JP2010240854A - ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010240854A JP2010240854A JP2009088698A JP2009088698A JP2010240854A JP 2010240854 A JP2010240854 A JP 2010240854A JP 2009088698 A JP2009088698 A JP 2009088698A JP 2009088698 A JP2009088698 A JP 2009088698A JP 2010240854 A JP2010240854 A JP 2010240854A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- nozzle
- silicon substrate
- nozzle hole
- soluble resin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Abstract
【課題】ノズル基板の製造中に、ノズル孔内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを抑制して、ノズル孔内壁の親水化をより向上させる。
【解決手段】シリコン基板1をドライエッチングしてノズル孔10となる部分を形成する工程と、ノズル孔10となる部分が形成されたシリコン基板1の表面に酸化膜102を形成する工程と、ノズル孔10となる部分に溶解性樹脂201を充填する工程と、支持基板103をシリコン基板1のノズル孔10部を加工した面に貼り合せる工程と、支持基板103を貼り合せた面と反対側の面からシリコン基板1を研削及び研磨して薄板化し、ノズル孔10を貫通させる工程と、シリコン基板1の研削及び研磨した面に撥インク膜12を成膜する工程と、支持基板103を剥離し、シリコン基板1の撥インク膜12成膜面をプライマー処理する工程と、溶解性樹脂201をノズル孔10から除去する工程と、を備えたノズル基板の製造方法。
【選択図】図5
【解決手段】シリコン基板1をドライエッチングしてノズル孔10となる部分を形成する工程と、ノズル孔10となる部分が形成されたシリコン基板1の表面に酸化膜102を形成する工程と、ノズル孔10となる部分に溶解性樹脂201を充填する工程と、支持基板103をシリコン基板1のノズル孔10部を加工した面に貼り合せる工程と、支持基板103を貼り合せた面と反対側の面からシリコン基板1を研削及び研磨して薄板化し、ノズル孔10を貫通させる工程と、シリコン基板1の研削及び研磨した面に撥インク膜12を成膜する工程と、支持基板103を剥離し、シリコン基板1の撥インク膜12成膜面をプライマー処理する工程と、溶解性樹脂201をノズル孔10から除去する工程と、を備えたノズル基板の製造方法。
【選択図】図5
Description
本発明は、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドの製造方法に係り、特にそこに用いられるノズル基板の製造方法に関する。
従来のシリコンノズル基板の製造方法として、予めシリコン基板にノズル孔となる凹部を形成し、接着層の片面に紫外線または熱などの刺激で容易に接着力が低下する剥離層を持った両面接着シートを用いて貼り合わせてから、シリコン基板を研削やCMP加工等により薄板化加工してノズル孔(凹部)を開口する方法がある。その場合、吐出面への撥インク膜の形成、及びキャビティとの接着強度を強化するため、接着面へのプライマー処理が施されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記のノズル基板の製造方法では、ノズル内壁へ撥インク膜が入り込むため、その撥インク膜に対してプラズマ処理による除去を実施し、ノズル内壁の親水化を行っている。しかしながら、撥インク膜の入り込み量やプラズマ処理のバラツキにより、ノズル内の親水性がバラツキ、吐出性能が不安定になるおそれがあった。また、ノズル内壁はインク吐出時のインクメニスカス挙動の安定化のため、親水化状態が一定であることが望ましいが、プライマー処理によりプライマー液がノズル内に入り込み、ノズル内壁表面が疎水化されるおそれもあった。
本発明は上記課題に対応したもので、ノズル基板の製造中に、ノズル孔内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを抑制して、ノズル孔内壁をより適切に親水化し吐出性能の安定を図ることを目的になされたものである。
本発明は上記課題に対応したもので、ノズル基板の製造中に、ノズル孔内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを抑制して、ノズル孔内壁をより適切に親水化し吐出性能の安定を図ることを目的になされたものである。
本発明に係るノズル基板の製造方法は、
シリコン基板をドライエッチングしてノズル孔となる部分を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分が形成されたシリコン基板の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分に溶解性樹脂を充填する工程と、
