JP2007237525A - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出口面の表面粗さを、液室等の液路を形成する金属壁の電鋳処理の工程で制御する。
【解決手段】基板(第1の基板)1上に、下電極4c、圧電体薄膜4b、上電極4aからなる圧電素子と、振動板4dを積層し、パターニングして圧電振動部4を形成し、その上に、液室6等の形状を有する型材を形成する。一方、図示しない第2の基板に撥液層9a、導電層9bからなる撥液導電層9を積層し、基板1上の型材に当接して固定する。第2の基板上の導電層9bに電圧をかけて、電鋳処理によって金属壁8を形成した後、エッチングによって基板1にインク供給口2および空間部3を形成する。金属壁8上に撥液導電層9を残して第2の基板を分離し、型材を溶出することで、液室6や吐出口5を開口させる。
【選択図】図1
【解決手段】基板(第1の基板)1上に、下電極4c、圧電体薄膜4b、上電極4aからなる圧電素子と、振動板4dを積層し、パターニングして圧電振動部4を形成し、その上に、液室6等の形状を有する型材を形成する。一方、図示しない第2の基板に撥液層9a、導電層9bからなる撥液導電層9を積層し、基板1上の型材に当接して固定する。第2の基板上の導電層9bに電圧をかけて、電鋳処理によって金属壁8を形成した後、エッチングによって基板1にインク供給口2および空間部3を形成する。金属壁8上に撥液導電層9を残して第2の基板を分離し、型材を溶出することで、液室6や吐出口5を開口させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体に外部からエネルギーを加えることによって液滴を吐出する液体吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
液体に外部からエネルギーを加えることによって液滴を吐出する液体吐出ヘッドは、転写ローラーなどによる接触なしに所望の液滴を対象物に与えることが可能なので様々な用途に使われている。中でも特に良く使われているのはインクジェット記録装置であり、印字性能が良く、低コストなので広く利用されるようになっている。このインクジェット記録装置のヘッドには、熱エネルギーによりインクに気泡を発生させ生じた圧力波によりインク滴を吐出させるものや、静電気力によりインク滴を吸引吐出させるもの、圧電素子のような振動子による圧力波を利用したものなど様々な方式がある。
従来例による圧電素子方式の液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッドの構成を図12の(a)に示す。これは、インクの吐出孔(ノズル)105が形成されたノズル板109と、液室106等の流路を構成する側壁108と、振動板104dおよび圧電素子104が配設された基板101とで構成される。ノズル板109の複数の吐出口105は、それぞれが1つの液室106に対応するように配置される。ノズル板109と側壁108と基板101は別々に製造され、最後に接着剤110によって接合する。
この接着剤による接合方法で最も広く用いられている方法はスクリーン印刷法である。この方法は、接着剤をパターニングしようとする部分にのみ微細な孔の空いたメッシュ状のマスクを使用し、そのメッシュ状のマスクの上から接着剤を接着しようとする部材に塗布する方法である。接着工程で要求されることは、接着剤層をできる限り薄くして液室や吐出口にはみ出さないようにすることと、各液室のインクが他の液室と導通しないように接着剤が液室をしっかり密封していることである。
しかしながら、スクリーン印刷法においては、接着剤のパターニング幅および接着剤層の厚みはマスクに設けられた微細な孔の大きさで決まるため、数十〜百μmといったパターニング幅になると接着剤量の制御が非常に難しくなる。そのため、接着剤の液室内へのはみ出しや接着剤不足による液室の未密封が発生していた。また、接着剤層が液室で発生した圧力を緩和してしまうという問題もあった。さらに、ノズル板と側壁と振動板が別々の部品に形成されているため、接合時に位置合わせが必要であるが、接着剤層を介しているために、精度の高い位置合わせが困難であり量産性に欠けるという点にも問題があった。これらの問題に対処するために、特許文献1、特許文献2および非特許文献1に開示されたように電鋳処理による金属壁を用いる構成が知られている。
特開平11−115182号公報
特開平8−142339号公報
Jae-Duk Lee,"A Thermal Inkjet Printhead with a Monolithically Fabricated Nozzle Plate and Self-Aligned Ink Feed Hole,"J.Micro electromechanical Sys., Vol.8,No.3, Sep1999,229-236.
