JP2006035585A - 液体吐出装置 - Google Patents

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JP2006035585A JP2004217488A JP2004217488A JP2006035585A JP 2006035585 A JP2006035585 A JP 2006035585A JP 2004217488 A JP2004217488 A JP 2004217488A JP 2004217488 A JP2004217488 A JP 2004217488A JP 2006035585 A JP2006035585 A JP 2006035585A
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修敬 上野
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泰男 西
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Abstract

【課題】ノズル同士で起こるクロストークを抑えてノズルの高密度化を図る。
【解決手段】本発明に係る液体吐出装置20は、帯電した溶液の液滴を基材Kに吐出するものであって、内径が100μm以下の複数のノズル21を有し、各ノズル21の先端部21aから液滴を吐出する液体吐出ヘッド26と、各ノズル21内に溶液を供給する溶液供給手段29と、各ノズル21内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段25とを、備えている。液体吐出装置20では、各ノズル21が導体又は半導体で構成されており、各ノズル21の表面が絶縁膜で被覆されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電した溶液の液滴を基材に吐出する静電式の液体吐出装置に関する。
従来から、対象物に対し溶液を液滴として吐出させる技術として、ノズル内の溶液を帯電させかつ対象物とノズルとの間に電界を形成して、帯電させた溶液を液滴としてノズルの先端部から対象物に吐出させる所謂静電式液体吐出技術が知られている。当該静電式液体吐出技術は、インクや導電性ペーストを吐出用の溶液として適用し、記録媒体上に微小なドットによる高品質な画像を形成したり、基板上に超微細な配線パターンを形成したりするのに好適に用いられている。
ところで、導電性の溶液を吐出する通常の液体吐出装置(液体吐出用ヘッド)では、ノズルをその支持部材(ノズルプレート等)からやや突出させて当該ノズルの先端部における電界集中作用を利用するため、溶液の吐出性能に関して、ノズルが極めて重要な部位となっている。そのようなノズルの一例として、特許文献1には、珪素酸化物から構成された突出量10〜400μmのノズル(15)が開示されており、また、特許文献2には、切削加工により形成された板状で二等辺三角形状のノズル(インク吐出部16)が開示されている。
特開2003−311944号公報(段落番号0035,図3参照) 特開2003−39682号公報(段落番号0014,図1参照)
しかしながら、上記のような、ノズルの先端部に電界を集中させる方式の液体吐出装置において、溶液の正常な吐出に必要な電界強度を得るためには、数千ボルトの高電圧を吐出電圧としてノズルに印加したり、ノズルを微細でかつ高く突出した形状に形成したりする必要があり、これらの要素が製造コストや安全性、操作安定性等の点でデメリットとなっている。また、当該液体吐出装置において複数のノズルが配されている場合、対象物とノズルとの間に形成する電界が各ノズルの形状に強く影響を受けるため、互いに隣り合うノズル同士で「クロストーク」という現象が起こる。従来は、この現象を回避するため、各ノズルのピッチ(間隔)を大きくあけているが、それでは、各ノズルを密に配することができず、ノズルの高密度化を図るのが困難となっている。
本発明の目的は、吐出電圧の低電圧化を図るとともに、ノズル同士で起こるクロストークを抑えてノズルの高密度化を図ることである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、
帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出装置であって、
内径が100μm以下の複数のノズルを有し、前記各ノズルの先端部から液滴を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記各ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、
前記各ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段と、
を備え、
前記各ノズルが導体又は半導体で構成されており、
前記各ノズルの表面が絶縁膜で被覆されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記絶縁膜の膜厚が0.2μm以上で5μm以下であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置において、
前記絶縁膜の導電率が1×10-12S/m以下であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記溶液供給手段が溶液を貯留する溶液室を有し、
