JP2009178948A - ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents
ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009178948A JP2009178948A JP2008020351A JP2008020351A JP2009178948A JP 2009178948 A JP2009178948 A JP 2009178948A JP 2008020351 A JP2008020351 A JP 2008020351A JP 2008020351 A JP2008020351 A JP 2008020351A JP 2009178948 A JP2009178948 A JP 2009178948A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nozzle
- substrate
- discharge
- silicon substrate
- polycrystalline silicon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
【課題】材料費を抑え、また撥水性処理を簡便にできるノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴を吐出するノズル部11aと、このノズル部より断面積が大きくノズル部と同軸上に設けられた導入部11bとを少なくとも備えたノズル孔11を複数備えたノズル基板1であって、ノズル孔が多結晶シリコン基板を材料に用いて形成され、この多結晶シリコン基板の表面である吐出面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するものとする。
【選択図】図3
【解決手段】液滴を吐出するノズル部11aと、このノズル部より断面積が大きくノズル部と同軸上に設けられた導入部11bとを少なくとも備えたノズル孔11を複数備えたノズル基板1であって、ノズル孔が多結晶シリコン基板を材料に用いて形成され、この多結晶シリコン基板の表面である吐出面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するものとする。
【選択図】図3
Description
本発明は、液滴吐出ヘッド用のノズル基板、そのノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関する。
従来より液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとしては、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが一般的に知られている。インクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で、上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、駆動部により吐出室に圧力を加えることにより、インク滴を選択されたノズル孔より吐出するように構成されている。駆動手段としては、静電気力を利用する方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用する方式等がある。
このようなインクジェットヘッドのノズル基板には、一般に、バルク材として単結晶シリコン基板が用いられている。ノズル孔は、インク滴の飛行曲がりのない直進性とノズル密度の高密度化を実現するために、一般にインク滴を吐出するノズル部とインクの導入部とからなる2段の垂直孔を有する構造となっており、ICP等の異方性ドライエッチングにより形成される。そして、ノズル孔の流路抵抗を調整するために、吐出面をウェットエッチングで掘り下げてノズル部の長さを調整する方法(例えば、特許文献1参照)と、吐出面をノズル部が開口するまで研削して薄板化する方法(例えば、特許文献2参照)とがある。
しかしながら、上記の従来技術ではいずれも、単結晶シリコン基板を用いてノズル基板を製造しているため、材料費が高くつきコスト高になるという問題があった。また、単結晶シリコン基板では、吐出面に撥水性をもたせるために、別途撥水膜を形成するか、もしくはエッチングで微小凹凸を形成する必要があり、撥水性処理のための加工費が増加し、これもコスト高の要因となっていた。
本発明は、上記のような課題に鑑み、材料費を抑え、また撥水性処理を簡便にできるノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを目的としている。
本発明に係るノズル基板は、液滴を吐出するノズル部と、このノズル部より断面積が大きくノズル部と同軸上に設けられた導入部とを少なくとも備えたノズル孔を複数備えたノズル基板であって、ノズル孔が多結晶シリコン基板を材料に用いて形成され、この多結晶シリコン基板の表面である吐出面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するものである。
このように、本発明では多結晶シリコン基板を材料に用いてノズル基板を形成するため、従来の単結晶シリコン基板に比べて材料費を著しく低減でき、コスト低減が可能となる。また、多結晶シリコン基板の表面は0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するため、撥水性を有する吐出面となる。ここで、微小凹凸を0.1〜5.0μmとしたのは、多結晶シリコンの結晶粒径を0.1〜5.0μmの範囲に制御することからくる制限である。すなわち、微小凹凸が0.1μm未満では撥水性が不十分であるためであり、5.0μmを超えると、例えば10μmのノズル孔径を精度よくつくることができず、また吐出面のワイピング時に凹部内に吐出液のかすが残留する可能性が高いからである。
また、本発明のノズル基板においては、吐出面、この吐出面と反対側の面及びノズル孔の内壁に耐吐出液保護膜を有し、吐出面側の耐吐出液保護膜の表面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するものである。
耐吐出液保護膜により多結晶シリコン製のノズル基板を吐出液から保護するとともに、吐出面となる耐吐出液保護膜の表面が下地の多結晶シリコン基板の微小凹凸に依存して0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面となり、特別の撥水処理を行わなくても撥水性を有することになる。
耐吐出液保護膜により多結晶シリコン製のノズル基板を吐出液から保護するとともに、吐出面となる耐吐出液保護膜の表面が下地の多結晶シリコン基板の微小凹凸に依存して0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面となり、特別の撥水処理を行わなくても撥水性を有することになる。
