JP2010195957A - 半導電性樹脂組成物の製造方法、成形体、電子写真用転写ベルト、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗ばらつきが十分に小さい成形体を製造可能な半導電性樹脂組成物の製造方法を提供すること。抵抗ばらつきが十分に小さい成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する第1混練工程;および混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する第2混練工程;を有する半導電性樹脂組成物の製造方法。導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造を有する成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置。
【選択図】なし
【解決手段】導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物の製造方法であって、少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する第1混練工程;および混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する第2混練工程;を有する半導電性樹脂組成物の製造方法。導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造を有する成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導電性樹脂組成物の製造方法、成形体、電子写真用転写ベルト、および画像形成装置に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS樹脂」と略す)は、優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性など、エンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。しかしPPS樹脂はポリアミド樹脂等の他のエンジニアリングプラスチックに比べ、靭性面で十分に優れているとは言い難い。そのため、従来よりPPS樹脂は、多くの場合、ガラス繊維などの強化剤を併用し、強度を向上させて用いられてきた。
しかし、近年、軽量性や表面平滑性などの要求から、PPS樹脂においても、ガラス繊維などを用いない非強化材料としての需要が高まり、靭性の優れた非強化PPS材料が求められている。
非強化PPS材料の靭性を向上させる方法として、ポリアミド樹脂を含有せしめたPPS樹脂組成物が知られている。例えば、特許文献1〜3に開示されているような靭性に優れる材料とのブレンドによりPPSの靭性を向上させる試みが多々検討されている。もしPPSとポリアミドが水に砂糖を溶かすがごとく均一になるならば、開示されている技術で課題は解決できる。しかしながら、PPSとポリアミドとのブレンドは相溶しにくく、唯一4,6ナイロンが300℃以上の高温度で相溶するが、冷却すると相分離することが確認されている。よく知られているように、ポリマーとエラストマーとのブレンドは相溶したときに驚くべき物性改善がなされるが、PPSではそのような組み合わせは見つかっていない。ゆえに他のエラストマーとのブレンドは、有効な強度物性改善手段とならず、PPSが有する高弾性率だけでなく、燃焼性などの優れた特性を損なう問題がある。
一方、特許文献4〜5には、ウェルドクラック発生の抑制された機械的強度に優れた酸化架橋PPS樹脂が開示されているが、引張伸びや衝撃強度などの靭性面では必ずしも十分優れているとは言い難い。さらに酸化架橋処理では押出し成形のような連続生産で成形体を得る用途には活用しにくい問題点がある。
さらにPPS樹脂組成物を電子写真用途の転写ベルトに適用する場合、カーボンなどの導電性物質を添加し、樹脂の導電性を均一な半導体領域にする必要があるが、PPS樹脂はカーボンの分散性が必ずしも優れているとは言えず、押出し成形時にカーボンの分散状態が変化し、導電性が不均一となる問題を抱えている。転写ベルトにおいて導電性が不均一であると、耐刷時において文字の中抜けやトナーの飛び散りが発生する。
例えば、樹脂やゴムなどの絶縁性の高分子を103Ωcm以上1012Ωcm以下の半導電性にするために絶縁性高分子と導電性物質とを複合化する場合、絶縁性の高分子に対して体積固有抵抗103Ωcm未満の導電性物質、たとえばカーボンを分散させる。しかしながら、103Ωcm以上1012Ωcm以下の抵抗領域で安定な半導電性樹脂組成物を容易に得ることはできなかった。すなわち、導電性物質の分散性が比較的高い高分子を用いると、当該高分子への導電性物質の添加率と達成される体積抵抗との関係が再現よく得られるが、当該分散性が比較的低い高分子との組み合わせでは、パーコレーション転移として一般に知られている現象において転移点のばらつきが大きく生じるため、添加率−体積抵抗の関係は再現良く得られない。具体的には、粉体で測定した体積固有抵抗が1Ωcmのカーボンを用いた場合、導電性物質の分散性が比較的高い高分子を用いると、添加率5%で、108Ωcmから109Ωcmまでの範囲内で体積抵抗が観察される。一方、導電性物質の分散性が比較的低い高分子を用いると、添加率5%で、108Ωcmから1012Ωcmまでの比較的広い範囲内で体積抵抗が観察される。これは、後者の高分子に対してカーボンの分散が不安定であり、混練などの手段によってカーボンの分散状態がばらつくためと考えられる。
本発明は、抵抗ばらつきが十分に小さい成形体を製造可能な半導電性樹脂組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、抵抗ばらつきが十分に小さい成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物の製造方法であって、
少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する第1混練工程;および
混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する第2混練工程;
を有することを特徴とする半導電性樹脂組成物の製造方法に関する。
少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する第1混練工程;および
