JP2006256222A - 静電アクチュエータ、静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置、液滴吐出装置の製造方法、デバイスおよびデバイスの製造方法 - Google Patents

静電アクチュエータ、静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置、液滴吐出装置の製造方法、デバイスおよびデバイスの製造方法 Download PDF

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JP2006256222A JP2005079318A JP2005079318A JP2006256222A JP 2006256222 A JP2006256222 A JP 2006256222A JP 2005079318 A JP2005079318 A JP 2005079318A JP 2005079318 A JP2005079318 A JP 2005079318A JP 2006256222 A JP2006256222 A JP 2006256222A
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Kazufumi Otani
和史 大谷
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Abstract

【課題】高精度で安価な電極基板を用いた静電アクチュエータ、静電アクチュエータの製
造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置、液滴吐出装置の製
造方法、デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】振動板23を有する第1の基板2と、電極溝を有しこの電極溝に振動板23
とギャップを隔てて対向する対向電極42が設けられた第2の基板4とを備え、振動板2
3と対向電極42との間に電圧を印加することによりこれらの間に静電気力を発生させて
、振動板23を変位させる静電アクチュエータであって、第2の基板4の電極溝41の内
壁全体に対向電極42を設けたものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、静電アクチュエータ、静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液
滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置、液滴吐出装置の製造方法、デバイスおよびデバ
イスの製造方法に関するものである。
液滴吐出装置のひとつであるインクジェットヘッドは、インク収容室の壁面の一部を変
位させることによりインク収容室の容積を変化させ、インク収容室に連通するノズルから
インク滴を吐出するようになっている。例えば、インク収容室の壁面の一部を変位させる
ために、壁面の一部を振動板とする静電アクチュエータを備えている。この静電アクチュ
エータは、振動板に微小空隙を隔てて対向する個別電極と、振動板との間に電圧を印加す
ることにより、個別電極と振動板との間に静電気力を生じさせて、振動板を振動させるも
のである。個別電極は電極基板上に配されるが、微小空隙を設けるために、一般に電極基
板に形成された凹部の底面に設けられる。
このような凹部をガラス基板に形成するには、例えばエッチングによる方法(例えば、
特許文献1参照)や、プレス成形による方法があり、こうして形成された凹部の底面に電
極部材を成膜していた。エッチングによる方法では、ガラス基板の表面にウエットエッチ
ングによって微小ギャップを形成し、その後、微小ギャップの底面に電極部材を成膜して
いた。また、プレス成形による方法では、ガラス基板の微小ギャップをプレス成形し、そ
の後、微小ギャップの底面に電極部材を成膜していた。
こうした微小ギャップ底面への電極部材の成膜方法は、例えば、ガラス基板の凹部が形
成された側の面に、スパッタのような物理成膜法やプラズマCVDのような化学成膜法な
どによって導電膜を形成し、導電膜をエッチングした後、ガラス基板の凹部の底面に個別
電極を形成していた。
特開2002−145643号公報
しかしながら、インクジェットヘッドのような液滴吐出ヘッドでは、印刷速度の高速化
及びカラー化を目的として、ノズル列を複数有する構造の液滴吐出ヘッドが求められてお
り、さらに、近年のノズルの高密度化に伴い、微細な構造を高精度で加工することが不可
欠になってきているが、静電駆動方式によるインクジェットヘッドの電極基板への微小ギ
ャップの形成が必ずしも容易ではない。
例えば、エッチングを用いた凹部形成方法においては、ガラス基板の表面におけるパタ
ーンの広がりや丸まりのため、ガラス基板の表面パターンの微細化に限界があり、また、
多段ギャップや傾斜部を有するギャップの形成にも不向きであった。従って、この方法で
は、ガラス基板表面のパターンの微細化に限界があり、ギャップの形成にも不向きである
ため、このパターンを基にしたその後の凹部底面への個別電極の形成においても、十分な
精度が得られなかった。
また、例えばプレス成形を用いた凹部形成方法では、ガラス基板の表面における各種形
状の凹部をプレス成形によって精度よく形成できるが、微小ギャップが成形された側の面
に電極部材を全面成膜し、フォトリソグラフィーで凹部底面への個別電極にパターニング
