JP2005081620A - インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

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克治 荒川
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Abstract

【課題】 キャビティ基板を薄板化する工程を短時間で行うことができ、薄板化の工程の後のエッチングを高精度に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 単結晶シリコンからなるキャビティ基板1と、電極が設けられる電極基板2を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、キャビティ基板1と電極基板2を接合し、キャビティ基板1を機械加工により薄板化した後に、機械加工によってキャビティ基板1に生じた加工変質層を除去するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置に関し、特に、単結晶シリコン基板を機械加工によって薄板化したときに生じる加工変質層の除去に関する。
従来のインクジェットヘッドの製造方法では、単結晶シリコン基板からなるキャビティと電極ガラス基板を接合した後に、キャビティを水酸化カリウム等でウェットエッチングして薄板化するものがあった(例えば、特許文献1参照)。このような製造方法により、複数の吐出室間に生じるクロストークを抑え、また比較的厚い単結晶シリコン基板からキャビティを作成して生産性を向上させるようにしていた。
また、単結晶シリコン基板からなるキャビティとガラス等からなる電極基板を接合した後に、キャビティをグラインダー等で研削して薄板化するインクジェットヘッドの製造方法は公知である。このような機械加工によるキャビティの薄板化によって、上記と同様にクロストークを抑え、生産性を向上させることができる。
さらに、この加工変質層をCMP(Chemical Mechanical Polishing)加工等で除去するインクジェットヘッドの製造方法も公知である。
特開平11−993号公報(図4)
従来のインクジェットヘッドの製造方法では(例えば、特許文献1参照)、単結晶シリコン基板からなるキャビティをウェットエッチングによって薄板化しているため、エッチング速度が遅く、薄板化の工程に長時間を要するという問題点があった。また、ウェットエッチングのエッチング量が多くなるため、振動板等の厚さを均一にするのが困難であり、更に、エッチングされる面の面荒れが大きくなるという問題点があった。
また従来から公知である、機械加工によるキャビティの薄板化を利用したインクジェットヘッドの製造方法では、単結晶シリコン基板のグラインダー等で研削した面に、結晶欠陥等を誘発する加工変質層が残るという問題点があった。この加工変質層は、機械加工後にウェットエッチングで吐出室等となる凹部をキャビティに形成する際に、本来エッチングされない部分がエッチングされてしまう、いわゆるアンダーカットを引き起こし、高精度のエッチングを阻害する原因となる。
さらに、加工変質層をCMP加工等で除去するインクジェットヘッドの製造方法では、加工装置が非常に高価であり、製造コストが高くなるという問題点があった。
また上記の問題点とは別に、キャビティに接合する電極基板がホウ珪酸ガラスである場合、キャビティに成膜するエッチングマスクを低温で成膜しなければならないため、エッチングマスクの密着性が低下し、エッチングの寸法精度が下がるという問題点があった。
本発明は、キャビティ基板を薄板化する工程を短時間で行うことができ、薄板化の工程の後のエッチングを高精度に行うことのできるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。また製造コストが低く、エッチングマスクの密着性の高いインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とする。さらに、上記のインクジェットヘッドの製造方法で得られたインクジェットヘッド並びにこのインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、単結晶シリコンからなるキャビティ基板と、電極が設けられる電極基板を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、キャビティ基板と電極基板を接合し、キャビティ基板を機械加工により薄板化した後に、機械加工によってキャビティ基板に生じた加工変質層を除去するものである。
キャビティ基板となる単結晶シリコンと、電極基板を接合した後にキャビティ基板を薄板化するため、単結晶シリコンのハンドリングが容易となりインクジェットヘッドの生産性が向上する。また薄板化により、複数の吐出室間の隔壁の剛性が高くなり、いわゆるクロストークの発生を抑制することができる。さらに薄板化の工程を、機械加工によって行うため、ウェットエッチングによる薄板化よりも短時間で行うことができる。また、機械加工によって生じた加工変質層を除去することにより、その後のエッチングにおけるアンダーカットの発生を抑制し、このエッチングを高精度に行うことができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を、ウェットエッチングによって除去するものである。
