分に絶縁樹脂層を形成する。この絶縁樹脂層が流路層56bとなる。そして、この絶縁樹脂層の上面に導電素材(例えばNiP)のメッキにより吐出電極58を形成し、さらにその上から絶縁性のレジスト樹脂層を形成する。このレジスト樹脂層が上面層56cとなるので、この樹脂層はノズル51の高さを考慮した厚みで形成される。そして、この絶縁性のレジスト樹脂層を電子ビーム法やフェムト秒レーザにより露光し、ノズル形状を形成する。ノズル内流路52も露光・現像により形成される。そして、ノズル内供給路57及び溶液室54のパターンに従う溶解可能な樹脂層を除去し、これらノズル内供給路57及び溶液室54が開通してノズルプレート56が完成する。
なお、ノズルプレート56及びノズル51の素材は、具体的には、エポキシ、PMMA、フェノール、ソーダガラス、石英ガラス等の絶縁材の他、Siのような半導体、Ni、SUS等のような導体であっても良い。但し、導体によりノズルプレート56及びノズル51を形成した場合には、少なくともノズル51の先端部における先端部端面、より望ましくは先端部における周面については、絶縁材による被膜を設けることが望ましい。ノズル51を絶縁材から形成し又はその先端部表面に絶縁材被膜を形成することにより、溶液に対する吐出電圧印加時において、ノズル先端部から対向電極23への電流のリークを効果的に抑制することが可能となるからである。
(対向電極)
対向電極23は、ノズル51の突出方向に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うように基材Kの支持を行う。ノズル51の先端部から対向電極23の対向面までの距離は、一例としては100[μm]に設定される。
また、この対向電極23は接地されているため、常時,接地電位を維持している。従って、パルス電圧の印加時にはノズル51の先端部と対向面との間に生じる電界による静電力により吐出された液滴を対向電極23側に誘導する。
なお、液体吐出装置100は、ノズル51の超微細化による当該ノズル51の先端部での電界集中により電界強度を高めることで液滴の吐出を行うことから、対向電極23による誘導がなくとも液滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル51と対向電極23との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電した液滴の電荷を対向電極23の接地により逃がすことも可能である。
(液体吐出装置による微小液滴の吐出動作)
図11及び図12により液体吐出装置100の吐出動作の説明を行う。
ノズル内流路52には溶液が供給された状態にあり、かかる状態でバイアス電源30により吐出電極58を介してバイアス電圧が溶液に印加されている。かかる状態で、溶液は帯電すると共に、ノズル51の先端部において溶液による凹状に窪んだメニスカスが形成される(図12(A))。
そして、吐出電圧電源31により吐出パルス電圧が印加されると、ノズル51の先端部では集中された電界の電界強度による静電力により溶液がノズル51の先端側に誘導され、外部に突出した凸状メニスカスが形成されると共に、かかる凸状メニスカスの頂点により電界が集中し、ついには溶液の表面張力に抗して微小液滴が対向電極側に吐出される(図12(B))。
上記液体吐出装置100は、従来にない微小径のノズル51により液滴の吐出を行うので、ノズル内流路52内で帯電した状態の溶液により電界が集中され、電界強度が高められる。このため、従来のように電界の集中化が行われない構造のノズル(例えば内径100[μm])では吐出に要する電圧が高くなり過ぎて事実上吐出不可能とされていた微細径でのノズルによる溶液の吐出を従来よりも低電圧で行うことを可能としている。
そして、微細径であるがために、ノズルコンダクタンスの低さによりその単位時間あたりの吐出流量を低減する制御を容易に行うことができると共に、パルス幅を狭めることなく十分に小さな液滴径(上記各条件によれば0.8[μm])による溶液の吐出を実現している。
さらに、吐出される液滴は帯電されているので、微小の液滴であっても蒸気圧が低減され、蒸発を抑制することから液滴の質量の損失を低減し、飛翔の安定化を図り、液滴の着弾精度の低下を防止する。
(基材)
基材Kには、その液滴受面K1に当該液滴受面K1よりもノズルからの吐出溶液に対して高い撥液性を有する撥液層Mが形成されている。即ち、本発明に係る液体吐出方法にあっては、ノズル51の先端部から液滴を吐出させる吐出工程の前に、基材Kの液滴受面K1に撥液層Mを形成する撥液層形成工程を備えている。
