JP2006181926A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電界アシスト法を用い、吐出面がフラットで、かつ低電圧の静電電圧の印加で効果的に電界集中を生じ効率良く液体を吐出することができ、微細パターン形成および高粘度の液体の吐出が可能な液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッド2は、ノズル10と、体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレート11と、液体Lを貯蔵するキャビティ21と、ノズル10内の液体Lを加圧して吐出孔13にメニスカスを形成する圧力発生手段23と、ノズル10とキャビティ21内の液体Lと基材間に静電電圧を印加する静電電圧印加手段19と、静電電圧印加手段18による静電電圧の印加および圧力発生手段23を駆動する駆動電圧の印加を制御する動作制御手段25とを備え、ノズル10の内周面16に、ノズル内の液体Lがノズルプレート11に吸収されることを防止する液体吸収防止層17が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法に係り、フラットノズルを有する電界集中型の液体吐出ヘッド、それを用いた液体吐出装置およびそれらを用いた液体吐出方法に関する。
近年、インクジェットでの画質の高精細化の進展および工業用途における適用範囲の拡大に伴い、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請がますます強まっている。これらの課題を従来のインクジェット記録法で解決しようとすると、ノズルの微小化や高粘度のインク吐出による液吐出力の向上を図る必要が生じ、それに伴って駆動電圧が高くなり、ヘッドや装置のコストが非常に高価になってしまうため、実用に適う装置は実現されていない。
そこで、前記要請に応え、微小化されたノズルから低粘度のみならず高粘度の液滴を吐出させる技術として、ノズル内の液体を帯電させ、ノズルと液滴の着弾を受ける対象物となる各種の基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により吐出させるいわゆる静電吸引方式の液滴吐出技術が知られている(特許文献1参照)。
しかし、静電吸引方式の液滴吐出技術においてこのようなフラットな液体吐出ヘッドを用いる場合、ノズル内の液体や吐出孔部分のメニスカスへの電界集中の程度が小さく、必要な静電吸引力を得るために液体吐出ヘッドと基材との間に印加する電圧として非常に高い電圧を印加する必要があった。
そこで、この液滴吐出技術と、ピエゾ素子の変形や液体内部での気泡の発生による圧力を利用して液滴を吐出する技術とを組み合わせた、いわゆる電界アシスト法を用いた液滴吐出装置の開発が進んでいる(例えば、特許文献2〜5等参照)。この電界アシスト法は、メニスカス形成手段と静電吸引力を用いてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させることにより、メニスカスに対する静電吸引力を高め、液表面張力に打ち勝ってメニスカスを液滴化し吐出する方法である。
国際公開第03/070381号パンフレット 特開平5−104725号公報 特開平5−278212号公報 特開平6−134992号公報 特開2003−53977号公報
電界アシスト法を用いたこれらの液体吐出装置は、従来のピエゾ方式やサーマル方式を用いたインクジェット記録法に比べ、吐出効率は良いが、電界による静電吸引力が最大限に活用されていないため、メニスカスの形成や液滴の吐出が効率的に行われておらず、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要請に応えようとすると、従来のインクジェット記録法と同様に、駆動電圧を高くする必要が生じ、ヘッドや装置のコストが高価になってしまうという問題があった。また、静電吸引力を高めるために印加電圧を上げると、ヘッドと基材間で絶縁破壊が発生してしまい装置を駆動できない場合が生じるという問題もあった。
電界アシスト法を用いたこれらの液体吐出装置において、液体を吐出するノズルが設けられた液体吐出ヘッドとしてフラットな液体吐出ヘッドを用いた場合、構造が単純であるために生産性に優れ、また、液体吐出ヘッドのクリーニング時における吐出面のワイピングの際にワイパにノズルが引っ掛からないという大きな利点がある。
しかし、ピエゾ素子の変形等で圧力を発生させてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させ、隆起させたメニスカスに選択的に電界集中させて静電吸引力により液体を吐出させる電界アシスト法を用いた液体吐出装置の場合も、電界集中が小さいためにメニスカスを形成するうえで静電吸引力によるメニスカスを引き出す作用が小さく、結果的にピエゾ素子等の圧電素子アクチュエータよりなる圧力発生手段に高い電圧を印加する必要があるという問題があった。
なお、本発明において、フラットなノズルやノズルプレート、液体吐出ヘッドとは、ノズルプレートの吐出面からのノズルの突出が30μm以下のものを意味し、前記ワイピングの際に破損等の支障を生じることがなく、ノズルの突出が小さく突出による電界集中効果が期待できないものをいう。
そこで、このフラットな液体吐出ヘッドの問題点を解消するため、電界アシスト法を用いた液体吐出装置では、液体吐出ヘッドのノズルプレートから吐出面側にノズルを避雷針状に突出させ、ノズルの突起先端に電界を集中させてノズルの吐出効率を高めた液体吐出ヘッドが用いられることが多い。
しかし、液体吐出ヘッドのノズルプレートから吐出面側に高さ数十μm程度の避雷針状のノズルを多数立設させなければならないため、構造が複雑になり生産性が低下する。また、液体吐出ヘッドのクリーニング時に立設されたノズルが折れるなど操作性に劣るという問題があった。
そこで、本発明は、メニスカス隆起量を制御し吐出制御する電界アシスト法を用い、吐出面がフラットで、メニスカス形成駆動を低電圧でスイッチングでき、かつ低電圧の静電電圧の印加で効果的に電界集中を生じ効率良く液体を吐出することができ、それによって微細パターン形成および高粘度の液体の吐出が可能な液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出方法を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、請求項1の液体吐出ヘッドは、
液体を吐出するノズルと、
体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、
前記ノズルの吐出孔から吐出される液体を貯蔵するキャビティと、
前記ノズル内の液体に圧力を発生させて前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを形成する圧力発生手段と、
前記ノズルおよび前記キャビティ内の液体と基材間に静電電圧を印加して静電吸引力を発生させる静電電圧印加手段と、
前記静電電圧印加手段による前記静電電圧の印加および前記圧力発生手段を駆動する駆動電圧の印加を制御する動作制御手段と
を備え、