する工程が存在するため、電極パターンが微細化するに伴い微小ギャップと個別電極との
クリアランスが小さくなり、電極パターンが微小ギャップ外に乗り上げてしまう等の不具
合が発生する場合があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、高精度で安価な電極基板
を用いた静電アクチュエータ、静電アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐
出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置、液滴吐出装置の製造方法、デバイスおよびその製造
方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータは、振動板を有する第1の基板と、電極溝を有しこの
電極溝に振動板とギャップを隔てて対向する対向電極が設けられた第2の基板とを備え、
振動板と対向電極との間に電圧を印加することによりこれらの間に静電気力を発生させて
、振動板を変位させる静電アクチュエータであって、第2の基板の電極溝の内壁全体に対
向電極を設けたものである。このように、電極溝形状に沿って電極形状が形成されるため
、アライメントずれに起因する欠陥は発生せず、パターンが微細化され、高密度成形され
た高精度な対向電極を安価に提供することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、電極溝が多段構造を持つものである。この
ような多段構造の電極溝形状に沿って電極形状が形成されるため、アライメントずれに起
因する欠陥は発生せず、パターンが微細化され、高密度成形された高精度な電極を安価に
提供することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、電極溝がその一部に傾斜部を有するもので
ある。このため、電極形状の一部が傾斜部を構成することになるので、この斜めギャップ
によって、当接開始点での実行ギャップが零となり、振動板が対向電極に当接する電圧を
下げることができ、低電圧駆動が可能となる。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、傾斜部が電極溝の長手方向及び幅方向の一
箇所に設けられたものである。このため、電極形状の一部が傾斜部を構成することになる
ので、この斜めギャップによって、当接開始点での実行ギャップが零となり、振動板が対
向電極に当接する電圧を下げることができ、低電圧駆動が可能となる。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、振動板を有する第1の基板と、電極溝
を有しこの電極溝に振動板とギャップを隔てて対向する対向電極が設けられた第2の基板
とを備え、振動板と対向電極との間に電圧を印加することにより、これらの間に静電気力
を発生させて、振動板を変位させる静電アクチュエータの製造方法であって、電極溝が形
成された側の第2の基板面に電極部材を全面成膜し、電極溝以外に成膜された電極部材を
研磨して除去するものである。電極パターンが微細化するに伴い微小ギャップと対向電極
のクリアランスが小さくなるが、電極溝形状に沿って電極形状を構成できるため、アライ
メントずれに起因する欠陥は発生せず、パターンの微細化も容易で、高密度成形が可能で
ある。また、電極部材のパターニング工程が不要なため、工程数削減で低コスト化が可能
になる。さらに、安価な設備による大量バッチ処理が可能となる。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、電極溝をウエットエッチングを
用いて形成したものである。ウエットエッチングによる電極溝形状に沿って電極形状を構
成できるため、乗り上げ不良は発生せず、高密度成形が可能である。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、電極溝をプレス成形を用いて形
成したものである。プレス成形により電極溝の形状をナノ単位で精度良くかつ安定した状
態で制御することができ、かかる電極溝形状に沿って電極形状を構成できるため、乗り上
げ不良は発生せず、高密度成形が可能である。また複雑な形状の溝や深い溝の加工が容易
で、基板の形やサイズの点で汎用性が高い。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、電極溝をサンドブラストを用い
て形成したものである。サンドブラストにより電極溝形状に沿って電極形状を構成できる
ため、乗り上げ不良は発生せず、高密度成形が可能である。また、サンドブラスト成形に
よれば、安価で大量成形が可能である。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記の静電アクチュエータを搭載したものである。こ
のため、高密度ノズルを有する液滴吐出ヘッドを安価に提供することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適
用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。このようにして製造されたアクチュエータ
を液滴吐出ヘッドに適用した場合には、液滴吐出特性を向上させ、ノズル孔を高密度化さ
せ、製造コストを低減させることができる。
