JP2007015243A - 流路形成体及び流路形成体の製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド - Google Patents

流路形成体及び流路形成体の製造方法並びにインクジェット式記録ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】 親水性のよい微細な流路を持ち、且つ信頼性の高い流路形成体、この流路形成体の製造方法、及び流路形成体の製造方法を用いて製造されたインクジェット式記録ヘッドを提供する。
【解決手段】 流路溝が形成された流路基板と、流路基板に被さって流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体において、流路基板は、流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、カバープレートは、流路基板に被さる面側が硼珪酸ガラスである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、流路形成体及び流路形成体の製造方法並びに、圧力室のインクをノズルからインク滴として飛翔させ、記録媒体などの被記録体上に像を形成させるインクジェット式記録ヘッドに関するものである。
近年半導体などで培われた微細加工技術を用いて作製されるマイクロマシンとも称される微小な機械システム、MEMS(Micro Electro Mechanical System)の注目度が高まっている。この中で、シリコン(Si)やガラスなどの基板上に微小な流路、バルブ、ポンプなどを形成して流体を扱うデバイスがある。その具体的な一例として、液滴吐出ヘッドがあり、例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどがある。
以下ではプリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドを中心に説明する。
インクジェット式記録ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(圧力室、インク又は液供給路、共通インク又は液室等と称される液室がある。)と、液室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した圧力で液室内インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
このようなインクジェット式記録ヘッドは、圧力発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて液室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させる圧電素子型のもの、液室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のもの、液室の壁面を形成する振動板(又はこれと一体の電極)とこれに対向する電極を用いて静電力で振動板を変形させることでインク滴を吐出させる静電型のものなどがある。このような例として、以下のようなインクジェット式記録ヘッドが開示されている。
一つは、インク流路を構成する圧力発生室とインク供給路とインク室とノズルとが一体形成されたシリコン単結晶基板を基材とした流路基板と、圧力発生室に圧力を加えるアクチュエータである圧電素子を設けているシリコン単結晶基板と実質的に熱膨張係数が等しい金属材料の表面にシリコン化合物が形成された振動板とで構成され、この流路基板と振動板のシリコン化合物形成面とを接着層を介さずに接合されているインクジェット式記録ヘッドである(例えば、特許文献1。)。
また、上記と同様の構成で硼珪酸ガラスを基材として流路溝を有する基板と、この基板に被さって上記流路溝とともにノズルとインク供給路と圧力室とを形成する硼珪酸ガラスを基材とする振動板とで構成され、基板は、流路溝を形成する時はエッチングマスクとなり、かつ振動板と陽極接合可能なシリコン酸化膜を有しているインクジェット式記録ヘッドである(例えば、特許文献2)。
特許3218664号公報 特公平7−84058号公報
しかしながら、上記特許文献に記載される従来技術には以下のような問題がある。まず、特許文献1に開示されている技術によれば、流路基板の基材は加工のしやすいシリコン単結晶基板を使用し、振動板は金属材料とし、その接合する表面にシリコン化合物を形成することで接合している。このため、微細な流路を有する流路基板の製作は容易であるが基材が撥水性であるシリコンであるから流路面が親水性を有さずインクの流動が妨げられるという課題がある。