また、本発明のノズル基板においては、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面を除く吐出面側の耐吐出液保護膜の表面全面に撥水膜を有するものである。
撥水膜は、吐出面側の耐吐出液保護膜上にのみ形成され、ノズル孔の吐出口縁部を境界にしてノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面には形成されない。従って、この撥水膜により、吐出面の撥水性がより向上する。
撥水膜は、吐出面側の耐吐出液保護膜上にのみ形成され、ノズル孔の吐出口縁部を境界にしてノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面には形成されない。従って、この撥水膜により、吐出面の撥水性がより向上する。
また、本発明のノズル基板においては、撥水膜は、フッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とするものである。
これにより、耐吐出液保護膜表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、耐吐出液保護膜とその上の撥水膜との密着性が向上する。
これにより、耐吐出液保護膜表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、耐吐出液保護膜とその上の撥水膜との密着性が向上する。
また、本発明のノズル基板においては、多結晶シリコン基板は、結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御されているものである。
前述のように、多結晶シリコン基板の表面を0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面とするためには、多結晶シリコンの結晶粒径を0.1〜5.0μmの範囲に制御する必要がある。
前述のように、多結晶シリコン基板の表面を0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面とするためには、多結晶シリコンの結晶粒径を0.1〜5.0μmの範囲に制御する必要がある。
本発明に係るノズル基板の製造方法は、結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御された多結晶シリコン基板に、ノズル部と、このノズル部より断面積が大きくノズル部と同軸上に位置する導入部とからなるノズル孔を異方性ドライエッチングにより複数形成する段階と、ノズル部側の吐出面、この吐出面と反対側の面及びノズル孔の内壁に耐吐出液保護膜を形成する段階と、ノズル孔の内壁及び前記反対側の面を除く吐出面側の耐吐出液保護膜の表面全面に撥水膜を形成する段階とを有するものである。
この製造方法により、撥水性を有し、かつノズル密度を高密度にした安価なノズル基板を製造することができる。
この製造方法により、撥水性を有し、かつノズル密度を高密度にした安価なノズル基板を製造することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記のいずれかのノズル基板を備えたものである。
これにより、安価で高密度の液滴吐出ヘッドを提供することができる。
これにより、安価で高密度の液滴吐出ヘッドを提供することができる。
本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
これにより、安価で高密度の液滴吐出装置を提供することができる。
これにより、安価で高密度の液滴吐出装置を提供することができる。
以下、本発明のノズル基板を備えた液滴吐出ヘッドの一実施の形態について、図面に基づいて説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、静電駆動方式のインクジェットヘッドについて図1〜図4を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、また、フェース吐出型に限らずエッジ吐出型にも適用することができる。さらには、液滴吐出のためのエネルギーを与える駆動方式についても静電駆動方式以外の他の異なる駆動方式を用いた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置にも適用できるものである。
図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図で、一部を断面で表してある。図2は組立状態を表した図1の右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの部分断面図、図3は図2のノズル孔部分を拡大して示す断面図、図4は図2のインクジェットヘッドの上面図である。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10は、図1、図2及び図4に示すように、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
本発明が適用されるノズル基板1は、表面に0.1〜5.0μmの微小凹凸(図示せず)を有する多結晶シリコン基板から作製される。微小凹凸の範囲については、前述のとおり多結晶シリコンの結晶粒径に基づいて定めたものであり、撥水性、ノズル孔径、ワイピング性を考慮して制限される。この多結晶シリコン基板を用いたノズル基板1の製造方法については後で詳しく説明する。
インク滴を吐出するためのノズル孔11は、液滴を吐出するノズル部11aと、インク(吐出液)を導入する導入部11bとから構成されている。ノズル部11aはノズル基板1の表面(インク吐出面)1aに対して垂直に小径の円筒状に形成されており、導入部11bはノズル部11aと同軸上に設けられ、ノズル部11aよりも断面積が大きく、断面形状が円筒状に形成されている。このようにノズル孔11を2段の垂直孔を持つ構造とすることにより、インク液滴の吐出方向をノズル孔11の中心軸方向に揃えることができ、安定したインク吐出特性を発揮させることができる。すなわち、インク液滴の飛翔方向のばらつきがなくなり、またインク液滴の飛び散りがなく、インク液滴の吐出量のばらつきを抑制することができる。また、ノズル密度の高密度化も可能になる。なお、ここでは、ノズル孔11を、2段の孔を持つ構造とした例を示したが、更に段階的に複数段としてもよく、また、ノズル孔の断面積が吐出方向に向かって連続的に減少する形状としてもよい。また、ノズル部11aと導入部11bとの段差部をテーパ状に形成してもよい。
