JP2008179093A - 液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルの高密度化を可能にし、かつノズル間の圧力干渉を防止できる液滴吐出ヘッドを歩留まり良く製造することが可能な液滴吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】液滴吐出ヘッドは、ノズル孔を有するノズル基板と、吐出室を有するキャビティ基板と、リザーバ23となる凹部24を有し且つノズル孔に連通するノズル連通孔21が貫通形成されたリザーバ基板とを少なくとも備え、更にリザーバの壁の一部に圧力変動を緩衝するダイアフラム部が設けられたものであり、シリコン基板200にリザーバ23となる凹部24を形成する際の酸化膜のフォトリソグラフィープロセスにおいて、シリコン基板200のリザーバ23となる凹部24の形成面とは反対側の面全体に保護フィルム220を貼り付けて反対面を保護するようにし、保護フィルム200の貼り付けを、減圧環境下で行うようにしたものである。
【選択図】図5

Description

本発明は、インクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、駆動部により吐出室に圧力を加えることによりインク滴を選択されたノズル孔より吐出するように構成されている。駆動手段としては、静電気力を利用する方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用する方式等がある。
このようなインクジェットヘッドでは、印刷速度の高速化およびカラー化を目的として、ノズル列を複数有する構造のインクジェットヘッドが求められている。さらに、近年ノズル密度は高密度化するとともに、長尺化(1列当たりのノズル数の増加)しており、インクジェットヘッド内のアクチュエータ数はますます増加している。
インクジェットヘッドでは、ノズル孔のそれぞれに共通に連通するリザーバが設けられているので、ノズル密度の高密度化に伴い、吐出室の圧力がリザーバにも伝わり、その圧力の影響が他のノズル孔にも及ぶことになる。例えば、アクチュエータを駆動することにより、リザーバに正圧がかかると本来インク滴を吐出するべきノズル孔(駆動ノズル)以外の非駆動ノズルからもインク滴が漏れ出たり、逆にリザーバに負圧がかかると駆動ノズルから吐出するべきインク滴の吐出量が減少したりして印字品質が劣化する。そこで、このようなノズル間の圧力干渉を防止するために、リザーバの圧力変動を緩衝させためのダイアフラム部をノズル基板に設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−119044号公報
しかし、従来のインクジェットヘッドでは、リザーバが吐出室と同一の基板(キャビティ基板)に形成される構造であるため、リザーバの体積確保の観点から、リザーバと同一基板に圧力変動緩衝部すなわちダイアフラム部を設けるのは困難である。上記の理由からダイアフラム部はノズル基板に形成されているが、この構造だと強度の低い部位が外部に露出するため、ダイアフラム部を薄くするのにも限界があり、また保護カバー等が別途必要になる。
また、インクジェットヘッドを製造する際には、歩留まり良く製造することが望まれているが、特許文献1に開示されている製造プロセスでは、歩留まり低下の要因となる、フォトリソプロセスにおけるレジスト塗布不良について何ら記載されておらず、歩留まりの面での改善策が必要となるものと思われる。
本発明は、ノズルの高密度化を可能にし、かつノズル間の圧力干渉を防止できる液滴吐出ヘッドを歩留まり良く製造することが可能な液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、複数のノズル孔を有するノズル基板と、各ノズル孔に連通し、室内に圧力を発生させてノズル孔より液滴を吐出する複数の独立した吐出室を有するキャビティ基板と、吐出室に対して共通に連通するリザーバを有し且つノズル孔に連通するノズル連通孔が貫通形成され、ノズル基板とキャビティ基板との間に設けられるリザーバ基板とを少なくとも備え、リザーバの壁の一部に圧力変動を緩衝するダイアフラム部が設けられた液滴吐出ヘッドの製造方法であって、リザーバ基板となるシリコン基板にノズル連通孔を貫通形成する工程と、ノズル連通孔が貫通形成されたリザーバ基板に、リザーバとなる凹部を形成するリザーバ形成工程と、シリコン基板のリザーバとなる凹部の形成面とは反対側の面からエッチングを行ってダイアフラム部を形成する工程とを有し、リザーバ形成工程は、シリコン基板上に酸化膜を形成する工程と、酸化膜にフォトリソグラフィーを用いて、リザーバとなる凹部を形成するためのパターンを形成する工程と、パターンが形成されたシリコン基板にエッチングを行ってリザーバとなる凹部を形成する工程とを有し、酸化膜にパターンを形成する際には、シリコン基板のリザーバとなる凹部の形成面とは反対側の面全体に保護フィルムを貼り付けて反対面を保護するようにし、保護フィルムの貼り付けを、減圧環境下で行うようにしたものである。
このように、リザーバ内での圧力変動をダイアフラム部により抑制することで良好な吐出特性が得られる液滴吐出ヘッドの製造に際し、保護フィルムを減圧環境下でシリコン基板に貼り付けるようにしたため、シリコン基板との間に気泡を残存することなく貼り付けを行うことができ、フォトリソグラフィプロセスにおけるレジスト塗布性が向上する。その結果、レジスト塗布不良による欠陥発生を防止でき、歩留まりと生産性を向上することができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、保護フィルムが、フォトリソグラフィプロセスにおける薬液耐性を有する材質であるものを用いることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、保護フィルムが、ポリエステルで構成されているものを用いることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、シリコン基板に保護フィルムを貼り付ける工程では、シリコン基板を台座上に載置し、その状態で、シリコン基板の台座と反対側の面から保護フィルムを貼り付けるものであり、台座には、ノズル連通孔に対向する位置に、大気連通孔を設けられているものである。
