JP2007056331A - 金属構造体を複数個同時に製造する方法及びマイクロデバイス - Google Patents

金属構造体を複数個同時に製造する方法及びマイクロデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸形状を有する金属構造体を効率よく高精度に複数個同時に製造される方法及びこの製造方法により製造される金属構造体を用いた高品質のマイクロデバイスを提供する。
【解決手段】電鋳母型を用いて、底面が平面であり表面に所望の凹凸形状を有する金属構造体を複数個同時に製造する方法において、電鋳母型はシリコン基板32Rからなり、凹凸形状の底面と同一平面上に端面を有する分離部34を介して、金属構造体と反転一致形状を成す型の複数個分が設けられているものであって、電鋳母型に分離部の端面34Sの高さを超えるまで電鋳金属38を電鋳処理する工程と、電鋳母型に電鋳処理された電鋳金属を、分離部の端面が露出するまで平面加工により除去する工程と、シリコン基板を除去する工程とを経る。
【選択図】図3

Description

金属構造体を複数個同時に製造する方法及びこの製造方法で製造された金属構造体を有するマイクロデバイスに関するものである。
近年半導体などで培われた微細加工技術を用いて製造される微小な機械システム(マイクロマシン、マイクロデバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical System)とも称される。)の注目度が高まっている。この中で、シリコン基板を基材として半導体プロセスを用いて微小なシリコン構造体を製造するものがあり、その具体的な一例として、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称する。)がある。
記録ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(圧力室、インク供給路、共通インク室等と称される液室がある。)と、液室の1つである圧力室内のインクを加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した圧力で圧力室内のインクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
このような記録ヘッドは、圧力発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用いて圧力室の壁面を形成している振動板部を変形変位させることでインク滴を吐出させる圧電素子型のもの、圧力室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のもの、圧力室の壁面を形成する振動板部(又はこれと一体の電極)とこれに対向する電極を用いて静電力で振動板部を変形させることでインク滴を吐出させる静電型のものなどがある。
上記の様な記録ヘッドは、圧力室やインク共通室などの液室や各液室に連通するインク流路が形成された構造を持つ流路基板の部材としてシリコン基板を用いられていることから、加工が容易で加工精度が高く、且つ形成された構造体の剛性が大きいので、近傍の液室間でクロストークが発生し難く、良好な画像品質が得られている。特に近年の記録ヘッドは高画質化のために高密度化の要求が高まってきており、このような要求に応えられるようになってきている。
しかし、この流路基板の圧力室の壁面が備えている振動板部は、インク滴を吐出させる度に変形変位させられることで、その材料であるシリコンに疲労が生じ、シリコンの結晶軸方向に亀裂が入ることで振動板部が十分に機能しなくなり、ついにはインクの吐出が不十分となるといった問題を抱えている。この様な問題に対応するために、以下の様な方法が開示されている。
シリコンを基材とした流路基板が有している圧力室の振動板部を金属等を基材とする別部材の振動板として流路基板に貼り合わせている記録ヘッドが開示されている(例えば、特許文献1)。
ドライフィルムやシリコンを用いて母型を製造し、ニッケル電鋳処理によりインク吐出ノズルに連通する液室や各液室に連通するインク流路より構成される流路基板を形成している記録ヘッドが開示されている(例えば、特許文献2)。
特許第3218664号公報 特開平7−178906号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている振動板部を金属等の別部材の振動板として貼り合わせて製造される流路基板では、流路基板と振動板との接合部はインク吐出時に圧電素子の振動が常に加えられる箇所であることから接着強度の劣化等で接合部が剥離するといったことが懸念される。また、振動板は小さく非常に薄いことから、流路基板に貼り合わせるに際し、取り扱いが煩雑となるといった問題がある。
