JP2010046971A - シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents

シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン基材の厚み精度を向上させ、かつ薄板化を容易に行なうことができるシリコン製ノズル基板の製造方法等を提供する。
【解決手段】シリコン基材100の一方の面をドライエッチングして、ノズル孔11となる凹部110とそれより深い終点検出用貫通孔12となる凹部120とを同時に形成する工程と、ノズル孔11となる凹部110及び終点検出用貫通孔12となる凹部120を形成した側の面に支持基板50を貼り合わせる工程と、ノズル孔11となる凹部110及び終点検出用貫通孔12となる凹部120を形成した側の面と反対側の面100cを研削して、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通したことを検出する工程と、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通したことを検出したときに研削を終了し、研削された面をさらに薄板化してノズル孔11となる凹部110を開口する工程と、支持基板50を剥離する工程とを有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェットプリンタに搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、駆動部により吐出室に圧力を加えることによって、インク液を選択されたノズル孔から吐出するように構成されている。駆動手段としては、静電気力を利用する方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等がある。
近年、インクジェットヘッドに対して、印刷速度の高速化及びカラー化を目的としてノズル列を複数有する構造が求められており、さらに加えて、ノズルは高密度化するとともに1列あたりのノズル数が増加して長尺化しており、インクジェットヘッド内のアクチュエータ数は益々増加している。このため、ノズル密度が高く、長尺かつ多数のノズル列を有する、小型で吐出特性に優れたインクジェットヘッドが要求され、従来から様々な工夫、提案がなされている。
従来のインクジェットヘッドは、ノズル基板を製造する際、エッチングによりシリコン基材の一方の面にノズル孔となる凹部を形成した後、その面に支持基板を貼り付けし、その反対側の面から研削及びドライエッチング等により薄板化してノズル孔となる凹部を開口していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−159661号公報(第10頁、図6)
特許文献1記載の技術では、ノズル孔となる凹部を形成した側の面と反対側の面を研削する際に、シリコン基材の表面からの研削量を所望の研削量となるように研削時間を設定していた。しかしながら、この場合は、研削前のシリコン基材の厚さがばらついていたり、あるいは研削砥石の劣化等により研削量が安定しない場合、研削後のシリコン基材の厚さがばらついてしまうため、エッチング等を行ってノズル孔となる凹部を形成する際に、ノズル孔の深さが安定せず、吐出性能もばらついてしまうといった問題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ノズル基板となるシリコン基材を研削及び研磨により薄板化する工程において、シリコン基材の厚み精度を向上させ、かつ薄板化を容易に行なうことができるシリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、シリコン基材の一方の面をドライエッチングして、ノズル孔となる凹部とノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する工程と、ノズル孔となる凹部及び終点検出用貫通孔となる凹部を形成した側の面に支持基板を貼り合わせる工程と、ノズル孔となる凹部及び終点検出用貫通孔となる凹部を形成した側の面と反対側の面を研削して、終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出する工程と、終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出したときに研削を終了し、研削された面をさらに薄板化してノズル孔となる凹部を開口する工程と、支持基板を剥離する工程とを有するものである。
ノズル基板となるシリコン基材を研削により薄板化する際、研削における終点検出を行うための終点検出用貫通孔となる凹部をシリコン基材に設けたので、研削においてシリコン基材の厚み精度を向上することができ、これにより液滴の吐出ばらつきを低減することができる。
また、シリコン基材の元々の厚みを管理することなく、第1のノズル孔部となる凹部、第2のノズル孔部となる凹部、終点検出用貫通孔となる凹部のエッチング深さのみを管理すればよいので、作業工程を削減することができる。
さらに、第1のノズル孔部となる凹部及び第2のノズル孔部となる凹部の形成と同時に終点検出用貫通孔となる凹部を形成することができるので、工程が増えることなく容易に作成することが可能である。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、ノズル孔が多段形状のノズル孔であって、ノズル孔となる凹部とノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する際に、終点検出用貫通孔となる凹部の径を、多段形状のノズル孔となる凹部の大径側の径と等しいかまたはそれよりも大きくしたものである。