前記溶液室の溶液と前記各ノズルとの間に電圧が印加されることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記溶液室の溶液と前記各ノズルとの間に印加される電圧が10V以上であることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルがノズル面より液滴の吐出方向に突出していることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの高さが30μm以下であることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの周辺に凹部が形成されていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの先端部の表面が撥水処理されていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記基材を介して前記各ノズルに対向する対向電極を備え、
前記対向電極が平板形状又はドラム形状を呈していることを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの内径が10μm以下であることを特徴としている。
請求項12に記載の発明は、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの内径が4μm以下であることを特徴としている。
請求項13に記載の発明は、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
前記各ノズルの内径が0.1μm以上で1μm未満であることを特徴としている。
請求項1〜13に記載の発明では、ノズルが導体又は半導体で構成され、その表面が絶縁膜で被覆されているため、吐出しようとする溶液とノズルとの間が絶縁膜で電気的に遮断され、絶縁膜の膜厚やノズルの導体又は半導体部位の導電率のバラツキに左右されずに、ノズルごとにその先端部に電界を集中させることができる。これにより、吐出電圧の低電圧化を図ることができるとともに、ノズル同士で起こるクロストークを抑えてノズルの高密度化を図ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
(液体吐出装置の全体構成)
図1は本発明に係る液体吐出装置20の断面図である。
液体吐出装置20は、帯電可能な溶液の液滴をその先端部21aから吐出する超微細径のノズル21を有する液体吐出ヘッド26と、ノズル21の先端部21aに対向してその対向面で液滴の着弾を受ける基材Kを支持する対向電極23と、ノズル21内の流路22に溶液を供給する溶液供給手段29と、ノズル21内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段25と、ノズル21内の溶液が当該ノズル21の先端部21aから凸状に盛り上がった状態を形成する凸状メニスカス形成手段40と、凸状メニスカス形成手段40の駆動電圧の印加及び吐出電圧印加手段25による吐出電圧の印加を制御する動作制御手段50とを、備えている。
ノズル21は液体吐出ヘッド26に対し複数設けられており、各ノズル21が同一平面上に同一方向に向けられた状態で設けられている。これに伴い、溶液供給手段29は、各ノズル21ごとに液体吐出ヘッド26に形成され、また、凸状メニスカス形成手段40も各ノズル21ごとに液体吐出ヘッド26に設けられている。その一方で、吐出電圧印加手段25と対向電極23とは一つのみであり、各ノズル21に対して共用で用いられる。
なお、図1では、説明の便宜上、ノズル21の先端部21aが上方を向き、ノズル21の上方に対向電極23が配設されている状態で図示されているが、実際上は、ノズル21が水平方向か或いはそれよりも下方、より望ましくは垂直下方に向けた状態で使用される。また、液体吐出ヘッド26と基材Kとを相対的に移動位置決めする図示しない位置決め手段により液体吐出ヘッド26と基材Kとがそれぞれ搬送され、これにより液体吐出ヘッド26の各ノズル21から吐出される液滴が基材Kの表面上の任意の位置に着弾可能となっている。
(ノズル)
上記各ノズル21は、後述するノズルプレート26cと共に一体的に形成されており、当該ノズルプレート26cの平板面(図1中ノズルプレート26cの上面を示す。以下「ノズル面26e」という。)から液滴の吐出方向に向けて垂直に突出している。液滴の吐出時において、各ノズル21は、基材Kの受け面(液滴が着弾する面)に対して垂直に向けて使用される。
各ノズル21の内部にはその先端部21aからノズル21の中心に沿って貫通する流路22が形成されている。流路22は後述の溶液室24に連通するものであり、当該溶液室24からノズル21の先端部21aに溶液を導くようになっている。各ノズル21の先端部21aの表面と流路22の内面とには撥水処理が施されており、ノズル21の先端部21aで形成される凸状メニスカスの曲率半径をいつもノズル21の内径Inにより近い値とすることができるような構成となっている。
各ノズル21についてさらに詳説する。
図2はノズル21の詳細を説明するための断面斜視図である。
図2に示す通り、ノズル21の内径(後述の絶縁膜100の膜厚を除く。)をInと、ノズル21の外径(後述の絶縁膜100の膜厚を除く。)をOutとしたとき、各ノズル21は内径Inと外径Outとが一定の直線状を呈している。各ノズル21の内径Inは100[μm]以下となっており、好ましくは10[μm]以下であるのがよく、さらに好ましくは4[μm]以下であるのがよく、最も好ましくは0.1[μm]以上で1[μm]未満であるのがよい。
