JP4271179B2 - マウントラバー - Google Patents

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本発明は、無架橋のゴム組成物で形成されたマウントラバーに関する。
車両に取り付けられる被支持体は、被支持体の振動を車両に伝えにくくするため、もしくは車両の振動を被支持体に伝えにくくするために、一般にゴムを主成分とする架橋ゴム組成物によって成形されたマウントラバーを介して取り付けられている。例えば、車両用のブレーキ液圧制御装置は、モータの微小振動が車両に伝わって共振し比較的大きな振動になることがあるため、振動を吸収するマウントラバーを介して車両に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の架橋ゴム組成物で形成されたマウントラバーは、リサイクルすることができなかった。ゴム組成物のリサイクルは、環境保護を推進する産業界、特に自動車産業界におけるリサイクル率向上のために切望されていた。
特開2000−177558号公報
そこで、本発明の目的は、リサイクル可能なゴム組成物からなるマウントラバーを提供することにある。
本発明にかかるマウントラバーは、車両と、該車両に取り付けられる被支持体と、の間で振動を吸収するマウントラバーであって、
ムと、該ゴムに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む無架橋のゴム組成物で形成され
前記無架橋のゴム組成物は、30℃の動的弾性率に対する150℃の動的弾性率の割合である動的弾性率の保持率が50%以上であることを特徴とする。
本発明にかかるマウントラバーによれば、無架橋のゴム組成物で形成されているため、使用後に再度せん断力をかけて混練し、再利用することができる。しかも、ゴム組成物は、無架橋であってもカーボンナノファイバーによって補強されることで柔軟性と強さを備え、無架橋のままマウントラバーとして使用可能である。特に、カーボンナノファイバーが分散した無架橋のゴム組成物は、流動温度が150℃以上であり、高温においても流動しないため、無架橋の状態のまま架橋したゴム組成物と同じようにマウントラバーとして使用できる。また、本発明にかかるマウントラバーによれば、圧縮永久歪及び引張永久歪が小さいため、マウントラバーは所定の振動吸収性能を維持することができる。さらに、本発明にかかるマウントラバーによれば、低温から高温までの物性変化が少ないため、温度変化の大きい被支持体であってもマウントラバーの振動吸収性能を安定させることができる。また、本発明にかかるマウントラバーによれば、無架橋でありながら、30℃における損失正接(tanδ)が0.1以上と大きいので、ダンピング(減衰)効果を得ることができる。このようにマウントラバーの損失正接(tanδ)を大きくすることによって、共振領域における共振ピークを小さくすることができる。
本発明にかかるマウントラバーにおいて、前記無架橋のゴム組成物は、前記ゴム100重量部に対して、前記カーボンナノファイバーを5〜100重量部含み、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmとすることができる。
また、本発明にかかるマウントラバーにおいて、前記無架橋のゴム組成物は、30℃及び150℃における動的弾性率がいずれも8MPa以上であることができる。
本発明にかかるマウントラバーによれば、非常に細いカーボンナノファイバーを大量に用いて補強することによって、高温における物性低下が小さく、温度変化に対して安定した振動吸収性能を維持することができる。カーボンナノファイバーが0.7nmより細いものは入手が困難であり、15nmを越えるものは材料特性(補強効果)を得ることができない。
また、ゴムの不飽和結合または基が、カーボンナノファイバーの活性な部分、特にカーボンナノファイバーの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノファイバーの凝集力を弱め、その分散性を高めることができる。その結果、本発明にかかるマウントラバーは、基材であるゴムにカーボンナノファイバーが均一に分散されたものとなる。
本発明にかかるマウントラバーにおいて、被支持体は、ブレーキ液圧制御装置のハウジングであり、
前記車両は、該車両の一部に固定されたマウント軸を有し、
前記ハウジングと前記マウント軸とを連結することができる。
本発明にかかるマウントラバーによれば、ブレーキ液圧制御装置のハウジングと車両との間における振動吸収性能を、広い温度範囲において安定して維持することができる。また、本発明にかかるマウントラバーが無架橋のゴム組成物で形成されているため、車両におけるリサイクル率を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施の形態に係る自動車用のブレーキ液圧制御装置1を説明する図である。図1は自動車用のブレーキ液圧制御装置1の側面図、図2は図1の2矢視図、図3は図2に示すマウントラバーの拡大断面図である。図1及び図2は、ブラケット及びハウジングを一部切り欠いてマウント手段の断面を示す。
(ブレーキ液圧制御装置)
ブレーキ液圧制御装置1は、車両例えば自動車の運転者がブレーキペダルを踏むことによってブレーキをかけた時に、各車輪のブレーキに作用するブレーキ液圧を制御するものである。特に、ブレーキ液圧制御装置1は、前記ブレーキ中にロック状態に入りそうになった車輪へのブレーキ液圧を減圧させ、車輪をロックさせることなく制御することができる。