グラインダー等の研削によって生じた加工変質層を、水酸化カリウム水溶液等のウェットエッチングによって除去することにより、CMP加工等よりも容易かつ安価に加工変質層を除去することができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記のウェットエッチングが、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングであるものである。
水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングで加工変質層を除去するため、短時間で且つ容易に加工変質層を除去することができる。また、水酸化カリウムは安価なため、インクジェットヘッドの製造コストを低く抑えることができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を、ドライエッチングによって除去するものである。
グラインダー等の研削によって生じた加工変質層を、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)等のドライエッチングによって除去することにより、上記のウェットエッチングと同様に、CMP加工等よりも容易かつ安価に加工変質層を除去することができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を、キャビティ基板の機械加工を施した表面から10μm以上除去するものである。
以下に示すように、機械加工によって単結晶シリコンに生じる加工変質層の厚さは9μm程度であるため、キャビティ基板の機械加工を施した表面から10μm以上除去すればよい。これにより、エッチング寸法が安定することとなる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を除去した後に、キャビティ基板の機械加工を施した表面に、プラズマクリーニング処理を行うものである。
加工変質層を除去した後に、キャビティ基板の機械加工を施した表面に、プラズマクリーニング処理を行うことにより、加工変質層の除去された面の自然酸化膜や汚れが除去され、その後のエッチング時のエッチング寸法のバラツキを抑制することができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の電極基板が、ホウ珪酸ガラスからなるものである。
電極基板をホウ珪酸ガラスで形成することにより、単結晶シリコンからなるキャビティ基板と電極基板を陽極接合により容易に接合することができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を除去した後に、キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクが、プラズマCVDによって形成されるものである。
キャビティ基板に熱酸化ではなく、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着法)により、酸化膜や窒化膜等からなるエッチングマスクを形成すれば、高温のためにホウ珪酸ガラスからなる電極基板が溶解することがない。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、上記の加工変質層を除去した後に、キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクが、ECRスパッタによって形成されるものである。
キャビティ基板に熱酸化ではなく、ECR(Electron Cyclotron Resonance、電子サイクロトロン共鳴)スパッタによりエッチングマスクを形成すれば、プラズマCVDの場合と同様に、高温のためにホウ珪酸ガラスからなる電極基板が溶解することがない。また、平行平板タイプのスパッタ装置でなく、ECRスパッタ装置で酸化膜や窒化膜等を形成することにより、緻密なエッチングマスクを形成することができる。
また本発明に係るインクジェットヘッドの製造方法は、キャビティ基板となる単結晶シリコンの酸素含有量が、1.5×1018atom/cm3以下であるものである。
キャビティ基板となる単結晶シリコンに、酸素含有量が1.5×1018atom/cm3以下のものを使用することにより、単結晶シリコン中の結晶欠陥によるエッチング寸法精度の低下を抑えることができる。この場合、エッチング寸法精度が±3μm程度となる。
本発明に係るインクジェットヘッドは、上記のいずれかのインクジェットヘッドの製造方法で製造されたものである。
上記のいずれかのインクジェットヘッドの製造方法で製造されたものであるため、高精度に加工されており、安価で生産性の高いインクジェットヘッドである。
本発明に係るインクジェット記録装置は、上記のインクジェットヘッドを搭載したものである。
上記のインクジェットヘッドを搭載したものであるため、高精度の印字等が可能であり、安価で生産性の高いインクジェット記録装置である。