ノズル21の高さ(後述の絶縁膜100の膜厚を除く。)をHとしたとき、各ノズル21の高さHは30[μm]以下となっており、好ましくは3[μm]以上で10[μm]未満であるのがよい。周知の静電式液体吐出装置では、ノズルと対向電極との間に電界を形成すること及び溶液を帯電させることにより、ノズルの先端部の端面に溶液が濡れ広がる力(エレクトロウェティング)が作用するため、溶液の滲み出し現象が発生してノズルの先端部に電界を集中させることができず、その結果吐出不良を招く可能性があるが、本発明に係る液体吐出装置20では、ノズルの高さHが30[μm]以下とその突出量が非常に微小であるため、溶液の滲み出し現象を有効に抑制することができる。そして、それを実現できるノズル21の高さHとして、最低でも3[μm]は必要とされる。
なお、各ノズル21は、必ずしも外径Outと内径Inとが一定である必要はなく、外径Out又は内径Inの少なくとも一方が対向電極23に向けてテーパ状に形成されてもよい。また、流路22の後述する溶液室24に通じる端部に関し、図3(A)に示すように、流路22の後述する溶液室24側の端部における断面形状が丸みを帯びて形成されていてもよいし、図3(B)に示すように、流路22の後述する溶液室24側の端部のみがテーパ周面形状に形成されると共に当該テーパ周面よりも先端部21a側は内径Inが一定の直線状に形成されていてもよい。
(溶液供給手段)
各溶液供給手段29は、液体吐出ヘッド26の内部であって対応するノズル21の基端部側に設けられると共に流路22に連通する溶液室24と、図示しない外部の溶液タンクから溶液室24に溶液を導く供給路27と、溶液室24への溶液の供給圧力を付与する図示しない供給ポンプとを、備えている。
上記供給ポンプは、ノズル21の先端部21aまで溶液を供給し、凸状メニスカス形成手段40の非作動時であって吐出電圧印加手段25の非作動時において、各ノズル21の先端部21aから外部に現れない範囲(凸状メニスカスを形成しない範囲)の供給圧力を維持して溶液の供給を行うようになっている。
なお、上記供給ポンプとは、液体吐出ヘッド26と供給タンクの配置位置による差圧を利用する場合も含み、別途、溶液供給手段を設けなくとも溶液供給路のみで構成してもよい。ポンプシステムの設計にもよるが、基本的にはスタート時に液体吐出ヘッド26に溶液を供給するときに稼動し、液体吐出ヘッド26から液体を吐出し、それに応じた溶液の供給は、キャピラリ及び凸状メニスカス形成手段40による液体吐出ヘッド26内の容積変化及び供給ポンプの各圧力の最適化を図って溶液の供給が実施される。
(吐出電圧印加手段)
吐出電圧印加手段25は、液体吐出ヘッド26の内部であって溶液室24と流路22との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極28と、この吐出電極28への吐出電圧として瞬間的に立ち上がるパルス電圧を印加するパルス電圧電源30とを、備えている。詳細は後述するが、液体吐出ヘッド26は、各ノズル21を形成する層と、各溶液室24及び供給路27を形成する層とを備えており、これらの層の境界全面に渡って吐出電極28は設けられている。これにより、単一の吐出電極28が全ての溶液室24内の溶液に接液し、単一の吐出電極28に吐出電圧を印加することで全てのノズル21に導かれる溶液を帯電させることができるようになっている。
パルス電圧電源30による吐出電圧は、凸状メニスカス形成手段40によりノズル21の先端部21aに溶液の凸状メニスカスが形成された状態で吐出が可能となる範囲の電圧を印加するようにその値が設定されている。このパルス電圧電源30により印加を行う吐出電圧は、理論上は、次式(1)により求められる。
Figure 2006035585
ただし、式(1)中、γ:溶液の表面張力(N/m)、ε0:真空の誘電率(F/m)、d:ノズル直径(m)、h:ノズル−基材間距離(m)、k:ノズル形状に依存する比例定数(1.5<k<8.5)である。
なお、上記式(1)に示す条件は理論値であり、実際上は凸状メニスカスの形成時と非形成時とにおける試験を行って適宜な電圧値を求めてもよい。本実施形態では、一例として吐出電圧を400[V]とする。
(液体吐出ヘッド)
液体吐出ヘッド26は、図1において最も下層に位置し、可撓性を有する素材(例えば金属,シリコン、樹脂等)からなる可撓ベース層26aと、この可撓ベース層26aの上面全体に形成される絶縁素材からなる絶縁層26dと、その上に位置する溶液の供給路を形成する流路層26bと、この流路層26bのさらに上に形成されるノズルプレート26cとを、備えている。前述した吐出電極28は、流路層26bとノズルプレート26cとの間に介挿されている。
上記可撓ベース層26aは、上述の如く、可撓性を有する素材であればよく、例えば金属薄板を使用してもよい。このように、可撓性が要求されるのは、可撓ベース層26aの外面であって溶液室24に対応する位置に、後述する凸状メニスカス形成手段40のピエゾ素子41を設け、可撓ベース層26aを撓ませるためである。即ち、ピエゾ素子41に所定電圧を印加して、可撓ベース層26aを上記位置において内側又は外側のいずれにも窪ませることで溶液室24の内部容積を縮小又は増加させ、内圧変化によりノズル21の先端部21aに溶液の凸状メニスカスを形成し又は液面を内側に引き込むことを可能とするためである。
可撓ベース層26aの上面には、絶縁性の高い樹脂を膜状にした絶縁層26dが形成されている。絶縁層26dは、可撓ベース層26aが窪むことを妨げないように十分に薄く形成されるか、より変形が容易な樹脂素材が使用される。
