JP2019071361A - 電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置及び電気機械変換素子の製造方法 - Google Patents

電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置及び電気機械変換素子の製造方法 Download PDF

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【課題】共通電極の配線抵抗を抑えることができ、高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能であるとともに、製造コストを抑えた電気機械変換素子を提供する。【解決手段】基板上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層上に形成された電気機械変換膜と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極層と、を有する電気機械変換素子であって、前記第2の電極層は、前記電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に接して形成され、前記第一の部分と分離して形成された第二の部分とからなり、前記第二の部分が前記電気機械変換膜上に形成されている部分を除き、前記第1の電極層と前記第二の部分が接する部分の外縁が同じであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置及び電気機械変換素子の製造方法に関する。
インクジェット記録装置で使用する液滴ヘッドの圧力発生手段、超音波診断装置用の超音波発生素子、その他広い用途での電気機械変換素子として圧電素子が使用されている。圧電素子については、近年リソグラフィー技術を用い微細加工を行うMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の進歩により、基板上に薄膜圧電体を形成、それを用いた圧電素子が考案されている。それにより、圧電素子の高集積化が進み、それを用いた装置の小型化・高精細化等に寄与している。
MEMS技術で使用される薄膜圧電素子は、例えば下部電極(第1の電極)と、圧電体層と、上部電極(第2の電極)のそれぞれを薄膜成膜技術を用いて形成し、積層した構成からなるものが多く使われている。このうち、圧電体層には、チタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconate titanate、以下、PZTと称する)等の酸化物を用いることが知られている。このような圧電体層の形成には、蒸着法、スパッタリング法(以下、スパッタ法と略す)、及びChemical Vapor Deposition法(以下、CVD法と略す)等に代表される気相成長法や、化学溶液堆積法(CSD法:Chemical Solution Deposition法)、及び水熱合成法等に代表される液相成長法が用いられている。
液相成長法の中でも、CSD法は、組成制御が容易で、再現性よく薄膜を作製しやすく、また製造設備に必要なコストが安く大量生産が可能であることから、広く採用されている。CSD法は、前駆体溶液を塗布する塗布工程と、塗布工程によって形成された塗膜を焼成する焼成工程を行う。圧電体層をCSD法によって形成する場合には、塗布工程において、圧電体層用の前駆体溶液を下部電極上に塗布し、焼成工程において、該前駆体溶液による塗膜を乾燥(乾燥工程)した後に、塗膜に含まれる有機物を熱分解(熱分解工程)させ、熱分解された塗膜を加熱により結晶化(結晶化工程)させる。
さらに、圧電体層を、所定の形状にパターニングされた層とするために、上記CSD法とインクジェット法とを組み合わせた成膜方法が提案されている。このインクジェットと組み合わせた成膜方法では、圧電体膜を基板全面に成膜するのではなく、圧電素子となる部分にのみ圧電体膜を成膜することができる(特許文献1参照)。それにより、一般的にエッチングが困難とされるPZT等の圧電体材料のエッチングを省略できるという長所がある。
圧電素子の上部電極を形成するには、圧電体層上に上部電極をスパッタリング等で成膜した後、フォトリソ、エッチング加工にてパターニングすることが一般的に行われている。特許文献2では、フォトリソグラフィー技術により上電極層、個別上電極層をパターニングしている。特許文献2では、撓み変形が阻害される領域にまで圧電体層や電極を延設するなどの構成とすることにより、クラックを防止するとしている。
また、前記上部電極の材料としては、下部電極と同一材料を使用することも少なくない。例えば、数百度以上のプロセス温度に耐え、圧電体層への拡散が少ない白金が上部電極、下部電極両方に使用される。また、前記エッチングでは、寸法のばらつきや下層の削れ量を最小限に抑えるために、ウェハごとにエッチングの終点検出を行いながら、ウェハごとのエッチング時間を設定することが一般的に行われている。例えば、ドライエッチングの場合には、エッチング中のプラズマ発光のスペクトル変化(特定波長の光強度の変化)をモニターすることにより、エッチングの終点検出を行うことが一般的に行われている。
このとき、上記CSD法とインクジェット法とを組み合わせた方法において、圧電素子となる部分にのみ圧電体膜を配置した場合、上部電極と下部電極に同じ材料を使用すると、以下のような問題が生じる。上部電極をエッチングしている時点と、上部電極のエッチングが終了した時点とで、同一材料である上部電極と下部電極の露出する面積があまり変わらないため、上記ドライエッチング時のプラズマ発光のスペクトル変化がほとんどなく、エッチング終点の検出が困難であった。
このような問題に対しては、事前に取得したデータをもとに、エッチング時間を固定してのエッチングを行うことが一般的である。
しかし、この場合、データの事前取得のための工数がかかるためコストが増えてしまう。さらに、データ取得間の、ウェハごとの被エッチング層の厚さばらつきやエッチングレートばらつきの補正ができないので、ウェハごとに終点検出しながらエッチングした場合に比べ、寸法のばらつきや下地層の削れ量のばらつきが大きくなってしまう。
このような問題を解決することを目的として、例えば特許文献3のような構成が挙げられる。特許文献3では、上部電極のパターニングを圧電体層上の外周付近のみエッチングするようにしている。このような構成であれば、エッチングマスク開口部において、上部電極のエッチング終了後は、圧電体層のみが露出するようになり、プラズマ発光モニターによるエッチングの終点検出がしやすくなる。また、構造的に下部電極のエッチングがされることがないので、仮にエンドポイントのモニターを行わなくても、下部電極の抵抗ばらつきが大きくなることを防ぐことができる。
一方、実際のデバイス作製においては、下部電極を基板上の全面に残すのではなく、必要部分のみ残してパターニングすることが一般的である。その理由には、例えば、上部電極引き出し配線と下部電極間の寄生容量の低減、下部電極の膜剥がれの防止、ダイシングストリート上の金属膜除去の要請、デバイス構成上の必要性などがある。
これらについては、例えば以下のようにすることが望ましいとされる。
上部電極引き出し配線と下部電極間の寄生容量については、下部電極の面積を必要最小限とすることで、上部電極配線層とのオーバーラップ面積をできるだけ小さくすることが望ましい。