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドを示した図である。図1(a)は、このインクジェットヘッドの下面図、図1(b)は図1(a)のb−b線に沿った縦断面図、図1(c)は図1(a)のc−c線に沿った横断面図である。なお図1では、インクジェットヘッドの一例として静電駆動方式のものを示している。
図1に示すように本実施形態1のインクジェットヘッドは、単結晶シリコンからなるキャビティ基板1に、電極ガラス基板2及びノズル基板3を接合した構造となっている。本実施形態1では、電極ガラス基板2がキャビティ基板1の下面側に接合されており、ノズル基板3がキャビティ基板1の上面側に接合されたものとなっている。
ノズル基板3には複数のノズル穴4が開口しており、キャビティ基板1側には複数のオリフィス5となる凹部が形成されている。また、キャビティ基板1のノズル基板3側には、リザーバー6となる凹部及び複数の吐出室7となる凹部が形成されている。リザーバー6、オリフィス5、吐出室7は互いに連通しており、複数の吐出室7の各々にノズル穴4が1つずつ形成されるようになっている。またリザーバー6には、液滴供給穴8を介して外部からインク等の液滴が供給されるようになっている。
各々の吐出室7の底面部分は、電極ガラス基板2側に振動可能な振動板9となっている。図1(a)及び図1(b)に示すように、電極ガラス基板2のキャビティ基板1側には、各振動板8に対向する位置に細長い一定深さの溝10が形成されている。なお、吐出室7、振動板9も溝10に対応した細長い形状であり、オリフィス5は各吐出室7に対応して複数形成されている。この溝10の底面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる個別電極12が形成され、この個別電極12は一定の間隔で振動板9と対向している。個別電極12は、溝10の底面に沿って電極ガラス基板2の後端面13まで形成されており、その後端部分が外部配線接続用の電極取出し部14となっている。
図1に示すインクジェットヘッドの動作について説明する。まず、振動板9と個別電極12との間に電圧を印加し静電力を発生させ、振動板9を電極ガラス基板2側に変形させる。そして、その印加した電圧を除去した時に発生するバネ力による圧力でインク等の液滴をノズル穴4から吐出する。
図2、図3、図4及び図5は、図1に示すインクジェットヘッドの製造工程を示す縦断面図である。図2は、キャビティ基板1となる単結晶シリコンの加工の工程を示したものであり、図3は電極ガラス基板2となるホウ珪酸ガラスの加工の工程を示したものである。図4及び図5は、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を接合して、図1に示すインクジェットヘッドが完成するまでの工程を示している。
図2は、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を接合する前の、キャビティ基板1となる単結晶シリコンの加工の工程を示した縦断面図である。
まず、下面が研磨された単結晶シリコンからなるシリコン基板1aを準備する(図2(a))。このシリコン基板1aの厚さは、例えば、標準的な525μmのものである。次に、シリコン基板1aの下面に拡散板等を用いてボロンを高濃度に拡散し、ボロン拡散層9aを形成する(図2(b))。そして更に、シリコン基板1aの下面にプラズマCVD装置を用いて絶縁膜9bを形成する(図2(c))。以下に示すように、ボロン拡散層9aと絶縁膜9bの部分が振動板9となる。なお、図2(c)の状態ではキャビティ基板1は完成していないが、以後便宜上シリコン基板1aをキャビティ基板1と称する。
図3は、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を接合する前の、電極ガラス基板2となるホウ珪酸ガラスの加工の工程を示した縦断面図である。
まず、例えば厚さ1mmのホウ珪酸ガラスからなるガラス基板2aの上面に、クロム・金膜21をスパッタにより形成する(図3(a))。そして、クロム・金膜21をフォトリソグラフィーによりパターニングして、溝10に対応した形状のクロム・金膜21をエッチングにより除去する(図3(b))。次に、クロム・金膜21をエッチングマスクとして、フッ酸水溶液でガラス基板2aをエッチングして溝10を形成し(図3(c))、クロム・金膜21をエッチングによりすべて除去する(図3(d))。その後、ガラス基板2aの上面全体にITO膜12aをスパッタにより成膜する(図3(e))。そして、フォトリソグラフィーによって個別電極12の形状をパターニングして、個別電極12の部分以外のITO膜12aをエッチングで除去し個別電極12を形成する(図3(f))。最後に、液滴供給穴8となる部分8aをダイヤモンドドリルで穿孔して、電極ガラス基板2の部分が完成する(図3(g))。
図4は、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を接合し、図1に示すインクジェットヘッドが完成するまでの工程の途中までを示した図である。
まず、図2(c)の工程で得られたキャビティ基板1と、図3(g)の工程で得られた電極ガラス基板2を準備し(図4(a))、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を陽極接合して接合基板31を作成する(図4(b))。次に、キャビティ基板1の上面側をグラインダーにより機械的に研削し、キャビティ基板1の厚さを例えば150μmまで薄くする。そして、研削によって発生した加工変質層(後に詳述する)をエッチングによって除去する(図4(c))。
