JP2007261152A - ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 - Google Patents

ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄板化処理した後にノズル孔内部に異物が残留することがない高歩留まりで生産性のよいノズル基板の製造方法等を提供する。
【解決手段】小径孔11a先端が基材により閉じられ大径孔11b基端が基材表面に開口されて2段形状で連通されたノズル孔をエッチング加工によってシリコン基材100に形成する工程と、小径孔11aび大径孔11bの内壁に保護膜104aを形成する工程と、大径孔11b側の面に支持基板120を貼り合せる工程と、小径孔11aの手前までシリコン基材100を研削加工する工程と、シリコン基材100の小径孔11a側の面をウエットエッチングによって薄板化する工程と、小径孔11aの面に残留している保護膜104aを除去して小径孔11aを開口する工程と、小径孔11a側の面を撥インク処理する工程と、支持基板100を剥離する工程とを含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとしては、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドは、記録時の騒音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、インクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど、多くの利点を有する。この中でも記録が必要なときにのみインク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマンド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としないため、現在主流となってきている。このインク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッドには、インクを吐出させる方法として、駆動手段に静電気力を利用したものや、圧電振動子や発熱素子等を用いたものがある。
インクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出させるための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、駆動部によって吐出室に圧力を加えることにより、選択されたノズル孔よりインク滴を吐出するようになっている。
近年、インクジェットヘッドに対して、印字、画質等の高品位化の要求が強まり、高密度化並びに吐出性能の向上が要求されている。このため、インクジェットヘッドのノズル部に関して、様々な工夫、提案がなされている。
このようなインクジェットヘッドにおいて、インク吐出特性を改善するためには、ノズル部の流路抵抗を調整し、最適なノズル長さになるように、基板の厚さを調整することが望ましい。このようなノズル基板を作製する場合、シリコン基材の一方の面からICP(Inductively Coupled Plasma)放電を用いた異方性ドライエッチングを施し、内径の異なる第1の凹部(噴射口部分となる小径凹部)と第2の凹部(導入口部分となる大径凹部)を2段に形成した後、反対の面から一部分を異方性ウェットエッチングにより掘下げ、ノズル孔の長さを調整する方法が採られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、あらかじめシリコン基材を所望の厚みに研磨した後、シリコン基材の両面にそれぞれドライエッチング加工を施して、ノズル孔の噴射口部分と導入口部分を形成する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−28820号公報(第4頁−5頁、図3、図4) 特開平9−57981号公報(第2頁−3頁、図1、図2)
特許文献1記載の技術では、ノズル孔が開口する吐出面がノズル基板の表面から一段下がった凹部の底面に位置するため、インク滴の飛行距離が伸びて着弾精度が悪化したり、あるいはノズル孔の目詰まりの原因となる紙粉、インク等が吐出面である凹部底面に付着したとき、これらをゴム片あるいはフェルト片等で払拭するが、ワイピング作業は容易ではなかった。
特許文献2記載の技術では、製造工程中にシリコン基材が割れ易く、そのため高価になってしまう。また、ドライエッチング加工の際に、加工形状が安定するように基材の裏面からHeガス等で冷却を行うが、ノズル孔の貫通時にHeガスがリークして、加工が困難になる場合があった。
そのため、予めシリコン基材にノズル孔となる凹部を形成し、石英ガラスなどの支持基板に樹脂等を用いて貼り合わせてから、シリコン基材を研削やエッチング加工等により薄板化加工してノズル孔となる凹部を開口するノズル基板の製造方法が取られている。