支持基板を前記シリコン基板の前記ノズル孔部を加工した面に貼り合せる工程と、
支持基板を貼り合せた面と反対側の面から前記シリコン基板を研削及び研磨して薄板化し、前記ノズル孔を貫通させる工程と、
前記シリコン基板の研削及び研磨した面に撥インク膜を成膜する工程と、
前記支持基板を剥離し、前記シリコン基板の撥インク膜成膜面をプライマー処理する工程と、
前記溶解性樹脂を前記ノズル孔から除去する工程と、を備えたものである。
本発明の方法によれば、ノズル孔部分に充填された溶解性樹脂が、ノズル内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを抑制するため、ノズル孔内壁がより適切に親水化されて吐出性能が安定する。
シリコン基板をドライエッチングしてノズル孔となる部分を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分が形成されたシリコン基板の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分に溶解性樹脂を充填する工程と、
支持基板を前記シリコン基板の前記ノズル孔部を加工した面に貼り合せる工程と、
支持基板を貼り合せた面と反対側の面から前記シリコン基板を研削及び研磨して薄板化し、前記ノズル孔を貫通させる工程と、
前記シリコン基板の研削及び研磨した面に撥インク膜を成膜する工程と、
前記支持基板を剥離し、前記シリコン基板の撥インク膜成膜面をプライマー処理する工程と、
前記溶解性樹脂を前記ノズル孔から除去する工程と、を備えたものである。
本発明の方法によれば、ノズル孔部分に充填された溶解性樹脂が、ノズル内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを抑制するため、ノズル孔内壁がより適切に親水化されて吐出性能が安定する。
なお、前記ノズル孔となる部分に溶解性樹脂を充填する工程では、前記シリコン基板を回転させながら前記溶解性樹脂の溶剤を滴下し、前記シリコン基板の前記ノズル孔内のみに前記溶解性樹脂を残し、前記シリコン基板の表面の前記溶解性樹脂を除去することが好ましい。
このようにすることで、シリコン基板の表面の溶解性樹脂膜厚のバラツキに起因するノズル基板の厚みのバラツキが防止でき、形状精度の良いノズル基板が得られる。
このようにすることで、シリコン基板の表面の溶解性樹脂膜厚のバラツキに起因するノズル基板の厚みのバラツキが防止でき、形状精度の良いノズル基板が得られる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、
ガラス基板に固定電極を形成し電極基板とする工程と、
前記ガラス基板にキャビティ基板となるシリコン基板を陽極接合する工程と、
前記シリコン基板にエッチングを施し、前記ガラス基板の固定電極に対向する部分を変形可能な底壁とする液滴吐出室を形成してキャビティ基板とする工程と、
前記キャビティ基板に請求項1または2のいずれかの方法により製造したノズル基板を接着する工程と、を備えたものである。
本発明の方法によれば、ノズル基板のノズル孔内壁がより適切に親水化されて、ノズル孔からの吐出性能が安定する。
ガラス基板に固定電極を形成し電極基板とする工程と、
前記ガラス基板にキャビティ基板となるシリコン基板を陽極接合する工程と、
前記シリコン基板にエッチングを施し、前記ガラス基板の固定電極に対向する部分を変形可能な底壁とする液滴吐出室を形成してキャビティ基板とする工程と、
前記キャビティ基板に請求項1または2のいずれかの方法により製造したノズル基板を接着する工程と、を備えたものである。
本発明の方法によれば、ノズル基板のノズル孔内壁がより適切に親水化されて、ノズル孔からの吐出性能が安定する。
図1は、本発明の実施形態に係るノズル基板を備えた液滴吐出ヘッドを示した縦断面図である。なお図1では、駆動回路4の部分を模式的に示している。実施形態1に係る液滴吐出ヘッドは、ノズル基板1、キャビティ基板2、電極基板3が順に積層されて構成されている。
ノズル基板1は、シリコン基板からなり、狭い孔径の第1ノズル孔部分10aとそれより広い孔径の第2ノズル孔部分10bとが連通したノズル穴10が形成されている。第1ノズル孔部分10aは、液滴吐出面1aの側に形成されており、第2ノズル孔部分10bは、キャビティ基板2との接合面1bの側に形成されている。
ノズル基板1は、液滴吐出面1aに液滴保護膜11を有する。また、液滴吐出面1aには撥水膜(又は撥インク膜)12も形成されている。
なお、ノズル基板1の接合面1b側及びノズル孔10の内壁にも、液滴保護膜(後述する図6の符号102)が形成されている。
ノズル基板1は、液滴吐出面1aに液滴保護膜11を有する。また、液滴吐出面1aには撥水膜(又は撥インク膜)12も形成されている。
なお、ノズル基板1の接合面1b側及びノズル孔10の内壁にも、液滴保護膜(後述する図6の符号102)が形成されている。
