JP2010143189A - 静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置 - Google Patents

静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】きわめて簡単な構成により静電駆動方式における残留電荷を消失させることができる静電アクチュエーターおよびその製造方法等を提供する。
【解決手段】電極基板3上に形成された個別電極5と、個別電極5に対して所定のギャップを介して対向配置された振動板6と、個別電極5上に形成された絶縁膜7と、絶縁膜7上に表面保護膜として形成されたDLC膜8とを備え、DLC膜8と個別電極5とを、絶縁膜7を貫通する導通部9により導通させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電駆動方式のインクジェットヘッド等に用いられる静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置に関する。
ノズル孔から液滴を吐出する液滴吐出ヘッドには、アクチュエーターの駆動方式として、静電気力を利用したものがある。以下、この駆動方式によるアクチュエーターを「静電アクチュエーター」と称するものとする。
例えば、液滴吐出ヘッドの代表例であるインクジェットヘッドの静電アクチュエーターは、一般に、ガラス等の基板上に形成された個別電極(固定電極)と、この個別電極に所定のギャップ(空隙)を介して対向配置されたシリコン製の振動板(可動電極)と、振動板と個別電極との間に静電気力を発生させて、振動板に変位を生じさせる駆動手段とを備えている。そして、インク流路中に形成された吐出室の底壁で構成される振動板を静電気力で振動させることにより、インク滴をノズル孔より記録紙に向けて吐出・着弾させて印字等が行われる。
近年、インクジェットヘッドに対して、印字、画質等の高品位化、高精細化の要求が強まり、そのため、ノズル径はますます微小化の傾向にあり、それに伴い静電アクチュエーターも微小化の傾向を強めている。従って、このような微小径のノズル孔を有するインクジェットヘッドでは、インク滴の吐出を可能にするために、静電アクチュエーターの駆動電圧を高くする必要がある。静電アクチュエーターはギャップを隔てて対向する振動板と個別電極の間に電界をかけ、静電気力により振動板を個別電極側に吸引、当接(接触)させて行うが、高電圧駆動における駆動耐久性の向上に応えるための課題として、接触による帯電(残留電荷)の回避があげられる。すなわち、振動板は当接・離脱を繰り返すことにより、当接する最表面の絶縁膜に残留電荷が発生する。残留電荷とは、振動板が個別電極側に接触したときに、そこに挟まれる保護膜(絶縁膜)の表面、または内部に電荷が残留する現象である。そのため、残留電荷が大きくなると、駆動電圧を解除しても、振動板が個別電極側に貼り付いたまま離れないといった機能障害が発生することがある。
このような残留電荷の抑制手段として、例えば、特許文献1では、振動板の対向面に絶縁膜を形成し、この絶縁膜が形成された振動板および固定電極(対向電極)の対向面の一方または両方にダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素系硬質膜からなる表面保護膜を形成し、これによって絶縁膜の摩耗防止や残留電荷の抑制をすることにしている。
また、特許文献2では、個別電極を被覆する電極保護膜上に中間電極を配置することにより、残留電荷を抑制することにしている。
特開2007−136856号公報 特開2002−321357号公報
特許文献1では、可動電極、固定電極の両電極の最表面を同材質(シリコン酸化膜あるいはダイヤモンドライクカーボン等の硬質膜)にしているので、接触帯電(残留電荷)を減少させることはできるものの、接触帯電を完全に防止することができない場合がある。例えば、駆動電圧を従来以上に高くすると、振動板が貼り付いたまま離れないことがあった。その原因は、残留電荷を逃がす、もしくは消失させる手段が講じられていないことにある。
一方、特許文献2に開示するような中間電極を電極保護膜上に設けることにより、残留電荷を消失させる構成では、中間電極の接地回路と個別電極の電圧印加回路の構成が複雑になるだけでなく、凸状の中間電極が振動板との間に介在するため、振動板変位のバラツキが大きく、吐出特性の安定性が損なわれるという課題がある。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、きわめて簡単な構成により静電駆動方式における残留電荷を消失させることができる静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置を提供することを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエーターは、基板上に形成された固定電極と、固定電極に対して所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、固定電極と可動電極との間に静電気力を発生させて、可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエーターにおいて、
固定電極上に形成された絶縁膜と、
絶縁膜上に表面保護膜として形成されたダイヤモンドライクカーボン膜とを備え、
ダイヤモンドライクカーボン膜と固定電極とが、絶縁膜を貫通する導通部により導通しているものである。
