JP4224500B2 - 炭素繊維複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭素繊維複合材料及びその製造方法に関する。
一般に、複合材料としては、マトリクス材料と強化繊維もしくは強化粒子を組み合わせて用途に応じた物理的性質を付与していた。特に、半導体製造機器、光学機器、超微細化加工機器などの分野では、部品の熱膨張による影響を低減することが求められており、そのため、種々の強化繊維例えば炭素繊維による複合材料が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、エラストマーは、複数の温度条件において線膨張係数が大きく変化し、特に比較的低い温度で分子鎖の切断による熱劣化が始まるため、その温度付近において急激に線膨張係数が高くなる。そのため、エラストマー系のマトリクスを用いた複合材料において、広い温度範囲で低く安定した線膨張係数を有した複合材料は提案されていなかった。
また、本発明者等が先に提案した複合材料として、エラストマーにカーボンナノファイバーを均一に分散させた炭素繊維複合材料がある(例えば、特許文献2参照)。このような炭素繊維複合材料は、エラストマーとカーボンナノファイバーを混練することで、凝集性の強いカーボンナノファイバーの分散性を向上させている。
国際公開00/64668号パンフレット 特開2005−68386号公報
そこで、本発明の目的は、カーボンナノファイバーが分散された炭素繊維複合材料であって、広い温度範囲において熱膨張が小さくかつ柔軟性もある炭素繊維複合材料及びその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、
第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む複合エラストマーからなる連続相と、
前記連続相中に分散された第2のエラストマーと、を含み、
前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、
30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が1〜200MPaであり、
−80℃〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が150ppm(1/K)以下である
本発明にかかる炭素繊維複合材料によれば、非常に細いカーボンナノファイバーを用いて補強することによって、マトリクス相である連続相の線膨張係数が広い温度範囲で安定し、炭素繊維複合材料の線膨張係数も広い温度範囲で安定することができる。また、連続相中に分散した第2のエラストマーによって貯蔵弾性率を下げることで、炭素繊維複合材料に柔軟性を与えることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、
1のエラストマーに、カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
前記複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を混練して炭素繊維複合材料を得る工程(b)と、を含み、
前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、
前記工程(a)は、ロール温度が0ないし50℃、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて前記第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法によれば、複合エラストマーによって線膨張係数が広い温度範囲で安定することで、広い温度範囲で線膨張係数が安定した炭素繊維複合材料を得ることができる。また、第2のエラストマーによって貯蔵弾性率を下げることで、炭素繊維複合材料に柔軟性を与えることができる。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、第1のエラストマーを含む連続相もしくは第1の連続相が無架橋体とすることができる。マトリクスの第1のエラストマーを大量のカーボンナノファイバーで補強するため、無架橋体であっても架橋体とほとんど変わらず広い温度範囲における低く安定した線膨張係数の炭素繊維複合材料となる。
本発明における第1のエラストマー及び第2のエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。原料エラストマーとしては、ゴム系エラストマーの場合、未架橋体を用いることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明にかかる炭素繊維複合材料は、第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む複合エラストマーからなる連続相と、前記連続相中に分散された第2のエラストマーと、を含み、前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が1〜200MPaであり、−80℃〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が150ppm(1/K)以下である
本発明にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、1のエラストマーに、カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、前記複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を混練して炭素繊維複合材料を得る工程(b)と、を含み、前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、前記工程(a)は、ロール温度が0ないし50℃、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて前記第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる
(I)まず、第1のエラストマー及び第2のエラストマーについて説明する。
(第1のエラストマー)
