JP7087702B2 - ノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、ノズルプレート及びインクジェットヘッド - Google Patents

ノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、ノズルプレート及びインクジェットヘッド Download PDF

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本発明は、ノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、ノズルプレート及びインクジェットヘッドに関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられたノズルからインクを吐出させて画像などを形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、ノズルが設けられたノズルプレートを備えており、このノズルプレートのうちノズルの開口部が設けられたインク吐出面には、インクを付着しにくくするための撥液膜が形成されている。また、撥液膜は、当該撥液膜の形成面に対する密着性を向上させるための下地膜に重ねて形成される。
インクジェット記録装置では、用途に応じてアルカリ性のインクや酸性のインクが用いられる場合がある。このようなインクにより、ノズルプレートがインクにより侵食されたり、インクが下地膜に接触することで下地膜が撥液膜とともに剥離したりする問題が生じ得る。
これに対し、従来、耐インク性を有する保護膜をノズルプレートの表面に形成し、また当該保護膜を下地膜として撥液膜を形成することで、上記の問題の発生を抑制する技術がある。このような保護膜は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法や、原子層堆積法により形成することができる(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特開2004-351923号公報 特開2014-124881号公報
しかしながら、従来のプラズマCVD法による保護膜の成膜では、短時間で保護膜を形成可能な反面、形成された保護膜が微小な欠陥を有していることが多いため、この欠陥を起点として保護膜が剥離し易く、十分な耐久性を有する保護膜が得られ難い。
一方で、原子層堆積法を用いると、欠陥の少ない高品質な保護膜が得られるものの、成膜に時間が掛かる。
このように、上記従来の技術では、耐久性に優れた保護膜を効率良く形成するのが容易でないという課題がある。
この発明の目的は、耐久性に優れた保護膜を効率良く形成することができるノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、当該保護膜を有するノズルプレート及びインクジェットヘッドを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のノズルプレートの製造方法の発明は、
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートの製造方法であって、
前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に、プラズマCVD法により第1の保護膜を形成する第1の成膜工程、
前記第1の保護膜に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行うことにより前記第1の保護膜の内部応力を緩和する保護膜表面処理工程、
前記保護膜表面処理工程の後に、前記第1の保護膜の表面に、プラズマCVD法により前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜を形成する第2の成膜工程、
を含む。
上記目的を達成するため、請求項2に記載のノズルプレートの製造方法の発明は、
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートの製造方法であって、
前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に、プラズマCVD法により第1の保護膜を形成する第1の成膜工程、
前記第1の保護膜に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う保護膜表面処理工程、
前記保護膜表面処理工程の後に、前記第1の保護膜の表面に、プラズマCVD法により前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜を形成する第2の成膜工程、
を含み、
前記第1の保護及び前記第2の保護の材料が炭化ケイ素である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のノズルプレートの製造方法において、
前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜は、炭化ケイ素、炭化酸化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル又はタンタルシリケートからなる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法において、
前記第1の成膜工程の前に、前記基板に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う基板表面処理工程を含む。
