JP5145985B2 - ノズル基板及びノズル基板の製造方法 - Google Patents

ノズル基板及びノズル基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5145985B2
JP5145985B2 JP2008024949A JP2008024949A JP5145985B2 JP 5145985 B2 JP5145985 B2 JP 5145985B2 JP 2008024949 A JP2008024949 A JP 2008024949A JP 2008024949 A JP2008024949 A JP 2008024949A JP 5145985 B2 JP5145985 B2 JP 5145985B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge
nozzle
protective film
substrate
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008024949A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009184176A5 (ja
JP2009184176A (ja
Inventor
克治 荒川
正寛 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2008024949A priority Critical patent/JP5145985B2/ja
Publication of JP2009184176A publication Critical patent/JP2009184176A/ja
Publication of JP2009184176A5 publication Critical patent/JP2009184176A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5145985B2 publication Critical patent/JP5145985B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、インクジェットヘッド等に用いられるノズル基板に関し、特にアルカリ性の吐出液からノズル孔を保護するための被覆構造に関する。
インクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板を備え、このノズル基板に吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板(流路基板とも呼ばれる)を接合し、駆動部により吐出室に圧力を加えることによりインク滴を選択されたノズル孔より吐出するように構成されている。駆動手段としては、静電気力を利用する方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用する方式等がある。
近年、インクジェットヘッドに対して、印字、画質等の高品位化の要求が強まり、そのためノズル列を複数にしたり、1列当たりのノズル数を増加して多ノズル化・長尺化するなど、ノズル密度の高密度化と吐出性能の向上が図られている。このような背景から、インクジェットヘッドのノズル部に関して、従来より様々な工夫、提案がなされている。このうち、ノズル基板に形成されたノズル孔の内面および液滴の吐出面やその反対側の液流路に接する面(接合面)に対する被覆処理として、以下のような従来技術がある。
例えば、特許文献1では、チャンネルウェハとヒータウェハとから構成されるノズル孔の内面からノズル面(吐出面)にかけて疎水性被膜を連続して形成し、さらにノズル孔の内面にのみその疎水性被膜上に親水性被膜を形成する。
特許文献2では、ノズル孔の内面にインク保護膜をスパッタで形成し、吐出面に中間膜をスパッタで形成し、続いて吐出面の中間膜上に撥水膜をスプレー塗布で形成する。
また、特許文献3のように、ステンレス製のノズル基板にフッ素系高分子共析メッキを行い、吐出面からノズル孔の内面にかけて共析メッキによる撥水性被膜を形成する方法もある。
特開平5−124200号公報 特開2006−341506号公報 特開平7−314694号公報
しかしながら、上記の従来技術には以下のような課題があった。
(1)特許文献1の場合
(a)チャンネルウェハとヒータウェハを接着剤で接合した後に、チャンネルウェハに形成されたインク流路の内壁にウェット処理で疎水性被膜を形成し、続いて親水性被膜を形成しているため、それらの被膜を焼結する際のべーク温度に制約がある。
(b)インク流路の内壁に親水性被膜を形成した後で、ダイシングによりノズル孔を開口し、ノズル面に撥水膜を形成しているが、ノズル面に露出しているインク流路内壁の撥水膜(疎水性被膜)の断面は僅かであるため、新たにノズル面に形成した撥水膜との結合が不十分となり、ノズル孔口縁での撥水膜の耐久性を確保することができない。このため、アルカリ性のインクによりノズル孔の内壁が浸食されやすい。
(c)ノズル面に撥水膜を形成する際に、インク流路内への回り込みを制御することができない。
(2)特許文献2の場合
ノズル孔内壁への保護膜成膜にスパッタ法を用いているが、スパッタには指向性があるため、ノズル孔内壁という狭くて垂直な壁面を均一に被膜するのは困難である。従って、アルカリ性インクに対する被覆・保護が十分でない。
(3)特許文献3の場合
(a)共析メッキではノズル面のみに撥水膜を形成することは困難であり、ノズル孔内壁まで撥水膜が形成される。本来、ノズル孔内壁は親水性であることが望ましいが、ノズル孔内壁のメッキ被膜を後処理で親水化することは困難である。
(b)共析メッキ被膜はアルカリ性のインクに対する耐久性が不十分である。
(c)メッキ被膜の厚みは数μm必要で、ノズル径精度を確保するのが困難である。
本発明は、上記のような課題に鑑み、特にアルカリ性のインク(吐出液)に対して耐久性をもつようにノズル孔を被覆・保護することを目的としている。
本発明に係るノズル基板は、液滴を吐出するノズル部と、ノズル部より断面積が大きく前記ノズル部と同軸上に設けられた導入部とを少なくとも備えたノズル孔を複数備えたノズル基板であって、少なくとも前記ノズル孔の内壁に耐アルカリ性の複数層の耐吐出液保護膜を形成し、前記複数層の耐吐出液保護膜として、前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面に形成されたSiO 膜からなる第1の耐吐出液保護膜と、前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面で前記第1の耐吐出液保護膜の上に形成された金属酸化物を主成分とする第2の耐吐出液保護膜と、前記吐出面、及び前記ノズル孔の内壁上の前記第1の耐吐出液保護膜の上に、形成された金属酸化物を主成分とする第3の耐吐出液保護膜とを有し、前記ノズル孔の内壁及び前記吐出面と反対側の面を除く前記吐出面側で前記第3の耐吐出液保護膜の上に撥水膜を有するものである。