終点検出用貫通孔となる凹部の径を、多段形状のノズル孔となる凹部の大径側の径と等しいかまたはそれよりも大きくしたので、マイクロローディング効果により、ノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部を形成することができる。これにより、研削時には、ノズル孔となる凹部が貫通する前に終点検出用貫通孔となる凹部が貫通して研削を終了するため、ノズル孔内に研削屑が侵入せず、ノズル孔内の異物付着を抑制することができる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、ノズル孔が軸方向に同径で段差のないノズル孔であって、ノズル孔となる凹部とノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する際に、終点検出用貫通孔となる凹部の径を、軸方向に同径で段差のないノズル孔となる凹部の径よりも大きくしたものである。
終点検出用貫通孔となる凹部の径を、軸方向に同径で段差のないノズル孔となる凹部の径よりも大きくしたので、マイクロローディング効果により、ノズル孔となる凹部よりも深い終点検出用貫通孔となる凹部を形成することができる。これにより、研削時には、ノズル孔となる凹部が貫通する前に終点検出用貫通孔となる凹部が貫通して研削を終了するため、ノズル孔内に研削屑が侵入せず、ノズル孔内の異物付着を抑制することができる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したときに、この凹部内の圧力変化を検知して凹部が貫通したことを検出するものである。
終点検出用貫通孔となる凹部内の圧力変化を圧力検出装置により検出することができるので、凹部が貫通したことを容易かつ確実に検出することができる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したときに、この凹部内の流量変化を検知して凹部が貫通したことを検出するものである。
終点検出用貫通孔となる凹部内の流量変化を流量検出装置により検出することができるので、凹部が貫通したことを容易かつ確実に検出することができる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出したときに研削を終了し、研削された面をさらに薄板化する際に、ドライエッチングにより薄板化し、またはCMPにより研磨して薄板化するようにしたものである。
終点検出用貫通孔となる凹部の貫通後、さらに、ドライエッチングにより薄板化し、またはCMPにより研磨して薄板化するので、シリコン基材の厚み精度を高めることができるとともに研削面における加工変質層の除去、及び研削面の面粗さ低減が可能となる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、終点検出用貫通孔となる凹部を液滴の吐出に影響を与えないヘッドチップ内及びヘッドチップ外に複数設けるものである。
終点検出用貫通孔となる凹部を液滴の吐出に影響を与えないヘッドチップ内及びヘッドチップ外に複数設けるので、終点検出用貫通孔の深さばらつきの影響を低減でき、終点検出精度の向上、さらにはシリコン基材の厚み精度を向上することができる。
また、本発明に係るシリコン製ノズル基板の製造方法は、終点検出用貫通孔となる凹部をノズル孔となる凹部の近傍に形成するものである。
終点検出用貫通孔となる凹部をノズル孔となる凹部の近傍に形成するので、薄板化の精度が向上、ひいては、ノズル孔の深さ精度が向上し、信頼性が高くなる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記いずれかのシリコン製ノズル基板の製造方法を適用して、液滴吐出ヘッドのシリコン製ノズル基板部分を形成するものである。
シリコン製ノズル基板の厚み精度が向上し、液滴の吐出ばらつきが低減して、液滴吐出が安定した液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド部分を形成するものである。
液滴吐出が安定した高性能の液滴吐出装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1は本実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの一部を断面で示した分解斜視図、図2は図1を組立てた状態の要部を示す縦断面図、図3は図2のノズル孔の近傍を拡大して示した縦断面図である。
液滴吐出ヘッド10は、図1および図2に示すように、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
ノズル基板1は、シリコン単結晶基材(以下、単にシリコン基材ともいう)から作製されている。ノズル基板1には液滴を吐出するための二段形状のノズル孔11が開口されており、各ノズル孔11は、例えば、径の異なる円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわち、液滴吐出面1a側に位置して先端が液滴吐出面1aに開口する径の小さい吐出部(以下、第1のノズル孔部という)11aと、キャビティ基板2と接合する接合面1b側に位置して後端が接合面1bに開口する径の大きい導入部(以下、第2のノズル孔部という)11bとから構成され、基板面に対して垂直にかつ同軸上に形成されている。
ノズル孔11の内壁11cから接合面1bにかけては酸化物からなる第1の保護膜13が形成され、また、ノズル孔11の液滴吐出面1a側には酸化物からなる第2の保護膜14(以下、液滴保護膜14という)が形成されている。さらに、液滴保護膜14の上には、フッ素含有有機化合物からなる撥水膜15が形成されている。