また、特許文献2に開示されている技術によれば、流路基板及び振動板に硼珪酸ガラスを基材として使用することで流路面は親水性を有していることからインクの流動は妨げられない。しかし、硼珪酸ガラスは、シリコンに比べて加工性が悪く、今後需要が高まると予測される、より微細な流路形成に対応することは困難であることが十分予想できる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、親水性のよい微細な流路を持ち、且つ信頼性の高い流路形成体、この流路形成体の製造方法、及びこの流路形成体の製造方法を用いて製造されたインクジェット式記録ヘッドを提供することにある。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
(請求項1)
流路溝が形成された流路基板と、前記流路基板に被さって前記流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体において、
前記流路基板は、前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、
前記カバープレートは、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスであることを特徴とする流路形成体。
(請求項2)
流路溝が形成された流路基板と、前記流路基板に被さって前記流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体の製造方法において、
前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板を基材とする流路基板と、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスの面であるカバープレートとを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記流路基板と前記カバープレートとを重ね合わせた状態で加熱する加熱工程と、
前記流路基板を陽極とし、前記カバープレートを陰極として直流電圧を印加し、陽極接合する接合工程とを有することを特徴とする流路形成体の製造方法。
(請求項3)
インク供給口と複数の流路溝が形成された流路基板と、
前記流路基板に被さって前記複数の流路溝をそれぞれ複数の圧力室、前記圧力室にそれぞれ連通する複数のインク供給路及び前記インク供給路に連通する共通インク室とを形成し、前記複数の圧力室にそれぞれ連通し、インクを吐出する複数のノズルを有するカバープレートとを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記流路基板は、前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、
前記カバープレートは、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
請求項1又は2に記載の発明によれば、流路溝が形成された流路基板と、流路基板に被さって流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体において、流路基板は、流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、カバープレートは、流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスとしている。
流路基板の基材はシリコン基板であるため、微細な流路の形成が容易である。また、流路基板とカバープレートとで形成される閉じた流路は、耐熱ガラスと可動イオンを含む硼珪酸ガラスの面となっており、親水性を持つことができるため、インクの流れが妨げられない。
更に、流路基板は耐熱ガラスの膜は島状の膜としており、カバープレートの流路基板に被さる面側に可動イオンを含む硼珪酸ガラス膜が形成されていることから、流路基板とカバープレートとの接合には、精密で強固な接合ができる陽極接合が容易に適用できる。このとき、流路基板に耐熱ガラスの島状の膜を設けることで、この基材であるシリコン基板に有するピンホール等の欠陥が緩和され、特に、陽極接合時の短絡の発生が抑えられ接合不良が生じ難くなる。
上記のことから、親水性のよい微細な流路を持ち、且つ信頼性の高い流路形成体及び流路形成体の製造方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、インクジェット式記録ヘッドは、インク供給口と複数の流路溝が形成された基板と、流路基板に被さって複数の流路溝をそれぞれ複数の圧力室、圧力室にそれぞれ連通する複数のインク供給路及びインク供給路に連通する共通インク室とを形成し、複数の圧力室にそれぞれ連通し、インクを吐出する複数のノズルを有するカバープレートとを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、流路基板は、流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、カバープレートは、流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスとしている。