第1のエラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。第1のエラストマーの分子量がこの範囲であると、第1のエラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、第1のエラストマーは、カーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。第1のエラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノファイバー同士を分離することができる。第1のエラストマーの分子量が5000より小さいと、第1のエラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、第1のエラストマーの分子量が500万より大きいと、第1のエラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
第1のエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、第1のエラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノファイバーを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、第1のエストラマーは粘性を有しているので、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、第1のエラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバーの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、第1のエラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、第1のエラストマーが液体のように流れやすく、弾性が小さいため、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法により第1のエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、第1のエラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、第1のエラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる第1のエラストマーは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
第1のエラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーの末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合及び官能基から選択される少なくともひとつであることができる。このような官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などがある。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、第1のエラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、第1のエラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混練する際に、第1のエラストマーの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、カーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、カーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
第1のエラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などの第1のエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性第1のエラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、第1のエラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高い第1のエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低い第1のエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。
本実施の形態の第1のエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。また、ゴム系エラストマーの場合、第1のエラストマーは架橋体あるいは未架橋体のいずれであってもよいが、未架橋体を用いることが好ましい。
(第2のエラストマー)
第2のエラストマーは、炭素繊維複合材料に柔軟性やゴム弾性を与えるものであって、複合エラストマーよりも柔軟性やゴム弾性に優れるエラストマーであれば、適宜選択することができる。したがって、第2のエラストマーは、ゴム系エラストマーあるいは熱可塑性エラストマーのいずれであってもよい。例えば、第2のエラストマーとしては、第1のエラストマーの説明で例示した種類のエラストマーから選択することができる。第2のエラストマーは、第1のエラストマーと同じエラストマーを選択してもよいが、違うエラストマーを選択してもよい。また、第2のエラストマーは、複数のエラストマーを混合したブレンドゴム材料でもよい。
(II)次に、カーボンナノファイバーについて説明する。
カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmであることが好ましい。カーボンナノファイバーの平均直径が0.7nmより細いと混練時にダメージを受け易く、平均直径が15nmより太いと補強効果に劣る。特に、カーボンナノファイバーの平均直径が15nmより太くなると、カーボンナノファイバーによるエラストマーの閉じ込め効果が得られにくくなると考えられる。閉じ込め効果については、後述する。カーボンナノファイバーの平均長さが0.5μmより短いと補強効果に劣り、平均長さが100μmより長いと混練が難しくなる。