このように構成することにより、ノズル孔の内壁は耐アルカリ性の複数層の耐吐出液保護膜で被覆され耐吐出液保護膜同士の結合が十分なため、アルカリ性の吐出液に対する耐性が向上し、ノズル孔の内壁の浸食を防止することができる。
また、本発明のノズル基板は、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面に形成された第1の耐吐出液保護膜と、吐出面、及びノズル孔の内壁上の第1の耐吐出液保護膜の上に、形成された第3の耐吐出液保護膜とを有するものである。
これによって、ノズル基板の両面から耐吐出液保護膜が形成され、ノズル孔の内壁は少なくとも2層の耐吐出液保護膜で被覆されるため、アルカリ性の吐出液に対する耐性が向上し、ノズル孔の内壁の浸食を防止することができる。
また、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面で第1の耐吐出液保護膜の上に形成された第2の耐吐出液保護膜を有する構成とすることが望ましい。
これによって、ノズル孔の内壁は3層の耐吐出液保護膜で被覆されるため、アルカリ性の吐出液に対する耐性がさらに向上し、ノズル孔の内壁の浸食を防止することができる。
また、本発明のノズル基板は、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面を除く吐出面側で第3の耐吐出液保護膜上に撥水膜を有するものである。
撥水膜は、吐出面側の第3の耐吐出液保護膜上にのみ形成され、ノズル孔の吐出口縁部を境界にしてノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面には形成されない。従って、ノズル孔の内面は親水性であり、吐出面はノズル孔の出口縁部まで撥水性であるため、吐出時ノズル孔の先端より液滴をノズル基板に対して垂直にスムーズに離脱させることができ、液滴の吐出安定性が向上する。また、撥水膜により、吐出面のワイピング(クリーニング)に対する耐久性が向上する。
また、第1の耐吐出液保護膜は、シリコン酸化膜である。この場合、シリコンの熱酸化膜とするのが望ましい。膜厚の均一性、皮膜性の高い保護膜を安価に得ることができるからである。
また、第2の耐吐出液保護膜及び第3の耐吐出液保護膜は、金属酸化物を主成分とするものである。この場合、金属酸化物は、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、または酸化ジルコニウムのいずれかとするものである。これらの金属酸化物は、アルカリ性の吐出液に対する耐性が高いからである。
また、撥水膜は、フッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とするものである。これにより、第3の耐吐出液保護膜表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、第3の耐吐出液保護膜とその上の撥水膜との密着性が向上する。
また、本発明に係るノズル基板の製造方法は、シリコン基板に、ノズル部と、このノズル部より断面積が大きくノズル部と同軸上に位置する導入部とからなるノズル孔を異方性ドライエッチングにより複数形成する工程と、ノズル孔が形成されたシリコン基板に対し、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面にSiO 膜からなる第1の耐吐出液保護膜を熱酸化により形成する工程と、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面で第1の耐吐出液保護膜の上に、金属酸化物を主成分とする第2の耐吐出液保護膜をCVDにより形成する工程と、吐出面、及びノズル孔の内壁上の第1の耐吐出液保護膜の上に、金属酸化物を主成分とする第3の耐吐出液保護膜をCVDにより形成する工程と、ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面を除く吐出面側で第3の耐吐出液保護膜の上に撥水膜を形成する工程と、を少なくとも有するものである。
この製造方法により、ノズル孔の内壁を複数層の耐吐出液保護膜で被覆することができ、アルカリ性吐出液に対する耐性の高いノズル基板を製造することができる。
また、本発明のノズル基板の製造方法では、第1の耐吐出液保護膜は、熱酸化で成膜する。従って、膜厚の均一性、皮膜性の高い保護膜を安価に得ることができる。
また、本発明のノズル基板の製造方法では、第2の耐吐出液保護膜及び第3の耐吐出液保護膜は、CVDで成膜する。これにより、被覆性がより良好な保護膜を得ることができる。
この場合、CVDは、160℃以下の低温領域で実施する。ノズル基板の製造の際、ノズル基板に樹脂等でサポート基板を接着した状態で成膜でき、ハンドリング性や処理効率が向上し、コスト低減が可能になる。
また、上記と同様の理由から、第2の耐吐出液保護膜及び第3の耐吐出液保護膜は、スパッタで成膜してもよい。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記のいずれかのノズル基板を備えたものである。これにより、良好な吐出特性と耐久性を兼ね備えた液滴吐出ヘッドを提供することができる。
本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。従って、吐出特性と耐久性に優れた液滴吐出装置を提供することができる。
以下、本発明のノズル基板を備えた液滴吐出ヘッドの一実施の形態について、図面に基づいて説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、静電駆動方式のインクジェットヘッドについて図1〜図4を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、また、フェース吐出型に限らずエッジ吐出型にも適用することができる。さらには、液滴吐出のためのエネルギーを与える駆動方式についても静電駆動方式以外の他の異なる駆動方式(例えば、圧電素子や発熱素子を用いたもの)の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置にも適用することができる。
まず、インクジェットヘッドの構成を図1〜図4に示す。図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図で、一部を断面で表してある。図2は組立状態を表した図1の右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの部分断面図、図3は図2のノズル孔部分を拡大して示す断面図、図4は図2のインクジェットヘッドの上面図である。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10は、図1、図2及び図4に示すように、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2の振動板22に対峙して個別電極31が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