本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。このため
、高密度ノズルを有する高精度な液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を安価に提供する
ことができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して
液滴吐出装置を製造するものである。このため、高密度ノズルを有する高精度な液滴吐出
ヘッドを備えた液滴吐出装置を安価に製造することができる。
本発明に係るデバイスは、上記の静電アクチュエータを搭載したものである。このため
、高精度な静電アクチュエータを備えたデバイスを安価に提供することができる。
本発明に係るデバイスの製造方法は、上記の静電アクチュエータの製造方法を適用して
デバイスを製造するものである。このため、高精度な静電アクチュエータを備えたデバイ
スを安価に製造することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの分解斜視図、図2は図1の要
部の縦断面図である。なお、以下の説明では、図2中、上側を「上」または「上方」、下
側を「下」または「下方」、左側を「後方」、右側を「先方」とする。図に示すインクジ
ェットヘッド1は、キャビティ基板2の上面にノズル基板3が接合され、キャビティ基板
2の下面に電極基板4が接合されている。すなわち、インクジェットヘッド1は、下方か
ら上方へ電極基板4、キャビティ基板2、ノズル基板3が順次積層された3層構造となっ
ている。
キャビティ基板2は、ノズル基板3との間で、共有インク室21と、複数のインク吐出
室22とを区画形成するように溝が形成され、ノズル基板3は、キャビティ基板2との間
で、共通インク室21と複数のインク吐出室22とを連通させるインクオリフィス31を
区画形成するように溝が形成されている。すなわち、キャビティ基板2とノズル基板3と
の間には、共通インク室21と、インクオリフィス31、複数のインク吐出室22が区画
形成されている。このようなキャビティ基板2およびノズル基板3は、それぞれ、例えば
、シリコンを主材料として構成されている。ノズル基板3には、各インク吐出室22の先
端側の部分に対応する位置に、ノズル孔32が形成されており、ノズル孔32はインク吐
出室22に連通している。
また、キャビティ基板2の各インク吐出室22の下壁部分は薄肉とされており、面外方
向、すなわち図2において上下方向に弾性変位可能な振動板23として機能するようにな
っている。また、電極基板4はガラスを主材料として構成されており、キャビティ基板2
との接合面には、各振動板23に対応した位置に凹部41が形成されている。なお、キャ
ビティ基板2と電極基板4との熱膨張係数は近似するようにしてある。
凹部41の底面411及び側面412には、凹部41の内壁全体を覆うようにしてIT
O等からなる個別電極42が形成されている。そして凹部41の内壁全体を覆うようにし
て形成された個別電極42のうち、底面411側に位置する個別電極42と振動板23と
は微小の空隙を隔てて対向しており、個別電極42の側面412側上端部においてキャビ
ティ基板2の底面と当接し、この当接位置において当接開始点のギャップを零にすること
ができる。こうして、振動板23は、個別電極42に対応する共通電極として機能する。
また、個別電極42は、電極基板4の後端部まで引き出され、その後端部分が、外部配線
接続用の電極取出し部47となっている。この電極取出し部47には、個別電極42と振
動板23との間に電圧を印加する電圧印加手段(図示せず)が接続されている。
また、キャビティ基板2は、ガラス基板4との接合面に、封止剤注入溝24が形成され
ている。この封止剤注入溝24は、共通インク室21よりも後端側であって、各凹部41
と直交する方向に延在されており、各凹部41との交点においてこの凹部41に連通して
いる。そして、電極基板4には、この封止剤注入溝24の両端部に対応する位置に、電極
基板4を厚さ方向に貫通し、かつ、封止剤注入溝24に連通する封止剤注入孔44および
封止剤排出孔45が形成されている。
封止剤注入溝24、封止剤注入孔44、および封止剤排出孔45は、凹部41に封止剤
を充填する際の流路となるものである。すなわち、封止剤注入孔44に注入された封止剤
は、封止剤注入溝24の一端から他端に向かって流れる。この封止剤注入溝24を流れる
封止剤の一部は、毛細管現象によって、各凹部41内の封止剤注入溝24の近傍に引き込
まれ、充填される。そして、封止剤が封止剤注入溝24の他端に達し、封止剤排出孔45
に入り込んだところで封止剤の注入を中止する。これにより、振動板23と個別電極42
との隙間が密閉される。
電極基板4には、共通インク室21に連通するインク供給口43が形成されている。イ
ンクは、外部の図示しないインクタンクから、インク供給口43を通って共通インク室2
1に供給される。共通インク室21に供給されたインクは、インクオリフィス31を通っ
て、各インク吐出室22に供給される。以上のようなインクジェットヘッド1では、振動
板23と個別電極42と電圧印加手段(図示せず)とが静電アクチュエータを構成する。
すなわち、電圧印加手段が振動板23と個別電極42との間に駆動電圧を印加すると、振
動板23と個別電極42との間に静電気力が発生する。これにより、振動板23が個別電
極42側へ撓んで変位し、インク吐出室22の容積が拡大する。次に、駆動電圧を解除す