また、ノズル基板1のインク吐出面1aは、基板材料が多結晶シリコンであるため、0.1〜5.0μmの微小凹凸(図示せず)を有する面となっている。すなわち、インク吐出面1aはそれ自体が機械構造的に撥水性(以下、構造撥水性という)を有するとともに、ワイピングに対する耐久性を有するものとなっている。また、ノズル孔11の内壁とインク吐出面1aおよびその反対面であるキャビティ基板2との接合面1bには、図3に示すように、例えばSiO2からなる耐インク保護膜(耐吐出液保護膜)12がスパッタ法や熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で形成されている。インク吐出面1a上の耐インク保護膜12表面は、下地の多結晶シリコン基板の表面が0.1〜5.0μmの微小凹凸を有するので、この微小凹凸に依存して0.1〜5.0μmの微小凹凸を有することになる。従って、インク吐出面1a上に耐インク保護膜12を形成したままでもインクに対する下地の多結晶シリコン基板の保護と撥水性の両機能を耐インク保護膜12が有することになる。
さらに撥水性を向上させるためには、ノズル孔11の内壁と接合面1bを除くインク吐出面1a側の耐インク保護膜12上の全面に撥水膜13をスパッタ法やCVD法等で形成する。なお、耐インク保護膜12には、特にアルカリ性インクに対して耐薬品性の良い五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)等の金属系酸化物を用いることが望ましい。撥水膜13はフッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とするものが望ましい。その理由は、耐インク保護膜12表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、耐インク保護膜12とその表面上に形成される撥水膜13との密着性が向上するからである。
さらに撥水性を向上させるためには、ノズル孔11の内壁と接合面1bを除くインク吐出面1a側の耐インク保護膜12上の全面に撥水膜13をスパッタ法やCVD法等で形成する。なお、耐インク保護膜12には、特にアルカリ性インクに対して耐薬品性の良い五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)等の金属系酸化物を用いることが望ましい。撥水膜13はフッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とするものが望ましい。その理由は、耐インク保護膜12表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、耐インク保護膜12とその表面上に形成される撥水膜13との密着性が向上するからである。
このノズル基板1が接着接合されるキャビティ基板2は、単結晶シリコン基板から作製される。キャビティ基板2には、ノズル孔11の各々に連通するインク流路溝が異方性ウェットエッチングにより形成される。このインク流路溝には、底壁を振動板22とし吐出室21となる吐出凹部210と、共通のインク室であるリザーバ23となるリザーバ凹部230と、リザーバ凹部230と各吐出凹部210とを連通するオリフィス24となるオリフィス凹部240が形成される。なお、振動板22はボロン拡散層で形成することにより厚み精度を高精度に形成することができる。また、オリフィス24はノズル基板1側に設けることもでき、この場合は接合面1bにリザーバ凹部230と各吐出凹部210とを連通する細溝状の凹部として形成される。
また、キャビティ基板2には、電極基板3との接合面全面に短絡や絶縁破壊等を防止するための絶縁膜25が形成される。絶縁膜25としてはSiO2やSiN、あるいはAl2O3やHfO2等のいわゆるHigh−k材などが目的に応じて用いられる。特に、High−k材を用いると比誘電率がSiO2よりも大きいため、アクチュエータ発生圧力を高めることができ、更なる高密度化を図ることが可能となる。また、インク流路溝側のキャビティ基板2全面には親水膜として耐インク保護膜26が熱酸化法やスパッタ法、CVD法等で形成され、さらにPt等の金属膜からなる共通電極27が形成される。
このキャビティ基板2と陽極接合される電極基板3は、例えばホウ珪酸系のガラス基板から作製される。このガラス基板に振動板22と対向する位置にそれぞれ凹部32がエッチングにより形成され、さらに各凹部32の底面に一般にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31がスパッタ法により形成される。また、インクを供給するためにリザーバ23と連通するインク供給口33がサンドブラスト法等により形成される。インク供給口33は図示しないインクタンクに接続される。
この電極基板3と上記のキャビティ基板2とは、個別電極31と振動板22とが所定(例えば、0.1μm)のギャップ34を介して対向配置するように陽極接合される。これにより、ギャップ34を介して対峙する個別電極31と絶縁膜25を有する振動板22とで吐出室21に所要の圧力を加えることができる静電アクチュエータ4が構成される。なお、ギャップ34の開放端部は内部に水分や埃などが入らないようにエポキシ樹脂やスパッタ法による無機酸化物等の封止材35で気密に封止する。これにより、静電アクチュエータ4の駆動耐久性、信頼性が向上する。
そして、図2、図4に示すように、静電アクチュエータ4を駆動するために、ドライバIC等の駆動手段5を搭載したFPC(Flexible Print Circuit)を、電極取り出し部36において、導電性接着剤により、各個別電極31の端子部31aと、キャビティ基板2上に設けられた金属製の共通電極27に配線接続する。以上のようにしてインクジェットヘッド10が完成する。
そして、図2、図4に示すように、静電アクチュエータ4を駆動するために、ドライバIC等の駆動手段5を搭載したFPC(Flexible Print Circuit)を、電極取り出し部36において、導電性接着剤により、各個別電極31の端子部31aと、キャビティ基板2上に設けられた金属製の共通電極27に配線接続する。以上のようにしてインクジェットヘッド10が完成する。
ここで、インクジェットヘッド10の動作について説明する。任意のノズル孔11よりインク滴を吐出させるためには、そのノズル孔11に対応する静電アクチュエータ4を以下のように駆動する。
駆動手段5により当該個別電極31と共通電極である振動板22間にパルス電圧を印加する。パルス電圧の印加によって発生する静電気力により振動板22が個別電極31側に引き寄せられて当接し、吐出室21内に負圧を発生させ、リザーバ23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板22は個別電極31から離脱して、その時の振動板22の復元力によりインクを当該ノズル孔11から押出し、インク滴を吐出する。