請求項に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法において、
前記第1の成膜工程では、前記基板の表面のうち、少なくとも前記ノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面に前記第1の保護膜を形成する。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のノズルプレートの製造方法において、
前記第2の成膜工程の後に、前記第2の保護膜のうち前記ノズル開口面に沿って形成されている部分に重ねて撥液膜を形成する撥液膜形成工程を含む。
また、上記目的を達成するため、請求項に記載のインクジェットヘッドの製造方法の発明は、
請求項1からのいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法を含む。
また、上記目的を達成するため、請求項8に記載のノズルプレートの発明は、
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートであって、
前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板と、
前記基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に設けられた第1の保護膜と、
前記第1の保護膜の表面に設けられた、前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜と、
を備え、
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜との間には、前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜の応力の相違による界面があり、
前記第1の保護及び前記第2の保護の材料が炭化ケイ素である。
また、上記目的を達成するため、請求項に記載のインクジェットヘッドの発明は、
請求項に記載のノズルプレートを備える。
本発明に従うと、耐久性に優れた保護膜を効率良く形成することができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 インクジェットヘッドを側面側(-X方向側)から見た断面図である。 ノズルプレートの構成を示す断面図である。 保護膜の走査型電子顕微鏡による断面写真である。 ノズルプレート製造処理の手順を示すフローチャートである。 ノズルプレートの製造方法を説明する断面図である。 ノズルプレートの製造方法を説明する断面図である。 実験1の評価結果を示す図である。 実験2の評価結果を示す図である。
以下、本発明のノズルプレートの製造方法、インクジェットヘッドの製造方法、ノズルプレート及びインクジェットヘッドに係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、インクジェット記録装置100の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置100は、搬送ベルト101、搬送ローラー102、ヘッドユニット103などを備える。
搬送ローラー102は、図示しない搬送モーターの駆動によって、図1のX方向に平行な回転軸を中心に回転する。搬送ベルト101は、一対の搬送ローラー102により内側が支持された輪状のベルトであり、搬送ローラー102が回転動作するのに従って一対の搬送ローラー102の回りを周回移動する。インクジェット記録装置100は、搬送ベルト101上に記録媒体Mが載置された状態で、搬送ローラー102の回転速度に応じた速度で搬送ベルト101が周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト101の移動方向(図1のY方向)に搬送する搬送動作を行う。
図1では、記録媒体Mとして、長尺のロール紙が用いられているが、これに限られず、一定の寸法に裁断された枚葉紙等の短尺の記録媒体Mが用いられても良い。また、記録媒体Mとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛又はシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
ヘッドユニット103は、搬送ベルト101により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいてノズルからインクを吐出して記録媒体M上に画像を記録する。本実施形態のインクジェット記録装置100では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット103が記録媒体Mの搬送方向上流側から順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
各ヘッドユニット103は、平板状の基部103aと、当該基部103aを貫通する孔部に篏合した状態で基部103aに固定された複数の(ここでは7つの)インクジェットヘッド1とを有する。
インクジェットヘッド1では、インクを吐出する複数のノズルが記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちX方向)に配列されている。また、各インクジェットヘッド1では、X方向に一次元配列されたノズルからなるノズル列が複数(例えば4列)設けられており、当該複数のノズル列は、ノズルの位置が互いにX方向にずれる位置関係で設けられている。