ると、振動板23はその弾性復帰力によって復帰し、インク吐出室22の容積が急激に収
縮する。このときに発生するインク圧力により、インク吐出室22を満たすインクの一部
が、このインク吐出室22に連通しているノズル孔32からインク滴として吐出される。
次に、本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法について説明する。図3〜図8は
インクジェットヘッド1の製造工程を示す説明図である。このインクジェットヘッド1の
製造方法は、封止剤注入溝、不純物拡散層および絶縁膜形成工程と、電極基板作製工程と
、シリコン基板と電極基板の接合工程と、共通インク室およびインク吐出室形成工程と、
接合基板とノズル板の接合工程を有している。以下、これらの工程について、順次説明す
る。
[1]シリコン基板の封止剤注入溝、不純物拡散層および絶縁膜形成工程
(a) まず、下面が研磨されたシリコン基板2aを用意する。そして、図3(a)に
示すように、このシリコン基板2aに熱酸化処理を行い、両面に酸化膜(SiO2 膜)6
1を形成する。熱酸化処理の方法としては、スチーム酸化、ウェット酸化、ドライ酸化、
高圧酸化、希釈酸素酸化等のうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる
。例えば、スチーム酸化の場合には、水蒸気を含有する酸素存在雰囲気下で行う。
(b) 次に、シリコン基板2aに形成された酸化膜61上に、フォトリソグラフィ法
によって、封止剤注入溝24に対応する部分に開口部を有するフォトレジストを形成する
。そして、このフォトレジストをマスクとして、酸化膜61をエッチングした後、フォト
レジストを除去する。これにより、図3(b)に示すように、酸化膜61の封止剤注入溝
24に対応する部分に開口部62が形成される。
(c) 続いて、この酸化膜61をマスクとして、シリコン基板2aをエッチングる。
これにより、図3(c)に示すように、封止剤注入溝24が形成される。
ここで、エッチング液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、T
MAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液等が挙げられる。
(d) その後、図3(d)に示すように、シリコン基板2aの表面に形成された酸化
膜61をフッ酸水溶液等で除去する。
(e) 次に、図3(e)に示すように、シリコン基板2aの下面に、不純物をドープ
し、不純物拡散層23aを形成する。この不純物拡散層23aは、得られるインクジェッ
トヘッドにおいて振動板23を構成するものである。また、この不純物拡散層23aは、
エッチング液に対するエッチング速度がシリコン基板2aと異なるので、後工程で行うシ
リコン基板2aのエッチングに際して、エッチングの停止層として機能する。したがって
、この不純物拡散層23aの厚さを制御することによって、所望の厚さの振動板23を形
成することができる。なお、不純物拡散層23aは、シリコン基板2aに比べて低抵抗で
あることから、特に、振動板23となる部分においては、共通電極として良好な導電性が
得られる。
不純物としては、ボロン等が挙げられる。不純物のドープ量は、5×10−19〜12
×10−19atom/ccであるのが好ましい。不純物のドープ量が前記下限値未満で
あると、シリコン基板2aのエッチングに際して、使用するエッチング条件などによって
は、不純物拡散層23aが露出したところでエッチングを確実に停止するのが困難になる
。また、共通電極として十分な導電性が得られない場合がある。
(f) 続いて、図3(f)に示すように、不純物拡散層23aの上に絶縁膜63を形
成する。絶縁膜63としては、SiO2 等の酸化膜系絶縁膜、Si34等の窒化膜系絶縁
膜等が挙げられる。絶縁膜63の形成方法としては、例えば、プラズマCVD、熱CVD
、レーザーCVDのような化学成膜法(CVD)、スパッタリング等の物理成膜法等が挙
げられる。
[2] 電極基板の作製工程
(a) 次に、電極基板4を作製する。まず、図4(a)に示すように、ガラス基板4
aを用意する。ガラス基板4aは、シリコンと熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスのようなガ
ラスを主材料としており、これによりシリコン製のキャビティ基板2と硼珪酸ガラス製の
電極基板4との熱膨張係数が近似するため、熱変化に起因する剥離などの欠陥を抑制する
ことができる。すなわち、キャビティ基板2と電極基板4を接合するに際して、これらの
基板2,4に生じる応力が小さく抑えられ、基板の破損を防止することができる。
(b) 次に、ガラス基板4aの上面に、プレス成形によって凹部41を形成する。こ
のプレス成形は、ガラス基板4aに形成すべき凹部41に対応した凹凸が形成された押し
型(図示せず)上に、ガラス基板4aを載置し、加熱により軟化させることによって行う
。加熱温度は、ガラス基板4aの結晶化温度以上であるのが好ましい。加熱温度が下限値
未満であると、ガラス基板4aを構成する材料などによっては、ガラス基板4aが十分に
軟化せず、押し型の凹凸が、ガラス基板4aに十分に転写されないおそれがある。また、
加熱温度が前記上限値を超えると、プレス成形装置のプレス条件などによっては、押し型
等、プレス成形装置の各部にダメージを与える場合がある。こうして、ガラス基板4aを