本発明が適用されるノズル基板1は、シリコン基板から作製される。一般には単結晶シリコン基板が用いられるが、多結晶シリコン(ポリシリコン)基板でもかまわない。このノズル基板1の製造方法については後で詳しく説明する。
インク滴を吐出するためのノズル孔11は、液滴を吐出するノズル部11aと、インク(吐出液)を導入する導入部11bとから構成されている。ノズル部11aはノズル基板1の表面(インク吐出面)1aに対して垂直に小径の円筒状に形成されており、導入部11bはノズル部11aと同軸上に設けられ、ノズル部11aよりも断面積が大きく、断面形状が円筒状に形成されている。このようにノズル孔11を2段の垂直孔を持つ構造とすることにより、インク液滴の吐出方向をノズル孔11の中心軸方向に揃えることができ、安定したインク吐出特性を発揮させることができる。すなわち、インク液滴の飛翔方向のばらつきがなくなり、またインク液滴の飛び散りがなく、インク液滴の吐出量のばらつきを抑制することができる。また、ノズル密度の高密度化も可能になる。なお、ここでは、ノズル孔11を、2段の孔を持つ構造とした例を示したが、更に段階的に複数段としてもよく、また、ノズル孔の断面積が吐出方向に向かって連続的に減少する形状としてもよい。また、ノズル部11aと導入部11bとの段差部をテーパ状に形成してもよい。
ここで、ノズル基板1のキャビティ基板2との接合面1b(インク吐出面1aの反対面)およびノズル孔11の内壁には、図3に示すように、例えばSiO2からなる第1の耐インク保護膜(第1の耐吐出液保護膜)12が連続して形成されている。さらに、その耐インク保護膜12上には、例えば五酸化タンタル(Ta25)のような金属酸化物を主成分とする第2の耐インク保護膜(第2の耐吐出液保護膜)13が形成され、さらにまた、インク吐出面1aからノズル孔11の内壁上の第2の耐インク保護膜12上には、同様の金属酸化物を主成分とする第3の耐インク保護膜(第3の耐吐出液保護膜)14が形成されている。従って、ノズル孔11の内面は親水性を有するものとなる。そしてさらに、インク吐出面1aでの撥水性を向上させるために、ノズル孔11の内壁および接合面1bを除くインク吐出面1a側の第3の耐インク保護膜14上にのみ全面に撥水膜15が形成されている。撥水膜15はフッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とするものが望ましい。その理由は、耐インク保護膜14表面のヒドロキシル基がフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基等の加水分解基と強固に結合するため、耐インク保護膜14とその表面上に形成される撥水膜15との密着性が向上するからである。
なお、第2の耐インク保護膜13は省略することも可能である。
このように、少なくともノズル孔11の内壁には複数層の耐インク保護膜12〜14が形成されているので、特にアルカリ性の高いインクに対して耐インク保護膜12〜14がアルカリ性インクの侵入を防ぎ、シリコンからなるノズル孔11の内壁まで浸食させることがない。従って、ノズル孔11の形状及び寸法精度を高く維持することができ、吐出特性及び耐久性に優れたノズル孔11とすることができる。また、第2、第3の耐インク保護膜13、14として使用する金属酸化物は、五酸化タンタルのほか、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウムのいずれかを使用するとよい。これらの金属酸化物は、アルカリ性のインク(吐出液)に対する耐性が高いためである。
上記のように構成されたノズル基板1が接着接合されるキャビティ基板2は、単結晶シリコン基板から作製される。キャビティ基板2には、ノズル孔11の各々に連通するインク流路溝が異方性ウェットエッチングにより形成される。このインク流路溝には、底壁を振動板22とし吐出室21となる吐出凹部210と、共通のインク室であるリザーバ23となるリザーバ凹部230と、リザーバ凹部230と各吐出凹部210とを連通するオリフィス24となるオリフィス凹部240が形成される。なお、振動板22はボロン拡散層で形成することにより厚み精度を高精度に形成することができる。また、オリフィス24はノズル基板1側に設けることもでき、この場合は接合面1bにリザーバ凹部230と各吐出凹部210とを連通する細溝状の凹部として形成される。
また、キャビティ基板2には、電極基板3との接合面全面に短絡や絶縁破壊等を防止するための絶縁膜25が形成される。絶縁膜25としてはSiO2やSiN、あるいはAl23やHfO2等のいわゆるHigh−k材などが目的に応じて用いられる。特に、High−k材を用いると比誘電率がSiO2よりも大きいため、アクチュエータ発生圧力を高めることができ、更なる高密度化を図ることが可能となる。なお、絶縁膜25は必要に応じて個別電極31の対向面上に形成してもよい。また、インク流路溝側のキャビティ基板2全面には親水膜としてSiO2からなる耐インク保護膜26が熱酸化法やスパッタ法、CVD法等で形成され、さらにPt等の金属膜からなる共通電極27がキャビティ基板2上に形成される。
このキャビティ基板2と陽極接合される電極基板3は、例えばホウ珪酸系のガラス基板から作製される。このガラス基板に振動板22と対向する位置にそれぞれ凹部32がエッチングにより形成され、さらに各凹部32の底面に一般にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極31がスパッタ法により形成される。また、インクを供給するためにリザーバ23と連通するインク供給口33がサンドブラスト法等により形成される。インク供給口33は図示しないインクタンクに接続される。
この電極基板3と上記のキャビティ基板2とは、個別電極31と振動板22とが所定(例えば、0.1μm)のギャップ34を介して対向配置するように陽極接合される。これにより、ギャップ34を介して対峙する個別電極31と絶縁膜25を有する振動板22とで吐出室21に所要の圧力を加えることができる静電アクチュエータ4が構成される。なお、ギャップ34の開放端部は内部に水分や塵埃などが入らないようにエポキシ樹脂やスパッタ法による無機酸化物等の封止材35で気密に封止する。これにより、静電アクチュエータ4の駆動耐久性、信頼性が向上する。
そして、図2、図4に簡略化して示すように、静電アクチュエータ4を駆動するために、ドライバIC等の駆動手段5を搭載したFPC(Flexible Print Circuit)を、電極取り出し部36において、導電性接着剤により、各個別電極31の端子部31aと、キャビティ基板2上に設けられた金属製の共通電極27に配線接続する。以上のようにしてインクジェットヘッド10が完成する。