各ヘッドユニット103に設けられた7つのインクジェットヘッド1は、ノズルのX方向についての配置範囲が、搬送ベルト101上の記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のX方向についての幅をカバーするように千鳥格子状に配置されている。このようにインクジェットヘッド1が配置されたインクジェット記録装置100では、ヘッドユニット103を固定した状態でインクジェットヘッド1から画像データに応じた適切なタイミングでインクを吐出することで、搬送される記録媒体M上に画像を記録することができる。すなわち、インクジェット記録装置100は、シングルパス方式で画像を記録する。
インクジェットヘッド1から吐出されるインクは、用途に応じて各種公知のものを用いることができる。これらのインクには、アルカリ性のインクや酸性のインクが含まれる。例えば、布帛に対して染料インクを吐出して画像を記録する場合、染料の発色性などを向上させるための機能性インク(前処理剤)を吐出するヘッドユニット103が設けられる場合があるが、この前処理剤は、通常、アルカリ性である。また、綿や麻といった天然繊維などの記録媒体Mに対して好適に用いられる反応染料インクは、酸性のものが多い。また、顔料を分散させた顔料インクは、通常、アルカリ性の分散剤が用いられることから、アルカリ性となる場合が多い。
本実施形態のインクジェットヘッド1では、これらのアルカリ性のインクや酸性のインクからインクジェットヘッド1を保護するために保護膜12(図3参照)が設けられている。この保護膜12の形成位置や形成方法については後に詳述する。
図2は、インクジェットヘッド1を側面側(-X方向側)から見た断面図である。図2では、4つのノズル列に含まれる4つのノズル141を含む面でのインクジェットヘッド1の断面が示されている。
インクジェットヘッド1は、ヘッドチップ2と、共通インク室70と、支持基板80と、配線部材3と、駆動部4などを備える。
ヘッドチップ2は、ノズル141からインクを吐出させるための構成であり、複数、ここでは、4枚の板状の基板が積層形成されている。ヘッドチップ2における最下方の基板は、ノズルプレート10である。ノズルプレート10には複数のノズル141が形成されており、当該ノズル141の開口部が設けられているインク吐出面1a(ノズルプレート10の露出面)に対して略垂直にインクが吐出可能とされる。ノズルプレート10のインク吐出面1aとは反対側には、上方(+Z方向)に向かって順番に圧力室基板20(チャンバープレート)、スペーサー基板40及び配線基板50が接着されて積層されている。以下では、これらノズルプレート10、圧力室基板20、スペーサー基板40及び配線基板50の各基板を各々又はまとめて積層基板10、20、40、50などとも記す。
これらの積層基板10、20、40、50には、ノズル141に連通するインク流路が設けられており、配線基板50の露出される側(+Z方向側)の面で開口されている。この配線基板50の露出面上には、全ての開口を覆うように共通インク室70が設けられている。共通インク室70のインク室形成部材70a内に貯留されるインクは、配線基板50の開口から各ノズル141へ供給される。
インク流路の途中には、圧力室21が設けられている。圧力室21は、圧力室基板20を上下方向(Z方向)に貫通して設けられており、圧力室21の上面は、圧力室基板20とスペーサー基板40との間に設けられた振動板30により構成されている。圧力室21内のインクには、振動板30を介して圧力室21と隣り合って設けられている格納部41内の圧電素子60の変位(変形)によって振動板30(圧力室21)が変形することで、圧力変化が付与される。圧力室21内のインクに適切な圧力変化が付与されることで、圧力室21に連通するノズル141からインク流路内のインクが液滴として吐出される。
支持基板80は、ヘッドチップ2の上面に接合されており、共通インク室70のインク室形成部材70aを保持している。支持基板80には、インク室形成部材70aの下面の開口とほぼ同じ大きさ及び形状の開口が設けられており、共通インク室70内のインクは、インク室形成部材70aの下面の開口、及び支持基板80の開口を通ってヘッドチップ2の上面に供給される。
配線部材3は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)などであり、配線基板50の配線に接続されている。この配線を介して格納部41内の配線51及び接続部52(導電部材)に伝えられる駆動信号により圧電素子60が変位動作する。配線部材3は、支持基板80を貫通して引き出されて駆動部4に接続される。
駆動部4は、インクジェット記録装置の制御部からの制御信号や、電力供給部からの電力供給などを受けて、各ノズル141からのインク吐出動作や非吐出動作に応じて、圧電素子60の適切な駆動信号を配線部材3に出力する。駆動部4は、IC(Integrated Circuit)などで構成されている。
図3は、ノズルプレート10の構成を示す断面図である。図3では、ノズルプレート10のうちノズル141の近傍部分の断面が拡大して示されている。
ノズルプレート10は、ノズル141をなす貫通孔14が設けられているシリコンからなる基板11と、基板11の板面(上面、下面)及び貫通孔14の内壁面に設けられた保護膜12と、基板11の下面側で保護膜12に重ねて形成された撥液膜13と、を有している。
基板11は、厚さ60~300μm程度のシリコンからなる板状部材である。本実施形態では、厚さ150μmの基板11が用いられている。ノズルプレート10の基材としてシリコンの基板11を用いることで、高精度にノズル141の加工を行うことができ、位置の誤差や形状のばらつきの少ないノズル141を形成することができる。なお、基板11の表層には熱酸化膜が形成されていても良い。
基板11に設けられた貫通孔14は、ノズル141と、当該ノズル141に連通する連通路142とからなる。