キャビティ基板2は、例えば単結晶シリコンからなり、底壁が変形可能な振動板23に形成された吐出室(圧力室ともいう)20が複数形成されている。吐出室20はノズル基板1のノズル孔10に連通している。なお、吐出室20は、図1の紙面奥側又は紙面手前側に並んで形成されているものとする。また、キャビティ基板2には、各吐出室20にインク等の液滴を供給するためのリザーバ22が形成されており、このリザーバ22と各吐出室20の間には細溝状のオリフィス21が形成されている。さらに、キャビティ基板2の電極基板3との対向面には、例えば熱酸化によって酸化シリコンからなる絶縁膜24が形成されている。この絶縁膜24は、液滴吐出ヘッドの駆動時の絶縁破壊やショートを防止するために設けられる。
電極基板3は、キャビティ基板2の振動板23と対向する位置に配置されたガラスから成る基板である。電極基板3には、複数の溝が形成され、各溝内に各振動板23と対向するそれぞれ独立した複数の固定電極(個別電極ともいう)31が形成されて、そのリード部31aが端部の開口部まで引き出されている。振動板23と固定電極31との間にはギャップ30が形成されており、そのギャップ30は封止材33で封止されている。このギャップ30を介した振動板23と固定電極31とにより、振動板23が静電力により変形する静電アクチュエータが構成される。
電極基板3にはまた、リザーバ22と連通するインク供給孔32が形成されている。このインク供給孔32は、リザーバ22の底壁に設けられた孔25と繋がっており、リザーバ22にインク等の液滴を外部から供給するために設けられている。
電極基板3にはまた、リザーバ22と連通するインク供給孔32が形成されている。このインク供給孔32は、リザーバ22の底壁に設けられた孔25と繋がっており、リザーバ22にインク等の液滴を外部から供給するために設けられている。
ここで図1に示す液滴吐出ヘッドの動作について説明する。なお、キャビティ基板2と各固定電極31の間には駆動回路4が接続されている。駆動回路4によりキャビティ基板2と固定電極31の間にパルス電圧が印加されると、振動板23が静電力によって固定電極31の側に撓み、リザーバ22の内部に溜まっていたインク等の液滴が吐出室20に流れ込む。そして、キャビティ基板2と固定電極31の間に印加された電圧がなくなると、振動板23が元の位置に戻るため吐出室20の内部圧力が高くなり、その圧力によってノズル孔10からインク等の液滴が吐出される。
図2は、ノズル基板1を液滴吐出面側1aから見た上面図である。図2に示すように、ノズル基板1の表面には複数のノズル孔10が直線状に列を形成して配置されている。なお、符号13は、ノズル基板1をキャビティ基板2に接合する際に利用するピンアライメント穴である。
図3〜図6は、本発明の実施形態に係るノズル基板1の製造工程の一例を示した工程図である。これに基づいて、ノズル基板1の製造方法を説明する。
(A)まず、厚み280μmのシリコン基板1(ノズル基板1となるものなので同じ符号1で表す)を用意し、熱酸化装置にセットし、例えば、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、シリコン基板1の表面に膜厚1μmのSiO2 膜102を均一に成膜する。
(B)シリコン基板1の接合面1bにレジスト121をコーティングし、第2ノズル孔10bとなる部分をパターニングする。
(C)緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜102を薄くする。このとき、裏面のSiO2 膜102もエッチングされ、その厚みが薄くなる。
(D)レジスト121を硫酸洗浄などにより剥離する。
(E)シリコン基板1の接合面1bに再度レジスト121をコーティングし、接合面1bに第1ノズル孔10aとなる部分をパターニングする。
(F)緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、第1ノズル孔10aとなる部分のSiO2 膜102を除去する。このとき、裏面のSiO2 膜102もエッチングされ完全に除去される。
(G)レジスト121を硫酸洗浄などにより剥離する。
(A)まず、厚み280μmのシリコン基板1(ノズル基板1となるものなので同じ符号1で表す)を用意し、熱酸化装置にセットし、例えば、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、シリコン基板1の表面に膜厚1μmのSiO2 膜102を均一に成膜する。
(B)シリコン基板1の接合面1bにレジスト121をコーティングし、第2ノズル孔10bとなる部分をパターニングする。
(C)緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜102を薄くする。このとき、裏面のSiO2 膜102もエッチングされ、その厚みが薄くなる。
(D)レジスト121を硫酸洗浄などにより剥離する。
(E)シリコン基板1の接合面1bに再度レジスト121をコーティングし、接合面1bに第1ノズル孔10aとなる部分をパターニングする。
(F)緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、第1ノズル孔10aとなる部分のSiO2 膜102を除去する。このとき、裏面のSiO2 膜102もエッチングされ完全に除去される。