従来の研削等によるノズル孔の開口では、研削屑等がノズル孔となる凹部内に残留してしまう場合があった。また、ドライエッチングによってノズル孔の開口を行う場合は、ノズル孔となる凹部がノズル基材表面に露出した際に、凹部の淵で異常エッチングが進んでしまう場合もあった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ノズル孔の開口時にノズル孔内に異物が残留したり、ノズル孔形状に異常が発生したりすることがなく、高歩留まりで生産性がよいノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るノズル基板の製造方法は、小径孔先端が基材により閉じられ大径孔基端が基材表面に開口されて2段形状で連通されたノズル孔をエッチング加工によってシリコン基材に形成する工程と、前記小径孔及び大径孔の内壁に保護膜を形成する工程と、前記シリコン基材の前記大径孔側の面に支持基板を貼り合せる工程と、前記シリコン基材の前記小径孔の手前まで該シリコン基材を研削加工する工程と、前記研削加工された前記シリコン基材の小径孔側の面をウエットエッチングによって所望の厚みに薄板化する工程と、薄板化された前記シリコン基材の小径孔側の面に残留している(突出している)前記保護膜を除去して前記小径孔を開口する工程と、薄板化された前記シリコン基材の小径孔側の面を撥インク処理する工程と、前記支持基板を前記シリコン基材より剥離する工程とを含むものである。
ノズル孔の出口形状が良好で、かつノズル孔内に異物が残留しないので、高歩留まり、高スループロットなノズル基板を得ることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記研削加工された前記シリコン基材の小径孔側の面を、フッ化水素酸に酸化性酸を添加した薬液によるウエットエッチングによって所望の厚みに薄板化するものである。
酸を主成分としたエッチング液を用い、常温におけるエッチングが可能なので、支持基板を取り付けたシリコン基材のエッチングにおいて、樹脂系の接着剤を容易に利用することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記酸化性酸として硝酸を用いるものである。
硝酸はシリコン基材を酸化する能力が高いので、フッ化水素酸との混合比を最適化することによって、エッチンググレート及び選択比を向上させることができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、ウエットエッチングをスピンエッチングで行うものである。
スピンエッチングによれば薄板化する面のみの処理が可能で、シリコン基材の縁や支持基板及び接着層へのダメージを軽減することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記小径孔及び大径孔の保護膜に酸化シリコンを用いるものである。
保護膜の成膜方法が豊富で、保護膜を安価に形成することができる。特に熱酸化による成膜では、緻密な厚い膜が得られるので、ウエットエッチングによる開口の際にノズル孔内を確実に保護することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記酸化シリコンよりなる前記ノズル孔の保護膜を、フッ化炭素系のガスを用いたドライエッチングによって除去するようにしたものである。
酸化シリコンはフッ化炭素系のガスを用いたドライエッチングに対するエッチンググレートが小さいので、防爆時間の長い残留部(突出部)の保護膜のみを時間管理により除去することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記小径孔及び大径孔の保護膜に窒化シリコンを用いるものである。
保護膜の成膜方法が豊富で、保護膜を安価に形成することができる。また、フッ硝酸への耐性が高く、ウエットエッチングによる開口の際にノズル孔内を確実に保護することができる。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、前記窒化シリコンよりなる前記ノズル孔の保護膜を、フッ化水素酸が主成分の薬液を用いたウエットエッチングによって除去するものである。
窒化シリコンはフッ化水素酸が主成分の薬液を用いたウエットエッチングに対するエッチンググレートが小さいので、防爆時間の長い残留部(突出部)の保護膜のみを時間管理により除去することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記のいずれかに記載のノズル基板の製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造するものである。
高歩留まりで生産性のよい液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る液滴吐出装置の製造方法は、上記の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造するものである。
高歩留まりで生産性がよい液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の分解斜視図、図2は図1の要部の縦断面図である。図において、インクジェットヘッド10は、複数のノズル孔11が所定の間隔で設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が設けられた電極基板3とを貼り合わせて構成したものである。
ノズル基板1はシリコン基材から作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、径の異なる2段の円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわち液滴吐出面1b側に位置して先端がこの液滴吐出面1bに開口する径の小さい第1のノズル孔(噴射口部分の小径孔)11aと、キャビティ基板2と接合する接合面1a側に位置して導入口部分が接合面1aに開口する径の大きい第2のノズル孔(導入口部分の大径孔)11bとから構成され、基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられている。こうして、インク滴の吐出方向をノズル孔11の中心軸方向に揃え、安定したインク吐出特性を発揮させることによって、インク滴の飛翔方向のばらつきをなくし、インク滴の飛び散りをなくすことによりインク滴の吐出量のばらつきを抑制することができる。