流路基板の基材はシリコン基板であるため、微細な流路の形成が容易である。また、流路基板とカバープレートとで形成される閉じた流路は、耐熱ガラスと可動イオンを含む硼珪酸ガラスの面となっており、親水性を持つことができるため、インクの流れが妨げられない。
更に、流路基板は、耐熱ガラスの膜は島状の膜としており、カバープレートの流路基板に被さる面側に可動イオンを含む硼珪酸ガラス膜が形成されていることから、流路基板とカバープレートとの接合には、精密で強固な接合ができる陽極接合が容易に適用できる。
従って、微細な流路の製造が容易で、インクの流動性が妨げられず、更に信頼性の高いインクジェット式記録ヘッドを提供することができる。
以下に本発明に係わる実施の形態の一例としてインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称する。)の製造を例にして詳細に説明する。
図1は本発明に係る実施の形態の一例である記録ヘッドを構成している、ノズルプレート1、流路基板2、圧電素子3を模式的に表している。
ノズルプレート1には、インク吐出のためのノズル101を複数配列してある。また、流路基板2には、これにノズルプレート1を被せて接合することで、圧力室となる圧力室溝204、インク供給路となるインク供給路溝203、及び共通インク室となる共通インク室溝202、並びにインク供給口201が形成されている。
そして、ノズルプレート1のノズル101と流路基板2の圧力室溝204とが一対一で対応するようにノズルプレート1と流路基板2とを接合することで流路ユニットMを形成する。
ここで理解を容易にするために、以後、上記で説明に使用した圧力室溝、インク供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、インク供給路、共通インク室にも使用する。
更に、流路ユニットMに圧電素子3をインク吐出用アクチュエータとして流路基板2のノズルプレート1を接合する面と反対側の面の各圧力室204に対応した位置に接着することで、記録ヘッドが完成する。この記録ヘッドの各圧電素子3に駆動パルス電圧が印加され、圧電素子3から発生する振動が圧力室204に伝えられ、圧力室204内の圧力を変動させることでノズル101からインク滴を吐出させる。
次に、ノズルプレート1及び流路基板2の作製に関して説明する。ノズルプレート1の作製方法は、基材として厚みが150μm〜500μm程度のシリコン基板を用いて、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)とエッチング技術等を用いることでノズル101を形成するという手順により行われる。このノズル101の穴径は、概ねφ50μm〜φ100μm程度である。
流路基板2は、ノズルプレート1の作製方法と同様に、基材として厚みが150μm〜500μm程度のシリコン基板を用いて、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)とエッチング技術等を用いることで、先に述べたノズルプレート1とで形成する、ノズルプレート1に有するノズル101にそれぞれ連通する複数の圧力室となる圧力室溝204、圧力室にそれぞれ連通する複数のインク供給路となるインク供給路溝203、及びインク供給路に連通する共通インク室となる共通インク室溝202、並びにインク供給口201とを形成する。
ここで形成する溝の大きさは、用途やノズルの大きさ、数等により適宜に決めれば良い。本実施の形態の一例である記録ヘッドでは、例えば、圧力室溝204は幅150μm〜350μm程度、深さ50μm〜200μm程度、インク供給路溝203は幅50μm〜150μm程度、深さ30μm〜150μm程度、共通インク室溝は幅400μm〜1000μm程度、深さ50μm〜200μm程度、インク供給口201は直径φ400μm〜1500μm程度の貫通した穴である。
シリコン基板に対するエッチング加工方法は、流路基板の面に対して垂直にエッチング加工ができるシリコン(Si)異方性ドライエッチング法が好ましい。シリコン(Si)異方性ドライエッチング法に関しては、産業図書株式会社「半導体ドライエッチング技術」等を参照することが出来る。
次に、これまで説明した方法で加工されているノズルプレート1と流路基板2とを陽極接合技術を用いて接合する。以下に、これに関して説明する。
図2は、図1で示した記録ヘッドのX−Xの位置における断面において、一つの圧力室204の部分に着目して、ノズルプレート1と流路基板2とを接合して流路ユニットMを作製する工程を模式的に示した図である。図2(a)は、シリコン基板を基材として、ノズル(図示してない。)が加工されたノズルプレート1及び各溝(図では、圧力室溝204を示している。)等が加工された流路基板2を示している。
陽極接合技術を用いて2つの基材を接合する場合、基材の一方をシリコンとし、他方を可動イオン、例えば代表的にはナトリウムイオン(Na+)を含むガラス材でシリコン(Si)と比較的類似した線膨張係数(シリコンの線膨張係数は、4.2×10-6/℃程度である。)を有する硼珪酸ガラスとする場合がある。