なお、ノズル孔11の吐出口縁部11dを境にして、ノズル孔11の内壁11cは親水化処理されている。
ノズル基板1には、さらにストレート形状の、例えば円筒状に形成された1個または複数個の終点検出用貫通孔12が設けられている。これは、ノズル基板1となるシリコン基材100を研削によって薄板化する際(図8(m)、(n)参照)、研削における終点検出時に貫通された検出孔であって、研削時に研削が終点検出用貫通孔12となる凹部120(図8(m)参照)まで達したとき(図8(n)参照)の凹部120内の圧力変化を検出することにより、シリコン基材100の研削を終了させるためのものである。
なお、この終点検出用貫通孔12は、ノズル孔11の近傍に形成すると、研削における終点検出における精度を向上させることができる。
このストレート形状の終点検出用貫通孔12の径は、二段形状のノズル孔11の大径側の第2のノズル孔部11bの径よりも大きく形成されている。これは、エッチング時に、マイクロローディング効果により、孔径が大きいほどエッチングレートが大きくなるため、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方がノズル孔11となる凹部110より深くエッチングされるためである。
ただし、本実施の形態1では、ノズル孔1が二段形状(多段形状)で構成されているため、終点検出用貫通孔12の径が大径側の第2のノズル孔部11bの径と等しい場合であっても、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くエッチングされる。これは、小径側の第1のノズル孔部11aの径が終点検出用貫通孔12の径よりも小さいため、マイクロローディング効果により、第1のノズル孔部11aとなる凹部110aの形成時に終点検出用貫通孔12となる凹部120とエッチング深さに差異が生じ、全体として終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くなるためである。
三段以上の多段ノズルの場合も同様に、終点検出用貫通孔12の径が大径側のノズル孔部の径より大きい場合のみならず、等しい場合であっても、全体として終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くなる。
なお、ノズル孔の形状が軸方向に同径のストレート形状、例えば円筒状に形成されて段差がない場合は、終点検出用貫通孔12の径は、ノズル孔部11の径より大きくなければならず、同径である場合は、凹部のエッチング深さに差異が生じない。
キャビティ基板2は、シリコン単結晶基材(この基材も以下、単にシリコン基材ともいう)から作製されている。そして、シリコン基材に異方性ウェットエッチングを施し、液体流路の吐出室24、リザーバ25をそれぞれ構成するための凹部240、250、及びオリフィス23を構成するための凹部230が形成される。
凹部240はノズル孔11に対応する位置に独立に複数形成される。したがって、ノズル基板1とキャビティ基板2を接合した際、各凹部240は吐出室24を構成し、それぞれがノズル孔11に連通し、また液体供給口であるオリフィス23ともそれぞれ連通している。そして、吐出室24(凹部240)の底壁が振動板22となっている。
他方の凹部250は、液体を貯留するためのものであり、各吐出室24に共通のリザーバ(共通インク室)25を構成する。そして、リザーバ25(凹部250)はそれぞれオリフィス23を介して全ての吐出室24に連通している。また、リザーバ25の底部には後述する電極基板3を貫通する孔が設けられており、この孔で形成された液体供給孔34を通じて図示しないインクカートリッジから液体が供給されるようになっている。
また、キャビティ基板2の全面、もしくは少なくとも電極基板3との対向面には、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜26が形成されており、この絶縁膜26は、液滴吐出ヘッドを駆動させたときに、絶縁破壊や短絡を防止する。
電極基板3は、ガラス基材から作製されている。このガラス基材は、キャビティ基板2のシリコン基材と熱膨張係数の近い硼珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いるのが好ましい。これは、電極基板3とキャビティ基板2とを陽極接合する際、両基板3,2の熱膨張係数が近いため、電極基板3とキャビティ基板2との間に生じる応力を低減することができ、その結果、剥離等の問題を生じることなく電極基板3とキャビティ基板2とを強固に接合することができるからである。
電極基板3のキャビティ基板2と対向する面には、キャビティ基板2の各振動板22に対向する位置にそれぞれ凹部32が設けられている。そして、各凹部32内には、一般に、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31が形成されており、振動板22と個別電極31との間に形成されるギャップ(空隙)Gは、液滴吐出ヘッドの吐出特性に大きく影響する。なお、個別電極31の材料にはクロム等の金属等を用いてもよいが、ITOは透明であるので放電したかどうかの確認が行いやすいため、一般にITOが用いられている。
個別電極31は、リード部31aと、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部31bとを有する。端子部31bは、図2に示すように、配線のためにキャビティ基板2の末端部が開口された電極取り出し部29内に露出している。