キャビティ基板2はシリコン基材から作製されており、吐出凹部210、オリフィス凹部230およびリザーバ凹部240が形成されている。そして、オリフィス凹部230(オリフィス23)を介して吐出凹部210(吐出室21)とリザーバ凹部240(リザーバ24)とが連通している。リザーバ24は各吐出室21に共通の共通インク室を構成し、それぞれオリフィス23を介してそれぞれの吐出室21に連通している。リザーバ24の底部には後述する電極基板3を貫通するインク供給孔25が形成され、このインク供給孔25を通じて、図示しないインクカートリッジからインクが供給される。また、吐出室21の底壁は振動板22となっている。なお、キャビティ基板2の全面もしくは少なくとも電極基板3との対向面には、熱酸化やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )によりなる絶縁性のSiO2 膜26が施されている。この絶縁膜26は、インクジェットヘッド10を駆動させたときに、絶縁破壊やショートを防止する。
電極基板3はガラス基材から作製されている。電極基板3には、キャビティ基板2の各振動板22に対向する位置にそれぞれ凹部310が設けられている。そして、各凹部310内には、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31がスパッタにより形成されている。
個別電極31は、リード部31aと、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部31bとを備えている。端子部31bは、配線のためにキャビティ基板2の末端部が開口された電極取り出し部311内に露出している。そして、ICドライバ等の駆動制御回路40を介して、各個別電極31の端子部31bとキャビティ基板2上の共通電極27とが接続されている。
次に、上記のように構成したインクジェットヘッド10の動作を説明する。駆動制御回路40が駆動し、個別電極31に電荷を供給してこれを正に帯電させると、振動板22は負に帯電し、個別電極31と振動板22の間に静電気力が発生する。この静電気力によって、振動板22は個別電極31に引き寄せられて撓む。これによって、吐出室21の容積が増大する。個別電極31への電荷の供給を止めると、振動板22はその弾性力により元に戻り、その際、吐出室21の容積が急激に減少して、そのときの圧力により吐出室21内のインクの一部がインク滴としてノズル孔11より吐出する。振動板22が次に同様に変位すると、インクがリザーバ24からオリフィス23を通って吐出室21内に補給される。
上記のように構成したインクジェットヘッド10の製造方法について、図3〜図12を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態1に係るノズル基板1を示す上面図、図4〜図9はノズル基板1の製造工程を示す断面図(図3をA−A線で切断した断面図)、図10〜図11はキャビティ基板2と電極基板3との接合工程を示す断面図、図12はキャビティ基板2と電極基板3との接合基板にノズル基板1を接合してインクジェットヘッド10を製造する製造工程を示す断面図である。
まず、ノズル基板1の製造工程を、図4〜図9を用いて以下に説明する。
(a) 図4(a)に示すように、厚さ280μmのシリコン基材100を用意し、熱酸化装置(図示せず)にセットして酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、シリコン基材100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する。
(b) 次に、図4(b)に示すように、シリコン基材100の接合面(キャビティ基板2と接合されることとなる面であって、大径孔側の面ともいう)100aにレジスト102をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110aをパターニングする。
(c) 次に、図4(c)に示すように、SiO2 膜101を、例えば緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、第2のノズル孔となる部分110aのSiO2 膜101を薄くする。このとき、インク吐出側の面(小径孔側の面ともいう)100bのSiO2 膜101もエッチングされ、SiO2 膜101の厚みが減少する。
(d) 次に、図4(d)に示すように、シリコン基材100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する。
(e) 次に、図5(e)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側にレジスト103をコーティングし、第2のノズル孔となる部分110bをパターニングする。
(f) 次に、図5(f)に示すように、SiO2 膜101をCF4 又はCHF3 等のフッ化炭素系のガスによるRIE(Reactive Ion Etching)等によって除去し、第2のノズル孔となる部分110bのSiO2 膜101を開口する。
(g) 次に、図5(g)に示すように、シリコン基材100の接合面100a側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する。