ノズル141は、基板11の下面に円形の開口部を有する円筒状の孔である。ノズル141は、開口部とは反対側が連通路142に連通している。以下では、基板11のうちノズル141の開口部が設けられている面をノズル開口面11aと記す。
連通路142は、ノズル141よりも大きな直径を有しノズル141と同心の円筒状の孔であり、基板11の上面に開口部を有する。
ノズル141の開口部の直径は、15~30μm程度、ノズル141のZ方向の長さ(ノズル長)は、10~30μm程度とすることができ、連通路142の直径は、100~200μm程度とすることができる。
保護膜12は、第1の保護膜121及び第2の保護膜122からなる2層構造となっている。第1の保護膜121は、基板11の板面及び貫通孔14の内壁面に形成されており、第2の保護膜122は、第1の保護膜121に重ねて形成されている。第2の保護膜122は、第1の保護膜121と組成が同一であり、また厚さも第1の保護膜121とほぼ等しくなっている。第1の保護膜121及び第2の保護膜122としては、インクとの接触により溶解しない材質のもの、例えば、炭化ケイ素(SiC)、炭化酸化ケイ素(SiOC)及び酸化ケイ素(SiO2)の他、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ハフニウム(HfO2)及び酸化タンタル(Ta23)といった金属酸化膜や、金属酸化膜にシリコンを含有させた金属シリケート膜(タンタルシリケート(TaSiO)等)などを用いることができる。
保護膜12の厚さは、特には限られないが、例えば50nm~500nm程度とすることが望ましい。
このような耐インク性を有する材質からなる保護膜12は、基板11がインク(特に、アルカリ性のインクや酸性のインク)により浸食されるのを抑制する。また、保護膜12は、後述する撥液膜13の下地膜の役割も果たす。耐インク性を有する保護膜12は、インクと接触しても剥離が生じにくいため、保護膜12を下地膜とすることで、撥液膜13が下地膜としての保護膜12とともに剥離する不具合の発生を抑制することができる。
また、保護膜12のうち第1の保護膜121は、基板11の表面に形成された後に、後述するイオンボンバード処理が施されることによって、形成直後の状態よりも内部の応力(膜応力)が緩和された状態となっている。このように第1の保護膜121の応力が緩和されていることで、第1の保護膜121の基板11に対する密着性が高くなっている。このため、第1の保護膜121に微小な欠陥が生じていても、これらを起点として第1の保護膜121(及びその上に積層された第2の保護膜122)が剥離する不具合が生じにくくなっている。より詳しくは、第1の保護膜の基板11に対する密着性が高められていることで、第1の保護膜121の欠陥にインクが侵入しても、第1の保護膜121と基板11との界面のインクによる浸食が進みにくいため、インクとの接触に起因した第1の保護膜121の剥離が生じにくくなっている。
一方で、第1の保護膜121に重ねて形成されている第2の保護膜122にはイオンボンバード処理が施されておらず、応力が緩和されていない。このため、第1の保護膜121及び第2の保護膜122は、応力が相違した状態となっている。
図4(a)は、従来の単層の保護膜の走査型電子顕微鏡による断面写真であり、図4(b)は、本実施形態の2層構造の保護膜12の走査型電子顕微鏡による断面写真である。
図4(b)の断面写真から、本実施形態の保護膜12では、第1の保護膜121と第2の保護膜122との間に、応力の相違による界面12aがあることが分かる。他方で、図4(a)に示される従来の単層の保護膜には、界面がない。
本実施形態のように、第1の保護膜121に第2の保護膜122を重ねて形成することで、第1の保護膜121が有する微小な欠陥や、イオンボンバード処理による応力緩和時に生じたクラックなどを第2の保護膜122で覆ってインクから保護することができる。また、第2の保護膜122に対してイオンボンバード処理を行わないことで、第2の保護膜122は、応力緩和によるクラックが生じていない状態となっているため、下層の第1の保護膜121や基板11を効果的にインクから保護することが可能となっている。
撥液膜13は、第2の保護膜122のうちノズル開口面11aに沿って設けられている部分に重ねて形成されており、その表面がインク吐出面1aをなす。撥液膜13は、インク吐出面1aにインクに対する撥液性を持たせて、インク吐出面1aへのインクや異物の付着を抑制するために設けられている層である。撥液膜13としては、フッ素を含有した有機ケイ素化合物からなる樹脂などを用いることができる。
また、撥液膜13には、ノズル141の形成位置に撥液膜13を貫通する開口部が設けられており、ノズル141から吐出されるインクは、当該開口部から射出される。
次に、本実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法について、ノズルプレート10の製造方法を中心に説明する。
図5は、ノズルプレート10の製造方法に係る処理(ノズルプレート製造処理)の手順を示すフローチャートである。
図6及び図7は、ノズルプレート10の製造方法を説明する断面図である。
ノズルプレート製造処理では、まず、基板11に対してレジスト91、92をマスクとしたエッチングを行うことでノズル141及び連通路142からなる貫通孔14を形成する(ステップS101)。