上述したノズル基板1、キャビティ基板2、及び電極基板3は、一般に個別に作製され、これらを図2に示すように貼り合わせることにより、液滴吐出ヘッド10の本体部が作製される。すなわち、キャビティ基板2と電極基板3は例えば陽極接合により接合され、そのキャビティ基板2の上面(図2の上面)にはノズル基板1が接着剤等により接合される。さらに、振動板22と個別電極31との間に形成されるギャップGの開放端部は、エポキシ等の樹脂による封止材27で封止されている。これにより、湿気や塵埃等がギャップG内へ侵入するのを防止することができる。
そして、図2に示すように、ICドライバ等の駆動制御回路4が、各個別電極31の端子部31bと、キャビティ基板2上に設けられた共通電極28とに、フレキシブル配線基板(図示せず)を介して接続されている。
上記のように構成された液滴吐出ヘッド10において、駆動制御回路4によりキャビティ基板2と個別電極31との間にパルス電圧が印加されると、振動板22と個別電極31との間に静電気力が発生し、その吸引作用により振動板22が個別電極31側に引き寄せられて撓み、吐出室24の容積が拡大する。これにより、リザーバ25の内部に溜まっていた液体がオリフィス23を通じて吐出室24に流れ込む。次に、個別電極31への電圧の印加を停止すると、静電吸引力が消滅して振動板22が復元し、吐出室24の容積が急激に収縮する。これにより、吐出室24内の圧力が急激に上昇し、この吐出室24に連通しているノズル孔11から液滴が吐出される。
次に、液滴吐出ヘッド10の製造方法について、図4〜図14を用いて説明する。図4は本発明の実施の形態1に係るノズル基板1を示す上面図、図5〜図12はノズル基板1の製造工程を示す断面図(図4をA−A線で切断した断面図)である。図13、図14はキャビティ基板2と電極基板3との接合工程を示す断面図であり、ここでは、主に、電極基板3にシリコン基材200を接合した後に、キャビティ基板2を製造する方法を示す。 まず、最初に、図5〜図12により、ノズル基板1の製造方法を説明する。なお、以下に記載の数値はその一例を示すもので、これに限定するものではない。
(a) 図5(a)に示すように、シリコン基材100(ノズル基板1)を用意して熱酸化装置にセットする。
(b) シリコン基材100を、所定の酸化温度、酸化時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、図5(b)に示すように、シリコン基材100の両面100b、100cに、エッチング保護膜となるシリコン酸化膜(SiO2 膜)101を均一に形成する。
(c)図5(c)に示すように、シリコン基材100の接合面100b(キャビティ基板2と接合されることとなる面であって、大径孔側の面ともいう)にレジスト102をコーティングし、第2のノズル孔部11bとなる部分102bと、終点検出用貫通孔12となる部分102cをレジストパターニングする。なお、終点検出用貫通孔12となる部分102cは、終点検出する際の圧力変化を検出しやすくするため、液滴の吐出に影響を与えないヘッドチップ内及びヘッドチップ外に複数個設けることが望ましい。
この場合、終点検出用貫通孔12となる部分102cの径は、第2のノズル孔部11bとなる部分102bの径より大きく形成する。こうすると、マイクロローディング効果により、孔径が大きいほどエッチングレートが大きくなるため、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方がノズル孔11となる凹部110よりも深くエッチングされるためである(図7(k)参照)。
本実施の形態1では、ノズル孔11は二段形状(多段形状)であるため、終点検出用貫通孔12となる部分102cの径は、第2のノズル孔部11bとなる部分102bの径と等しく形成してもよく、この場合であっても、終点検出用貫通孔12となる部分103cの径は、第1のノズル孔部11aとなる部分103aの径より大きいため(図5(d)、図6(f)参照)、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くエッチングされる。
なお、ノズル孔11を多段形状ではなく軸方向に同径のストレート形状とする場合は、この径のみと終点検出用貫通孔となる部分の径との比較となるため、終点検出用貫通孔となる凹部をより深く形成するためには、終点検出用貫通孔となる部分の径はストレート形状のノズル孔となる部分の径よりも大きくする必要がある。
(d)図5(d)に示すように、シリコン酸化膜101を、例えばBHF(Buffered HF 、緩衝フッ酸水溶液、フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、第2のノズル孔となる部分101bと終点検出用貫通孔12となる部分101cのシリコン酸化膜101を薄くする。このとき、液滴吐出側の面100c(薄板化した後、液滴吐出面100aとなる)のシリコン酸化膜101もエッチングされ、シリコン酸化膜101の厚みが減少する。
(e)図6(e)に示すように、シリコン基材100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する。
(f)図6(f)に示すように、シリコン基材100の接合面100b側にレジスト103をコーティングし、第1のノズル孔部11aとなる部分103aと、終点検出用貫通孔12となる部分103cをレジストパターニングする。
この場合、第1のノズル孔部11aとなる部分103aの径は、図5(c)に示した第2のノズル孔部11bとなる部分102bの径よりも小径になるようにレジストパターニングし、終点検出用貫通孔12となる部分103cの径は、図5(c)で形成した終点検出用貫通孔12となる部分102cの径と同径になるようにレジストパターニングする。