混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する第2混練工程;
を有することを特徴とする半導電性樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明はまた、導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有し、
導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造を有することを特徴とする成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置に関する。
導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造を有することを特徴とする成形体、特に電子写真用転写ベルト、および該転写ベルトを備えた画像形成装置に関する。
本発明によれば、導電性物質の均一な分散を達成するので、抵抗ばらつきが十分に小さい半導電性樹脂組成物および成形体、特に電子写真用転写ベルトを得ることができる。特に高分子Aとしてナイロン樹脂、高分子Bとしてポリフェニレンスルフィド樹脂を使用すると、ナイロン樹脂が本来的に有する高靭性を有効に発揮しながらも、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来的に有する良好な耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、弾性および電気絶縁性も有効に発揮できる。
[半導電性樹脂組成物の製造方法]
本発明に係る半導電性樹脂組成物の製造方法は、導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物を製造するものであり、所定の第1混練工程および第2混練工程を実施することを特徴とする。
本発明に係る半導電性樹脂組成物の製造方法は、導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物を製造するものであり、所定の第1混練工程および第2混練工程を実施することを特徴とする。
(第1混練工程)
第1混練工程においては、少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する。これによって、半導電性樹脂組成物および当該組成物からなる成形体において、導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造が達成され、結果として、抵抗ばらつきが十分に低減された成形体を得ることができる。そのような構造はいわゆる海島構造とも呼ばれるものであり、例えば図1に示すように、高分子A領域1は高分子B領域2中に島状に分散され、導電性物質は当該高分子A領域1中に優先的に分散され、高分子B領域2にはほとんど分散されない。そのため、導電性物質は全体として均一な分散が達成されるので、抵抗ばらつきが十分に低減された成形体を得ることができるものと考えられる。第1混練工程で高分子Aが使用されなかったり、高分子Bの使用量が多すぎたり、バッチ式混練装置以外の混練装置、例えば連続式押出混練装置を使用したりすると、高分子Bの領域にも導電性物質が分散され上記海島構造が有効に形成されないため、得られる半導電性樹脂組成物から製造された成形体の抵抗ばらつきは増大する。
第1混練工程においては、少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する。これによって、半導電性樹脂組成物および当該組成物からなる成形体において、導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造が達成され、結果として、抵抗ばらつきが十分に低減された成形体を得ることができる。そのような構造はいわゆる海島構造とも呼ばれるものであり、例えば図1に示すように、高分子A領域1は高分子B領域2中に島状に分散され、導電性物質は当該高分子A領域1中に優先的に分散され、高分子B領域2にはほとんど分散されない。そのため、導電性物質は全体として均一な分散が達成されるので、抵抗ばらつきが十分に低減された成形体を得ることができるものと考えられる。第1混練工程で高分子Aが使用されなかったり、高分子Bの使用量が多すぎたり、バッチ式混練装置以外の混練装置、例えば連続式押出混練装置を使用したりすると、高分子Bの領域にも導電性物質が分散され上記海島構造が有効に形成されないため、得られる半導電性樹脂組成物から製造された成形体の抵抗ばらつきは増大する。
本工程で高分子Bは必ずしも溶融・混練されなければならないというわけではなく、本工程における高分子Bの好ましい使用量は高分子Aに対して90重量%以下、特に10〜80重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。
高分子Aおよび高分子Bは、使用される導電性物質の分散性が異なる高分子であり、特に高分子Aは、当該導電性物質の分散性が比較的高いものであって、高分子Bは当該導電性物質の分散性が比較的低いものである。
高分子Aおよび高分子Bは詳しくは、当該高分子Aおよび高分子Bそれぞれに対して、導電性物質を同一の量で分散させて試験片を作製したとき、高分子B試験片の体積抵抗ばらつきが高分子A試験片の体積抵抗ばらつきより0.5以上大きい高分子である。高分子B試験片の体積抵抗ばらつきから高分子A試験片の体積抵抗ばらつきを減じて得られる値は、抵抗ばらつきのさらなる低減の観点から好ましくは0.5〜9、特に0.5〜2である。
本明細書中、試験片の体積抵抗ばらつきは、体積抵抗の測定値における最大値および最小値についてLog10(最大値/最小値)で表される値で示すものとする。体積抵抗の測定値は、以下の方法によって測定された試験片の表裏について、抵抗計(ハイレスタ、三菱油化電子社製)を用いて測定電圧500V、測定時間10秒で、押出方向に対して垂直な周方向において等間隔にて24点で測定された値である。
試験片は以下の方法によって製造された帯状試験片を用いている。まず、所定の高分子と所定の導電性物質を所定の比率でバッチ式混練装置で溶融・混練する。次いで、混練物を連続式混練装置で溶融・混練した後、混練物を押出成形して板状試験片を製造する。試験片の大きさは上記の測定装置で測定可能な大きさであればよく、通常、縦10〜50cm×横10〜50cm×厚50〜500μmの寸法のものを用いることができる。溶融・混練後は通常、冷却を行う。
試験片製造に際し、導電性物質の高分子に対する混合比率は10重量%に設定されるが、これに制限されず、当該比率によって試験片の体積抵抗ばらつきは変化するものではない。