押し型によって押しつけると、押し型の凹凸が転写される。そして、加圧状態を維持した
ままガラス基板を冷却する。その結果、凹凸が転写された状態でガラス基板4aが固化し
、図4(b)に示すように、凹凸の反転パターンで凹凸、すなわち凹部41が形成された
ガラス基板4aが得られる。
(c) 次に、図4(c)に示すように、ガラス基板4aの凹部41が形成された側の
面、すなわち上面全体に、ガラス基板4aの凹部41も含めて、導電膜42aを全面成膜
する。導電膜42aの構成材料である電極部材としては、ガラス基板4a上に形成できる
とともに電極として機能するものであれば、特に限定されず、例えば、Pd、Pt、Au
、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cuまたはこれらを含む合金等の金属材料、IT
O、FTO、ATO、SnO2 等の導電性酸化物等が挙げられる。さらに、これらのうち
の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電膜42aの形成方法としては、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCV
Dのような化学成膜法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)
、イオンプレーティング等の物理成膜法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿
式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等が挙げられる。ここで、
導電膜42aの厚さは、凹部41の深さよりも薄いものとする。
(d) 次に、ガラス基板4aの上面に全面成膜した導電膜42aの凹部41以外の部
分の成膜面を研磨し、凹部41以外の部分の導電膜42aを除去する。こうすると、図4
(d)に示すように、凹部41内の電極部材は、凹部41の内壁全体に、すなわちその底
面411のみならず側面412に沿った部分にも個別電極42が形成され、個別電極42
の側面412側の上端部がガラス基板4aの上面と同一面となる。
なお、ガラス基板4aの導電膜42aの凹部41以外の部分の研磨、除去は、例えば以
下のようにして行う。すなわち、ガラス基板4aの凹部41以外の部分の表面に水酸基を
有する溶液を供給しながらスポンジ材を押し当て、スポンジ材をガラス基板4aに対して
相対的に移動させる。こうしてスポンジ材を移動させながら、水酸基を有する溶液に変え
て、さらに洗浄液をガラス基板4aの表面に供給し、その後、ガラス基板4aの表面から
スポンジ材を離し、ガラス基板の表面をリンスする。
あるいは、ガラス基板4aの導電膜42aの凹部41以外の部分の研磨は、以下のよう
にして行う。すなわち、ガラス基板4aを回転させる手段と、回転されるガラス基板4a
の表面に研磨テープを押しつける手段とを有する装置を使用して、ガラス基板4aの表面
を研磨する際に、ガラス基板4aの表面に水酸基を有する溶液を供給しつつ研磨テープを
押しつけ、ガラス基板4aの表面を化学的機械的に研磨し、この研磨を終了するために、
研磨テープをガラス基板4a表面から離し、その後、ガラス基板4aを装置から取り外す
ことなく、ガラス基板4aの表面に洗浄液を吹きかけてガラス基板4aの洗浄を行う。
(e) 次に、図4(e)に示すように、ガラス基板4aの、インク供給口43、封止
剤注入孔44および封止剤排出孔45に対応する位置に、ダイヤモンドドリル等で穿孔加
工を行い、これら各孔43,44,45を形成する。
以上の工程により電極基板4が作製される。
[3]基板と電極基板の接合工程
(a)次に、図5(a)に示すように、作製された電極基板4と、封止剤注入溝24、
不純物拡散層23aおよび絶縁膜63が形成されたシリコン基板2aとを、電極基板4の
個別電極42を形成した側の面と、シリコン基板2aの絶縁膜63を形成した側の面とが
対向し、かつ、封止剤注入孔44および封止剤排出孔45が封止剤注入溝24の両端部に
対応するようにする。
(b)そして、電極基板4とシリコン基板2aとを、図5(b)に示すように、陽極接
合等によって接合する。これにより、接合基板71が得られる。この接合基板71におい
て、封止剤注入溝24、凹部41、封止剤注入孔44および封止剤排出孔45は連通して
いる。なお、シリコン基板2aと電極基板4との熱膨張係数が近似しているため、熱変化
に起因して剥離などを起こすことはない。
[4]インク吐出室、共通インク室および電極取出し部形成工程
(a) 次に、電極基板4の下面に保護フィルムを貼付し、シリコン基板2aの上側を
グラインダー等で切削し、シリコン基板2aを薄板化する。
続いて、接合基板71を、表面処理治具(図示せず)に、電極基板4の保護フィルムを
貼付した面が当接するように取付ける。そして、この接合基板71と表面処理治具を真空
チャンバー内に搬入し、真空チャンバー内を徐々に減圧した後、急激に大気圧とする。こ
のとき、外部が大気圧となっているのに対して、空間内では減圧状態が維持されているの
で、接合基板71が吸引され、表面処理治具の基板載置部に吸着固定される。このように
表面処理治具を使用することにより、保護フィルムで比較的耐薬品性を得難い強アルカリ
性エッチング液に対しても、電極基板4の下面を確実に保護することができる。そして、
このように接合基板71を表面処理治具に取付けた状態で、シリコン基板2aの上面全面
にウェットエッチングを行い、図6(a)に示すように、さらにシリコン基板2aを薄板