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、電鋳処理によるNi材からなる一体式のノズルおよび液室を形成し、圧電素子の形成された基板を貼り合わせるという工程が必要であり、この時に接着剤を使用するので精度の高い位置合わせを困難にしている。また犠牲層として形成したCuはNiと合金化してしまいCuのみを除去するのが困難になるおそれがある。
特許文献2および非特許文献1では、図12の(a)に示す圧電素子方式ではなく、同図の(b)に示すように電気熱変換素子204を用いたインクジェット方式において、吐出口105を有する側壁108を一体で形成する方法を挙げている。前者は、図11に示すように、基板101上に第1および第2の溶解可能樹脂121、122による型材120を形成し、その全面に導電層108aを形成して、電鋳処理によって所定の膜厚の金属膜からなる側壁108を形成する。その後、型材120を除去する。また後者では、図10に示すように、導電層108aを形成した基板101に、溶解可能樹脂による型材120を形成する工程と、電鋳処理によって所定の膜厚の金属膜からなる側壁108を形成する工程とを有する。
しかし、前者の場合には、第2の溶解可能樹脂による型材はテーパーがないかもしくは逆テーパーである必要があり、パターニングの制御が難しい。後者においては、吐出口付近にアールが着いてしまいインクが吐出する方向を一定にするのが困難になるという課題がある。
さらに上述の方式全てについて吐出口面の粗さを制御するのが難しいため、研磨などの別工程による表面処理が必要になるという問題があった。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、簡易なプロセスで精度良く吐出口や液室を形成し、しかも吐出口が開口する吐出口面の粗さを容易に制御できる液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明による液体吐出ヘッドの製造方法は、吐出口に連通する流路と、前記流路の液体に吐出圧を発生させる吐出圧発生手段と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、第1の基板に前記流路の形状を有する型材を形成する工程と、導電性表面を有する第2の基板と第1の基板を、第2の基板の導電性表面と第1の基板の型材が向き合うように対向保持する工程と、第2の基板に電圧をかけて電鋳処理を行い、対向保持された第1の基板との間に金属壁を形成する電鋳処理工程と、第1の基板上の金属壁から第2の基板を分離する工程と、第1の基板上の金属壁から型材を除去する工程と、を有することを特徴とする。
電鋳処理によって精度良く吐出口を形成し、しかも、転写基板として用いる第2の基板の表面層を金属壁に残すことで、平坦な吐出口面を形成することができる。
型材が感光性樹脂によって形成されていれば、吐出口や液室の形状を高精細に形成することが可能となる。
発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、基板1にはインク供給口2および空間部3が形成されている。また、基板表面には、上電極4a、圧電体薄膜4b、下電極4cからなる圧電素子および振動板4dが形成され、この圧電振動部(吐出圧発生手段)4の下に、自由空間として基板1の空間部3が配設されている。
さらにこれらの上に、吐出口5、液室6および連通口7等の流路を形成する金属壁8が配設され、圧電素子による振動板4dの変形で生じた圧力によって、吐出口5からインク等液体が吐出される。金属壁8は後述する電鋳処理によって形成されたものである。
なお、圧電体薄膜、上電極、下電極の替わりに電気熱変換素子を用いる液体吐出ヘッドにおいても、同様の方法で電気熱変換素子を有する基板上に、吐出口や液室等の流路を金属壁によって形成することができる。電鋳処理は以下のように行われる。