また、特許文献2に開示されているニッケル電鋳処理により形成される流路基板は、別途用意した金属からなる振動板上に振動板と同一の金属を用いた電鋳処理により流路基板となる構造体が形成されている。よって、振動板と流路基板とが一体となるものの、振動板は別途用意する必要があり、また振動板の取り扱いは上記と同様の理由から煩雑となるといった問題がある。また、振動板は変形によるストレスを低減させるため、ダイヤフラム構造を必要としているため、流路基板と振動板とが一体化する前又は後に振動板をダイヤフラム構造とするための加工工程を必要とするといった煩雑さがある。
また、一般に金属材料により流路基板のような構造体を形成した後の構造体を切り出す手段は、放電加工、レーザー加工、ダイシングソー等がある。これらの切り出し手段は、個々の流路基板の分離加工時の熱による流路基板の有する構造の変形、流路基板を成す金属材料の変質、また流路基板が備えている微細な構造に入り込んだ切り粉が取りきれない、或いは切り粉の除去時に構造体を破損してしまうといった問題が発生することは十分予測される。
また、流路基板とノズルプレートとを貼り合わせて記録ヘッドとする場合、これらの部材の小型化が進み接合の管理が難しくなってきており、接着剤のはみ出しや位置ずれ、接着不良といった問題を常に抱えている。
本発明は、以上に述べた課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、凹凸形状を有する金属構造体を効率よく高精度に複数個同時に製造される方法及びこの製造方法により製造される金属構造体を用いた高品質のマイクロデバイスを提供することにある。
上記の課題は、以下の構成より解決される。
(1) 電鋳母型を用いて、底面が平面であり表面に所望の凹凸形状を有する金属構造体を複数個同時に製造する方法において、
前記電鋳母型はシリコン基板からなり、前記凹凸形状の前記底面と同一平面上に端面を有する分離部を介して、前記金属構造体と反転一致形状を成す型の複数個分が設けられているものであって、
前記電鋳母型に前記分離部の前記端面の高さを超えるまで電鋳金属を電鋳処理する工程と、
前記電鋳母型に電鋳処理された電鋳金属を、前記分離部の前記端面が露出するまで平面加工により除去する工程と、
前記シリコン基板を除去する工程と、
を経ることを特徴とする金属構造体を複数個同時に製造する方法。
(2) 前記シリコン基板を除去する工程は、シリコン基板を溶解することで除去する工程であることを特徴とする(1)に記載の金属構造体を複数個同時に製造する方法。
(3) (1)又は(2)に記載の金属構造体を複数個同時に製造する方法により製造された金属構造体と、前記金属構造体に被さって該金属構造体が有する凹凸形状と共同して室を形成するカバープレートと、を接合して形成されてなるマイクロデバイスであって、
前記凹凸形状を有する面は、可動イオンを含む硼珪酸ガラスであり、
前記カバープレートは、シリコンであることを特徴とするマイクロデバイス。
請求項1に記載の発明によれば、シリコン基板に形成された反転一致形状の母型に電鋳処理により形成される電鋳金属は高精度に型転写され、また高さ(シリコン基板の厚み方向)もシリコンから成る母型により平面加工時に規制されることから転写性の良い電鋳金属による一体構造を持つ金属構造体が形成されることが可能となる。
また、高温や大きな力が加わる一般的な金属加工手段である放電加工、レーザー加工、ダイシングソーを用いる切断方法ではなく、シリコン基板の母型を除去させることで母型から個々の金属構造体に分離されることが可能である。唯一、母型から電鋳金属を平面加工により取り除く際に外力や熱が金属構造体に加わることになるが、形成された金属構造体は、シリコン基板の母型に電鋳処理されているものであるので母型に強固に保持されていると同時にシリコンは熱伝導性が良いことから平面加工により発生する熱の放熱も十分にされる。
よって、本発明の金属構造体は熱や力による変形が生じることがなく、電鋳金属に変質が生じることもなく、また切り粉により汚染されることもなく良好に高精度に製造されることができる。
従って凹凸形状を有する金属構造体を効率良く高精度に複数個同時に製造されることを可能とする金属構造体の製造方法を提供することができる。
以下に本発明に係わる実施の形態の一例を記録ヘッドを用いて説明する。
図1は記録ヘッドAを構成している、ノズルプレート1、流路基板2、圧電素子3を模式的に表している。