また、カーボンナノファイバーは、アスペクト比が50以上が好ましく、さらに好ましくはアスペクト比が100〜2万である。アスペクト比が50未満であると、粒子のようにエラストマーを閉じ込める効果が得られず、複合エラストマーは例えば300℃以下において流動や熱劣化が生じることがある。
複合エラストマーにおけるカーボンナノファイバーの配合量は、15〜50体積%である。カーボンナノファイバーの配合量が15体積%未満だとカーボンナノファイバーによるエラストマーの閉じ込め効果が得られにくくなり、50体積%を超えると混練が難しくなる。なお、複合エラストマーに他の配合剤、例えばカーボンブラックや繊維などの補強剤を所定量加えることで、カーボンナノファイバーの配合量を15体積%未満としても他の配合剤と協働して閉じ込め効果を得ることができる。他の配合剤については、後述する。
このように非常に細いカーボンナノファイバーを大量に用いて補強することによって、広い温度範囲で低い線膨張係数で安定化することができる。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行なうことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行ない、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行なうことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
カーボンナノファイバーに加えて他の補強剤を第1のエラストマーに配合することができる。その場合、他の補強剤としては、カーボンブラックもしくは繊維が好ましい。
カーボンブラックは、種々の原材料を用いた種々のグレードのカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは、その基本構成粒子(いわゆる一次粒子)が融着して連結したアグリゲート(いわゆる二次凝集体)が発達した比較的高いストラクチャーを有するものが好ましい。カーボンブラックは、基本構成粒子の平均粒径が10〜100nmであって、DBP吸収量が100ml/100g以上であることが好ましく、さらに好ましくは、平均粒径が10〜40nmであって、DBP吸収量が110〜500ml/100gである。カーボンブラックの平均粒径が10nm未満だと加工(混練)が困難であり、平均粒径が100nmより太いと補強効果が劣る。カーボンブラックは、アグリゲートが発達したストラクチャーの高低によって補強効果が影響を受けるため、DBP吸収量が100cm/100g以上とすると補強効果が大きい。このようなカーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック、SAF、SAF−HS、ISAF、ISAF−HS、HAF、HAF−HS、FEF、FEF−HS、SRF−HSなどのカーボンブラックを用いることができる。
また、繊維は、しなやかで屈曲性に優れ、平均直径が1〜100μmかつアスペクト比が50〜500であるものが好ましい。繊維の平均直径が1μm未満だと加工(混練)が困難であり、平均直径が100μmより太いと補強効果が劣る。繊維としては、例えば、天然繊維、金属繊維、合成繊維またはこれらの繊維の混合物を用いることができる。天然繊維としては、例えば、綿、麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維を適宜選択して用いることができる。金属繊維としては、例えば、ステンレス繊維、銅繊維などを適宜選択して用いることができる。合成繊維としては、例えば、脂肪族ポリアミド系の繊維を用いることができる。なお、ポリエステル系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、セラミックス繊維などは剛直であり、屈曲性がないので適当ではない。
本実施の形態では、上述したように、まず工程(a)で第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを分散させた複合エラストマーを得て、次に工程(b)で複合エラストマーと第2のエラストマーとを混練して炭素繊維複合材料を得る。以下、この工程に沿って説明する。
(III)第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)について説明する。
本実施の形態では、工程(a)として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば1.5mmの間隔で配置されている。第1および第2のロールは、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。
まず、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第2のロール20に、第1のエラストマー30を巻き付けると、ロール10,20間に第1のエラストマー30がたまった、いわゆるバンク32が形成される。このバンク32内にカーボンナノファイバー40を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーの混合物が得られる。この混合物をオープンロールから取り出す。さらに、第1のロール10と第2のロール20の間隔dを、0.5mm以下、より好ましくは0.1ないし0.5mmの間隔に設定し、得られた第1のエラストマーとカーボンナノファイバーの混合物をオープンロールに投入して薄通しを行ない、複合エラストマーを得る。薄通しの回数は、例えば10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることが好ましく、さらに1.05ないし1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このようにして得られた剪断力により、第1のエラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー40が第1のエラストマー分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、第1のエラストマー30に分散される。
