JP2007168193A - インクジェット記録ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】オリフィスプレート基材21の両面に撥水膜23a・23bを形成する撥水膜形成工程と、撥水膜23a・23bを形成したオリフィスプレート基材21のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、撥水膜23a・23bを形成したオリフィスプレート基材21にオリフィス22を形成するオリフィス形成工程と、レーザー照射側面の撥水膜23aをプラズマ処理により除去する撥水膜除去工程と、オリフィス22を形成したオリフィスプレート20のヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含む。
【選択図】図1
【解決手段】オリフィスプレート基材21の両面に撥水膜23a・23bを形成する撥水膜形成工程と、撥水膜23a・23bを形成したオリフィスプレート基材21のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、撥水膜23a・23bを形成したオリフィスプレート基材21にオリフィス22を形成するオリフィス形成工程と、レーザー照射側面の撥水膜23aをプラズマ処理により除去する撥水膜除去工程と、オリフィス22を形成したオリフィスプレート20のヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、インクジェット記録装置に用いるインクジェット記録ヘッドの製造方法に関し、詳しくは、オリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法に関するものである。
インクジェット記録ヘッドは、ヘッド本体のインク出口部分に、インク吐出口が形成されたオリフィスプレートを貼着してなっている。
ここで、オリフィスプレートの製造工程において、オリフィスプレートにエキシマレーザーを照射してインク吐出口となるオリフィスを加工する際、エキシマレーザーによりオリフィスプレートの樹脂が分解される際、副生成物(カーボン等)が発生し、これがオリフィス近傍、及びインク流路内に堆積する。
この副生成物は、オリフィスプレートへの付着力が強く、超音波洗浄等では完全に除去することができない。この副生成物がインク吐出口となるオリフィス近傍に付着した場合、付着箇所が親水性を示す状態になり、そこにインク溜りが発生する。これによってインクの直進性は失われ、印字品質の低下を招いていた。また、副生成物がインク流路内に付着した場合、この副生成物がインク中に剥離、浮遊してオリフィスに詰まる。その結果、吐出不良となって印字品質の低下を引き起こしていた。
上記問題の解決策の一つとして、特許文献1が提案されている。この特許文献1に開示されたオリフィスプレート加工手順について、図8(a)〜(d)に基づいて説明する。
まず、図8(a)に示すように、予めエポキシ系の接合樹脂層101が保護膜として塗布されているポリイミド系のオリフィスプレート基材102に、エキシマレーザー光103を用いてオリフィス104を穿孔加工する。このとき、接合樹脂層101のレーザー照射側縁部及びオリフィス104のインク吐出面側縁部に、エキシマレーザー光103による穿孔加工で発生した副生成物105が付着する。
次に、図8(b)に示すように、イオンガンによるイオンブロー110によってエキシマレーザー加工で発生した副生成物105をできる限り除去する。しかし、このイオンブロー110では、副生成物105を完全には除去できないので、図8(c)に示すように、オリフィスプレート基材102のインク吐出面側にイオンミリング処理111を施す。なお、イオンミリング処理111の他にプラズマエッチング、逆スパッタも使用することができる。これにより、オリフィスプレート基材102上に強固に付着した副生成物105及び有機物層をさらに除去する。
次に、図8(d)に示すように、上記イオンミリング処理111したオリフィスプレート基材102のインク吐出面に、蒸着装置の電子ビームによる加熱蒸発を利用して、図示しないSiO2薄膜を形成した後その上にフッ素含有アミノシラン化合物からなる撥水膜106を形成する。
一方、特許文献2では、副生成物の除去方法として、オリフィスプレートに水溶性レジストを塗布形成し、オリフィス加工後にこの水溶性被膜をプラズマ処理等により除去するという方法が提案されている。
特開平9−136421号公報(1997年5月27日公開)
特許第3095795号公報(特開平4−279355号公報(1992年10月5日公開))
しかしながら、上記従来のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、以下のような課題が発生する。
まず、特許文献1のように、オリフィス104を加工する際において、オリフィスプレート基材102に付着した副生成物105を除去するためにインク吐出面側をイオンミリング処理111した後、撥水膜106を形成するという方法では、イオンミリング処理111の際にオリフィス104の付近に副生成物105が再付着することがある。したがって、オリフィスプレート基材102から副生成物105を完全に除去することは非常に困難であるといえる。すなわち、イオンミリング処理111の際には、オリフィス104の縁部分にイオンが集中して局所的な電場が発生する。このため、イオンミリング処理111によって引き剥がされた副生成物105が、この電場によってオリフィス104の周りに再度引き寄せられ、再付着するという現象が発生する。
