JP2005081620A - インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 単結晶シリコンからなるキャビティ基板1と、電極が設けられる電極基板2を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、キャビティ基板1と電極基板2を接合し、キャビティ基板1を機械加工により薄板化した後に、機械加工によってキャビティ基板1に生じた加工変質層を除去するものである。
【選択図】 図1
Description
さらに、この加工変質層をCMP(Chemical Mechanical Polishing)加工等で除去するインクジェットヘッドの製造方法も公知である。
さらに、加工変質層をCMP加工等で除去するインクジェットヘッドの製造方法では、加工装置が非常に高価であり、製造コストが高くなるという問題点があった。
キャビティ基板となる単結晶シリコンと、電極基板を接合した後にキャビティ基板を薄板化するため、単結晶シリコンのハンドリングが容易となりインクジェットヘッドの生産性が向上する。また薄板化により、複数の吐出室間の隔壁の剛性が高くなり、いわゆるクロストークの発生を抑制することができる。さらに薄板化の工程を、機械加工によって行うため、ウェットエッチングによる薄板化よりも短時間で行うことができる。また、機械加工によって生じた加工変質層を除去することにより、その後のエッチングにおけるアンダーカットの発生を抑制し、このエッチングを高精度に行うことができる。
グラインダー等の研削によって生じた加工変質層を、水酸化カリウム水溶液等のウェットエッチングによって除去することにより、CMP加工等よりも容易かつ安価に加工変質層を除去することができる。
水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングで加工変質層を除去するため、短時間で且つ容易に加工変質層を除去することができる。また、水酸化カリウムは安価なため、インクジェットヘッドの製造コストを低く抑えることができる。
グラインダー等の研削によって生じた加工変質層を、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)等のドライエッチングによって除去することにより、上記のウェットエッチングと同様に、CMP加工等よりも容易かつ安価に加工変質層を除去することができる。
以下に示すように、機械加工によって単結晶シリコンに生じる加工変質層の厚さは9μm程度であるため、キャビティ基板の機械加工を施した表面から10μm以上除去すればよい。これにより、エッチング寸法が安定することとなる。
加工変質層を除去した後に、キャビティ基板の機械加工を施した表面に、プラズマクリーニング処理を行うことにより、加工変質層の除去された面の自然酸化膜や汚れが除去され、その後のエッチング時のエッチング寸法のバラツキを抑制することができる。
電極基板をホウ珪酸ガラスで形成することにより、単結晶シリコンからなるキャビティ基板と電極基板を陽極接合により容易に接合することができる。
キャビティ基板に熱酸化ではなく、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学蒸着法)により、酸化膜や窒化膜等からなるエッチングマスクを形成すれば、高温のためにホウ珪酸ガラスからなる電極基板が溶解することがない。
キャビティ基板に熱酸化ではなく、ECR(Electron Cyclotron Resonance、電子サイクロトロン共鳴)スパッタによりエッチングマスクを形成すれば、プラズマCVDの場合と同様に、高温のためにホウ珪酸ガラスからなる電極基板が溶解することがない。また、平行平板タイプのスパッタ装置でなく、ECRスパッタ装置で酸化膜や窒化膜等を形成することにより、緻密なエッチングマスクを形成することができる。
キャビティ基板となる単結晶シリコンに、酸素含有量が1.5×1018atom/cm3以下のものを使用することにより、単結晶シリコン中の結晶欠陥によるエッチング寸法精度の低下を抑えることができる。この場合、エッチング寸法精度が±3μm程度となる。
上記のいずれかのインクジェットヘッドの製造方法で製造されたものであるため、高精度に加工されており、安価で生産性の高いインクジェットヘッドである。
上記のインクジェットヘッドを搭載したものであるため、高精度の印字等が可能であり、安価で生産性の高いインクジェット記録装置である。
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドを示した図である。図1(a)は、このインクジェットヘッドの下面図、図1(b)は図1(a)のb−b線に沿った縦断面図、図1(c)は図1(a)のc−c線に沿った横断面図である。なお図1では、インクジェットヘッドの一例として静電駆動方式のものを示している。
図1に示すように本実施形態1のインクジェットヘッドは、単結晶シリコンからなるキャビティ基板1に、電極ガラス基板2及びノズル基板3を接合した構造となっている。本実施形態1では、電極ガラス基板2がキャビティ基板1の下面側に接合されており、ノズル基板3がキャビティ基板1の上面側に接合されたものとなっている。
まず、下面が研磨された単結晶シリコンからなるシリコン基板1aを準備する(図2(a))。このシリコン基板1aの厚さは、例えば、標準的な525μmのものである。次に、シリコン基板1aの下面に拡散板等を用いてボロンを高濃度に拡散し、ボロン拡散層9aを形成する(図2(b))。そして更に、シリコン基板1aの下面にプラズマCVD装置を用いて絶縁膜9bを形成する(図2(c))。以下に示すように、ボロン拡散層9aと絶縁膜9bの部分が振動板9となる。なお、図2(c)の状態ではキャビティ基板1は完成していないが、以後便宜上シリコン基板1aをキャビティ基板1と称する。
まず、例えば厚さ1mmのホウ珪酸ガラスからなるガラス基板2aの上面に、クロム・金膜21をスパッタにより形成する(図3(a))。そして、クロム・金膜21をフォトリソグラフィーによりパターニングして、溝10に対応した形状のクロム・金膜21をエッチングにより除去する(図3(b))。次に、クロム・金膜21をエッチングマスクとして、フッ酸水溶液でガラス基板2aをエッチングして溝10を形成し(図3(c))、クロム・金膜21をエッチングによりすべて除去する(図3(d))。その後、ガラス基板2aの上面全体にITO膜12aをスパッタにより成膜する(図3(e))。そして、フォトリソグラフィーによって個別電極12の形状をパターニングして、個別電極12の部分以外のITO膜12aをエッチングで除去し個別電極12を形成する(図3(f))。最後に、液滴供給穴8となる部分8aをダイヤモンドドリルで穿孔して、電極ガラス基板2の部分が完成する(図3(g))。