また、この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとの混合は、0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。なお、第1のエラストマーとしてEPDMを用いた場合には、2段階の混練工程を行なうことが望ましく、第1の混練工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、EPDMとカーボンナノファイバーとの混合は、第2の混練工程より50〜100℃低い第1の温度で行なわれる。第1の温度は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の第1の温度である。ロールの第2の温度は、50〜150℃の比較的高い温度に設定することでカーボンナノファイバーの分散性を向上させることができる。
また、この工程では、剪断力によって剪断された第1のエラストマーにフリーラジカルが生成され、そのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃することで、カーボンナノファイバーの表面は活性化される。例えば、第1のエラストマーに天然ゴム(NR)を用いた場合には、各天然ゴム(NR)分子はロールによって混練される間に切断され、オープンロールへ投入する前よりも小さな分子量になる。このように切断された天然ゴム(NR)分子にはラジカルが生成しており、混練の間にラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃するので、カーボンナノファイバーの表面が活性化する。
このとき、本実施の形態にかかる第1のエラストマーは、上述した特徴、すなわち、第1のエラストマーの分子形態(分子長)や、分子運動によって表される弾性と、粘性と、特にカーボンナノファイバーとの化学的相互作用などの特徴と、を有することによってカーボンナノファイバーの分散を容易にするので、カーボンナノファイバーの分散性および分散安定性(一端分散したカーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合エラストマーを得ることができる。より具体的には、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有する第1のエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、第1のエラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、第1のエラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性による第1のエストラマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、第1のエラストマー中に分散されることになる。本実施の形態によれば、混合物が狭いロール間から押し出された際に、第1のエラストマーの弾性による復元力で混合物はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した混合物をさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーを第1のエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、第1のエラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
カーボンナノファイバーが第1のエラストマー中に均一に分散するためには、複合エラストマー中にカーボンナノファイバーを15体積%以上含むことで均一に分散することができる。このことは、例えば、複合エラストマー中に分散されたカーボンナノファイバー同士の隣接距離を任意の面で測定し、その値が正規分布を示すことで確認することができる。
なお、カーボンナノファイバーに加えて他の補強剤、例えばカーボンブラックや繊維を所定量加えると線膨張係数を小さくすることができるので、この工程で第1のエラストマーに混合し、分散させることができる。カーボンブラックや繊維などの補強剤は、カーボンナノファイバーに先立ってもしくはカーボンナノファイバーと同時にバンクに投入することが好ましい。
この工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離でき、かつ第1のエラストマー分子を切断してラジカルを生成する剪断力を第1のエラストマーに与えることができればよい。

第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを分散させる工程において、あるいはこの工程に続いて、通常、ゴムなどの第1のエラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。特に、炭素繊維複合材料において第1のエラストマーを架橋させる場合には、あらかじめパーオキサイドなどの架橋剤を所定量加えておくことが好ましい。
なお、この工程(a)では複合エラストマーは、架橋させない。
(IV)次に、上記工程(a)によって得られた複合エラストマーについて述べる。
図2は、本実施の形態にかかる複合エラストマーの一部を拡大して示す模式図である。複合エラストマー4は、基材であるエラストマー30にカーボンナノファイバー40が均一に分散されている。このことは、エラストマー30がカーボンナノファイバー40によって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けた第1のエラストマーの分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散された15〜50体積%のカーボンナノファイバーと、を含むことが好ましい。このような複合エラストマーは、任意の面におけるカーボンナノファイバーの隣接距離の平均値が100nm以下であることが好ましい。また、カーボンナノファイバーが15体積%未満である場合には、カーボンブラックもしくは繊維を配合することによって補うことができる。