駆動手段5により当該個別電極31と共通電極である振動板22間にパルス電圧を印加する。パルス電圧の印加によって発生する静電気力により振動板22が個別電極31側に引き寄せられて当接し、吐出室21内に負圧を発生させ、リザーバ23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板22は個別電極31から離脱して、その時の振動板22の復元力によりインクを当該ノズル孔11から押出し、インク滴を吐出する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10によれば、ノズル基板1が多結晶シリコン基板から構成されているので、材料費を従来の単結晶シリコン基板に比べて著しく低減でき、安価なインクジェットヘッド10が得られる。また、ノズル基板1のインク吐出面1aは0.1〜0.5μmの微小凹凸を有する面となっているため、インク吐出面1aの表面自体が構造撥水性を有し、かつワイピングに対する耐久性を有するため、より安価になる。従って、安価で、ノズル密度の高密度化が可能なインクジェットヘッド10を提供することができる。
上記のように構成されたインクジェットヘッド10の製造方法について、図5〜図14を用いて説明する。図5はノズル基板1の主要な製造段階を示す説明図で、より詳細な製造工程は図6〜図11に断面図で示してある。また、図12〜図13は電極基板3の製造と電極基板3上に接合したシリコン基板からキャビティ基板2を製造する工程を示す部分断面図、図14は図13に続くインクジェットヘッド10の製造工程を示す部分断面図である。
まず、図5について説明する。図5にはノズル基板1の4つの製造段階が示されている。すなわち、図5(A)はノズル孔11の製造段階で、ウエハの多結晶シリコン基板100を用いてノズル孔11のノズル部11aと導入部11bとを異方性ドライエッチングにより形成した段階である。
図5(B)は第1の耐インク保護膜12aの形成段階で、ノズル孔11の内壁及びキャビティ基板2との接合面1bに第1の耐インク保護膜12aを形成した段階である。
図5(C)は第2の耐インク保護膜12bの形成段階で、インク吐出面1a全面に第2の耐インク保護膜12bを形成した段階である。
図5(D)は撥水膜13の形成段階で、ノズル孔11の内壁及び接合面1bを除くインク吐出面1a側の第2の耐インク保護膜12b上全面に撥水膜13を形成した段階である。
図5(B)は第1の耐インク保護膜12aの形成段階で、ノズル孔11の内壁及びキャビティ基板2との接合面1bに第1の耐インク保護膜12aを形成した段階である。
図5(C)は第2の耐インク保護膜12bの形成段階で、インク吐出面1a全面に第2の耐インク保護膜12bを形成した段階である。
図5(D)は撥水膜13の形成段階で、ノズル孔11の内壁及び接合面1bを除くインク吐出面1a側の第2の耐インク保護膜12b上全面に撥水膜13を形成した段階である。
次に、図6〜図11についてさらに詳しく説明する。なお、以下に記載する基板の厚さ、膜厚、エッチング深さ、温度、圧力等についての数値はその一例を示すもので、これに限定されるものではない。
(a)まず、厚み280μmの多結晶シリコン基板100を用意する。多結晶シリコン基板100は、結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御(調整)されていることが望ましい。これによって、多結晶シリコン基板100の表面は、0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面となる。結晶粒径を制御(調整)するには、バルクの多結晶シリコンを製造する際に、水素の濃度や、冷却速度を制御することで結晶粒径を制御することができる。
そして、上記のように作製された多結晶シリコン基板100を熱酸化装置(図示せず)にセットして、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、多結晶シリコン基板100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する(図6(a))。
(a)まず、厚み280μmの多結晶シリコン基板100を用意する。多結晶シリコン基板100は、結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御(調整)されていることが望ましい。これによって、多結晶シリコン基板100の表面は、0.1〜5.0μmの微小凹凸を有する面となる。結晶粒径を制御(調整)するには、バルクの多結晶シリコンを製造する際に、水素の濃度や、冷却速度を制御することで結晶粒径を制御することができる。
そして、上記のように作製された多結晶シリコン基板100を熱酸化装置(図示せず)にセットして、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、多結晶シリコン基板100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する(図6(a))。
(b)次に、多結晶シリコン基板100の接合面(キャビティ基板2と接合される面をいう)100bにレジスト102をコーティングし、導入部11bとなる部分110aをパターニングする(図6(b))。
(c)この多結晶シリコン基板100を、例えば緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜101を薄くする。このとき、インク吐出側の面1aのSiO2 膜101もエッチングされ、SiO2 膜101の厚みが減少する(図6(c))。
(d)多結晶シリコン基板100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する(図6(d))。
(c)この多結晶シリコン基板100を、例えば緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜101を薄くする。このとき、インク吐出側の面1aのSiO2 膜101もエッチングされ、SiO2 膜101の厚みが減少する(図6(c))。
(d)多結晶シリコン基板100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する(図6(d))。
(e)次に、多結晶シリコン基板100の接合面100b側にレジスト103をコーティングし、ノズル部11aとなる部分110bをパターニングする(図7(e))。
(f)多結晶シリコン基板100を緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、ノズル部11aとなる部分110bのSiO2 膜101を開口する。このとき、インク吐出側の面1aのSiO2 膜101はエッチングされ、完全に除去される(図7(f))。
(g)多結晶シリコン基板100の接合面100b側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する(図7(g))。
(f)多結晶シリコン基板100を緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、ノズル部11aとなる部分110bのSiO2 膜101を開口する。このとき、インク吐出側の面1aのSiO2 膜101はエッチングされ、完全に除去される(図7(f))。
(g)多結晶シリコン基板100の接合面100b側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する(図7(g))。