化する。
ここで、エッチング液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、T
MAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液等を用いる。なお、電極基板4の下面
が、保護フィルムおよび表面処理治具によって保護されていることにより、インク供給口
43、封止剤注入孔44および封止剤排出孔45へのエッチング液の浸入が防止される。
このようにシリコン基板2aを、切削加工とエッチングの2段階で薄板化すると、切削
加工によって比較的厚い厚さ分を高速で切削することができ、また、エッチングによって
、シリコン基板2aの切削された加工面を比較的滑らかで欠陥の少ない面とすることがで
きる。したがって、シリコン基板2aを、短時間で薄板化することができ、また良好な表
面性を得ることができる。
次に、必要に応じて、シリコン基板2aを洗浄し、表面処理治具を取り外す。このシリ
コン基板2aの洗浄は、特に限定されないが、アンモニア過水水溶液での洗浄、水洗、乾
燥を順次行った後、表面処理治具を取り外し、保護フィルムを貼った状態で再度水洗する
といった工程で行うのが好ましい。これにより、表面処理治具のOリングとの接触面付近
に付着したエッチング液等、洗浄し難いエッチング液についても、確実に洗浄除去するこ
とができる。
(b) 次に、シリコン基板2aの上面を、硫酸過水混合液等で洗浄する。そして、図
6(b)に示すように、シリコン基板2aの上に、SiO2膜72を成膜する。SiO2
72の成膜方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レ
ーザーCVDのような化学成膜法(CVD)、スパッタリング等の物理成膜法等を用いる
ことができる。
(c)そして、このSiO2 膜72上に、フォトリソグラフィ法によって、共通インク
室21、インク吐出室22および電極取出し部47に対応する部分に開口部を有するフォ
トレジストを形成する。そして、このフォトレジストをマスクとして、SiO2 膜72を
エッチングする。このとき、図6(c)に示すように、インク吐出室22および電極取出
し部47に対応する部分ではSiO2 膜72がほぼ完全に除去されるようにし、共通イン
ク室21に対応する部分ではSiO2 膜72が一部残るようにエッチング(ハーフエッチ
ング)する。
エッチング液としては、特に限定されないが、例えば、フッ酸水溶液、フッ化アンモニ
ウム水溶液等を用いることができる。なお、以上のような硫酸過水混合液による洗浄工程
〜SiO2 膜のエッチング工程においても、必要に応じて保護フィルムおよび表面処理治
具を使用するのが好ましい。これにより、各工程において、硫酸加水混合液、フォトレジ
ストを現像するための現像液および水洗水、SiO2 膜72をエッチングするためのエッ
チング液および水洗水の、孔43,44,45からの浸入が防止される。また、保護フィ
ルム7によって孔43,44,45が閉塞されるため、例えば各工程で用いる装置への真
空チャッキングを確実に行うことができる。
(d) 次に、電極基板4の下面に保護フィルムを貼付し、接合基板71を表面面処理
治具に取付ける。そして、図6(d)に示すように、水酸化カリウム水溶液によって、イ
ンク吐出室22および電極取出し部47に対応する部分のシリコン基板2aを途中までエ
ッチングする。続いて、フッ酸水溶液によって、共通インク室21に対応する部分に残存
させたSiO2 膜72を除去する。
(e)その後、図7(e)に示すように、水酸化カリウム水溶液によって、共通インク
室21、インク吐出室22および電極取出し部47に対応する部分のシリコン基板2aを
、インク吐出室22および電極取出し部47に対応する部分で不純物拡散層23aが露出
するまでエッチングする。水酸化カリウム水溶液に対するエッチングレートは、シリコン
基板2aよりも不純物拡散層23aの方が小さいので、この不純物拡散層23aが露出し
たところで確実にエッチングを停止することができる。一方、共通インク室21に対応す
る部分では、水酸化カリウム水溶液によるエッチング開始時間が、インク吐出室22およ
び電極取出し部47に対応する部分よりも遅らせているので、不純物拡散層23a上にシ
リコン基板2aが薄く残存した状態でエッチングが終了する。このときインク吐出室22
に対応する部分で残存した層は、振動板23となるので、その厚さが適正範囲であること
が重要となる。
(f)続いて、図7(f)に示すように、フッ酸水溶液を使用して、シリコン基板2a
の表面に残存するSiO2 膜を除去する。そして、共通インク室21に対応する部分の底
部を、例えばレーザー加工によって開口し、インク供給口43と共通インク室21とを連
通させる。以上の工程により、キャビティ基板2が得られる。レーザー加工に用いるレー
ザーとしては、YAGレーザー、フェムト秒レーザー等が挙げられる。
(g)続いて、図7(g)に示すように、封止剤注入孔44から封止剤8を注入し、キ
ャビティ基板2と電極基板4との隙間を密閉する。
[5]キャビティ基板とノズル基板の接合工程
(a)次に、図8(a)に示すように、キャビティ基板2と、インクオリフィス31お
よびノズル孔32が形成されたノズル基板3とを、ノズル孔32がインク吐出室22の先
端付近となるように接合する。これにより、キャビティ基板2とノズル基板3との間に、
共通インク室21、インク吐出室22およびインクオリフィス31が画成される。