連続式混練装置は二軸押出混練機(KTX30;神戸製鋼社製)を290℃、250rpmに設定して用いるが、これに制限されず、混練装置および混練条件によって試験片の体積抵抗ばらつきは変化するものではない。
バッチ式混練装置はバンバリーミキサー(モリヤマ社製)を280℃、120rpm、混練時間10分間に設定して用いるが、これに制限されず、混練装置および混練条件によって試験片の体積抵抗ばらつきは変化するものではない。
連続式混練装置は二軸押出混練機(KTX30;神戸製鋼社製)を290℃、250rpmに設定して用いるが、これに制限されず、混練装置および混練条件によって試験片の体積抵抗ばらつきは変化するものではない。
バッチ式混練装置はバンバリーミキサー(モリヤマ社製)を280℃、120rpm、混練時間10分間に設定して用いるが、これに制限されず、混練装置および混練条件によって試験片の体積抵抗ばらつきは変化するものではない。
高分子Aは通常、当該高分子Aに対して10重量%の導電性物質を分散させたときの高分子A試験片の体積抵抗ばらつきが0.1〜1である高分子が使用され、抵抗ばらつきのさらなる低減の観点からは当該体積抵抗ばらつきが0.1〜0.5である高分子が好ましい。
そのような高分子Aの好ましい具体例として、例えば、ナイロン樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。2種類以上の高分子Aが使用されてもよい。
高分子Bは通常、当該高分子Bに対して10重量%の導電性物質を分散させたときの高分子B試験片の体積抵抗ばらつきが1〜10である高分子が使用され、抵抗ばらつきのさらなる低減の観点からは当該体積抵抗ばらつきが1〜5である高分子が好ましい。
そのような高分子Bの好ましい具体例として、例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂という)、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、単にPET樹脂という))等が挙げられる。2種類以上の高分子Bが使用されてもよい。
高分子Aと高分子Bとの好ましい組み合わせとして、例えば、以下に示す組み合わせが例示できる。
高分子A;ナイロン樹脂−高分子B;PPS樹脂という。
高分子A;ナイロン樹脂−高分子B;ポリエステル樹脂、特にPET樹脂。
高分子A;ナイロン樹脂−高分子B;PPS樹脂という。
高分子A;ナイロン樹脂−高分子B;ポリエステル樹脂、特にPET樹脂。
ナイロン樹脂は、本発明ではポリアミドとも呼ばれている樹脂である。ナイロン樹脂は、特に制限されず、各種ポリアミドが使用可能である。具体例として、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムなどラクタム類の開環重合によって得られるポリアミド;6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノ酸から導かれるポリアミド;エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4,4´−アミノシクロヘキシル)メタン、メタおよびパラキシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族または芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびダイマー酸などの脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸、またはそれらの酸ハロゲン化物(例えば酸クロリド)などの酸誘導体とから導かれるポリアミドおよびこれらの共重合ポリアミド;ならびにそれらの混合ポリアミド等が挙げられる。本発明においてはこれらのうち通常は、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とのポリアミド、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)およびこれらのポリアミド原料を主成分とする共重合ポリアミドが有用である。
ナイロン樹脂の重合度は特に制限されず、例えば、相対粘度(ポリマー1gを98%濃硫酸100mlに溶解し、25℃で測定)が2.0〜5.0の範囲内にあるポリアミドを目的に応じて任意に選択できる。
ナイロン樹脂の重合方法は特に制限されず、通常は公知の溶融重合法、溶液重合法およびこれらを組合せた方法を採用することができる。
ナイロン樹脂はまた、市販の6ナイロン(東レ社製)、MXD6(三菱ガス化学社製)、4,6ナイロン(DSMジャパンエンプラ社製)、ザイテル(デュポン社製)等として入手することもできる。
ナイロン樹脂はまた、市販の6ナイロン(東レ社製)、MXD6(三菱ガス化学社製)、4,6ナイロン(DSMジャパンエンプラ社製)、ザイテル(デュポン社製)等として入手することもできる。
PPS樹脂は、いわゆるエンジニアリングプラスチックとして有用なポリフェニレンスルフィドである。PPS樹脂の分子量は特に制限されないが、溶融流動性の向上の観点から、ゲル浸透クロマトグラフ法で求められた分子量分布のピーク分子量がMwで5000〜1000000、特に40000〜90000のものを使用するのが好ましい。
PPS樹脂の製造方法は特に制限されず、例えば、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載された方法等のような公知の方法によって製造可能である。
PPS樹脂はまた、市販のポリフェニレンサルファイドとして東レ(株)、大日本インキ化学工業(株)等より入手することもできる。
PPS樹脂はまた、市販のポリフェニレンサルファイドとして東レ(株)、大日本インキ化学工業(株)等より入手することもできる。
PPS樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲内で、種々の処理を施した上で使用することができる。そのような処理として、例えば、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、熱水などによる洗浄処理、および酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、従来から、飲料用容器の分野でポリエステル樹脂として使用されているものが使用可能である。具体例として、例えば、ポリエステルは芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート),ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合体、またはこれらと小割合のポリアミド等の他樹脂とのブレンド物なども含まれる。