撥液層Mは、親水性を有する化合物から構成されている。即ち、撥液層Mは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミノカルボニル基等を有する化合物を含有して構成されている。これらのうち、撥液層Mは、水酸基、特に、フェノール性水酸基を有する樹脂を含有して構成されているのが好ましい。
ここで、水酸基を有する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられ、これらのうち、水酸基価の高いもの、即ち、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール等が好ましい。特に、基材Kに回路の配線パターンを形成する場合においては、絶縁特性に優れたフェノール性水酸基を有する樹脂を用いるのが好ましく、フェノール性水酸基を有する樹脂としては、具体的には、ポリビニルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びレゾール樹脂等が挙げられる。
(撥液層の形成)
撥液層Mの形成は、溶媒に溶解された親水性を有する樹脂を基材の液滴受面K1に塗布した後(化合物塗布工程)、液滴受面K1に塗布された溶媒を乾燥する(溶媒乾燥工程)ことにより行われる。
(塗布)
撥液層Mを構成する親水性を有する樹脂の溶解に用いられる溶媒は、樹脂を溶解可能で、且つ、撥液層Mの形成に使用可能であれば如何なるものであっても良い。また、溶媒は、1種類からなるものであっても良いし、複数種類を混合した混合溶剤であっても良い。さらに、乾燥時の面あれ、乾燥の際の蒸発潜熱により空気中の水分を高分子内に凝結させ白濁するブラッシング故障を防止する上で適切なものを選択するのが良い。また、乾燥後に撥液層M中に残留する溶媒の量を少なくするためには、沸点の低い溶媒の方が好ましい。
溶媒としては、親水性を有するもの、即ち、水酸基を有しているものが好ましい。水酸基を有する溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤、多価アルコールの一部の有機溶剤並びに無機溶剤としての水が挙げられる。具体的には、アルコール系有機溶剤としては、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール等が挙げられる。
なお、無機溶剤としての水は、ポリビニルアルコールの溶解に好適である。
溶媒に対する樹脂の溶解には、所定の撹拌装置や溶解装置等を適用可能となっている。
なお、有機溶媒に溶解された樹脂は、例えばフィルター等の所定の濾過方法で溶解液内の異物を取り除くことにより、撥液層M中に存する異物に起因する異常を低減できる。
塗布方法としては、例えば、「コーティングのすべて」((株)加工技術研究会発行、1999年、p.16〜40)に記載の、ロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、スロットダイ方式、キスコーター、ビードコーター、浸濱塗工、スクリーン塗工、スピンコーター、押出コーター等を適用可能であり、これらのうち、撥液層Mの厚さをより均一なものとする上では、スピンコーター、ロッドコーター、ビードコーターが好ましい。
なお、塗布の前に、基材Kを除電したり、気流を吹き付けたり、洗浄液を用いて洗浄したりして、基材Kの液滴受面K1に存する異物を取り除いて清浄しても良い。
(乾燥)
溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然放置による乾燥、加熱した気流を吹き付ける気流乾燥、赤外線乾燥等が挙げられる。
また、乾燥により、ブラッシング、塗膜下部に形成されるゆず膚模様(原崎勇次著「コーティング工学」槇書店、1986年6月30日、p.233)、ピンホールの形成等の異常発生を防止する上では、乾燥温度、乾燥時間の調整を適正に行うべきである。
(撥液層の厚さ及び表面粗さ)
なお、上記のようにして形成された撥液層Mの厚さ及び表面粗さRaは、この撥液層Mに対する液滴の着弾を適正に行うことができる範囲内に規定することが好ましい。即ち、撥液層Mの厚さが薄くなると、表面粗さRaが大きくなって、撥液層Mに凸凹が形成された状態となり着弾した液滴の位置が安定しない。また、撥液層Mの厚さが厚くなると、表面粗さRaが小さくなって、撥液層Mの表面が平滑になりすぎて、着弾後の液滴の移動が生じ易くなる。具体的には、撥液層Mの厚さとしては、例えば、0.01[μm]以上2[μm]以下であることが好ましく、撥液層Mの表面粗さRaは、1[μm]以下であることが好ましい。
(配線パターンの形成)
本発明に係る液体吐出方法を適用した配線パターンの形成方法にあっては、金属ペーストからなる溶液を吐出して基材Kの液液受面K1に配線パターンを形成した後、液滴受面K1に形成された配線パターンを焼結させる焼結工程を備えている。