シリコン基板に保護フィルムを貼り付ける工程は、減圧環境下で行われるものであるため、このように大気連通孔を設けておくことにより、貼り付け工程後の大気開放時に、シリコン基板と台座とが真空吸着により貼り付くのを防止することができる。
以下、本発明を適用した液滴吐出ヘッドの実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、ノズル基板の表面に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するフェイス吐出型のインクジェットヘッドについて図1及び図2を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、基板の端部に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するエッジ吐出型の液滴吐出ヘッドにも同様に適用することができるものである。また、アクチュエータは静電駆動方式で示してあるが、その他の駆動方式でもよいものである。
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は組立状態を示すインクジェットヘッドの断面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
図1、図2に示す本実施形態に係るインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)10は、従来の一般的な静電駆動方式のインクジェットヘッドのようにノズル基板、キャビティ基板、電極基板の3つの基板を貼り合わせた3層構造ではなく、ノズル基板1、リザーバ基板2、キャビティ基板3、電極基板4の4つの基板をこの順に貼り合わせた4層構造で構成されている。すなわち、吐出室31とリザーバ23が別々の基板に設けられている。以下、各基板の構成について詳述する。
ノズル基板1は、例えば厚さ約50μmのシリコン基板から作製されている。ノズル基板1には多数のノズル孔11が所定のピッチで設けられている。ただし、図1には簡明のため1列5つのノズル孔11で示してある。また、ノズル列は複数列とすることもある。
各ノズル孔11は、基板面に対し垂直にかつ同軸上に小さい穴の噴射口部分11aと噴射口部分11aよりも径の大きい導入口部分11bとから構成されている。
リザーバ基板2は、例えば厚さ約180μmの面方位が(100)のシリコン基板から作製されている。このリザーバ基板2には、リザーバ基板2を垂直に貫通し各ノズル孔11に独立して連通する少し大きい径(導入口部分11bの径と同等もしくはそれよりも大きい径)のノズル連通孔21が設けられている。また、各ノズル連通孔21および各ノズル孔11に対して各供給口22を介して連通する共通のリザーバ(共通インク室)23となる凹部24が形成されている。この凹部24は、平面方向に延び、面積の大きい矩形形状で形成されており、ノズル基板1と接合する側の面(以下、N面ともいう)が開口されている。そして、この凹部24の底部の一部にダイアフラム部25が形成されている。また、ダイアフラム部25の下方、すなわちキャビティ基板3と接合する側の面(以下、C面ともいう)には凹部26が形成されており、凹部26はダイアフラム部25のたわみを許容する空間部となっている。この空間部26はキャビティ基板3によって蓋がされ密閉されている。
また、リザーバ23となる凹部24の底部にはダイアフラム部25を回避した位置にそれぞれ貫通孔により、上記の供給口22と外部からリザーバ23にインクを供給するためのインク供給孔27が設けられている。
さらに、リザーバ基板2のC面には、次に述べるキャビティ基板3の吐出室31の一部を構成する細溝状の第2の凹部28が形成されている。第2の凹部28は、キャビティ基板3を薄くすることによる吐出室31での流路抵抗の増加を防ぐために設けられているが、第2の凹部28は省略することも可能である。
なお、図示は省略するが、リザーバ基板2の全面にはインクによるシリコンの腐食を防ぐために例えば熱酸化膜(SiO2膜)からなるインク保護膜が形成されている。
リザーバ基板2を貫通するノズル連通孔21は、ノズル基板1のノズル孔11と同軸上に設けられているので、インク滴の吐出の直進性が得られ、そのため吐出特性が格段に向上するものとなる。特に、微小なインク滴を狙い通りに着弾させることができるため、色ずれ等を生じることなく微妙な階調変化を忠実に再現することができ、より鮮明で高品位の画質を実現することができる。
キャビティ基板3は、例えば厚さ約30μmのシリコン基板から作製されている。このキャビティ基板3にはノズル連通孔21のそれぞれに独立して連通する吐出室31となる第1の凹部33が設けられている。そして、この第1の凹部33と上記の第2の凹部28とで各吐出室31が区画形成されている。また、吐出室31(第1の凹部33)の底壁が振動板32を構成している。振動板32は、シリコンに高濃度のボロンを拡散することにより形成されるボロン拡散層により構成することができる。ボロン拡散層とすることにより、エッチングストップを十分に働かせることができるので振動板32の厚さや面荒れを精度よく調整することができる。