ブレーキ液圧制御装置1は、例えばアルミニウム合金などによりブロック状に形成されたハウジング10を備える。ハウジング10の第1の面11には、合成樹脂製のカバー20が複数例えば4本のボルト21により固定されている。また、ハウジング10の第1の面11に対向する第2の面12には、電動モータを収容するモータケース30が複数例えば3本のボルト31により固定されている。
ハウジング10は、その内部に、図示せぬ複数の液圧路と、該液圧路を開閉する図示せぬ複数の電磁弁と、を有している。各電磁弁は、ハウジング10の第1の面11から突出するソレノイド部と、ハウジング10の内部であって、液圧路に接続される弁部と、を有している。電磁弁は、ソレノイド部をソレノイド部の周囲に配置したコイルによって消磁・励磁することで、弁部によって液圧路を開閉する。
図示せぬ電動モータは、その出力軸をハウジング10の第2の面12からハウジング10の内部まで延在させ、出力軸の回転によって図示せぬプランジャにポンプ動作を与える。ブレーキ液は、このプランジャのポンプ動作によって液圧路に吐出される。
これら電磁弁14および電動モータの制御は、電子制御ユニットによって行われる。電子制御ユニットは、合成樹脂製のカバー20内に固定された図示せぬ基板上に複数の電子部品からなる電気回路として設けられ、各電磁弁および電動モータ等と電気的に接続されている。
合成樹脂製のカバー20には、ハウジング10から側方には突出して雄型であるカバー側コネクタ24が設けられる。コネクタ24は、コネクタ端子によって合成樹脂製のカバー20内の基板と電気的に接続され、基板側へ電力を供給している。
(マウントラバー)
本実施の形態にかかるマウントラバー50は、車両に取り付けられる被支持体であるブレーキ液圧制御装置1のハウジング10に複数例えば3箇所形成された有底の取付け穴52に嵌合されている。マウントラバー50は、図1〜3に示すように、例えば円筒状の外形を有し、取付け穴52の内径とほぼ同じ外径を有し、またマウントラバー50の一部は、ハウジング10の外表面から突出している。マウントラバー50は、ハウジング10とマウント軸42とを連結し、ブレーキ液圧制御装置1と、車両と、の間で振動を吸収する。マウントラバー50は、ゴムと、該ゴムに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む無架橋のゴム組成物で形成され、前記無架橋のゴム組成物は、30℃の動的弾性率に対する150℃の動的弾性率の割合である動的弾性率の保持率が50%以上である
図1及び図2に示すように、車体フレーム70には、ハウジング10の下面に対向する支持板部60aと、該支持板部60aの両端に垂直に連設されてハウジング10の両側面に対向する一対の支持板部60b,60bと、を備える略U字状のブラケット60が固定される。
一方、ハウジング10の上部両側には取付け突部14,14が一体に突設されており、両取付け突部14,14が、ブラケット60における支持板部60b,60bの上部にマウント手段40,40を介して取付けられる。
図3に示すように、マウント手段40は、支持板部60bからほぼ垂直に延びる軸線を有して支持板部60bに固定されるマウント軸42が円筒状のマウントラバー50を介してハウジング10の取付け突部14に連結される。
マウント軸42は、マウントラバー50に嵌合される横断面円形の嵌合軸部42aと、該嵌合軸部42aの外端から半径方向外方に張出す円形のフランジ部42bと、たとえば正方形状に形成されてフランジ部42bの外端中央部に連設される回転規制部42cと、該回転規制部42cの外端に前記嵌合軸部42aと同軸に連なるねじ軸部42dとを一体に備えるものであり、ハウジング10の取付け突部14には、嵌合軸部42aを嵌合せしめた前記マウントラバー50を嵌合する有底の取付け穴52が設けられる。
一方、支持板部60bの上部には、上方に開口したスリット62が設けられており、マウント軸42の回転規制部42cがスリット62に上方から差し込まれる。そして、ねじ軸部42dにはナット48が螺合され、このナット48とフランジ部42bとの間に支持板部60bが挟まれることにより、マウント軸42が支持板部60bに固定的に支持されることになる。
また、ハウジング10の下部は、ブラケット60における支持板部60aにマウント手段40を介して取付けられる。このマウント手段40は、ハウジング10の下部に嵌合されるマウントラバー50を、支持板部60aから上方へ突出しかつ固定されたマウント軸42に差し込むことで、支持板部60aに固定される。
支持板部60a、bすなわち車両本体に固定されたマウント軸42は、円筒状のマウントラバー50の軸受穴54に、フランジ部42bがマウントラバー50に当接するまで挿入されている。したがって、マウント軸部42のフランジ部42bは、その内側がハウジング10から突出したマウントラバー50の一部に当接し、外側が支持板部60a,bに当接し、ナット48との間で支持板部60a,bを挟んで固定される。したがって、ブレーキ液圧制御装置1の電動モータの振動は、マウントラバー50によって吸収され、車両へ伝わりにくくなり、共振が少なくなる。
(ゴム)
まず、本実施の形態にかかるゴムは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。ゴムの分子量がこの範囲であると、ゴム分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、ゴムは、凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。ゴムの分子量が5000より小さいと、ゴム分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけてもカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、ゴムの分子量が500万より大きいと、ゴムが固くなりすぎて加工が困難となる。