ポリエステル樹脂の分子量は特に制限されないが、溶融流動性の向上の観点から、ゲル浸透クロマトグラフ法で求められた分子量分布のピーク分子量がMwで5000〜1000000、特に40000〜90000のものを使用するのが好ましい。
ポリエステル樹脂は、市販のPBT樹脂トレコン(東レ社製)等として入手することもできる。
導電性物質としては、含有されることによって導電性を付与できるものであれば特に制限されず、粉体状態での体積固有抵抗が105Ω・cm以下の物質が好ましく使用される。そのような導電性物質として、例えば、電子写真用転写ベルトの分野で従来から使用されている公知の導電性物質が使用可能である。具体例として、例えば、カーボン;酸化スズ、酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ等の金属酸化物微粒子;ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンの導電性高分子等が挙げられる。カーボンが好ましく使用される。市販されているカーボンは一次粒径が10nm未満と小さく、それ自身の凝集力が強いため一般に樹脂中において分散され難いため、抵抗ばらつきを低減することは困難であるが、本発明においてはカーボンを使用する場合であっても、カーボンを十分に均一に分散させ、抵抗ばらつきが十分に低減された成形体を製造できるためである。
第1混練工程における導電性物質の使用量は、半導電性の成形体を製造可能な半導電性樹脂組成物が得られれば特に制限されず、通常は、高分子Aに対して30〜250重量%、好ましくは50〜200重量%、より好ましくは60〜180重量%である。2種類以上の導電性物質が使用される場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
第1混練工程で使用される混練装置はいわゆるバッチ式混練装置であり、密閉室内で、材料を加熱しながら、羽根を持ったローターを回転させ、溶融状態の材料に剪断作用を与えることを原理とする混練装置である。抵抗ばらつきのさらなる低減の観点から好ましく使用されるバッチ式混練装置は、2本のローターを有し、当該2本のローターが互いに逆方向に回転する、いわゆるバンバリーミキサーである。
バンバリーミキサーは市販品として入手可能であり、例えば、モリヤマ社製、トーシン社製等のバンバリーが使用可能である。
第1混練工程における混練条件は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではない。
例えば、混練温度は通常、高分子Aに依存して決定され、高分子Aの融点をTmaとしたときにTma−50℃からTma+100℃の範囲で選択される。このとき高分子Aの分解温度よりも高い温度で混練するのは好ましくない。ゆえにTma>200℃の場合に好ましい温度はTma−50℃から300℃、さらに好ましくは200℃から300℃の温度範囲である。
混練時のローター回転速度は通常、10〜500rpm、特に50〜200rpmが好ましい。
混練時間は通常、3〜20分間、特に5〜15分間が好ましい。
混練装置における材料の容積充填率は通常、70〜95%、特に75〜90%が好ましい。
例えば、混練温度は通常、高分子Aに依存して決定され、高分子Aの融点をTmaとしたときにTma−50℃からTma+100℃の範囲で選択される。このとき高分子Aの分解温度よりも高い温度で混練するのは好ましくない。ゆえにTma>200℃の場合に好ましい温度はTma−50℃から300℃、さらに好ましくは200℃から300℃の温度範囲である。
混練時のローター回転速度は通常、10〜500rpm、特に50〜200rpmが好ましい。
混練時間は通常、3〜20分間、特に5〜15分間が好ましい。
混練装置における材料の容積充填率は通常、70〜95%、特に75〜90%が好ましい。
第1混練工程後は、通常、混練物を冷却し、次工程での処理を容易にするために、粉砕によってペレタイズする。
冷却は、混練物をバンバリーから取り出すことによって達成できる。−40℃〜60℃の気体で冷却するか、−40℃〜60℃の金属に接触させることによって、冷却を達成してもよい。本発明は急冷を行わなければならないというわけではなく、放置冷却を行ってもよい。
冷却は、混練物をバンバリーから取り出すことによって達成できる。−40℃〜60℃の気体で冷却するか、−40℃〜60℃の金属に接触させることによって、冷却を達成してもよい。本発明は急冷を行わなければならないというわけではなく、放置冷却を行ってもよい。
(第2混練工程)
混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する。
第2混練工程で添加される高分子Bの使用量は、第1混練工程および第2混練工程における高分子Bの合計使用量が、第1混練工程で使用される高分子Aに対して200重量%以上、特に200〜3000重量%、好ましくは500〜2000重量%、より好ましくは1000〜2000重量%となるような量である。高分子Bの使用量が少なすぎると、上記海島構造が有効に形成されない。
混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する。
第2混練工程で添加される高分子Bの使用量は、第1混練工程および第2混練工程における高分子Bの合計使用量が、第1混練工程で使用される高分子Aに対して200重量%以上、特に200〜3000重量%、好ましくは500〜2000重量%、より好ましくは1000〜2000重量%となるような量である。高分子Bの使用量が少なすぎると、上記海島構造が有効に形成されない。
第2混練工程で使用される混練装置は特に制限されず、例えば、連続式混練装置であってもよいし、または前記したバッチ式混練装置であってもよい。連続式混練装置は、供給された材料を開放室内で加熱しながら、羽根を持ったローターを回転させ、溶融状態の材料に剪断作用を与え、連続的に混練物を吐出する混練装置である)。
連続式混練装置は市販品として入手可能であり、例えば、KTX30、KTX46(神戸製鋼社製)、48SS,58SS(東芝機械社製)等が使用可能である。
第2混練工程における混練条件は本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではない。