このように構成することにより、導通部及び固定電極を経て残留電荷をアースに落とすことができるため、残留電荷を完全に消失させることができ、駆動耐久性に優れた静電アクチュエーターを実現することができる。
また、ダイヤモンドライクカーボン膜は、体積抵抗率が低い膜とするものである。最表面のダイヤモンドライクカーボン膜の体積抵抗率を低くすることで、導通性(電導性)が向上し、静電アクチュエーターの動作速度を上げることが可能となる。
また、導通部は、ダイヤモンドライクカーボン膜と同じ材料で形成されていることが望ましい。製造プロセスが簡易になり、コスト削減につながる。
また、導通部は、固定電極の可動電極に対向する部分より外れた部位の絶縁膜に設けられていることが望ましい。
つまり、可動電極の変位部分より外れた部位における固定電極上の絶縁膜に導通部を設けることで、この部分がたとえ凸状に変形した場合でも可動電極の変位に影響を与えることがなく、安定した変位を確保することができる。
また、可動電極の対向面に、固定電極側と同じダイヤモンドライクカーボン膜が表面保護膜として形成されていることが望ましい。
これにより、同じダイヤモンドライクカーボン膜どうしの接離・離脱となるので、安定した駆動が可能となる。
本発明に係る静電アクチュエーターの製造方法は、基板上に形成された固定電極と、固定電極に対して所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、固定電極と可動電極との間に静電気力を発生させて、可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエーターの製造方法において、
固定電極上に絶縁膜を形成する工程と、
絶縁膜を貫通する導通部形成用のホールを絶縁膜に形成する工程と、
絶縁膜上に表面保護膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、ホール内にダイヤモンドライクカーボン膜を充填することによって、ダイヤモンドライクカーボン膜と固定電極とを導通させる導通部を形成する工程と、
を有するものである。
この製造方法により、きわめて簡単な構成による残留電荷消失構造の静電アクチュエーターを安価に製造することができる。
また、本発明の静電アクチュエーターの製造方法においては、ダイヤモンドライクカーボン膜は、RF−CVD法により成膜し、成膜の際にRF出力を高くすることにより、体積抵抗率を低くするものである。
従って、所定の低い体積抵抗率を有するダイヤモンドライクカーボン膜を簡単に成膜することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記のいずれかの静電アクチュエーターを搭載したものである。
従って、駆動耐久性に優れ、高電圧駆動が可能な液滴吐出ヘッドが得られる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記のいずれかの静電アクチュエーターの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。
従って、駆動耐久性に優れ、高電圧駆動が可能な液滴吐出ヘッドを低コストで製造することができる。
本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
従って、駆動耐久性に優れ、高電圧駆動が可能な液滴吐出装置を安価に提供することができる。
以下、本発明を適用した静電アクチュエーターを備える液滴吐出ヘッドの実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、ノズル基板の表面に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するフェイス吐出型の静電駆動方式のインクジェットヘッドについて図1から図4を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、吐出室とリザーバー部が別々の基板に設けられた4枚の基板を積層した4層構造のものや、基板の端部に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するエッジ吐出型の液滴吐出ヘッドにも同様に適用することができるものである。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は組立状態における図1の略右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のインクジェットヘッドの上面図、図4は図2のA−A拡大断面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
本実施の形態1に係るインクジェットヘッド10は、図1から図4に示すように、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティー基板2と、キャビティー基板2に設けられた振動板6に対峙して個別電極5が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
インクジェットヘッド10のノズル孔11ごとに設けられる静電アクチュエーター4は、図2、図4に示すように、固定電極として、ガラス製の電極基板3の凹部32内に形成された個別電極5と、可動電極として、シリコン製のキャビティー基板2の吐出室21の底壁で構成され、個別電極5に所定のギャップ(空隙)Gを介して対向配置される振動板6とを備えている。