(h) 次に、図5(h)に示すように、ICPドライエッチング装置(図示せず)により、SiO2 膜101の開口部を、例えば深さ25μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第1のノズル孔11aを形成する。この場合のエッチングガスとしては、C48、SF6 を使用し、これらのエッチングガスを交互に使用すればよい。ここで、C48は形成される溝の側面にエッチングが進行しないように溝側面を保護するために使用し、SF6 はシリコン基材100の垂直方向のエッチングを促進させるために使用する。
(i) 次に、図6(i)に示すように、第2のノズル孔となる部分のSiO2 膜101のみがなくなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする。
(j) 次に、図6(j)に示すように、ICPドライエッチング装置によりSiO2 膜101の開口部を、深さ40μmで垂直に異方性ドライエッチングし、第2のノズル孔11bを形成する。
(k) 次に、シリコン基材100の表面に残るSiO2 膜101をフッ酸水溶液で除去し、その後、シリコン基材100を熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、図6(k)に示すように、シリコン基材100の接合面100a及びインク吐出側の面100bに、さらに第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bの側面及び底面に、膜厚1μmの酸化シリコン(SiO2 )膜104を均一に成膜する。
なお、酸化シリコン膜104に代えて窒化シリコン膜を用いることもできる。
(l) 次に、図6(l)(以後、図8(q)に到るまで、図6(l)に示したシリコン基材100の上下を逆転した状態で示す)に示すように、ガラス等の透明材料よりなる支持基板120に、紫外線やレーザあるいは熱などの刺激によって容易に接着力が低下する自己剥離層61を持った両面接着テープ60を貼り合わせる。この両面接着シート60には、例えば、セルファBG(登録商標:積水化学工業)を用いる。支持基板120に貼り合せた両面接着シート60の自己剥離層61を備えた側の面60bと、シリコン基材100の接合面100aとを向かい合わせ、これらの面を真空中で貼り合わせる。こうすることによって、接着界面に気泡が残らず、きれいな接着が可能になる。接着界面に気泡が残ると、研磨加工で薄板化されるシリコン基材100の板厚がばらつく原因となる。
(m) 次に、図7(m)に示すように、シリコン基材100のインク吐出側の面100bをバックグラインダーにより研削加工し、第1のノズル孔11aの先端が開口する10μm手前までシリコン基材100を薄くする。なお、ポリッシャー、CMP装置によってインク吐出側の面100bを研磨してもよい。
(n) 次に、研削加工されたインク吐出側の面100bに対して、図7(n)に示すように、ウエットエッチングを行う。この際、フッ化水素酸に酸化性酸を添加した薬液によって、常温で行う。酸化性酸としては硝酸を用いることができる。例えば、シリコン基材100を支持基板120ごと、25℃のフッ化水素酸及び硝酸を主成分とした薬液に浸漬して、シリコン基材100のインク吐出側の面100bを液滴吐出面1bとなる位置までウエットエッチングする。こうすると、ノズル孔11(第1のノズル孔11a)の保護膜104aが、液滴吐出面1bとなる位置よりも外部に突出して残留する。
この際、ウエットエッチングはスピンエッチングにより実施する。
(o) 次に、図7(o)に示すように、液滴吐出面1bより突出して残留している保護膜104a(第1のノズル孔11aの先端部側に位置するSiO2 膜)を、フッ化炭素系のガスを用いたドライエッチングによって除去する。例えば、CF4 又はCHF3 等のエッチングガスによるドライエッチングによって除去する。この場合、保護膜104aの除去位置11cは、ドライエッチングする際に調節することができる。こうして、第1のノズル孔11aを開口させる。
なお、第1のノズル孔11aの保護膜として窒化シリコン膜を用いた場合は、液滴吐出面1bより外部に突出し残留している保護膜を、フッ化水素酸が主成分の薬液を用いたウエットエッチングによって除去することができる。
(p) 次に、図7(p)に示すように、シリコン基材100の液滴吐出面1bに、スパッタ装置でSiO2 膜104を0.1μmの厚さに成膜する。ここで、SiO2 膜104の成膜は、両面接着シート60が劣化しない温度(200℃程度)以下で実施できればよく、スパッタリング法に限るものではない。ただし、耐インク性等を考慮すると緻密な膜を形成する必要があり、ECRスパッタ装置等の常温で緻密な膜を成膜できる装置を使用することが望ましい。
(q) 次に、図8(q)に示すように、シリコン基材100の液滴吐出面1bにさらに撥インク処理を施す。この場合、F原子を含む撥インク性を持った材料を蒸着や浸漬で成膜し、撥インク層106を形成する。このとき、第1のノズル孔11a及び第2のノズル孔11bの内壁も、撥インク処理される。
(r) 次に、図8(r)(以後、図9(u)に到るまで、図8(r)に示したシリコン基材100の上下を逆転した状態で示す)に示すように、撥インク処理された液滴吐出面1bに、ダイシングテープ70をサポートテープとして貼り付ける。
(s) 次に、図8(s)に示すように、支持基板120側からUV光を照射する。
(t) こうして、図8(t)に示すように、両面接着シート60の自己剥離層61をシリコン基材100の接合面100a面から剥離させ、支持基板120をシリコン基材100から取り外す。
(u) 次に、図9(u)に示すように、ArスパッタもしくはO2 プラズマ処理によって、シリコン基材100の接合面100a側および第1のノズル孔11a、第2のノズル孔11bの内壁に余分に形成された撥インク層106を除去する。