また、条件によっては、イオンミリング処理111を施すことにより、オリフィスプレート基材102における撥水膜106の形成面に面粗さを発生させてしまう。この面粗さは20〜30nm程度になる。ここで、撥水膜106がその撥水性を維持するためには、スパッタや蒸着により撥水膜106を形成するプロセスにおいて、撥水膜106の厚さを5nm以下とすることが望ましい。その結果、撥水膜106をオリフィスプレート基材102に均一に厚さ5nm以下で形成するためには、オリフィスプレート基材102の面粗さを数nm以下にすることが必要条件となる。
しかしながら、上記のようなイオンミリング処理111を施してしまうと、この条件を満足することができないため、部分的に撥水性が維持できない箇所が発生し、インクジェットヘッドのワイプ特性を著しく悪化させてしまう。なお、ワイプ特性とは、インクジェット記録ヘッドにおいて、オリフィスの吐出面近傍に付着した乾燥インクを清掃するために拭取るときの拭取り性能をいう。
また、オリフィスプレート基材102と撥水膜106との密着性を上げるという目的で、特許文献1にも例示したように、オリフィスプレート基材102と撥水膜106との間にSiO2膜を形成することがある。しかしながら、SiO2膜の厚さが厚すぎると、撥水性を著しく悪化させてしまう。この理由は、SiO2膜の厚さが厚くなるとSiO2膜の面粗さが大きくなることにあると考えられる。
したがって、オリフィス104を穿孔加工するプロセスにおいて、所望のオリフィス104を穿孔加工するためには、SiO2膜の厚さを10nm以下とすることが望ましいが、この程度の膜厚ではイオンミリング処理111により発生する面粗さを吸収することができない。
一方、特許文献2に開示された、エキシマレーザー光を用いてオリフィスを加工する前に、オリフィスプレート基材に水溶性レジストを配置し、オリフィスを加工後、この水溶性レジストを除去するという方法についても、以下課題が発生する。
すなわち、オリフィスプレート基材に水溶性レジストを塗布した後、この水溶性レジストを熱硬化させる必要があるが、水溶性レジストの熱収縮率とオリフィスプレート基材の熱収縮率との差により、水溶性レジスト形成後のオリフィスプレート基材に反りが発生する。この状態でオリフィスプレート基材をステージに吸着させると、反っている水溶性レジストを強制的に水平状態に戻すので、水溶性レジスト側に亀裂が発生してしまい、レーザー加工特性に著しく悪影響を及ぼしてしまう。
さらに、インクジェットヘッド製造に関わるタクトに関しても問題がある。
例えば、特許文献1のように、レーザー加工後、インク吐出面をイオンミリング処理111するプロセスでは、オリフィスプレート基材102を真空チャンバ内にセットし、真空引きした後、イオンミリング処理111を行うという手順を踏むため、プロセスコストが増大するという課題がある。
一方、特許文献2のように、オリフィスプレート基材の両面又は片面に水溶性レジストを付与し、レーザー加工後に水溶性レジストを除去するというプロセスでは、各々の処理後にオリフィスプレート基材の付着物の洗浄を行う。また、洗浄後、ヘッド本体とオリフィスプレート基材とを貼り合せる工程に移る前に、オリフィスプレート基材と接着剤との親液性を高めるために、オリフィスプレート基材の接着面(インク吐出面とは反対側の面)をアッシング処理することが必要である。
上記のような洗浄工程及びアッシング工程は、インクジェットヘッドの量産ラインでは、タクトの無駄を発生させるだけでなく、歩留まりの低下も招くという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
上記説明したような従来技術のプロセス、及び生産性の課題を鑑み、本発明では、以下の手段を用いることにより、高品質のオリフィスを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現する方法を見出した。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、上記課題を解決するために、オリフィスプレート基材の表面に撥水膜を形成したオリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法において、上記オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含むことを特徴としている。
上記の発明によれば、撥水膜形成工程において、オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面に撥水膜を形成しておく。これにより、撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することによりオリフィスを形成するオリフィス形成工程において発生する副生成物は、インク吐出側面の撥水膜の表面に形成される。その結果、副生成物における撥水膜への付着力は、従来の副生成物におけるオリフィスプレート基材への付着力よりも小さいので、例えば市販の粘着テープにて容易に剥がすことができる。
また、従来では、撥水膜はオリフィス形成工程の後に形成されるものであったのを、本発明ではオリフィス形成工程よりも前に撥水膜を形成しただけであるので、工程の付加もない。
また、本発明によって製造されたオリフィスプレートは、インク吐出側面に副生成物が存在しないので、オリフィスプレートのインクに対する撥水性能が優れている。