平均直径が0.7〜15nmの細いカーボンナノファイバーを15〜50体積%と大量に含む複合エラストマーは、任意の面におけるカーボンナノファイバーの隣接距離の平均値が100nm以下となる。カーボンナノファイバーの隣接距離は、例えば、複合エラストマーの引張破断面を電子顕微鏡(SEM)で撮影し、その破断面におけるカーボンナノファイバー同士の隣接した中心間距離を多数例えば200箇所計測し、平均値を計算することで得られる。複合エラストマーにおいて、このようにして計測されたカーボンナノファイバーの隣接距離は、ほぼ正規分布を示し、標準偏差をσ(シグマ)としたときの3σは190nm以下とすることができる。
カーボンナノファイバーの含有量を変化させて、複合エラストマーの線膨張係数を−80℃〜300℃において測定したところ、カーボンナノファイバーを15体積%以上含むと線膨張係数の微分値が急激に上昇する現象(鎖切断型の熱劣化を示す)が見られなくなる。
このような線膨張係数の変化は、カーボンナノファイバーによる第1のエラストマーの閉じ込め効果であると推測できる。カーボンナノファイバーの隣接距離が100nm以下になるということは、カーボンナノファイバー同士によって第1のエラストマーを取り囲む領域が非常に小さくなるということであり、第1のエラストマーをカーボンナノファイバーによってナノメートルサイズに分割(ナノ分割)することである。このようにカーボンナノファイバーによって第1のエラストマーがナノ分割されると、ナノ分割された第1のエラストマーはカーボンナノファイバーによって小さな領域に閉じ込められ、第1のエラストマーの移動(流動)を抑制する。したがって、カーボンナノファイバーによってナノ分割された小さな領域は、閉じ込め効果によって、広い温度範囲例えば−80℃〜300℃において熱に対して安定した線膨張係数を得ることができる。また、複合エラストマー中のカーボンナノファイバーの隣接距離の平均値が100nmを越えると、0℃付近で線膨張係数の微分値の急激な上昇が見られ、鎖切断型の熱劣化が起こることがある。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散された15〜50体積%のカーボンナノファイバーと、を含むことで、−80℃〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が120ppm(1/K)未満である。また、複合エラストマーは、カーボンナノファイバーの含有割合が1体積%以上15体積%未満であっても、例えばカーボンブラックを10〜40体積%含有するかもしくは例えば繊維を3〜40体積%含有することによって、−80〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が120ppm(1/K)以下という低く安定した線膨張係数となる。
複合エラストマーの平均線膨張係数は、カーボンナノファイバーの配合割合によって異なり、カーボンナノファイバーの配合割合が高いと平均線膨張係数は低くなり、カーボンナノファイバーの配合割合が低いと平均線膨張係数は高くなる。つまり、複合エラストマーの平均線膨張係数をカーボンナノファイバーの配合割合によって制御することができる。したがって、カーボンナノファイバーの配合割合が15体積%未満であると、カーボンナノファイバーの平均直径が15nmのとき、平均線膨張係数は100ppm(1/K)を超えてしまい好ましくない。また、複合エラストマーの線膨張係数の微分値は、120ppm(1/K)未満と低く、広い温度範囲において安定しており、瞬間的に熱膨張が大きくならない。複合エラストマーの線膨張係数の微分値の最大値は、カーボンナノファイバーの配合割合によって異なり、カーボンナノファイバーの配合割合が高いと小さくなり、カーボンナノファイバーの配合割合が低いと大きくなる。特に、カーボンナノファイバーの配合割合が15体積%未満であると、線膨張係数の微分値の最大値は120ppm(1/K)を超え、−80℃〜300℃の温度範囲において線膨張係数の微分値が大きく変動し、熱膨張が特定の温度域で不安定になる。
そこで、カーボンナノファイバーの配合割合が15体積%未満の場合には、例えばカーボンブラックもしくは繊維によって補強することができる。しかし、例えばカーボンブラックもしくは繊維によって補強した場合でも、カーボンナノファイバーが1体積%未満だと第1のエラストマーを拘束できないので線膨張係数を下げることができないので望ましくない。また、カーボンブラックを加えた場合には、カーボンブラックが10体積%未満だとカーボンナノファイバーを大量に含有しないと線膨張係数を下げることができず、40体積%を越えると加工(混練)が困難になり望ましくない。また、繊維を加えた場合には、繊維が3体積%未満だとカーボンナノファイバーを大量に含有しないと線膨張係数を下げることができず、40体積%を越えると加工(混練)が困難になり望ましくない。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、−80℃〜300℃において、任意の方向Xの線膨張係数と、該方向Xに直交する方向Yにおける線膨張係数との比が0.7倍〜1.3倍である。
任意の方向Xを例えばオープンロールの回転方向とすると、一般に繊維は配向し、方向Xに直交する方向Yにおける線膨張係数が極端に小さくなり異方性を示すが、本実施の形態にかかる複合エラストマーの線膨張係数は等方性を有する。
複合エラストマーは、架橋剤を含んでも含まなくてもよく、用途に応じて適宜選択することができる。複合エラストマーが架橋剤を含まない場合には、炭素繊維複合材料に成形した際にマトリクスである連続相が無架橋になるので、リサイクルすることができる。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、−80〜300℃において、熱劣化しない、つまり耐熱温度が300℃以上である。熱劣化は、複合エラストマーを構成する第1のエラストマーの分子鎖が切断し始めることによっておこる線膨張係数の急激な上昇によって判断することができる。
本実施の形態の複合エラストマーは、基材である第1のエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、第1のエラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けた第1のエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる複合エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まない第1のエラストマー単体の場合より短くなる。