前記ノズルの内周面に、前記ノズル内の液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧が印加されて液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界が形成されるとともに、圧力発生手段によりノズル内の液体に圧力が加えられてノズルの吐出孔に液体のメニスカスが形成され、そのメニスカスに電界が集中されて、メニスカスが電界による静電吸引力により吸引されて液滴化して吐出される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体吸収防止層は、ダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ノズルの内周面にダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体吸収防止層の表面に、液体の帯電用電極が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、液体吸収防止層の表面に帯電用電極が形成され、ノズル内の液体に印加される静電電圧が帯電用電極を介して印加される。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体吸収防止層は、前記ノズルプレートの吐出面にも形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、液体吸収防止層は、各ノズルの内周面のみならず、ノズルプレートの吐出面の全面を被覆するように形成される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体吸収防止層は、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、各ノズルの内周面およびノズルプレートの吐出面に窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記液体吸収防止層は、その厚さが0.1μm以上であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、ノズルの内周面に厚さが0.1μm以上の液体吸収防止層が設けられる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記ノズルプレートの吐出面に撥液層が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、液体吐出ヘッドのフラットな吐出面に、液体を弾く撥液層が設けられる。
請求項8に記載の液体吐出装置は、
前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに対向する対向電極と
を備え、
前記液体吐出ヘッドと前記対向電極との間に生じる前記静電吸引力と前記ノズル内に生じる圧力とにより前記液体を吐出することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧が印加されて液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界が形成された電界と、圧力発生手段により加えられた圧力により、ノズルの吐出孔に液体のメニスカスが形成され、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて液体が液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の液体吐出装置において、前記圧力発生手段による圧力により前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させ、前記静電吸引力により液体を吐出させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に圧力発生手段により圧力を加えてノズルの吐出孔部分にメニスカスを隆起させ、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて電界の静電吸引力によりメニスカスを引きちぎるようにして液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
請求項10に記載の液体吐出方法は、体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、内周面に液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されたノズルとを有する液体吐出ヘッドのノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧を印加して前記液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界を形成するとともに、圧力発生手段により前記ノズル内の液体に圧力を発生させ、前記電界による静電吸引力と前記圧力によりノズルの吐出孔に形成された液体のメニスカスに電界を集中させ、前記静電吸引力により液体を吸引して吐出させることを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧が印加されて液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界が形成された電界と、圧力発生手段により加えられた圧力により、ノズルの吐出孔に液体のメニスカスが形成され、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて液体が液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
請求項11に記載の液体吐出方法は、体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、内周面に液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されたノズルとを有する液体吐出ヘッドのノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧を印加して前記液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界を形成するとともに、圧力発生手段により前記ノズル内の液体に圧力を発生させて前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させて電界を集中させ、前記電界による静電吸引力により液体を吸引して吐出させることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に圧力発生手段により圧力を加えてノズルの吐出孔部分にメニスカスを隆起させ、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて電界の静電吸引力によりメニスカスを引きちぎるようにして液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の液体吐出方法において、前記液体吸収防止層は、ダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、ノズルの内周面にダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。
請求項13に記載の発明は、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の液体吐出方法において、前記液体吸収防止層の表面に、液体の帯電用電極が形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、液体吸収防止層の表面に帯電用電極が形成され、ノズル内の液体に印加される静電電圧が帯電用電極を介して印加される。
請求項14に記載の発明は、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出方法において、前記液体吸収防止層は、前記ノズルプレートの吐出面にも形成されていることを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、液体吸収防止層は、各ノズルの内周面のみならず、ノズルプレートの吐出面の全面を被覆するように形成される。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の液体吐出方法において、前記液体吸収防止層は、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、各ノズルの内周面およびノズルプレートの吐出面に窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。