絶縁層26dの上には絶縁樹脂層が形成されている。この絶縁樹脂層は、溶解可能な樹脂層を形成すると共に供給路27及び溶液室24を形成するための所定のパターンに従う部分のみを残して除去し、当該残存部を除いて除去された部分に形成されたものであり、当該絶縁樹脂層が流路層26bとなっている。そして、この絶縁樹脂層の上面に面状に広がりをもって導電素材(例えばNiP)のメッキにより吐出電極28が形成されている。
吐出電極28上にはノズルプレート26cが形成されており、ノズルプレート26cに対し各ノズル21が一体に形成されている。ノズル21及びノズルプレート26cは、Siのような半導体、又はNi、SUS等のような導体で構成されている。図2に示す通り、ノズル21及びノズルプレート26cは表面が絶縁膜100で完全に被覆されている。絶縁膜100はノズル21及びノズルプレート26cの表面全てを被覆しており、ノズルプレート26cが吐出電極28と対向する面や各流路22の内面も被覆している。具体的に、絶縁膜100は、導電率が1×10-12S/m以下の絶縁性材料(例えば樹脂)から構成された薄膜であって、膜厚が0.2μm以上で5μm以下のものである。このように、ノズル21及びノズルプレート26cの表面を絶縁膜100で被覆することにより、溶液に対する吐出電圧印加時において、ノズル21の先端部21aから対向電極23への電流のリークを効果的に抑制することができる。また、絶縁膜100により、溶液と各ノズル21の先端部21a(半導体又は導体の部位)との間を一定電圧に保持でき、各ノズル21の先端部21aに集中する電界強度を向上させることができる。
ノズル21及びノズルプレート26cを絶縁膜100で被覆する方法としては、シリコン製のノズルプレート26c及びノズル21に対し熱酸化処理を施してそれら全体を酸化シリコンで被覆する方法や、金属製のノズルプレート26c及びノズル21に対し浸漬法や電着法による処理を施してそれら全体を樹脂で被覆する方法等がある。
なお、上記では、各ノズル21の先端部21aの表面と流路22の内面とに撥水処理が施されている旨記載したが、この撥水処理は詳細には絶縁膜100上に施されており、絶縁膜100上に撥水膜が成膜されている。ただし、当該撥水膜は成膜されてなくてもよい。
また、液体吐出ヘッド26では、図1に示す通り、上記吐出電極28とノズルプレート26c(半導体又は導体の部位)との間に電圧を印加可能な構成となっており、各ノズル21がノズルプレート26cと一体に形成されていることから、各溶液室24の溶液と各ノズル21との間に電圧が印加されるようになっている。具体的に液体吐出ヘッド26では、吐出電極28と各ノズル21との間に10V以上の電圧が印加されるようになっている。このように吐出電極28と各ノズル21との間に電圧を印加可能な構成とすることにより、各ノズル21の加工バラツキや操作条件の影響を受けずに、溶液と各ノズル21との間を一定電圧に保持することができるため、各ノズル21の先端部21aにおいて電界強度を安定的に向上させることができるとともに、互いに隣り合うノズル21同士の間の電圧を一定に保持してノズル21同士で起こるクロストークを低減することができる。
(対向電極)
対向電極23は、平板形状を呈した電極であって、ノズル21の突出方向に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うように基材Kを支持するようになっている。ノズル21の先端部21aから対向電極23の対向面までの距離は、500[μm]以下が好ましく、さらには100[μm]以下が好ましく、一例としては100[μm]に設定される。また、対向電極23は接地されており、常時、接地電位を維持している。従って、ノズル21の先端部21aと対向電極23の対向面との間に生じる電界による静電力により吐出された液滴を対向電極23側に誘導する。
なお、液体吐出装置20は、ノズル21の超微細化による当該ノズル21の先端部21aでの電界集中により電界強度を高めることで液滴の吐出を行うことから、対向電極23による誘導がなくとも液滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル21と対向電極23との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。また、帯電した液滴の電荷を対向電極23の接地により逃がすことも可能である。更に、対向電極23は、必ずしも平板形状を呈するものである必要はなく、例えばドラム形状を呈するものであってもよい。
(凸状メニスカス形成手段)
各凸状メニスカス形成手段40は、液体吐出ヘッド26の可撓ベース層26aの外側面(図1における下面)であって溶液室24に対応する位置に設けられた圧電素子としてのピエゾ素子41と、このピエゾ素子41を変形させるために瞬間的に立ち上げられる駆動パルス電圧を印加する駆動電圧電源42とを、備えている。
ピエゾ素子41は、駆動パルス電圧の印加を受けて可撓ベース層26aを内側又は外側のいずれにも窪ませる方向に変形を生じるように当該可撓ベース層26aに装着されている。
駆動電圧電源42は、動作制御手段50の制御により、流路22内の溶液がノズル21の先端部21aにおいて凸状のメニスカスを形成していない状態(図4(A)参照)から凸状にメニスカスを形成する状態(図4(B)参照)となるために適当な溶液室24の容積の減少をピエゾ素子41がもたらすための適当な値の駆動パルス電圧(例えば10[V])を出力するようになっている。
(溶液)