また、下部電極の膜剥がれについては、下部電極には一般的に高温でも変質し難い白金等が使用されるが、欠点として下地膜との密着性がやや小さいということが挙げられる。そのため、製品については、密着層の改善等で剥がれる確率は十分小さく抑えているものの、装置状態の変動による膜剥離のリスクを内在している可能性もあり、電極面積は必要最小限にしておくことが望ましい。
ダイシングストリートの金属膜除去については、レーザーを用いたダイシングの場合にはレーザーを反射する金属膜の除去は必須であるし、ブレードダイシングの場合であってもブレードの目詰まり低減等の理由で金属膜は除去しておくことが望ましい。
デバイス構成上の要請については、デバイスの種類、例えば液滴吐出ヘッドの場合、圧電素子を形成した基板を貫通して液流路を形成することがある。その場合は、下部電極もエッチングする必要があり、あらかじめその場所の下部電極を除去しておくことが望ましい。
そのため、上記を考慮して、上部電極や圧電体層の作製工程とは別に、下部電極のパターニングを独立した工程として別途行うことで対応していた。
しかし、下部電極のパターニングを独立した工程として別途行うと、工程数の増加に伴う製造コストの増加や圧電素子に対するダメージが増加し、圧電素子に対するダメージが増加すると、圧電素子の特性が低下することが懸念される。
一方で、下部電極のパターニングを独立した工程として行わない場合、上述のように、下部電極を所期の面積にすることが難しく、例えば上部電極引き出し配線と下部電極間の寄生容量が増加し、高周波特性や消費電力などの特性が低下する問題がある。
本発明は、上記諸問題を鑑み、共通電極の配線抵抗を抑えることができ、高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能であるとともに、製造コストを抑えた電気機械変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基板上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層上に形成された電気機械変換膜と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極層と、を有する電気機械変換素子であって、前記第2の電極層は、前記電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に接して形成され、前記第一の部分と分離して形成された第二の部分とからなり、前記第二の部分が前記電気機械変換膜上に形成されている部分を除き、前記第1の電極層と前記第二の部分が接する部分の外縁が同じであることを特徴とする。
本発明によれば、共通電極の配線抵抗を抑えることができ、高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能であるとともに、製造コストを抑えた電気機械変換素子を提供することができる。
本発明の電気機械変換素子を用いた超音波発生装置の一例における平面図である。 図1の超音波発生装置における断面図の一例である。 本発明の電気機械変換素子の製造方法の一例を説明するための製造工程フロー(a)〜(d)である。 本発明の電気機械変換素子の製造方法の一例を説明するための製造工程フロー(e)〜(h)である。 本発明の電気機械変換素子の製造方法の一例を説明するための製造工程フロー(i)〜(k)である。 本発明の液体吐出ヘッドの一例における平面図である。 図4の液体吐出ヘッドにおける断面図の一例である。 図4の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための製造工程フロー(a)〜(d)である。 図4の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための製造工程フロー(e)〜(f)である。 本発明の液体吐出ヘッドの他の例における平面図である。 図7の液体吐出ヘッドにおける断面図の一例である。 図7の液体吐出ヘッドにおける断面図の他の例である。 図7の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図8に相当する製造工程フロー(a)〜(e)である。 図7の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図8に相当する製造工程フロー(f)〜(h)である。 図7の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図9に相当する製造工程フロー(a)〜(e)である。 図7の液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図9に相当する製造工程フロー(f)〜(h)である。 本発明に係る液体を吐出する装置の一例を示す模式図である。 本発明に係る液体を吐出する装置の他の例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの一例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの他の例を示す模式図である。
以下、本発明に係る電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置及び電気機械変換素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明は、基板上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層上に形成された電気機械変換膜と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極層と、を有する電気機械変換素子であって、前記第2の電極層は、前記電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に接して形成され、前記第一の部分と分離して形成された第二の部分とからなり、前記第二の部分が前記電気機械変換膜上に形成されている部分を除き、前記第1の電極層と前記第二の部分が接する部分の外縁が同じであることを特徴とする。
本発明では、電気機械変換素子、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置、超音波発生装置、電気機械変換素子の製造方法が提供される。また、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置はインクジェット技術を利用する三次元造型技術などに用いることができ、超音波発生装置は超音波診断装置などに用いることができる。
なお、以下、電気機械変換素子を圧電素子と称することがあり、電気機械変換膜を圧電体、圧電膜と称することがある。
(第1の実施形態)
本実施形態の電気機械変換素子(圧電素子)の模式図を図1、図2に示す。図1、図2は本実施形態の電気機械変換素子を用いた超音波発生装置についての例である。図1は本実施形態の要部における平面配置図であり、図2は図1のA−A’断面に相当する。なお、図は模式的に示しているものであり、図中の縮尺比、図間での縮尺比は実際とは異なることがある。
本実施形態において、図2に示されるように、基板10、基板10中に形成された空隙11、酸化シリコン膜19、振動板20、第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23、第2の圧電体24、第2の電極層25、第2の絶縁膜26、第2の絶縁膜における開口部27、配線28、保護膜29、電極端子30が図示されている。また、第2の電極層25として、第一の部分25a、第二の部分25bが図示されている。