図2の(a)に示すように第1の基板である基板1を用意する。基板1としてはSi基板やガラス基板、プラスチック基板などを用いることができる。所望の強度があればどの基板を用いても構わないが、微細加工技術による高集積・高密度な駆動回路を作製しやすい点や酸化して良質な絶縁膜を形成しやすい点からSi基板を用いるのが好ましい。Si基板に後述するようにインク供給口2や空間部3等を形成する方法としては、TMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドライド)、KOH(水酸化カリウム)などのアルカリ系エッチング液による異方性エッチングを用いる。RIE・DeepRIE(ICP)などのドライエッチング、サンドブラストなどによる方法が可能であるが、微細加工が容易であり、かつ一度に多数の基板を処理することが可能な異方性エッチングが好適である。
また、後工程で異方性エッチングの際に基板を保護するための図示しないエッチングストップ層を設ける。エッチングストップ層としては、アルカリ系エッチング液に耐えられるものであれば良く、SiO2 膜(シリコン酸化膜)やSiN膜(窒化シリコン)等が主に用いられる。あるいは、ポリエーテルアミド樹脂のようにアルカリ系エッチング液に耐性のある樹脂で形成された膜でも構わない。また、エッチングマスクは、膜応力の調整や密着性の向上のために2種以上の膜を積層してもよい。パターニングはフォトリソグラフィー技術を用いる。
圧電素子を作製する方法には、以下の方法がある。まずPtやTi等の金属で下電極4cを形成し、下電極4c上にスパッタリング等を用いてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料を成膜し、圧電体薄膜4bを形成する。その上にPtやTiなどの高温に耐える金属で上電極4aを形成し、圧電素子の形状にパターニングする。最後にCVD(Chemical Vapor Deposition )法などにより振動板4dとなるSiO2 膜やSiN膜などを形成する。
また、図示しない駆動回路等も一般的な半導体技術により形成する。
図2の(b)に示すように導電性表面を有する第2の基板10を用意する。第2の基板10としては、Si基板やガラス基板、プラスチック基板、金属板、樹脂フィルムなどを用いて、その表面に撥液層9aを形成する。金属板以外の導電性のないSi基板等においては撥液層9aと導電層9bからなる表面層である撥液導電層9を形成する必要がある。導電層9bとしてはPt、Au、Cu、Ni、Ti等を使用することができる。導電層9bを形成する領域は、基板10の全体面を覆っている必要はなく、少なくとも吐出口や液室等流路を形成するための隔壁を形成することができればよい。導電層9bを形成する方法としてはスパッタリング・蒸着などのドライプロセスや無電解メッキなどのウェットプロセスがある。
導電層9bにおいて、吐出口5に対応する部分をフォトリソグラフィー技術などを用いてパターニングしておけば、後工程で吐出口面側から吐出口のパターニングをしなくてもよい。撥液層9aを劣化させる現像液を使うようなフォトリソグラフィーも可能となる。しかし一方で後述する貼り合わせの際に高精度な位置合わせが必要になる。
導電層9bを形成する前に撥液層9aを形成しておくと、電鋳処理の後に撥液層を形成する場合に比べて、平坦性の良い吐出口面を形成することが可能である。さらに撥液層9aを形成する前に、離型剤の塗布やトリアチンジオールによる蒸着などの表面処理を行うことで、後工程で行われる第2の基板10の剥離をスムーズに行うことができる。
第2の基板10の表面粗さは、液体吐出ヘッドの吐出口面の表面粗さとなるため、第2の基板10の表面粗さを化学的、物理的に制御することで、吐出口面の表面粗さを向上させることができる。
図2の(c)に示すように、吐出口や、液室などの流路を形成するためのパターンとなる型材20を形成する。型材20を形成する前に後工程で第1の基板1に電圧をかけるための導電層を形成してもよい。型材20の形成方法としては印刷技術やフォトリソグラフィー技術を利用することができる。感光性樹脂を利用したフォトリソグラフィー技術を利用すれば微細パターンを形成できる。型材20の材料としては厚い膜のパターニングが可能で、後にアルカリ溶液や有機溶剤で除去可能なものが好適に用いられる。例えば、商標名・THBシリーズ(JSR製)、PMERシリーズ(東京応化工業製)、SU−8(化薬マイクロケム)などの市販材料が使用できる。