ここで、配線パターンの焼結方法は、如何なる方法であっても良く、例えば、タイミング、回数等は適宜任意に変更可能となっている。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
(基材等)
ポリビニルフェノール樹脂(丸善石油化学(株)製、マルカリンカー;<実施例1>)、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、TD−2090;<実施例2>)、アルキルフェノールノボラック樹脂(昭和高分子(株)、MCM−709;<実施例3>)、クレゾールノボラック樹脂(群栄化学(株)、PSF−2803;<実施例4>)、レゾール樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、スーパーベッカサイト1001;<実施例5>)の各々5gをエタノール2000gに添加して、それぞれの樹脂を溶解して塗布液とした。
また、ポリビニルフェノール樹脂(丸善石油化学(株)製、マルカリンカー;<実施例12>)、ポリビニルアセタール樹脂(電気化学工業(株)製、電化ブチラール6000EP;<実施例13>)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート828;<実施例14>)、ブロック共重合型ポリイミド樹脂(ピーアイ技術研究所製、キューピロン;<比較例3>)の各々10gをN−メチル−2−ピロリドン2000gに添加して、それぞれの樹脂を溶解して塗布液とした。さらに、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(出光石油化学社製、XAREC S−100;<比較例4>)5gをキシレン:MIBK=9:1の混合溶液2000gに添加して、樹脂を溶解して塗布液とした。
そして、塗布液5gを基材としての100mm×100mmのガラス板の液滴受面上に載せて、このガラス板をスピンコーター(ミカサ(株)製、1H−DX2)を用いて2000rpmで1分間回転することにより、当該ガラス板の液滴受面一面に塗布液を塗布した。次に、90℃、30分間乾燥した後、200℃で30分間熱処理することによって、塗布液中の溶剤を完全に除去して、撥液層を形成した。
(溶液)
硝酸銀100gと1N硝酸590ccを23℃に保持された撹拌器付き反応容器内に入れて撹拌溶解して、硝酸銀溶液Aとした。次に、別の容器内でキシレン80gに高分子分散剤フローレンG−700(共栄社化学社製)27gを溶解し、キシレン溶液Bとした。反応容器を23℃に保持した状態で、硝酸銀溶液Aを撹拌しながら、キシレン溶液Bを添加して、十分に撹拌を行って、溶液Cとした。反応容器を23℃に保持した状態で、溶液Cを撹拌しながら、ジメチルエチルアミン262ccを添加して、15分間撹拌した後、当該反応容器を60℃に保持して2時間撹拌した。
その後、反応容器の温度を23℃に低下し、撹拌を停止して、静置した。そして、水相と濃褐色のキシレン相との2層に分離したうちのキシレン層を抽出して、純水で洗浄した後、銀コロイドが30重量%となるようにキシレンにより濃度調整して、銀コロイドのキシレン溶液を得た。
そして、銀コロイドのキシレン溶液を、メンブレンフィルター(日本ミリポア(株)製、材質:ポリテトラフロロエチレン、孔径0.22[μm])を通過させて、吐出用の溶液となした。
(ノズル)
素材:ガラス製、先端部の内部直径:1[μm](実施例1〜6、実施例9〜14、比較例1、比較例3及び4);5[μm](実施例7)、10[μm](実施例8)、30[μm](比較例2)
(液滴の焼結方法)
液滴からなる細線が描画済みのガラス基板を、吐出した溶液中の溶剤、本実施例ではキシレンの沸点以下の温度である120℃で10分間、溶液中の溶剤を蒸発させた後、さらに250℃の焼成炉で1時間加熱し、液滴中の金属(銀)微粒子をガラス基板に焼結させた。
(撥液層の有無)
撥液層を有するガラス基板(実施例1〜5)及び撥液層を有しないガラス基板(比較例1)に対して、0.02[pl]の溶液を吐出することにより、当該ガラス基板の液滴受面に細線を描画した。そして、細線を構成する溶液中の溶剤を蒸発させて、金属微粒子をガラス基板に焼結させた。その後、細線をレーザ顕微鏡(例えば、キーエンス社製レーザ顕微鏡)を用いて観察し、細線の状態を評価した。
実施例1〜5及び比較例1に対応する細線の評価を、表1に示す。
(吐出量)