請求項16に記載の発明は、請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の液体吐出方法において、前記液体吸収防止層は、その厚さが0.1μm以上であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、ノズルの内周面に厚さが0.1μm以上の液体吸収防止層が設けられる。
請求項17に記載の発明は、請求項10から請求項16のいずれか一項に記載の液体吐出方法において、前記ノズルプレートの吐出面に撥液層が設けられていることを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、液体吐出ヘッドのフラットな吐出面に、液体を弾く撥液層が設けられる。
請求項1に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧が印加されて液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界が形成されるとともに、圧力発生手段によりノズル内の液体に圧力が加えられてノズルの吐出孔に液体のメニスカスが形成され、そのメニスカスに電界が集中されて、メニスカスが電界による静電吸引力により吸引されて液滴化して吐出される。
このように、体積抵抗率が1015Ωm以上の材料からなるノズルプレートが用いられるため、メニスカスの先端部の電界強度を3×10V/m以上とすることができ、液滴を安定的に吐出することが可能となる。
また、ノズルの内周面に液体吸収防止層を設けることにより、ノズルプレートがノズル内の液体に直接接することが防止され、液体吸収防止層によりノズルプレートへのノズル内の液体の吸収が有効に阻止される。そのため、液体の吸収率がある程度高いノズルプレートであってもその電気伝導度を高まることがなく、ノズルプレートの体積抵抗率の値が低下することを有効に防止することができ、メニスカスに電界集中を効率良く生じさせることができる。
その結果、液体の吸収率がある程度高いノズルプレートにおいて、液体に印加する静電電圧や圧力発生手段に印加する駆動電圧が低電圧であっても、メニスカスに電界を効率良く集中することができる。そのため、ノズル径が微細であったり、液体が高粘度であっても液体を効果的に吐出することが可能となる。
さらに、液体吐出ヘッドがフラットなヘッドとされているから、液体吐出ヘッドのクリーニング時に吐出面にブレードやワイパ等の部材が接触してもノズルが損傷する等の事態が生じることがなく、操作性に優れる。また、液体吐出ヘッドの製造においてもノズルの突起等の微細構造を形成する必要がなく構造が単純であるから、容易に製造することが可能で生産性に優れる。
請求項2および請求項12に記載の発明によれば、ノズルの内周面にダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。これらの材質は液体の吸収防止性に優れるため、前記請求項1に記載の発明の効果が発揮されるとともに、プラズマイオンプレーティングやプラズマCVD、FCVA法等の公知の手法により比較的容易に液体吸収防止層を形成することが可能となる。
請求項3および請求項13に記載の発明によれば、液体吸収防止層の表面に帯電用電極が形成され、ノズル内の液体に印加される静電電圧が帯電用電極を介して印加される。そのため、帯電用電極は、液体吸収防止層の表面上をノズルの吐出孔部分まで延在するように形成できるから、静電電圧の印加によりノズル内の液体のみならず吐出孔部分のメニスカスまで十分に帯電させることが可能となり、前記各請求項に記載の発明の効果をより有効に発揮することが可能となる。
請求項4および請求項14に記載の発明によれば、液体吸収防止層は、各ノズルの内周面のみならず、ノズルプレートの吐出面の全面を被覆するように形成されるため、吐出面側からノズルプレートに液体が吸収することも有効に防止することが可能となり、前記各請求項に記載の発明の効果をより効果的に発揮させることができる。
請求項5および請求項15に記載の発明によれば、各ノズルの内周面およびノズルプレートの吐出面に窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなる液体吸収防止層が形成される。窒化酸化シリコンや酸化シリコンは液体のノズルプレートへの吸収を有効に防止し得るため、前記各請求項に記載の発明の効果を有効に発揮できるとともに、窒化酸化シリコンや酸化シリコンの成膜法や蒸着法はよく知られた手法であることからノズルプレートの製造に適した成膜法により低コストで液体吸収防止層を形成することが可能となる。
また、後述するようにノズルプレートの吐出面に撥液層が設けられる場合に、吐出面の液体吸収防止層を窒化酸化シリコンや酸化シリコン等で形成しておけば、撥液層として撥液機能に優れるフルオロアルキルシラン膜を用いる際に密着性が良く、その結果、液体の吐出が安定するため、吐出安定性に優れるノズルプレートの製造が可能となる。
請求項6および請求項16に記載の発明によれば、ノズルの内周面に厚さが0.1μm以上の液体吸収防止層が設けられることで、ノズル内の液体が液体吸収防止層を介してノズルプレートに吸収されることを十分有効に防止することができ、前記各請求項に記載の発明の効果を有効に発揮させることができる。
請求項7および請求項17に記載の発明によれば、液体吐出ヘッドのフラットな吐出面に、液体を弾く撥液層が設けられることで、ノズルの吐出孔部分に形成される液体のメニスカスが吐出孔の周囲の吐出面に広がることによるメニスカス先端部への電界集中の低下を効果的に防止することができ、前記各請求項に記載の発明の効果をより的確に発揮することが可能となる。
請求項8および請求項10に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧が印加されて液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界が形成された電界と、圧力発生手段により加えられた圧力により、ノズルの吐出孔に液体のメニスカスが形成され、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて液体が液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
そのため、液滴は、電界からの静電吸引力の作用で、基材のより近い部分に着弾しようとするため、基材に対する着弾の際の角度等を安定させ、液滴を所定の着弾位置に正確に着弾させることが可能となる。また、前記各請求項に記載の発明と同様に、低電圧の静電電圧でメニスカスが大きく隆起するため、静電電圧印加手段により印加される静電電圧の電圧値を低下させることが可能となり、前記各請求項に記載の発明の効果をより有効に発揮することが可能となる。
請求項9および請求項11に記載の発明によれば、体積抵抗率が1015Ωm以上で吐出面がフラットな液体吐出ヘッドのノズルの内周面には液体吸収防止層が設けられており、ノズルおよびキャビティ内の液体に圧力発生手段により圧力を加えてノズルの吐出孔部分にメニスカスを隆起させ、それによりメニスカス先端部に電界集中により強い電界強度が生じて電界の静電吸引力によりメニスカスを引きちぎるようにして液滴化し、液滴が電界により加速されて基材に着弾する。
そのため、前記各請求項に記載の発明の効果に加え、圧力発生手段による圧力でノズル内の液体を液滴化しなくても、十分にメニスカスを隆起させれば電界の静電吸引力によりメニスカスが引きちぎられるから、圧力発生手段に印加する駆動電圧をより低電圧とすることが可能となり、液体吐出装置の電力消費の軽減を図ることが可能となる。