例えば、連続式混練装置を使用する場合、混練温度は通常、高分子Bに依存して決定され、高分子Bの融点をTmbとしたときにTmb−50℃からTmb+100℃の範囲で選択される。このとき高分子Aの分解温度よりも高い温度で混練するのは好ましくない。ゆえにTma>200℃の場合に好ましい温度はTmb−50℃から300℃、さらに好ましくは250℃から300℃の温度範囲である。
混練時のローター回転速度は通常、200〜800rpm、特に250〜500rpmが好ましい。
例えば、連続式混練装置を使用する場合、混練温度は通常、高分子Bに依存して決定され、高分子Bの融点をTmbとしたときにTmb−50℃からTmb+100℃の範囲で選択される。このとき高分子Aの分解温度よりも高い温度で混練するのは好ましくない。ゆえにTma>200℃の場合に好ましい温度はTmb−50℃から300℃、さらに好ましくは250℃から300℃の温度範囲である。
混練時のローター回転速度は通常、200〜800rpm、特に250〜500rpmが好ましい。
第2混練工程後は、通常、混練物を冷却し、次工程での処理を容易にするために、粉砕によってペレタイズする。
半導電性樹脂組成物には、用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、いわゆる強化剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤、などの他の添加剤が配合されてもよい。
他の添加剤が配合される場合、第1混練工程前において添加・混合されてもよいし、第2混練工程直前において添加・混合されてもよいし、または後述する成形工程直前において添加・混合されてもよい。
強化剤としては、繊維状および/または粒状の強化剤が使用可能である。
繊維状強化剤としては、ガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維等が挙げられる。
粒状強化剤としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられ、これらは中空であってもよい。
強化剤は2種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
繊維状強化剤としては、ガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維等が挙げられる。
粒状強化剤としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられ、これらは中空であってもよい。
強化剤は2種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
以上の方法で製造された半導電性樹脂組成物は、成形体と同様にいわゆる海島構造を有し、体積抵抗およびそのばらつきがそれぞれ後述する成形体と同様の範囲内のものである。
[成形体]
本発明の成形体は、以上の方法で製造された半導電性樹脂組成物を、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、吹込成形法、射出圧縮成形法などの公知の各種成形法に適用することによって、任意の形状で製造できる。例えば、ベルト(特にシームレス環状ベルト)、フィルム、パイプ、繊維などの形状を有する成形体を製造できる。成形法は、特に射出成形法、押出成形法が好適である。半導電性樹脂組成物は、前記したいわゆる海島構造を有するため、当該半導電性樹脂組成物からなる成形体もまた当該海島構造を有する。
本発明の成形体は、以上の方法で製造された半導電性樹脂組成物を、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、吹込成形法、射出圧縮成形法などの公知の各種成形法に適用することによって、任意の形状で製造できる。例えば、ベルト(特にシームレス環状ベルト)、フィルム、パイプ、繊維などの形状を有する成形体を製造できる。成形法は、特に射出成形法、押出成形法が好適である。半導電性樹脂組成物は、前記したいわゆる海島構造を有するため、当該半導電性樹脂組成物からなる成形体もまた当該海島構造を有する。
本発明の成形体は各種用途に適用できる。そのような用途の一例を以下に示す。例えば、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、機遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭・事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器・精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品等々。
半導電性樹脂組成物を電子写真用転写ベルトの製造に用いると、本発明の効果をさらに有効に得ることができる。電子写真用転写ベルトにおいて導電性物質は均一に分散させることが困難であり、抵抗ばらつきが比較的大きかったが、本発明においては抵抗ばらつきを十分に低減できるためである。
本発明の成形体は体積抵抗ばらつきが0.01〜1.00、特に0.10〜1.00であり、好ましくは0.10〜0.60である。このとき、体積抵抗は通常、1×103〜1×1012Ω・cm、好ましくは1×106〜1×1011Ω・cmである。
成形体の体積抵抗は、抵抗計(ハイレスタ、三菱油化電子社製)を用い、測定電圧500V、測定時間10秒で測定された値を用いている。詳しくは、任意の24点の計測値を得る。好ましくは押出し方向に対して垂直方向について等間隔で全周にわたって計測を行い、合計24点の計測値を得る。それらの平均値が体積抵抗である。体積抵抗のばらつきは、当該体積抵抗の測定値における最大値および最小値についてLog10(最大値/最小値)で表される値である。半導電性樹脂組成物の体積抵抗およびそのばらつきも、成形体の体積抵抗およびそのばらつきの測定方法と同様の方法によって測定できる。)
電子写真用転写ベルトは、感光体上に形成されたトナー像を自己の表面に一旦、転写させた後、転写されたトナー像を紙等の記録材にさらに転写させるための中間転写ベルトであってもよいし、または紙を自己の表面に静電気により吸着し、感光体上に形成されたトナー像をその紙に転写する直接転写ベルトであってもよい。
転写ベルトはシームレス環状形状を有することが好ましい。そのような形状を有する転写ベルトは、成形の際に環状金型ダイの内部において溶融樹脂が合流する領域が他の領域と比較して導電性物質の含有割合が高くなり、電気抵抗値が著しく低くなる傾向があるが、本発明の転写ベルトはそのような合流領域においても、他の領域と略同程度の電気抵抗値を達成できる。