ノズルからの吐出量が0.02[pl]、0.2[pl]、0.8[pl]及び3[pl]となるように各ノズルの先端部の内部直径が1[μm]、5[μm]、10[μm]及び30[μm]に規定されたものを用いて、撥液層を有するガラス基板に対して溶液を吐出して、当該ガラス基板の液滴受面に細線を描画した。そして、細線を構成する溶液中の溶剤を蒸発させて、金属微粒子をガラス基板に焼結させた。その後、細線をレーザ顕微鏡を用いて観察し、細線の状態を評価した。
実施例6〜8及び比較例2に対応する細線の評価を、表2に示す。
(塗布方式)
乾燥後の撥液層の厚さが0.02[μm]となるように所定量の塗布液を基材としての100mm×100mmのガラス基板の液滴受面に、スピンコーター<実施例9>、ロッドコーター<実施例10>、ビードコーター<実施例11>を用いて塗布した。その後、ガラス基板に対して溶液を吐出して、当該ガラス基板の液滴受面に細線を描画した。そして、細線を構成する溶液中の溶剤を蒸発させて、金属微粒子をガラス基板に焼結させた。その後、細線をレーザ顕微鏡を用いて観察し、細線の状態を評価した。
実施例9〜11に対応する細線の評価を、表3に示す。
(撥液層の構成成分)
それぞれ異なる樹脂から構成された撥液層を有するガラス基板(実施例12〜14、比較例3及び4)に対して、0.02[pl]の溶液を吐出することにより、当該ガラス基板の液滴受面に細線を描画した。そして、細線を構成する溶液中の溶剤を蒸発させて、金属微粒子をガラス基板に焼結させた。その後、細線をレーザ顕微鏡(例えば、キーエンス社製レーザ顕微鏡)を用いて観察し、細線の状態を評価した。
実施例12〜14並びに比較例3及び4に対応する細線の評価を、表4に示す。
なお、表1〜表3中における評価は、細線の状態を示すものであり、具体的には、滲みなく、輪郭が明確であるものを「◎」で示し、滲みは認められるが、輪郭がぼやけているものを「○」で示し、輪郭が滲んで大きく崩れているものを「×」で示した。
Figure 0004335612
(撥液層の評価)
表1に示すように、撥液層を有しないガラス基板に対して液滴吐出を行って細線を形成した場合(比較例1)、細線の輪郭が滲んで大きく崩れていたが、各種樹脂からなる撥液層を有するガラス基板に対して細線を形成すると(実施例1〜5)、細線に滲みがでず、輪郭を明確なものとすることができた。即ち、基材の液滴受面には、疎水性の溶液に対して十分な撥性を示すフェノール性水酸基を有する親水性の樹脂からなる撥液層が形成されているので、液滴受面に着弾した液滴は液滴受面になじみにくくなって、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができるからである。
Figure 0004335612
(吐出量の評価)
表2に示すように、ノズルの先端部からの液滴の吐出量が3[pl]であると(比較例2)、細線の輪郭が滲んで大きく崩れていたが、液滴の吐出量を0.8[pl]以下とすることにより(実施例8)、輪郭がぼやけた細線とすることができ、さらに、液滴の吐出量を0.2[pl]以下とすることにより、細線に滲みがでず、輪郭を明確なものとすることができた。即ち、ノズルからの吐出量を少なくして吐出液滴を微小なものとすることにより、液滴中の溶媒の乾燥速度を速くすることができるため、液滴が液滴受面に着弾してから乾燥・固定するまでの時間が極めて短くなる。そのため、この短時間内の液滴の濡れ拡がりを、液滴受面に撥液層を設けることにより容易に抑制することができるからである。
Figure 0004335612
(塗布方式の評価)
表3に示すように、スピンコーター、ロッドコーター、ビードコーターを用いて塗布液の塗布を行うことにより形成された撥液層を有する基材に対して液滴の吐出を行うことにより、細線に滲みがでず、輪郭を明確なものとすることができた。即ち、スピンコーター、ロッドコーター、ビードコーターを用いて塗布液の塗布を行うことにより、撥液層の厚さをより均一なものとすることができるからである。
Figure 0004335612
(撥液層の構成成分の評価)
表4に示すように、親水性の官能基を有さない、即ち、疎水性のシンジオタクチックポリスチレン樹脂から撥液層を構成した場合(比較例4)、細線の輪郭が滲んで大きく崩れていた。また、親水性の官能基としてカルボニル基を有するブロック共重合型ポリイミド樹脂から撥液層を構成した場合(比較例3)も細線の輪郭が滲んで大きく崩れていた。しかしながら、撥液層を、親水性の官能基として水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂(実施例13)やビスフェノールA型エポキシ樹脂(実施例14)から構成することにより、輪郭がぼやけた細線とすることができ、さらに、フェノール性水酸基を有するポリビニルフェノール樹脂(実施例12)から構成することにより、細線に滲みがでず、輪郭を明確なものとすることができた。従って、撥液層の撥性を十分に向上させて細線等の着弾物の形成を適正に行うためには、当該撥液層をフェノール性水酸基を有する樹脂から構成することが良いと考えられる。