ここで、インクジェットヘッド10の動作について説明する。任意のノズル孔11よりインク滴を吐出させるためには、そのノズル孔11に対応する静電アクチュエータ4を以下のように駆動する。
駆動手段5により当該個別電極31と共通電極である振動板22間にパルス電圧を印加する。パルス電圧の印加によって発生する静電気力により振動板22が個別電極31側に引き寄せられて当接し、吐出室21内に負圧を発生させ、リザーバ23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板22は個別電極31から離脱して、その時の振動板22の復元力によりインクを当該ノズル孔11から押出し、インク滴を吐出する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10によれば、ノズル基板1に形成されたノズル孔11の内壁が複数層の耐インク保護膜12〜14によって保護されているため、特にアルカリ性のインクに対する耐性を向上し、ノズル孔11の内壁の浸食を防止することができる。また、インク吐出面1a側の第3の耐インク保護膜14表面上にのみ撥水膜15が形成されているので、インク滴の吐出安定性が向上するとともに、ワイピング(クリーニング)に対する耐久性が向上する。
次に、上記のように構成されたインクジェットヘッド10の製造方法について、図5〜図13を用いて説明する。図5〜図10はノズル基板1の製造工程を示す部分断面図、図11〜図12は電極基板3の製造と電極基板3上に接合したシリコン基板からキャビティ基板2を製造する工程を示す部分断面図、図13は図12に続くインクジェットヘッド10の製造工程を示す部分断面図である。なお、以下に記載する基板の厚さ、膜厚、エッチング深さ、温度、圧力等についての数値はその一例を示すもので、これに限定されるものではない。
(a)まず、厚み280μmのシリコン基板100を用意し、このシリコン基板100を熱酸化装置(図示せず)にセットして、酸化温度1075℃、酸化時間4時間、酸素と水蒸気の混合雰囲気中の条件で熱酸化処理し、シリコン基板100の表面に膜厚1μmのSiO2 膜101を均一に成膜する(図5(a))。
(b)次に、シリコン基板100の接合面(キャビティ基板2と接合される面をいう)100bにレジスト102をコーティングし、導入部11bとなる部分110bをパターニングする(図5(b))。
(c)そして、このシリコン基板100を、例えば緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でハーフエッチングし、SiO2 膜101を薄くする。このとき、インク吐出側の面1aのSiO2 膜101もエッチングされ、SiO2 膜101の厚みが減少する(図5(c))。
(d)ついで、シリコン基板100のレジスト102を硫酸洗浄などにより剥離する(図5(d))。
(e)次に、シリコン基板100の接合面100b側にレジスト103をコーティングし、ノズル部11aとなる部分110aをパターニングする(図6(e))。
(f)そして、シリコン基板100を緩衝フッ酸水溶液(フッ酸水溶液:フッ化アンモニウム水溶液=1:6)でエッチングし、ノズル部11aとなる部分110aのSiO2 膜101を開口する。このとき、インク吐出側の面110aのSiO2 膜101はエッチングされ、完全に除去される(図6(f))。
(g)シリコン基板100の接合面100b側に設けたレジスト103を、硫酸洗浄などにより剥離する(図6(g))。
(h)次に、Deep−RIE(Reactive Ion Etching)ドライエッチング装置(図示せず)により、SiO2 膜101の開口部を、深さ60μmまで垂直に異方性ドライエッチングし、ノズル部11aを形成する(図7(h))。この場合のエッチングガスとしては、C48、SF6 を使用し、これらのエッチングガスを交互に使用すればよい。ここで、C48は形成される孔の側面のエッチングが進行しないように孔側面を保護するために使用し、SF6 は孔の垂直方向のエッチングを促進させるために使用する。
(i)次に、導入部11bとなる部分110bのSiO2 膜101のみがなくなるように、緩衝フッ酸水溶液でハーフエッチングする(図7(i))。
(j)再度、Deep−RIEドライエッチング装置により、SiO2 膜101の開口部を深さ20μmまで垂直に異方性ドライエッチングし、導入部11bを形成する(図7(j))。
(k)そして、シリコン基板100の表面に残るSiO2 膜101をフッ酸水溶液で除去した後、シリコン基板100を熱酸化装置(図示せず)にセットし、酸化温度1000℃、酸化時間2時間、酸素雰囲気中の条件で熱酸化処理を行い、シリコン基板100の接合面100b及びインク吐出側の面100aと、ノズル部11a及び導入部11bの内壁に、第1の耐インク保護膜12となるSiO2 膜12aを膜厚0.1μm成膜する。さらに、このSiO2 膜12aの上に、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)もしくはプラズマCVDにより第2の耐インク保護膜13となるTa25膜13aを膜厚0.2μm成膜する(図7(k))。但し、Ta25膜13aは、プラズマCVDの場合にはインク吐出側の面100aには成膜されない。なお、第2の耐インク保護膜13となるTa25膜13aの成膜を省略してもよい。
(l)次に、シリコン基板100の上下を逆転し、ガラス等の透明材料の支持基板120に、紫外線または熱などの刺激で容易に接着力が低下する自己剥離層51を持った両面テープ50を貼り合わせる(図8(l))。支持基板120に貼り合わせた両面テープ50の自己剥離層51の面と、シリコン基板100の接合面100bとを向かい合わせ、真空中で貼り合わせると、接着界面に気泡が残らずにきれいに接着される。ここで、接着界面に気泡が残ると、研磨加工で薄板化したときに、シリコン基板100の板厚がばらつく原因となる。両面テープ50は、例えば、SELFA−BG(登録商標:積水化学工業製)を用いる。
(m)シリコン基板100のインク吐出側の面100aをバックグラインダー(図示せず)によって研削加工し、ノズル部11aの先端が開口するまでシリコン基板100を薄くする(図8(m))。さらに、ポリッシャー、CMP装置によってインク吐出側の面100aを研磨し、ノズル部11aの先端部の開口を行っても良い。このとき、ノズル部11a及び導入部11bの内壁は、ノズル内の研磨材の水洗除去工程などによって洗浄する。
あるいは、ノズル部11aの先端部の開口を、ドライエッチングで行っても良い。例えば、SF6 をエッチングガスとするドライエッチングで、ノズル部11aの先端部までシリコン基板100を薄くし、表面に露出したノズル部11aの先端部のSiO2 膜12aを、CF4 又はCHF3 等のエッチングガスとするドライエッチングによって除去してもよい。