したがって、オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、上記課題を解決するために、オリフィスプレート基材の表面に撥水膜を形成したオリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法において、上記オリフィスプレート基材の両面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、レーザー照射側面の上記撥水膜をプラズマ処理により除去する撥水膜除去工程と、上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含むことを特徴としている。
上記の発明によれば、撥水膜形成工程において、オリフィスプレート基材の両面に撥水膜を形成しておく。これにより、撥水膜を、オリフィスプレート基材にレーザー照射する際の保護膜として機能させることができる。
また、撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にレーザーを照射することによりオリフィスを形成するオリフィス形成工程において発生する副生成物は、レーザー照射側面の撥水膜の表面、及びインク吐出側面の撥水膜の表面に形成される。その結果、副生成物における撥水膜への付着力は、従来の副生成物におけるオリフィスプレート基材への付着力よりも小さいので、例えば市販の粘着テープにて容易に剥がすことができる。
また、従来では、撥水膜はオリフィス形成工程の後に形成されるものであったのを、本発明ではオリフィス形成工程よりも前に撥水膜を形成しただけであるので、工程の付加もない。
また、本発明によって製造されたオリフィスプレートは、インク吐出側面に副生成物が存在しないので、オリフィスプレートのインクに対する撥水性能が優れている。
したがって、オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することによりインク吐出面側の該撥水膜の表面に発生した副生成物を粘着テープにて除去する工程を含むことが好ましい。
すなわち、前述したように、インク吐出側面の撥水膜の表面に形成された副生成物における撥水膜への付着力は、従来の副生成物におけるオリフィスプレート基材への付着力よりも小さい。このため、例えば市販の粘着テープにて容易に剥がすことができる。したがって、粘着テープにて除去する工程を含むことによって、インク吐出側面の撥水膜の表面に形成された副生成物を、容易かつ確実に除去することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記撥水膜形成工程とオリフィス形成工程との間に、前記オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面の撥水膜上に粘着テープを貼着する粘着テープ貼着工程を含むことが好ましい。
上記の発明によれば、撥水膜形成工程とオリフィス形成工程との間に、オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面に撥水膜上に粘着テープを予め貼着しておく。
この結果、オリフィス形成工程において撥水膜と粘着テープとの間に発生する発生する副生成物を、この粘着テープを剥がすことにより、容易に除去することができる。
したがって、生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記撥水膜は、有機材料からなることが好ましい。
これにより、レーザー照射側面の撥水膜をプラズマ処理にてアッシング処理して、該撥水膜を除去することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記オリフィスプレート基材は、ポリイミドからなることが好ましい。
上記の発明によれば、オリフィスプレート基材はポリイミドからなるので、耐熱及び強度に優れているので、レーザーによるオリフィス形成工程を行うことができ、かつその際の熱変形も少ないオリフィスプレートを形成することができる。また、ポリイミドは、耐薬品性に優れているので、インクに対しても有効であり、インクジェット記録ヘッドのオリフィスとして好適に用いることができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記オリフィスプレート基材と前記撥水膜との間にSiO2膜を形成する工程を含むことが好ましい。
これにより、オリフィスプレート基材と撥水膜との密着性を高めることができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記レーザー照射側面の撥水膜の厚みを、2nm以上かつ150nm以下とすることが好ましい。
これにより、撥水膜の厚みを薄くして、撥水性能を高めることができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記オリフィスプレート基材と前記撥水膜との間にSiO2膜を形成する工程を含むと共に、前記レーザー照射側面に形成されるSiO2膜の厚みを、15nm以下とすることが好ましい。
上記の発明によれば、オリフィスプレート基材と前記撥水膜との間にSiO2膜を形成する工程を含むので、撥水膜の厚みを薄くして、撥水性能を高めることができる。また、レーザー照射側面に形成されるSiO2膜の厚みが15nmを越えると、レーザー加工条件によってはオリフィスに抜け残りが発生してしまう。