(G)レジスト121を硫酸洗浄などにより剥離する。
(H)ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜102の開口部を、例えば、深さ25μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第1ノズル孔10aを形成する。この場合のエッチングガスとしては、例えば、C4F8とSF6を使用し、これらのエッチングガスを交互に使用すればよい。ここで、C4F8は形成される溝の側面にエッチングが進行しないように溝側面を保護するために使用し、SF6はシリコン基板1の垂直方向のエッチングを促進させるために使用する。
(I)次に、第2ノズル孔10bとなる部分のSiO2 膜102のみが無くなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする。
(J)ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜102の開口部を、例えば、深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第2ノズル孔10bを形成する。
(I)次に、第2ノズル孔10bとなる部分のSiO2 膜102のみが無くなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする。
(J)ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜102の開口部を、例えば、深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第2ノズル孔10bを形成する。
(K)シリコン基板1の表面に残るSiO2 膜102をフッ酸水溶液で除去する。その後、シリコン基板1を熱酸化装置にセットし、例えば、酸化温度1000℃、酸化時間2時間、酸素雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、ICPドライエッチング装置で加工した第1ノズル孔10a及び第2ノズル孔10bの側面、底面に膜厚0.1μmのSiO2 膜102を再度均一に成膜する。
その後さらに、溶剤等で溶解可能な溶解性樹脂201をノズル孔10(10a,10b)開口面側からコートして、ノズル孔10(10a,10b)内に溶解性樹脂201を充填する。なお、基板1にコートした溶解性樹脂201に膜厚バラツキがあると、基板薄板化後のノズル基板1の厚みのバラツキとなる。それを回避するため、シリコン基板1をスピンナーで回転させながら、溶解性樹脂201専用の溶剤を滴下し、ノズル孔10内の溶解性樹脂201を残し、基板1の表面の溶解性樹脂を除去するのがよい。
溶解性樹脂201は、例えば、シリコン基板やガラス基板を研磨する際に治具固定用に使用するペースト等とすることができる。溶解性樹脂201の一例としては、日化精工社製の商品名「スカイリキッド」を挙げることができ、溶剤の一例としては、日化精工社製の商品名「キララクリーン」を挙げることができる。
(L)次にガラス等の第1の支持基板103に紫外線または熱などの刺激で容易に接着力が低下する自己剥離層131を持った両面テープ130を貼り合わせる。第1の支持基板103に貼り合わせた両面テープ130の自己剥離層131の面と、シリコン基板1の接合面1bを向かい合わせ、真空中で貼り合せることによって接着界面に気泡が残らないきれいな接着が可能になる。もし接着界面に気泡が残ると研磨加工で薄板化されるシリコン基板の板厚がばらつく原因となる。両面テープとしては、例えば、住友化学工業社製の商品名「SELFA−BG」を挙げることができる。
(M)シリコン基板1の吐出面1a側からバックグラインダーで研削加工を行い、所望の板厚、例えば71μmまでシリコン基板1を薄くし、第1ノズル孔10aの先端を開口させる。さらに、ポリッシャー、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)装置によって、シリコン基板1の研削面を研磨し、所定の板厚、例えば65μmにする。
その後さらに、溶剤等で溶解可能な溶解性樹脂201をノズル孔10(10a,10b)開口面側からコートして、ノズル孔10(10a,10b)内に溶解性樹脂201を充填する。なお、基板1にコートした溶解性樹脂201に膜厚バラツキがあると、基板薄板化後のノズル基板1の厚みのバラツキとなる。それを回避するため、シリコン基板1をスピンナーで回転させながら、溶解性樹脂201専用の溶剤を滴下し、ノズル孔10内の溶解性樹脂201を残し、基板1の表面の溶解性樹脂を除去するのがよい。
溶解性樹脂201は、例えば、シリコン基板やガラス基板を研磨する際に治具固定用に使用するペースト等とすることができる。溶解性樹脂201の一例としては、日化精工社製の商品名「スカイリキッド」を挙げることができ、溶剤の一例としては、日化精工社製の商品名「キララクリーン」を挙げることができる。