ノズルプレート1には、インク吐出のためのノズル11を複数配列してある。また、流路基板2には、ノズルプレート1を貼り合わせることで、圧力室となる圧力室溝24、インク供給路となるインク供給路溝23及び共通インク室となる共通インク室溝22、並びにインク供給口21が形成されている。
そして、ノズルプレート1のノズル11と流路基板2の圧力室溝24とが一対一で対応するようにノズルプレート1と流路基板2とを貼り合わせることで流路ユニットMを形成する。ここで、以後、上記で説明に使用した圧力室溝、供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、供給路、共通インク室にも使用する。
ここで、図2は、この記録ヘッドAにおけるノズルプレート1のY−Y、及び流路基板2のX−Xの位置での断面を模式的に示している。図2が示しているように、流路ユニットMに圧電素子3をインク吐出用アクチュエータとして流路基板2のノズルプレート1を接着する面と反対の各圧力室24の底部25の面に接着することで、記録ヘッドAが完成する。この記録ヘッドAの各圧電素子3に駆動パルス電圧が印加され、圧電素子3から発生する振動が圧力室24の底部25に伝えられ、この底部25の振動により圧力室24内の圧力を変動させることでノズル11からインク滴を吐出させる。
図3は本発明に係る実施の形態の記録ヘッドAの流路基板2を製造する工程の概略を断面図でもって模式的に示した図である。また、その断面位置は、図2と同じである。
流路基板2は、電鋳により形成される金属構造体であって、電鋳母型(以下、母型と称する。)はシリコンを基材として製造され、この母型に電鋳処理により金属を電鋳させ、電鋳した金属を平面加工にて一部除去した後、この母型が溶解されて電鋳金属が個々に分離されることで製造されるものである。以下、図3に従って詳細に説明する。
まず、図3(a)で示されているシリコン基板32Rは、図3(e)が示す流路基板2の形状の反転一致形状を成す型を有する母型となるものであって、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)及び異方性エッチング等を用いて製造されている。複数の流路基板2を製造する場合、この反転一致形状を成す型をシリコン基板上に必要数だけ設けて母型とする。
ここで、図3(e)が示す金属構造体である流路基板2の底面35は平面となっている。図3(a)が示す通り、この流路基板2の反転一致形状を成す型がシリコン基板32R上に複数個設けられ、この反転一致形状を成す型同士の間には、個々の型の境界となる分離部34を設けてある。この分離部34の端面34S同士を結ぶ面35’は、以降で説明する平面加工により形成される流路基板2の底面35に相当する平面となる。
また、図1で示す流路基板2が有する貫通穴であるインク供給口21に相当するシリコン基板32R上の反転一致形状の型の端面は上記の分離部34の端面34Sと同じ平面上にあることになる。
次に、図3(b)で示されるように、シリコン基板32R上の母型の反転一致形状面に、以降に行う電鋳処理の電極且つ種層となる導電膜36を設ける。導電膜36の材料は、金、銀、銅、白金、ニッケル等電鋳可能な金属であれば特に限定されるものではなく、通常、電鋳処理にて電鋳される材料と同じものとする場合が多い。本実施の形態における導電膜36は、常時インクに接触している点から腐食しにくいもの、例えばニッケルや白金が好ましく、この中でニッケルを選択し、電鋳金属もニッケルとした。
導電膜36をシリコン基板32R上の母型の反転一致形状面に設ける方法は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、へリコンスパッタ法など)といった公知の蒸着方法で良い。導電膜36の膜厚は、特に規定されるものではなく、電鋳処理の電極としての性能が得られる厚みであれば良く、概ね0.1μm〜0.3μmが良い。
次に、図3(c)で示されるように、導電膜36を設けたシリコン基板32Rを陰極として電鋳処理液(図示してない。)に浸漬し、電鋳金属38がシリコン基板32Rの分離部34の端面34Sの高さを超える状態になるまで電鋳処理を行う。
シリコン基板32R上の電鋳金属38の厚みは、形成される形状にもよるが概ね100μmから2000μmの範囲とするのが好ましい。100μm以上とすることで、強度の観点から電鋳金属を有するシリコン基板32Rの取り扱い時に破損してしまう可能性が低く抑えられ、また電鋳金属38を除去する平面加工に際し、電鋳金属38を均一に除去加工されることが容易となるといったことから好ましい。また、厚みが100μmから500μm程度の場合は、電鋳金属38の粗い平面加工を省略して、電鋳金属38の細かな平面加工のみで対応できることから、加工の効率や流路基板32に加わる熱や力が抑えられることから製造される流路基板32をより高精度にできる観点から好ましい。また、シリコン基板32R上の電鋳金属38の厚みは2000μm以下とすることで、金属の電鋳、除去加工が効率的に行えることから好ましい。一般的なシリコン基板の厚みから想定される電鋳処理により形成される流路基板32の様な金属構造体の厚みは、形状にもよるが概ね100μmから1000μmの範囲とするのがより好ましい。