この点、レーザー照射側面に形成されるSiO2膜の厚みを、15nm以下とすることにより、レーザー加工に際してのオリフィスの抜け残りを防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記オリフィス形成工程において使用されるレーザーは、紫外光レーザーであることが好ましい。
これにより、例えば、ポリイミドからなるオリフィスプレート基材を容易に穿孔加工することができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記紫外光レーザーは、エキシマレーザーであることが好ましい。
すなわち、エキシマレーザーは、励起状態の原子と基底状態の原子とが結合してできる分子を用いたレーザーであるので、効率が高く、かつ波長が短く(ArFで193nm、KrFで248nmの紫外)、蓄積エネルギーが高いというメリットがある。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記撥水膜除去工程において、撥水膜を除去するためのプラズマ処理が、アッシングからなることが好ましい。
上記の発明によれば、プラズマ処理にてアッシングを行うことにより、撥水膜を除去できる。また、この撥水膜を除去することが、同時に、レーザー照射側に発生した副生成物を除去することになる。さらに、撥水膜の除去のためのアッシング処理と、接着剤との親液性を高めるためのアッシング処理とを同時に行うことができる。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法では、前記アッシング時間を5分以上とすることが好ましい。
これにより、撥水膜の接触角を10度以下にすることができる。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、以上のように、オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含む方法である。
それゆえ、撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程において発生する副生成物は、インク吐出側面の撥水膜の表面に形成される。その結果、副生成物における撥水膜への付着力は、従来の副生成物におけるオリフィスプレート基材への付着力よりも小さいので、例えば市販の粘着テープにて容易に剥がすことができる。
したがって、オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、以上のように、オリフィスプレート基材の両面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、レーザー照射側面の上記撥水膜をプラズマ処理により除去する撥水膜除去工程と、上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含む方法である。
それゆえ、撥水膜を、オリフィスプレート基材にレーザー照射する際の保護膜として機能させることができる。
また、撥水膜形成工程において、オリフィスプレート基材の両面に撥水膜を形成しておくので、オリフィスプレート基材にレーザーを照射することによりオリフィスを形成するオリフィス形成工程において発生する副生成物は、レーザー照射側面の撥水膜の上面、及びインク吐出側面の撥水膜の上面に形成される。その結果、副生成物における撥水膜への付着力は、従来の副生成物におけるオリフィスプレート基材への付着力よりも小さいので、例えば市販の粘着テープにて容易に剥がすことができる。
したがって、オリフィス形成工程において発生する副生成物を容易に除去することにより、高品質のオリフィスプレートを製造し、かつ生産性の高いプロセスを実現し得るインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供するという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図2は、本実施の形態のインジェット記録ヘッドを示す斜視図である。
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド10は、図2に示すように、ヘッド本体1にオリフィスプレート20が貼着されたものからなっている。ヘッド本体1にはインク流路2が形成されている一方、オリフィスプレート20にはオリフィス22が形成されている。このヘッド本体1のインク流路2とオリフィスプレート20のオリフィス22とは連通されるようになっている。
上記オリフィスプレート20は、図1(e)に示すように、インク吐出側である表面側に撥水膜23bが形成されている。
上記構成のインクジェット記録ヘッド10では、インクはインク流路2を通過し、このインク流路2に各々対応したオリフィスプレート20のオリフィス22から吐出される。
上記構成のオリフィスプレート20の製造方法を、図1(a)〜(e)に基づいて説明する。図1(a)〜(e)は、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド10の製造工程を示した図である。
まず、図1(a)に示すように、オリフィスプレート基材21の表面及び裏面の両方に撥水膜23a・23bを形成する。撥水膜23a・23bは、スパッタリング、蒸着により成膜することが可能であるが、本実施の形態では蒸着を用いた。なお、図には記載していないが、オリフィスプレート基材21とインク吐出側の撥水膜23bとの密着を高めるための密着層としてSiO2膜を配置することが可能である。このSiO2膜は、撥水膜23a・23bと同一真空中でスパッタリングにより成膜する。また、本実施の形態では、撥水膜23a・23bとして、ダイキン工業株式会社製の商品名「撥水剤オプツールDSX」を使用した。この撥水剤は、撥水油性が高く、水系インクの場合で静的接触角が70°程度、さらに動的接触角も20°程度の撥水面の傾きにより液滴が移動する。したがって、撥水膜23a・23bの撥水性能は高い。