また、第1のエラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによって第1のエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まない第1のエラストマー単体の場合より小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、無架橋体の複合エラストマーにおいて、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
また、架橋体の複合エラストマーにおいて、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし2000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないかあるいは1000ないし5000μ秒であり、前記第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
パルス法NMRを用いた反転回復法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、第1のエラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、第1のエラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、第1のエラストマーは柔らかいといえる。したがって、カーボンナノファイバーが均一に分散した複合エラストマーは、分子運動性が低くなり、上述のT2n,T2nn,fnnの範囲となる。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、動的粘弾性の温度依存性測定における流動温度が、原料第1のエラストマー単体の流動温度より20℃以上高温であることが好ましい。本実施の形態の複合エラストマーは、第1のエラストマーにカーボンナノファイバーが良好に分散されている。このことは、上述したように、第1のエラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、第1のエラストマーは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。このような流動温度特性を有することにより、本実施の形態の複合エラストマーは、動的粘弾性の温度依存性が小さくなり、その結果、優れた耐熱性を有する。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、上述のように熱膨張の特性が広い温度範囲で安定している。しかも、複合エラストマーの平均線膨張係数が低いことから、広い温度範囲で熱膨張が小さい。さらに、複合エラストマーの線膨張係数の微分値の最大値が小さいことから、広い温度範囲において安定しており、瞬間的に熱膨張が大きくならない。
(V)次に、上記工程(a)によって得られた複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を混練して炭素繊維複合材料を得る工程(b)について説明する。
本実施の形態では、工程(b)として、密閉式混練法を用いた例について述べる。
図3は、2本のロータを用いた密閉式混練機を模式的に示す図である。図3において、密閉式混練機100は、第1のロータ110と、第2のロータ120と、を有する。第1のロータ110と第2のロータ120とは、所定の間隔で配置され、回転することによって複合エラストマー50と、第2のエラストマー60と、を混練することができる。図示の例では、第1のロータ110および第2のロータ120は、互いに反対方向(例えば、図中の矢印で示す方向)に所定の速度比で回転している。第1のロータ110と第2のロータ120との速度、ロータ110,120とチャンバー170の内壁部との間隔などによって、所望の剪断力を得ることができる。この工程での剪断力は、複合エラストマーの種類および第2のエラストマーの量などによって適宜設定される。また、この混練工程では、薄通しはしてもよいし、しなくてもよい。
まず、密閉式混練機100の材料供給口160から複合エラストマー50及び第2のエラストマー60を投入し、第1,第2のロータ110,120を回転させることにより、複合エラストマー50と第2のエラストマー60との混合が行われる。なお、第2のエラストマー60は、この混合工程に先立って、公知の配合剤を加えることができる。例えば、第2のエラストマーを架橋させる場合には、パーオキサイドなどの架橋剤を加えてオープンロール機などで混練しておくことができる。
複合エラストマー50と、第2のエラストマー60と、を混練する際の温度の設定は、チャンバー170の温度によって設定しても、ロータ110,120の温度によって設定してもよく、あるいは混合物の温度を測定しながら速度比の制御や各種温度制御を行なってもよい。工程(b)の混練時間は、第2の温度の設定や、ロータ間隔の設定、回転速度などによって適宜設定することができる。
このようにして混練を行なうことで、複合エラストマー50と第2のエラストマーとのブレンド物である、炭素繊維複合材料が得られる。なお、工程(b)の混練は、バンバリミキサ、ニーダ、ブラベンダーなどの接線式もしくは噛合い式の密閉式混練法、オープンロール法、多軸押出し混練法(二軸押出機)によって行なうことができる。混練機は、生産量などに応じて適宜組み合わせて選択することができる。
上述した複合エラストマーと第2のエラストマーとを混練した後は、公知の方法によって、押出工程、成形工程、架橋工程などを行なうことができる。第1のエラストマーと第2のエラストマーの双方を架橋する場合には、混練の際に架橋剤をあらかじめ加えておくことが好ましい。第1のエラストマーと第2のエラストマーのどちらか一方を架橋する場合には、混練の際に架橋しないエラストマーには架橋剤を加えなければよい。また、第1のエラストマーと第2のエラストマーの双方を架橋しない場合には、架橋剤を加えなければよい。
(VI)次に、上記工程(b)によって得られた炭素繊維複合材料について説明する。