感光性樹脂材料によって段差形状を有する型材20を作製する方法としては、図8および図9に示す方法が知られている。
図8に示す方法は、まず、型材20の一番厚い膜厚と等しいポジ型感光性樹脂20aを塗布・乾燥し、同図の(a)、(b)に示すように、吐出口と液室等の流路をマスクM1 、M2 を用いて2重露光し、(c)に示すように現像する。
図9に示す方法は、まず同図の(a)に示すように、液室等の流路となる型部21を第1の感光性樹脂で形成し、その後、同図の(b)に示すように、第1の感光性樹脂と相溶しないような第2の感光性樹脂を用いて吐出口となる型部22を形成する。
あるいは、グラデーションマスクを使用して吐出口と流路の形状を同時に露光する方法も知られている。この場合はパターニングのための露光・現像は一度で済み、また吐出口のテーパー形状の制御も容易である。
なお、吐出口をテーパー形状にすることで、圧電素子等の駆動力を効率よく吐出圧に変換することが可能である。テーパー形状にする方法としては、露光・現像の条件をテーパー形状になるように最適化したり、グラデーションマスクを利用したり、レーザーによる露光を行う方法などがあげられる。
型材20を形成した後、図2の(d)に示すように、第1の基板1と第2の基板10を対向保持し、基板1上の型材20と第2の基板10の撥液導電層9が向き合って、型材20の吐出口部と撥液導電層9が密着するように冶具などを使って固定する。
次に、図3の(a)に示すように、第2の基板10に電圧をかけて、型材20を覆うように電鋳による金属壁8を形成する。電鋳のためのメッキの種類としてはCu、Ni、Cr、Zn、Sn、Ag、Auなどの単金属メッキ、合金メッキなどがあげられる。そのなかでも、耐薬品性、強度、コストの点からNiを好適に用いる。
金属壁が第1の基板に達する前に電鋳処理を止め、洗浄・乾燥後、金属壁と基板の間に型材の融点よりも低い融点を持つ低融点金属を流し込むことで接合層を形成する方法でもよい。低粘度金属としてはスズを主成分とするものが挙げられる。接着力、強度、耐溶剤性など所望の特性を持つものであればどのようなものでも構わない。
あるいは、第1の基板上にも導電層を形成し、金属壁が第1の基板に接触すると同時に基板の導電性表面からも金属を析出させることで接合することも可能である。また、金属壁が第1の基板に達する前に、基板上の導電層に電圧をかけることで電鋳処理を短縮することも可能である。
続いて、図3の(b)に示すように、第2の基板10を剥離し、第1の基板1に自由空間である空間部3を形成する。前述したように様々な方法があるが、微細加工が容易かつ一度に多数の基板を処理することが可能なのでTMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドライド)、KOH(水酸化カリウム)による異方性エッチングを好適に用いる。特に安全性、環境への影響を考慮してTMAHによる異方性エッチングが好ましく使用される。この工程においてインク供給口2を同時に形成してもよい。
異方性エッチングを行う前に基板表面側にエッチング保護膜を形成する。この保護膜の特性は、エッチングにおける耐アルカリ性がよく、エッチング後容易に除去可能なものであることが好ましい。例えば、環化ゴム系の樹脂やワックス等を用いることができる。環化ゴム系の樹脂は、常温でコーティングでき、アルカリ系エッチング液に対する耐性が良いため特に好ましい。環化ゴム系の樹脂としては、従来からフォトリソグラフィーで用いられているネガ型のフォトレジストや、それから感光基を除いたもの等を用いることができる。例えば、商標名・OMR−83やOBC(東京応化工業製)の市販レジストを挙げることができる。
基板表面側のエッチング保護膜を除去し、必要であればフォトリソグラフィー技術により吐出口5をあける。最後に、図3の(c)に示すように、型材20を樹脂除去液で取り除く。
なお、製造工程順は上記に限るものではなく、第2の基板10を剥離する前にエッチング保護膜を形成し、エッチングを行ってもよい。