また、本実施の形態では、オリフィスプレート基材21として宇部興産株式会社製ポリイミド材料である商品名「ユーピレックス」を用いた。
次に、オリフィスプレート20のレーザー加工工程を説明する。図1(b)は、オリフィスプレート基材21のレーザー加工工程を示した図である。
図1(b)に示すように、撥水膜23a・23bを形成したオリフィスプレート基材21に加工用レーザー24を照射し、オリフィス22を形成する。本実施の形態では、加工用レーザー24として、エキシマレーザー(波長248nm)を用いた。なお、加工用レーザー装置として、ラムダフィジック社製の商品名「NovaLine100」を用いた。また、レーザー励起ガスとして、ハロゲンガス(フッ素とNeの混合ガス、フッ素濃度5%)純度99.9%、Rareガス(Kr)純度99.995%、バッファーガス(Ne)99.995%、不活性ガス(He)純度99.995%を用いた。
本実施の形態におけるオリフィス22の穿孔加工では、レーザー照射面にフォーカスを合わせているため、加工が進むにつれて(加工用レーザー24がインク吐出側に向かうにつれて)レーザー強度が弱まる。このため、レーザー照射側での加工径が大きく、インク吐出側では加工径が小さいので、オリフィス22はテーパーのついた形状となる。
オリフィス22を穿孔加工したときには、図1(b)に示すように、オリフィスプレート基材21におけるレーザー照射側の撥水膜23aの表面、及びオリフィスプレート基材21におけるインク吐出側の撥水膜23bの表面には副生成物25が発生する。これら副生成物25は、例えば樹脂を加工した際には炭素を含んだ材料として析出するものであり、加工用レーザー24の照射側だけでなく、反対側であるインク吐出側にも形成される。
次いで、加工時に発生した副生成物を除去する工程を説明する。図2(c)は、撥水膜をアッシング処理することにより、加工時に発生した副生成物を除去する工程を示した図である。
本実施の形態では、図2(c)に示すように、オリフィス22を穿孔加工した後、レーザー照射面に酸素プラズマ26にてアッシング処理を施すことにより、レーザー照射面上の撥水膜23aと、オリフィス22を加工したときに発生する副生成物25とを一緒に除去する。なお、アッシング処理とは、有機物に酸素を加えることにより、この有機物を二酸化炭素(CO2)にして排出する処理をいう。
このように、予めオリフィスプレート基材21の両面に撥水膜23a・23bを形成しておき、オリフィス22の加工後、レーザー照射側の撥水膜23aを酸素プラズマ26によるプラズマ処理により除去する。これにより、図1(d)に示すように、オリフィス22の加工時においてレーザー照射面に発生した副生成物25も除去することができる。
ここで、図1(d)に示すように、インク吐出側面にはオリフィス加工時に発生した副生成物25が付着している。
しかしながら、この副生成物25は、撥水膜23b上に付着しているので、比較的粘着性の弱いテープを用いることにより、図1(e)に示すように、容易に除去できる。
次に、上記の工程をフローチャートにて説明する。図3は、オリフィスプレート20への撥水膜23a・23bの成膜からオリフィスプレート20とヘッド本体1との貼り合せまでの、一連の流れを示したフローチャートである。
図3に示すように、まず、オリフィスプレート基材21の両面に撥水膜23a・23bを形成した後(S1)、オリフィスプレート20にオリフィス22を加工する(S2)。次いで、レーザー照射側の撥水膜23aと共に副生成物25を除去し(S3)、洗浄を実施し(S4)する。次いで、オリフィスプレート20の、ヘッド本体1との貼り合せ面をアッシング処理した後(S5)、両者の貼り合せを行う(S6)。
上記工程の場合、洗浄及びアッシングを実施する必要があり、従来技術と殆ど変わらない。しかし、オリフィスプレート20のレーザー照射側に撥水膜23aを配置していることにより、撥水膜23a・23bを配置しない場合に比べて、オリフィス加工時に発生する副生成物25の、オリフィスプレート20に対する密着力が弱くなる。この結果、後工程での洗浄が容易となる。
さらに、本発明者らは鋭意努力の結果、図4に示すように、従来工程を大幅に削減できる方法を見出した。
すなわち、図4に示すように、オリフィスプレート基材21へのレーザー加工によるオリフィス22の形成後(S2)、撥水膜23aの除去のためアッシング処理と、接着剤との親液性を高めるためのアッシング処理とを同時に実施するというものである(S13)。
上記の方法の詳細について、図5、図6を用いて説明する。図5は、ポリイミド上に成膜した撥水膜(前記商品名「オプツールDSX」)の接触角が、アッシング時間によりどのように変化するかを示した図である。
ここで、アッシング前の商品名「オプツールDSX」の撥水膜の膜厚は2.4nm、撥水膜とポリイミドと間の密着層(SiO2膜)の厚みは10nmである。アッシング条件としては、Power:100W、プロセスガスはAirであった。また、接触角は、協和化学(製)接触角計(商品名「CA−S150」)を用い、蒸留水による計測を実施した。
その結果、図5に示すように、アッシング処理時間が5分以上の場合は、接触角の変化が無いことから、ポリイミド上に形成されたオプツールが完全に除去されたことが分かる。