ゴムは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃で測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、ゴムは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができる。このことにより、ゴムとカーボンナノファイバーとを混合したときに、ゴムは高い分子運動によりカーボンナノファイバーの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、ゴムが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、ゴムが液体のように流れやすくなり、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりゴムのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、ゴムは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、ゴムは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかるゴムは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
ゴムは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーの末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合及び官能基から選択される少なくともひとつであることができる。このような官能基としては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などがある。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、ゴムの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、ゴムとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、ゴムと、カーボンナノファイバーと、を混練する際に、ゴムの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、カーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、カーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
ゴムとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのゴム類およびこれらの混合物を用いることができる。特に、マウントラバーには、ゴムとしてエチレン・プロピレンゴムやスチレン−ブタジエンゴムが好ましい。例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)のように極性の低いゴムは、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するのでカーボンナノファイバーを分散させることができる。エチレン・ピロピレンゴムとしては、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・共重合体)、EPM(エチレン・プロピレン共重合体)等を用いることができるが、EPDMが好ましい。なお、ゴムは、通常架橋して使用されるゴムであり、熱可塑性エラストマーを含まない。
本実施の形態にかかるエチレン・プロピレンゴムは、プロピレン含有量が35〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは37〜55%である。プロピレン含有量が35重量%未満ではエチレン成分が多すぎてゴム組成物が剛直になり、柔軟性が低くなるため好ましくない。また、プロピレン含有量が60重量%を超えると、柔らかすぎてシール部材としては好ましくない。
(カーボンナノファイバー)
本実施の形態にかかるカーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである。マウントラバーのゴム組成物において、カーボンナノファイバーの配合量は、ゴム100重量部に対して、5〜100重量部であることが好ましい。ゴム組成物におけるカーボンナノファイバーの配合量が5重量部よりも少ないとカーボンナノファイバーの補強効果が小さく、100重量部を超えると硬度や弾性率が高くなり好ましくない。このように非常に細いカーボンナノファイバーで補強することによって、高温における物性低下を小さくすることができる。なお、カーボンナノファイバーが0.7nmより細いものは入手が困難であり、15nmを越えるものは材料特性(補強効果)が得ることができないので好ましくない。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。
アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。
レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。
気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、ゴムと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、ゴムとの接着性やぬれ性を改善することができる。