このように、基材Kの液滴受面K1に当該液滴受面K1よりも疎水性の溶液に対して高い撥性を有する親水性の化合物からなる撥液層Mを形成して、その後、基材Kに対してノズル51から溶液を液滴として吐出するので、基材Kの液滴受面K1に着弾した液滴は液滴受面K1になじみにくくなって、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができる。即ち、ノズル51の先端部の内部直径を25[μm]以下とすることによって、当該ノズル51から吐出される液滴を微小なものとすることができ、この微小な液滴は従来のインクジェット技術を用いて吐出される液滴よりも速い速度で乾燥することとなる。つまり、液滴が液滴受面K1に着弾してから乾燥・固定するまでの時間が極めて短いため、この短時間内の液滴の濡れ拡がりを、液滴受面K1に撥液層Mを設けることにより容易に抑制することができ、これにより、着弾物の形成を簡便に且つ適正に行うことができる。
また、撥液層Mは、水酸基を有する樹脂を含有してなるので、溶液に対して十分な撥性を示すこととなる。特に、撥液層Mを、フェノール性水酸基を有する樹脂から構成することにより、溶液に対して十分な撥性を示すとともに、撥液層Mを絶縁性の優れたものとすることができ、且つ、フェノール性水酸基の有する抗酸化機能により基材Kの液滴受面K1に着弾した液滴の酸化を防止することができる。さらに、配線パターンの形成工程の焼結の際においても、フェノール性水酸基を有する抗酸化機能によって、金属ペースト(例えば、銅を主成分とするペースト)に含まれる表面活性な金属微粒子(例えば、銅原子)が酸化することを防止することができる。これにより、配線パターンの抵抗値の調整等を適正に行うことができる。
また、撥液層Mの形成工程において、当該撥液層Mを構成する親水性の化合物を溶解させる溶媒は、親水性を有するものであるので、基材Kの液滴受面K1に撥液層Mを形成した後、この撥液層M中に溶媒が残留した場合であっても、残留溶媒に起因した撥液層Mの溶液に対する撥性の低下を抑制することができる。即ち、例えば溶媒が溶液と同様の疎水性を有していると、残留溶媒により撥液層Mの溶液に対する撥性が低下してしまうこととなるが、溶媒が撥液層と同様の親水性を有するものであるので、撥液層Mの撥性が残留溶媒により低下せずに、液滴の濡れ拡がりを適正に抑制することができる。特に、水酸基を有する溶媒とすることにより、残留溶媒に起因した撥液層Mの溶液に対する撥性の低下の抑制をさらに適正に行うことができる。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、溶液を疎水性とし、撥液層Mを親水性とするような構成としたが、これに限られるものではなく、溶液を親水性とし、撥液層Mを疎水性としても良い。
また、上記実施の形態では、撥液層Mが撥性を有するように形成したが、これに限られるものではなく、例えば、オイル系の溶液に対して撥油性を示すように形成しても良い。
[液体吐出装置の理論説明]
以下に、上記液体吐出装置による液体吐出の理論説明及びこれに基づく基本例の説明を行う。なお、以下に説明する理論及び基本例におけるノズルの構造、各部の素材及び吐出液体の特性、ノズル周囲に付加する構成、吐出動作に関する制御条件等全ての内容は、可能な限り上述した実施形態中に適用しても良いことはいうまでもない。
(印加電圧低下および微小液滴量の安定吐出実現の方策)
従前は以下の条件式により定まる範囲を超えて液滴の吐出は不可能と考えられていた。
Figure 0004335612
λCは静電吸引力によりノズル先端部からの液滴の吐出を可能とするための溶液液面における成長波長(m)であり、λC=2πγh20V2で求められる。
Figure 0004335612
Figure 0004335612
本発明では、静電吸引型インクジェット方式において果たすノズルの役割を再考察し、従来吐出不可能として試みられていなかった領域において、マクスウェル力などを利用することで、微小液滴を形成することができる。
このような駆動電圧低下および微小量吐出実現の方策のための吐出条件等を近似的に表す式を導出したので以下に述べる。
以下の説明は、上記各本発明の実施形態で説明した液体吐出装置に適用可能である。
いま、直径dのノズルに導電性溶液を注入し、基材としての無限平板導体からhの高さに垂直に位置させたと仮定する。この様子を図14に示す。このとき、ノズル先端部に誘起される電荷は、ノズル先端の半球部に集中すると仮定し、以下の式で近似的に表される。