一方、図6は、5分間のアッシング処理を実施した後、ポリイミドを大気中に放置し、接触角がどのように変化するかを示した図である。
前述したように、オリフィスプレート20とヘッド本体1との接着を行う前に、オリフィスプレート20の接着側を親水化処理する必要があるが、接着工程の所要時間を考慮すると、親水化の条件としては、接触角10°以下、親水化保持時間200h以上が必要である。図6に示すように、5分間のアッシング処理を実施した後、ポリイミドを大気中に放置した場合でも、220時間もの間、接触角10°を保持できることが分かった。
図5及び図6の結果、レーザー加工後のポリイミド上に5分間のアッシング処理を行うことによって、撥水膜23aの除去、及び接着剤との親液性を高めるための処理とを同時に行うことが可能であることが分かった。
また、上記の結果は、ポリイミド膜全域に対して同様であることを確認しており、洗浄の必要性も無いことが分かった。
なお、本実施の形態では、アッシング中のインク吐出側の撥水膜23bの保護方法については、特に前記方法に限定するものではなく、酸素プラズマの回り込みを防ぐ方法であればいかなる手段を用いても良い。
また、上記プロセスは、クリーンルーム等の清浄雰囲気中で実施されるものとする。
次に、撥水膜23bの最適厚み、及びオリフィスプレート20と撥水膜の密着性を高めるための密着層の最適厚みについて説明する。
本実施の形態では、撥水膜23a・23bとして商品名「オプツールDSX」を用いると共に、密着層としてSiO2膜を用いることとする。
上記撥水膜23a・23bである商品名「オプツールDSX」、及び密着層であるSiO2膜は、同一真空中にて成膜される。製造手順としては、まず、オリフィスプレート基材21であるポリイミド膜をSiO2ターゲットの設置されたチャンバ内に投入し、SiO2膜を成膜する。次に、商品名「オプツールDSX」をフッ素系溶媒によって希釈した溶液をチャンバ内に流入させ、蒸着処理にて密着層の上に撥水膜23a・23bを成膜する。このとき、撥水膜23a・23bの膜厚は投入された液量によって管理される。そのときの成膜温度は、80℃から室温(約20℃)の間でも十分であり、オリフィスプレート基材21に対し熱を付加することは少ない。このため、オリフィス22を形成するためのレーザー加工時において、オリフィスプレート基材21や密着層との間で撥水膜23a・23bの膜剥がれや浮き上がりを引き起こすような熱応力は内在しない。
本実施の形態では、オリフィスプレート基材21と撥水膜23a・23bとの密着性を向上させる目的で密着層を形成している。しかし、必ずしもこれに限らず、オリフィスプレート基材21のレーザー照射側に配置された撥水膜23aは、最終的に除去することを目的としているため、それほど強い密着性を求められるものではない。
上記理由から、生産タクトの短縮を目的として、オリフィスプレート20のレーザー照射側に密着層を設けなかったとしてもさほど問題にはならない。ただし、密着層を設ける場合には、密着層の厚さを15nm〜30nmの範囲に厚くすると、オリフィスプレート20をレーザー加工した際、レーザー加工条件によってはオリフィス22に抜け残りが発生してしまう。例えば、オリフィス形状を小型化したり、オリフィス22のインク流入側とオリフィス22のインク吐出側との孔径比率を大きくしたい場合に、レーザーのショット数を少なくしたり、レーザーの出力エネルギーを落として加工することがある。しかし、前記条件で加工を行うと、オリフィス22の加工残りが顕著に現れる。したがって、様々なレーザー加工条件において、均一で安定的なオリフィスを形成するためには、密着層厚みは、15nm以下の範囲とすることが望ましい。
なお、密着層にレーザー波長を吸収するタンタル等の金属膜を用いると、レーザー加工時に金属膜が熱を持つので、撥水膜23a・23bにダメージを与えることが実験結果により判明した。したがって、密着層はレーザー加工時に熱を吸収しない無機の酸化物であるシリコン酸化物であるSiO2が適している。
一方、撥水膜23a・23bの厚さに関しては、2nmよりも薄い1.8nmの場合、蒸着処理によって被膜化される際のチャンバ内での膜厚ばらつきによって、撥水膜23a・23bの一部がオリフィスプレート基材21上の密着層と結合していない部分が発生してしまう。上記理由から、撥水膜の厚みは2nm以上であることが望ましい。
また、撥水膜の厚みが4nmを越える膜厚の場合は、密着層と結合するための親水基が余ってしまい、余剰分が撥水膜上に出てきて撥水性を低下させる場合がある。上記理由から、特に撥水性を必要とするインク吐出側の、さらに好ましい撥水膜の厚みは、2nm以上、4nm以下である。
これに対して、レーザー照射側に成膜される撥水膜の厚みとしては、除去可能な範囲であれば問題ない。
ただし、オリフィス加工したオリフィスプレート20を、本実施の形態に基づく条件でアッシング処理したところ、アッシング処理時間5min以上ではオリフィス径が大きくなるという結果を得ている。オリフィス径の変化はインク吐出体積に影響するため、アッシング処理時間は5min以内であることが条件となる。
一方、本実施の形態に基づく条件でアッシング処理を行った場合の、撥水膜(オプツールDSX)のエッチングレートが30nm/minである点を考慮すると、撥水膜23a・23bの厚みとしては150nm以下であることが望ましい。