ここで、個別電極5上には、絶縁膜7として、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)が形成される。さらに、この絶縁膜7上には、表面保護膜として、体積抵抗率の低いダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜と記す)8が形成されている。DLC膜8は、下地絶縁膜7であるSiO2膜との密着性が良く、また表面は平滑で低摩擦係数を有するため、表面保護膜として適している。なお、DLC膜8の体積抵抗率は1×1010Ωcm以下としている。さらに、絶縁膜7を貫通する導通部9が設けられ、導通部9によってDLC膜8と個別電極5とが接続され導通している。導通部9は絶縁膜7を貫通するホール9aを形成し、ホール9aの内部をDLC膜8と同じ材料で充填することにより形成されている。また、導通部9は個別電極5の振動板6に対向する部分、すなわち電極部5aより外れた部位、主にリード部5b上の絶縁膜7に設けられている。導通部9を電極部5aより外れた部位に設けることにより、DLC膜8が部分的に凸状に変形した場合であっても振動板6の変位の障害となることがなく、バラツキのない安定した変位が得られる。なお、導通部9はDLC膜8と個別電極5とを導通するものであれば良く、形状、材料、個数等は問われない。
振動板6の対向面側、すなわちキャビティー基板2の電極基板3と接合する側の接合面全面には、静電アクチュエーター4の絶縁破壊や短絡等を防ぐために、例えばシリコンの熱酸化膜からなる絶縁膜26が形成されている。さらに、振動板6の対向面の絶縁膜26上のみに個別電極5側と同じDLC膜27が表面保護膜として形成されている。これにより、振動板6側と個別電極5側とが同じ材質のDLC膜27、8どうしで当接・離脱を行うため、絶縁膜や表面保護膜の摩耗が減少し、静電アクチュエーター4の駆動耐久性が向上する。
個別電極5は、一般に透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)により形成されるが、特にこれに限定されるものではない。IZO(Indium Zinc Oxide)の透明電極、あるいはAu、Al等の金属等でもかまわない。
この個別電極5の端子部5cとキャビティー基板2上に設けられた共通電極28とに、図4に簡略化して示すように、静電アクチュエーター4の駆動手段として、ドライバーICなどの駆動制御回路40がFPCを介して配線接続される。
ノズル基板1は、例えばシリコン基板から作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、吐出の直進性を確保するため、例えば径の異なる2段の同軸円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわち径の小さい噴射口部分11aとこれよりも径の大きい導入口部分11bとから構成されている。噴射口部分11aおよび導入口部分11bは基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられており、噴射口部分11aは先端がノズル基板1の表面(インク吐出面)に開口し、導入口部分11bはノズル基板1の裏面(キャビティー基板2との接合面側)に開口している。
また、ノズル基板1には、キャビティー基板2の吐出室21とリザーバー23とを連通するオリフィス12とリザーバー23部の圧力変動を補償するためのダイヤフラム部13が形成されている。
電極基板3に接合されるキャビティー基板2は、例えば面方位が(110)の単結晶シリコン基板から作製されている。キャビティー基板2には、インク流路に設けられる吐出室21となる凹部22、およびリザーバー23となる凹部24がエッチングにより形成されている。凹部22はノズル孔11に対応する位置に独立に複数形成される。したがって、図2に示すようにノズル基板1とキャビティー基板2を接合した際、各凹部22は吐出室21を構成し、それぞれノズル孔11に連通しており、またインク供給口であるオリフィス12ともそれぞれ連通している。そして、吐出室21(凹部22)の底部が振動板6となっている。また、この振動板6は、シリコン基板の表面に高濃度のボロン(B)を拡散させたボロン拡散層により形成されており、ボロン拡散層の厚さを振動板6の厚さと同じにするものである。これは、アルカリによる異方性ウェットエッチングにより、吐出室21を形成する際に、ボロン拡散層が露出した時点でエッチングレートが極端に小さくなるため、いわゆるエッチングストップ技術により振動板6を所望の厚さに精度よく形成することができるからである。
凹部24は、インク等の液状材料を貯留するためのものであり、各吐出室21に共通のリザーバー(共通インク室)23を構成する。そして、リザーバー23(凹部24)はそれぞれオリフィス12を介して全ての吐出室21に連通している。また、リザーバー23の底部には電極基板3を貫通する孔が設けられ、この孔のインク供給孔33を通じて図示しないインクカートリッジからインクが供給されるようになっている。
電極基板3は、ガラス基板から作製される。中でも、キャビティー基板2のシリコン基板と熱膨張係数の近いホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いるのが適している。これは、電極基板3とキャビティー基板2を陽極接合する際、両基板の熱膨張係数が近いため、電極基板3とキャビティー基板2との間に生じる応力を低減することができ、その結果剥離等の問題を生じることなく電極基板3とキャビティー基板2を強固に接合することができるからである。