上記液体吐出装置20による吐出を行う溶液の例としては、無機液体としては、水、COCl2、HBr、HNO3、H3PO4、H2SO4、SOCl2、SO2Cl2、FSO3Hなどが挙げられる。有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、などのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類、などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して溶液として用いてもよい。
さらに、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを溶液として使用し、吐出を行う場合には、上述した液体に溶解又は分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。PDP、CRT、FEDなどの蛍光体としては、従来より知られているものを特に制限なく用いることができる。例えば、赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO3:Eu、YO3:Euなど、緑色蛍光体として、Zn2SiO4:Mn、BaAl1219:Mn、(Ba,Sr,Mg)O・α−Al23:Mnなど、青色蛍光体として、BaMgAl1423:Eu、BaMgAl1017:Euなどが挙げられる。上記の目的物質を記録媒体上に強固に接着させるために、各種バインダーを添加するのが好ましい。用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミン等のアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイド等のアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白等の天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いてもよい。
液体吐出装置20をパターンニング方法として使用する場合には、代表的なものとしてはディスプレイ用途に使用することができる。具体的には、プラズマディスプレイの蛍光体の形成、プラズマディスプレイのリブの形成、プラズマディスプレイの電極の形成、CRTの蛍光体の形成、FED(フィールドエミッション型ディスプレイ)の蛍光体の形成、FEDのリブの形成、液晶ディスプレイ用カラーフィルター(RGB着色層、ブラックマトリクス層)、液晶ディスプレイ用スペーサー(ブラックマトリクスに対応したパターン、ドットパターン等)などが挙げることができる。ここでいうリブとは一般的に障壁を意味し、プラズマディスプレイを例に取ると各色のプラズマ領域を分離するために用いられる。その他の用途としては、マイクロレンズ、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布、グラフィック用途としては、通常印刷、特殊媒体(フィルム、布、鋼板など)への印刷、曲面印刷、各種印刷版の刷版、加工用途としては粘着材、封止材などの本発明を用いた塗布、バイオ、医療用途としては医薬品(微量の成分を複数混合するような)、遺伝子診断用試料等の塗布等に応用することができる。
(動作制御手段)
動作制御手段50は、実際的にはCPU51,ROM52,RAM53等を含む演算装置を有する構成であり、これらに所定のプログラムが入力されることにより、下記に示す機能的な構成を実現すると共に後述する動作制御を実行するようになっている。
上記動作制御手段50は、各凸状メニスカス形成手段40のパルス電圧電源42のパルス電圧出力制御と吐出電圧印加手段25のパルス電圧電源30のパルス電圧出力制御とを行うようになっている。
まず、動作制御手段50のCPU51はROM52に格納された電源制御プログラムにより、溶液の吐出を行う場合に、対象となる凸状メニスカス形成手段40のパルス電圧電源42を先行させてパルス電圧出力状態とし、その後に吐出電圧印加手段25のパルス電圧電源30のパルス電圧出力状態とする制御を行う。このとき、先行する凸状メニスカス形成手段40の駆動電圧としてのパルス電圧は、吐出電圧印加手段25のパルス電圧と重複するように制御される(図5参照)。そして、当該重複したタイミングで液滴の吐出が行われる。
また、動作制御手段50は、吐出電圧印加手段25の吐出電圧である矩形に立ち上がるパルス電圧の印加の直後に逆極性の電圧を出力する制御を行う。この逆極性の電圧は、パルス電圧の非印加時よりも低電位であって、矩形に落ち込む波形を描く。
(液体吐出装置による微小液滴の吐出動作)
図1、図4及び図5により液体吐出装置20の動作説明を行う。
図4は凸状メニスカス形成手段40における動作説明図であり、図4(A)は駆動電圧の非印加時を示し、図4(B)は駆動電圧の印加時を示している。図5は吐出電圧とピエゾ素子41の駆動電圧のタイミングチャートを示す。なお、図5の最上部には凸状メニスカス形成手段40がない場合に要する吐出電圧電位を示し、最下部には各印加電圧の印加に伴うノズル21の先端部21aの溶液の状態変化を示している。
溶液供給手段29の供給ポンプにより各流路22,溶液室24及びノズル21に溶液が供給され、かつ、吐出電極28と各ノズル21(ノズルプレート26c)との間に10V以上の電圧が印加された状態において、動作制御手段50が、例えば、外部からいずれかのノズル21について溶液を吐出する指令を受けると、まず、該当するノズル21の凸状メニスカス形成手段40について、パルス電圧電源42からパルス電圧である駆動電圧をそのピエゾ素子41に対して印加させる。これにより、当該ノズル21の先端部21aにおいて、図4(A)の状態から溶液が押し出されるように図4(B)の凸状メニスカス形成状態に移行する。かかる移行過程において、動作制御手段50は、吐出電圧印加手段25について、パルス電圧電源30からパルス電圧である吐出電圧を吐出電極28に対して印加させる。