(g)図6(g)に示すように、シリコン酸化膜101を、BHF(Buffered HF 、緩衝フッ酸水溶液、フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でフルエッチングし、第1のノズル孔部11aとなる部分101aと終点検出用貫通孔12となる部分101cのシリコン酸化膜101を開口する。このとき、液滴吐出側の面100cのシリコン酸化膜101はエッチングされ、完全に除去される。
(h)図6(h)に示すように、シリコン基材100の接合面100b側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する。
(i)図7(i)に示すように、Deep−RIE(Deep Reactive Ion Etching)によって、垂直に異方性ドライエッチングして、第1のノズル孔部11aとなる凹部110a(例えば40μm)を形成する。このとき、同時に、終点検出用貫通孔12となる凹部120も形成する。終点検出用貫通孔12となる部分101cの径は第1のノズル孔部11aとなる部分101aの径より大きいので、マイクロローディング効果により、第1のノズル孔部11aとなる凹部110aのエッチングレートが遅れ、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くエッチングされる。
(j)図7(j)に示すように、シリコン酸化膜101をBHFによりエッチングして、第2のノズル孔部11bとなる部分101bが開口するまで酸化膜101をウェットエッチングし、第2のノズル孔部11bとなる部分101bの残し厚さが零になるようにする。
(k)図7(k)に示すように、Deep−RIEによって、垂直に異方性ドライエッチングして、第2のノズル孔部11bとなる凹部110bを形成する。このとき、同時に第1のノズル孔部11aとなる凹部110a、及び終点検出用貫通孔12となる凹部120もさらにエッチングされる。
終点検出用貫通孔12となる部分101cの径は第2のノズル孔部11bとなる部分101bの径より大きいので、マイクロローディング効果により、第2のノズル孔部11bとなる凹部110bのエッチングレートが遅れ、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くエッチングされる。
こうして、終点検出用貫通孔12となる凹部120(例えば約65μm)が、ノズル孔11となる凹部110(例えば60μm)よりも深くなる。
次に、シリコン基材100の表面に残るシリコン酸化膜101を除去する。
(l)図8(l)に示すように(図8(l)より図12(s)に至るまでは図7(k)のシリコン基材100の上下を逆転した図を示す)、シリコン基材100を熱酸化装置によって熱酸化処理し、シリコン基材100の接合面100b、ノズル孔11となる凹部110の内壁、終点検出用貫通孔12となる凹部120の内壁、及び液滴吐出側の面100cに、シリコン酸化膜130を形成する。
(m) 図8(m)に示すように、第1の支持基板50の片面に剥離層51をスピンコート(またはスプレーコート等)で塗布し、その上に樹脂層52をスピンコート(またはスプレーコート等)で塗布する。こうして、第1の支持基板50に、ノズル基材100の終点検出用貫通孔12となる凹部120及びノズル孔11となる凹部110が形成された側の面、すなわち接合面100bを貼り付ける。
(n)図8(n)に示すように、研削装置により、シリコン基材100の液滴吐出側の面100cを、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通するまで研削する。研削が終点検出用貫通孔12となる凹部120まで達して貫通した際の終点検出用貫通孔12内の圧力変化を検知して凹部120が貫通したことを検出し、研削を終了する(このとき、ノズル基材100の厚さは例えば65μm)。こうして、ノズル孔11となる凹部110(第1のノズル孔部11aとなる凹部110a)が貫通する前に研削を終了する。
終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通した際の圧力変化の検出は、貫通を検出するための圧力計のような圧力検出装置によって行う。この圧力検出装置は、シリコン基材100を研削する研削装置に設けることができる。
圧力検出装置は、図9に示すように、ウエハーチャック60に真空口61を有する真空溝62が複数設けられており、真空溝62はウエハーチャック60の外部に繋がる真空管63に接続している。真空管63には圧力ゲージ64が設けられ、その端部に真空ポンプ65が設けられている。
そして、第1の支持基板50の孔部50aに圧力検出装置の真空口61を位置させる。終点検出用貫通孔12が未貫通のときは、凹部内の圧力は、例えば−600mmHgである。
図10に示すように、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通したとき(凹部120は終点検出用貫通孔12となる)には、貫通部の圧力は、例えば−500mmHgとなり、−500mmHgを超えたときはこれを検出して、研削を終了する。
なお、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通した際の変化は、圧力検出装置でなく、例えば流量検出計により終点検出用貫通孔12となる凹部120内の液体の流量の変化を検出して、終点検出用貫通孔12となる凹部120の貫通を検出するようにしてもよい。