すなわち、まず基板11の下面に形成されたレジスト91に対し、フォトリソグラフィー法により、ノズル141の位置に開口部91aを形成する(図6(a))。次に、レジスト91をマスクとして基板11に対する垂直方向のエッチングを行い、ノズル141の開口パターンを形成する(図6(b))。このエッチングは、深掘りRIE(Deep Reactive Ion Etching)を行うRIE装置や、放電形式に誘導結合方式を採用したドライエッチング装置であるICP(Inductively Coupled Plasma)-RIEエッチング装置等のドライエッチング装置を用いて行うことができる。また、プロセスガスとして、SF6やC48などを用い、エッチング開口の側面を保護する保護層の形成と垂直方向へのドライエッチングとを繰り返し行うボッシュプロセスによって垂直性に優れたエッチング加工を行うことができる。また、基板11としてSOI基板を用いた場合、エッチングストッパー層までエッチングが進んだ段階でエッチングを停止させることができるため、ノズル141のノズル長を高精度に作り込むことができる。
次に、基板11の上面に形成されたレジスト92に対し、フォトリソグラフィー法により、連通路142の位置に開口部92aを形成する(図6(b))。このレジスト92をマスクとして、ノズル141の形成と同様に基板11に対して垂直方向のエッチングを行うことで、ノズル141に連通する連通路142を形成する(図6(c))。これにより、基板11にノズル141及び連通路142からなる貫通孔14が形成される。
次に、基板11の表面からレジストを除去し(ステップS102、図6(d))、基板11の表面を洗浄して、基板11に付着している異物を除去する(ステップS103)。基板11の洗浄方法は、例えばRCA洗浄とすることができる。
次に、基板11の表面に対してイオンボンバード処理を行う(ステップS104)(基板表面処理工程)。イオンボンバード処理は、減圧環境下で処理対象の部材に対してイオンを衝突させることで処理対象の部材に物理的作用を及ぼす処理である。
具体的には、基板11が設置されたチャンバー内を0.03Paに減圧した上で、チャンバー内にアルゴンガス(10sccm)及び水素ガス(20sccm)を導入し、基板11と所定の対向電極との間に200Vのバイアス電圧を300Wの電力で印加する。これにより、アルゴンガス及び水素ガスがイオン化(プラズマ化)されるとともに、基板11がマイナスに帯電し、アルゴンイオン及び水素イオンが基板11の表面に向かって飛翔して衝突する。アルゴンイオンを衝突させることで、基板11の表面に付着した不純物や薄い酸化被膜が除去されて清浄化される。また、水素イオンを衝突させることで、基板11の表面の酸化が抑制される。
このようなイオンボンバード処理により、基板11に対する第1の保護膜121の密着性を向上させることができる。
次に、基板11の表面にプラズマCVD法により第1の保護膜121を形成する(ステップS105、図6(e))(第1の成膜工程)。例えば、第1の保護膜121として炭化ケイ素の膜を形成する場合には、上記のチャンバー内の圧力を0.08Paに調整してTMSガス(テトラメチルシランガス)(30sccm)及びアルゴンガス(10sccm)を導入し、基板11と対向電極との間に200Vのバイアス電圧を400Wの電力で印加する。これにより、チャンバー内でTMSガス及びアルゴンガスがプラズマ化し、炭化ケイ素薄膜として基板11の表面に堆積して、第1の保護膜121が形成される。
次に、第1の保護膜121の表面に対してイオンボンバード処理を行う(ステップS106)(保護膜表面処理工程)。ステップS106における具体的な処理条件は、上述のステップS104におけるイオンボンバード処理と同一である。第1の保護膜121に対するイオンボンバード処理では、第1の保護膜121にアルゴンイオンを衝突させた衝撃(物理的作用)によって第1の保護膜121の内部の応力が緩和される。また、水素イオンを衝突させることで、第1の保護膜121の表面の酸化が抑制される。
次に、第1の保護膜121の表面にプラズマCVD法により第2の保護膜122を形成する(ステップS107、図7(a))(第2の成膜工程)。この処理では、上述のステップS105におけるプラズマCVD法による処理と同様の条件で成膜を行うことで、第1の保護膜121に重ねて、炭化ケイ素からなる第2の保護膜122を形成する。
ステップS104からステップS107までの処理は、いずれも真空(減圧)環境下で行われるが、間に大気圧下での処理を挟まないため、途中で真空を破る必要がない。このため、同一のチャンバー内でステップS104からステップS107までの各処理を連続して行って、第1の保護膜121及び第2の保護膜122からなる保護膜12を形成することができる。
次に、保護膜12が形成された基板11を洗浄して、保護膜12に付着している異物を除去する(ステップS108)。基板11の洗浄方法は、ステップS103と同様に、RCA洗浄とすることができる。
次に、基板11に形成された保護膜12の表面全体に撥液膜13を形成する(ステップS109、図7(b))。具体的には、撥液膜13の材料であるフッ素含有有機ケイ素化合物をフッ素系溶剤で薄めた液に基板11を浸漬(ディッピング)して引き上げ、高温高湿環境下(60℃90%)に1時間程度置く。これにより、材料の加水分解が促進されて、基材(基板11上の保護膜12)との間にシロキサン結合が形成されて、表面に撥液性を有する撥液膜13が形成される。上述のフッ素含有有機ケイ素化合物としては、例えば、オプツール(登録商標)(ダイキン工業株式会社製)、SURECO(登録商標)(旭硝子株式会社製)、フロロサーフFG-5040(登録商標)(株式会社フロロテクノロジー製)等を用いることができる。
撥液膜13の形成後、フッ素系溶剤(例えば、ノベック1200(スリーエムジャパン株式会社製))で洗浄して、未反応のフッ素含有有機ケイ素化合物を除去する。
次に、インク吐出面1a以外に形成された撥液膜13を除去する(ステップS110、図7(c)、図7(d))。具体的には、まずインク吐出面1aをポリイミドテープ93でマスキングして基板11をアッシング装置に設置し、O2プラズマに数十秒晒すことで、インク吐出面1a以外に形成された撥液膜13を除去する(図7(c))。その後、ポリイミドテープ93を除去して洗浄する(図7(d))。