そして、図1では第1の電極層22、第2の電極層25における第一の部分25a、第二の部分25b、第1の圧電体23、第2の圧電体24、開口部27、配線28、電極端子30が平面図として図示されている。
本実施形態では、第1の電極層22は圧電素子の下部電極としており、第2の電極層25における第一の部分25aは圧電素子の上部電極としている。また、第2の電極層25における第二の部分25bは、第1の電極層22上及び圧電体(第2の圧電体24)上に接して形成され、第1の電極層22とともに共通電極となっている。
本実施形態では、上部電極と下部電極との間に駆動電圧を印加し、圧電体(第1の圧電体23及び第2の圧電体24)に駆動力を発生させ、振動板20を振動させることで超音波を発生させるものである。駆動電圧は電極端子30、配線28を介して外部より供給される。同時に駆動する複数の個別振動子(図1では3個)からなる振動子群を複数配置し(図1では5群)、上部電極は振動子群ごとの個別電極、下部電極は素子全体での共通電極としている。なお、実際の個別振動子の数は、通常、図示したものより遥かに多い。
基板10には、耐熱性に優れ、剛性や強度が十分であるとともに、エッチング加工しやすい材料を用いることが好ましく、単結晶シリコン基板が好適に用いられる。基板10には凹部が形成されるとともに、その上に振動板20が設けられ、基板10の凹部以外の部分で接合する。前記凹部は基板10と振動板20で囲われた空隙11となる。空隙11は後述する圧電素子の動作を妨げないためのものである。
振動板20は単結晶シリコンを用いることができ、SOI基板作製の技術を使用して形成することができる。本実施形態では、凹部形成した単結晶シリコン基板である基板10と別の単結晶シリコン基板とを熱酸化膜(酸化シリコン膜19)を介して直接接合した後、研削・研磨加工にて必要厚に加工し振動板とする。適宜変更することが可能であるが、空隙11はΦ60μm程度、深さ1μm程度とすることができ、振動板20の厚みは5μm程度とすることができる。また、単結晶シリコン基板間の熱酸化膜(酸化シリコン膜19)は0.5μm程度とすることができる。
振動板20上には、第1の絶縁膜21を形成し、その上に電気機械変換素子として以下の構成の圧電素子を形成する。本実施形態の圧電素子は、下部電極となる第1の電極層22、第1の圧電体23、第2の圧電体24、上部電極となる第2の電極層25における第一の部分25aからなる。
本実施形態において、第1の電極層22は第1の絶縁膜21を介して振動板20上に成膜される。第1の電極層22としては、例えば白金(Pt)を使用することができ、第1の電極層22と第1の絶縁膜21との間に密着層を設けてもよい。密着層としては、例えばTiOを使用することができる。
本実施形態では、第1の圧電体23はチタン酸鉛(PbTiO)とチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の積層膜からなる。チタン酸鉛層はチタン酸ジルコン酸鉛層のシード層としても機能する。また、チタン酸ジルコン酸鉛層は、第2の圧電体24の前駆体塗布時における濡れ性制御膜や第2の圧電体24の結晶化時のシード層としても機能する。
本実施形態の第2の圧電体24はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)としている。第1の圧電体23と第2の圧電体24は、製造上の都合で2つに分けて示しているが、使用時には一体の圧電体として機能、動作する。適宜、第1の圧電体23と第2の圧電体24をあわせて電気機械変換膜、圧電体、圧電膜と称することがある。
第2の電極層25は第1の電極層22と同じく白金(Pt)を使用することができる。第2の電極層25は、第一の部分25aと第二の部分25bに分離される。第2の電極における第一の部分25aは電気機械変換膜上にのみ形成され、圧電素子の上部電極となっている。第2の電極における第二の部分25bは電気機械変換膜上から電気機械変換膜が形成されていない部分に渡って形成され、第1の電極層22上及び電気機械変換膜(第2の圧電体24)上に接して形成されている。
第2の電極における第二の部分25bは、第1の電極層22と接続し、圧電素子の共通電極の一部として機能する。これにより、第二の部分25bを配置しない場合と比べて共通電極の配線抵抗を小さくできる。
詳細は後述の工程フローで説明するが、本実施形態では、電気機械変換膜に分離溝18が形成されており、第一の部分25aと第二の部分25bは分離溝18を境にして分離されている。
第1の電極層22と、第2の電極層における第二の部分25bとからなる共通電極は、複数の圧電素子群の外側で、前記2層が実質的に同一の外周形状となるようパターニングされている。これにより、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じになっている。すなわち、第1の電極層22と第2の電極層25における第二の部分25bが直接積層される部分では、それらの外周形状が全く同じで一体的な側面形状となっている。このようにすることで、共通電極の配置領域を必要以上に広い領域にならないようにしている。
また、本実施形態では、電気機械変換膜に分離溝18が形成されており、前記電気機械変換素子の面方向と垂直な方向から見たときに、分離溝18を除いて、第1の電極層22と第2の電極層25とが同じ面積となっている。これにより、共通電極とする下部電極の配線抵抗をより低減することができるので、より高周波特性に優れた電気機械変換素子を得ることができる。
前記圧電素子を形成した基板上には第2の絶縁膜26が形成される。第2の絶縁膜26は配線28と下部電極層の絶縁性確保の他、圧電素子の吸湿防止やその後の工程でのダメージ防止の役割を果たしている。第2の絶縁膜26としては、例えば酸化シリコン膜を用いることができ、厚さは1μm程度とすることができる。
第2の絶縁膜26の所定の位置には開口部27が形成されている。また、その上に、配線28が形成され、前記絶縁膜の開口部27において、第2電極層における第一の部分25a又は第二の部分25bに接続している。
さらに、配線28は端部が外部との電気的接続部である電極端子30となっている。配線28としては、例えば、厚み50nm程度のチタン膜上に、厚み1μm程度の銅添加のアルミニウムを積層したものを用いることができる。
配線28上には保護膜29が形成され、配線28を腐食等から保護している。保護膜29としては、例えば厚み1μm程度の窒化シリコン膜を用いることができる。また、保護膜29は電極端子30において開口され、外部との電気的接続を可能にしている。
本実施形態では、第1の電極層と、第2の電極層における第二の部分とからなる共通電極の配置領域を、圧電素子が形成される領域、配線との接続領域、加工上必要な余裕領域に限定しており、必要以上に広い領域にならないようにしている。これにより、第1の電極層や第2の電極層における第二の部分をパターニングせず全面に残した場合に比べ、上部電極引き出し配線と共通電極(下部電極)との間の寄生容量を低減することができ、圧電素子の高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能となる。
また、共通電極の配置領域を抑えていることから、共通電極の膜剥がれが発生する確率を低下させることができ、歩留まりを向上させることができる。さらに、本実施形態では図示を省略しているが、ダイシングストリート上の電極材料を除去しており、レーザーダイシングによるチップ化も可能である。
次に、本実施形態の電気機械変換素子の製造方法について、図3A〜図3Cの製造工程フローを用いて説明する。