キャビティ基板3の少なくとも下面には、例えばTEOS(Tetraethylorthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、珪酸エチル)を原料としたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)によるSiO2膜からなる絶縁膜34が例えば0.1μmの厚さで形成されている。この絶縁膜34は、インクジェットヘッド10の駆動時における絶縁破壊や短絡を防止するために設けられている。キャビティ基板3の上面にはリザーバ基板2と同様のインク保護膜(図示せず)が形成されている。また、キャビティ基板3にはリザーバ基板2のインク供給孔27に連通するインク供給孔35が設けられている。
電極基板4は、例えば厚さ約1mmのガラス基板から作製されている。中でも、キャビティ基板3のシリコン基板と熱膨張係数の近い硼珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いるのが適している。硼珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いることにより、電極基板4とキャビティ基板3を陽極接合する際、両基板の熱膨張係数が近いため、電極基板4とキャビティ基板3との間に生じる応力を低減することができ、その結果剥離等の問題を生じることなく電極基板4とキャビティ基板3を強固に接合することができる。
電極基板4には、キャビティ基板3の各振動板32に対向する表面の位置にそれぞれ凹部42が設けられている。各凹部42は、エッチングにより約0.3μmの深さで形成されている。そして、各凹部42の底面には、一般に、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極41が、例えば0.1μmの厚さでスパッタにより形成されている。したがって、振動板32と個別電極41との間に形成されるギャップG(空隙)は、この凹部42の深さ、個別電極41および振動板32を覆う絶縁膜34の厚さにより決まることになる。このギャップ(電極間ギャップ)Gはインクジェットヘッドの吐出特性に大きく影響する。本実施形態の場合、電極間ギャップGは0.2μmとなっている。この電極間ギャップGの開放端部はエポキシ接着剤等からなる封止材43により気密に封止される。これにより異物や湿気等が電極間ギャップへ侵入するのを防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性を高く保持することができる。
なお、個別電極41の材料はITOに限定するものではなく、IZO(Indium Zinc Oxide)あるいは金、銅等の金属を用いてもよい。ただ、ITOは透明であるので振動板の当接具合の確認が行いやすいことなどの理由から、一般にはITOが用いられている。
また、個別電極41の端子部41aは、リザーバ基板2およびキャビティ基板3の端部が開口された電極取り出し部44に露出しており、電極取り出し部44において例えばドライバIC等の駆動制御回路5が搭載されたフレキシブル配線基板(図示せず)が各個別電極41の端子部41aとキャビティ基板3の端部に設けられた共通電極36とに接続されている。
電極基板4にはインクカートリッジ(図示せず)に接続されるインク供給孔45が設けられている。インク供給孔45は、キャビティ基板3に設けられたインク供給孔35およびリザーバ基板2に設けられたインク供給孔27を通じてリザーバ23に連通している。
ここで、上記のように構成されたインクジェットヘッド10の動作について概要を説明する。
インクジェットヘッド10には、外部のインクカートリッジ(図示せず)内のインクがインク供給孔45、35、27を通じてリザーバ23内に供給され、さらにインクは個々の供給口22からそれぞれの吐出室31、ノズル連通孔21を経てノズル孔11の先端まで満たされている。また、このインクジェットヘッド10の動作を制御するためのドライバIC等の駆動制御回路5が各個別電極41とキャビティ基板3に設けられた共通電極36との間に接続されている。したがって、この駆動制御回路5により個別電極41に駆動信号(パルス電圧)を供給すると、個別電極41には駆動制御回路5からパルス電圧が印加され、個別電極41をプラスに帯電させ、一方これに対応する振動板32はマイナスに帯電する。このとき、個別電極41と振動板32間に静電気力(クーロン力)が発生するため、この静電気力により振動板32は個別電極41側に引き寄せられて撓む。これによって吐出室31の容積が増大する。次に、パルス電圧をオフにすると、上記静電気力がなくなり振動板32はその弾性力により元に戻り、その際、吐出室31の容積が急激に減少するため、そのときの圧力により、吐出室31内のインクの一部がノズル連通孔21を通過しインク滴となってノズル孔11から吐出される。そして、再びパルス電圧が印加され、振動板32が個別電極41側に撓むことにより、インクがリザーバ23から供給口22を通って吐出室31内に補給される。
この実施形態1に係るインクジェットヘッド10の構成によれば、上記のようなインクジェットヘッド10の駆動時において、吐出室31の圧力はリザーバ23にも伝達される。このとき、リザーバ23には底部の一部にダイアフラム部25が設けられているので、リザーバ23が正圧になるとダイアフラム部25は凹部26の空間部内で下方へ撓み、逆にリザーバ23が負圧になるとダイアフラム部25は上方へ撓むため、リザーバ23内の圧力変動を緩衝することができ、ノズル間の圧力干渉を防止することができる。そのため、駆動ノズル以外の非駆動ノズルからインクが漏れ出たり、駆動ノズルから吐出に必要な吐出量が減少するといったような不具合をなくすことができる。