以下、本発明に係る液体吐出ヘッドおよびそれを用いた液体吐出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を示す断面図である。なお、本発明の液体吐出ヘッド2は、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
本実施形態の液体吐出装置1は、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル10が形成された液体吐出ヘッド2と、液体吐出ヘッド2のノズル10に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極3とを備えている。
液体吐出ヘッド2の対向電極3に対向する側には、複数のノズル10を有する樹脂製のノズルプレート11が設けられている。液体吐出ヘッド2は、ノズルプレート11の対向電極3に対向する吐出面12からノズル10が突出されない、或いは前述したようにノズル10が30μm程度しか突出しないフラットな吐出面を有するヘッドとして構成されている(例えば、後述する図2(D)参照)。
本実施形態では、各ノズル10は、ノズルプレート11に穿孔されて形成されており、各ノズル10には、それぞれノズルプレート11の吐出面12に吐出孔13を有する小径部14とその背後に形成されたより大径の大径部15との2段構造とされている。ノズル10の小径部14および大径部15は、それぞれ断面円形で対向電極側がより小径とされたテーパ状に形成されており、小径部14の吐出孔13の内部直径(以下、ノズル径という。)が10μm、大径部15の小径部14から最も離れた側の開口端の内部直径が75μmとなるように構成されている。
なお、ノズル10の形状は前記の形状に限定されず、例えば、図2(A)〜(E)に示すように、形状が異なる種々のノズル10を用いることが可能である。また、ノズル10は、断面円形状に形成する代わりに、断面多角形状や断面星形状等であってもよい。
ノズル10の内周面16には、ノズル10内の液体Lがノズルプレート11に吸収されることを防止する液体吸収防止層17が形成されている。本実施形態では、液体吸収防止層17は、ダイアモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon)をプラズマイオンプレーティングによりノズル10の小径部14および大径部15の内周面16の全面に成膜することにより形成されている。
なお、液体吸収防止層17は、ダイアモンドライクカーボンのほか、例えば、窒化酸化シリコン(SiON)や酸化シリコン(SiO)等を用いて形成することも可能であり、成膜法としては、プラズマイオンプレーティングのほか、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法やFCVA(filtered Cathodic Vacuum Arc)蒸着法を用いることができる。
また、液体吸収防止層17を構成する材質は、導電性を有していても或いは絶縁性であってもよいが、液体Lがノズルプレート11に吸収されることを防止する機能を奏するものであることが必要である。
ノズルプレート11の吐出面12と反対側の面には、例えばNiP等の導電素材よりなりノズル10内の液体Lを帯電させるための帯電用電極18が層状に設けられている。本実施形態では、帯電用電極18は、ノズル10の内周面16に形成された前記液体吸収防止層17上に延設され重層されている。
また、帯電用電極18は、静電吸引力を生じさせる静電電圧を印加する静電電圧印加手段としての帯電電圧電源19に接続されており、単一の帯電用電極18がすべてのノズル10内の液体Lに接触しているため、帯電電圧電源19から帯電用電極18に静電電圧が印加されると、全ノズル10内の液体Lが同時に帯電され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようになっている。
本実施形態では、前述したように、各ノズル10の内周面16を被覆する液体吸収防止層17の表面上に重層された帯電用電極18が吐出孔13まで延在しているため、帯電用電極18への静電電圧の印加によりノズル10内の液体Lを吐出孔13付近および後述する吐出孔13に形成される液体Lのメニスカスまで同時にかつ十分に帯電させることが可能とされている。
帯電用電極18の背後には、ボディ層20が設けられている。ボディ層20の前記各ノズル10の大径部15の開口端に面する部分には、それぞれ開口端にほぼ等しい内径を有する略円筒状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lを一時貯蔵するためのキャビティ21とされている。
ボディ層20の背後には、可撓性を有する金属薄板やシリコン等よりなる可撓層22が設けられており、可撓層22により液体吐出ヘッド2が外界と画されている。
なお、ボディ層20には、キャビティ21に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。具体的には、ボディ層20としてのシリコンプレートをエッチング加工してキャビティ21、共通流路、および共通流路とキャビティ21とを結ぶ流路が設けられており、共通流路には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路やキャビティ21、ノズル10等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
可撓層22の外面の各キャビティ21に対応する部分には、それぞれ圧力発生手段としての圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子23が設けられており、ピエゾ素子23には、素子に駆動電圧を印加して素子を変形させるための駆動電圧電源24が接続されている。ピエゾ素子23は、駆動電圧電源24からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。なお、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータやサーマル方式等を採用することも可能である。
駆動電圧電源24および帯電用電極18に静電電圧を印加する前記帯電電圧電源19は、それぞれ動作制御手段25に接続されており、それぞれ動作制御手段25による制御を受けるようになっている。
動作制御手段25は、本実施形態では、CPU26やROM27、RAM28等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU26は、ROM27に格納された電源制御プログラムに基づいて帯電電圧電源19および各駆動電圧電源24を駆動させてノズル10の吐出孔13から液体Lを吐出させるようになっている。
なお、本実施形態では、液体吐出ヘッド2のノズルプレート11の吐出面12には、吐出孔13からの液体Lの滲み出しを抑制するための撥液層29が吐出孔13以外の吐出面12の全面に設けられている。撥液層29は、例えば、液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面12に成膜されている。なお、撥液層29は、ノズルプレート11の吐出面12に直接成膜してもよいし、撥液層29の密着性を向上させるために中間層を介して成膜することも可能である。
なお、本実施形態では、前述したノズル10の内周面16に形成された液体吸収防止層17を延設してノズルプレート11の吐出面12の全面を被覆するように形成することも可能である。その場合には、撥液層29は、図3に示すように、ノズルプレート11の吐出面12を被覆する液体吸収防止層上に成膜するようにして形成される。