(n)薄板化されたシリコン基板100のインク吐出側の面100aとノズル部11a及び導入部11bの内壁に、160℃以下の低温プラズマCVDにより、第3の耐インク保護膜14となるTa25膜14aを膜厚0.2μm成膜する(図8(n))。これにより、ノズル部11a及び導入部11bの内壁はシリコン基板100の両面から2回成膜されるため、Ta25膜13a、14aの被覆性が向上する。また、Ta25膜14aからなる金属系酸化膜の成膜は、自己剥離層51が反応しない温度(160℃程度)以下で実施できる低温プラズマCVDとするのが適している。
(o)さらに、第3の耐インク保護膜14となるTa25膜14aの上に、ディッピングによりフッ素含有有機ケイ素化合物を主成分とする撥水膜15を形成する(図8(o))。このとき、ノズル部11a及び導入部11bの内壁側の面にも撥水膜15が形成される。
(p)シリコン基板100の上下を再度逆転し、撥水膜15が形成されたインク吐出側の面100aに、保護フィルム60を貼り付ける(図9(p))。ここでは、例えば、E−MASK(登録商標:日東電工製)を用いる。
(q)そして、支持基板120側からUV光を照射する(図9(q))。
(r)両面テープ50の自己剥離層51をシリコン基板100の接合面100bから剥離させ、支持基板120をシリコン基板100から取り外す(図9(r))。
(s)ArスパッタもしくはO2 プラズマ処理によって、シリコン基板100の接合面100b側、およびノズル部11a、導入部11bの内壁側の面に余分に形成された撥水膜15を除去するか、もしくは撥水機能を有しない膜15aにする(図9(s))。すなわち、撥水膜15のフッ素原子を消失させることによって撥水機能を有しない膜15aとなる。
その後、ノズル基板100の接着強度を上げるため、プライマー処理液に1時間浸漬した後、純水でリンスし、80℃で1時間の条件でベーキングする。このとき、プライマー処理液として、例えば、シランカップリング剤(型番:SH6020、東レダウ製)を用いる。
(t)次に、シリコン基板100の上下を再度逆転し、シリコン基板100の接合面100b(保護フィルム60が貼り付けられているインク吐出側の面100aと反対側の面)を吸着治具70に吸着固定し、インク吐出側の面100aにサポートテープとして貼り付けられている保護フィルム60を剥離する(図10(t))。
(u)吸着治具70の吸着固定を解除する。こうして、接合面100bとノズル孔11の内壁とに、SiO2からなる第1の耐インク保護膜12とTa25からなる第2の耐インク保護膜13とが積層して形成されるとともに、インク吐出面100a側には、Ta25からなる第3の耐インク保護膜14と撥水膜15とが積層して形成され、かつ、ノズル孔11の内壁には、SiO2からなる第1の耐インク保護膜12と、Ta25からなる第2、第3の耐インク保護膜13、14とが積層して形成されたノズル基板1が作製される(図10(u))。
以上の工程を経ることにより、シリコン基板100よりノズル基板1が作製される。
本実施形態に係るノズル基板1の製造方法よれば、ノズル孔11の内壁が複数層の耐インク保護膜12〜14によって十分に保護されているため、特にアルカリ性のインクに対して耐性が高く、吐出特性及び耐久性に優れたノズル基板1を製造することができる。
また、接合面100bに、両面テープ50を介して支持基板120を貼り合わせ、シリコン基板100をインク吐出側の面100aより薄板化してノズル孔11を開口するようにしたので、ノズル孔11の製造工程において、シリコン基板100が割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易で、歩留まりが向上する。
さらに、上記の製造工程において、シリコン基板100のインク吐出側の面100aに、耐インク性の高い酸化タンタル等からなる金属系酸化膜すなわち第3の耐インク保護膜14を形成し、そのうえに撥水膜15を形成するようにしたので、下地材が侵食されることによって起こる撥水膜15の剥れがなくなる。このことにより、長期にわたり、インク吐出側の面100aの撥水性を保持することができ、インク吐出の安定性を確保することができる。
なお、第2、第3の耐インク保護膜13、14として、酸化タンタル(Ta2 5 )を使用した場合について説明したが、特にアルカリ性インクに対する耐性の高い金属酸化物として、酸化ハフニウム(HfO2 )、酸化ニオブ(NbO)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)を使用することもできる。
次に、キャビティ基板2および電極基板3の製造方法について説明する。
ここでは、電極基板3に単結晶シリコン基板(以下、シリコン基板という)200を接合した後、そのシリコン基板200からキャビティ基板2を製造する方法について、図11、図12を用いて説明する。
(a)まず、硼珪酸ガラス等からなるガラス基板300に、金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより、凹部32を形成する。なお、この凹部32は個別電極31の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極31ごとに複数形成される。そして、凹部32の内部に、例えばスパッタによりITO(Indium Tin Oxide)からなる個別電極31を形成する。その後、ドリル等によってインク供給孔33となる孔部33aを形成することにより、電極基板3を作製する(図11(a))。
(b)シリコン基板200の両面を鏡面研磨した後に、シリコン基板200の片面に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって、TEOS(TetraEthylorthosilicate)からなるシリコン酸化膜(絶縁膜)25を形成する(図11(b))。なお、シリコン基板200を形成する前に、エッチングストップ技術を用いて、振動板22の厚みを高精度に形成するためのボロンドープ層を形成するようにしてもよい。エッチングストップとは、エッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のウェットエッチングにおいては、気泡の発生の停止をもってエッチングがストップしたものと判断する。
(c)このシリコン基板200と、図11(a)のようにして作製された電極基板3とを360℃に加熱し、シリコン基板200を陽極に、電極基板3を陰極に接続して800V程度の電圧を印加して、図11(c)に示すように、陽極接合により接合する。
(d)シリコン基板200と電極基板3を陽極接合した後に、水酸化カリウム水溶液等で接合状態のシリコン基板200をエッチングし、シリコン基板200を薄板化する(図11(d))。