転写ベルトは、前記半導電性樹脂組成物からなるベルトをそのまま用いても良いが、転写効率を高めるために、表面だけを硬くすると、本発明の効果をさらに有効に得ることができる。表面だけを硬くする方法として無機材料をコーティングする方法がよいが、その方法は特に限定されるものではない。例えば、「ゾル−ゲル法応用技術の新展開」(CMC出版)に記載されているような塗布による方法、「薄膜材料入門」(裳華房)に記載されたCVD,PVD,プラズマコーティングなどの物理化学的方法など、公知の方法を採用できる。表面にコーティングされる無機材料は、本発明の目的を達成できる限り特に制限されず、物性と経済性を考慮すると、Si、Al、Cを含む酸化物系材料が特に好ましい。例えば、アモルファスシリカ薄膜、アモルファスアルミナ薄膜、アモルファスシリカアルミナ薄膜、アモルファスダイヤモンド薄膜などが推奨される。このように硬度が比較的高い無機薄膜をベルトにコーティングすることにより、ブレードとの摩擦磨耗寿命が改善されたり、転写性が向上する。
転写ベルトは、中間転写方式の画像形成装置に用いられる転写ベルトであり、特に継ぎ目のないシームレスベルトであることが好ましい。転写ベルトは、現像装置に単色トナーのみを持つモノカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対してY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の現像器が備わり、各色の現像器ごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うサイクル方式フルカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対して1つの現像器が備わった各色の画像形成ユニットが直列に配置され、各色の画像形成ユニットごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うタンデム方式フルカラー画像形成装置などに適用することができる。本発明の転写ベルトを適用することにより文字の中抜けやトナーの飛び散りを抑制できる画像形成装置とすることができる。
例えば、図2に示すようなタンデム方式フルカラー画像形成装置において、転写ベルト1は数本のローラー52、53、54等に張架され、当該転写ベルト51に沿って直列に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)およびB(ブラック)の画像形成ユニット55,56,57,58が配置されている。転写ベルト51は矢印の方向に回転され、各画像形成ユニットで潜像担持体(感光体)(59,60,61,62)上に形成されたトナー像が一次転写ローラ(63,64,65,66)により転写ベルト51上に順次、一次転写される。その後、転写ベルト51上に形成された4色トナー像は二次転写ローラ67と押圧ローラ52との間で記録材(記録紙)68に二次転写されるようになっている。
各画像形成ユニット(55、56、57、58)では、潜像担持体(59、60、61、62)は表面を帯電器(例えば、69)により一様に帯電され、露光器(例えば、70)により画像に対応する静電潜像を形成される。形成された静電潜像は現像器(例えば、71)で現像され、トナー像が一次転写ローラ(例えば、63)によって転写ベルトに転写された後は、図示しないクリーナ等により残留トナーを除去されるようになっている。
以下の実施例/比較例では以下に示す材料を用いた。
高分子Aとして6ナイロン(東レ社製、TgA=47℃)を用いた。
高分子BとしてPPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製、TgB=90℃)またはPET(ポリエチレンテレフタレート;帝人デュポン社製、TgB=110℃)を用いた。
導電性物質として酸性カーボン(デグサ社製)を用いた。
高分子Aとして6ナイロン(東レ社製、TgA=47℃)を用いた。
高分子BとしてPPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製、TgB=90℃)またはPET(ポリエチレンテレフタレート;帝人デュポン社製、TgB=110℃)を用いた。
導電性物質として酸性カーボン(デグサ社製)を用いた。
前記した方法により、高分子Aおよび高分子Bそれぞれに導電性物質を所定の量で分散させて高分子A試験片および高分子B試験片を製造し、体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
各実施例/比較例で使用された高分子Aの試験片および高分子Bの試験の体積抵抗およびそのばらつきを表1にまとめて示す。
各実施例/比較例で使用された高分子Aの試験片および高分子Bの試験の体積抵抗およびそのばらつきを表1にまとめて示す。
(実施例1)
PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)0.72kg、6ナイロン(東レ社製)1.08kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.8kgを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて300℃の温度条件で150rpmにて10分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は85%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を30kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPPS80kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で290℃の温度条件で300rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)0.72kg、6ナイロン(東レ社製)1.08kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.8kgを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて300℃の温度条件で150rpmにて10分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は85%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を30kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPPS80kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で290℃の温度条件で300rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