図5に示すように、凸状メニスカス形成手段40の駆動電圧と、これに遅れて印加される吐出電圧印加手段25の吐出電圧とが、双方の立ち上がり状態がタイミング的に重複するように制御される。このため、凸状メニスカス形成状態で溶液は帯電し、凸状メニスカスの先端部で生じる電界集中効果により、ノズル21の先端部21aから微小液滴が飛翔する。
以上の液体吐出装置20によれば、各ノズル21及びノズルプレート26cが導体又は半導体で構成され、その表面が絶縁膜100で被覆されているため、吐出電極28と各ノズル21との間、すなわち吐出しようとする溶液と各ノズル21との間が絶縁膜100で電気的に遮断され、絶縁膜100の膜厚や各ノズル21の導体又は半導体部位の導電率のバラツキに左右されずに、ノズル21ごとにその先端部21aに電界を集中させることができる。これにより、吐出電圧の低電圧化を図ることができるとともに、ノズル21同士で起こるクロストークを抑えることができ、ノズル21の高密度化を図ることができる。
更に、液体吐出装置20によれば、上記の通り、吐出電極28と各ノズル21との間に電圧を印加してノズル21ごとにその先端部21aに電界を集中することができるため、各ノズル21の高さを30μm以下と低く抑えた状態でも溶液を液滴として安定的に吐出させることができ、液体吐出ヘッド26のクリーニング時においてワイピング部材もノズル21に引っ掛かりにくくなる。そのため、クリーニング時のワイピングを容易に行え、引っ掛かりによりノズル21が破損したり、引っ掛かりによりワイピング部材の一部が残渣としてノズル21に付着したりするのを防止することができ、ひいてはノズル21の吐出性能を良好に維持することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなってもよい。
下記にその変形例を示すが、下記の記載事項だけが上記と異なっており、それ以外の事項は上記と同様である。
変形例の一例として、ノズルプレート26c及びノズル21に代えて、これとは形態が異なる図6のノズルプレート70及びノズル71を適用してもよい。図6は図1及び図2のノズルプレート26c及びノズル21の変形例を示す図面であって、図6(A)上段がノズルプレート70及びノズル71の断面図を示し、図6(A)下段がノズルプレート70及びノズル71の平面図を示し、図6(B)が図6(A)の変形例を示す平面図を示す。
図6(A)に示すように、ノズルプレート70の中央部には複数のノズル71が互いに等間隔をあけて列状に形成されている。ノズル71の内径をInと、ノズル71の外径をOut(ノズル71の列方向と直交する方向に沿うノズル71の幅を示す。)としたとき、各ノズル71は内径Inと外径Outとが一定の直線状を呈している。各ノズル71の図6(A)中左右両側には凹部としての溝72がそれぞれ形成されている。各溝72はノズル71の列に沿って直線状に形成されている。
各溝72の幅をWとしたとき、各溝72の幅Wは3〜1000[μm]となっており、好ましくは10〜100[μm]に形成されるのがよい。
各溝72の深さをDとしたとき、溝72の深さDは1〜30[μm]となっている。各ノズル71の高さをTとしたとき、溝72の深さDとノズル71の高さHとが同じとなっており、ノズルプレート70の平板面(図6(A)上段中ノズルプレート70の上面を示す。以下「ノズル面70a」という。)とノズル71の先端部71aの端面(図6(A)上段中の上面)とが同一平面上に存している。
なお、各ノズル71のピッチ(間隔)を広げる場合には、溝72に代えて、図6(B)に示すように、各ノズル71の外周を囲むように円形の凹部73を形成してもよい。この場合、凹部73の幅、深さに関しては溝72の幅W、深さDと同様とするのがよい。
更に、図6(A)に示すノズル71、溝72、ノズル71の内部に形成された流路74等の形態を、図7(A)〜(E)に示す各形態に代えてもよい。すなわち、図7(A)に示すように、各溝72を深くするにつれて当該溝72の幅Wを狭くするとともに、流路74をテーパ状としてもよい。図7(B)に示すように、各溝72を深くするにつれて当該溝72の幅Wを狭くするとともに、流路74を基端部から中途部までテーパ状として中途部から先端部にかけて内径が一定の形状としてもよい。
図7(C)に示すように、流路74の内径を一定のまま溝72の深さDをノズル71の高さHより大きく形成してもよい。この場合、溝72の深さDをノズル71の高さHより1〜20[μm]大きく形成するのがよい。図7(D)に示すように、各溝72に段差をつけて底部の幅を開口部の幅より広くするとともに、流路74にも段差をつけて基端部から中途部までの内径を中途部から先端部までの内径より大きくしてもよい。
また、図6(A)、(B)及び図7(A)〜(D)の更なる変形例として、図7(E)に示すように、ノズル71を複数列にわたって配し、各ノズル71の列の両側に溝72を形成するようにしてもよい。図7(E)の形態は具体的には図7(C)の形態の変形例を示しているが、ノズル71、溝72、流路74等の形態は図6(A)、(B)及び図7(A)〜(D)のどの形態を適用してもよい。
なお、図示しないが、図6及び図7に示したノズルプレート70、ノズル71、溝72、凹部73、流路74の表面は全て図2の絶縁膜100で被覆されている。また、上記の説明において、ノズル71の内径In、外径Out及び高さH並びに溝72及び凹部73の幅W及び深さDの値は、当該絶縁膜100の膜厚を考慮していないものである。