次に、図3(d)で示されるように、電鋳処理されたシリコン基板32Rの電鋳金属面を加工面が平面となる様に平面研削機等にセットし、まず電鋳面の凹凸を除去する程度に荒削りをする。この後、シリコン基板32Rが有する分離部34の端面34Sが露出されるまで電鋳金属38が平面加工により除去されると共に流路基板2の底面35が形成される。平面加工は、加工量に応じて平面研削機や平面研磨機等を適宜使えばよく、平面研磨機であれば、仕上げ用の研磨材として、例えば粗さ1μmから10μmのダイヤモンドペースト等を用いることができる。
この平面加工によりシリコン基板32Rが有する分離部34の端面34Sが露出されるまでシリコン基板32Rから電鋳金属38を除去することで、流路基板2は、その厚み(高さ)が決められると同時にシリコン基板32Rで保持されている状態のままで個々の流路基板2に分離された状態となる。よって、流路基板2の厚み(高さ)の精度を高くしようとするとこのシリコン基板32Rが有する端面34Sの露出状態の検知をより的確に行えばよい。
具体的な端面34Sの検知方法としては、シリコン基板32Rと電鋳金属38との電気抵抗値の違いを利用する方法がある。例えば図5に示す様に、平面研磨機53は、シリコン基板32Rを保持する回転保持台51と左右に揺動する研磨板52で構成されている。回転保持台51に有する電極58上にシリコン面を下にしてシリコン基板32Rを保持し、シリコン基板32Rの電鋳処理面上に電極59を下面に有する研磨板52を設定する。電気抵抗測定器55は、その測定端子の一方をスリップリング57を介して電極58に、他方を電極59に接続されている。この電気抵抗測定器55で電極58と電極59との間の電気抵抗を測定しながら平面研磨機53によりシリコン基板32Rの電鋳処理面の平面加工を行い、シリコン基板32Rの分離部34の端面34Sを被っている電鋳金属38が除去される際の電気抵抗値の変化を検知して平面加工を止める。この方法は、平面研磨機の代わりに平面研削機としても同様である。
また、赤外線はシリコンを透過し電鋳金属を透過しないという特性を利用する方法がある。例えば図6に示す様に、平面研磨機65は、シリコン基板32Rを保持する回転保持台67と左右に揺動する研磨板62で構成されている。回転保持台67は赤外線が透過可能な部材にて構成され、回転保持台67の下側からシリコン基板32Rのシリコン面に向かって赤外線を赤外線ランプ63により照射し、赤外線ランプ63の反対側である研磨板62側から赤外線カメラ61でシリコン基板32Rの電鋳処理面を撮影・観察しながら平面加工を行う。赤外線カメラ61が分離部34の端面34Sを検知したところで平面加工を止める。この方法は、平面研磨機の代わりに平面研削機としても同様である。
この分離部34の端面34Sを精度良く検知することで、シリコン基板32R上に形成されている電鋳金属38の厚みが高精度に加工され、例えば流路基板2の圧力室溝の底部25の振動板部の厚みを精度良く形成されることができる。
圧力室溝の底部25の厚みは、通常100μm以下で、数十μm程度とする場合が多く、上記で説明した様に平面加工にて極めて薄い振動板部を形成されることになるが、シリコン基板32Rが電鋳処理にて形成された電鋳金属からなる圧力室溝の底部25を強固に保持しているため破損することなく容易に形成することができる。
次に、図3(e)で示されるように、平面加工された電鋳金属を有するシリコン基板32Rは、例えば水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液等に浸漬させることでシリコン基板32Rが全て溶解されて除去(剥離)される。これで、導電膜36及び電鋳金属38から成る所望の凹凸形状である各溝を有する流路基板2が完成すると同時に、複数個の個々の流路基板2が得られる。
本実施の形態の例としている流路基板2は、圧力室溝の底部25の厚みが薄いためシリコン基板を除去する方法を溶解とした。この方法は、金属構造体が有する所望の凹凸形状が、例えば流路基板2ように100μm以下の薄い構造を有しているとか、型抜きがし難い形状、例えば凹凸が多いとか溝が深い等といった場合に用いることで、容易に構造体が破損等されることなく複数個同時に金属構造体が得られるので好ましい。