また、ダイアフラム部25はリザーバ23の底部に設けられているため、ダイアフラム部25の面積を大きくすることができ、圧力緩衝効果を大きくすることができる。
さらに、ダイアフラム部25はキャビティ基板3によって蓋がされ外部に露出していないので、薄膜部からなるダイアフラム部25を外力から確実に保護することができ、かつ保護カバー等特別な保護部材を全く必要としない。そのため、インクジェットヘッド10の小型化およびコスト低減が可能となる。
なお、ダイアフラム部25は上記のように広い面積を有するので、密閉された空間部26内でも確実に変位(振動)させることができる。また必要に応じて、外部から空間部26に連通する小さい通気孔(図示せず)をキャビティ基板3および電極基板4に設けても構わない。
次に、実施形態1に係るインクジェットヘッド10の製造方法について図3乃至図9を参照して説明する。なお、以下において示す基板の厚さやエッチング深さ、温度、圧力等の値はあくまでも一例を示すものであり、本発明はこれらの値によって限定されるものではない。
初めに、実施形態1に係るインクジェットヘッドの製造のために使用するリザーバ基板の製造方法を図3乃至図6の工程断面図により説明する。
まず、面方位(100)、厚さ180μmのシリコン基板200を用意し、このシリコン基板200の全面に厚さ1.5μmの熱酸化膜201を形成する(図3(a))。熱酸化膜201は、例えば熱酸化装置にシリコン基板200をセットし、酸化温度1075℃、酸素と水蒸気の混合雰囲気中で8時間熱酸化を行うことにより形成する。熱酸化膜201はシリコンの耐エッチング材として使用するものである。
次に、シリコン基板200のキャビティ基板との接合面(以下、C面という)側の熱酸化膜201にレジストをコーティングし、フォトリソグラフィーによりノズル連通孔21、第2の凹部28、供給口22、インク供給孔27の外周部、およびダイアフラム部25にそれぞれ対応する部分21a、28a、22a、27a、25aをパターニングしてエッチングする(図3(b))。このとき、例えばフッ酸水溶液とフッ化アンモニウム水溶液を混合した緩衝フッ酸水溶液を用いてC面における各部分21a、28a、22a、27a、25aの熱酸化膜201の残り膜厚が次の関係となるようにエッチングする。
熱酸化膜201の残り膜厚:ノズル連通孔部分21a=0<供給口部分22a=インク供給孔外周部分27a<第2の凹部部分28a=ダイアフラム部分25a
その後レジストを剥離する。
次に、C面のノズル連通孔21に対応する部分21aをICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングによって深さ150μm程度異方性ドライエッチングする(図3(c))。この場合のエッチングガスとしては、例えば、C48(フッ化炭素)、SF6(フッ化硫黄)を交互に使用するとよい。ここで、C48は穴部21aの側面方向にエッチングが進行しないように穴部21aの側面を保護するために使用し、SF6は穴部21aの垂直方向のエッチングを促進するために使用する。
次に、供給口22に対応する部分22aおよびインク供給孔27の外周部に対応する部分27aの熱酸化膜201を適量エッチングしてこれらの部分22a、27aを開口させた後、上記2種類のエッチングガスを使用したICPドライエッチングにより深さ15μm程度異方性ドライエッチングする(図3(d))。
次に、第2の凹部28に対応する部分28aおよびダイアフラム部25に対応する部分25aの熱酸化膜201を適量エッチングしてこれらの部分28a、25aを開口させた後、上記2種類のエッチングガスを使用したICPドライエッチングにより深さ25μm程度異方性ドライエッチングする(図4(e))。このとき、上記のノズル連通孔21に対応する穴部21aはさらに深くエッチングされてシリコン基板200を貫通しノズル連通孔21が形成される。
次に、上記熱酸化膜201をすべて剥離した後、再度シリコン基板200の全面に熱酸化により熱酸化膜202を1.1μmの厚さで形成する。そして、シリコン基板200を台座210にセットする。シリコン基板200のノズル基板との接合面(以下、N面という)側が台座210に対向するように台座210上にセットする。なお、台座210には、シリコン基板200が載置される載置面から側面へと貫通する大気連通孔210aが形成されており、この大気連通孔210aの前記載置面側の開口にノズル連通孔21が位置するようにシリコン基板200が台座210にセットされる(図4(f))。なお、大気連通孔210aは、図4では1箇所のみを示しているが、ウエハー(シリコン基板200)のパターンレイアウトに応じて複数、台座210に形成されている。
そして、シリコン基板200のC面側に、樹脂(例えばポリエステル)フィルムで構成された保護フィルム220を貼り付ける(図4(g))。この保護フィルム220には、熱収縮率が低く、耐薬品性の高いポリエステルを使うのが望ましいが、これに限るものではなく、他に例えばポリオレフィンを用いてもよい。
ここで、保護フィルム220は、後述のレジスト塗布プロセスにおけるレジスト塗布不良を防止する観点から、シリコン基板200に対して気泡等を介在することなく密着して貼り付けられることが望まれている。本発明の製造プロセスでは、これが可能であることに一つの特徴を有している。以下、保護フィルム220の貼り付け工程について詳細に説明する。
まず、保護フィルム220を、その外周部分でテープ等の仮固定手段221を用いて台座222に仮固定したものを用意する。そして、これを、台座210にセットしたシリコン基板200と共に、真空チャンバーとしてのグローブボックス(真空環境を作り出し、その環境下で作業が行える装置)230内に収納し、シリコン基板200と対向させ、グローブボックス230内部を減圧する(図4(g))。なお、保護フィルム220のシリコン基板200と対向する表面には、粘着材がコーティングされている。