ステップS109からステップS110までの処理は、撥液膜形成工程に対応する。
以上の方法により、基板11の表面全体に保護膜12が形成され、またインク吐出面1aのみに撥液膜13が形成されたノズルプレート10が得られる。このノズルプレート10と、圧力室基板20、スペーサー基板40及び配線基板50とを積層させてヘッドチップ2を製造し、共通インク室70、支持基板80、配線部材3及び駆動部4などと組み合わせて所定の外装部材に組み込むことで、インクジェットヘッド1が完成する。
続いて、上記実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。
(実験1)
実験1では、本実施形態の方法で形成された保護膜12の耐インク性(耐食性)を評価した。
具体的には、シリコンの基板11上に、プラズマCVD法により炭化ケイ素からなる第1の保護膜121を形成し、当該第1の保護膜121に対してイオンボンバード処理を行い、これにプラズマCVD法により炭化ケイ素からなる第2の保護膜122を積層させ、厚さ500nmの保護膜12を形成したものを実施例とした。
また、途中でイオンボンバード処理を行わずに厚さ500nmの炭化ケイ素からなる保護膜を形成したものを比較例とした。
実験1では、実施例及び比較例を、アルカリ性のインクに浸漬して、保護膜の剥離状態を観察した。より詳しくは、一般的に流通しているアルカリ性のインクよりも高いpH(pH11)のインクを用いるとともに、インクが変性しない程度に温度を上げることで、加速試験を行った。
図8は、実験1の評価結果を示す図である。
このうち、図8(a)は、比較例のサンプルに対して6か月相当の加速試験を行った後の保護膜の表面を撮影した写真である。この図に示されるように、途中でイオンボンバード処理を行わない比較例では、6か月相当の加速試験で保護膜の剥離(図8(a)中の領域90)が観察された。
一方、図8(b)は、実施例のサンプルに対して24か月相当の加速試験を行った後の保護膜12の表面を撮影した写真である。この図に示されるように、途中でイオンボンバード処理を行った実施例では、24か月相当の加速試験を行っても保護膜12の剥離は見られず、優れた耐久性を有していることが確認された。
(実験2)
実験2では、本実施形態の方法で形成された保護膜12を下地膜として形成した撥液膜13の耐インク性(耐食性)を評価した。
具体的には、基板11上に、実験1の実施例と同一の方法で形成した保護膜12を下地膜として撥液膜13を形成したものを実施例とした。
また、基板11上に、実験1の比較例と同一の方法で形成した保護膜を下地膜として撥液膜13を形成したものを比較例とした。
撥液膜13は、上述のオプツール(登録商標)を用いて形成した。
実験2では、実施例及び比較例の各サンプルをアルカリ性のインクに浸漬し、一定期間ごとに取り出して、所定の基準インクを滴下して静的接触角を測定した。当該基準インクに対して所望の撥液性が得られる接触角の範囲の下限値は、50度である。
図9は、実験2の評価結果を示す図である。
図9では、各サンプルをアルカリ性のインクに浸漬した浸漬時間(加速試験による換算浸漬時間)ごとの基準インクに対する接触角がグラフ上にプロットされている。
図9のグラフに示されるように、比較例のサンプルでは、6か月相当の換算浸漬期間で接触間が60度を下回って劣化が激しくなり、12か月相当の換算浸漬期間の経過後には、基準値を大きく下回って完全に撥液性を失う結果となった。
一方、実施例のサンプルでは、12か月相当の換算浸漬期間の経過後も、基準値より大きい接触角が維持されており、優れた耐久性を有していることが確認された。
以上のように、上記実施形態に係るノズルプレート10の製造方法は、ノズル141からインクを吐出するインクジェットヘッド1に用いられる、ノズル141を有するノズルプレート10の製造方法であって、ノズル141をなす貫通孔14が設けられた基板11の表面に、プラズマCVD法により第1の保護膜121を形成する第1の成膜工程、第1の保護膜121に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う保護膜表面処理工程、保護膜表面処理工程の後に、第1の保護膜121の表面に、プラズマCVD法により第1の保護膜121と同一組成の第2の保護膜122を形成する第2の成膜工程、を含む。
このような方法によれば、第1の保護膜121に対するイオンボンバード処理によって第1の保護膜121の応力が緩和されることで、第1の保護膜121の基板11に対する密着性を高めることができる。よって、プラズマCVD法による成膜で第1の保護膜121に微小な欠陥が生じていても、当該欠陥にインクが侵入した場合の第1の保護膜121と基板11との界面のインクによる浸食が進みにくいため、当該欠陥を起点として第1の保護膜121(及びその上に積層された第2の保護膜122)が剥離する不具合の発生を抑制することができる。
また、第1の保護膜121に第2の保護膜122を重ねて形成することで、第1の保護膜121が、微小な欠陥や、応力の緩和時に生じた微小なクラックなどを有していても、これらの欠陥やクラックを第2の保護膜122で覆ってインクが侵入しにくい構造とすることができる。
また、第1の保護膜121及び第2の保護膜122の形成をプラズマCVD法で行うことで、第1の保護膜121及び第2の保護膜122を短時間で形成することができ、ノズルプレート10の生産性を高めることができる。また、第1の保護膜121の形成、第1の保護膜121に対するイオンボンバード処理、及び第2の保護膜122の形成は、いずれも真空(減圧)環境下で行われ、途中で真空を破る必要がないため、同一のチャンバー内でこれらの各処理を連続して行うことでノズルプレート10の生産性を高めることができる。