そして、このようにして形成された基板2、3、4の積層体を、図8(b)に示すよ
うに、ヘッドチップ毎にダイシングすることによってインクジェットヘッドが製造される
以上のように、本発明に係る静電アクチュエータは、電極基板4としてガラス基板4a
を使用し、個別電極42を形成する凹部41を、ガラス基板4aをプレス成形することに
よって形成しているので、パターンの広がりや、グレースケールを使用したときに生じる
小波状の凹凸の発生を回避することができる。また、プレス成形では、押し型の凹凸パタ
ーンがガラス基板に精密に転写されるので、静電アクチュエータの各部の高密度化にとも
なって凹部の形状が微細化された場合でも、この微細な凹部の形状を精度良く形成するこ
とができる。さらに、プレス成形では、同じ押し型を繰り返し使用することができるので
、電極基板4を再現性が良く製造することができ、製造コストも低く抑えることができる
また、ガラス基板4aの上面に全面成膜した導電膜42aをCMPで研磨し、凹部41
以外の表面の導電膜4aを除去するようにしたので、導電膜42aのパターニング工程が
不要であり、このため工程数が削減され、導電膜42a成膜時に低コスト化が可能となる
。さらに、凹部41の電極溝形状に沿って個別電極42が形成されるため、すなわち溝自
体の形状が電極パターンに反映するので、アライメントずれに起因する欠陥や乗り上げ不
良は発生せず、パターンの微細化が容易となり、高密度成型が可能となる。さらに、安価
な設備による大量バッチ処理が可能で、コストが削減される。そして、プレス成形によっ
て凹部41を成形し、凹部41の形状をナノ単位で安定して制御することができるので、
後述のように、多段溝や斜め溝の形成も可能であり、また深い溝の加工も容易で、基板の
形やサイズの点で汎用性が高い。
なお、上記の説明では、図4(b)に示すガラス基板4aの凹部41の成型においては
プレス成形を採用したが、かかるプレス成形に限定するものではなく、ウエットエッチン
グによって成形してもよい。この場合は、図4(b)における凹部41の形成がウエット
エッングによって行われることになる。また、サンドブラストによって成形してもよく、
この場合は、図4(b)における凹部41の形成がサンドブラストによって行われること
になる。
いずれの場合においても、図4(b)における凹部41の形成工程の後、図4(c)に
示すようにガラス基板4aの上面に導電膜42aを全面成膜し、図4(d)に示すように
研磨し、凹部41以外の表面の導電膜4aを除去する工程を経ることになる。
なお、ガラス電極4aの凹部41の成型においてはプレス成形が最も優れ、この場合は
多段溝や斜め溝が形成できる。次にウエットエッチングによる成形が優れ、その次にサン
ドブラストによる成形が優れるが、サンドブラストによる成形の場合は安価で大量成形が
可能である。いずれにせよ、上記の方法によって形成した凹部41の形状は、その形状に
沿って電極形状を構成することができるため、原理的に乗り上げ不良は発生せず、高密度
成形が可能である。
実施形態2.
図9は本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッドの縦断面図である。なお、図
2と同一部分には同じ符合を付し、説明を省略する。このインクジェットヘッド1は、電
極基板4に形成された凹部41の形状が異なる以外は、図2で示したインクジェットヘッ
ドと同様である。インクジェットヘッド1において、電極基板4とキャビティ基板2との
接合面には、各振動板23に対応した位置に、凹部41が形成されている。そして、振動
板23と個別電極42との間に、後端側から先端側に向かって、段階的に大きくなるギャ
ップG1、G2、G3が形成されて、電極基板4の凹部41の底面411が階段状となっ
ている。すなわち、凹部41は、その深さが異なる部分を有しており、その深さが長手方
向においてその一端から他端に向かって段階的に漸増し、多段構造を形成している。そし
て、個別電極42は凹部41の内壁全体に形成されているのでその側面412にも形成さ
れ、個別電極42の側面412の上端部はキャビティ基板2の底面と接触している。
このインクジェットヘッド1では、駆動電圧を印加したときに、振動板23は、ギャッ
プG1に対応する部分が、先ず個別電極42に吸引され、次に、ギャップG2に対応する
部分、その後に、ギャップG3に対応する部分が個別電極42に吸引される。このように
振動板23の各部分が段階的に個別電極42に吸引されることにより、微小なインク圧力
波動が発生し、インク小滴が分断して噴射される。これにより、駆動電圧の低減を図りつ
つ、十分な発生力を得ることができ、その結果、良好なインク吐出特性を得ることができ
る。
次に、本発明にかかるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。押し型(図
示せず)には、インクジェットヘッド1の、電極基板4に形成すべき階段状をなす凹部4
1に対応した凹凸パターンの反転パターンとして凹凸が形成されている。そして、この押
し型をプレス成形装置(図示せず)に搭載し、ガラス基板4aをプレス成形することによ
って電極基板4を製造する。次に、ガラス基板4aの上面に全面成膜した導電膜42aの
凹部41以外の部分の成膜面をCMPで研磨し、凹部41以外の部分の導電膜4aを除去
するようにした。
その他の作用、効果は、実施の形態1に示した場合と実質的に同様なので、説明は省略
する。
実施形態3.