そして、グローブボックス230内を減圧した状態で、保護フィルム220を、シリコン基板200のC面に接触させて貼り付ける(図4(h))。このように減圧状態で貼り付けを行うことで、保護フィルム220とシリコン基板200との界面に気泡が残存することなく両者を貼り付けることが可能となっている。
また、シリコン基板200のノズル連通孔21と第2の凹部部分28aとによって形成される空間は、台座210に設けた大気連通孔210aによって外部に連通しているため、この貼り付け工程後の大気開放時に、シリコン基板200と台座210とが真空吸着により貼り付くことはない。
次に、シリコン基板200のN面全体にレジスト240を塗布する(図5(i))。レジスト240の塗布は、スピンコート法によりレジストを塗布する塗布装置によって行われる。塗布装置は、シリコン基板200を真空吸着により回転プレート上に保持し、そのシリコン基板200上にレジスト240を滴下し、回転プレートを回転させることで遠心力により均一にレジスト240をシリコン基板200上に塗布するものである。したがって、仮に、保護フィルム220を貼着せずにレジスト240を塗布した場合、シリコン基板200にはノズル連通孔21が貫通形成されているため、レジスト240がノズル連通孔21のN面側開口から流入し、C面側開口から流れ出てシリコン基板200のC面側に回り込んでしまう。そうすると、シリコン基板200のC面に付着してキャビティ基板との接合強度低下を招いたり、また、回転プレートに付着して塗布装置にダメージを与えたりといった問題が発生する。
しかしながら、本例ではシリコン基板200のC面全体に保護フィルム220を貼着してからレジスト240を塗布するようにしているので、保護フィルム220によってガラス基板31の裏面に回り込むのを防止することができる。
また、本例では、上述したように保護フィルム220をシリコン基板200のC面に対して気泡等を残存することなく貼り付けることができるため、気泡等が残存した場合のレジスト塗布不良の問題を回避することが可能となっている。この点について、図6を用いて説明する。
図6は、保護フィルム220とシリコン基板200のC面との間に気泡等が残存した場合のレジスト塗布不良の説明図である。
図6に示すように、保護フィルム220とシリコン基板200のC面との界面部分に気泡241が残存した場合、レジスト240の塗布の際に気泡部分にレジスト240が侵入し、ノズル連通孔21の開口面周囲のレジスト240が少なくなってしまう。また、このような気泡241は、塗布装置での塗布プロセスで次第に成長して大きくなることから、前記界面部分へのレジスト240の引き込み量も大きくなる。そうすると、図6に示すように、ノズル連通孔21の開口面周囲部分に、レジスト240が塗布されていない状態となる。この場合、レジスト240で保護すべきノズル連通孔21の開口面周囲の熱酸化膜202が保護されていない状態となり、次の図5(j)に示す熱酸化膜202のエッチングの際に、ノズル連通孔21の開口面周囲に対応する熱酸化膜202がエッチングされてしまう。そうすると、後述の図5(k)に示すシリコン基板200のエッチングの際に、ノズル連通孔21の開口面周囲部分もエッチングされてしまい、酸化膜保護不良による欠陥となってしまう。
これに対し、本例では、保護フィルム220とシリコン基板200のC面との界面部分に気泡241が残存することなく両者を貼り付けることができるため、シリコン基板200のN面に均一にレジスト240を塗布することでき、レジスト塗布不良による欠陥発生を回避することが可能となっている。
以上のようにしてレジスト240をシリコン基板200のN面全体に塗布した後、フォトリソグラフィーを用いて熱酸化膜202に、リザーバ23となる凹部24を形成するためのパターンを形成する(図5(j))。すなわち、フォトリソグラフィーを用いてレジスト240をパターニングし、そのレジストパターンを用いて、熱酸化膜202からリザーバ23となる凹部24に対応する部分24aをエッチング除去し、熱酸化膜202にリザーバ23となる凹部24を形成するためのパターンを形成する。このとき、上述したようにノズル連通孔21の開口面周囲部分のレジスト240は、他の部分と同様に均一に塗布されているので、ノズル連通孔21の開口面周囲部分の熱酸化膜202はエッチングされることなく保護される。そして、レジスト240を剥離するとともに、保護フィルム220を剥がす。
そして、水酸化カリウム水溶液にシリコン基板200を浸漬し、リザーバ23となる凹部24を深さ150μm程度ウェットエッチングする(図5(k))。なおこのウェットエッチング工程では、最初は、エッチングレートの速い濃度(例えば35wt%)の水酸化カリウム水溶液を用いて開始し、途中からエッチングレートの遅い濃度(例えば3wt%)の水酸化カリウム水溶液に切り替えてエッチングを行うことが好ましい。これによりダイアフラム部25の面荒れを抑制することができ、表面精度の向上および表面欠陥の防止に効果がある。
最後に、熱酸化膜202をすべて剥離した後、再度ドライ酸化によりシリコン基板200の全面にインク保護膜29を厚さ0.1μmで形成する(図5(l))。なお熱酸化膜202を剥離したとき、インク供給孔27は貫通孔となる。
以上により、リザーバ基板2の各部21〜28が形成される。
次に、インクジェットヘッドの完成までの製造方法を図7乃至図9により説明する。
電極基板4は以下のようにして製造される。