(e)シリコン基板200の上面(電極基板3が接合されている面と反対側の面)の全面に、プラズマCVDによって、TEOS膜260を形成する。そして、このTEOS膜260に、吐出室21となる凹部210、オリフィス24となる溝部240およびリザーバ23となる凹部230を形成するためのレジストをパターニングし、これらの部分のTEOS膜260をエッチング除去する。
その後、シリコン基板200を水酸化カリウム水溶液等でエッチングすることにより、吐出室21となる凹部210、オリフィス24となる溝部240及びリザーバ23となる凹部230を形成する(図12(e))。このとき、配線のための電極取り出し部36となる部分もエッチングして薄板化しておく。なお、ウェットエッチングの工程では、例えば初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用することができる。これにより、振動板22の面荒れを抑制することができる。
(f)シリコン基板200のエッチングが終了した後に、フッ酸水溶液でエッチングし、図13(f)に示すように、シリコン基板200の上面に形成されているTEOS膜260を除去する(図12(f))。
(g)シリコン基板200の吐出室21となる凹部210等が形成された面に、プラズマCVDによりTEOS膜(絶縁膜)26を形成する(図12(g))。
(h)RIE(Reactive Ion Etching)等によって、電極取り出し部29を開放する。また、電極基板3のインク供給口33となる孔部にレーザ加工を施して、シリコン基板200のリザーバ23となる凹部230の底部を貫通させ、インク供給口33を形成する。また、振動板22と個別電極31の間のギャップ34の開放端部にエポキシ樹脂等の封止材35を充填して封止する。さらに、共通電極27をスパッタにより、シリコン基板200の端部に形成する(図12(h))。
以上により、電極基板3に接合した状態のシリコン基板200からキャビティ基板2が作製される。
最後に、キャビティ基板2に、前述のようにして作製されたノズル基板1を接着等により接合することにより、図13に示したインクジェットヘッド10が完成する。
本実施形態に係るインクジェットヘッド10の製造方法によれば、キャビティ基板2を、予め作製された電極基板3に接合した状態のシリコン基板200から作製するので、その電極基板3によりシリコン基板200を支持した状態となり、シリコン基板200を薄板化しても割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。従って、キャビティ基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上する。
上記の実施形態では、ノズル基板及びインクジェットヘッド、ならびにこれらの製造方法について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、図14に示すインクジェットプリンタ400のほか、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)及び液滴吐出装置に、本実施形態のノズル基板の製造方法で製造されたノズル基板を搭載することにより、良好な吐出特性と耐久性を兼ね備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を得ることができる。
本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 組立状態における図1の右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの部分断面図。 図2のノズル孔部分の拡大断面図。 図2のインクジェットヘッドの上面図。 ノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 図5に続くノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 図6に続くノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 図7に続くノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 図8に続くノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 図9に続くノズル基板の製造工程を示す部分断面図。 電極基板の製造と電極基板上に接合したシリコン基板からキャビティ基板を製造する工程を示す部分断面図。 図11に続くキャビティ基板の製造工程を示す部分断面図。 図12に続くインクジェットヘッドの製造工程を示す部分断面図。 本発明の一実施の形態に係るインクジェットヘッドを使用したインクジェットプリンタの斜視図。
符号の説明
1 ノズル基板、1a インク吐出面、1b 接合面、2 キャビティ基板、3 電極基板、4 静電アクチュエータ、5 駆動手段、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、11a ノズル部、11b 導入部、12 第1の耐インク保護膜(第1の耐吐出液保護膜)、13 第2の耐インク保護膜(第2の耐吐出液保護膜)、14 第3の耐インク保護膜(第3の耐吐出液保護膜)、15 撥水膜、21 吐出室、22 振動板、23 リザーバ、24 オリフィス、25 絶縁膜、26 耐インク保護膜、27 共通電極、31 個別電極、32 凹部、33 インク供給口、34 ギャップ、35 封止材、36 電極取り出し部、100 シリコン基板、400 インクジェットプリンタ。

Claims (4)

  1. 液滴を吐出するノズル部と、前記ノズル部より断面積が大きく前記ノズル部と同軸上に設けられた導入部とを少なくとも備えたノズル孔を複数備えたノズル基板であって、
    少なくとも前記ノズル孔の内壁に耐アルカリ性の複数層の耐吐出液保護膜を形成し、
    前記複数層の耐吐出液保護膜として、
    前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面に形成されたSiO 膜からなる第1の耐吐出液保護膜と、
    前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面で前記第1の耐吐出液保護膜の上に形成された金属酸化物を主成分とする第2の耐吐出液保護膜と、
    前記吐出面、及び前記ノズル孔の内壁上の前記第1の耐吐出液保護膜の上に、形成された金属酸化物を主成分とする第3の耐吐出液保護膜とを有し、
    前記ノズル孔の内壁及び前記吐出面と反対側の面を除く前記吐出面側で前記第3の耐吐出液保護膜の上に撥水膜を有することを特徴とするノズル基板。
  2. 前記金属酸化物は、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、たは酸化ジルコニウムのいずれかであることを特徴とする請求項記載のノズル基板。