ここで、可動イオンを含む硼珪酸ガラス(以下、硼珪酸ガラスと称する。)としては、パイレックス(登録商標)、コーニング社(米国)またはテンパックス フロート(登録商標)、日本以外はBOROFLOAT(登録商標)、ショット日本(株)がこれらの線膨張係数(パイレックス(登録商標)及びテンパックス フロート(登録商標)の線膨張係数は共に3.2×10-6/℃程度である。)の観点からより好ましい。
また、硼珪酸ガラスよりシリコンの方が微細な加工が容易であることから、基材として硼珪酸ガラスではなく、シリコン基板を用いるようにする。そして、基材であるシリコン基板の接合面に硼珪酸ガラスを成膜して硼珪酸ガラス面とする。この場合の膜厚は、陽極接合にて強固に接合される膜厚であれば良く、膜の密度や均一性及び後述する陽極接合時に必要な接合面の加熱や印加電圧の観点から0.5μm〜3μmの範囲が好ましく、更には1μm〜2μmの範囲がより好ましい。
更に、この場合硼珪酸ガラスの成膜方法は、真空蒸着法や高周波(RF)マグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法のいずれでも良く、また成膜時に基板の温度を緻密な膜が形成しやすいように250℃以上となるように加熱することが好ましい。この温度の上限は特に定めないが、基板の取り付け治具や成膜時の基板の温度制御装置等の観点から400℃程度が好ましい。
本実施の形態の一例である記録ヘッドでは、微細な加工の容易さからノズルプレート1と流路基板2の基材はいずれもシリコン基板としている。よって、ノズルプレート1と流路基板2との接合面のいずれか一方を上記で示した硼珪酸ガラスの面にする必要がある。
仮に、流路基板2側に硼珪酸ガラス膜を設けた場合、その硼珪酸ガラスの面を成す膜厚により、既に形成されている微細形状に膜の堆積による変形が発生することが予測される。また、この膜により圧力室204の底が厚くなることで圧力室204自体の構造が強固になり圧電素子3による歪みが十分発生できなくなり、その結果、インクの吐出が十分できない又は圧電素子3の駆動電力を大きくしなければならいといった問題が発生する恐れがある。
従って、図2(b)に示すノズルプレート1の流路基板に被さる面側を硼珪酸ガラスの面としており、ノズルプレート1を基板とし、この基板の流路基板に被さる面側に0.5μm〜3μmの範囲の比較的厚い膜厚の硼珪酸ガラス厚膜110を設ける。
その一方で、流路基板2の流路溝が形成されている面側に耐熱ガラスの島状の膜を設ける。この状態を図2(b)の流路基板2における耐熱ガラス薄膜210として示している。
ここで、島状の膜とは、例えば流路基板2の流路溝が形成されている面側に形成された膜が、その膜の形成面であるシリコン面を完全に被ってない、島状に形成されてた状態の膜である。
また、耐熱ガラスとして、蒸着用ガラス(例えば、商品名 8329、ショット社製)やスパッタリング用ガラス、SiO2(二酸化珪素)、テンパックス フロート(登録商標)、パイレックス(登録商標)が好ましい。これら耐熱ガラスを用いてこの島状の膜を形成するには、成膜時に基板、例えば流路基板2を加熱することなく、いわゆる無加熱(基板温度は概ね、室温〜100℃の範囲となる。)状態として、真空蒸着法、高周波(RF)マグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法を用いて膜厚を概ね5nm〜100nmとすればよい。ここで、成膜の最も充填密度が低いと言われている真空蒸着法を用いる場合、膜厚の範囲は概ね5nm〜100nmの範囲となる。また、成膜の最も充填密度が高いと言われているイオンプレーティング法を用いる場合、膜厚の範囲は概ね5nm〜10nm程度となる。高周波(RF)マグネトロンスパッタ法による成膜の充填密度は、先の2つの方法の間に位置している。
実際に島状の膜を成膜する場合、膜厚のみで規定することは難しく、成膜に使用する方法及び装置、これらの設定条件等と実際に成膜された試料を電子顕微鏡等を用いて微視的に成膜状態を観察した結果等から歩留まり等も考慮した上で島状の成膜条件を設定するのが好ましい。
このように、流路基板2に耐熱ガラス薄膜210である島状の膜を設けることで、形成されている流路溝の親水性が確保され、シリコンが持つピンホール等の欠陥が緩和されることで後述の陽極接合時の短絡が発生し難くなる。また、例えば流路基板2の圧力室204の底部の、圧電素子による変形変位を生じるダイヤフラム構造に与える影響も、この膜を圧力室204の底部の厚さに対して十分に薄くすることで問題とならないレベルに低減できた。
次に、上記で説明した硼珪酸ガラス及び耐熱ガラスがそれぞれの膜厚で成膜されたノズルプレート1と流路基板2とを、図2(c)で示す通りに、適切な位置関係にして重ね合わせて固定し、接合部の温度を高温状態にして、直流高圧電源4を用いて電圧を印加して陽極接合する。以下に、ノズルプレート1と流路基板2を陽極接合することに関して具体的に説明する。