以上のように、各ノズル71の周辺に溝72や凹部73を形成すると、液体吐出ヘッド26のクリーニング時においてワイピング部材の押圧力の一部が溝72又は凹部73の内壁に作用し、ノズル71に掛かるワイピング部材の押圧力が軽減してノズル71にワイピング部材が引っ掛かりにくくなる。そのため、上記と同様に、クリーニング時のワイピングを容易に行え、引っ掛かりによりノズル71が破損したり、引っ掛かりによりワイピング部材の一部が残渣としてノズル71に付着したりするのを防止することができ、ひいてはノズル71の吐出性能を良好に維持することができる。
(1)試料の作製
(1.1)試料1の作製
シリコンドライエッチング加工により、外径が10μmで高さが150μmのノズルを単独で有するノズルプレートを作製してこのノズルプレートを「試料1」とした。
(1.2)試料2の作製
外径が10μmで高さが5μmのノズルを単独で有するノズルプレートを作製してこのノズルプレートを「試料2」とした。
(1.3)試料3の作製
外径が10μmで高さが5μmのノズルを単独で有するノズルプレートを作製し、その作製したノズルプレートの表面に対し酸化シリコン製の絶縁膜(膜厚1μm)をCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜してこれを「試料3」とした。
(1.4)試料4の作製
外径が17μmで高さが5μmのノズルを単独で有するノズルプレートを作製し、その作製したノズルプレートの表面に対し酸化シリコン製の絶縁膜(膜厚1μm)をCVDで成膜してこれを「試料4」とした。
(2)吐出状態評価
図1に示す液体吐出装置20と同様の構成を有する液体吐出装置に対して、ノズルプレートとして各試料1〜4を、溶液として水系マゼンタインクを適用し、駆動周波数10kHzで各試料1〜4からインクを連続的に高速吐出させ、各試料1〜4の吐出状態を評価した。ただし、試料1,2の評価ではインクとノズルとの間に電圧は印加せず、試料3,4の評価ではインクとノズルとの間に10Vの電圧を印加した。吐出制御は背圧メニスカス制御によった。各試料1〜4の詳細と併せてその評価結果を下記表1に示す。
Figure 2006035585
表1に示す通り、試料1では1000Vの吐出電圧を印加したときノズルからインクを正常に吐出した。試料2では2000Vの吐出電圧を印加してもノズルからインクを吐出しなかった。試料3,4では1000Vの吐出電圧を印加したときノズルからインクを正常に吐出した。
試料1と試料3,4との比較から、インクとノズルとの間に電圧を印加すれば、ノズルの高さを高くしなくてもインクの正常な吐出に必要な電界強度を得られることがわかった。そのため、ノズルのクリーニング時において、ワイピング部材の引っ掛かりによりノズルが破損したり、ワイピング部材の引っ掛かりによりワイピング部材の一部が残渣としてノズルに付着したりするのを防止することができる。
試料2と試料3,4との比較から、インクとノズルとの間に電圧を印加すれば、吐出電圧の低電圧化を図れることがわかった。そのため、ノズルの内径を拡大化することができ、インクの目詰まりを抑制することができる。
なお、上記試料1〜4以外にも、試料1〜4と同様の試料を作製し、それら各試料に対し撥水膜としてフィルタードカソーディックバキュームアーク法(ナノフィルムテクノロジーインダストリアル社FCAVシステムを使用した。)でta-C膜(膜厚0.05μm)及びMiCC膜(0.05μm)の両膜をそれぞれ成膜し、これらを「試料5〜8」とした。そして各試料5〜8に対し、試料1〜4と同様の評価をおこなったところ、表1に示す結果と同様の結果が得られ、更にインクを吐出させた後にワイピング部材でクリーニングしたところ、各試料5〜8にはインクによる汚れは全く認められなかった。
(1)試料の作製
(1.1)試料10の作製
シリコンドライエッチング加工により、30個のノズル(外径10μm,高さ5μm,ノズル間ピッチ100μm)を有するノズルプレートを作製してこのノズルプレートを「試料10」とした。
(1.2)試料11〜33の作製
30個のノズル(外径10μm,高さ5μm,ノズル間ピッチ100μm)を有するノズルプレートを複数作製し、それら作製した各ノズルプレートの表面に対し酸化シリコン製の絶縁膜をCVDで成膜してこれを「試料11〜33」とした。各試料11〜33の絶縁膜の膜厚及び導電率を下記表2に示す。表2中、絶縁膜の「膜厚(μm)」は成膜時間で調整したものであり、絶縁膜の「導電率(S/m)」は、絶縁膜に10Vの直流電圧を印加したときの抵抗を測定してその測定した抵抗と直流電圧の印加面積と膜厚とから換算したものである。
(2)クロストークの影響評価
図1に示す液体吐出装置20と同様の構成を有する液体吐出装置に対して、ノズルプレートとして各試料10〜33を、溶液として水系マゼンタインクを適用し、駆動周波数1Hzで各試料10〜33からインクを吐出させ、互いに隣り合うノズル同士でのクロストークの影響を評価した。ただし、吐出制御は背圧メニスカス制御によった。
印加電圧(インクとノズルとの間に印加した電圧)及び吐出電圧と併せてその評価結果を下記表2に示す。表2の「インク−ノズル間印加電圧(V)」の項目中、「オープン」はインクとノズルとの間に電圧を印加しなかったことを示す(試料31〜33参照)。また表2の「クロストークの影響」の項目中、「○」は各ノズルからインクを正常に吐出したことを示し、「×」は各ノズルからインクを正常に吐出できなかったことを示す(試料17〜19,21〜26,28〜33参照)。
Figure 2006035585