中間転写ベルトの体積抵抗は、抵抗計(ハイレスタ、三菱油化電子社製)を用い、測定電圧500V、測定時間10秒で測定した。詳しくは、押出し方向に対して垂直方向について20mm間隔で全周にわたって計測を行い、合計24点の計測値を得、それらの平均値およびばらつきについて評価した。
(実施例2)
6ナイロン(東レ社製)80gおよび酸性カーボン(デグサ社製)100gを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて200℃の温度条件で180rpmにて10分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は90%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を16kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPPS84kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で295℃の温度条件で300rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
中間転写ベルトの透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図1に示した。
6ナイロン(東レ社製)80gおよび酸性カーボン(デグサ社製)100gを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて200℃の温度条件で180rpmにて10分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は90%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を16kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPPS84kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で295℃の温度条件で300rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
中間転写ベルトの透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図1に示した。
(実施例3)
PET(ポリエチレンテレフタレート;帝人デュポン社製)0.72kg、6ナイロン(東レ社製)1.08kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.8kgを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて260℃の温度条件で100rpmにて5分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は90%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を30kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPET80kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で280℃の温度条件で250rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって290℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
(実施例4)
第1混練工程において、PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)0.9kg、6ナイロン(東レ社製)0.9kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.5kgを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
PET(ポリエチレンテレフタレート;帝人デュポン社製)0.72kg、6ナイロン(東レ社製)1.08kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.8kgを、バンバリーミキサー(モリヤマ社製)を用いて260℃の温度条件で100rpmにて5分間混練した(第1混練工程)。バンバリーミキサーにおける容積充填率は90%であった。混練された高分子組成物を樹脂粉砕機で粉砕した。上記原料に対して、この混練−粉砕のプロセスを繰り返し、高分子組成物を30kg製造した。この高分子組成物20kgおよびPET80kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で280℃の温度条件で250rpmにて混練し、混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(第2混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって290℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
(実施例4)
第1混練工程において、PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)0.9kg、6ナイロン(東レ社製)0.9kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)1.5kgを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
(比較例1)
PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)84kg、6ナイロン(東レ社製)6kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)10kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で290℃の温度条件で300rpmにて混練し混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
PPS(ポリフェニレンサルファイド;東レ社製)84kg、6ナイロン(東レ社製)6kgおよび酸性カーボン(デグサ社製)10kgを連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)で290℃の温度条件で300rpmにて混練し混練物を30℃の水に浸漬することによって冷却し、ペレタイザーでペレット化した(混練工程)。このペレットを、環状金型ダイを取り付けた成形機によって295℃にて押出成形して、シームレス環状形状の中間転写ベルト(厚み120μm)を得た(成形工程)。この中間転写ベルトの体積抵抗を測定し、それらの平均値および体積抵抗ばらつきを算出した。
(比較例2)
第1混練工程において、バンバリーミキサーの代わりに、連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)を290℃の温度条件にて用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
第1混練工程において、バンバリーミキサーの代わりに、連続式二軸混練機(KTX30;神戸製鋼社製)を290℃の温度条件にて用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
(比較例3)
第1混練工程において、PPSを1.08kg、6ナイロンを0.9kg用いたこと、第2混練工程においてPPSを1.8kg用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
第1混練工程において、PPSを1.08kg、6ナイロンを0.9kg用いたこと、第2混練工程においてPPSを1.8kg用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、中間転写ベルトの製造および評価を行った。
本発明は、電気、電子部品、自動車部品、一般機械部品など種々の広い分野に適用できる。特に、本発明の転写ベルトは電子写真式画像形成装置に用いられる直接転写ベルトもしくは中間転写ベルトに応用した場合にベルトの周方向の抵抗安定性に優れたベルトを提供できる。
1:高分子A領域、2:高分子B領域。
Claims (17)
- 導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有する半導電性樹脂組成物の製造方法であって、
少なくとも導電性物質および高分子A、ならびに高分子Aに対する比率が100重量%以下の高分子Bを、バッチ式混練装置を用いて溶融・混練する第1混練工程;および
混練物に高分子Bを添加し、さらに溶融・混練する第2混練工程;
を有することを特徴とする半導電性樹脂組成物の製造方法。 - 高分子Aおよび高分子Bが、該高分子Aおよび高分子Bそれぞれに対して、前記導電性物質を同一の量で分散させて試験片を作製したとき、高分子B試験片の体積抵抗ばらつきが高分子A試験片の体積抵抗ばらつきより0.5以上大きい高分子である請求項1に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 高分子Aが、該高分子Aに対して10重量%の前記導電性物質を分散させたときの高分子A試験片の体積抵抗ばらつきが0.1〜1である高分子であり、
高分子Bが、高分子Bに対して10重量%の前記導電性物質を分散させたときの高分子B試験片の体積抵抗ばらつきが1〜10である高分子である請求項2に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。 - 第1混練工程における高分子Bの使用量が高分子Aに対して90重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 第1混練工程における導電性物質の使用量が高分子Aに対して50〜200重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 第1混練工程および第2混練工程における高分子Bの合計使用量が高分子Aに対して200重量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 第2混練工程において連続式混練装置またはバッチ式混練装置を用いて溶融・混練する請求項1〜6のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 高分子Aがナイロン樹脂であり、高分子Bがポリフェニレンスルフィド樹脂またはポリエステル樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 導電性物質がカーボンである請求項1〜8のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 体積抵抗が1×103〜1×1012Ω・cmである半導電性樹脂組成物を製造する請求項1〜9のいずれかに記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって製造された半導電性樹脂組成物。
- 導電性物質、該導電性物質の分散性が比較的高い高分子Aおよび該分散性が比較的低い高分子Bを含有し、
導電性物質が分散された高分子A領域が、高分子B領域中に分散されてなる構造を有することを特徴とする成形体。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって製造された半導電性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項11に記載の成形体。
- 体積抵抗ばらつきが0.01〜1である請求項12または13に記載の成形体。
- 体積抵抗が1×103〜1×1012Ω・cmである請求項12〜14のいずれかに記載の成形体。
- 成形体が電子写真用転写ベルトである請求項12〜15のいずれかに記載の成形体。
- 請求項12〜15のいずれかに記載の成形体が電子写真用転写ベルトであり、該転写ベルトを備えた画像形成装置。
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