よって、上記実施形態の方法によれば、耐久性に優れた保護膜12を効率良く形成することができる。
また、第1の成膜工程の前に、基板11に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う基板表面処理工程を行うことで、基板11に対する第1の保護膜121の密着性を向上させることができる。よって、より耐久性に優れた保護膜12を形成することができる。
また、第1の成膜工程では、基板11の表面のうち、少なくともノズル開口面11a及び貫通孔14の内壁面に第1の保護膜121を形成することで、ノズル141から吐出されたインクが付着しやすいノズル開口面11aや、インクが通過する貫通孔14を効果的に保護することができる。
また、第2の成膜工程の後に、第2の保護膜122のうちノズル開口面11aに沿って形成されている部分に重ねて撥液膜13を形成する撥液膜形成工程を行うことで、ノズル開口面11aに、耐インク性の高い保護膜12を下地膜として撥液膜13を形成することができる。これにより、撥液膜13が下地膜とともに剥離する不具合を生じにくくすることができるため、撥液膜13の耐久性を高めることができる。
また、第1の保護膜121及び第2の保護膜122として、炭化ケイ素、炭化酸化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル又はタンタルシリケートからなるものを用いることで、アルカリ性のインクや酸性のインクに対する耐インク性に優れた保護膜12が得られる。
また、上記実施形態のインクジェットヘッド1の製造方法は、上記ノズルプレート10の製造方法を含むため、耐久性に優れたインクジェットヘッド1を効率良く製造することができる。
また、上記実施形態のノズルプレート10は、ノズル141をなす貫通孔14が設けられた基板11と、基板11の表面に設けられた第1の保護膜121と、第1の保護膜121の表面に設けられた、第1の保護膜121と同一組成の第2の保護膜122と、を備え、第1の保護膜121と第2の保護膜122との間には、第1の保護膜121及び第2の保護膜122の応力の相違による界面12aがある。
このような構成によれば、応力が緩和されて基板11に対する高い密着性を有する第1の保護膜121が設けられていることで、第1の保護膜121が微小な欠陥を有していても、当該欠陥を起点として第1の保護膜121(及びその上に積層された第2の保護膜122)が剥離する不具合の発生を抑制することができる。
また、第1の保護膜121に第2の保護膜122が積層されていることで、第1の保護膜121が有する微小な欠陥やクラックを第2の保護膜122で覆って当該欠陥やクラックにインクが侵入しにくい構造とすることができる。
また、上記ノズルプレート10を用いることで、耐久性に優れたインクジェットヘッド1が得られる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、保護膜12を第1の保護膜121及び第2の保護膜122からなる2層構造とする例を用いて説明したが、保護膜12の構成はこれに限られず、3層以上の保護膜を積層させた構成としても良い。この場合には、最下層の保護膜に加え、最上層を除く各層の保護膜に対してイオンボンバード処理を行うことで、各層の膜応力を小さくして層間での剥離を抑制することができる。
また、第1の保護膜121及び第2の保護膜122は、必ずしも厚さがほぼ均等になっていなくても良く、耐インク性が確保できる範囲で各保護膜の膜厚を調整しても良い。
また、イオンボンバード処理に用いるイオンとして、アルゴンイオン及び水素イオンを例に挙げて説明したが、これに限定する趣旨ではなく、他の任意のイオン(例えば、ヘリウムイオンやガリウムイオン等)を用いることができる。
また、基板11の表面に対するイオンボンバード処理、及び第1の保護膜121の表面に対するイオンボンバード処理は、処理の条件(チャンバー内の圧力や、バイアス電圧、衝突させるイオン等)を互いに異ならせても良い。
また、基板11の表面に対するイオンボンバード処理は、基板11に対する第1の保護膜121の密着性が十分に得られる場合には省略しても良い。
また、上記実施形態では、基板11の表面全体に第1の保護膜121及び第2の保護膜122を形成する例を用いて説明したが、これに限られず、第1の保護膜121及び第2の保護膜122は、基板11の表面のうち、ノズル開口面11a及び貫通孔14の内壁面のうち少なくとも一部(すなわち、インクが接触する可能性があり耐インク性を持たせる必要のある任意の範囲)に設けることとしても良い。
また、ノズルプレート10の基板11は、シリコンからなるものに限られず、ポリイミド等の樹脂や、SUS等の金属からなるものを用いても良い。
また、ノズル141の内壁面は、ノズル141の開口部に近いほどノズル開口面11aに平行な断面積が小さくなるようにテーパー形状をなしていても良い。
また、ノズルプレート10に設けられる貫通孔14は、ノズル141及び連通路142を有する構成に限られず、ノズル141のみからなるものであっても良い。
また、ノズルプレート10には、貫通孔14の他に、ノズル141から吐出されずに排出されるインクを導くインク流路などが設けられていても良い。
また、インクジェットヘッド1のインク吐出面1aに撥液性を付与する必要がない場合などでは、ノズルプレート10には必ずしも撥液膜13を設けなくても良い。