まず、図2(c)の工程で得られたキャビティ基板1と、図3(g)の工程で得られた電極ガラス基板2を準備し(図4(a))、キャビティ基板1と電極ガラス基板2を陽極接合して接合基板31を作成する(図4(b))。次に、キャビティ基板1の上面側をグラインダーにより機械的に研削し、キャビティ基板1の厚さを例えば150μmまで薄くする。そして、研削によって発生した加工変質層(後に詳述する)をエッチングによって除去する(図4(c))。
まず、リザーバー6となる凹部のインク供給穴8に対応する部分33(図4(g)参照)に残った単結晶シリコンをダイヤモンドドリルで穿孔し、インク供給穴8を貫通させる。そして、電極取出し部14の上側に残るボロン拡散層9a及び絶縁膜9bをドライエッチングによって除去する(図5(a))。このとき、メタルマスクをエッチングマスクとして使用する。次に、封止剤34を溝10の開口部に塗布し溝10を密閉する(図5(b))。これにより、溝10にゴミ等が入って振動板9と個別電極12がショートしたり、振動板9の動作が阻害されるのを防止できる。そして、ノズル穴4、オリフィス5となる凹部等の形成されたノズル基板3を、接合基板31のキャビティ基板1側に接着する(図5(c))。最後に、ダイシングによってインクジェットヘッドを個別に切り出して、インクジェットヘッドが完成する(図5(d))。
また本実施形態1では、加工変質層を除去する際のウェットエッチングに水酸化カリウム水溶液を使用するものを示しているが、このエッチング液としてフッ酸系のエッチング液やTMAH(TetraMethyl Ammonium Hydroxide、水酸化テトラメチルアンモニウム)等の有機アルカリ系のエッチング液を使用してもよい。しかし、フッ酸系のエッチング液には、有害な窒素酸化物が発生するという問題点があり、有機アルカリ系のエッチング液はエッチング速度が遅いという問題点があるため、加工変質層のウェットエッチングには水酸化カリウム水溶液を使用するのが望ましい。
エッチングマスクとして密着性に優れ、エッチングの寸法精度の高いものとして熱酸化膜がある。しかし、本実施形態1のように電極ガラス基板2がホウ珪酸ガラスである場合には、熱酸化膜の形成時に1000℃に近い高温での処理が必要なため、ホウ珪酸ガラスが溶解してしまうので使用できない。
図9は、本発明の実施形態2に係るインクジェット記録装置の例を示した図である。図9に示されるインクジェット記録装置100は、インクジェットプリンタであり、実施形態1の製造方法で得られたインクジェットヘッドを搭載している。実施形態1のインクジェットヘッドの製造方法で得られるインクジェットヘッドは、高精度に加工されており、安価で生産性の高いインクジェットヘッドであるため、本実施形態2のインクジェット記録装置100は、高精度の印字等が可能であり、安価で生産性の高いインクジェット記録装置である。
Claims (12)
- 単結晶シリコンからなるキャビティ基板と、電極が設けられる電極基板を備えたインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記キャビティ基板と前記電極基板を接合し、前記キャビティ基板を機械加工により薄板化した後に、前記機械加工によって前記キャビティ基板に生じた加工変質層を除去することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記加工変質層を、ウェットエッチングによって除去することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記ウェットエッチングが、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記加工変質層を、ドライエッチングによって除去することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記加工変質層を、前記キャビティ基板の機械加工を施した表面から10μm以上除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板の機械加工を施した表面に、プラズマクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記電極基板が、ホウ珪酸ガラスからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクは、プラズマCVDによって形成されることを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記加工変質層を除去した後に、前記キャビティ基板にエッチングマスクを形成し、該エッチングマスクは、ECRスパッタによって形成されることを特徴とする請求項7記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記キャビティ基板となる単結晶シリコンの酸素含有量が、1.5×1018atom/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法で製造されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項11記載のインクジェットヘッドを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003314302A JP2005081620A (ja) | 2003-09-05 | 2003-09-05 | インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットヘッド並びにインクジェット記録装置 |
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JP (1) | JP2005081620A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7686432B2 (en) | 2006-01-20 | 2010-03-30 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Inkjet printer head and fabricating method thereof |
-
2003
- 2003-09-05 JP JP2003314302A patent/JP2005081620A/ja active Pending
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