圧電素子の替わりに電気熱変換素子を用いる場合は、基板1に自由空間となる空間部3を形成しない点以外は、同様の方法で製造することができる。
また、第2の基板の表面に撥液層と導電層を設ける替わりに、撥液性と導電性の両方の性質を持つ層、例えば、フッ素樹脂を含有するニッケルからなる表面層を設けてもよい。これにより、第2の基板に対して撥液層を形成する必要がなくなり撥液層形成時の不良を回避できる。
前述のように、金属壁が第1の基板に達する前に電鋳処理を停止し、第1の基板と金属壁の間に型材の融点よりも低い融点を持つ低融点金属層を形成することにより、液室にはみ出すことなく接合層を形成することができる。
また、第1の基板の表面に導電層が形成されていれば、電鋳処理した金属壁が第1の基板に達すると同時に金属壁と第1の基板が接着される。そして、第2の基板に電圧をかけて電鋳処理する工程において、第1の基板にも電圧をかけることで、電鋳時間を減らすことが可能である。
図4および図5は実施例1による液体吐出ヘッドの製造方法を示す工程図である。図4の(a)に示すように、第1の基板1として厚さ635μmの面方位(110)を持つ6インチのSi基板を用いた。基板1の表裏面にそれぞれ厚さ6000ÅのSiO2 層1a、1bを熱CVD法により形成した。フォトリソグラフィー技術により所望のエッチングマスク層を形成した。LPCVD法(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)によりエッチングストップ層となるSiN層1cを厚さ1μm形成した。圧電振動部4の圧電素子の下電極はPtを厚さ1500Å、圧電体薄膜はPZTを厚さ3μm、上電極はPtを厚さ1500Åでスパッタリングにより成膜し、パターニングした。圧電振動部4の振動板としてSiO2 をプラズマCVD法により4μmの厚さに成膜しパターニングした。その他の駆動回路等は一般的な半導体技術により作製するのでここでは省略する。
図4の(b)に示すように、第1の基板1上に液室等の流路の型材20となるPMER(商標名・HM−3000PM 東京応化工業製)をスピンナで60μmに形成し乾燥後、グラデーションマスクを利用して露光し、その後現像してパターニングした。この時、吐出口部の高さは20μm、上部半径は15μm、下部半径は35μm、液室部の高さは40μmになるように露光した。その後、第1の基板1をチップ毎に切断した。
図4の(c)に示すように、第2の基板10としてSi基板を用いた。表面粗さRaは0.02μm以下である。まず、第2の基板10上にフッ素を含有した撥液層9aを1μm形成した。その後、導電層9bとなるTi/Cuをそれぞれ250Å/750Åの厚さにスパッタリングにより成膜した。Tiは撥液層9aと導電層9bの密着性の向上のために形成した。その後、フォトリソグラフィー技術により所望のパターニングを施した。
図4の(d)に示すように、チップサイズに分割された第1の基板1と第2の基板10を冶具を用いて固定した。電鋳前処理として5%の希硫酸に浸漬して酸化銅を除去し、所望の濃度と温度のスルファミン酸Ni電鋳浴に入れ電鋳処理を行った。図4の(e)に示すように、金属壁8が第1の基板1に達しない程度の電鋳処理を行った後、水洗、乾燥した。その後、図5の(a)に示すように、スズを主成分とする融点120℃の低融点金属8aをディスペンサーにて流し込んだ。
第2の基板10を剥離した後、図5の(b)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いて吐出口の一部を形成し、基板1の表面側をエッチング液から保護するために環化ゴム系樹脂(商標名・OBC 東京応化工業製)の保護層を形成した。その後、基板1に対してTMAH22wt%、80℃にて所定の時間、異方性エッチングを行った。異方性エッチング後OBCをキシレンで除去した。その後、図5の(c)に示すように、エッチングストップ層であるSiN層1cをドライエッチングし、樹脂除去液(商標名・ダイレクトパス 荒川化学工業製)を使って型材20を除去した。この時、溶剤(商標名・パインアルファST−380 荒川化学工業株式会社製)を使用した。