また、流路基板2に相当する電鋳金属からなる金属構造体が、例えば厚い電鋳金属で構成されているとか構造が簡単なものであるといった様な場合におけるシリコン基板を除去する方法は、例えば加熱により粘着力が低下する剥離シートを使用する方法でも良く、特に限定されるものではない。剥離シートを使用する方法は、剥離シートを電鋳金属を有するシリコン基板の平面加工された面に貼り、シリコン基板から剥離シートを剥がすことで金属電鋳からなる金属構造体を母型であるシリコン基板から金属構造体が剥離シートに張り付いた状態で取り出され、次に加熱されることで粘着力が弱まった粘着シートから複数個同時に金属構造体を得るといった方法である。
この後、図4(a)に示すように流路基板2の溝が形成された側の面にパイレックス(登録商標)やテンパックス フロート(登録商標)等の可動イオンを含む硼珪酸ガラス(以降、硼珪酸ガラスと称する。)膜42を形成する。この硼珪酸ガラス膜42の形成は、流路基板2と以降で説明するシリコンを基材として製造されるノズルプレート1とを陽極接合技術を用いて接合するために行うものである。陽極接合技術を用いて2つの基材を接合する場合、基材の一方をシリコンとし、他方を可動イオン、例えば代表的にはナトリウムイオン(Na+)を含む硼珪酸ガラスとする場合がある。本実施の形態での接合対象は、ノズルプレート1はシリコンを基材としているが、もう一方の流路基板2の材料がニッケルであるため、接合面に硼珪酸ガラスを設けることで陽極接合を可能とすることができる。
この硼珪酸ガラスの膜厚は、陽極接合にて強固に接合される膜厚であれば良く、概ね0.5μmから10μmの範囲の厚みで良いが、膜の密度や均一性及び後述する陽極接合時に必要な接合面の加熱や印加電圧の観点から適宜決めれば良い。膜の形成方法は、特に限定されるものではなく真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタ法(RFマグネトロンスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、へリコンスパッタ法など)といった公知の蒸着方法でよい。
これまで説明した流路基板2とは別に公知のフォトリソグラフィー技術やエッチング法を用いてシリコンを基材としたノズルプレート1を製造する。図4(b)に示す様に流路基板2にこのノズルプレート1を重ね合わせ、300℃から500℃の範囲の不活性ガス、窒素又は133Pa以下の真空雰囲気中で流路基板2とノズルプレート1との間に電界強度が30kV/mmから200kV/mmの範囲となるように直流電圧を印加することで、流路基板2とノズルプレート1とを陽極接合する。
接合の後、図4(c)に示す様に圧力室溝の底部25の裏面に圧電素子3を貼り付けることで記録ヘッドが完成される。
陽極接合を用いて流路基板2とノズルプレート1とを接合する場合、上記の通り接合面には接着剤等何も挟まれてない状態で固定され、その状態を維持したままで強固に接合される。このため、流路基板2とノズルプレート1との位置ズレの発生が抑えられ、また接着剤を使用する場合の接着剤のはみ出しや接着剤の塗布ムラによる接合不良といった不具合が発生することがなくなる。このため、製造効率が良くて高い品質の流路ユニットが提供され、この流路ユニットを組み込んだ記録ヘッドも同様とすることができる。
これまで、記録ヘッドの製造を例に説明したが、本発明は上記の例である流路基板に限定されるものではなく、マイクロデバイスであるマイクロポンプ(特開2001−322099号公報参照)や圧力センサー等その主旨を逸脱しない範囲での変形は可能である。
以下に、実施の形態の例として図1に示す様な記録ヘッドAを10個製造し、動作させたことに関して以下に図3を用いて具体的に説明する。
シリコン基板上に公知のフォトリソグラフィー技術及び公知の高アスペクト比シリコン異方性ドライエッチング法を用いて、流路基板2の形状の反転一致形状を有す型を10個を分離部34を設けて形成した。この10個の型が形成されたシリコン基板32Rを電鋳母型とした。
このシリコン基板32Rが有する分離部34の端面34S同士を結ぶ面は、流路基板2の底面35に相当する平面となっている。また、図1で示す流路基板2が有する貫通穴であるインク供給口21に相当するシリコン基板32R上の反転一致形状の型の端面は上記の分離部34の端面34Sと同じ平面上にある。
シリコン基板32Rの反転一致形状が形成された面に高周波(RF)マグネトロンスパッタ法を用いて厚みが0.3μmのニッケルの導電膜36を形成した。この時の成膜条件は、0.66Paのアルゴン雰囲気内で、高周波電力300Wとした。