(L)次にガラス等の第1の支持基板103に紫外線または熱などの刺激で容易に接着力が低下する自己剥離層131を持った両面テープ130を貼り合わせる。第1の支持基板103に貼り合わせた両面テープ130の自己剥離層131の面と、シリコン基板1の接合面1bを向かい合わせ、真空中で貼り合せることによって接着界面に気泡が残らないきれいな接着が可能になる。もし接着界面に気泡が残ると研磨加工で薄板化されるシリコン基板の板厚がばらつく原因となる。両面テープとしては、例えば、住友化学工業社製の商品名「SELFA−BG」を挙げることができる。
(M)シリコン基板1の吐出面1a側からバックグラインダーで研削加工を行い、所望の板厚、例えば71μmまでシリコン基板1を薄くし、第1ノズル孔10aの先端を開口させる。さらに、ポリッシャー、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)装置によって、シリコン基板1の研削面を研磨し、所定の板厚、例えば65μmにする。
(N)シリコン基板1の吐出面1aに、液滴保護膜11として作用し、かつ、後述する撥インク膜の下地となる酸化物系金属膜、例えば、SiO2 膜をスパッタ装置で0.1μmの厚みで成膜する。ここで、酸化物系金属膜の成膜は、自己剥離層131が劣化しない温度(100℃程度)以下で実施できれば良く、スパッタリング法に限るものではない。酸化物系金属膜としては、酸化ハフニウム膜、酸化タンタル、酸化チタン、酸化インジウム錫、酸化ジルコニウムも使用できる。自己剥離層に影響しない温度で成膜することができ、シリコン基板1への密着性を確保することができれば、成膜方法はスパッタ等に限らず、CVD等の手法でも良い。
(O)続いて、シリコン基板1の吐出面1aの表面に撥インク処理を施す。ここでは、フッ素(F)原子を含む撥インク性を持った材料を蒸着やディッピングで成膜し、撥インク膜12を形成する。
(P)その後、支持基板103側からUV光を照射し、シリコン基板1から、両面テープ130及び支持基板103を剥離する。
(Q)次に、Arプラズマ若しくはO2 プラズマ処理によって、シリコン基板1の接合面1bやノズル孔10の周囲に余分に形成された撥インク膜12を除去する。
(R)さらに、接着強度を上げるため、シリコン基板1をプライマー処理液に1時間浸漬した後、純水でリンスし、80℃で1時間の条件でベーキングする。このとき、プライマー処理液として、例えば、シランカップリング剤(型番:SH6020、東レダウ社製)を用いる。その後、シリコン基板1を溶解性樹脂201専用の溶剤に浸し、超音波を印加しながらノズル孔10内部の溶解性樹脂201を溶解除去して、ノズル基板1を完成させる。
(O)続いて、シリコン基板1の吐出面1aの表面に撥インク処理を施す。ここでは、フッ素(F)原子を含む撥インク性を持った材料を蒸着やディッピングで成膜し、撥インク膜12を形成する。
(P)その後、支持基板103側からUV光を照射し、シリコン基板1から、両面テープ130及び支持基板103を剥離する。
(Q)次に、Arプラズマ若しくはO2 プラズマ処理によって、シリコン基板1の接合面1bやノズル孔10の周囲に余分に形成された撥インク膜12を除去する。
(R)さらに、接着強度を上げるため、シリコン基板1をプライマー処理液に1時間浸漬した後、純水でリンスし、80℃で1時間の条件でベーキングする。このとき、プライマー処理液として、例えば、シランカップリング剤(型番:SH6020、東レダウ社製)を用いる。その後、シリコン基板1を溶解性樹脂201専用の溶剤に浸し、超音波を印加しながらノズル孔10内部の溶解性樹脂201を溶解除去して、ノズル基板1を完成させる。
以上の方法によれば、ノズル孔10部分に充填された溶解性樹脂201が、ノズル内に撥インク膜やプライマー液が入り込むのを防止するため、ノズル孔10内壁がより適切に親水化されて、このノズル基板1を使用した吐出ヘッドの吐出性能が安定する。
次に、ノズル基板1を利用した液滴吐出ヘッドの製造方法の一例を図7のフローチャートを基に簡単に説明しておく。
まず、ガラス基板に溝を形成し(S1)、その溝内に導体であるITOを成膜して固定電極(個別電極)31及びリード部31aを形成して(S2)、電極基板3を製造する。
続いて、キャビティ基板2となるシリコン基板を電極基板3に陽極接合する(S3)。このとき、シリコン基板と固定電極31との間には、後に形成される振動板23が変形する空間となるギャップ30を介在させる。
続いて、電極基板3に接合されたシリコン基板にウェットエッチング等を施し、振動板23を底面とした吐出室20、オリフィス21及びリザーバ22等の流路を形成してキャビティ基板2とする(S4)。
その後、固定電極31と振動板23との間のギャップ30を封止材33で封止する(S5)。
最後に、先に製造しておいたノズル基板1を、キャビティ基板2の流路形成面側に接着剤で接合して、液滴吐出ヘッドが完成する(S6)。
まず、ガラス基板に溝を形成し(S1)、その溝内に導体であるITOを成膜して固定電極(個別電極)31及びリード部31aを形成して(S2)、電極基板3を製造する。