図3A(a)では、空隙11と振動板20が形成された基板10上に、第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23を成膜する。
空隙11と振動板20が形成された基板10は、前述のように、SOI基板作製技術を使用し、そのときあらかじめ基板10に空隙11となる凹部を形成したものを使用して作製したものである。第1の絶縁膜21は例えばシリコンである振動板20を熱酸化して形成することができる。
第1の電極層22については、まず、密着層として100nm程度の二酸化チタン(TiO)を成膜する。その方法は、例えばスパッタ法にてチタン(Ti)を60nm程度成膜した後、酸素を流した状態でRTA(Rapid Thermal Annealing)を行って酸化する。その上に第1の電極層22である白金(Pt)層をスパッタ法により200nm程度成膜する。
第1の電極層22上に形成される第1の圧電体23は、例えばチタン酸鉛とチタン酸ジルコン酸鉛の積層膜とし、CSD法により基板全面に成膜する。具体的には、酢酸鉛、チタンアルコキシド化合物を出発材料とした前駆体溶液を第1の電極層22上にスピンコートした後、乾燥させる。さらにその上に、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタンアルコキシド化合物を出発材料とした前駆体溶液をスピンコートした後、乾燥、熱分解、結晶化している。
チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛の層厚は、それぞれ5nm程度、75nm程度とすることができる。チタン酸鉛層は積層膜結晶化時のシード層として働き、結晶性を良好にする機能がある。チタン酸ジルコン酸鉛層は圧電体層の一部と後の工程で選択的に圧電体前駆体を塗布するときの濡れ性制御膜として機能する。
図3A(b)では、第1の圧電体23をフォトリソ、エッチングにて所望の形状にパターニングする。エッチングは、例えばフッ硝酸を使用してウェットエッチングにて行うことができる。
図3A(c)では、白金からなる第1の電極層22上にのみ選択的に撥水膜41を形成する。具体的には例えば以下の手順で行う。
(1)前処理(酸洗浄)による表面清浄化を行う。
(2)アルカンチオールを有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)で希釈した液をスピンコートする。なお、撥水性を強固なものにするため、フッ素を含む液を使用することが好ましい。
(3)有機溶媒(アルコール、アセトン、トルエンなど)による洗浄を行い、余分な撥水化膜材料を除去する。
この手順によれば、第1の圧電体23には撥水膜41は形成されず、親水性部位(親CSD液部)として維持される。
図3A(d)では、CSD液吐出ヘッド(前駆体液吐出ヘッド42)を搭載したCSD液塗布装置にて、所望の第1の圧電体23上に、第2の圧電体24の前駆体となるCSD液を選択的に塗布する。CSD液塗布装置では、CSD液吐出ヘッドが基板上を移動(または、ヘッドの下を基板が移動)する間、ヘッドと基板の相対位置が所定の位置にあるときのみCSD液を吐出する。それにより、所望の部分にのみCSD液を選択的に塗布することができる。
このとき、基板表面の濡れ性制御を行わない場合、CSD液滴の着弾位置のばらつきや濡れ広がり状態のばらつきに起因してCSD液塗布パターンの形状がばらついてしまう。それを防止するため、本実施形態では事前に第2の圧電体24を形成する部分の表面は親水性に、その外周の表面は撥水性としておくことが好ましい。そのような表面状態の基板にCSD液滴を塗布すると、CSD液の着弾位置に多少のばらつきがあったとしても、親水性領域全体にCSD液が塗られると同時に、撥水性領域にはCSD液が塗られない状態とすることができる。
次に、部分的に塗布されたCSD液を乾燥、熱分解、結晶化する。CSD液の塗布量を調整することにより、結晶化された膜が100nm程度となるようにすることが好ましい。1回に形成する膜厚を厚くするほど生産性は向上するが、厚くすると形成された膜にクラックが発生しやすくなる。
次いで、撥水膜形成、CSD液の選択塗布、乾燥、熱分解、結晶化の工程を、第2の圧電体24が所望の厚さになるまで繰り返す。本実施形態では、上記工程を20回程度繰り返すことで、2μm厚程度の第2の圧電体24を形成する。
図3B(e)では、第2の電極層25として、例えば白金膜をスパッタ法にて成膜する。厚さは100nm程度とすることができる。
図3B(f)では、第2の電極層25上にレジスト40を形成し、フォトリソにて所定のレジストパターンを形成する。
図3B(g)では、レジスト40をマスクとして第2の電極層25のエッチングを行う。エッチングは例えばICP(Inductive Coupling Plasma)をプラズマ源とするドライエッチャーにて行い、エッチャントとしては塩素を使用する。
図3B(h)では、図3B(g)の工程から連続的にエッチングを行い、第1の電極層22のエッチングを行う。これにより、レジスト開口部中、第1の電極層22が露出している共通電極層外側の部分における第1の電極層22が除去される。
一方、それ以外のレジスト開口部では第2の圧電体24が形成されているため、第2の圧電体24が僅かにエッチングされるのみで、大きな構成上の変化はない。ただし、そのようにレジストマスクを設計しておくことが好ましい。
本実施形態では、上記エッチングにより、電気機械変換膜(第2の圧電体24)が僅かにエッチングされ、分離溝18が形成される。ここでは、第一の部分25aと第二の部分25bは、分離溝18を境にして分離されている。なお、第2の電極層25が第一の部分25aと第二の部分25bに分離されていればよく、分離溝18は形成されていなくてもよい。分離溝18が形成されている場合、第一の部分25aと第二の部分25bが確実に分離されているといえる。
また、ここでは、便宜上図3B(g)と図3B(h)とに分けて図示、説明しているが、実際にはこれらは実質同一工程として連続的に行われる。すなわち、第2の電極層25についてマスクを用いてエッチングを行うとともに、同一マスクを用いて連続的に第1の電極層22のエッチングを行い、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じになるようにしている。
このため、共通電極層を全面に残すといった従来の構成に対し、工程数の増加はなく、工程の時間も僅かに長くなる程度である。そのため、製造コストの増加は実質的に生じない。また、共通電極層を別途独立したマスクで加工する場合と比較すると、フォトリソ工程を1回少なくすることができるので、製造コストを減らすことができる。
さらに、レジスト除去工程では、通常酸素プラズマによるドライアッシングが行われることが多いが、本実施形態によればフォトリソ工程を少なくすることができるため、酸素プラズマ、又はそのとき発生する紫外線による圧電体へのプロセスダメージを低減することができる。
図3C(i)では、その上に第2の絶縁膜26を成膜する。本実施形態では、例えばプラズマCVD法により、モノシラン(SiH)、亜酸化窒素(NO)ガスを原料として1μm程度成膜する。
図3C(j)では、第2の絶縁膜26にフォトリソ、エッチングにて開口部27を形成した後、配線材料を成膜、パターニングして配線28を形成する。
第2の絶縁膜26のエッチングは、例えばCF及びCHFをエッチャントとしたドライエッチング(RIE、Reactive Ion Etching)にて行う。