本実施の形態にかかるゴム組成物は、ゴム100重量部に対して、カーボンナノファイバーの配合量が比較的少量例えば20重量部未満の場合、カーボンナノファイバー以外の配合剤として、カーボンブラックや繊維を加えることが好ましい。その場合、カーボンブラックは、種々の原材料を用いた種々のグレードのカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックは、その基本構成粒子(いわゆる一次粒子)が融着して連結したアグリゲート(いわゆる二次凝集体)が発達した比較的高いストラクチャーを有するものが好ましい。
本実施の形態にかかるカーボンブラックは、基本構成粒子の平均粒径が10〜100nmであって、DBP吸収量が80ml/100g以上であり、さらに好ましくは、平均粒径が10〜40nmであって、DBP吸収量が100〜500ml/100gである。カーボンブラックの平均粒径が10nm未満だと加工(混練)が困難であり、平均粒径が100nmより太いと補強効果が劣る。カーボンブラックは、アグリゲートが発達したストラクチャーの高低によって補強効果が影響を受けるため、DBP吸収量が80ml/100g以上とすると補強効果が大きい。
このようなカーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック、SAF、SAF-HS、ISAF、ISAF-HS、HAF、HAF-HS、FEF、FEF−HS、SRF−HSなどのカーボンブラックを用いることができる。
本実施の形態にかかるゴム組成物は、カーボンナノファイバー以外の配合剤として、繊維を加える場合、繊維は、しなやかで屈曲性に優れ、平均直径が1〜100μmかつアスペクト比が50〜500が好ましい。繊維の平均直径が1μm未満だと加工(混練)が困難であり、平均直径が100μmより太いと補強効果が劣る。
繊維としては、屈曲性に優れたしなやかな繊維が好ましく、天然繊維、金属繊維、合成繊維またはこれらの繊維の混合物を用いることができる。
天然繊維としては、綿、麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維を適宜選択して用いることができる。金属繊維としては、ステンレス繊維、銅繊維などを適宜選択して用いることができる。合成繊維としては、脂肪族ポリアミド系の繊維を用いることができる。なお、ポリエステル系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、セラミックス繊維などは剛直であり、屈曲性がないので適当ではない。また、繊維は、カーボンブラックと一緒に加えてもよい。
(ゴム組成物の製造方法)
本実施の形態にかかるゴム組成物の製造方法としては、ゴムとカーボンナノファイバーとを、オープンロール、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の混合機に供給し、混練する方法が挙げられる。カーボンブラック及び繊維などのカーボンナノファイバー以外の充填材は、カーボンナノファイバーを供給する前に混合器に供給することが好ましい。
ゴム組成物の製造方法として、例えば、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いる場合には、例えば1.5mmの間隔で配置された回転する2本のロールにゴムを投入する。次に、このゴムに充填材例えばカーボンブラックや繊維などを加え、さらにカーボンナノファイバーを加えて、ロールを回転させ、ゴムとカーボンナノファイバーとの混合物を得る。この混合物を0.1ないし0.5mmの間隔に設定されたオープンロールに投入し、例えば10回程度薄通しを行なってゴム組成物を得る。このような薄通しによってゴムに高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバーがゴム分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、ゴムに分散される。特に、カーボンブラックなどの粒子状の充填材をカーボンナノファイバーに先立って混合させた場合には、カーボンブラックの周りに乱流が発生し、カーボンナノファイバーを容易に分散させることができる。
また、この混練工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ゴムとカーボンナノファイバーとの混合は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃の比較的低い温度で行われる。なお、ゴムとしてEPDMを用いた場合には、2段階の混練工程を行なうことが望ましく、第1の混練工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、EPDMとカーボンナノファイバーとの混合は、第2の混練工程より50〜100℃低い第1の温度で行なわれる。第1の温度は、好ましくは0ないし50℃、より好ましくは5ないし30℃である。ロールの第2の温度は、50〜150℃の比較的高い温度に設定することでカーボンナノファイバーの分散性を向上させることができる。