以上のように作製された電極基板3とキャビティー基板2とを陽極接合し、その上にノズル基板1を接着接合することにより、図2に示すようにインクジェットヘッド10の本体部が完成する。その後、FPCを用いて駆動制御回路40を各個別電極5と共通電極28とに配線接続する。さらに、電極取り出し部(FRP実装部ともいう)34における静電アクチュエーター4の外部連通部にエポキシ系樹脂等の封止材35を塗布するなどして気密に封止する。これにより、湿気や異物等が静電アクチュエーター4のギャップ内へ侵入するのを確実に防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性が向上する。
ここで、インクジェットヘッド10の動作について説明する。任意のノズル孔11よりインク滴を吐出させるためには、そのノズル孔11に対応する静電アクチュエーター4を以下のように駆動する。
駆動制御回路40により当該個別電極5と共通電極である振動板6間にパルス電圧を印加する。パルス電圧の印加によって発生する静電気力により振動板6が個別電極5側に引き寄せられて当接し、吐出室21内に負圧を発生させ、リザーバー23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板6は個別電極5から離脱して、その時の振動板6の復元力によりインクを当該ノズル孔11から押出し、インク滴を吐出する。
本実施の形態の静電アクチュエーター4は、個別電極5上に絶縁膜7が形成され、さらにその上に体積抵抗率の低いDLC膜8が形成され、しかも個別電極5とDLC膜8とが絶縁膜7を貫通する導通部9によって導通しているので、接触帯電による残留電荷を導通部9を通じて個別電極5よりアースへ落とすことができるため、きわめて簡単な構成で残留電荷を完全に消失させることができる。従って、静電アクチュエーター4の高電圧駆動が可能となり、かつ駆動耐久性が向上する。
また、導通部9は個別電極5の振動板6に対向する部分、すなわち電極部5aより外れた部位に設けられているので、振動板6の変位がバラツキのない安定したものとなる。
なお、本実施の形態では、個別電極5上の絶縁膜7をシリコン酸化膜としたが、その他には、Al23やHfO2等のいわゆるHigh−k材を用いても良い。High−k材は比誘電率がSiO2よりも大きいため、アクチュエーター発生圧力を高めることができ、高電圧駆動に資するとともに、更なる高密度化が可能となる。
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、実施の形態1に係るインクジェットヘッド10の製造方法の一例について、図5から図7を参照して説明する。
図5は実施の形態1に係るインクジェットヘッド10の電極基板の製造工程を示す部分断面図であり、ウエハ状のガラス基板に複数個作製されるもののうちの一部分を断面であらわしたものである。図6及び図7は実施の形態1に係るインクジェットヘッド10の製造工程の部分断面図で、シリコンウエハのある部分の断面をあらわしたものである。なお、以下に記載する基板の厚み、膜厚、エッチング深さ等についての数値はその一例を示すもので、これに限定されるものではない。
はじめに、実施の形態1に係る電極基板3の製造方法について説明する。
(a)ホウ珪酸ガラス等からなる板厚約1mmのガラス基板300に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより所望の深さの凹部32を形成する。なお、この凹部32は個別電極5の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極5ごとに複数形成される。
そして、例えば、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)膜を100nmの厚さで形成し、このITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングして個別電極5となる部分以外をエッチング除去することにより、凹部32の内部に個別電極5を形成する(図5(a))。
(b)次に、個別電極5上の絶縁膜7として、ガラス基板300の接合面側の表面全体に、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン)を原料ガスとして用いたRF−CVD(Chemical Vapor Deposition)法(TEOS−CVD法ともいう)によりSiO2膜を30nmの厚さで形成する(図5(b))。
(c)次に、このSiO2膜をフォトリソグラフィーによりパターニングし、CHF3ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)ドライエッチングにより、SiO2膜の絶縁膜7を貫通するホール9aを形成する(図5(c))。
(d)次に、このSiO2膜上に、トルエンを原料ガスとして用いたRF−CVD法により、表面保護膜として、体積抵抗率が低いDLC膜8を10nmの厚さで全面成膜する(図5(d))。このとき、RF出力を高くして成膜することで、体積抵抗率が例えば1×1010Ωcm以下のように低いDLC膜8を成膜することができる。また、SiO2膜に設けたホール9a内にも同じ材料のDLCが充填され、DLC膜8を個別電極5に導通する導通部9が形成される。