(h)次に、ICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチング装置(図示せず)により、SiO2 膜101の開口部を、深さ25μmで垂直に異方性ドライエッチングし、ノズル部11aを形成する(図8(h))。この場合のエッチングガスとしては、C4F8、SF6 を使用し、これらのエッチングガスを交互に使用すればよい。ここで、C4F8は形成される孔の側面のエッチングが進行しないように孔側面を保護するために使用し、SF6 は孔の垂直方向のエッチングを促進させるために使用する。
(i)次に、導入部11bとなる部分のSiO2 膜101のみがなくなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする(図8(i))。
(j)再度、ICPドライエッチング装置により、SiO2 膜101の開口部を深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、導入部11bを形成する(図8(j))。
(i)次に、導入部11bとなる部分のSiO2 膜101のみがなくなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする(図8(i))。
(j)再度、ICPドライエッチング装置により、SiO2 膜101の開口部を深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、導入部11bを形成する(図8(j))。
以上の工程(図6(a)〜図8(j))により、図5(A)に示したノズル孔11が高精度に形成される。
(k)そして、多結晶シリコン基板100の表面に残るSiO2 膜101をフッ酸水溶液で除去した後、多結晶シリコン基板100を熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1000℃、酸化時間2時間、酸素雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、多結晶シリコン基板100の接合面100b及びインク吐出側の面100aに、さらにノズル部11a及び導入部11bの側面及び底面に、耐インク保護膜として、膜厚0.1μmのSiO2 膜12aを均一に成膜する(図8(k))。
(l)次に、多結晶シリコン基板100の上下を逆転し、ガラス等の透明材料の支持基板120に、紫外線または熱などの刺激で容易に接着力が低下する自己剥離層51を持った両面テープ50を貼り合わせる(図9(l))。支持基板120に貼り合わせた両面テープ50の自己剥離層51の面と、多結晶シリコン基板100の接合面100bとを向かい合わせ、真空中で貼り合わせると、接着界面に気泡が残らずにきれいに接着される。ここで、接着界面に気泡が残ると、研磨加工で薄板化したときに、多結晶シリコン基板100の板厚がばらつく原因となる。両面テープ50は、例えば、SELFA−BG(登録商標:積水化学工業製)を用いる。
(m)多結晶シリコン基板100のインク吐出側の面100aをバックグラインダー(図示せず)によって研削加工し、ノズル部11aの先端が開口するまで多結晶シリコン基板100を薄くする(図9(m))。さらに、ポリッシャー、CMP装置によってインク吐出側の面100aを研磨し、ノズル部11aの先端部の開口を行っても良い。このとき、ノズル部11a及び導入部11bの内壁は、ノズル内の研磨材の水洗除去工程などによって洗浄する。
あるいは、ノズル部11aの先端部の開口を、ドライエッチングで行っても良い。例えば、SF6 をエッチングガスとするドライエッチングで、ノズル部11aの先端部まで多結晶シリコン基板100を薄くし、表面に露出したノズル部11aの先端部のSiO2 膜12aを、CF4 又はCHF3 等のエッチングガスとするドライエッチングによって除去してもよい。
あるいは、ノズル部11aの先端部の開口を、ドライエッチングで行っても良い。例えば、SF6 をエッチングガスとするドライエッチングで、ノズル部11aの先端部まで多結晶シリコン基板100を薄くし、表面に露出したノズル部11aの先端部のSiO2 膜12aを、CF4 又はCHF3 等のエッチングガスとするドライエッチングによって除去してもよい。
以上の工程(図8(k)〜図9(m))により、図5(B)に示した第1の耐インク保護膜(SiO2 膜)12aがノズル孔11の内壁と接合面1bに形成される。
(n)多結晶シリコン基板100のインク吐出側の面100aに、対向ターゲット式スパッタ装置で、耐インク保護膜として、酸化ハフニウム(HfO2 )よりなる金属系酸化膜12bを、0.1μmの厚みで成膜する(図9(n))。ここで、酸化ハフニウムからなる金属系酸化膜12bの成膜は、自己剥離層51が反応しない温度(100℃程度)以下で実施できれば良い。なお、イオンビームスパッタ等で行っても良く、また、スパッタリング法に限るものではない。ただし、耐久性等を考慮すると、緻密な膜を形成する必要があり、ECRスパッタ装置等のように、常温で緻密な膜を成膜できる装置を使用することが望ましい。自己剥離層51に影響しない温度で成膜することができ、多結晶シリコン基板100への密着性を確保することができれば、成膜方法はスパッタ等に限らず、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の手法でも良い。
この工程((図9(n)))により、図5(C)に示した第2の耐インク保護膜(金属系酸化膜)12bが多結晶シリコン基板100のインク吐出面1aに形成される。
(o)多結晶シリコン基板100のインク吐出側の面100aに撥水処理(撥インク処理)を施す(図9(o))。すなわち、インク吐出側の面100aに形成した酸化ハフニウムよりなる金属系酸化膜12bの上に、さらに、F原子を含む撥水性を持った材料を蒸着やディッピングで成膜し、インク吐出側の面100aに金属系酸化膜12bを介して撥水膜13を形成する。このとき、ノズル部11a及び導入部11bの内壁も撥水処理される。
(p)多結晶シリコン基板100の上下を再度逆転し、撥水処理されたインク吐出側の面100aに、保護フィルム60を貼り付ける(図10(p))。ここでは、例えば、E−MASK(登録商標:日東電工製)を用いる。
(q)そして、支持基板120側からUV光を照射する(図10(q))。
(r)両面テープ50の自己剥離層51を多結晶シリコン基板100の接合面100bから剥離させ、支持基板120を多結晶シリコン基板100から取り外す(図10(r))。
(q)そして、支持基板120側からUV光を照射する(図10(q))。
(r)両面テープ50の自己剥離層51を多結晶シリコン基板100の接合面100bから剥離させ、支持基板120を多結晶シリコン基板100から取り外す(図10(r))。
(s)ArスパッタもしくはO2 プラズマ処理によって、多結晶シリコン基板100の接合面100b側、およびノズル部11a、導入部11bの内壁に余分に形成された撥水膜13を除去する(図10(s))。
