JP2008024800A - 炭素繊維複合材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマー30を100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブ40を8〜40重量部含む。本発明の炭素繊維複合材料は、23℃における破断伸び(EB)が40%以上であり、30℃における動的弾性率(E’/30℃)が30MPa以上であり、250℃における動的弾性率(E’/250℃)が15MPa以上である。
【選択図】図1
Description
含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
23℃における破断伸び(EB)が40%以上であり、
30℃における動的弾性率(E’/30℃)が30MPa以上であり、
250℃における動的弾性率(E’/250℃)が15MPa以上である。
引張強さが10MPa以上であることができる。
含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
250℃で250KPaの負荷をかけたクリープ試験におけるクリープ瞬間ひずみが3%以下であり、かつ、定常クリープ期の1時間当たりのクリープ率が±300ppm以内である。
含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
23℃における破断伸び(EB)が40%以上であり、
30℃における動的弾性率(E’/30℃)が30MPa以上であり、
250℃における動的弾性率(E’/250℃)が15MPa以上であり、
250℃で250KPaの負荷をかけたクリープ試験におけるクリープ瞬間ひずみが3%以下であり、かつ、定常クリープ期の1時間当たりのクリープ率が±300ppm以内である。
前記クリープ試験で60時間破壊しないことができる。
前記カーボンナノチューブは、2層カーボンナノチューブであることができる。
前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであることができる。
本実施の形態に用いられる含フッ素エラストマー(FKM)は、分子中にフッ素原子を含む合成ゴムであり、フッ素ゴムとも呼ばれ、例えば、含フッ素アクリレートの重合体、フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(TFE−P)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(TFE−PMVE)、含フッ素ホスファゼン系、含フッ素シリコーン系などがある。含フッ素エラストマーは、分子量が好ましくは50,000ないし300,000である。含フッ素エラストマーの分子量がこの範囲であると、含フッ素エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、含フッ素エラストマーはカーボンナノチューブを分散させるために良好な弾性を有している。含フッ素エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノチューブの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノチューブ同士を分離することができる。含フッ素エラストマーの分子量が50,000より小さいと、含フッ素エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノチューブを分散させる効果が小さくなる。また、含フッ素エラストマーの分子量が300,000より大きいと、含フッ素エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
カーボンナノチューブは、平均直径が0.7〜30nmのいわゆるカーボンナノチューブ(CNT)であり、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いた単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ:SWNT)と、2層に巻いた2層カーボンナノチューブ(ダブルウォールカーボンナノチューブ:DWNT)と、3層以上に巻いた多層カーボンナノチューブ(マルチウォールカーボンナノチューブ:MWNT)と、を用いることができる。カーボンナノチューブとしては、気相成長炭素繊維(VGCF:昭和電工社の登録商標)が有名であるが、剛直であまり屈曲していないため、高温特性が異なるため本実施の形態に用いるカーボンナノチューブはこれを含まない。
本実施の形態では、炭素繊維複合材料を得る工程として、図1を用いてロール間隔が0.5mm以下の薄通しを行なうオープンロール法を用いた例について述べる。なお、以下の説明において、単に「カーボンナノチューブ」と記載した場合は、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブあるいは多層カーボンナノチューブであってもよく、複数種類のカーボンナノチューブの混合物であってもよい。
図2は、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料を模式的に示す拡大断面図である。本工程によって得られた本実施の形態の炭素繊維複合材料1は、基材(マトリックス)である含フッ素エラストマー30にカーボンナノチューブ40が均一に分散されている。カーボンナノチューブ40の周囲には、カーボンナノチューブ40の表面に吸着した含フッ素エラストマー30の分子の凝集体と考えられる界面相36が形成される。界面相36は、例えば含フッ素エラストマーとカーボンブラックとを混練した際にカーボンブラックの周囲に形成されるバウンドラバーに類似するものと考えられる。このような界面相36は、カーボンナノチューブ40を被覆して保護し、炭素繊維複合材料中におけるカーボンナノチューブの量が増えるにつれて界面相36同士が連鎖して微小なセル34を形成する。しかも、炭素繊維複合材料1中におけるカーボンナノチューブ40が最適割合にあると、連鎖した界面相36によって炭素繊維複合材料1のセル34内への酸素の浸入が減少し、250℃という高温においても熱劣化し難くなり、高い弾性率を維持することができる。また、炭素繊維複合材料1は、一般的な含フッ素エラストマーの使用限界温度である250℃においてもクリープ瞬間ひずみが小さく、かつ、定常クリープにおける低クリープ率を維持し、高耐熱性を有することができる。