陽極接合を行う場合に印加する電圧の極性は、シリコンの基材側をプラス(+)、硼珪酸ガラスの基材側をマイナス(−)とする。このようにすると、静電引力によって接合界面が密着すると同時に電流が流れ、両基板が強固に陽極接合される。
本実施の形態の一例である記録ヘッドにおいては、耐熱ガラス薄膜210を有する流路基板2はプラス(+)、硼珪酸ガラス厚膜110を有するノズルプレート1はマイナス(−)とする電圧を印加すれば良い。
接合時の高温状態とは、300℃〜550℃の範囲であって、このような雰囲気温度を維持できる恒温漕や簡便な方法ではセラミックヒーター等を内蔵する絶縁性の良いホットプレート等を用いてノズルプレート1と流路基板2との接合部を加熱すれば良い。
上記の温度範囲を超えて接合を行う場合、接合ができない又は接合が十分でないといった不都合が生じやすくなる。例えば、550℃以上では、印加電圧にもよるが、可動イオンが一気に流れ出して、硼珪酸ガラス膜が白濁したり膜密度が粗くなったりといった劣化が生じ、結果的に強固な接合ができない場合がある。また、300℃以下では、可動イオンが移動しにくい状態であり、これを移動しやすくするためには、印加電圧を大きくすることが必要である。印加電圧を大きくする結果、ノズルプレート1と流路基板2との間での短絡が発生し、結果として陽極接合が十分できない場合がある。
また、直流高圧電源4にてノズルプレート1と流路基板2との間に印加する直流電圧の電界強度は、30kV/mm〜200kV/mmの範囲が好ましい。例えば、硼珪酸ガラスの膜厚が0.5μmであれば、印加電圧の範囲は、15V〜100V、また、3μmであれば90V〜600Vとなる。
通常、1kVを超える電圧を使用する場合、電圧を発生する直流高圧電源4の容量や電圧印加に関連する附帯装置の絶縁耐圧を確保することが必要となるなどから、直流高圧電源4を含めた装置が高価かつ煩雑になる。従って、適当な膜厚を設定することで陽極接合時に印加する電圧を扱いやすい1kV未満とするのが好ましい。
このようにして、ノズルプレート1と流路基板2とを陽極接合することで流路ユニットMが形成される。この後、流路ユニットMに各圧力室204の底面に圧電素子3を設けることで記録ヘッドが完成する。
以下に、実施の形態の一例として図1で示すような記録ヘッドを作製した。
(実施例1)
流路基板2をシリコン基板を基材として作製した。具体的には、シリコン基板(厚み150μm)にスピンコート法を用いてレジストを塗布した後、インクの流路となる流路溝等を描いたマスクを用いて露光を行った。その後シリコン(Si)異方性ドライエッチングを行うことでシリコン基板上に、圧力室溝204(幅約240μm、深さ約130μm)、インク供給路溝203(幅約100μm、深さ約100μm)、共通インク室溝202(幅約800μm、深さ約130μm)、インク供給口(直径約1000μm)等を形成した。尚、上記より圧電素子による変形変位を生じるダイヤフラム構造の中心となる圧力室204の底部の厚さ20μmとなる。
この後、流路基板2の溝を有する面側に成膜できる状態で流路基板2を真空蒸着装置の基板ホルダにセットし、真空度0.8Pa、無加熱状態で、厚み90nmのパイレックス(登録商標)を流路基板2の溝を有する面側に成膜した。この成膜条件は、同条件で予めに成膜を行い、この膜状態を電子顕微鏡で倍率を5万倍に設定して観察して、基板上に形成された膜が膜形成面である基板を完全に被ってない状態の島状の膜であることを確認して設定した。
次に、ノズルプレート1となる基材は、流路基板2と同じとし、上記と同様なフォトリソグラフィー方法を用いて図1に示す様に、φ0.1mmのノズル101を形成した。
この後、ノズルプレート1の流路基板2と接合する面側に成膜できる状態でノズルプレート1を高周波(RF)マグネトロンスパッタ装置の基板ホルダにセットし、真空度0.8Paで、ノズルプレート1を基板ホルダに設けたヒーターにて300℃に加熱し、これを維持した状態で、厚み2.8μmのパイレックス(登録商標)を成膜した。
次に、上記にて作製したノズルプレート1と流路基板2とを以下の様に陽極接合した。陽極接合を行うためのプラス電極となる流路基板保持電極に流路基板2をセットし、その上に流路基板との位置関係を整えてノズルプレート1をセットしこれに固定を兼ねたマイナス電極となるノズルプレート保持電極をセットした。
上記の状態で両電極に設けてあるヒーターを用いて流路基板2及びノズルプレート1とが接している面が350℃になるように加熱した。
350℃の状態を維持して、流路基板保持電極とノズルプレート保持電極との間にDC500V(電界強度:173kV/mm)を印加した。このときの電流値をモニターし、0mAになった時点で接合完了とした。
次に、上記で作製した流路ユニットMに圧電素子3を接着して記録ヘッドとした。
この後、記録ヘッドを動作させたところ10個とも不具合がなく良好に作動することを確認した。
(実施例2)
流路基板2へのパイレックス(登録商標)の成膜の厚みを7nmとした以外は実施例1と同じ方法で、記録ヘッドを作製した。この成膜条件は、実施例1と同様に、同条件で予めに成膜を行い、この膜状態を電子顕微鏡で倍率を5万倍に設定して観察して、基板上に形成された膜が膜形成面である基板を完全に被ってない状態の島状の膜であることを確認して設定した。