配線28としては、例えば白金との密着層としてチタンを50nm程度成膜した後、主たる配線材料として銅を添加したアルミニウムを1μm程度成膜する。いずれも、例えばスパッタにより成膜することができる。その後、フォトリソ、エッチングにより、配線材料をパターニングし配線28を形成する。
配線材料のエッチングは、例えば塩素と三塩化硼素をエッチャントとしたドライエッチングにて行う。
図3C(k)では、保護膜29を成膜し、電極端子部のみ開口を行う。本実施形態では、保護膜29としては、例えばプラズマCVD法により、モノシラン(SiH)、亜酸化窒素アンモニア(NH)ガスを原料として1μm程度の窒化シリコン膜を成膜する。開口はフォトリソ、エッチングプロセスにより行い、エッチングは例えばCF及びCHFをエッチャントとしたドライエッチング(RIE)にて行う。
このようにして本実施形態の電気機械変換素子、該電気機械変換素子を有する超音波発生装置が得られる。
上述したように、本実施形態の製造方法によれば、第2の電極層と第1の電極層を同一のマスクパターンで連続的にエッチングするだけで、上部電極と下部電極のパターニングが可能になるので、上部電極と下部電極を別のマスクでパターニングすることに比べて工程が短縮でき製造コストを低減できる。さらに、工程短縮されることで、電気機械変換素子のプロセスダメージも低減され、特性の向上が可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの模式図を図4、図5に示す。図4は本実施形態の要部における平面配置図であり、図5は図4のA−A’断面に相当する。図5は、実使用状態での上下に従って図示したものであるが、上下逆にすれば図2と基本的に同じ層構成となっている。なお、上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態において、図5に示されるように、基板10、基板10に形成された液室12、振動板20、振動板20等を貫通して形成されたノズル孔14、第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23、第2の圧電体24、第2の電極層25、第2の絶縁膜26、第2の絶縁層の開口部27、配線28、保護膜29、電極端子30が図示されている。
そして、図4ではノズル孔14、分離溝18、第1の電極層22、第2の電極層25における第一の部分25a、第二の部分25b、第1の圧電体23、第2の圧電体24、開口部27、配線28、電極端子30が平面図として図示されている。
本実施形態では、第1の電極層22は圧電素子の下部電極としており、第2の電極層25における第一の部分25aは圧電素子の上部電極としている。また、第2の電極層25における第二の部分25bは、第1の電極層22上及び圧電体(第2の圧電体24)上に接して形成され、第1の電極層22とともに共通電極となっている。
なお、ここでは、電極の上部、下部については使用状態での上下ではなく、素子形成面を下にしたときの上下で定義している。よって、図5内の上下と逆になっている。
本実施形態では、上部電極と下部電極との間に駆動電圧を印加し、圧電体(第1の圧電体23及び第2の圧電体24)に駆動力を発生させる。それにより、振動板20を振動させることで液室12内の液を加圧し、ノズル孔14より液体を吐出するものである。駆動電圧は、電極端子30、配線28を介して、外部より供給される。ノズルごとに個別に液体を吐出できるように、上部電極はノズルごとの個別電極、下部電極はヘッド全体での共通電極としている。なお、実際のノズル数は、通常、図示したものより遥かに多い。
基板10は第1の実施形態と同様に、単結晶シリコン基板が好適に用いられる。また、振動板20は第1の実施形態と同様に、単結晶シリコンを用いることができ、SOI基板作製技術を使用して形成することができる。そのため、第1の実施形態と同様にSOIウェハを用いることができる。ただし、本実施形態では、基板10にあらかじめ空隙を形成したものではなく、通常のSOIウェハを使用している。
また、液室12は圧電素子等を形成した後、素子とは反対面から基板10をエッチングすることで形成している。液室12には供給路を通して液が供給される。
本実施形態では、基板10の厚さは400μm程度のものを使用することができる。液室12としては、Φ1mm程度、深さは基板の厚みである400μm程度とすることができる。振動板20の厚みは20μm程度とすることができる。また、単結晶シリコン層間の熱酸化膜(酸化シリコン膜19)は0.5μm程度とすることができる。
振動板20上の圧電素子の層構成は、基本的には第1の実施形態と同様としている。
本実施形態においても、第2の電極層25は、電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分25aと、第1の電極層22上及び電気機械変換膜(圧電体)上に接して形成され、第一の部分25aと分離して形成された第二の部分25bとからなる。
第一の部分25aは、電気機械変換膜上(第2の圧電体24上)にのみ形成され、圧電素子の上部電極(個別電極)となっている。第二の部分25bは圧電体上から圧電体が形成されていない部分に渡って形成され、第1の電極層22と接続し、圧電素子の共通電極の一部として機能する。これにより、第二の部分25bを配置しない場合と比べて共通電極の配線抵抗を小さくできる。
図4に示されるように、本実施形態の圧電体(第1の圧電体23、第2の圧電体24)及び第2の電極層25における第一の部分25aは、中央部分を除いて円状に形成された円環状として形成されている。第1の電極層22と第二の部分25bとからなる共通電極は、圧電素子の外側及びノズル周辺で、前記2層が実質的に同一の外周形状となるようパターニングされている。すなわち、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じになり、さらに円環状の内部における第1の電極層22と第二の部分25bの面積が同じになる。
また、面方向と垂直な方向から見たときに、分離溝を除いて、第1の電極層22と第2の電極層25とが同じ面積となっている。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の電極層と第2の電極層における第二の部分とからなる共通電極の配置領域を、圧電素子が形成される領域、配線との接続領域、加工上必要な余裕領域に限定しており、必要以上に広い領域にならないようにしている。これにより、第1の電極層、第2の電極層における第二の部分をパターニングせず全面に残した場合に比べ、上部電極引き出し配線と共通電極(下部電極)との間の寄生容量を低減することができ、圧電素子の高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能となる。
また、共通電極の配置領域を抑えていることから、共通電極の膜剥がれが発生する確率を低下させることができ、歩留まりを向上させることができる。さらに、本実施形態では図示を省略しているが、ダイシングストリート上の電極材料を除去しており、レーザーダイシングによるチップ化も可能である。
上記に加えて、本実施形態においては、ノズル周辺(円環状の内部)でも、前記2層が実質的に同一の外周形状となるようパターニング(除去)されていることから、ノズル開口時に共通電極材料をエッチング除去する工程が不要となる。
また、ノズル開口(図5の(A))よりも大きく共通電極層をパターニング(除去)しているので(図5の(B))、特別な工程を追加することなく、吐出液がノズル孔側面で共通電極に接触しない構造にすることができる。そのため、例えば、共通電極にバイアス電圧を印加した場合にも、吐出液側へのリーク電流の発生、それによる装置の不具合、吐出液の変質等に対して特別な工程を追加することなく防ぐことができる。