図10は本発明の実施形態3にかかるインクジェットヘッドを幅方向に沿って切断した
状態の断面図である。なお、図2と同一部分には同じ符合を付し、説明を省略する。この
インクジェットヘッド1は、電極基板4に形成された凹部41の形状が異なる以外は、図
2で示したインクジェットヘッドと同様である。インクジェットヘッド1において、電極
基板4とキャビティ基板2との接合面には、各振動板23に対応した位置に、凹部41が
形成されている。そして、振動板23と個別電極42との間のギャップが、凹部41の幅
方向(振動板23の長手方向に直角な方向)において、一端部から中央部に向け大きくな
り、中央部から他端部へ向けほぼ一定となるように、凹部41の底面411が、傾斜面4
11aと平坦面411bとで構成されている。こうして、電極基板4の電極溝の内壁全体
に沿って電極を設け、個別電極42の上端部が電極基板4の上面と同一面になるようにし
てある。
このように、傾斜面411aを有する溝部に形成された個別電極42はその側面412
にも形成されており、個別電極42の上端部はキャビティ基板2の底面と接触しているの
で、斜めギャップを採用した側の当接開始点での実行ギャップが零となり、振動板23が
個別電極42に当接する電圧を下げ、低電圧駆動が可能となる。すなわち、駆動電圧を印
加したときに、振動板23の凹部41の傾斜面411aに対応する部分が、まず個別電極
42に吸引され、その後に、凹部41の平坦面411bに対応する部分が吸引される。こ
のように振動板23の各部分が段階的に個別電極42に吸引されるので、良好なインク吐
出特性を得ることができる。また、比較的低い駆動電圧で、振動板23の一端部が変位す
ることにより、振動板23の他端部の間隔が小さくなるので、全体として低い電圧で駆動
させることができる。
次に、本発明にかかるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。押し型(図
示せず)には、インクジェットヘッドの電極基板に形成すべき傾斜面および平坦面を有す
る凹部41の凹凸パターンの反転パターンとして凹凸が形成されている。そして、この押
し型をプレス成形装置(図示せず)に搭載し、ガラス基板4aをプレス成形することによ
って電極基板4を製造する。次に、ガラス基板4aの上面に全面成膜した導電膜42aの
凹部41以外の部分の成膜面をCMPで研磨し、凹部41以外の部分の導電膜4aを除去
する。
その他の作用、効果は、実施の形態1に示した場合と実質的に同様なので、説明は省略
する。
なお、上記の説明においては、幅方向の一方側にのみ斜めギャップを採用したが、これ
に限定するものではない。すなわち、斜めギャップは、長手方向、または長手方向に直交
する幅方向の少なくとも一カ所に設けることができる。
こうして、本実施の形態で製造された静電アクチュエータを例えばインクジェットヘッ
ドに適用した場合には、より優れたインク吐出特性が得られ、また、より低い駆動電圧で
駆動させることができる。
また、このような静電アクチュエータは、インクジェットプリンタ(図11)に限らず
、他の液滴吐出装置にも用いることができる。例えば、他の液滴吐出装置としては、プロ
テインチップやDNAチップの作製、有機EL製造装置や液晶表示装置のカラーフィルタ
の製造、インクジェット法による配線基板の作製などに用いるものが挙げられる。また、
かかる静電アクチュエータは、光スキャナなど、液滴吐出装置以外の装置にも用いること
ができる。
本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの分解斜視図。 図1の要部の縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドのシリコン基板の製造方法を説明するための縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドのガラス基板の製造方法を説明するための縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドの接合基板の製造方法を説明するための縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドの接合基板の製造方法を説明するための縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドの接合基板の製造方法を説明するための縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドの接合基板の製造方法を説明するための縦断面図。 本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッドの要部の縦断面図。 本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッドの要部の断面図。 本発明のインクジェットプリンタの斜視図。
符号の説明
1 インクジェットヘッド、2 キャビティ基板、2a シリコン基板、3 ノズル基
板、4 電極基板、4a ガラス基板、23 振動板、41 凹部(電極溝)、42 個
別電極(対向電極)、411 底面、412 側面、411a 傾斜面、411b 平坦
面。

Claims (14)

  1. 振動板を有する第1の基板と、電極溝を有し該電極溝に前記振動板とギャップを隔てて
    対向する対向電極が設けられた第2の基板とを備え、前記振動板と対向電極との間に電圧
    を印加することによりこれらの間に静電気力を発生させて、前記振動板を変位させる静電
    アクチュエータにおいて、
    前記第2の基板の電極溝の内壁全体に対向電極を設けたことを特徴とする静電アクチュ
    エータ。
  2. 前記電極溝が多段構造を持つことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ。
  3. 前記電極溝がその一部に傾斜部を有することを特徴とする請求項1記載の静電アクチュ
    エータ。
  4. 前記傾斜部が前記電極溝の長手方向及び幅方向の少なくとも一箇所に設けられたことを
    特徴とする請求項3記載の静電アクチュエータ。
  5. 振動板を有する第1の基板と、電極溝を有し該電極溝に前記振動板とギャップを隔てて
    対向する対向電極が設けられた第2の基板とを備え、前記振動板と対向電極との間に電圧
    を印加することにより、これらの間に静電気力を発生させて、前記振動板を変位させる静
    電アクチュエータの製造方法において、
    前記電極溝が形成された側の第2の基板面に電極部材を全面成膜し、前記電極溝以外に
    成膜された電極部材を研磨して除去することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法
  6. 前記電極溝をウエットエッチングを用いて形成したことを特徴とする請求項5記載の静
    電アクチュエータの製造方法。
  7. 前記電極溝をプレス成形を用いて形成したことを特徴とする請求項5記載の静電アクチ
    ュエータの製造方法。
  8. 前記電極溝をサンドブラストを用いて形成したことを特徴とする請求項5記載の静電ア
    クチュエータの製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエータを搭載したことを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して液滴吐出ヘ
    ッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 請求項9記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
  12. 請求項10記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを
    特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエータを搭載したことを特徴とするデバ
    イス。
  14. 請求項5〜8のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を適用してデバイスを
    製造することを特徴とするデバイスの製造方法。
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