Figure 0004335612
ここで、Q:ノズル先端部に誘起される電荷(C)、ε0:真空の誘電率、ε:基材の誘電率(F/m)、h:ノズル−基材間距離(m)、d:ノズル内部の直径(m)、V:ノズルに印加する総電圧(V)である。α:ノズル形状などに依存する比例定数で、1〜1.5程度の値を取り、特にd<<hのときほぼ1程度となる。
また、基材としての基板が導体基板の場合、基板内の対称位置に反対の符号を持つ鏡像電荷Q'が誘導されると考えられる。基板が絶縁体の場合は、誘電率によって定まる対称位置に同様に反対符号の映像電荷Q'が誘導される。
ところで、ノズル先端部に於ける凸状メニスカスの先端部の電界強度Eloc.[V/m]は、凸状メニスカス先端部の曲率半径をR[m]と仮定すると、
Figure 0004335612
で与えられる。ここでk:比例定数で、ノズル形状などにより異なるが、1.5〜8.5程度の値をとり、多くの場合5程度と考えられる。(P. J. Birdseye and D.A. Smith, Surface Science, 23 (1970) 198-210)。
今簡単のため、d/2=Rとする。これは、ノズル先端部に表面張力で導電性溶液がノズルの半径と同じ半径を持つ半球形状に盛り上がっている状態に相当する。
ノズル先端の液体に働く圧力のバランスを考える。まず、静電的な圧力は、ノズル先端部の液面積をS[m2]とすると、
Figure 0004335612
(7)、(8)、(9)式よりα=1とおいて、
Figure 0004335612
と表される。
一方、ノズル先端部に於ける液体の表面張力をPsとすると、
Figure 0004335612
ここで、γ:表面張力(N/m)、である。
静電的な力により流体の吐出が起こる条件は、静電的な力が表面張力を上回る条件なので、
Figure 0004335612
となる。十分に小さいノズル直径dを用いることで、静電的な圧力が、表面張力を上回らせる事が可能である。
この関係式より、Vとdの関係を求めると、
Figure 0004335612
が吐出の最低電圧を与える。すなわち、式(6)および式(13)より、
Figure 0004335612
が、本発明の動作電圧となる。
ある直径dのノズルに対し、吐出限界電圧Vcの依存性を前述した図9に示す。この図より、微細ノズルによる電界の集中効果を考慮すると、吐出開始電圧は、ノズル径の減少に伴い低下する事が明らかになった。
従来の電界に対する考え方、すなわちノズルに印加する電圧と対向電極間の距離によって定義される電界のみを考慮した場合では、微小ノズルになるに従い、吐出に必要な電圧は増加する。一方、局所電界強度に注目すれば、微細ノズル化により吐出電圧の低下が可能となる。
静電吸引による吐出は、ノズル端部における液体(溶液)の帯電が基本である。帯電の速度は誘電緩和によって決まる時定数程度と考えられる。
Figure 0004335612
ここで、ε:溶液の誘電率(F/m)、σ:溶液の導電率(S/m)である。溶液の比誘電率を10、導電率を10-6 S/m を仮定すると、τ=1.854×10-5secとなる。あるいは、臨界周波数をfc[Hz]とすると、
Figure 0004335612
となる。このfcよりも早い周波数の電界の変化に対しては、応答できず吐出は不可能になると考えられる。上記の例について見積もると、周波数としては10 kHz程度となる。このとき、ノズル半径2μm、電圧500V弱の場合、ノズル内流量Gは10-13m3/sと見積もることができるが、上記の例の液体の場合、10kHzでの吐出が可能なので、1周期での最小吐出量は10fl(フェムトリットル、1fl:10-15 l)程度を達成できる。
なお、各上記本実施の形態においては、図14に示したようにノズル先端部に於ける電界の集中効果と、対向基板に誘起される鏡像力の作用を特徴とする。このため、先行技術のように基板または基板支持体を導電性にすることや、これら基板または基板支持体への電圧の印加は必ずしも必要はない。すなわち、基板として絶縁性のガラス基板、ポリイミドなどのプラスチック基板、セラミックス基板、半導体基板などを用いることが可能である。
また、上記各実施形態において電極への印加電圧はプラス、マイナスのどちらでも良い。
さらに、ノズルと基材との距離は、500[μm]以下に保つことにより、溶液の吐出を容易にすることができる。また、図示しないが、ノズル位置検出によるフィードバック制御を行い、ノズルを基材に対し一定に保つようにすることが望ましい。
また、基材を、導電性または絶縁性の基材ホルダーに載置して保持するようにしても良い。