(1)サンプルの作製
(a)炭素繊維複合材料の作製
第1の工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す100重量部(phr)の含フッ素エラストマーを投入して、ロールに巻き付かせた。
第2の工程:次に、表1に示す重量部(phr)のカーボンナノチューブ(表1では「MWNT」、「DWNT」と記載する)及び架橋剤としての受酸剤2種類(MgO、Ca(OH)2)をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
第3の工程:カーボンナノチューブを投入し終わったら、エラストマーとカーボンナノチューブとの混合物をロールから取り出した。
第4の工程:ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
第5の工程:ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした炭素繊維複合材料を投入し、分出しした。
なお、表1における「MWNT」は平均直径13nmのILJIN社製多層カーボンナノチューブであり、「DWNT」は平均直径3nmのShenzhen Nanotech Port社製2層カーボンナノチューブであった。表1における「含フッ素エラストマー」がデュポン・ダウ・エラストマー・ジャパン社製の含フッ素エラストマーのバイトン(分子量50,000、T2n(30℃)49μ秒)であった。
このようにして得られた炭素繊維複合材料をロールで圧延後、185℃10分間プレス成形(キュア)した後、さらに200℃8時間ポストキュアして、実施例1〜3及び比較例1〜4の架橋体の炭素繊維複合材料(厚さ1mmのシート形状)を得た。また、比較例4は、現行のEPDMをマトリックスとするピストンシール部材を用いた。
実施例1〜3及び比較例1〜4の炭素繊維複合材料の試料について、引張強さ(TB:単位MPa)および切断伸び(EB:単位%)を測定した。TB及びEBについては、JIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4の炭素繊維複合材料の試料について、30℃及び250℃におけるE’(動的弾性率:単位はMPa)をSII社製の動的粘弾性測定装置によって測定した。E’については、JIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4の炭素繊維複合材料の試料について、250℃で250KPaの負荷をかけ、60時間の耐熱クリープ試験を行ない、クリープ瞬間ひずみと、定常クリープ期の1時間当たりのクリープ率と、を測定した。クリープ瞬間ひずみは、250KPaの負荷をかけた瞬間の伸びである。クリープ率は、クリープ瞬間ひずみの後かつ加速クリープ期の前の定常クリープ期における1時間当たりのひずみ変化量(1ppm=0.0001%)である。これらの結果を表1に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜4の炭素繊維複合材料の試料を250℃の車両用ブレーキ液中で4時間浸漬し、各試料の体積変化率(%)を測定した。これらの結果を表1に示す。
10 第1のロール
20 第2のロール
30 含フッ素エラストマー
34 セル
36 界面相
40 カーボンナノチューブ
Claims (7)
- 含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
23℃における破断伸び(EB)が40%以上であり、
30℃における動的弾性率(E’/30℃)が30MPa以上であり、
250℃における動的弾性率(E’/250℃)が15MPa以上である、炭素繊維複合材料。 - 請求項1において、
引張強さが10MPa以上である、炭素繊維複合材料。 - 含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
250℃で250KPaの負荷をかけたクリープ試験におけるクリープ瞬間ひずみが3%以下であり、かつ、定常クリープ期の1時間当たりのクリープ率が±300ppm以内である、炭素繊維複合材料。 - 含フッ素エラストマー100重量部に対して、平均直径が0.7〜30nmのカーボンナノチューブを8〜40重量部含み、
23℃における破断伸び(EB)が40%以上であり、
30℃における動的弾性率(E’/30℃)が30MPa以上であり、
250℃における動的弾性率(E’/250℃)が15MPa以上であり、
250℃で250KPaの負荷をかけたクリープ試験におけるクリープ瞬間ひずみが3%以下であり、かつ、定常クリープ期の1時間当たりのクリープ率が±300ppm以内である、炭素繊維複合材料。 - 請求項3または4において、
前記クリープ試験で60時間破壊しない、炭素繊維複合材料。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記カーボンナノチューブは、2層カーボンナノチューブである、炭素繊維複合材料。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブである、炭素繊維複合材料。
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