図6は、図4(c)の工程において、キャビティ基板1を機械的に研削したときにできる研削跡を示した図である。例えば、グラインダーが円板状であってダイヤモンドの微粒子を表面に付着させたものである場合には、図6に示すような中心から放物線を描く研削跡がキャビティ基板1の表面に形成される。なお、この研削跡は一般的に、キャビティ基板1の表面から0.1μm程度の高さであるため、加工変質層をエッチングによって除去した際に一緒に除去される。
図7は、図4(c)の工程において、キャビティ基板1を機械的に研削したときにできる加工変質層を示した図である。機械加工(研削)によって、キャビティ基板1の研削した側の表面に、図7に示すような結晶欠陥や結晶の歪みからなる加工変質層ができる。この加工変質層は、一般的に表面から9μm程度の深さまで形成される。この加工変質層は、異方性エッチングの際のエッチング速度が速く、またアンダーカットの原因となる。なお加工変質層の除去については、後に詳述する。
ここで図4の製造工程に戻り、図4(c)の工程で研削され、加工変質層が除去されたキャビティ基板1の上面に、CVD装置によってシリコン酸化膜32を、例えば厚さ1μmで形成する(図4(d))。なお、このシリコン酸化膜32の形成については、後に詳述する。次に、フォトリソグラフィーによって、シリコン酸化膜32の、吐出室7に対応する部分7a、リザーバー6に対応する部分6a及び電極取出し部14に対応する部分14aをパターニングして、エッチングにより除去する(図4(e))。なお、このときリザーバー6に対応する部分6aはすべて除去せず、ハーフエッチングする。
そして、35重量%、80℃の水酸化カリウム水溶液に接合基板31を浸し、吐出室7となる凹部及び電極取出し部14となる凹部を途中まで異方性エッチングする。続いて、リザーバー6に対応する部分6aに残ったシリコン酸化膜32をフッ酸水溶液で除去し、35重量%、80℃の水酸化カリウム水溶液で異方性エッチングを継続する。これにより、ボロン拡散層9aがエッチングストップ層となって、ボロン拡散層9a及び絶縁膜9bが振動板9となる。一方、エッチングのスタートを遅らせたリザーバー6となる凹部は、ボロン拡散層9aまでエッチングが進まず底部の単結晶シリコンを厚く残すことができる(図4(f))。そして、接合基板31をフッ酸水溶液に浸し、キャビティ基板1の上面に残ったシリコン酸化膜32をすべて除去する(図4(g))。なお図4(b)から図4(g)の工程では、溝10の部分が密閉されているため、水酸化カリウム水溶液等の処理液が入らず、インクジェットヘッドの駆動不良等を防止することができる。
図5は、図4(g)で得られた接合基板31からインクジェットヘッドが完成するまでの工程を示した図である。
まず、リザーバー6となる凹部のインク供給穴8に対応する部分33(図4(g)参照)に残った単結晶シリコンをダイヤモンドドリルで穿孔し、インク供給穴8を貫通させる。そして、電極取出し部14の上側に残るボロン拡散層9a及び絶縁膜9bをドライエッチングによって除去する(図5(a))。このとき、メタルマスクをエッチングマスクとして使用する。次に、封止剤34を溝10の開口部に塗布し溝10を密閉する(図5(b))。これにより、溝10にゴミ等が入って振動板9と個別電極12がショートしたり、振動板9の動作が阻害されるのを防止できる。そして、ノズル穴4、オリフィス5となる凹部等の形成されたノズル基板3を、接合基板31のキャビティ基板1側に接着する(図5(c))。最後に、ダイシングによってインクジェットヘッドを個別に切り出して、インクジェットヘッドが完成する(図5(d))。
図8は、加工変質層のエッチング量に応じた吐出室7の寸法精度を示す図である。加工変質層は、図4(c)の機械加工(研削)の際に発生したものであり、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチング又はCF4をエッチングガスとしたドライエッチングによって除去するものとする。このドライエッチングは、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)で行う。なお図8に示すデータは、ウェットエッチング及びドライエッチングのどちらの場合でも同様のものであり、図8では吐出室7の横幅(エッチング寸法)についての平均値及び分散値(σは分散で、図8では3σを示す)を示している。
図8に示すように、図4(c)の工程における加工変質層のエッチング量(除去量)が0であった場合、図4(f)における単結晶シリコンのウェットエッチングにおいて形成される吐出室7の横幅の平均値が107μm、3σが7μm程度となる。なお、ここでは吐出室7の目標寸法は102μmであり、目標精度(3σ)が3μmである。このように加工変質層を除去しなかった場合には、目標寸法から大きく外れ、目標精度よりもバラツキが大きくなることが分かる。しかし、加工変質層のエッチング量が大きくなるにつれて、吐出室7の横幅の平均値及び分散値が小さくなり、10μm以上のエッチング量になると、平均値が102μm、3σが2μm程度となって、ほぼ目標寸法、目標精度のエッチング寸法が得られることが分かる。従って、図4(c)の工程における加工変質層の除去は、キャビティ基板1の機械加工を施した表面から10μm以上行うのが望ましい。