液体吐出ヘッド2の下方には、基材Kを支持する平板状の対向電極3が液体吐出ヘッド2の吐出面12に平行に所定距離離間されて配置されている。対向電極3と液体吐出ヘッド2との離間距離は、0.1〜3mm程度の範囲内で適宜設定される。
本実施形態では、対向電極3は接地されており、常時接地電位に維持されている。そのため、前記帯電電圧電源19から帯電用電極18に静電電圧が印加されると、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界が生じるようになっている。また、帯電した液滴Dが基材Kに着弾すると、対向電極3はその電荷を接地により逃がすようになっている。
なお、対向電極3または液体吐出ヘッド2には、液体吐出ヘッド2と基材Kとを相対的に移動させて位置決めするための図示しない位置決め手段が取り付けられており、これにより液体吐出ヘッド2の各ノズル10から吐出された液滴Dは、基材Kの表面に任意の位置に着弾させることが可能とされている。
液体吐出装置1による吐出を行う液体Lは、例えば、無機液体としては、水、COCl、HBr、HNO、HPO、HSO、SOCl、SOCl、FSOHなどが挙げられる。
また、有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して用いてもよい。
さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを液体Lとして使用し、吐出を行う場合には、前述した液体Lに溶解又は分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。
PDP、CRT、FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO:Eu、YO:Euなど、緑色蛍光体として、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・α−Al:Mnなど、青色蛍光体として、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。
上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添加するのが好ましい。用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミンなどのアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイドなどのアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白などの天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いてもよい。
液体吐出装置1をパターンニング手段として使用する場合には、代表的なものとしてはディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成、CRTの蛍光体の形成、FED(フィールドエミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形成、FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラックマトリクス層)、液晶ディスプレイ用スペーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン、ドットパターン等)などを挙げることができる。
なお、リブとは一般的に障壁を意味し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いられる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布、グラフィック用途としては、通常印刷、特殊媒体(フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、医療用途としては医薬品(微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等の塗布等に応用することができる。
ここで、本発明の液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理について本実施形態を用いて説明する。
本実施形態では、帯電電圧電源19から帯電用電極18に静電電圧を印加し、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界を生じさせる。また、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に駆動電圧を印加してピエゾ素子23を変形させ、それにより液体Lに生じた圧力でノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させる。
本実施形態のように、ノズルプレート11の絶縁性が高くなると、図4にシミュレーションによる等電位線で示すように、ノズルプレート11の内部に、吐出面12に対して略垂直方向に等電位線が並び、ノズル10の小径部14の液体Lや液体Lのメニスカス部分に向かう強い電界が発生する。
特に、図4でメニスカスの先端部では等電位線が密になっていることから分かるように、メニスカス先端部では非常に強い電界集中が生じる。そのため、電界の静電力によってメニスカスが引きちぎられてノズル内の液体Lから分離されて液滴Dとなる。さらに、液滴Dは静電力により加速され、対向電極3に支持された基材Kに引き寄せられて着弾する。その際、液滴Dは、静電力の作用でより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾の際の角度等が安定し正確に行われる。
このように、本発明の液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理を利用すれば、フラットな吐出面を有する液体吐出ヘッド2においても、高い絶縁性を有するノズルプレート11を用い、吐出面12に対して垂直方向の電位差を発生させることで強い電界集中を生じさせることができ、正確で安定した液体Lの吐出状態を形成することができる。
発明者らが、電極間の電界の電界強度が実用的な値である1.5kV/mmとなるように構成し、各種の絶縁体でノズルプレート11を形成して下記の実験条件に基づいて行った実験では、ノズル10から液滴Dが吐出される場合と吐出されない場合があった。
[実験条件]
ノズルプレート11の吐出面12と対向電極3の対向面との距離:1.0mm
ノズルプレート11の厚さ:125μm
ノズル径:10μm
静電電圧:1.5kV
駆動電圧:20V
この実機による実験で、液滴Dがノズル10から安定に吐出されたすべての場合について、メニスカス先端部の電界強度を求めた。実際には、メニスカス先端部の電界強度を直接測定することが困難であるため、電界シミュレーションソフトである「PHOTO-VOLT」(商品名、株式会社フォトン製)で電流分布解析モードによるシミュレーションにより算出した。その結果、すべての場合においてメニスカス先端部の電界強度は3×10V/m(30kV/mm)以上であった。
また、前記実験条件と同様のパラメータを同ソフトに入力してメニスカス先端部の電界強度を演算した結果、図5に示すように、電界強度はノズルプレート11に用いる絶縁体の体積抵抗率に強く依存することが分かった。文献等では絶縁体または誘電体とされる物質の体積抵抗率は1010Ωm以上のものを指すことが多く、代表的な絶縁体として知られているボロシリケイトガラス(例えば、PYREX(登録商標)ガラス)の体積抵抗率は1014Ωmである。
しかし、このような体積抵抗率の絶縁体では、液滴Dは吐出されない。前記のように、ノズル10から液滴Dを安定に吐出させるためにはメニスカス先端部の電界強度が3×10V/m以上であることが必要であり、図5から、少なくともノズルプレート11の体積抵抗率は1015Ωm以上であることが必要であることが分かった。