次に、本実施形態の電気機械変換素子の製造方法について、図6の製造工程フローを用いて説明する。
図6A(a)では、第1の実施形態と同様に、振動板20が形成された基板10上に第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23を成膜する。ここで、本実施形態では空隙が形成されていないSOI基板を使用している。その後、第1の圧電体23をフォトリソ、エッチングにて所望の形状にパターニングし、インクジェット技術を用いて所望の位置にのみ第2の圧電体24を形成し、その上に第2の電極層25を成膜する。次いで、第2の電極層25を第一の部分25aと第二の部分25bに分離でき、余分な領域の電極層を除去できるパターンのレジストマスク(レジスト40)を形成する。
図6A(b)では、レジスト40をマスクとして、第2の電極層25のエッチングを行う。これにより、第2の電極層25は第一の部分25aと第二の部分25bに分離される。
図6A(c)では、図6A(b)から連続的にエッチングを行い、第1の電極層22のエッチングを行う。これにより、レジスト開口部中、第1の電極層22が露出している共通電極の外側の部分における第1の電極層22が除去される。一方、それ以外のレジスト開口部では第2の圧電体24が形成されているため、第2の圧電体24が僅かにエッチングされるのみで、大きな構成上の変化はない。ただし、そのようにレジストマスクを設計しておくことが好ましい。
なお、第1の実施形態と同様に、圧電体(第2の圧電体24)が僅かにエッチングされて分離溝18が形成されるが、分離溝18はなくてもよい。
また、ここでは、便宜上図6A(b)と図6A(c)とに分けて図示、説明しているが、実際にはこれらは実質同一工程として連続的に行われる。すなわち、第2の電極層25についてマスクを用いてエッチングを行うとともに、同一マスクを用いて連続的に第1の電極層22のエッチングを行い、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じになるようにしている。さらに円環状の内部を同じ形状としている。
このため、共通電極層を全面に残すといった従来の構成に対し、工程数の増加はなく、工程の時間も僅かに長くなる程度である。そのため、製造コストの増加は実質的に生じない。
図6A(d)では、第1の実施形態と同様に、第2の絶縁膜26を成膜後、フォトリソ、エッチングにて開口部27を形成する。次いで、配線28を形成し、保護膜29を成膜した後、フォトリソ、エッチングにて電極端子30の開口を行う。
図6B(e)では、フォトリソ、エッチングにてノズル孔14が開口する部分の保護膜29、第2の絶縁膜26、第1の絶縁膜21、振動板20をパターニングする。
レジストマスクは共通で、例えば窒化シリコン膜である保護膜29、例えば酸化シリコン膜である第2の絶縁膜26、例えば酸化シリコン膜である第1の絶縁膜21は、同一のエッチング装置、同一条件で連続的にエッチングを行う。具体的には、CF及びCHFを用いたRIEにてエッチングする。また、例えばシリコンからなる振動板20は、レジストマスクは上記積層膜エッチング後の状態のまま、シリコン深堀エッチャーにてエッチングを行う。
図6(f)では、素子が形成されている面とは反対側の面から基板10をエッチングすることで液室12を形成する。このようにして本実施形態の液体吐出ヘッドが得られる。
(第3の実施形態)
本実施形態の液体吐出ヘッドの模式図を図7〜図9に示す。図7は本実施形態の要部における平面配置図であり、図8は図7のA−A’断面に相当し、図9は図7のB−B’断面に相当する。本実施形態における圧電素子、配線等についてはパターン設計が異なるものの、上記実施形態と基本的に同様の層構成としている。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
本実施形態において、図8及び図9に示されるように、基板10と、液供給路16(供給路、インク供給路などとも称される)が形成された封止基板15と、ノズル孔14が形成されたノズル板13とを接着剤43a、43bにて接合して形成されている。
圧電素子が形成されている基板としては、基板10、基板10に形成された液室12、振動板20、振動板20等を貫通して形成された液供給路16、第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23、第2の圧電体24、第2の電極層25、第2の絶縁膜26、第2の絶縁層26の開口部27、配線28、保護膜29、電極端子30が図示されている。
そして、図7では分離溝18、第1の電極層22、第2の電極層25における第一の部分25a、第二の部分25b、第1の圧電体23、第2の圧電体24、開口部27、配線28、電極端子30が平面図として図示されている。
本実施形態においても、第1の電極層22は圧電素子の下部電極としており、第2の電極層25における第一の部分25aは圧電素子の上部電極としている。また、第2の電極層25における第二の部分25bは、第1の電極層22上及び圧電体(第2の圧電体24)上に接して形成され、第1の電極層22とともに共通電極となっている。
本実施形態では、上部電極と下部電極との間に駆動電圧を印加し、圧電体(第1の圧電体23及び第2の圧電体24)に駆動力を発生させる。それにより振動板20を振動させることで、液室12内の液を加圧し、ノズル孔14より液体を吐出するものである。駆動電圧は、電極端子30、配線28を介して、外部より供給される。ノズルごとに個別に液体を吐出できるように、上部電極はノズルごとの個別電極、下部電極はヘッド全体での共通電極としている。なお、実際のノズル数は、通常、図示したものより遥かに多い。
封止基板15としては、例えばシリコン基板を用いることができ、液供給路16や空隙17はエッチング加工して形成する。
ノズル板13としては、例えばステンレス基板を用いることができ、機械加工にてノズル孔14を形成する。
基板10は上記実施形態と同様に、単結晶シリコン基板が好適に用いられる。また、振動板20は上記実施形態と同様に、単結晶シリコンを用いることができ、SOI基板作製技術を使用して形成することができる。本実施形態では第2の実施形態と同様に、空隙が形成されていない通常のSOIウェハを使用している。
液室12は、第2の実施形態と同様に、圧電素子等を形成した後、素子とは反対面から基板10をエッチングすることで形成している。液室12には、図8の上面方向より、封止基板15の液供給路16を通して液が供給される。
本実施形態では、基板10としては例えば厚さ625μm程度のものを使用し、後述するように、液室12を加工する前に75μm程度に薄厚化する。液室12の寸法は、約60μm×約1000μmとすることができ、深さは75μm程度とすることができる。また、振動板20の厚みは2μm程度とすることができる。また、単結晶シリコン層間の熱酸化膜(酸化シリコン膜19)は0.5μm程度とすることができる。
振動板20上の圧電素子の層構成は、基本的には上記実施形態と同様としている。
本実施形態においても、第2の電極層25は、電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分25aと、第1の電極層22及び電気機械変換膜に接して形成され、第一の部分25aと分離して形成された第二の部分25bとからなる。