完成した液体吐出ヘッドの吐出口面の表面粗さRaは0.02μm以下であった。また十分な撥液性を持っていた。液室等の側壁は一体に形成されていて、接合層も樹脂ではないので高い剛性が得られた。また、従来のように接着剤の厚みやはみ出し量の管理をする必要がないため、吐出特性に関して従来よりも高い信頼性が得られた。接着剤の劣化問題が無いため耐久性に関する信頼性も高かった。
この液体吐出ヘッドを使って、粘度3mPa・s(=3cP)の水性インクを用いて、25KHzで12plの液滴で不吐出のない高品位な印字物が得られた。
第2の基板上にフッ素を含有した撥液層を設け、その上に導電層となるTi/Cuを成膜する工程の替わりに、無電解メッキにより撥液導電層であるNi−PTFE複合メッキ層を形成した以外は、実施例1と同様に液体吐出ヘッドを作製した。完成した液体吐出ヘッドの性能は実施例1と同じ程度であった。
第2の基板に表面粗さ0.2μm程度のプラスチック基板を使用した以外は実施例1と同様に作製した。完成した液体吐出ヘッドの吐出口面の表面粗さRaは0.2μm程度であり、表面粗さを第2の基板の表面粗さで制御できた。完成した液体吐出ヘッドの性能は実施例1と同じ程度であった。
図6および図7は実施例4による液体吐出ヘッドの製造方法を示す工程図である。図6の(a)に示すように、第1の基板1として厚さ635μmの面方位(110)を持つ6インチのSi基板を用いた。基板1の表裏面にそれぞれ厚さ6000ÅのSiO2 層1a、1bを熱CVD法により形成し、フォトリソグラフィー技術により所望のエッチングマスク層を形成した。LPCVD法によりエッチングストップ層となるSiN層1cを厚さ1μm形成した。圧電素子の下電極はPtを厚さ1500Å、圧電体薄膜はPZTを厚さ3μm、上電極はPtを厚さ1500Åでスパッタリングにより成膜し、パターニングして形成した。振動板としてSiO2 をプラズマCVD法により4μmの厚さに成膜し、パターニングした。
その後、吐出口、液室等の流路を形成する金属壁8に対応する部分に、Cuの導電層1dを750Å形成した。その方法としてはCuをスパッタリングにより750Å形成し、フォトリソグラフィー技術でパターニングした。さらに液室等の流路間に溝1eをDeepRIE(ICP)で形成した。
図6の(b)に示すように、第1の基板1上に液室等の流路の型材20となるPMER(商標名・HM−3000PM 東京応化工業製)をスピンナで60μmに形成し乾燥後、2重露光し現像してパターニングして型材20を形成した。この時、吐出口部の露光にはテーパーがつくようフォーカスをずらして露光した。吐出口部の高さは20μm、上部半径15μm、下部半径25μm、液室部の高さは40μmになるように露光した。その後、第1の基板1をチップ毎に切断した。
図6の(c)に示すように、第2の基板10として、表面粗さRa0.02μm以下のSi基板を用いた。まず、第2の基板10上にフッ素を含有した撥液層9aを1μm形成した。その後、導電層9bとなるTi/Cuをそれぞれ250Å/750Åの厚さにスパッタリングにより成膜した。Tiは撥液層9aと導電層9bの密着性の向上のために形成した。その後、フォトリソグラフィー技術により所望のパターニングを施した。
図6の(d)に示すように、チップサイズに分割された第1の基板1を第2の基板10に冶具を用いて固定した。電鋳前処理として5%の希硫酸に浸漬し酸化銅を除去し、所望の濃度と温度のスルファミン酸Ni電鋳浴に入れ電鋳処理を行った。図6の(e)に示すように、金属壁8が第1の基板1に達し所望の時間経過後電鋳処理を停止した。水洗、乾燥した後、図7の(a)に示すように、溝1eにスズを主成分とする融点120℃の低融点金属8aをディスペンサーにて流し込んだ。