この混練工程では、剪断力によって剪断されたゴムにフリーラジカルが生成され、そのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面を攻撃することで、カーボンナノファイバーの表面は活性化される。このとき、分子長が適度に長く、分子運動性の高いゴムがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、ゴムの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。この状態で、混合物に強い剪断力が作用すると、ゴムの移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、ゴム中に分散されることになる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、ゴムとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。要するに、この混練工程では、凝集したカーボンナノファイバーを分離でき、かつゴム分子を切断してラジカルを生成する剪断力をゴムに与えることができればよい。
(無架橋のゴム組成物の特性)
本実施の形態にかかる無架橋のゴム組成物は、10Hz、30℃及び150℃における動的弾性率がいずれも8MPa以上である。また、この無架橋のゴム組成物は、30℃から150℃への温度上昇に伴う動的弾性率の保持率が50%以上である。マウントラバーとしては、高温においても高い動的弾性率を安定して維持することが好ましく、動的弾性率が8MPa以上であることが好ましい。また、本実施の形態にかかるマウントラバーとして用いた場合、30℃から150℃への温度上昇に伴う動的弾性率の保持率が50%以上であると、高温においても望ましい弾性率を有する。
無架橋のゴム組成物は、30℃における損失正接(tanδ)が0.1以上であることが好ましく、1.0未満であることが好ましい。損失正接(tanδ)は、本実施の形態にかかる無架橋のゴム組成物で動的粘弾性試験(測定温度:30℃)を行い、動的剪断弾性率(E’、単位はdyn/cm2)と動的損失弾性率(E’’、単位はdyn/cm2)とを求め、損失正接(tanδ=E’’/E’)を計算して得ることができる。無架橋のゴム組成物の損失正接(tanδ)が0.1以上であることで、無架橋でありながら、ダンピング(減衰)効果を有するマウントラバーを得ることができる。また、無架橋のゴム組成物の損失正接(tanδ)が1.0以上ではへたりが大きくなるので好ましくない。
ゴム組成物は、無架橋でありながら高温における物性低下が小さく、例えば高温における圧縮永久歪が小さいため、マウントラバーにおける耐ヘタリ性に優れている。
無架橋のゴム組成物は、基材であるゴムにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、ゴムがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたゴム分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかるマウントラバーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないゴム単体の場合より短くなる。
また、ゴム分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってゴムの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないゴム単体の場合より小さくなる。
以上のことから、無架橋のゴム組成物は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、無架橋のゴム組成物において、150℃で測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、ゴムのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、ゴムは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、ゴムは柔らかいといえる。したがって、カーボンナノファイバーが均一に分散したマウントラバーは、分子運動性が低くなり、上述のT2n,T2nn,fnnの範囲となる。
無架橋のゴム組成物は、動的粘弾性の温度依存性測定における流動温度が、原料ゴム単体の流動温度より20℃以上高温であることが好ましく、無架橋のゴム組成物の流動温度は150℃以上が好ましく、より好ましくは200℃以上である。無架橋のゴム組成物は、ゴムにカーボンナノファイバーが良好に分散されている。このことは、上述したように、ゴムがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、ゴムは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。このような流動温度特性を有することにより、無架橋のゴム組成物は、動的粘弾性の温度依存性が小さくなり、その結果、優れた耐熱性を有すると共に、無架橋のままマウントラバーとして使用できる。
また、無架橋のゴム組成物は、カーボンナノファイバーを含むことで表面粘着性が低くなり、架橋しない状態でありながら成形が可能である。
(マウントラバーの特性)
混練されたゴム組成物は、マウントラバーの形状例えば円筒形のキャビティを有した金型を用いて押出成形もしくは射出成形される。一般にゴム組成物を架橋成形してマウントラバーを得るが、本実施例のマウントラバーは、無架橋のまま成形され、再利用(リサイクル)可能である。
したがって、本実施の形態にかかるマウントラバーは、上述した無架橋のゴム組成物の特性をそのまま有しており、低温から高温にかけて広い温度範囲で物性変化が少なく、特に熱膨張が安定しているので広い温度範囲で使用することが可能である。このようなマウントラバーは、無架橋のまま使用するため、使用後に再度せん断力をかけて混練し、再利用することができる。また、このようなマウントラバーは、無架橋でありながら、広い温度範囲で振動吸収性能が安定する。さらに、マウントラバーは、圧縮永久歪及び引張永久歪も小さいのでヘタリが小さく抑えられ、効率のよい振動吸収を長期間維持できる。また、このようなマウントラバーをブレーキ液圧制御装置の振動吸収用に用いると、電動モータの振動を効果的に減衰し、車両への共振を防止することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