図15は、本発明の他の基本例の一例としての液体吐出装置のノズル部分の側面断面図を示したものである。ノズル1の側面部には電極15が設けられており、ノズル内溶液3との間に制御された電圧が印加される。この電極15の目的は、Electrowetting 効果を制御するための電極である。十分な電場がノズルを構成する絶縁体にかかる場合この電極がなくともElectrowetting効果は起こると期待される。しかし、本基本例では、より積極的にこの電極を用いて制御することで、吐出制御の役割も果たすようにしたものである。ノズル1を絶縁体で構成し、先端部におけるノズルの管厚が1μm、ノズル内径が2μm、印加電圧が300Vの場合、約30気圧のElectrowetting効果になる。この圧力は、吐出のためには、不十分であるが溶液のノズル先端部への供給の点からは意味があり、この制御電極により吐出の制御が可能と考えられる。
前述した図9は、本発明における吐出開始電圧のノズル径依存性を示したものである。液体吐出装置として、図11に示すものを用いた。微細ノズルになるに従い吐出開始電圧が低下し、従来より低電圧で吐出可能なことが明らかになった。
上記各実施形態において、溶液吐出の条件は、ノズル−基材間距離(h)、吐出電圧の振幅(V)、印加電圧振動数(f)のそれぞれの関数になり、それぞれにある一定の条件を満たすことが吐出条件として必要になる。逆にどれか一つの条件を満たさない場合他のパラメーターを変更する必要がある。
この様子を図16を用いて説明する。
まず吐出のためには、それ以上の電界でないと吐出しないというある一定の臨界電界Ecが存在する。この臨界電界は、ノズル径、溶液の表面張力、粘性などによって変わってくる値で、Ec以下での吐出は困難である。臨界電界Ec以上すなわち吐出可能電界強度において、ノズル−基材間距離(h)と吐出電圧の振幅(V)の間には、おおむね比例の関係が生じ、ノズル−基材間距離を縮めた場合、臨界印加電圧Vを小さくする事が出来る。
逆に、ノズル−基材間距離(h)を極端に離し、印加電圧Vを大きくした場合、仮に同じ電界強度を保ったとしても、コロナ放電による作用などによって、流体液滴の破裂すなわちバーストが生じてしまう。
ノズル径をφ0.2 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図1(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図1(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ0.4 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図2(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図2(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ1 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図3(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図3(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ8 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図4(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図4(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ20 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図5(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図5(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 ノズル径をφ50 [μm]とした場合の電界強度分布を示し、図6(a)はノズルと対向電極との距離が2000[μm]に設定されたときの電界強度分布を示し、図6(b)は、ノズルと対向電極との距離が100[μm]に設定されたときの電界強度分布を示す。 図1〜図6の各条件下での最大電界強度を示す図表を示す。 ノズルのノズル径のメニスカス部の最大電界強度と強電界領域の関係を示す線図である。 ノズルのノズル径とメニスカス部で吐出する液滴が飛翔を開始する吐出開始電圧、該初期吐出液滴のレイリー限界での電圧値及び吐出開始電圧とレイリー限界電圧値の比との関係を示す線図である。 