なお、この加工変質層のエッチングによってキャビティ基板1の機械加工を施した表面が荒れてしまうが、この表面荒れの表面荒さ(凸凹の高さ)は1μm以下であるため、この程度の表面荒さでは図5(c)のノズル基板3の接着には問題ない。
また本実施形態1では、加工変質層を除去する際のウェットエッチングに水酸化カリウム水溶液を使用するものを示しているが、このエッチング液としてフッ酸系のエッチング液やTMAH(TetraMethyl Ammonium Hydroxide、水酸化テトラメチルアンモニウム)等の有機アルカリ系のエッチング液を使用してもよい。しかし、フッ酸系のエッチング液には、有害な窒素酸化物が発生するという問題点があり、有機アルカリ系のエッチング液はエッチング速度が遅いという問題点があるため、加工変質層のウェットエッチングには水酸化カリウム水溶液を使用するのが望ましい。
さらに、図4(f)のキャビティ基板1をウェットエッチングする工程においてエッチング精度を高めるには、図4(d)の工程において形成するエッチングマスクの密着性が重要となる。なお本実施形態1では、エッチングマスクとしてCVD装置によってシリコン酸化膜32を形成している。
エッチングマスクとして密着性に優れ、エッチングの寸法精度の高いものとして熱酸化膜がある。しかし、本実施形態1のように電極ガラス基板2がホウ珪酸ガラスである場合には、熱酸化膜の形成時に1000℃に近い高温での処理が必要なため、ホウ珪酸ガラスが溶解してしまうので使用できない。
従って、300〜400℃で成膜が可能なプラズマCVDによってシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を形成したり、室温で成膜が可能なスパッタ装置を用いてシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を形成したりする必要がある。但し、スパッタによってエッチングマスクを形成する場合、一般的な平行平板タイプのスパッタ装置でシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を形成すると、エッチングマスクの緻密性が低く、エッチングマスクとして使用できない。このため、スパッタでエッチングマスクを形成する場合には、ECR(Electoron Cyclotron Resonance、電子サイクロトロン共鳴)をプラズマ源とするスパッタ装置を使用するのが望ましい。ECRスパッタ装置を用いることにより、緻密性が高いエッチングマスクを得ることができる。なお、ECRスパッタ装置等のスパッタによってエッチングマスクを成膜する場合には、一般的に成膜速度が低いため、耐エッチング性が高く薄い膜圧でも水酸化カリウム水溶液等のエッチングに耐えられるシリコン窒化膜を成膜するのが望ましい。
上記のプラズマCVD又はECRスパッタによるエッチングマスクの成膜方法は、エッチングマスクの密着性が低い場合、単結晶シリコンのエッチング寸法精度がバラツキやすい。このため、エッチングマスクの密着性を確保するために、エッチングマスクの成膜前のキャビティ基板1表面の清浄度が重要となる。従って、図4(d)のエッチングマスクを成膜する工程の前に、硫酸過水溶液、アンモニア過水溶液等で精密洗浄を行い、更に成膜直前にアルゴンプラズマ、酸素プラズ等によるプラズマクリーニング処理を行うことが望ましい。このとき、プラズマCVD装置、ECRスパッタ装置のプラズマ発生機能を利用することができる。これにより、単結晶シリコン表面の自然酸化膜や埃等が除去され、清浄度が一段と向上する。
一方、図4(f)のウェットエッチングの際に、キャビティ基板1の寸法精度がばらつく原因として、単結晶シリコン中の溶存酸素に起因する結晶欠陥が挙げられる。この単結晶シリコン中の酸素含有量は低いほうが良く、インクジェットヘッドの吐出性能を確保するために上記のエッチング寸法の分散値(3σ)を±3μmにするためには、1.5×1018atom/cm3以下であることが望ましい。このような単結晶シリコンを使用すれば、結晶欠陥による横方向のエッチング(サイドエッチング)量が安定し、キャビティ基板1の寸法精度が向上する。更に高精度のインクジェットヘッドを得るには、更に酸素含有量の低い単結晶シリコンを使用することが望ましい。
本実施形態1では、キャビティ基板1の薄板化の工程を、機械加工によって行うため、ウェットエッチングによる薄板化よりも短時間で行うことができる。また、機械加工によって生じた加工変質層を除去することにより、その後のエッチングにおけるアンダーカットの発生を抑制し、このエッチングを高精度に行うことができる。また、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチング等により加工変質層を除去するため、CMP加工等よりも容易かつ安価に加工変質層を除去することができる。さらに、図4(d)の工程においてプラズマCVD又はECRスパッタでエッチングマスクを成膜し、図4(f)の工程の前にプラズマクリーニング処理を行っているため、密着性の高いエッチングマスクを形成し、エッチング時のエッチング寸法のバラツキを抑制することができる。また、高温のためにホウ珪酸ガラスからなる電極ガラス基板2が溶解することがない。