表2に示す評価結果において、絶縁膜を成膜しなかった試料10では、過負荷(オーバーロード)のためインクとノズルとの間に電圧を印加できなかった。絶縁膜の膜厚が0.1μmの各試料11,16,20,27と、絶縁膜の導電率が1×10-11S/mの各試料11〜14とでも、過負荷のためインクとノズルとの間に電圧を印加できなかった。絶縁膜の膜厚が6μmの試料15では、絶縁膜の成膜時に当該絶縁膜が割れた。インクとノズルとの間に5Vの電圧を印加した試料17〜19と、インクとノズルとの間に電圧を印加しなかった試料31〜33とでは、各ノズルからインクを吐出はしたが、互いに隣り合うノズル同士でインクの吐出状態に変化があり、クロストークの影響が認められた。
他方、これら各試料10〜20,27,31〜33に対し、膜厚が0.2〜5μmで導電率が1×10-12S/m以下の絶縁膜が成膜されかつインクとノズルとの間に10V以上の電圧が印加された各試料21〜26,28〜30では、各ノズルから正常にインクを吐出し、互いに隣り合うノズル同士でクロストークの影響は認められなかった。
以上から、膜厚が0.2〜5μmで導電率が1×10-12S/m以下の絶縁膜を成膜し、インクとノズルとの間に10V以上の電圧を印加すると、ノズルの先端部に電界を集中させるためにノズルを極端に微細化したり高く突出させたりしなくても、1000V以下の低い吐出電圧で各ノズルからインクを吐出することが可能であり、互いに隣り合うノズル同士でクロストークが起こるのを防止することができることがわかった。
液体吐出装置の断面図である。 ノズルを示す断面斜視図である。 図2の流路の変形例を示す断面斜視図である。 溶液の吐出状態と溶液に印加される電圧との関係を示す説明図であって、(A)吐出を行わない状態を示す図面であり、(B)吐出状態を示す図面である。 吐出電圧とピエゾ素子の駆動電圧のタイミングチャートである。 図1及び図2のノズルプレート及びノズルに代わる変形例を示す図面であって、(A)断面図(上段)及び平面図(下段)であり、(B)(A)の変形例を示す断面図である。 図6のノズル、溝及び流路の変形例を示す断面図である。
符号の説明
20 液体吐出装置
21 ノズル
25 吐出電圧印加手段
26 液体吐出ヘッド
40 凸状メニスカス形成手段
50 動作制御手段
71 ノズル
72 溝(凹部)
73 凹部
100 絶縁膜

Claims (13)

  1. 帯電した溶液の液滴を基材に吐出する液体吐出装置であって、
    内径が100μm以下の複数のノズルを有し、前記各ノズルの先端部から液滴を吐出する液体吐出ヘッドと、
    前記各ノズル内に溶液を供給する溶液供給手段と、
    前記各ノズル内の溶液に吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段と、
    を備え、
    前記各ノズルが導体又は半導体で構成されており、
    前記各ノズルの表面が絶縁膜で被覆されていることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記絶縁膜の膜厚が0.2μm以上で5μm以下であることを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の液体吐出装置において、
    前記絶縁膜の導電率が1×10-12S/m以下であることを特徴とする液体吐出装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記溶液供給手段が溶液を貯留する溶液室を有し、
    前記溶液室の溶液と前記各ノズルとの間に電圧が印加されることを特徴とする液体吐出装置。
  5. 請求項4に記載の液体吐出装置において、
    前記溶液室の溶液と前記各ノズルとの間に印加される電圧が10V以上であることを特徴とする液体吐出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルがノズル面より液滴の吐出方向に突出していることを特徴とする液体吐出装置。
  7. 請求項6に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの高さが30μm以下であることを特徴とする液体吐出装置。
  8. 請求項7に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの周辺に凹部が形成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの先端部の表面が撥水処理されていることを特徴とする液体吐出装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記基材を介して前記各ノズルに対向する対向電極を備え、
    前記対向電極が平板形状又はドラム形状を呈していることを特徴とする液体吐出装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの内径が10μm以下であることを特徴とする液体吐出装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの内径が4μm以下であることを特徴とする液体吐出装置。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体吐出装置において、
    前記各ノズルの内径が0.1μm以上で1μm未満であることを特徴とする液体吐出装置。
JP2004217488A 2004-07-26 2004-07-26 液体吐出装置 Pending JP2006035585A (ja)

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