  3. シリコン基板に、ノズル部と、このノズル部より断面積が大きく前記ノズル部と同軸上に位置する導入部とからなるノズル孔を異方性ドライエッチングにより複数形成する工程と、
    前記ノズル孔が形成された前記シリコン基板に対し、前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面にSiO 膜からなる第1の耐吐出液保護膜を熱酸化により形成する工程と、
    前記ノズル孔の内壁及び吐出面と反対側の面で前記第1の耐吐出液保護膜の上に、金属酸化物を主成分とする第2の耐吐出液保護膜をCVDにより形成する工程と、
    前記吐出面、及び前記ノズル孔の内壁上の前記第1の耐吐出液保護膜の上に、金属酸化物を主成分とする第3の耐吐出液保護膜をCVDにより形成する工程と、
    前記ノズル孔の内壁及び前記吐出面と反対側の面を除く前記吐出面側で前記第3の耐吐出液保護膜の上に撥水膜を形成する工程と、
    を少なくとも有することを特徴とするノズル基板の製造方法。
  4. 前記金属酸化物として、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、または酸化ジルコニウムのいずれかを用いることを特徴とする請求項3記載のノズル基板の製造方法。
JP2008024949A 2008-02-05 2008-02-05 ノズル基板及びノズル基板の製造方法 Active JP5145985B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008024949A JP5145985B2 (ja) 2008-02-05 2008-02-05 ノズル基板及びノズル基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008024949A JP5145985B2 (ja) 2008-02-05 2008-02-05 ノズル基板及びノズル基板の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009184176A JP2009184176A (ja) 2009-08-20
JP2009184176A5 JP2009184176A5 (ja) 2011-02-03
JP5145985B2 true JP5145985B2 (ja) 2013-02-20

Family

ID=41067946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008024949A Active JP5145985B2 (ja) 2008-02-05 2008-02-05 ノズル基板及びノズル基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5145985B2 (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5248454B2 (ja) * 2009-09-28 2013-07-31 富士フイルム株式会社 ノズルプレートの製造方法
JP5476912B2 (ja) * 2009-10-08 2014-04-23 セイコーエプソン株式会社 ノズル基板及びノズル基板の製造方法並びに液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP5573174B2 (ja) * 2010-01-14 2014-08-20 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェット記録方法
JP2011156845A (ja) * 2010-02-04 2011-08-18 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、及び、液体噴射ヘッドの製造方法
JP5159916B2 (ja) 2011-04-28 2013-03-13 株式会社東芝 ホスト
US8840981B2 (en) * 2011-09-09 2014-09-23 Eastman Kodak Company Microfluidic device with multilayer coating
JP6064470B2 (ja) * 2012-09-13 2017-01-25 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP6163752B2 (ja) * 2012-12-27 2017-07-19 セイコーエプソン株式会社 ノズルプレートの製造方法、液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射装置の製造方法
JP6186721B2 (ja) * 2012-12-27 2017-08-30 セイコーエプソン株式会社 ノズルプレートの製造方法、液体噴射ヘッドの製造方法及び液体噴射装置の製造方法
JP2014124879A (ja) 2012-12-27 2014-07-07 Seiko Epson Corp ノズルプレート、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP6217170B2 (ja) * 2013-06-23 2017-10-25 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP6146200B2 (ja) * 2013-08-20 2017-06-14 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置
JP5846231B2 (ja) * 2014-02-24 2016-01-20 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッドおよびインクジェット記録方法
JP6388389B2 (ja) * 2014-08-29 2018-09-12 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法
CN110520302B (zh) * 2017-03-29 2021-03-02 柯尼卡美能达株式会社 喷出用基板、液滴喷出头及液滴喷出装置
JP2019177538A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 株式会社リコー インク吐出装置、及び記録方法
JP7047587B2 (ja) 2018-05-16 2022-04-05 コニカミノルタ株式会社 インクジェットヘッドおよびインクジェット画像形成装置
JP7087702B2 (ja) * 2018-06-13 2022-06-21 コニカミノルタ株式会社 ノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、ノズルプレート及びインクジェットヘッド