その後、ノズル基板100の接着強度を上げるため、プライマー処理液に1時間浸漬した後、純水でリンスし、80℃で1時間の条件でベーキングする。このとき、プライマー処理液として、例えば、シランカップリング剤(型番:SH6020、東レダウ製)を用いる。
その後、ノズル基板100の接着強度を上げるため、プライマー処理液に1時間浸漬した後、純水でリンスし、80℃で1時間の条件でベーキングする。このとき、プライマー処理液として、例えば、シランカップリング剤(型番:SH6020、東レダウ製)を用いる。
(t)次に、多結晶シリコン基板100の上下を再度逆転し、多結晶シリコン基板100の接合面100b(保護フィルム60が貼り付けられているインク吐出側の面100aと反対側に位置する面)を吸着治具70に吸着固定し、インク吐出側の面100aにサポートテープとして貼り付けられている保護フィルム60を剥離する(図11(t))。
(u)吸着治具70の吸着固定を解除する。こうして、インク吐出側の面100aに、酸化ハフニウムからなる金属系酸化膜12bと撥水膜13とが積層して形成されたノズル基板1が形成される(図11(u))。
以上の工程を経ることにより、図5(D)に示したように、多結晶シリコン基板100よりノズル基板1を形成する。
以上の工程を経ることにより、図5(D)に示したように、多結晶シリコン基板100よりノズル基板1を形成する。
上記の説明では、インク吐出側の面100aの耐インク保護膜として、酸化ハフニウム(HfO2 )よりなる金属系酸化膜13を使用した場合について示した。かかる酸化ハフニウムは、耐薬品性が非常に高く、ウェットエッチングが不可能な難エッチング材料であり、耐インク保護膜として適している。また、金属系酸化膜12bとして、酸化タンタル(Ta2 O5 )、酸化チタン(TiO2 )、酸化インジウム錫(ITO)及び酸化ジルコニウム(ZrO2 )を用いてもよい。この場合も、耐薬品性が高く、ウェットエッチングが不可能な難エッチング材料であり、耐インク保護膜として適している。
上記の材料に限らず、耐薬品性の高い材料であれば、金属系酸化膜12bとして、他の材料を用いることができる。なお、撥水膜13は、下地材料と脱水縮合反応で強固に結合する性質があり、耐インク保護膜は、撥水膜13の最適下地材として、表面にOH基が着きやすい上記のような酸化膜が望ましい。
上記の材料に限らず、耐薬品性の高い材料であれば、金属系酸化膜12bとして、他の材料を用いることができる。なお、撥水膜13は、下地材料と脱水縮合反応で強固に結合する性質があり、耐インク保護膜は、撥水膜13の最適下地材として、表面にOH基が着きやすい上記のような酸化膜が望ましい。
本実施形態に係るノズル基板1の製造方法よれば、多結晶シリコン基板100を用いてICP等の異方性ドライエッチングにより、ノズル部11aと導入部11bとを有する2段の孔構造のノズル孔11を高精度に形成することができ、安価で高密度のノズル基板1を製造することができる。
また、ノズル孔11を形成した側の面、すなわち接合面100bに、両面テープ50を介して支持基板120を貼り合わせ、多結晶シリコン基板100をインク吐出側の面100aより薄板化してノズル孔11を開口するようにしたので、ノズル孔11の製造工程において、多結晶シリコン基板100が割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易で、歩留まりが向上する。
さらに、上記の製造工程において、多結晶シリコン基板100のインク吐出側の面100aに、耐インク性の高い酸化ハフニウム等の金属系酸化膜12bを形成し、そのうえに撥水膜13を形成するようにしたので、下地材が侵食されることによって起こる撥水膜13の剥れがなくなる。このことにより、長期にわたり、インク吐出側の面100aの撥水性を保持することができ、インク吐出の安定性を確保することができる。
また、ノズル孔11を形成した側の面、すなわち接合面100bに、両面テープ50を介して支持基板120を貼り合わせ、多結晶シリコン基板100をインク吐出側の面100aより薄板化してノズル孔11を開口するようにしたので、ノズル孔11の製造工程において、多結晶シリコン基板100が割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易で、歩留まりが向上する。
さらに、上記の製造工程において、多結晶シリコン基板100のインク吐出側の面100aに、耐インク性の高い酸化ハフニウム等の金属系酸化膜12bを形成し、そのうえに撥水膜13を形成するようにしたので、下地材が侵食されることによって起こる撥水膜13の剥れがなくなる。このことにより、長期にわたり、インク吐出側の面100aの撥水性を保持することができ、インク吐出の安定性を確保することができる。
次に、キャビティ基板2および電極基板3の製造方法について説明する。
ここでは、電極基板3に単結晶シリコン基板(以下、シリコン基板という)200を接合した後、そのシリコン基板200からキャビティ基板2を製造する方法について、図12、図13を用いて説明する。
ここでは、電極基板3に単結晶シリコン基板(以下、シリコン基板という)200を接合した後、そのシリコン基板200からキャビティ基板2を製造する方法について、図12、図13を用いて説明する。
(a)まず、硼珪酸ガラス等からなるガラス基板300に、金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより、凹部32を形成する。なお、この凹部32は個別電極31の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極31ごとに複数形成される。そして、凹部32の内部に、例えばスパッタによりITO(Indium Tin Oxide)からなる個別電極31を形成する。その後、ドリル等によってインク供給孔33となる孔部33aを形成することにより、電極基板3を作製する(図12(a))。
(b)シリコン基板200の両面を鏡面研磨した後に、シリコン基板200の片面に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、TEOS(TetraEthylorthosilicate)からなるシリコン酸化膜(絶縁膜)25を形成する(図12(b))。なお、シリコン基板200を形成する前に、エッチングストップ技術を用いて、振動板22の厚みを高精度に形成するためのボロンドープ層を形成するようにしてもよい。エッチングストップとは、エッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のウェットエッチングにおいては、気泡の発生の停止をもってエッチングがストップしたものと判断する。
(c)このシリコン基板200と、図12(a)のようにして作製された電極基板3とを360℃に加熱し、シリコン基板200を陽極に、電極基板3を陰極に接続して800V程度の電圧を印加して、図12(c)に示すように、陽極接合により接合する。