ノズルプレート11の体積抵抗率とメニスカス先端部の電界強度との関係が図5のような特徴的な関係になるのは、ノズルプレート11の体積抵抗率が低いと、静電電圧を印加してもノズルプレート内で等電位線が図4に示したように吐出面12に対して略垂直方向に並ぶような状態にはならず、ノズル内の液体Lおよび液体Lのメニスカスへの電界集中が十分に行われないためであると考えられる。
理論上、体積抵抗率が1015Ωm未満のノズルプレート11でも、静電電圧を非常に大きくすればノズル10から液滴Dが吐出される可能性はあるが、電極間でのスパークの発生等により基材Kが損傷される可能性があるため、本発明では採用されない。
なお、図5に示したようなメニスカス先端部の電界強度のノズルプレート11の体積抵抗率に対する特徴的な依存関係は、ノズル径を種々に変化させてシミュレーションを行った場合でも同様に得られており、どの場合も体積抵抗率が1015Ωm以上の場合にメニスカス先端部の電界強度が3×10V/m以上になることが分かっている。また、前記実験条件中のノズルプレート11の厚さとは、本実施形態の場合は、ノズル10の小径部14の長さと大径部15の長さの和に等しい。
一方、ノズル10の内周面16に液体吸収防止層17を設けない場合には、体積抵抗率が1015Ωm以上の絶縁体を用いてノズルプレート11を作製してもノズル10から液滴Dが吐出されない場合がある。下記実施例1の表1に示すように、液体Lとして水などの導電性溶媒を含有する液体を用いた実験では、ノズルプレート11の液体の吸収率が0.6%以下であることが必要であることが分かった。
これは、ノズルプレート11が液体L中から導電性溶媒を吸収すると導電性の液体である水分子等の分子が本体絶縁性であるノズルプレート11内に存在することになるため、結果的にノズルプレート11の電気伝導度が高くなり、特に液体Lに接する局部の実効的な体積抵抗率の値が低下し、図5に示す関係に従ってメニスカス先端部の電界強度が弱まり、液体Lの吐出に必要な電界集中が得られなくなるためと考えられる。
しかし、下記実施例1に示すように、ノズル10の内周面16に液体吸収防止層17を設けると、体積抵抗率が1015Ωm以上の絶縁体を用いたノズルプレート11では、すべてのノズルプレート11において、液体Lが吐出されることが分かった。これは、前記のように液体の吸収率が0.6%より大きなノズルプレート11であっても、液体吸収防止層17によりノズル10内の液体Lに直接接することを防止されるため、液体吸収防止層17を介して液体Lがノズルプレート11に吸収されるとしても、その量はごく微量となる。
そのため、液体Lの吸収率がある程度高いノズルプレート11においてもその電気伝導度を高めるには至らず、ノズルプレート11の体積抵抗率の値が低下しないため、図5に示した関係によりメニスカスに電界集中が効率良く生じ、メニスカス先端部の電界強度が十分に強まるためと考えられる。なお、下記実施例2に示すように、液体吸収防止層17の厚さは0.1μm以上であれば、十分にその機能を奏することが分かっている。
また、下記実施例1によれば、液体Lとして絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体を用いた場合には、ノズルプレート11は、その液体に対する吸収率に係わりなく、また、液体吸収防止層17を設けるか否かに係わりなく、体積抵抗率が1015Ωm以上であれば液体Lを吐出することが分かった。これは、絶縁性溶媒がノズルプレート11内に吸収されても絶縁性溶媒の電気伝導度が低いためノズルプレート11の電気伝導度が大きく変化せず、実効的な体積抵抗率が低下しないためであると考えられる。
なお、前記絶縁性溶媒に分散されている帯電可能な粒子は、例えば、電気伝導度が極めて大きな金属粒子であっても液体吸収防止層17には吸収されないため、ノズルプレート11の電気伝導度を高めることはない。なお、前記絶縁性溶媒とは、単体では静電吸引力により吐出されない溶媒をいい、具体的には、例えば、キシレンやトルエン、テトラデカン等が挙げられる。また、導電性溶媒とは、電気伝導度が10−10S/cm以上の溶媒をいう。
また、前記シミュレーションにおいて、ノズルプレート11の厚さを変化させた場合およびノズル径を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度を、図6および図7にそれぞれ示す。この結果から、メニスカス先端部の電界強度は、ノズルプレート11の厚さおよびノズル径にも依存し、それぞれ75μm以上および15μm以下であることが好ましい。なお、ノズルプレート11の厚さおよびノズル径の前記適正範囲は、下記実施例3に示すように実機による実験でも確認されている。
メニスカス先端部の電界強度がノズルプレート11の厚さに依存する理由としては、ノズルプレート11の厚さがより厚くなることで、ノズル10の吐出孔13と帯電用電極18との距離が遠くなり、ノズルプレート内の等電位線が略垂直方向に並び易くなるためメニスカス先端部への電界集中が生じ易くなることが考えられる。
また、ノズル径が小径になることで、メニスカスの径が小さくなり、より小径となったメニスカス先端部に電界が集中することで電界集中の度合が大きくなる。そのため、メニスカス先端部の電界強度が強くなると考えられる。
なお、図6に示したノズルプレート11の厚さとメニスカス先端部の電界強度との関係および図7に示したノズル径とメニスカス先端部の電界強度との関係は、本実施形態のような小径部14および大径部15よりなる2段構造のノズル10の場合のみならず、1段構造、すなわち、単純なテーパ状のノズルや円筒状のノズル、或いは多段構造のノズルの場合も同様のシミュレーション結果が得られている。
さらに、前記シミュレーションにおいて、小径部14および大径部15の区別がないテーパ状または円筒状の1段構造のノズル10において、ノズル10のテーパ角を変化させた場合のメニスカス先端部の電界強度の変化を図8に示す。この結果から、メニスカス先端部の電界強度は、ノズル10のテーパ角に依存することが分かる。ノズル10のテーパ角は30°以下であることが好ましい。なお、テーパ角とはノズル10の内面とノズルプレート11の吐出面12の法線とがなす角のことをいい、テーパ角が0°の場合はノズル10が円筒形状であることに対応する。
次に、本実施形態の液体吐出ヘッド2および液体吐出装置1の作用について説明する。
図9は、本実施形態の液体吐出装置における液体吐出ヘッドの駆動制御を説明する図である。本実施形態では、液体吐出装置1の動作制御手段25は、帯電電圧電源19から帯電用電極18に一定の静電電圧Vを印加させる。これにより、液体吐出ヘッド2の各ノズル10には常時一定の静電電圧Vが印加され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間に電界が生じる。
また、動作制御手段25は、液滴Dを吐出させるべきノズル10ごとに、そのノズル10に対応する駆動電圧電源24からピエゾ素子23に対してパルス状の駆動電圧Vを印加させる。このような駆動電圧Vが印加されると、ピエゾ素子23が変形してノズル内部の液体Lの圧力を上げ、ノズル10の吐出孔13では、図中Aの状態からメニスカスが隆起し始め、Bのようにメニスカスが大きく隆起した状態となる。
すると、前述したように、メニスカス先端部に高度な電界集中が生じて電界強度が非常に強くなり、メニスカスに対して前記静電電圧Vにより形成された電界から強い静電力が加わる。この強い静電力による吸引とピエゾ素子23による圧力とにより図中Cのようにメニスカスが引きちぎられて液滴Dが形成される。液滴Dは、電界で加速されて対向電極方向に吸引され、対向電極3に支持された基材Kに着弾する。
その際、液滴Dには空気の抵抗等が加わるが、前述したように、静電力の作用で液滴Dはより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾方向がぶれることなく安定し、基材Kに正確に着弾する。