JP2020019204A (ja) * 2018-07-31 2020-02-06 株式会社リコー 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置及び液体吐出ヘッドの製造方法
EP4129692A4 (en) 2020-03-30 2023-09-13 FUJIFILM Corporation LIQUID DISCHARGE STRUCTURE, LIQUID DISCHARGE HEAD AND LIQUID DISCHARGE DEVICE

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56161853A (en) * 1980-05-14 1981-12-12 Ricoh Co Ltd Multinozzle plate
JPH10323979A (ja) * 1997-03-27 1998-12-08 Seiko Epson Corp インクジェットヘッドの製造方法及びインクジェットプリンタ
JP4670533B2 (ja) * 2005-08-04 2011-04-13 セイコーエプソン株式会社 ノズルプレートの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009184176A (ja) 2009-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5145985B2 (ja) ノズル基板及びノズル基板の製造方法
JP5277571B2 (ja) ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP5728795B2 (ja) ノズルプレートの製造方法、及び、液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2011121218A (ja) ノズルプレート、吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに吐出装置
JP2007152621A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法
JP5218164B2 (ja) ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP5315975B2 (ja) ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにこれらの製造方法
JP4692534B2 (ja) シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法
JP2009113351A (ja) シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法
JP5332275B2 (ja) シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法
JP4678298B2 (ja) ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法及びデバイスの製造方法
JP2007261152A (ja) ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法
JP2009107314A (ja) ノズルプレート、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにノズルプレートの製造方法
JP4983361B2 (ja) ノズル基板の製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2009178948A (ja) ノズル基板、ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2010142991A (ja) ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置並びにこれらの製造方法
JP5648262B2 (ja) シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、及び液滴吐出装置の製造方法
JP2011000893A (ja) シリコン製ノズル基板、シリコン製ノズル基板を備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及びシリコン製ノズル基板の製造方法
JP2009029018A (ja) ノズル基板の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置
JP2010240854A (ja) ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2008114462A (ja) ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法、ノズル基板、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2009292080A (ja) シリコン製ノズル基板、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、シリコン製ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法及び液滴吐出装置の製造方法
JP2010125704A (ja) ノズル基板の製造方法、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出装置の製造方法
JP2010214923A (ja) ノズル基板の製造方法、その製造方法で製造されたノズル基板、液滴吐出ヘッドの製造方法、その製造方法で製造された液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2007320254A (ja) ノズルプレートの製造方法、ノズルプレート、液滴吐出ヘッドの製造方法、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置の製造方法及び液滴吐出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101209

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5145985

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350