(e)次に、DLC膜8は陽極接合ができないので、個別電極5の電極部分のみにDLC膜8を残し、それ以外のDLC膜8部分をCHF3ガスを用いたRIEドライエッチングにより除去する。すなわち、DLC膜8に対してレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行った後、接合部36および電極取り出し部34(個別電極5の端子部5c)のDLC膜8部分のみをCHF3ガスを用いたRIEドライエッチングにより除去する。ついで、シリコンマスクを用いCHF3ガスを用いたRIEドライエッチングにより、電極取り出し部34(個別電極5の端子部5c)のSiO2膜を除去する(図5(e))。その後、ブラスト加工等によってインク供給孔33となる孔部33aをガラス基板300に形成する。
次に、図6及び図7を参照して、実施の形態1に係るインクジェットヘッド10の製造方法について説明する。ここでは、主にキャビティー基板2の製造方法を示す。キャビティー基板2は上記により作製された電極ガラス基板300Aにシリコン基板200を陽極接合してから作製される。
(a)まず、例えば厚さが280μmのシリコン基板200の片面全面に、例えば厚さが0.8μmのボロン拡散層201を形成したシリコン基板200を作製する。次に、そのシリコン基板200のボロン拡散層201の表面上に、絶縁膜26として、熱酸化法によりSiO2膜を110nmの厚さで全面成膜する。さらに、ボロン拡散層201上のSiO2膜上に表面保護膜としてDLC膜27を10nmの厚さで全面成膜する(図6(a))。
(b)次に、全面成膜されたDLC膜27にパターニングを行い、振動板6となる部分のみにDLC膜27を残し、それ以外のDLC膜27部分をCHF3ガスを用いたRIEドライエッチングにより除去する(図6(b))。
(c)次に、このシリコン基板200を電極ガラス基板300A上にアライメントして陽極接合する(図6(c))。
(d)ついで、この接合済みシリコン基板200の表面全面を研磨加工して、厚さを例えば50μm程度に薄くし(図6(d))、さらにこのシリコン基板200の表面全面をウェットエッチングによりライトエッチングして加工痕を除去する。
(e)次に、薄板に加工された接合済みシリコン基板200の表面にフォトリソグラフィーによってレジストパターニングを行い、KOH水溶液による異方性ウェットエッチングによってインク流路溝を形成する。これによって、底壁を振動板6とする吐出室21となる凹部22、リザーバー23となる凹部24および電極取り出し部34となる凹部27が形成される(図7(e))。その際、ボロン拡散層201の表面でエッチングストップがかかるので、振動板6の厚さを高精度に形成することができるとともに、表面荒れを防ぐことができる。
(f)次に、シリコンマスクを用いCHF3ガスを用いたRIEドライエッチングで、凹部27の底部を除去して電極取り出し部34を開口する(図7(f))。その後、静電アクチュエーター4の内部に付着している水分を除去する。水分除去はこのシリコン基板を例えば真空チャンバ内に入れ、加熱真空引きをすることにより水分を除去する。
(g)そして、所要時間経過後、窒素ガスを導入し窒素雰囲気下でギャップの外部連通部にエポキシ樹脂等の封止材35を塗布して気密に封止する(図7(g))。
さらに、マイクロブラスト加工等により凹部24の底部を貫通させてインク供給孔33を形成する。さらに、インク流路溝の腐食を防止するため、このシリコン基板の表面にプラズマCVD法によりTEOS−SiO2膜からなるインク保護膜(図示せず)を形成する。また、シリコン基板上に金属からなる共通電極28を形成する。
以上の工程を経て電極基板3に接合されたシリコン基板200からキャビティー基板2が作製される。
(h)その後、このキャビティー基板2の表面上に、別工程でノズル孔11等が形成されたノズル基板1を接着により接合する。そして最後に、ダイシングにより個々のヘッドチップに切断すれば、上述したインクジェットヘッド10の本体部が完成する(図7(h))。
本実施の形態1に係るインクジェットヘッド10の製造方法によれば、個別電極5上の絶縁膜7に導通部9形成のためのホール9aを形成し、さらに絶縁膜7上にDLC膜8を成膜する際、同時にホール9a内に同じ材料のDLC膜を充填することにより導通部9が形成されるので、製造プロセスが簡単になり製造コストの低減が可能となる。従って、前述した残留電荷の消失構造を備えたインクジェットヘッド10を安価に製造することができる。
また、キャビティー基板2を、別工程で作製された電極ガラス基板300Aに接合した状態のシリコン基板200から作製するので、電極ガラス基板300Aによりシリコン基板200を支持した状態となるため、シリコン基板200を薄板化しても割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。従って、キャビティー基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上する。