まず、硼珪酸ガラス等からなる厚さ約1mmのガラス基板400に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより凹部42を形成する。なお、この凹部42は個別電極41の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極41ごとに複数形成される。
そして、凹部42の内部に、例えばスパッタによりITO(Indium Tin Oxide)からなる個別電極41を形成する。
その後、ブラスト等によってインク供給孔45となる孔部45aを形成することにより、電極基板4が作製される(図7(a))。
次に、例えば厚さ約220μmに表面加工および表面の加工変質層の除去処理(前処理)がなされたシリコン基板300を用意し、このシリコン基板300の片面に例えばTEOSを原料としたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって厚さ0.1μmの熱酸化膜からなる絶縁膜34を成膜する(図7(b))。絶縁膜34の成膜は、例えば、温度360℃、高周波出力250W、圧力66.7Pa(0.5Torr)、ガス流量はTEOS流量100cm3/min(100sccm)、酸素流量1000cm3/min(1000sccm)の条件で行う。また、シリコン基板300は所要の厚さのボロンドープ層(図示せず)を有するものを用いるのが望ましい。
次に、このシリコン基板300と、図7(a)のように個別電極41が作製された電極基板4とを、絶縁膜34を介して陽極接合する(図7(c))。陽極接合は、シリコン基板300と電極基板4を360℃に加熱した後、電極基板4に負極、シリコン基板300に正極を接続して、800Vの電圧を印加して陽極接合する。
次に、陽極接合された上記シリコン基板300の表面を、例えばバックグラインダーや、ポリッシャーによって研削加工し、さらに例えば水酸化カリウム水溶液で表面を10〜20μmエッチングして加工変質層を除去し、厚さが例えば30μmになるまで薄くする(図7(d))。
次に、この薄板化されたシリコン基板300の表面に、エッチングマスクとなるTEOS酸化膜301を、例えばプラズマCVDによって厚さ約1.0μmで成膜する(図7(e))。
そして、そのTEOS酸化膜301の表面上にレジスト(図示せず)をコーティングし、フォトリソグラフイーによってレジストをパターニングし、TEOS酸化膜301をエッチングすることにより、吐出室31、インク供給孔35、および電極取り出し部44に対応する部分31a、35a、44aを開口する(図7(f))。そして、開口後にレジストを剥離する。
次に、この陽極接合済みの基板を水酸化カリウム水溶液でエッチングすることにより、薄板化されたシリコン基板300に、吐出室31となる第1の凹部33とインク供給孔35となる貫通孔を形成する(図8(g))。このとき、電極取り出し部44となる部分44aは未だ貫通させず基板厚さが薄くなる程度にとどめておく。また、TEOSエッチングマスク301の厚さも薄くなる。なおこのエッチング工程では、最初は、濃度35wt%の水酸化カリウム水溶液を用いて、シリコン基板300の残りの厚さが例えば5μmになるまでエッチングを行い、ついで濃度3wt%の水酸化カリウム水溶液に切り替えてエッチングを行う。これにより、エッチングストップが十分に働くため、振動板32の面荒れを防ぎ、かつその厚さを0.80±0.05μmと高精度の厚さに形成することができる。エッチングストップとは、エッチング面から発生する気泡が停止した状態と定義し、実際のウェットエッチングにおいては、気泡の発生の停止をもってエッチングがストップしたものと判断する。
そして、エッチング後、レジストを剥離する。
シリコン基板300のエッチングが終了した後に、フッ酸水溶液でエッチングすることによりシリコン基板300の上面に形成されているTEOS酸化膜301を除去する(図8(h))。
次に、シリコン基板300の吐出室31となる第1の凹部33が形成された表面に、プラズマCVDによりTEOS膜からなるインク保護膜37を例えば厚さ0.1μmで形成する(図8(i))。
その後、RIE(Reactive Ion Etching)等によって電極取り出し部44を開口する。また、振動板32と個別電極41の間の電極間ギャップの開放端部をエポキシ樹脂等の封止材43で気密に封止する(図8(j))。また、Pt(白金)等の金属電極からなる共通電極36がスパッタによりシリコン基板300の表面の端部に形成される。
以上により、電極基板4に接合した状態のシリコン基板300からキャビティ基板3が作製される。
そして、このキャビティ基板3に、前述のようにノズル連通孔21、供給口22、リザーバ23、ダイアフラム部25等が作製されたリザーバ基板2を接着剤により接着する(図9(k))。
最後に、予めノズル孔11が形成されたノズル基板1をリザーバ基板2上に接着剤により接着する(図9(l))。そして、ダイシングにより個々のヘッドに分離すれば、図2に示したインクジェットヘッド10の本体部が作製される(図9(m))。
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッドの製造方法によれば、保護フィルム220をシリコン基板200のC面との間に気泡を残すことなく貼り付けることができるため、シリコン基板200のC面に対し、レジスト240を均一な膜厚で塗布することができる。その結果、レジスト塗布不良によるフォトリソ欠陥に起因した歩留まり低下を防止でき、生産性を向上させることができる。
また、シリコン基板200のN面側を支持する台座210に、大気連通孔210aを設けたため、減圧環境下で保護フィルム220をシリコン基板200に貼り付けるに際し、シリコン基板200と台座210とが真空吸着により貼り付くのを防止することが可能である。
実施形態2.