このニッケルの導電膜36を設けたシリコン基板32Rをスルファミン酸ニッケル電鋳液に浸漬し、電鋳処理を行うことで、シリコン基板32Rのニッケルの導電膜36上に厚さ約300μmのニッケルの電鋳金属38を電鋳させた。このときの電鋳処理の条件は、電流密度0.5A/dm2、液温40±1℃とした。電鋳処理レートは、おおよそ0.1μm/分であり、約50時間で300μmの厚みを得た。
次に、ニッケルの電鋳金属38が形成されたシリコン基板32Rを電鋳処理側の面を加工面として平面研磨機にセットし、シリコン基板32Rが有する分離部34の端面34Sが見えるまで、粗さ5μmのダイヤモンドペーストを用いて平面加工を行い電鋳金属38の除去を行った。端面34Sの露出が目視にて検知できた時点で平面加工を終了した。この結果、インク吐出時の振動板として機能する圧力室溝の底部25の厚みはほぼ設計通りの20μmとすることが出来た。
次に、80℃の水酸化カリウム20%溶液に平面加工を終了したシリコン基板32Rを浸漬して、電鋳金属部分すなわち流路基板2のみが残るようにシリコン基板32Rを完全に除去した。これで、ニッケルからなる流路基板2が10個分離された状態で得ることができた。
この後、流路基板2を十分に洗浄した後、流路基板2の流路溝を有する面にRFマグネトロンスパッタ法で厚みが約2μmのテンパックス フロート(登録商標)を成膜した。次に、別途用意したシリコンを基材とするノズルプレート1を350℃のアルゴンガス雰囲気中で電界強度が100kV/mmとなるように流路基板側を陰極、ノズルプレート側を陽極として、直流電圧を印加して陽極接合を行った。別途用意したノズルプレート1は、シリコン基板を基材として公知のフォトリソグラフィー技術及び公知の高アスペクト比シリコン異方性ドライエッチング法を用いて形成した。
この後、圧力室溝の底部25の裏面に圧電素子3を貼り付けて図4(b)に示すような記録ヘッドを完成させた。
この記録ヘッドを10個動作させたところ、全て良好に動作することを確認した。
本発明に係わる実施の形態の一例である記録ヘッドの構成を模式的に示す図である。 図1におけるY−Y及びX−Xで示す位置での断面を模式的に示す図である。 本発明に係わる実施の形態の一例である記録ヘッドの流路基板を製造する概略の工程を模式的に示す図である。 本発明に係わる実施の形態の一例である記録ヘッドを製造する概略の工程を模式的に示す図である。 電鋳金属が除去される際の分離部の端面の検知方法の1例を示す図である。 電鋳金属が除去される際の分離部の端面の検知方法の1例を示す図である。
符号の説明
A 記録ヘッド
M 流路ユニット
1 ノズルプレート
11 ノズル
2 流路基板
21 インク供給口
22 共通インク室(溝)
23 インク供給路(溝)
24 圧力室(溝)
25 圧力室の底部
3 圧電素子
32R シリコン基板
34 分離部
34S 分離部の端面
35 流路基板の底面
35’ 分離部の端面を結ぶ面
36 導電膜
38 電鋳金属
40 振動板
42 硼珪酸ガラス膜
51、67 保持台
52、62 研磨板
53、65 平面研磨機
55 電気抵抗測定器
57 スリップリング
58、59 電極
61 赤外線カメラ
63 赤外線ランプ

Claims (3)

  1. 電鋳母型を用いて、底面が平面であり表面に所望の凹凸形状を有する金属構造体を複数個同時に製造する方法において、
    前記電鋳母型はシリコン基板からなり、前記凹凸形状の前記底面と同一平面上に端面を有する分離部を介して、前記金属構造体と反転一致形状を成す型の複数個分が設けられているものであって、
    前記電鋳母型に前記分離部の前記端面の高さを超えるまで電鋳金属を電鋳処理する工程と、
    前記電鋳母型に電鋳処理された電鋳金属を、前記分離部の前記端面が露出するまで平面加工により除去する工程と、
    前記シリコン基板を除去する工程と、
    を経ることを特徴とする金属構造体を複数個同時に製造する方法。
  2. 前記シリコン基板を除去する工程は、シリコン基板を溶解することで除去する工程であることを特徴とする請求項1に記載の金属構造体を複数個同時に製造する方法。
  3. 請求項1又は2に記載の金属構造体を複数個同時に製造する方法により製造された金属構造体と、前記金属構造体に被さって該金属構造体が有する凹凸形状と共同して室を形成するカバープレートと、を接合して形成されてなるマイクロデバイスであって、
    前記凹凸形状を有する面は、可動イオンを含む硼珪酸ガラスであり、
    前記カバープレートは、シリコンであることを特徴とするマイクロデバイス。
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