本実施形態では、帯電電圧電源19から帯電用電極18に印加される一定の静電電圧Vは1.5kVに設定されており、駆動電圧電源24からピエゾ素子23に印加されるパルス状の駆動電圧Vは20Vに設定されている。
なお、ピエゾ素子23に印加する駆動電圧Vとしては、本実施形態のようにパルス状の電圧とすることも可能であるが、この他にも、例えば、電圧が漸増した後漸減するいわば三角状の電圧や、電圧が漸増した後一旦一定値を保ちその後漸減する台形状の電圧、或いはサイン波の電圧を印加するように構成することも可能である。また、図10(A)に示すように、ピエゾ素子23に常時電圧Vを印加しておいて一旦切り、再度電圧Vを印加してその立ち上がり時に液滴Dを吐出させるようにしてもよい。また、図10(B)、(C)に示すような種々の駆動電圧Vを印加するように構成してもよく適宜決定される。
以上のように、本実施形態の液体吐出ヘッド2および液体吐出装置1によれば、液体吐出ヘッド2は、フラットな吐出面12を有するヘッドとされているため、図示を省略するが、液体吐出ヘッド2のクリーニング時に吐出面12にブレードやワイパ等の部材が接触してもノズル10が損傷する等の事態が生じることがなく、操作性に優れる。
また、液体吐出ヘッド2の製造においてノズル10の突起等の微細構造を形成する必要がなく構造が単純であるから、容易に製造することが可能で生産性に優れる。
さらに、ノズル10の内周面16に液体吸収防止層17を設けることにより、ノズルプレート11がノズル10内の液体Lに直接接することが防止され、液体吸収防止層17によりノズルプレート11へのノズル10内の液体Lの吸収が有効に阻止される。そのため、液体Lの吸収率がある程度高いノズルプレート11であってもその電気伝導度を高めるには至らず、ノズルプレート11の体積抵抗率の値が1015Ωm未満に低下することを防止することができ、メニスカスに電界集中を効率良く生じさせることができる。
その結果、液体Lの吸収率がある程度高いノズルプレート11においても帯電用電極18に印加する静電電圧が1.5kV程度の低い電圧でピエゾ素子23の変形によりノズル10の吐出孔部分に形成される液体Lのメニスカスに電界を十分に集中することができ、メニスカスの先端部の電界強度を液滴Dが安定的に吐出される3×10V/m以上とすることが可能となる。
このように、本実施形態の液体吐出ヘッド2は、フラットなヘッドでありながら、ノズルが突出されたヘッドと同様の電界集中をメニスカス先端部に効果的に生じさせることができるため、低電圧の静電電圧の印加でも効率良くかつ正確に液体を吐出することが可能となる。
なお、本実施形態では、ピエゾ素子23の変形により形成されたメニスカスを静電吸引力で分離して液滴化し、静電電圧Vによる電界で加速して基材Kに着弾させる構成としているが、この他にも、例えば、ピエゾ素子23の変形による圧力のみで液体Lが液滴化する程度の強い駆動電圧を印加するように構成することも可能である。
また、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせ、ノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成する圧力発生手段としてピエゾ素子23の変形を用いる場合について示したが、圧力発生手段はこの機能を有するものであればよく、この他にも、例えば、ノズル10やキャビティ21の内部の液体Lを加熱するなどして気泡を生じさせ、その圧力を用いるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、対向電極3を接地する場合について述べたが、例えば、電源から対向電極3に電圧を印加して、帯電用電極18との電位差が1.5kV等の所定の電位差になるようにその電源を動作制御手段25で制御するように構成することも可能である。
[実施例1]
本実施形態の液体吐出ヘッド2のノズルプレート11を種々の材料を用いて実際に作製し、ノズル10の吐出孔13から液滴Dが吐出されるか否かを基材Kに吐出させて確認した。
液体吐出ヘッド2の構成は、前記実験条件と同様の条件で作製し、ノズル10のテーパ角は4°で小径部14と大径部15とが連続した1段構造とした。また、図1に示したように、ノズル10の内周面16をプラズマイオンプレーティングにより厚さ0.2μmになるようにダイアモンドライクカーボンで被覆した。
また、液体L1は、水52重量%、エチレングリコールおよびプロピレングリコールをそれぞれ22重量%、染料(CIアシッドレッド1)3重量%、界面活性剤1重量%含有する導電性の液体として調製し、液体L2は、エタノールに染料(同上)を3重量%含有する導電性の液体として調整し、液体L3は、テトラデカンにAg粒子を分散させ、絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体として調製した。
なお、体積抵抗率は、JISC2151に準拠し、シート状被測定物の面間に電圧を印加した場合の電気抵抗値より算出した。また、ノズルプレート11の液体の吸収率は、23℃の使用対象である液体Lにノズルプレート11または代用のシート状被測定物を24時間浸漬し、浸漬前後のノズルプレート11または被測定物の重量変化率より算出した。液体Lが水溶性インクである場合には、ASTMD570に準拠した吸水率で代用することも可能である。
前記液体L1〜L3に対する実験結果は下記の表1のようになった。なお、表1の吸収率の欄は、上段が水に対する吸収率(吸水率)、下段がエタノールに対する吸収率を表している。また、吐出の有無の後の「あり」は液体吸収防止層17を設けた場合を示し、「なし」は参照実験として液体吸収防止層17を設けない場合を示している。
Figure 2006181926
表1の結果から、液体L1や液体L2のように導電性溶媒を含有する場合、液体の吸収率が低くても体積抵抗率が1015Ωm未満の材料ではノズル10から液体Lは吐出されないことが分かる。これは、前記シミュレーションによる結果と同じ結果を示している。また、参照実験においては体積抵抗率が1015Ωm以上の材料であっても吸収率が0.6%より大きいと液体Lが吐出されない場合があるが、ノズル10の内周面16に液体吸収防止層17を設けた場合には、ノズルプレート11の体積抵抗率が1015Ωm以上であれば、すべてのノズルプレート11において液体Lが吐出されることが分かる。
なお、液体L3のように絶縁性溶媒に帯電可能な粒子を分散した液体を吐出する場合には、体積抵抗率が1015Ωm以上の材料であればすべてノズル10から液体が吐出され得ることが分かる。
[実施例2]
次に、液体吸収防止層17の厚さを種々変えたノズルプレート11を作製し、前記液体Lの吐出の有無を基材Kに吐出させて確認した。
実験結果は下記の表2のようになった。なお、ノズルプレート11は表1に記載されているポリイミド(ユーピレックス−S(宇部興産株式会社製))を用いて形成し、液体には液体L1および液体L2を用いた。
Figure 2006181926
表2の結果から、液体吸収防止層17の厚さは、0.1μm以上であれば液体L1が吐出されることが分かる。これは、液体吸収防止層17を構成する材質自体が液体L1を吸収し難い材質を用いており、液体吸収防止層17が0.1μm以上の厚さがあれば、液体L1が液体吸収防止層17を介してノズルプレート11に到達することを十分に阻止し得ることを意味している。
液体吸収防止層17として窒化酸化シリコンや酸化シリコンを用いた場合も同様の結果が得られ、ノズルプレート11の材質としてポリイミド(カプトン100CB(東レ・デュポン株式会社製))を用いた場合も同じ結果が得られた。なお、液体吸収防止層17の厚さを1.0μm以上にすると、層がひび割れを生じ、液体が吐出されなくなる場合があることが分かっている。
[実施例3]
本実施形態の液体吐出ヘッド2のノズルプレート11の厚さおよびノズル径を種々変えて作製し、前記液体L1の吐出の有無を基材Kに吐出させて確認した。また、参照実験として、液体L1の吐出が確認されなかった条件で静電電圧を3.0kVにして吐出の有無を確認した。