(o)図11(o)に示すように、ドライエッチング(またはCMP研磨)により、シリコン基材100を、ノズル孔11となる凹部110(第1のノズル孔部11aとなる凹部110a)が開口するまで薄板化する。ノズル孔11となる凹部110(第1、第2のノズル孔部11a、11bとなる凹部110a、110b)が開口すると、ノズル孔11(第1、第2のノズル孔部11a、11b)となる。この際のエッチング量(又は研磨量)は、約5μmである。薄板化された面は液滴吐出面100aとなる。
(p)図11(p)に示すように、シリコン基材100の第1の支持基板50が接合された側の面と反対側の面、すなわち液滴吐出面100a側に、酸化シリコンからなる液滴保護膜140を、ECR(Electorn Cyclotron Resonance)スパッタ装置等の常温スパッタ装置を用いて成膜する。さらに、液滴保護膜140の上に、例えば蒸着やディッピング(浸漬)によって、撥水膜150を形成する。撥水膜150の材料としては、フッ素原子を含有した撥水材料を用いる。
(q)図12(q)に示すように、第2の支持基板55の片面に剥離層56をスピンコート(またはスプレーコート等)で塗布し、その上に樹脂層57をスピンコート(またはスプレーコート等)で塗布する。こうして、第2の支持基板55に、ノズル基材100の液滴吐出面100a(第2の支持基板55が張り合わされている面と反対側の面)を貼り付ける。
次に、第1の支持基板50側からレーザ光等を照射して、剥離層51の部分から第1の支持基板50を剥離し、次に、樹脂層52をシリコン基材100からゆっくと剥がし取る。
(r) 図12(r)に示すように、ノズル孔11(第1のノズル孔部11a及び第2のノズル孔部11b)の内壁に付着した撥水膜150を、ノズル孔11側からプラズマ処理によって除去する。この際、液滴吐出面100a側の撥水膜150は樹脂層57によって保護されるために、ノズル孔11の内壁に付着した撥水膜150のみが除去される。このとき、同時に終点検出用貫通孔12の内壁に付着した撥水膜150も除去される。
こうして、シリコン基材100からノズル基板1が形成される。
(s) 図12(s)に示すように、ノズル基板1の第2の支持基板55が貼り合わされた側の面と反対側の面、すなわち接合面1b側に接着剤等を転写して接着層を形成し、電極基板3が接合されたキャビティ基板2と、ノズル基板1とを接合する(電極基板3とキャビティ基板2との接合基板の製造方法は後述する)。
それから、第2の支持基板55側からレーザ光等を照射して、剥離層56の部分から第2の支持基板55を剥離して、樹脂層57をノズル基板1からゆっくりと剥がし取る。
最後に、ノズル基板1、キャビティ基板2、及び電極基板3が接合された接合基板をダイシング(切断)により分離して、液滴吐出ヘッド10が完成する。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド10のノズル基板1の製造方法によれば、ノズル基板1となるシリコン基材100を研削により薄板化する際、研削における終点検出を行うための検出孔、すなわち終点検出用貫通孔12となる凹部120をシリコン基材100に設けたので、シリコン基材100の研削において厚み精度を向上、ひいてはノズル孔の深さ精度を向上することができ、このため液滴の吐出ばらつきを低減することができる。
また、シリコン基材100の元々の厚みを管理することなく、第1のノズル孔部11aとなる凹部110a、第2のノズル孔部11bとなる凹部110b、終点検出用貫通孔12となる凹部120のエッチング深さのみを管理すればよいので、作業工程を削減することができる。
さらに、終点検出用貫通孔12となる凹部120が貫通した際に研削を終了するため、ノズル孔11内に研削屑が浸入せず、ノズル孔11内の異物付着を抑制することができる。
また、第1のノズル孔部となる凹部110a、第2のノズル孔部11bとなる凹部110bの形成と同時に終点検出用貫通孔12となる凹部120を形成することができるので、工程が増えることなく容易に作成することが可能である。
図13及び図14は、キャビティ基板及び電極基板を接合した接合基板の接合工程を示す縦断面図である。ここでは、電極基板3にシリコン基材200を接合した後、そのシリコン基材200からキャビティ基板2を製造する方法について説明する。
(a) 図13(a)に示すように、硼珪酸ガラス等からなるガラス基材300(ガラス基板3)に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングして、凹部32を形成する。この凹部32は個別電極31の形状より少し大きめの溝状であり、個別電極31ごとに複数形成される。
そして、凹部32の底部に、例えばスパッタによりITO(Indium Tin Oxide)からなる個別電極31を形成する。
その後、ドリル等によってインク供給孔34となる孔部34aを形成することにより、電極基板3が作製される。
(b) 図13(b)に示すように、シリコン基材200(キャビティ基板2)の両面を鏡面研磨した後、シリコン基材200の片面に、プラズマCVDによってTEOS(TetraEthyl Ortho Silicate)からなるシリコン酸化膜(絶縁膜)26を形成する。なお、シリコン基材200を形成する前に、エッチングストップ技術を利用し、振動板22の厚みを高精度に形成するためのボロンドープ層を形成するようにしてもよい。エッチングストップとはエッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のウェットエッチングにおいては、気泡の発生の停止をもってエッチングがストップしたものと判断する。
(c) このシリコン基材200と、図13(a)のようにして作製された電極基板3とを、図13(c)に示すように、例えば360℃に加熱して、シリコン基材200に陽極を、電極基板3に陰極を接続し、800V程度の電圧を印加して陽極接合により接合する。