図4〜図6は、本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料70の一部を拡大して示す模式図である。図4〜図6に示すように、炭素繊維複合材料70は、第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む複合エラストマー50からなる連続相と、この連続相中に分散された第2のエラストマー60と、を含む。
図4に示す炭素繊維複合材料70は、複合エラストマー50の連続相(いわゆるマトリクス)中に第2のエラストマー60が略球状に形成されて分散されている。また、図5に示す炭素繊維複合材料70は、複合エラストマー50の連続相中に第2のエラストマー60が楕円のラグビーボール状に形成されて分散されている。図6に示す炭素繊維複合材料70は、複合エラストマー50の連続相中にミクロ相分離した第2のエラストマー60が分散されている。
炭素繊維複合材料は、複合エラストマーが炭素繊維複合材料の連続相(マトリクス)を形成することによって、ゴム組成物でありながら、−80℃〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が150ppm(1/K)以下とすることができ、広い温度範囲において安定した線膨張係数を得ることができる。また、炭素繊維複合材料は、第2のエラストマーを含むことにより、30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が1〜200MPaとすることができ、ゴム組成物としての柔軟性を有することができる。
炭素繊維複合材料は、連続相を形成する複合エラストマーが無架橋であれば、リサイクルすることができる。上述の通り、複合エラストマーは、カーボンナノファイバーによって第1のエラストマー分子を拘束することで無架橋であっても線膨張係数が小さく、架橋した複合エラストマーと大きく変わらない。したがって、連続相が無架橋の複合エラストマーである炭素繊維複合材料は、リサイクルして使用することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜11、比較例1〜3)
(1)サンプルの作製
表1に示す第1のエラストマーに所定量のカーボンナノファイバーをオープンロール法によって混練してまず複合エラストマーのサンプルを得た。次に、密閉式混練法によって複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を混練して炭素繊維複合材料を得た。複合エラストマー及び炭素繊維複合材料のサンプルは、以下の方法によって作製した。
(a)複合エラストマーの作製
1)6インチオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1の配合割合に示す所定量(体積%)の第1のエラストマーを投入して、ロールに巻き付かせた。
2)エラストマーに対して表1の配合割合に示す量(体積%)のカーボンナノファイバー(表1では「CNT13」と記載する)をエラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
3)カーボンナノファイバーを投入し終わったら、第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
4)ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行なった。
5)ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例1〜11および比較例1〜3の複合エラストマーを得た。表1において、原料エラストマーは、「NR」が天然ゴム、「EPDM」がエチレンプロピレンゴム、「TPE(SBS)」が熱可塑性エラストマーのスチレン−ブタジエンブロック共重合体である。また、表1において、「CNT13」は平均直径が約13nmのマルチウォールカーボンナノチューブである。実施例1〜6、8,9及び比較例1、2においては、カーボンナノファイバーの投入に先立って、架橋剤としてパーオキサイド(PO)2重量部を投入した。なお、この工程では複合エラストマーは、架橋していない。
(b)炭素繊維複合材料の作製
密閉式混合機に、前記(a)で得られた実施例1〜11の複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を表1の配合割合に示す所定量(重量%)投入し、混練した。混練されたブレンド物は圧延され、シート状の炭素繊維複合材料が得られた。このようにして得られた実施例1〜11の炭素繊維複合材料は、175℃、100kgf/cmにて、20分間プレス架橋することで架橋した炭素繊維複合材料が得られた。同様にして比較例1〜3の複合エラストマーも架橋して炭素繊維複合材料(架橋サンプル)を得た。
なお、実施例4以外の第2のエラストマーは、架橋剤を予め混合されていた。したがって、実施例4の炭素繊維複合材料は、第2のエラストマーに架橋剤が含まれていないので、架橋された複合エラストマーの連続相中に無架橋の第2のエラストマーが分散した構造となった。また、実施例7の炭素繊維複合材料は、第1のエラストマーに架橋剤を加えなかったので、無架橋の複合エラストマーの連続相中に架橋された第2のエラストマーが分散された構造となった。
(2)パルス法NMRを用いた測定及び流動温度の測定
実施例1〜11及び比較例1〜3の第1のエラストマーの未架橋体について、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行ない、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は、30℃、150℃であった。この測定によって、第1のエラストマー単体について、第1および第2のスピン−スピン緩和時間(T2n,T2nn)と第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)とを求めた。測定結果を表1に示す。また、実施例1〜11及び比較例1〜3の第1のエラストマーの未架橋体について、流動温度を測定した。
(3)電子顕微鏡による観察