第2の電極層25における第一の部分25aは、電気機械変換膜上(第2の圧電体24上)にのみ形成され、圧電素子の上部電極(個別電極)となっている。第二の部分25bは圧電体上から圧電体の無い部分に渡って形成され、第1の電極層22と接続し、圧電素子の共通電極の一部として機能する。
ただし、本実施形態においては、上記実施形態と以下の点が異なる。
上記実施形態では、第2の電極層25における第二の部分25bは圧電体(第1の圧電体23、第2の圧電体24)の外周を全て覆うように配置していた。
一方、本実施形態では、図7、図8に示されるように、圧電体の外周の一部のみを覆うように配置している。具体的には、第2の電極層25における第二の部分25bは、圧電体のうち、共通電極と配線28の接続部方向のみ覆うように配置している。
図示されるように、第2の電極層25における第二の部分25bが圧電体(第1の圧電体23及び第2の圧電体24)の外周を覆っていないところでは、圧電体の外周形状と第1の電極層22の外周形状が同じ形状となっている。第二の部分25bが圧電体(第1の圧電体23及び第2の圧電体24)の外周を覆っているところでは、第二の部分25bの外周形状と第1の電極層22の外周形状が同じ形状となっている。
すなわち、本実施形態では、第1の電極層22の外周形状は、第2の電極層25における第二の部分25bと接する部分については第二の部分25bと同じ外縁であり、第二の部分25bと接しない部分については電気機械変換膜と同じ外縁である。このため、第二の部分25bが圧電体上に形成されている部分を除き、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じとなる。これにより、共通電極とする下部電極の配線抵抗をより低減することができるので、より高周波特性に優れた電気機械変換素子を得ることができる。
本実施形態は、下部電極(共通電極)の配線抵抗の観点では、上記実施形態の構成よりも抵抗が大きくなりやすい。そのため、駆動周波数が高い場合には本実施形態による構成よりも上記実施形態の方が好ましい。
一方、上部電極の面積(幅)を大きく(広く)できることや、下部電極の変位を阻害する部分を除去できることから上記実施形態に比べて、圧電素子の変位を大きくすることができる。そのため、駆動周波数によっては、本実施形態のような構成とする方が、変位が大きくなって有利な場合がある。このようなことから、本実施形態における液体吐出ヘッドでは、駆動周波数が、電気特性ではなく、液吐出や液供給の構成に影響されるため、このような構成としている。本実施形態の液体吐出ヘッドでは、例えば40kHz程度で駆動する。
本実施形態においても、上記実施形態と同様に、第1の電極層と第2の電極層における第二の部分とからなる共通電極の配置領域を、圧電素子が形成される領域、配線との接続領域、加工上必要な余裕領域に限定しており、必要以上に広い領域にならないようにしている。これにより、第1の電極層や第2の電極層における第二の部分をパターニングせず全面に残した場合に比べ、上部電極引き出し配線と共通電極(下部電極)との間の寄生容量を低減することができ、圧電素子の高周波特性の向上や消費電力の抑制が可能となる。
また、共通電極の配置領域を抑えていることから、共通電極の膜剥がれが発生する確率を低下させることができ、歩留まりを向上させることができる。さらに、本実施形態では図示を省略しているが、ダイシングストリート上の電極材料を除去しており、レーザーダイシングによるチップ化も可能である。
また、本実施形態においては、液供給路16周辺の共通電極も除去しているので、液供給路16を開口させる際に共通電極材料をエッチング除去する必要がない。このため、製造工程を増加させることがなく、製造コストを抑えることができる。
また、本実施形態では、液供給路16の開口幅よりも大きく共通電極層をパターニング除去しているので、特別な工程を追加することなく、吐出液が液供給路側面で共通電極に接触しない構造にすることができる。そのため、例えば、共通電極にバイアス電圧を印加した場合にも、吐出液側へのリーク電流の発生、それによる装置の不具合、吐出液の変質等に対して特別な工程を追加することなく防ぐことができる。
次に、本実施形態の電気機械変換素子の製造方法を図10、図11の製造工程フローを用いて説明する。図10は図7のA−A’断面に相当し、図11は図7のB−B’断面に相当する。
図10A(a)、図11A(a)では、上記実施形態と同様に、振動板20が形成された基板10上に第1の絶縁膜21、第1の電極層22、第1の圧電体23を成膜する。本実施形態では第2の実施形態と同様に空隙の形成されていないSOI基板を使用する。
その後、第1の圧電体23をフォトリソ、エッチングにて所望の形状にパターニングし、インクジェット技術を用いて所望の位置にのみ第2の圧電体24を形成し、その上に第2の電極層25を成膜する。次いで、第2の電極層25を第一の部分25aと第二の部分25bに分離でき、余分な領域の電極層を除去できるパターンのレジストマスク(レジスト40)を形成する。
図10A(b)、図11A(b)では、レジスト40をマスクとして、第2の電極層25のエッチングを行う。これにより、第2の電極層25は第一の部分25aと第二の部分25bに分離される。
図10A(c)、図11A(c)では、図10A(b)、図11A(b)から連続的にエッチングを行い、第1の電極層22のエッチングを行う。
なお、第1の実施形態と同様に、圧電体(第2の圧電体24)が僅かにエッチングされて分離溝18が形成されるが、分離溝18はなくてもよい。
レジスト形成部、及びレジスト開口部中の圧電体(第1の圧電体23、第2の圧電体24)の形成部分では第1の電極層22はエッチング除去されずに残り、その他の部分の第1の電極層22はエッチング除去される。よって、下部電極(共通電極)は配線28との接続部との間は分離されずにつながっているが(図10A(c))、隣接ノズル間の下部電極層は除去されている(図11A(c))。そのようなパターンとしているので、上部電極である第2の電極層25における第一の部分25aの幅は、加工マージンを確保した上で最大限の幅とすることができる。
また、ここでは、便宜上図10A(b)と図10A(c)とに分けて、図11A(b)と図11A(c)とに分けて図示、説明しているが、実際にはこれらは実質同一工程として連続的に行われる。すなわち、第2の電極層25についてマスクを用いてエッチングを行うとともに、同一マスクを用いて連続的に第1の電極層22のエッチングを行い、第1の電極層22と第二の部分25bが接する部分の外縁が同じになるようにしている。
このため、共通電極層を全面に残すといった従来の構成に対し、工程数の増加はなく、工程の時間も僅かに長くなる程度である。そのため、製造コストの増加は実質的に生じない。
図10A(d)、図11A(d)では、上記実施形態と同様に、第2の絶縁膜26を成膜後、フォトリソ、エッチングにて開口部27を形成する。次いで、配線28を形成し、保護膜29を成膜した後、フォトリソ、エッチングにて電極端子30の開口を行う。
図10A(e)、図11A(e)では、フォトリソ、エッチングにて、液供給路16部分の保護膜29、第2の絶縁膜26、第1の絶縁膜21、振動板20、酸化シリコン膜19をパターニングする。これらの加工では、レジストマスクは共通で、例えば窒化シリコン膜である保護膜29、例えば酸化シリコン膜である第2の絶縁膜26、例えば酸化シリコン膜である絶縁膜21は、同一のエッチング装置、同一条件で連続的にエッチングを行う。具体的には、CF及びCHFを用いたRIEにてエッチングする。
また、例えばシリコンからなる振動板20は、レジストマスクは上記積層膜エッチング後の状態のまま、シリコン深堀エッチャーにてエッチングを行う。さらに、酸化シリコン膜19はCF及びCHFを用いたRIEにてエッチングする。