(d) シリコン基材200と電極基板3とを陽極接合した後に、水酸化カリウム水溶液等で接合状態のシリコン基材200をエッチングし、図13(d)に示すように、シリコン基材200を薄板化する。
(e) 次に、シリコン基材200の上面(電極基板3が接合されている面と反対側の面)の全面にプラズマCVDによって、シリコン酸化膜201を形成する(図14(e)参照)。そして、このシリコン酸化膜201に、吐出室24となる凹部240、オリフィス23となる凹部230、及びリザーバ25となる凹部250等を形成するためのレジストをパターニングし、これらの部分のシリコン酸化膜201をエッチング除去する。
その後、シリコン基材200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングして、図14(e)に示すように、吐出室24となる凹部240、オリフィス23となる凹部230、及びリザーバ25となる凹部250を形成する。このとき、配線のための電極取り出し部となる部分29aもエッチングして薄板化しておく。なお、図14(e)のウェットエッチングの工程では、例えば初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
(f)シリコン基材200のエッチングが終了した後に、図14(f)に示すように、フッ酸水溶液でエッチングして、シリコン基材200の上面に形成されているシリコン酸化膜201を除去する。
(g)シリコン基材200の吐出室24となる凹部240等が形成された面に、図14(g)に示すように、プラズマCVDによりシリコン酸化膜(絶縁膜)26を形成する。
(h)図14(h)に示すように、RIE等によって電極取り出し部29を開放する。また、電極基板3のインク供給孔34となる孔部34aからレーザ加工を施して、シリコン基材200のリザーバ25となる凹部250の底部を貫通させ、インク供給孔34を形成する。また、振動板22と個別電極31との間のギャップGの開放端部にエポキシ樹脂等の封止材27を充填して封止を行う。また、図2に示した共通電極28を、スパッタにより、シリコン基材200の上面(ノズル基板1との接合側の面)の端部に形成する。
以上により、電極基板3に接合した状態のシリコン基材200からキャビティ基板2が作製される。そして最後に、このキャビティ基板2に、前述のようにして作製された(図5〜図12参照)ノズル基板1を接着剤等により接合する(図12(s)参照)。
本実施の形態1に係るキャビティ基板2および電極基板3の製造方法によれば、キャビティ基板2を、予め作製された電極基板3に接合した状態のシリコン基材200から作製するので、電極基板3によりシリコン基材200を支持した状態となり、シリコン基材200を薄板化しても割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。したがって、キャビティ基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上する。
実施の形態2.
図15は、実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド10がインクジェットヘッドであって、斯かるインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンタを示す斜視図である。このインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドのノズル基板の厚み精度に優れ、液滴の吐出ばらつきが低減してインク吐出が安定するため、高品質の印字が可能である。
なお、実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド10は、図15に示すインクジェットプリンタの他に、液滴を種々変更することで、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
実施例1.
シリコン基材100をドライエッチングして、円筒形のノズル孔(軸方向に同径となる段差のないストレート形のノズル孔)となる凹部、及び円筒形の終点検出用貫通孔12となる凹部120を形成した。
図16は、ICPエッチング装置を用いて、シリコン基材100をドライエッチングしたときの、孔径とエッチングレートの相関を示した線図である。図において、横軸に孔径(μm)をとり、縦軸にエッチングレート(μm/min)をとっている(以下の実施例2においても同様)。
ノズル孔となる凹部の径は20μmであり、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径は30μmであった。すなわち、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径を、ノズル孔となる凹部の径よりも大きくした。
ノズル孔となる凹部の深さが40μmとなるようにエッチングした。この場合、終点検出用貫通孔12となる凹部120の深さは、約42.5μmとなった。
これは、図16に示すように、ノズル孔となる凹部の径が20μmでそのエッチングレートが3.4μm/分であり、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径が30μmでそのエッチングレートが3.6μm/分であり、このためマイクロローディング効果により、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が深くエッチングされるためである。
実施例2.