このように、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド10の製造方法では、オリフィスプレート基材21の表面に撥水膜23a・23bを有するインクジェット記録ヘッド10の製造方法であって、オリフィスプレート基材21の両面に、スパッタや蒸着により撥水膜23a・23bを形成する工程と、オリフィスプレート基材21にパルスレーザーを照射してオリフィス22を形成する工程と、オリフィスプレート基材21のレーザー照射側をプラズマ処理する工程と、プラズマ処理された面とヘッド本体1とを接着層を介して貼り合せる工程とを備える。
したがって、オリフィスプレート基材21のレーザー加工を実施する前に、オリフィスプレート基材21の両面に、スパッタや蒸着により撥水膜を形成することにより、従来に比べ高品質のオリフィスを製造することが可能となる。
また、オリフィスプレート基材21のレーザー照射側をプラズマ処理する工程が、撥水膜23a・23b及びオリフィス加工時に発生する副生成物を除去すると共に、オリフィスプレート20とヘッド本体1を貼り合せる際の、オリフィスプレート20の接着剤への親水化処理を実施することを同時処理することになる。
この結果、従来に比べ、生産性の高いプロセスを実現することが可能となる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録ヘッドの製造方法は、前記実施の形態1のインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録ヘッドの製造方法の構成に加えて、加工前にインク吐出面側に保護テープを貼り、オリフィス加工後に前記保護テープを剥がすことにより、前記インク吐出側に形成された副生成物を除去するという方法を用いている。
上記構成のオリフィスプレート20の製造方法を、図7(a)〜(e)に基づいて説明する。図7(a)〜(e)は、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド10の製造プロセスを示した図である。
まず、図7(a)に示すように、オリフィスプレート基材21の表面及び裏面の両方に撥水膜23a・23bを形成する。この工程は、図1(a)と同じであるので、説明を省略する。
次いで、本実施の形態では、図7(b)に示すように、オリフィスプレート20のインク吐出面側に粘着性を有する保護テープ31を貼着する。この保護テープ31は、比較的粘着性の弱いテープで足りる。なお、保護テープ31は、耐熱性を有することが好ましい。
その後、図7(c)に示すように、撥水膜23a・23b及び保護テープ31を形成したオリフィスプレート基材21に加工用レーザー24を照射し、オリフィス22を形成する。加工用レーザー24としては、実施の形態1と同様のエキシマレーザー(波長248nm)を用いた。また、レーザー励起ガスとして、ハロゲンガス(フッ素とNeの混合ガス、フッ素濃度5%)純度99.9%、Rareガス(Kr)純度99.995%、バッファーガス(Ne)99.995%、不活性ガス(He)純度99.995%を用いた。
オリフィス22を加工したときには、図7(c)に示すように、オリフィスプレート基材21におけるレーザー照射側の撥水膜23aの表面、及びオリフィスプレート基材21におけるインク吐出側の撥水膜23bの表面に副生成物25が発生する。すなわち、インク吐出面側における撥水膜23bと保護テープ31との間に副生成物25が発生する。
しかしながら、この副生成物25は、撥水膜23b上に付着しているので、保護テープ31を剥がすことにより、図7(d)に示すように、容易に除去できる。
次いで、実施の形態1と同様に、図7(d)に示すように、オリフィス22を加工した後、レーザー照射面に酸素プラズマ26にてアッシング処理を施すことにより、レーザー照射面上の撥水膜23aと、オリフィス22を加工したときに発生する副生成物25とを一緒に除去する。これにより、図7(e)に示すように、オリフィスプレート基材21のインク吐出面側に撥水膜23bを有するオリフィスプレート20が完成する。
その後、実施の形態1と同様に、このオリフィスプレート20をヘッド本体1に貼り合わせることにより、インクジェット記録ヘッド10が完成する。
なお、本実施の形態においては、オリフィスプレート20のインク吐出面側に保護テープ31を貼着しているが、保護方法に関しては特にこの方法に限定するものではなく、酸素プラズマ26の回り込みを防ぐ機能を有する方法だけのものであってもよい。そして、その方法は、いかなる手段を用いても良い。
また、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態1及び実施の形態2では、撥水膜形成工程においては、オリフィスプレート基材21の両面に撥水膜23a・23bを形成したが、本発明においては、必ずしもこれに限らず、例えば、インク吐出側面にのみ撥水膜23bを形成することが可能である。
これによって、少なくとも従来に比べて、レーザー加工工程においてインク吐出側面に発生する副生成物25は、撥水膜23b上に形成されるので、この副生成物25は粘着性を有する粘着テープ又は保護テープ31によって容易に除去することができる。
本発明は、オリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法に適用できる。
1 ヘッド本体
2 インク流路
10 インクジェット記録ヘッド
20 オリフィスプレート
21 オリフィスプレート基材
22 オリフィス
23a・23b 撥水膜
24 加工用レーザー
25 副生成物
26 酸素プラズマ
31 保護テープ
2 インク流路
10 インクジェット記録ヘッド