(d)シリコン基板200と電極基板3を陽極接合した後に、水酸化カリウム水溶液等で接合状態のシリコン基板200をエッチングし、シリコン基板200を薄板化する(図12(d))。
(e)シリコン基板200の上面(電極基板3が接合されている面と反対側の面)の全面に、プラズマCVDによって、TEOS膜260を形成する。そして、このTEOS膜260に、吐出室21となる凹部210、オリフィス24となる溝部240およびリザーバ23となる凹部230を形成するためのレジストをパターニングし、これらの部分のTEOS膜260をエッチング除去する。
その後、シリコン基板200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングすることにより、吐出室21となる凹部210、オリフィス24となる溝部240及びリザーバ23となる凹部230を形成する(図13(e))。このとき、配線のための電極取り出し部36となる部分もエッチングして薄板化しておく。なお、ウェットエッチングの工程では、例えば初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
その後、シリコン基板200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングすることにより、吐出室21となる凹部210、オリフィス24となる溝部240及びリザーバ23となる凹部230を形成する(図13(e))。このとき、配線のための電極取り出し部36となる部分もエッチングして薄板化しておく。なお、ウェットエッチングの工程では、例えば初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
(f)シリコン基板200のエッチングが終了した後に、フッ酸水溶液でエッチングし、図13(f)に示すように、シリコン基板200の上面に形成されているTEOS膜260を除去する(図13(f))。
(g)シリコン基板200の吐出室21となる凹部210等が形成された面に、プラズマCVDによりTEOS膜(絶縁膜)26を形成する(図13(g))。
(h)RIE(Reactive Ion Etching)等によって、電極取り出し部29を開放する。また、電極基板3のインク供給口33となる孔部にレーザ加工を施して、シリコン基板200のリザーバ23となる凹部230の底部を貫通させ、インク供給口33を形成する。また、振動板22と個別電極31の間のギャップ34の開放端部にエポキシ樹脂等の封止材35を充填して封止する。さらに、共通電極27をスパッタにより、シリコン基板200の端部に形成する(図13(h))。
以上により、電極基板3に接合した状態のシリコン基板200からキャビティ基板2が作製される。
最後に、キャビティ基板2に、前述のようにして作製されたノズル基板1を接着等により接合することにより、図14に示したインクジェットヘッド10が完成する。
最後に、キャビティ基板2に、前述のようにして作製されたノズル基板1を接着等により接合することにより、図14に示したインクジェットヘッド10が完成する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10の製造方法によれば、キャビティ基板2を、予め作製された電極基板3に接合した状態のシリコン基板200から作製するので、その電極基板3によりシリコン基板200を支持した状態となり、シリコン基板200を薄板化しても割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。したがって、キャビティ基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上する。
上記の実施形態では、ノズル基板及びインクジェットヘッド、ならびにこれらの製造方法について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、図15に示すインクジェットプリンタ400のほか、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)及び液滴吐出装置に、本実施の形態のノズル基板の製造方法で製造されたノズル基板を搭載することにより、良好な吐出特性を実現できる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を得ることができる。
1 ノズル基板、1a インク吐出面、1b 接合面、2 キャビティ基板、3 電極基板、4 静電アクチュエータ、5 駆動手段、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、11a ノズル部、11b 導入部、12 耐インク保護膜(耐吐出液保護膜)、13 撥水膜、21 吐出室、22 振動板、23 リザーバ、24 オリフィス、25 絶縁膜、26 耐インク保護膜、27 共通電極、31 個別電極、32 凹部、33 インク供給口、34 ギャップ、35 封止材、36 電極取り出し部、100 多結晶シリコン基板、400 インクジェットプリンタ。
Claims (8)
- 液滴を吐出するノズル部と、前記ノズル部より断面積が大きく前記ノズル部と同軸上に設けられた導入部とを少なくとも備えたノズル孔を複数備えたノズル基板であって、
前記ノズル孔が多結晶シリコン基板を材料に用いて形成され、前記多結晶シリコン基板の表面である吐出面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有することを特徴とするノズル基板。 - 前記吐出面、前記吐出面と反対側の面及び前記ノズル孔の内壁に耐吐出液保護膜を有し、前記吐出面側の前記耐吐出液保護膜の表面に0.1〜5.0μmの微小凹凸を有することを特徴とする請求項1記載のノズル基板。
- 前記ノズル孔の内壁及び前記吐出面と反対側の面を除く前記吐出面側の前記耐吐出液保護膜の表面全面に撥水膜を有することを特徴とする請求項2記載のノズル基板。
- 前記撥水膜は、フッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とすることを特徴とする請求項3記載のノズル基板。
- 前記多結晶シリコン基板は、結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のノズル基板。
- 結晶粒径が0.1〜5.0μmの範囲に制御された多結晶シリコン基板に、ノズル部と、このノズル部より断面積が大きく前記ノズル部と同軸上に位置する導入部とからなるノズル孔を異方性ドライエッチングにより複数形成する段階と、
前記ノズル部側の吐出面、前記吐出面と反対側の面及び前記ノズル孔の内壁に耐吐出液保護膜を形成する段階と、
前記ノズル孔の内壁及び前記反対側の面を除く前記吐出面側の前記耐吐出液保護膜の表面全面に撥水膜を形成する段階と、