図10は本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッド10の概略構成を示す分解斜視図、図11は組立状態を示すインクジェットヘッドの断面図である。
実施形態2に係るインクジェットヘッド10は、面方位(100)のシリコン基板からなるリザーバ基板2におけるダイアフラム部25Aを実施形態1とは逆にリザーバ基板2のN面(ノズル基板1との接合面)側に設けたものである。すなわち、リザーバ23Aとなる凹部24A(図11参照)はC面(キャビティ基板3との接合面)側に開口しており、ダイアフラム部25Aの上方への変位を許容する空間部となる凹部26Aはリザーバ基板2のN面側に開口している。
また、実施形態2では、リザーバ基板2以外のノズル基板1、キャビティ基板3および電極基板4は実施形態1と同じ構成であるので各部には同一の符号を付して説明は省略する。
このリザーバ基板2においては、ノズル基板1のノズル孔11に連通する円筒状のノズル連通孔21が同様に形成されている。また、各吐出室31の一部を構成する第2の凹部28と、リザーバ23Aとなる凹部24Aとは細溝状の供給口22Aで連通している。また、キャビティ基板3に設けられたインク供給孔35はこの凹部24Aの開口面に開口している。
実施形態2に係るインクジェットヘッド10は、その駆動時において、リザーバ23Aの底部に設けられたダイアフラム部25Aが大きな面積を有して上下方向に振動するので、実施形態1と同様の効果がありノズル間の圧力干渉を防止することができる。また、ダイアフラム部25Aはノズル基板1で蓋がされているので、外力に対して確実に保護され、かつ特別な保護カバー等も必要としない。
次に、実施形態2に係るインクジェットヘッドの製造のために使用するリザーバ基板の製造方法を図12乃至図14の工程断面図により説明する。
まず、面方位(100)、厚さ180μmのシリコン基板200を用意し、このシリコン基板200の全面に厚さ1μmの熱酸化膜201を形成する。熱酸化膜201は、例えば熱酸化装置にシリコン基板200をセットし、酸化温度1075℃、酸素と水蒸気の混合雰囲気中で4時間熱酸化を行うことにより形成する。熱酸化膜201はシリコンの耐エッチング材として使用するものである。そして、シリコン基板200のC面側の熱酸化膜201にレジストをコーティングし、フォトリソグラフィーによりノズル連通孔21に対応する部分21aをパターニングしてエッチングにより開口する(図12(a))。その後レジストを剥離する。
次に、C面のノズル連通孔21に対応する部分21aをICPドライエッチングによってシリコン基板200を貫通するまで異方性ドライエッチングする(図12(b))。この場合のエッチングガスとしては、例えば、C48(フッ化炭素)、SF6(フッ化硫黄)を交互に使用するとよい。ここで、C48は穴部の側面方向にエッチングが進行しないように穴部の側面を保護するために使用し、SF6は穴部の垂直方向のエッチングを促進するために使用する。
次に、上記熱酸化膜201をすべて剥離した後、再度シリコン基板200の全面に熱酸化により熱酸化膜202を形成する(図12(c))。そして、シリコン基板200を台座210にセットする。ここでは、シリコン基板200のC面側が台座210に対向し、且つ、大気連通孔210a上にノズル連通孔21が位置するように台座210上に載置する(図12(d))。
そして、台座210にセットしたシリコン基板200をグローブボックス230内に入れ、グローブボックス230内部を減圧する(図12(e))。そして、減圧環境下にてシリコン基板200のN面側に保護フィルム220を貼り付ける。ここでは、フィルムローラ250をシリコン基板200の表面から所定距離離れた位置で表面に沿うように走行させ、基板外周→中央→基板外周の順で徐々に保護フィルム220を送り出しながらN面に貼り付ける(図13(f))。
ここで、保護フィルム220を貼り付ける際、シリコン基板200を保護フィルム220越しに加圧することは行わずに、保護フィルム220の弾性力のみでシリコン基板200表面に接触し貼り付くよう、フィルムローラ250とシリコン基板200間の前記所定距離はあらかじめ決められている。このようにすることで、シリコン基板200の厚みが薄く剛性が弱くても、シリコン基板200が破損等することなく保護フィルム220を貼り付けることができる。
また、この保護フィルム220の貼り付け工程は、実施形態1と同様に、減圧環境内で行うため、シリコン基板200と保護フィルム220との間に気泡が入ることなく両者を貼り付けることができる。
以上のようにして保護フィルム220をシリコン基板200のN面全体に貼り付けた後、減圧を解除し、大気開放する。そして、シリコン基板200外周に沿って保護フィルム220をカッター等で切断する(図13(g))。そして、シリコン基板200を台座210から取り外す。なお、実施形態1と同様、台座210には大気連通孔210aが設けられているため、大気解放時に、シリコン基板200と台座210とが真空吸着により貼り付くようなことはない。
次に、シリコン基板200のC面全体にレジスト240を塗布する(図13(h))。レジスト240の塗布は、上記実施形態1と同様、スピンコート法によりレジストを塗布する塗布装置によって行われる。ここで、本例では上述したように、シリコン基板200と保護フィルム220との間に気泡が入ることなく両者を貼り付けることが可能となっているため、上記実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
次に、フォトリソグラフィーにより供給口22A、リザーバ23A、第2の凹部28にそれぞれ対応する部分22a、23a、28aをパターニングしてエッチングする。これにより、熱酸化膜202において供給口22A、リザーバ23A、第2の凹部28にそれぞれ対応する部分22a、23a、28aが除去され、供給口22A、リザーバ23A、第2の凹部28を形成するためのパターンが形成される(図14(i))。
このとき、各部分のパターン幅が次の関係となるようにパターニングする。
パターン幅:リザーバ部分23a>第2の凹部部分28a>供給口部分22a
その後レジスト240を剥離するとともに、保護フィルム220を剥がす(図14(j))。
次に、C面のリザーバ23Aとなる凹部24Aを水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングにより形成する(図14(k))。なおこのウェットエッチング工程においても、前述したように2種類の異なる濃度の水酸化カリウム水溶液を用いるのがよい。すなわち、最初はエッチングレートの速い濃度(例えば35wt%)で開始し、途中からエッチングレートの遅い濃度(例えば3wt%)に切り替えてエッチングするのが好ましい。また、第2の凹部28と供給口22Aは、面方位が(100)のシリコン基板であるため、開口幅に応じた深さでエッチングがストップする。