20 オリフィスプレート
21 オリフィスプレート基材
22 オリフィス
23a・23b 撥水膜
24 加工用レーザー
25 副生成物
26 酸素プラズマ
31 保護テープ
Claims (13)
- オリフィスプレート基材の表面に撥水膜を形成したオリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
上記オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、
上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、
上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。 - オリフィスプレート基材の表面に撥水膜を形成したオリフィスプレートをヘッド本体に貼着したインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
上記オリフィスプレート基材の両面に撥水膜を形成する撥水膜形成工程と、
上記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することにより、該撥水膜を形成したオリフィスプレート基材にオリフィスを形成するオリフィス形成工程と、
レーザー照射側面の上記撥水膜をプラズマ処理により除去する撥水膜除去工程と、
上記オリフィスを形成したオリフィスプレートのヘッド本体側面をヘッド本体に貼着する貼着工程とをこの順に含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。 - 前記撥水膜を形成したオリフィスプレート基材のヘッド本体側面にレーザーを照射することによりインク吐出面側の該撥水膜の表面に発生した副生成物を粘着テープにて除去する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記撥水膜形成工程とオリフィス形成工程との間に、前記オリフィスプレート基材の少なくともインク吐出側面の撥水膜上に粘着テープを貼着する粘着テープ貼着工程を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記撥水膜は、有機材料からなることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記オリフィスプレート基材は、ポリイミドからなることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記オリフィスプレート基材と前記撥水膜との間にSiO2膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記レーザー照射側面の撥水膜の厚みを、2nm以上かつ150nm以下とすることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記オリフィスプレート基材と前記撥水膜との間にSiO2膜を形成する工程を含むと共に、
前記レーザー照射側面に形成されるSiO2膜の厚みを、15nm以下とすることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。 - 前記オリフィス形成工程において使用されるレーザーは、紫外光レーザーであることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記紫外光レーザーは、エキシマレーザーであることを特徴とする請求項10記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記撥水膜除去工程において、撥水膜を除去するためのプラズマ処理が、アッシングからなることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
- 前記アッシング時間を5分以上とすることを特徴とする請求項12記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
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JP2005366930A JP2007168193A (ja) | 2005-12-20 | 2005-12-20 | インクジェット記録ヘッドの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015150768A (ja) * | 2014-02-14 | 2015-08-24 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド及びその製造方法、並びに画像形成装置 |
JP2019014189A (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-31 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェットヘッドの製造方法 |
-
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- 2005-12-20 JP JP2005366930A patent/JP2007168193A/ja active Pending
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