なお本実施形態1では、電極ガラス基板2がホウ珪酸ガラスであるものを示したが、電極ガラス基板2の代わりに単結晶シリコン等からなる電極基板を、接着剤や直接接合によりキャビティ基板1に接合してもよい。また、本実施形態1のインクジェットヘッドは静電駆動方式のものであるが、この製造方法を圧電方式のインクジェットヘッドにも応用することができる。
実施形態2.
図9は、本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置の例を示した図である。図9に示されるインクジェット記録装置100は、インクジェットプリンタであり、実施形態1の製造方法で得られたインクジェットヘッドを搭載している。実施形態1のインクジェットヘッドの製造方法で得られるインクジェットヘッドは、高精度に加工されており、安価で生産性の高いインクジェットヘッドであるため、本実施形態2のインクジェット記録装置100は、高精度の印字等が可能であり、安価で生産性の高いインクジェット記録装置である。
本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの製造方法で得られたインクジェットヘッドは、図9に示すようなインクジェットプリンタの他に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造や、液晶表示装置のカラーフィルタの製造、DNAデバイスの製造等に使用することもできる。
本実施形態1のインクジェットヘッドの製造方法は、静電アクチュエータを用いたミラーデバイス等のMEMS(Micro Electro Mechanical System、微小電子機械システム)デバイスの製造にも応用することができる。
本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドを示した図。 キャビティ基板となる単結晶シリコンの加工の工程を示した縦断面図。 電極ガラス基板となるホウ珪酸ガラスの加工の工程を示した縦断面図。 図1に示すインクジェットヘッドが完成するまでの工程の途中までを示した図。 接合基板からインクジェットヘッドが完成するまでの工程を示した図。 キャビティ基板を機械的に研削したときにできる研削跡を示した図。 キャビティ基板を機械的に研削したときにできる加工変質層を示した図。 加工変質層のエッチング量に応じた吐出室の寸法精度を示す図。 本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置の例を示した図。
符号の説明
1 キャビティ基板、2 電極ガラス基板、3 ノズル基板、4 ノズル穴、5 オリフィス、6 リザーバー、7 吐出室、8 液滴供給穴、9 振動板、10 溝、12 個別電極、13 後端面、14 電極取出し部、100 インクジェット記録装置。

Claims (12)

  1. 単結晶シリコンからなるキャビティ基板と、電極が設けられる電極基板を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記キャビティ基板と前記電極基板を接合し、前記キャビティ基板を機械加工により薄板化した後に、前記機械加工によって前記キャビティ基板に生じた加工変質層を除去することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 前記加工変質層を、ウェットエッチングによって除去することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 前記ウェットエッチングが、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記加工変質層を、ドライエッチングによって除去することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 前記加工変質層を、前記キャビティ基板の機械加工を施した表面から10μm以上除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板の機械加工を施した表面に、プラズマクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記電極基板が、ホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクは、プラズマCVDによって形成されることを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクは、ECRスパッタによって形成されることを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  10. 前記キャビティ基板となる単結晶シリコンの酸素含有量が、1.5×1018atom/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法で製造されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  12. 請求項11記載のインクジェットヘッドを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
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