続いて、キャビティ基板2となるシリコン基板を電極基板3に陽極接合する(S3)。このとき、シリコン基板と固定電極31との間には、後に形成される振動板23が変形する空間となるギャップ30を介在させる。
続いて、電極基板3に接合されたシリコン基板にウェットエッチング等を施し、振動板23を底面とした吐出室20、オリフィス21及びリザーバ22等の流路を形成してキャビティ基板2とする(S4)。
その後、固定電極31と振動板23との間のギャップ30を封止材33で封止する(S5)。
最後に、先に製造しておいたノズル基板1を、キャビティ基板2の流路形成面側に接着剤で接合して、液滴吐出ヘッドが完成する(S6)。
上記の方法で製造した液滴吐出ヘッドは、インクジェットヘッドとしてプリンタに使用できる他に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置や、液晶表示装置のカラーフィルタの製造装置、DNAデバイスの製造装置等にも適用できる。
1 ノズル基板(シリコン基板)、1a ノズル基板の液滴吐出面、1b ノズル基板の接合面、2 キャビティ基板、3 電極基板、4 駆動回路、10 ノズル孔、10a 第1ノズル孔、10b 第2ノズル孔、11 液滴保護膜、12 撥水膜(又は撥インク膜)、20 吐出室(圧力室)、21 オリフィス、22 リザーバ、23 振動板、24 絶縁膜、25 キャビティ基板の液滴供給孔、26 共通電極、30 ギャップ、31 固定電極(個別電極)、31a リード部、32 電極基板の液滴供給孔、33 封止材、102 液滴保護膜(SiO2 膜)、201 溶解性樹脂。
Claims (3)
- シリコン基板をドライエッチングしてノズル孔となる部分を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分が形成されたシリコン基板の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記ノズル孔となる部分に溶解性樹脂を充填する工程と、
支持基板を前記シリコン基板の前記ノズル孔部を加工した面に貼り合せる工程と、
支持基板を貼り合せた面と反対側の面から前記シリコン基板を研削及び研磨して薄板化し、前記ノズル孔を貫通させる工程と、
前記シリコン基板の研削及び研磨した面に撥インク膜を成膜する工程と、
前記支持基板を剥離し、前記シリコン基板の撥インク膜成膜面をプライマー処理する工程と、
前記溶解性樹脂を前記ノズル孔から除去する工程と、
を備えたことを特徴とするノズル基板の製造方法。 - 前記ノズル孔となる部分に溶解性樹脂を充填する工程では、
前記シリコン基板を回転させながら前記溶解性樹脂の溶剤を滴下し、前記シリコン基板の前記ノズル孔内のみに前記溶解性樹脂を残し、前記シリコン基板の表面の前記溶解性樹脂を除去することを特徴とする請求項1記載のノズル基板の製造方法。 - ガラス基板に固定電極を形成し電極基板とする工程と、
前記ガラス基板にキャビティ基板となるシリコン基板を陽極接合する工程と、
前記シリコン基板にエッチングを施し、前記ガラス基板の固定電極に対向する部分を変形可能な底壁とする液滴吐出室を形成してキャビティ基板とする工程と、
前記キャビティ基板に請求項1または2のいずれかの方法により製造したノズル基板を接着する工程と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088698A JP2010240854A (ja) | 2009-04-01 | 2009-04-01 | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009088698A JP2010240854A (ja) | 2009-04-01 | 2009-04-01 | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010240854A true JP2010240854A (ja) | 2010-10-28 |
Family
ID=43094482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009088698A Withdrawn JP2010240854A (ja) | 2009-04-01 | 2009-04-01 | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010240854A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017185748A (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | 噴射孔プレートの製造方法 |
JP2018069685A (ja) * | 2016-11-02 | 2018-05-10 | ローム株式会社 | ノズル基板、インクジェットプリントヘッドおよびノズル基板の製造方法 |
-
2009
- 2009-04-01 JP JP2009088698A patent/JP2010240854A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017185748A (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | エスアイアイ・プリンテック株式会社 | 噴射孔プレートの製造方法 |