ノズル径とメニスカス部の強電界の領域の関係で表されるグラフである。 本発明が適用された一実施の形態として例示する液体吐出装置のうち、溶液の吐出動作に直接関わりある構成のみを図示したノズルに沿った断面図である。 溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、図12(A)は吐出を行わない状態であり、図12(B)は吐出状態を示す。 ノズル内流路の他の形状の例を示す一部切り欠いた斜視図であり、図13(A)は溶液室側に丸みを設けた例であり、図13(B)は流路内壁面をテーパ周面とした例であり、図13(C)はテーパ周面と直線状の流路とを組み合わせた例を示す。 本発明の実施の形態として、ノズルの電界強度の計算を説明するために示したものである。 本発明の一例としての液体吐出機構の側面断面図を示したものである。 本発明の実施の形態の液体吐出装置における距離−電圧の関係による吐出条件を説明した図である。
符号の説明
100 液体吐出装置
35 吐出電圧印加手段
51 ノズル
60 供給路
61 溶液収納部
K 基材
K1 液滴受面
M 撥液層

Claims (11)

  1. 先端部の内部直径が0.2[μm]より大きく8[μm]以下のノズル内の溶液に対する吐出電圧の印加に基づいて、前記ノズルの先端部から前記先端部に対向配置された基材に対し、帯電した溶液を液滴として吐出する吐出工程を備える液体吐出方法であって、
    前記吐出工程の前に、前記基材の液滴受面一面に当該液滴受面よりも前記溶液に対して高い撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程を備え
    前記吐出工程において、前記撥液性を有する撥液層が一面に形成された前記基材の液滴受面に前記液滴を吐出することを特徴とする液体吐出方法。
  2. 前記溶液は、疎水性を有するものであり、
    前記撥液層は、親水性を有してなることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出方法。
  3. 前記撥液層は、水酸基を有する化合物を含有してなることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出方法。
  4. 前記水酸基は、フェノール性水酸基であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出方法。
  5. 前記フェノール性水酸基を有する化合物は、ポリビニルフェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びレゾール樹脂のうちから選ばれる何れか一の樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出方法。
  6. 前記撥液層形成工程は、
    溶媒に溶解された前記親水性を有する化合物を前記基材の前記液滴受面に塗布する化合物塗布工程と、
    前記液滴受面に塗布された前記溶媒を乾燥する溶媒乾燥工程と、を含むことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の液体吐出方法。
  7. 前記溶媒は、親水性を有するものであることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出方法。
  8. 前記溶媒は、水酸基を有してなることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出方法。
  9. 前記化合物塗布工程は、スピンコート、ロッドコート及びビードコートのうちから選ばれる何れか一の方法により行うことを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の液体吐出方法。
  10. 前記ノズルの前記内部直径が[μm]以下であることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体吐出方法。
  11. 請求項4〜10の何れか一項に記載の液体吐出方法により金属ペーストからなる溶液を吐出して前記基材に配線パターンを形成する配線パターン形成方法であって、
    前記吐出工程の後に、前記基材の前記液滴受面に着弾した前記金属ペーストからなる配線パターンを焼結させる焼結工程を備えることを特徴とする配線パターン形成方法。
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