図7の(b)に示すように、第2の基板10を剥離した後にフォトリソグラフィー技術を用いて吐出口の一部を開口させ、第1の基板1の表面側をエッチング液から保護するために環化ゴム系樹脂(商標名・OBC 東京応化工業製)のエッチング保護層を形成した。その後、第1の基板1に対してTMAH22wt%、80℃にて所定の時間、異方性エッチングを行い、エッチング後に保護層をキシレンで除去した。最後に、図7の(c)に示すように、エッチングストップ層であるSiN層1cをドライエッチングで除去し、樹脂除去液(商標名・ダイレクトパス 荒川化学工業製)を使って型材20を除去した。この時、溶剤(商標名・パインアルファST−380 荒川化学工業株式会社製)を使用した。
完成した液体吐出ヘッドの吐出口面の表面粗さRaは0.02μm以下であった。また十分な撥液性を持っていた。液室等の側壁は一体に形成されていて、接合層も樹脂ではないので高い剛性が得られた。また、従来のように接着剤の厚みやはみ出し量の管理をする必要がないので吐出特性に関して従来よりも高い信頼性が得られた。接着剤の劣化問題が無いため耐久性に関する信頼性も高かった。
この液体吐出ヘッドを使って、粘度3mPa・s(=3cP)の水性インクを用いて、25KHzで12plの液滴で不吐出のない高品位な印字物が得られた。
電鋳処理において第1の基板にも電圧をかけた以外は実施例4と同様に作製した。電鋳処理の時間を短くすることができた。完成した液体吐出ヘッドの性能は実施例4と同じ程度であった。
1 基板(第1の基板)
2 インク供給口
3 空間部
4 圧電振動部
5 吐出口
6 液室
8 金属壁
9 撥液導電層
10 基板(第2の基板)
20 型材
2 インク供給口
3 空間部
4 圧電振動部
5 吐出口
6 液室
8 金属壁
9 撥液導電層
10 基板(第2の基板)
20 型材
Claims (9)
- 吐出口に連通する流路と、前記流路の液体に吐出圧を発生させる吐出圧発生手段と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
第1の基板に前記流路の形状を有する型材を形成する工程と、
導電性表面を有する第2の基板と第1の基板を、第2の基板の導電性表面と第1の基板の型材が向き合うように対向保持する工程と、
第2の基板に電圧をかけて電鋳処理を行い、対向保持された第1の基板との間に金属壁を形成する電鋳処理工程と、
第1の基板上の金属壁から第2の基板を分離する工程と、
第1の基板上の金属壁から型材を除去する工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。 - 型材が感光性樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 第2の基板が、撥液層および導電層を積層した表面層を有することを特徴とする請求項1または2記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 第2の基板が、撥液性および導電性を持つ表面層を有することを特徴とする請求項1または2記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 表面層が、フッ素樹脂を含有するニッケルからなることを特徴とする請求項4記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 金属壁が第1の基板に達する前に電鋳処理を停止し、第1の基板と金属壁の間に型材の融点よりも低い融点を持つ低融点金属層を形成する工程を有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 第1の基板が導電性表面を有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 第2の基板に電圧をかけて金属壁を形成する電鋳処理工程において、第1の基板にも電圧をかけることを特徴とする請求項7記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 請求項1ないし8いずれか1項記載の液体吐出ヘッドの製造方法によって製造されたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
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