例えば、本実施の形態においては、車両用のブレーキ液圧制御装置を支持するマウントラバーであったが、その他のマウントラバーであってもよい。特に室温(30℃)などの低温領域から例えば150℃の高温領域で使用されるマウントラバーにおいて有用である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
(a)無架橋のゴム組成物の作製
1)6インチオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、ゴムを投入して、ロールに巻き付かせた。
2)ゴム100重量部(phr)に対して表1に示す量(重量部(phr))のカーボンナノファイバー(表1では「CNT13」と記載する)をゴムに投入した。実施例4〜6においては、さらにカーボンブラック(表1では「HAF−HS」と記載する)を、実施例3,5,6においては、繊維(表1では「絹糸」と記載する)をゴムに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
3)カーボンナノファイバーを投入し終わったら、ゴムとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
4)ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
5)ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例1〜7および比較例1〜3の無架橋のゴム組成物を得た。表1において、原料ゴムは、「EPDM」がエチレン・プロピレンゴム、「SBR」がスチレン−ブタジエンゴムである。また、表1において、「CNT13」は平均直径が約13nmのマルチウォールカーボンナノチューブであり、「HAF−HS」は平均粒径27nm、DBP吸収量101ml/100g、窒素比表面積82m/gのHAF−HSグレードのカーボンブラックであり、「絹糸」は平均直径が約3μm平均長さが約6mmの絹糸であり、POはパーオキサイド(架橋剤)である。
(b)マウントラバーの作製
前記(a)で得られたゴム組成物を射出成形し、実施例1〜7および比較例1〜3のマウントラバーを得た。比較例1は、マウントラバーに成形された後、架橋した。
(c)電子顕微鏡による観察
実施例1〜7の各無架橋のゴム組成物について、電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンナノファイバー及びカーボンブラックの分散の状態を観察した。全てのサンプルでカーボンナノファイバー及びカーボンブラックがゴム中に均一に分散している様子が観察された。
(d)静的物性の測定
各無架橋のゴム組成物について、ゴム硬度(JISA)、引張強度(TB)および切断伸び(EB)を測定した。ゴム硬度(JISA)については、JIS K 6253によって測定した。TB及びEBについては、JIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
(e)動的物性の測定
各無架橋のゴム組成物について、30℃及び10℃におけるE’(動的粘弾性率)をJIS K 6521−1993によって測定した。さらに、E’保持率(%)として30℃のE’に対する10℃のE’の割合(E’保持率(%)=E’(150℃)/E’(30℃)・100)を計算した。また、30℃におけるE’’(動的損失弾性率)を求め、30℃における損失正接(tanδ=E’’/E’)の最小値を計算して得た。これらの結果を表1に示す。
(f)流動温度の測定
各無架橋のゴム組成物について、動的粘弾性測定(JIS K 6394)によって流動温度を測定した。具体的には、流動温度は、幅5mm、長さ40mm、厚み1mmのサンプルに正弦振動(±0.1%以下)を与え、これによって発生する応力と位相差δを測定して求めた。このとき、温度は、−70℃から2℃/分の昇温速度で200℃まで変化させた。その結果を表1に示す。なお、表1において、200℃までサンプルの流動現象がみられない場合を「200℃以上」と記載した。
(g)パルス法NMRを用いた柔軟性の測定
各無架橋のゴム組成物について、パルス法NMRを用いてハーンエコー法及び反復法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、無架橋のゴム組成物は、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、サンプルの第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)を求めた。その結果を表1に示す。
(h)リサイクル性の評価
各マウントラバーのサンプルを、オープンロールで混練し、射出成形してマウントラバーを作成する工程を5回繰り返して製品(マウントラバー)が作成可能であるかどうかを評価した。その結果を表1に示す。なお、表1において、「○」は製品が作成可能であったことを示し、「×」はリサイクルできなかったことを示し、「−」はリサイクル試験を行なっていないことを示す。
(i)表面粘着性の評価
マウントラバーの表面粘着性によって成形性を評価した。その結果を表1に評価を示す。表面の粘着性が高く成形が困難な場合には「×」を記入し、表面の粘着性が低く成形が容易である場合には「○」を記入した。