すなわち、各部の深さは、リザーバ23A(=150μm)>第2の凹部28>供給口22Aとなる。
そして、上記の熱酸化膜202を剥離後、再度シリコン基板200の全面に熱酸化膜203を厚さ0.2μmで形成し、N面をマスク(シリコンマスク又は金属マスク)260でマスキングして、ドライエッチングによりダイアフラム部25Aの熱酸化膜203を除去する(図14(l))。
そして、N面からSF5 プラズマによるドライエッチングでダイアフラム部25のシリコン部分を所定の厚さになるまでエッチングし、凹部26Aを形成する(図14(m))。そして、最後に、上記の熱酸化膜203を剥離後、再度ドライ酸化によりシリコン基板200の全面にインク保護膜29を厚さ0.1μmで形成する(図14(n))。
以上によりリザーバ基板2が作製される。
そして、上記のように作製されたリザーバ基板2を用いて、前述の図7乃至図9で説明したように製造すれば、実施形態2に係るインクジェットヘッド10を製造することができる。
実施形態2のインクジェットヘッド10の製造方法によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、ダイアフラム部25、25Aの変位可能な空間部は、リザーバ基板2とキャビティ基板3あるいはノズル基板1との接合面の間に形成されていればよく、いずれか一方もしくは両方の基板に凹部26、26Aが形成されていればよい。
上記の実施形態では、静電駆動方式のインクジェットヘッドおよびその製造方法について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、静電駆動方式以外の駆動方式によるインクジェットヘッドについても本発明を適用することができる。圧電方式の場合は、電極基板に代えて、圧電素子を各吐出室の底部に接着すればよく、バブル方式の場合は各吐出室の内部に発熱素子を設ければよい。また、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、インクジェットプリンタのほか、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
実施形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 図1の組立状態を示すインクジェットヘッドの断面図。 図1のリザーバ基板の製造工程の断面図。 図3に続くリザーバ基板の製造工程の断面図。 図4に続くリザーバ基板の製造工程の断面図。 レジスト塗布不良の説明図。 実施形態1に係るインクジェットヘッドの製造工程の断面図。 図7に続く製造工程の断面図。 図8に続く製造工程の断面図。 実施形態2に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す分解斜視図。 図10の組立状態を示すインクジェットヘッドの断面図。 図10のリザーバ基板の製造工程の断面図。 図12に続く製造工程の断面図。 図13に続く製造工程の断面図。
符号の説明
1 ノズル基板、2 リザーバ基板、3 キャビティ基板、4 電極基板、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、21 ノズル連通孔、23 リザーバ、23A リザーバ、24 凹部、24A 凹部、25 ダイアフラム部、25A ダイアフラム部、25a ダイアフラム部分、26 凹部、26A 凹部、31 吐出室、200 シリコン基板、201 熱酸化膜、202 熱酸化膜、203 熱酸化膜、210 台座、210a 大気連通孔、220 保護フィルム、230 グローブボックス、240 レジスト

Claims (4)

  1. 複数のノズル孔を有するノズル基板と、前記各ノズル孔に連通し、室内に圧力を発生させて前記ノズル孔より液滴を吐出する複数の独立した吐出室を有するキャビティ基板と、前記吐出室に対して共通に連通するリザーバを有し且つ前記ノズル孔に連通するノズル連通孔が貫通形成され、前記ノズル基板と前記キャビティ基板との間に設けられるリザーバ基板とを少なくとも備え、前記リザーバの壁の一部に圧力変動を緩衝するダイアフラム部が設けられた液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記リザーバ基板となるシリコン基板に前記ノズル連通孔を貫通形成する工程と、
    前記ノズル連通孔が貫通形成された前記リザーバ基板に、前記リザーバとなる凹部を形成するリザーバ形成工程と、
    前記シリコン基板の前記リザーバとなる凹部の形成面とは反対側の面からエッチングを行って前記ダイアフラム部を形成する工程とを有し、
    前記リザーバ形成工程は、前記シリコン基板上に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜にフォトリソグラフィーを用いて、前記リザーバとなる凹部を形成するためのパターンを形成する工程と、前記パターンが形成された前記シリコン基板にエッチングを行って前記リザーバとなる凹部を形成する工程とを有し、前記酸化膜に前記パターンを形成する際には、前記シリコン基板の前記リザーバとなる凹部の形成面とは反対側の面全体に保護フィルムを貼り付けて前記反対面を保護するようにし、前記保護フィルムの貼り付けを、減圧環境下で行うようにしたことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記保護フィルムは、前記フォトリソグラフィプロセスにおける薬液耐性を有する材質とすることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記保護フィルムはポリエステルで構成されていることを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記シリコン基板に前記保護フィルムを貼り付ける工程では、前記シリコン基板を台座上に載置し、その状態で、前記シリコン基板の前記台座と反対側の面から前記保護フィルムを貼り付けるものであり、前記台座には、前記ノズル連通孔に対向する位置に、大気連通孔を設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
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