シリコン基材100をドライエッチングして、小径、大径の円筒を同軸にして二段に重ねた二段型のノズル孔11となる凹部110、及び円筒形の終点検出用貫通孔12となる凹部120を形成した。
ノズル孔11となる凹部110の径は、第1のノズル孔11aとなる凹部110aの径が20μmであり、第2のノズル孔11bとなる凹部110bの径が30μmであった。また、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径は30μmであった。
すなわち、本実施例2は、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径を、ノズル孔11となる凹部110の大径側の径すなわち第2のノズル孔部11bとなる凹部110bの径と等しくした。
ノズル孔11となる凹部110の深さが60μmとなるようにエッチングした。この場合、終点検出用貫通孔12となる凹部120の深さは、約64μmとなった。
これは、図16に示すように、第1、第2のノズル孔11a、11bとなる凹部110a、110bの径が20μm、30μmであり、エッチングレートがそれぞれ3.4μm/分、3.6μm/分であり、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径が30μmでそのエッチングレートが3.6μm/分であり、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径が第2のノズル孔11bとなる凹部110bの径と等しいが、第1のノズル孔11aとなる凹部110aの径よりも大きいため、マイクロローディング効果により、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方が全体として約4μm深くエッチングされるためである。
なお、上記の実施例2では、終点検出用貫通孔12となる凹部120の径を、ノズル孔11となる凹部110の大径側の径すなわち第2のノズル孔11bとなる凹部110bの径と等しくしたが、第2のノズル孔11bとなる凹部110bの径よりも大きくした場合は、マイクロローディング効果により、終点検出用貫通孔12となる凹部120の方がさらに深くエッチングされる。
本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図。 図1のインクジェットヘッドを組立てた状態の要部の縦断面図。 図2のノズル孔及び終点検出用貫通孔の近傍を拡大した縦断面図。 図1のノズル基板の上面図。 ノズル基板の製造方法を示す製造工程の断面図。 図5に続くノズル基板の製造工程の断面図。 図6に続くノズル基板の製造工程の断面図。 図7に続くノズル基板の製造工程の断面図。 終点検出用貫通孔となる凹部の圧力変化を検出する圧力検出装置の断面図。 終点検出用貫通孔となる凹部が貫通した直後の圧力変化を検出する圧力検出装置の断面図。 図8に続くノズル基板の製造工程の断面図。 図11に続くノズル基板の製造工程の断面図。 キャビティ基板および電極基板の製造方法を示す製造工程の断面図。 図13に続く製造工程の断面図。 インクジェットヘッドを示す斜視図。 シリコン基材をドライエッチングしたときの、孔径とエッチングレートの相関を示す線図。
符号の説明
1 ノズル基板、1a、100a 液滴吐出面、1b、100b 接合面、2 キャビティ基板、3 電極基板、10 液滴吐出ヘッド、11 ノズル孔、11a 第1のノズル孔部、11b 第2のノズル孔部、12 終点検出用貫通孔、22 振動板、23 オリフィス、24 吐出室、25 リザーバ、31 個別電極、50 第1の支持基板(支持基板)、55 第2の支持基板、64 圧力ゲージ、65 真空ポンプ、100 シリコン基材、100c 液滴吐出側の面、101a 第1のノズル孔となる部分、101b 第2のノズル孔となる部分、101c 終点検出用貫通孔となる部分、110 ノズル孔となる凹部、110a 第1のノズル孔部となる凹部、110b 第2のノズル孔部となる凹部、120 終点検出用貫通孔となる凹部。

Claims (10)

  1. シリコン基材の一方の面をドライエッチングして、ノズル孔となる凹部と前記ノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する工程と、
    前記ノズル孔となる凹部及び前記終点検出用貫通孔となる凹部を形成した側の面に支持基板を貼り合わせる工程と、
    前記ノズル孔となる凹部及び前記終点検出用貫通孔となる凹部を形成した側の面と反対側の面を研削し、前記終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出する工程と、
    前記終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出したときに前記研削を終了し、前記研削された面をさらに薄板化して前記ノズル孔となる凹部を開口する工程と、
    前記支持基板を剥離する工程と、
    を有することを特徴とするシリコン製ノズル基板の製造方法。
  2. 前記ノズル孔が多段形状のノズル孔であって、前記ノズル孔となる凹部と前記ノズル孔となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する際に、前記終点検出用貫通孔となる凹部の径を、前記多段形状のノズル孔となる凹部の大径側の径と等しいかまたはそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  3. 前記ノズル孔が軸方向に同径で段差のないノズル孔であって、前記ノズル孔となる凹部と前記ノズル孔部となる凹部より深い終点検出用貫通孔となる凹部とを同時に形成する際に、前記終点検出用貫通孔となる凹部の径を、前記軸方向に同径で段差のないノズル孔となる凹部の径よりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  4. 前記終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したときに、前記凹部内の圧力変化を検知して前記凹部が貫通したことを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  5. 前記終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したときに、前記凹部内の流量変化を検知して前記凹部が貫通したことを検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  6. 前記終点検出用貫通孔となる凹部が貫通したことを検出したときに前記研削を終了し、前記研削された面をさらに薄板化する際に、ドライエッチングにより薄板化し、またはCMPにより研磨して薄板化することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  7. 前記終点検出用貫通孔となる凹部を、液滴の吐出に影響を与えないヘッドチップ内及びヘッドチップ外に複数設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  8. 前記終点検出用貫通孔となる凹部を前記ノズル孔となる凹部の近傍に形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のシリコン製ノズル基板の製造方法を適用して、液滴吐出ヘッドのシリコン製ノズル基板部分を形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して、液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド部分を形成することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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