以上の実施の形態では、静電アクチュエーターおよびインクジェットヘッド、ならびにこれらの製造方法について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、本発明の静電アクチュエーターは、光スイッチやミラーデバイス、マイクロポンプ、レーザープリンターのレーザー操作ミラーの駆動部などにも利用することができる。また、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、例えば図8に示すようなインクジェットプリンター400のほか、液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 組立状態における図1の略右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの断面図。 図2のインクジェットヘッドの上面図。 図2のA−A拡大断面図。 実施の形態1に係るインクジェットヘッドの電極基板の製造工程の概略断面図。 実施の形態1に係るインクジェットヘッドの製造工程の概略断面図。 図6に続くインクジェットヘッドの製造工程の概略断面図。 本発明のインクジェットヘッドを適用したインクジェットプリンターの一例を示す概略斜視図。
符号の説明
1 ノズル基板、2 キャビティー基板、3 電極基板、4 静電アクチュエーター、5 個別電極(固定電極)、6 振動板(可動電極)、7 絶縁膜、8 DLC膜(表面保護膜)、9 導通部、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、12 オリフィス、13 ダイヤフラム部、21 吐出室、23 リザーバー、26 絶縁膜、27 DLC膜(表面保護膜)、28 共通電極、32 凹部、33 インク供給孔、34 電極取り出し部(FPC実装部)、35 封止材、36 接合部、40 駆動制御回路(駆動手段)、200 シリコン基板、300 ガラス基板、400 インクジェットプリンター。

Claims (10)

  1. 基板上に形成された固定電極と、前記固定電極に対して所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて、前記可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエーターにおいて、
    前記固定電極上に形成された絶縁膜と、
    前記絶縁膜上に表面保護膜として形成されたダイヤモンドライクカーボン膜とを備え、
    前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記固定電極とが、前記絶縁膜を貫通する導通部により導通していることを特徴とする静電アクチュエーター。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、体積抵抗率が低いことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエーター。
  3. 前記導通部は、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエーター。
  4. 前記導通部は、前記固定電極の前記可動電極に対向する部分より外れた部位の絶縁膜に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電アクチュエーター。
  5. 前記可動電極の対向面に、固定電極側と同じダイヤモンドライクカーボン膜が表面保護膜として形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエーター。
  6. 基板上に形成された固定電極と、前記固定電極に対して所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて、前記可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエーターの製造方法において、
    前記固定電極上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜を貫通する導通部形成用のホールを前記絶縁膜に形成する工程と、
    前記絶縁膜上に表面保護膜としてダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、前記ホール内に前記ダイヤモンドライクカーボン膜を充填することによって、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記固定電極とを導通させる前記導通部を形成する工程と、
    を有することを特徴とする静電アクチュエーターの製造方法。
  7. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、RF−CVD法により成膜し、成膜の際にRF出力を高くすることにより、体積抵抗率を低くすることを特徴とする請求項6記載の静電アクチュエーターの製造方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれかに記載の静電アクチュエーターを搭載したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項6または7記載の静電アクチュエーターの製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 請求項8に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012173315A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Seiko Epson Corp 波長可変干渉フィルター、光モジュール、および電子機器

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