この後、記録ヘッドを動作させたところ10個とも不具合がなく良好に作動することを確認した。
(実施例3)
実施例1と同じ方法でノズルプレート1と流路基板2とを作製した。
この後、流路基板2の溝を有する面側に成膜できる状態で流路基板2をイオンプレーティング装置の基板ホルダにセットし、真空度0.67Pa、流路基板2を特に装置を設けての加熱をすることなく、厚み7nmのテンパックス フロート(登録商標)を成膜した。この成膜条件は、実施例1と同様に、同条件で予めに成膜を行い、この膜状態を電子顕微鏡で倍率を5万倍に設定して観察して、基板上に形成された膜が膜形成面である基板を完全に被ってない状態の島状の膜であることを確認して設定した。
次に、ノズルプレート1の流路基板2と接合する面側に成膜できる状態でノズルプレート1を高周波(RF)マグネトロンスパッタ装置の基板ホルダにセットし、真空度0.67Pa、ノズルプレート1を基板ホルダに設けたヒーターにて300℃に加熱し、これを維持した状態で、厚み1.2μmのテンパックス フロート(登録商標)を成膜した。
次に、上記にて作製したノズルプレート1と流路基板2とを以下の様に陽極接合した。
陽極接合を行うためのプラス電極となる流路基板保持電極に流路基板2を設定し、その上に流路基板との位置関係を整えてノズルプレート1を設定しこれに固定を兼ねたマイナス電極となるノズルプレート保持電極を設定した。この状態で両電極に設けたヒーターを用いて流路基板2及びノズルプレート1とが接している面が500℃になるように加熱した。500℃の状態を維持して、流路基板保持電極とノズルプレート保持電極との間にDC40V(電界強度:33kV/mm)を印加した。このときの電流値をモニターし、0mAになった時点で接合完了とした。
次に、上記で作製した流路ユニットMに圧電素子3を接着して記録ヘッドとした。
この後、記録ヘッドを動作させたところ10個とも不具合がなく良好に作動することを確認した。
本発明に係る実施の形態の一例であるインクジェット式記録ヘッドの構成を示す図である ノズルプレート1と流路基板2とを接合する工程を説明する図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
101 ノズル
110 硼珪酸ガラス厚膜
2 流路基板
201 インク供給口
202 共通インク室
203 インク供給路
204 圧力室
210 耐熱ガラス薄膜
3 圧電素子
4 直流高圧電源

Claims (3)

  1. 流路溝が形成された流路基板と、前記流路基板に被さって前記流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体において、
    前記流路基板は、前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、
    前記カバープレートは、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスであることを特徴とする流路形成体。
  2. 流路溝が形成された流路基板と、前記流路基板に被さって前記流路溝とで閉じた流路を形成するカバープレートとを備えた流路形成体の製造方法において、
    前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板を基材とする流路基板と、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスの面であるカバープレートとを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
    前記流路基板と前記カバープレートとを重ね合わせた状態で加熱する加熱工程と、
    前記流路基板を陽極とし、前記カバープレートを陰極として直流電圧を印加し、陽極接合する接合工程とを有することを特徴とする流路形成体の製造方法。
  3. インク供給口と複数の流路溝が形成された流路基板と、
    前記流路基板に被さって前記複数の流路溝をそれぞれ複数の圧力室、前記圧力室にそれぞれ連通する複数のインク供給路及び前記インク供給路に連通する共通インク室とを形成し、前記複数の圧力室にそれぞれ連通し、インクを吐出する複数のノズルを有するカバープレートとを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記流路基板は、前記流路溝が形成された面側に耐熱ガラスの島状の膜を有するシリコン基板であり、
    前記カバープレートは、前記流路基板に被さる面側が可動イオンを含む硼珪酸ガラスであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
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