実験結果は下記の表3のようになった。なお、ノズルプレート11は表1に記載されているポリエチレンテレフタレート(ルミラー(東レ株式会社製))を用いて形成した。
Figure 2006181926
表3の結果から、ノズルプレート11の厚さが125μmの場合の結果を比較すると、ノズル径は15μm以下であることが好ましいことが分かる。また、ノズル径を15μmとした場合の結果を比較すると、ノズルプレート11の厚さは75μm以上であることが好ましいことが分かる。なお、液体が吐出されなかった条件で静電電圧を3.0kVとしたところ、この場合は、液体が吐出された。
本実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を示す断面図である。 形状が異なるノズルの変形例を示す図である。 ノズルプレートの吐出面に形成された液体吸収防止層および撥液層を示す断面図である。 シミュレーションによるノズルの吐出孔付近の電位分布を示す模式図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズルプレートの体積抵抗率との関係を示す図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズルプレートの厚さとの関係を示す図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズル径との関係を示す図である。 メニスカス先端部の電界強度とノズルのテーパ角との関係を示す図である。 本実施形態の液体吐出装置における液体吐出ヘッドの駆動制御の一例を示し、駆動制御とメニスカスの動きとの関係を説明する図である。 ピエゾ素子に印加する駆動電圧の変形例を示す図である。
符号の説明
1 液体吐出装置
2 液体吐出ヘッド
3 対向電極
10 ノズル
11 ノズルプレート
12 吐出面
13 吐出孔
16 内周面
17 液体吸収防止層
19 帯電電圧電源
21 キャビティ
23 ピエゾ素子
24 駆動電圧電源
25 動作制御手段
29 撥液層
L 液体

Claims (17)

  1. 液体を吐出するノズルと、
    体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、
    前記ノズルの吐出孔から吐出される液体を貯蔵するキャビティと、
    前記ノズル内の液体に圧力を発生させて前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを形成する圧力発生手段と、
    前記ノズルおよび前記キャビティ内の液体と基材間に静電電圧を印加して静電吸引力を発生させる静電電圧印加手段と、
    前記静電電圧印加手段による前記静電電圧の印加および前記圧力発生手段を駆動する駆動電圧の印加を制御する動作制御手段と
    を備え、
    前記ノズルの内周面に、前記ノズル内の液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記液体吸収防止層は、ダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記液体吸収防止層の表面に、液体の帯電用電極が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記液体吸収防止層は、前記ノズルプレートの吐出面にも形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記液体吸収防止層は、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記液体吸収防止層は、その厚さが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記ノズルプレートの吐出面に撥液層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記液体吐出ヘッドに対向する対向電極と
    を備え、
    前記液体吐出ヘッドと前記対向電極との間に生じる前記静電吸引力と前記ノズル内に生じる圧力とにより前記液体を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
  9. 前記圧力発生手段による圧力により前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させ、前記静電吸引力により液体を吐出させることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、内周面に液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されたノズルとを有する液体吐出ヘッドのノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧を印加して前記液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界を形成するとともに、圧力発生手段により前記ノズル内の液体に圧力を発生させ、前記電界による静電吸引力と前記圧力によりノズルの吐出孔に形成された液体のメニスカスに電界を集中させ、前記静電吸引力により液体を吸引して吐出させることを特徴とする液体吐出方法。
  11. 体積抵抗率が1015Ωm以上でフラットなノズルプレートと、内周面に液体が前記ノズルプレートに吸収されることを防止する液体吸収防止層が形成されたノズルとを有する液体吐出ヘッドのノズルおよびキャビティ内の液体に静電電圧を印加して前記液体吐出ヘッドと対向電極との間に電界を形成するとともに、圧力発生手段により前記ノズル内の液体に圧力を発生させて前記ノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させて電界を集中させ、前記電界による静電吸引力により液体を吸引して吐出させることを特徴とする液体吐出方法。
  12. 前記液体吸収防止層は、ダイアモンドライクカーボン、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の液体吐出方法。
  13. 前記液体吸収防止層の表面に、液体の帯電用電極が形成されていることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の液体吐出方法。
  14. 前記液体吸収防止層は、前記ノズルプレートの吐出面にも形成されていることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出方法。
  15. 前記液体吸収防止層は、窒化酸化シリコンまたは酸化シリコンよりなることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出方法。
  16. 前記液体吸収防止層は、その厚さが0.1μm以上であることを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか一項に記載の液体吐出方法。
  17. 前記ノズルプレートの吐出面に撥液層が設けられていることを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか一項に記載の液体吐出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007062367A (ja) * 2005-08-01 2007-03-15 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
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