また、上記実施形態では、圧電素子60を変形させることで圧力室21内のインクの圧力を変動させてインクを吐出させるベントモードのインクジェットヘッド1を例に挙げて説明したが、これに限定する趣旨ではない。例えば、圧電体の内部に圧力室を設け、圧力室の壁面の圧電体にシアモード型の変位を生じさせて圧力室内のインクの圧力を変動させるシアモードのインクジェットヘッドに対して本発明を適用しても良い。また、圧力室を変形させる方式に限られず、例えば、加熱によりインクに気泡を生じさせてインクを吐出するサーマル方式のインクジェットヘッドに対して本発明を適用しても良い。
また、上記実施形態では、シングルパス方式のインクジェット記録装置100を例に挙げて説明したが、ヘッドユニットやインクジェットヘッドを走査させながら画像の記録を行うインクジェット記録装置に本発明を適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1 インクジェットヘッド
1a インク吐出面
2 ヘッドチップ
3 配線部材
4 駆動部
10 ノズルプレート
11 基板
11a ノズル開口面
12 保護膜
121 第1の保護膜
122 第2の保護膜
12a 界面
13 撥液膜
14 貫通孔
141 ノズル
142 連通路
20 圧力室基板
21 圧力室
30 振動板
40 スペーサー基板
50 配線基板
60 圧電素子
70 共通インク室
80 支持基板
100 インクジェット記録装置
101 搬送ベルト
102 搬送ローラー
103 ヘッドユニット
M 記録媒体

Claims (9)

  1. ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートの製造方法であって、
    前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に、プラズマCVD法により第1の保護膜を形成する第1の成膜工程、
    前記第1の保護膜に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行うことにより前記第1の保護膜の内部応力を緩和する保護膜表面処理工程、
    前記保護膜表面処理工程の後に、前記第1の保護膜の表面に、プラズマCVD法により前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜を形成する第2の成膜工程、
    を含むノズルプレートの製造方法。
  2. ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートの製造方法であって、
    前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に、プラズマCVD法により第1の保護膜を形成する第1の成膜工程、
    前記第1の保護膜に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う保護膜表面処理工程、
    前記保護膜表面処理工程の後に、前記第1の保護膜の表面に、プラズマCVD法により前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜を形成する第2の成膜工程、
    を含み、
    前記第1の保護及び前記第2の保護の材料が炭化ケイ素であるノズルプレートの製造方法。
  3. 前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜は、炭化ケイ素、炭化酸化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タンタル又はタンタルシリケートからなる請求項1に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記第1の成膜工程の前に、前記基板に対し、減圧環境下でイオンボンバード処理を行う基板表面処理工程を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 前記第1の成膜工程では、前記基板の表面のうち、少なくとも前記ノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面に前記第1の保護膜を形成する請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法。
  6. 前記第2の成膜工程の後に、前記第2の保護膜のうち前記ノズル開口面に沿って形成されている部分に重ねて撥液膜を形成する撥液膜形成工程を含む請求項5に記載のノズルプレートの製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のノズルプレートの製造方法を含むインクジェットヘッドの製造方法。
  8. ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに用いられる、前記ノズルを有するノズルプレートであって、
    前記ノズルをなす貫通孔が設けられた基板と、
    前記基板の表面のうち、前記ノズルの開口部が設けられているノズル開口面及び前記貫通孔の内壁面のうち少なくとも一部に設けられた第1の保護膜と、
    前記第1の保護膜の表面に設けられた、前記第1の保護膜と同一組成の第2の保護膜と、
    を備え、
    前記第1の保護膜と前記第2の保護膜との間には、前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜の応力の相違による界面があり、
    前記第1の保護及び前記第2の保護の材料が炭化ケイ素であるノズルプレート。
  9. 請求項8に記載のノズルプレートを備えるインクジェットヘッド。
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