JP2018069685A (ja) * | 2016-11-02 | 2018-05-10 | ローム株式会社 | ノズル基板、インクジェットプリントヘッドおよびノズル基板の製造方法 |
JP6990971B2 (ja) | 2016-11-02 | 2022-01-12 | ローム株式会社 | ノズル基板、インクジェットプリントヘッドおよびノズル基板の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5145985B2 (ja) | ノズル基板及びノズル基板の製造方法 | |
JP5728795B2 (ja) | ノズルプレートの製造方法、及び、液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP4660683B2 (ja) | ノズルプレートの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2011121218A (ja) | ノズルプレート、吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに吐出装置 | |
JP2007152621A (ja) | 液滴吐出ヘッド及びその製造方法 | |
JP4692534B2 (ja) | シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法 | |
JP5332275B2 (ja) | シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2010208122A (ja) | ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2008094018A (ja) | ノズルプレートの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2007261152A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2010240854A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2009178948A (ja) | ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP5648262B2 (ja) | シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2009262414A (ja) | シリコン製ノズル基板、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2009292080A (ja) | シリコン製ノズル基板、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2009029018A (ja) | ノズル基板の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置 | |
JP2007320254A (ja) | ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置の製造方法及び液滴吐出装置 | |
JP2011000893A (ja) | シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法 | |
JP2008114462A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP2010214923A (ja) | ノズル基板の製造方法、その製造方法で製造されたノズル基板、液滴吐出ヘッドの製造方法、その製造方法で製造された液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP2011079245A (ja) | ノズル基板及びノズル基板の製造方法並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 | |
JP2010149375A (ja) | ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 | |
JP2010046971A (ja) | シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2010125704A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法 | |
JP2008149530A (ja) | ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20120605 |