(j)圧縮永久歪(耐ヘタリ性)及び高温定荷重疲労の測定
各無架橋のゴム組成物について、圧縮永久歪(JIS K6262)を測定した。圧縮永久歪は、150℃、70時間、25%圧縮の条件で行なった。圧縮永久歪は、マウントラバーのいわゆる耐ヘタリ性についての評価である。高温定荷重疲労は、120℃、2MPaの荷重を繰り返し与え、破断した回数を求めた。これらの結果を表1に示す。
(k)デマッチャ試験
各無架橋のゴム組成物について、デマッチャ試験(屈曲伸張性試験)を行い、破断サイクル数によって耐屈曲性を評価した。デマッチャ試験は、試験機を300回転/分、変形量50%で屈曲させた。各無架橋のゴム組成物の試験片は、高さ2×幅5×長さ23mmであった。その結果を表1に示す。
Figure 0004271179
表1から、本発明の実施例1〜5によれば、以下のことが確認された。すなわち、実施例1〜7の無架橋のゴム組成物は、架橋したゴム組成物と同等の静的物性及び動的物性を示した。特に、常温から高温における動的弾性率の保持率及び流動温度は高く、無架橋でありながら高温における物性低下が小さいことがわかった。また、実施例1〜7のゴム組成物は、圧縮永久歪が30%以下であり、耐ヘタリ性の評価がよかった。実施例1〜7の無架橋のゴム組成物は、デマッチャ試験における破断サイクル数が比較例1の架橋ゴム組成物よりも多かったので、よい評価が得られた。また、比較例1の架橋されたゴム組成物は、リサイクル性に問題があった。比較例2、3のゴム組成物においては、表面の粘着性が高く成形が困難であったので、リサイクル性の評価をしていない。また、比較例2、3のゴム組成物においては、圧縮永久歪が30%を大きく超え、80%以上であった。比較例2、3の無架橋のゴム組成物は、デマッチャ試験において、100回程度で破断した。実施例1〜7の無架橋のゴム組成物は30℃における損失正接(tanδ)が0.1以上であったが、比較例1〜3の無架橋のゴム組成物は30℃における損失正接(tanδ)が0.1未満であった。
表1に示すように、実施例1〜7のマウントラバーは、ハーンエコー法によるfnnが0.2未満であった。
表1に示すように、実施例1〜7の無架橋のゴム組成物における流動温度は、200℃以上であり、優れた耐熱性を有するため、無架橋のままマウントラバーとして利用できることがわかる。特に、無架橋のままマウントラバーとして利用できるため、リサイクル性が良好であった。
本発明の一実施の形態に係るブレーキ液圧制御装置を模式的に示す側面図である。 図1の2矢視図である。 図2に示すマウントラバーを模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 ブレーキ液圧制御装置
10 ハウジング
11 第1の面
12 第2の面
14 取付け凸部
20 カバー
21 ボルト
24 コネクタ
30 モーターケース
31 ボルト
40 マウント手段
42 マウント軸
42a 嵌合軸部
42b フランジ部
42c 回転規制部
42d ねじ軸部
48 ナット
50 マウントラバー
52 取付け穴
54 軸受穴
60 ブラケット
60a,60b 支持板部
70 車体フレーム

Claims (9)

  1. 車両と、該車両に取り付けられる被支持体と、の間で振動を吸収するマウントラバーであって、
    ムと、該ゴムに分散されたカーボンナノファイバーと、を含む無架橋のゴム組成物で形成され
    前記無架橋のゴム組成物は、30℃の動的弾性率に対する150℃の動的弾性率の割合である動的弾性率の保持率が50%以上である、マウントラバー。
  2. 請求項1において、
    前記無架橋のゴム組成物は、前記ゴム100重量部に対して、前記カーボンナノファイバーを5〜100重量部含み、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである、マウントラバー。
  3. 請求項1または2において、
    前記無架橋のゴム組成物は、30℃及び150℃における動的弾性率がいずれも8MPa以上である、マウントラバー。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
    前記ゴムは、分子量が5000ないし500万である、マウントラバー。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記ゴムは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし3000μ秒である、マウントラバー。
  6. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記ゴムは、エチレン・プロピレンゴムもしくはスチレン−ブタジエンゴムである、マウントラバー。
  7. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記無架橋のゴム組成物は、30℃における損失正接(tanδ)が0.1以上である、マウントラバー。
  8. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記無架橋のゴム組成物の流動温度は、150℃以上である、マウントラバー。
  9. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    被支持体は、ブレーキ液圧制御装置のハウジングであり、
    前記車両は、該車両の一部に固定されたマウント軸を有し、
    前記ハウジングと前記マウント軸とを連結する、マウントラバー。
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