(v) 次に、図9(v)(以後、図9(w)に到るまで、図9(v)に示したシリコン基材100の上下を逆転した状態で示す)に示すように、シリコン基材100の接合面100a(ダイシングテープ70が貼り付けられている液滴吐出面1bと反対側に位置する面)を真空ポンプに接続する吸着治具90に吸着固定し、液滴吐出面1bにサポートテープとして貼り付けられているダイシングテープ70を剥離する。
(w) 最後に、図9(w)に示すように、吸着治具90の吸着固定を解除して、シリコン基材100からノズル基板1を回収する。
シリコン基材100にはノズル基板外輪溝が彫られているため、吸着治具90からピックアップする段階でノズル基板1は個片に分割されている。
以上の工程を経ることにより、シリコン基材100よりノズル基板1を形成する。
次に、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程を、図10、図11を用いて以下に説明する。なお、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程は、図10、図11に示されるものに限定されるものではない。
(a) まず、図10(a)に示すように、ホウ珪酸ガラス等からなるガラス基材300を、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用して、フッ酸によってエッチングすることにより、凹部310を形成する。なお、この凹部310は電極31の形状より少し大きい溝状のものであって、複数形成する。
そして、凹部310の内部に、スパッタによってITO(Indium Tin Oxide)からなる電極31を形成する。その後、サンドブラスト加工等によってインク供給孔25となる孔部25aを貫通形成する。
(b) 次に、シリコン基材200の両面を鏡面研磨した後に、図10(b)に示すように、シリコン基材200の片面にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )によってTEOS(TetraEthylOrthosilicate )からなるシリコン酸化膜201を形成する。なお、シリコン酸化膜201を形成する前に、エッチングストップのためのボロンドープ層を形成するようにしてもよい。振動板をボロンドープ層から形成することにより、厚み精度の高い振動板を形成することができる。
(c) 次に、図10(c)に示すように、図10(b)に示すシリコン基材200と、図10(a)に示すガラス基材300を例えば360℃に加熱し、シリコン基材200に陽極、ガラス基材300に陰極を接続して、800V程度の電圧を印加して陽極接合を行う。
(d) シリコン基材200とガラス基材300を陽極接合した後に、水酸化カリウム水溶液等で図10(c)の工程で得られた接合基板をエッチングすることにより、図10(d)に示すように、シリコン基材200の全体を薄板化する。
(e) 次に、シリコン基材200の上面(ガラス基材300が接合されている面と反対側に位置する面)の全面に、プラズマCVDによってTEOS膜を形成する。
そしてこのTEOS膜に、吐出室21となる凹部210、リザーバ24となる凹部240及びオリフィス23となる凹部230となる部分を形成するためのレジストをパターニングし、この部分のTEOS膜をエッチングして除去する。
その後、図11(e)に示すように、シリコン基材200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングすることにより、吐出室21となる凹部210、リザーバ24となる凹部240及びオリフィス23となる凹部230を形成する。このとき、電極取出し部41となる部分41aもエッチングして薄板化しておく。なお、図11(e)のウェットエッチング工程では、初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
(f) シリコン基材200のエッチングが終了した後に、接合基板をフッ酸水溶液でエッチングしてシリコン基材200に形成されたTEOS膜を除去する。
(g) 次に、シリコン基材200の吐出室21となる凹部210等が形成された面に、図11(g)に示すように、CVDによってTEOS等からなる液滴保護膜202を形成する。
(h) 次に、図11(h)に示すように、RIE(Reactive Ion Etching)等によって電極取出し部41を開放する。また、シリコン基材200に機械加工又はレーザー加工を行って、インク供給孔25をリザーバ24となる凹部240において貫通させる。これによって、キャビティ基板2と電極基板3が接合された接合基板が完成する。
なお、電極取出し部41に、振動板22と電極31の間の空間を封止するための封止剤(図示せず)を塗布するようにしてもよい。
次に、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合工程を、図12を用いて以下に説明する。
図12に示すように、ノズル基板1の接合面1aに接着剤層を形成し、電極基板3が接合されたキャビティ基板2と、ノズル基板1とを接合する。
以上の製造工程を経ることにより、ノズル基板1、キャビティ基板2及び電極基板3の接合体が完成される。
最後に、キャビティ基板2、電極基板3、ノズル基板4が接合された接合基板をダイシング(切断)により分離して、インクジェットヘッド10が完成する。
本実施の形態1によれば、研削によってノズル孔11を開口するとき、研削屑等がノズル孔11となる凹部内に残留することがないため歩留まりが向上し、また、ノズル孔11に詰まった異物を検査、除去する工程が不要となるので生産性が向上する。さらに、ノズル孔11となる凹部が露出した際に凹部の淵で異常エッチングが進むということもなく、ノズル孔11の出口形状の異常による飛行曲がりが生じるということもない。
実施形態2.