実施例1〜11及び比較例1〜3の複合エラストマーの架橋サンプル及び無架橋サンプルの引張破断面について、電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンナノファイバー及びカーボンブラックの分散の状態を観察した。全てのサンプルでカーボンナノファイバー及びカーボンブラックがエラストマー中に均一に分散している様子が観察された。また、各サンプルの引張破断面を電子顕微鏡で撮影し、その写真におけるカーボンナノファイバー同士の中心間の隣接距離をそれぞれ200箇所ずつ計測した。計測された隣接距離の平均値及び3σ(σ:シグマ。標準偏差値)を求めた。その結果を表1に示す。
(4)低伸長応力試験
幅5mm×長さ50mm×厚さ1mmの実施例1〜11及び比較例1〜3の複合エラストマーの架橋サンプル及び無架橋サンプルを10mm/minで伸長し、10%変形時の応力を求めた。測定方向は、各サンプルの列理方向と平行な方向(L)と、Lに直角な方向(T)とした。低伸長応力比は、L方向の応力/T方向の応力で計算した。その結果を表1に示す。
(5)動的貯蔵弾性率の測定
実施例1〜11及び比較例1〜3の炭素繊維複合材料のサンプルについて、動的貯蔵弾性率(E’)をJIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表2、3に示す。
(6)線膨張係数及び耐熱温度の測定
実施例1〜11及び比較例1〜3の複合エラストマーA,Bを架橋させたサンプル及び無架橋の複合エラストマーA’、Cサンプルについて、線膨張係数及び耐熱温度を測定した。これらの結果を表1に示す。また、実施例1〜11及び比較例1〜3の炭素繊維複合材料の架橋サンプルについて、線膨張係数を測定した。これらの結果を表2、3に示す。測定装置はSII社製TMASS、測定試料形状は1.5mm×1.0mm×10mm、側長荷重は25KPa、測定温度は−80〜350℃、昇温速度は2℃/分であった。
表1には、第1のエラストマーと(a)で得られた複合エラストマーの特性を示し、表2及び3には、(b)で得られた炭素繊維複合材料の特性を示す。
Figure 0004224500
Figure 0004224500
Figure 0004224500
表1〜3から、本発明の実施例1〜11によれば、以下のことが確認された。すなわち、−80〜300℃における実施例1〜11の炭素繊維複合材料の架橋サンプルの平均線膨張係数は100ppm(1/K)以下であり、線膨張係数の微分値の最大値は150ppm(1/K)未満であった。また、実施例1〜11の炭素繊維複合材料の30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が1〜200MPaであった。なお、比較例1〜3の炭素繊維複合材料の−80〜300℃における平均線膨張係数は100ppm(1/K)以下であり、線膨張係数の微分値の最大値は150ppm(1/K)未満であったが、30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が200MPaを超えていた。
以上のことから、本発明の炭素繊維複合材料は広い温度範囲において熱膨張が小さく、安定しており、かつ柔軟性を有していることが明らかとなった。
本実施の形態で用いたオープンロール法による第1のエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかる複合エラストマーの一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態で用いた密閉式混練法による複合エラストマーと第2のエラストマーとの混練法を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。 本実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の一部を拡大して示す模式図である。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 第1のエラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 複合エラストマー
60 第2のエラストマー
70 炭素繊維複合材料
100 密閉式混練機

Claims (5)

  1. 第1のエラストマーと、該第1のエラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む複合エラストマーからなる連続相と、
    前記連続相中に分散された第2のエラストマーと、を含み、
    前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、
    30℃における貯蔵弾性率(E’/30℃)が1〜200MPaであり、
    −80℃〜300℃において、平均線膨張係数が100ppm(1/K)以下でありかつ線膨張係数の微分値が150ppm(1/K)以下である、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記連続相は前記第1のエラストマーが架橋されていない無架橋体である、炭素繊維複
    合材料。
  3. 請求項1または2において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記カーボンナノファイバーが混合される前の前記第1のエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、炭素繊維複合材料。
  5. 第1のエラストマーに、カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
    前記複合エラストマーと、第2のエラストマーと、を混練して炭素繊維複合材料を得る工程(b)と、を含み、
    前記第2のエラストマーは、前記複合エラストマーよりも柔軟性とゴム弾性に優れ、
    前記工程(a)は、ロール温度が0ないし50℃、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いて前記第1のエラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって分散させる、炭素繊維複合材料の製造方法。
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