を有することを特徴とするノズル基板の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のノズル基板を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項7記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008020351A JP2009178948A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008020351A JP2009178948A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009178948A true JP2009178948A (ja) | 2009-08-13 |
Family
ID=41033291
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008020351A Withdrawn JP2009178948A (ja) | 2008-01-31 | 2008-01-31 | ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009178948A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102180016A (zh) * | 2009-12-28 | 2011-09-14 | 施乐公司 | 超疏油和超疏水表面及其制备方法 |
JP2013059946A (ja) * | 2011-09-14 | 2013-04-04 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッド |
JP2014054856A (ja) * | 2013-12-26 | 2014-03-27 | Seiko Epson Corp | 吐出ヘッドの製造方法 |
-
2008
- 2008-01-31 JP JP2008020351A patent/JP2009178948A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102180016A (zh) * | 2009-12-28 | 2011-09-14 | 施乐公司 | 超疏油和超疏水表面及其制备方法 |
JP2013059946A (ja) * | 2011-09-14 | 2013-04-04 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッド |
JP2014054856A (ja) * | 2013-12-26 | 2014-03-27 | Seiko Epson Corp | 吐出ヘッドの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5145985B2 (ja) | ノズル基板及びノズル基板の製造方法 | |
JP5277571B2 (ja) | ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP5728795B2 (ja) | ノズルプレートの製造方法、及び、液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2011121218A (ja) | ノズルプレート、吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに吐出装置 | |
JP2007152621A (ja) | 液滴吐出ヘッド及びその製造方法 | |
JP5315975B2 (ja) | ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにこれらの製造方法 | |
JP2009113351A (ja) | シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法 | |
JP5332275B2 (ja) | シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP4692534B2 (ja) | シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法 | |
JP4321574B2 (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置 | |
JP2007168344A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法及びデバイスの製造方法 | |
JP4670533B2 (ja) | ノズルプレートの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2009107314A (ja) | ノズルプレート、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにノズルプレートの製造方法 | |
JP2007261152A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP4983361B2 (ja) | ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2009178948A (ja) | ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP2010142991A (ja) | ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにこれらの製造方法 | |
JP5648262B2 (ja) | シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2009029018A (ja) | ノズル基板の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置 | |
JP2011000893A (ja) | シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法 | |
JP2010125704A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2008114462A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP2009292122A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出ヘッド | |
JP2010240854A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2010149375A (ja) | ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20110405 |