図10B(f)、図11B(f)では、あらかじめ作製しておいた、液供給路16及び空隙17(圧電素子振動空間)が形成された封止基板15を圧電素子が形成された基板10上に接着剤43bにて接合する。
図10B(g)、図11B(g)では、まず、封止基板15に接合した状態で、基板10を625μmから75μmに薄厚化加工を行う(図示省略)。次いで、フォトリソ、エッチング加工により、液室12を形成する。エッチングはシリコン深堀エッチャーにて行う。その後、必要に応じて、接液膜(耐液性保護膜)の成膜を行い、レーザーダイシングによりチップ化する。
図10B(h)、図11B(h)では、あらかじめ、ノズル孔14を開口したノズル板13を接着剤43aにて接合する。このようにして本実施形態の液体吐出ヘッドが得られる。
(液体吐出ユニット、液体を吐出する装置)
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図12及び図13を参照して説明する。図12は同装置の要部平面説明図、図13は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル11からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル11が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図14を参照して説明する。図14は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図15を参照して説明する。図15は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図13で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図14で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図15で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
10 基板
11 空隙
12 液室
13 ノズル板
14 ノズル孔
15 封止基板
16 液供給路
17 空隙
18 分離溝
19 酸化シリコン膜
20 振動板
21 第1の絶縁膜
22 第1の電極層
23 第1の圧電体
24 第2の圧電体
25 第2の電極層
25a 第一の部分
25b 第二の部分
26 第2の絶縁膜
27 開口部
28 配線
29 保護膜
30 電極端子
43a、43b 接着剤
401 ガイド部材
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
405 主走査モータ
406 駆動プーリ
407 従動プーリ
408 タイミングベルト
410 用紙
412 搬送ベルト
413 搬送ローラ
414 テンションローラ
416 副走査モータ
417 タイミングベルト
418 タイミングプーリ
420 維持回復機構
421 キャップ部材
422 ワイパ部材
440 液体吐出ユニット
441 ヘッドタンク
442 カバー
443 コネクタ
444 流路部品
450 液体カートリッジ
451 カートリッジホルダ
452 送液ユニット
456 チューブ
491A、491B 側板
491C 背板
493 主走査移動機構
494 供給機構
495 搬送機構
特開2013−065670号公報 特開2016−58715号公報 特開2014−011356号公報

Claims (10)

  1. 基板上に形成された第1の電極層と、
    前記第1の電極層上に形成された電気機械変換膜と、
    前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に形成された第2の電極層と、を有する電気機械変換素子であって、
    前記第2の電極層は、前記電気機械変換膜上にのみ形成された第一の部分と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に接して形成され、前記第一の部分と分離して形成された第二の部分とからなり、
    前記第二の部分が前記電気機械変換膜上に形成されている部分を除き、前記第1の電極層と前記第二の部分が接する部分の外縁が同じであることを特徴とする電気機械変換素子。
  2. 前記電気機械変換膜に分離溝が形成され、
    前記第一の部分と前記第二の部分は、前記分離溝を境にして分離されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換素子。
  3. 前記電気機械変換素子の面方向と垂直な方向から見たときに、前記分離溝を除いて、前記第1の電極層と前記第2の電極層とが同じ面積であることを特徴とする請求項2に記載の電気機械変換素子。
  4. 前記電気機械変換素子の面方向と垂直な方向から見たときに、前記電気機械変換膜及び前記第一の部分は円環状に形成され、該円環状の内部における前記第1の電極層と前記第二の部分の面積が同じであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気機械変換素子。
  5. 前記第二の部分は、前記電気機械変換膜の外周の一部を覆うように形成され、
    前記第1の電極層の外周形状は、前記第二の部分と接する部分については前記第二の部分と同じ外縁であり、前記第二の部分と接しない部分については前記電気機械変換膜と同じ外縁であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機械変換素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電気機械変換素子を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項6に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出ユニット。
  8. 請求項6に記載の液体吐出ヘッド又は請求項7に記載の液体吐出ユニットを有することを特徴とする液体を吐出する装置。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の電気機械変換素子を有することを特徴とする超音波発生装置。
  10. 基板上に第1の電極層を形成する工程と、
    前記第1の電極層上に電気機械変換膜を形成する工程と、
    前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に第2の電極層を形成する工程と、
    前記第2の電極層について、エッチングを行い、前記電気機械変換膜上にのみ形成される第一の部分と、前記第1の電極層上及び前記電気機械変換膜上に接して形成される第二の部分とに分離する工程と、を有する電気機械変換素子の製造方法であって、
    前記分離する工程は、前記第2の電極層についてマスクを用いてエッチングを行うとともに、同一マスクを用いて連続的に前記第1の電極層のエッチングを行い、前記第二の部分が前記電気機械変換膜上に形成されている部分を除き、前記第1の電極層と前記第二の部分が接する部分の外縁が同じになるようにすることを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
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