図13は、本発明の実施の形態2に係る液滴吐出装置(インクジェットプリンタ)の斜視図である。実施形態1で得られたインクジェットヘッド10は、高歩留まりで製造されたノズル基板1を用いて製造することができ、かかるインクジェットヘッド10を用いて、図13に示すようなインクジェットプリンタ400を得ることができる。
なお、実施形態1に係るインクジェットヘッド10は液滴吐出ヘッドの一例であって、液滴吐出ヘッドはインクジェットヘッド10に限定されるものではなく、液滴を種々変更することによって、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出等にも適用することができる。
また、実施形態1に係る液滴吐出ヘッドは、圧電駆動方式の液滴吐出装置や、バブルジェット(登録商標)方式の液滴吐出装置にも使用することができる。
本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出ヘッドの分解斜視図。 図1の要部の縦断面図。 図1のノズル基板の上面図。 図1のノズル基板の製造工程を示す断面図。 図4に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図5に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図6に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図7に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 図8に続くノズル基板の製造工程を示す断面図。 キャビティ基板及び電極基板を接合した接合基板の製造工程を示す断面図。 図10に続く接合基板の製造工程を示す断面図。 キャビティ基板及び電極基板の接合基板をノズル基板に接合する製造工程を示す断面図。 本発明の実施の形態2にかかるインクジェットプリンタの斜視図。
符号の説明
1 ノズル基板、1b 液滴吐出面、2 キャビティ基板、3 電極基板、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、11a 第1のノズル孔(小径孔)、11b 第2のノズル孔(大径孔)、60 両面接着シート、61 自己剥離層、100 シリコン基材、100a シリコン基材の接合面(大径孔側の面)、100b インク吐出側の面(小径孔側の面)、104 酸化シリコン膜、104a 保護膜、106 撥インク層、120 支持基板、400 インクジェットプリンタ。

Claims (10)

  1. 小径孔先端が基材により閉じられ大径孔基端が基材表面に開口されて2段形状で連通されたノズル孔をエッチング加工によってシリコン基材に形成する工程と、前記小径孔及び大径孔の内壁に保護膜を形成する工程と、前記シリコン基材の前記大径孔側の面に支持基板を貼り合わせる工程と、前記シリコン基材の前記小径孔の手前まで該シリコン基材を研削加工する工程と、前記研削加工された前記シリコン基材の小径孔側の面をウエットエッチングによって所望の厚みに薄板化する工程と、薄板化された前記シリコン基材の小径孔側の面に残留している前記保護膜を除去して前記小径孔を開口する工程と、薄板化された前記シリコン基材の小径孔側の面を撥インク処理する工程と、前記支持基板を前記シリコン基材より剥離する工程とを含むことを特徴とするノズル基板の製造方法。
  2. 前記研削加工された前記シリコン基材の小径孔側の面を、フッ化水素酸に酸化性酸を添加した薬液によるウエットエッチングによって所望の厚みに薄板化することを特徴とする請求項1記載のノズル基板の製造方法。
  3. 前記酸化性酸が硝酸であることを特徴とする請求項2記載のノズル基板の製造方法。
  4. ウエットエッチングをスピンエッチングで行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  5. 前記小径孔及び大径孔の保護膜に酸化シリコンを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  6. 前記酸化シリコンよりなる前記ノズル孔の保護膜を、フッ化炭素系のガスを用いたドライエッチングによって除去することを特徴とする請求項5記載のノズル基板の製造方法。
  7. 前記小径孔及び大径孔の保護膜に窒化シリコンを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノズル基板の製造方法。
  8. 前記窒化シリコンよりなる前記ノズル孔の保護膜を、フッ化水素酸が主成分の薬液を用いたウエットエッチングによって除去することを特徴とする請求項7記載のノズル基板の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のノズル基板の製造方法を適用して液滴吐出ヘッドを製造することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 請求項9記載の液滴吐出ヘッドの製造方法を適用して液滴吐出装置を製造することを特徴とする液滴吐出装置の製造方法。
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