JP2000230120A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Info

Publication number
JP2000230120A
JP2000230120A JP34861999A JP34861999A JP2000230120A JP 2000230120 A JP2000230120 A JP 2000230120A JP 34861999 A JP34861999 A JP 34861999A JP 34861999 A JP34861999 A JP 34861999A JP 2000230120 A JP2000230120 A JP 2000230120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene sulfide
sulfide resin
resin composition
parts
carbon black
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34861999A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadayuki Kobayashi
定之 小林
Atsushi Ishio
敦 石王
Kazuhiko Kobayashi
和彦 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP34861999A priority Critical patent/JP2000230120A/ja
Publication of JP2000230120A publication Critical patent/JP2000230120A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Connector Housings Or Holding Contact Members (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電気絶縁性が損なわれることなく、かつ射出成
形時におけるバリの発生量が抑制されたPPS樹脂組成
物であって、特に電気・電子部品の小型精密部品などの
用途に有用なPPS樹脂組成物を提供することを課題と
する。 【解決手段】本発明は、(A)ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂に対して、(B)カーボンブラックを添加してな
るポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であり、該ポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物の体積固有抵抗値が1
×1010以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成
物を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気絶縁性を有
し、かつ射出成形性に優れたポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物であり、とりわけ射出成形時のバリ発生量が
少ない射出成形品として有益な低バリ性ポリフェニレン
スルフィド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、難燃性、耐薬品
性、寸法安定性、剛性および電気絶縁性などエンジニア
リングプラスチックとしては好適な性質を有しているこ
とから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、
機械部品および自動車部品などの用途に使用されてい
る。
【0003】しかしながら、PPS樹脂は成形時のバリ
発生量が比較的多く、とりわけ低バリが要求される小型
精密部品などの用途においては使用が制限されている。
【0004】このような現状から、PPS樹脂のバリ低
減を目的としてこれまでにもいくつかの検討がなされて
いる。例えば、高度に架橋したPPS樹脂を特性改良剤
として配合する方法(特開昭64−9266号公報)、
PPS樹脂にシラン化合物を添加する方法(特開昭63
−251430号公報)、ベースポリマに特定の直鎖状
PPS樹脂と架橋PPS樹脂を組合わせて使用し、更に
シランカップリング剤を使用する方法(特開平3−19
7562号公報)などがある。
【0005】しかし、かかる従来の技術だけでは、ある
程度バリは低減されるものの、PBT樹脂やポリアミド
など他のエンプラに比べるといまだバリが多く、さらな
る低バリ化が望まれているのが現状である。
【0006】一方、PPS樹脂とカーボンブラックを配
合した組成物は、例えば特開昭59−100139号公
報、特開昭60−53560号公報に開示されている。
【0007】特開昭59−100139号公報には、耐
候性の改良を目的として、PPS樹脂、平均粒子径30
nm以下のカーボンブラックからなる組成物が開示され
ているものの、PPS樹脂に特定量のカーボンブラック
を添加した組成物が、電気絶縁性を有し、優れたバリ低
減効果及びガス発生量の低減化効果を示すことについて
は何ら記載がされていない。さらにここで具体的に用い
られているカーボンブラックの添加量は、PPS樹脂1
00重量部に対して、10〜70重量部である。我々の
検討では、カーボンブラックを10重量部以上添加した
場合、体積固有抵抗の著しい低下が認められた。
【0008】特開昭60−53560号公報には、PP
S樹脂と導電性カーボンブラックからなる導電性PPS
樹脂組成物が開示されているものの、PPS樹脂に特定
量のカーボンブラックを添加した組成物が、電気絶縁性
を有し、かつ優れたバリ低減効果及びガス発生量の低減
化効果を示すことについては何ら記載がされていない。
さらにここで具体的に用いられているカーボンブラック
の添加量は、PPS樹脂100重量部に対して30重量
部と多く、そのため体積固有抵抗値は3×10 2Ω・c
mまで低下している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状を鑑み、本
発明は従来技術で達成されているレベルよりも一段とバ
リが低減され、かつ電気絶縁性を有するPPS樹脂組成
物を得ることを課題とする。
【0010】本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検
討を行った結果、PPS樹脂に、カーボンブラックを特
定量添加することにより、上記問題点が一気に解決でき
ることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に対して、
(B)カーボンブラックを添加してなるポリフェニレン
スルフィド樹脂組成物であり、該ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂組成物の体積固有抵抗値が1×1010Ω・cm
以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(2)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量
部に対して、(B)カーボンブラックを0.001重量
部以上添加してなる上記(1)記載のポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物、(3)(B)カーボンブラック
が、そのpH値が8以上のカーボンブラックであること
を特徴とする上記(1)〜(2)のいずれか記載のポリ
フェニレンスルフィド樹脂組成物、(4)(B)カーボ
ンブラックが、そのDBP吸油量が300ml/100
g未満のカーボンブラックであることを特徴とする上記
(3)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(5)(B)カーボンブラックが、(B−1)アセチレ
ンブラックからなる上記(1)〜(4)のいずれか記載
のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、(6)更に
(C)次亜リン酸塩を、(A)ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部添加
してなる上記(1)〜(5)のいずれか記載のポリフェ
ニレンスルフィド樹脂組成物、(7)(A)ポリフェニ
レンスルフィド樹脂として、320℃、剪断速度100
0sec-1で、300ポアズ以上の溶融粘度を有するポ
リフェニレンスルフィド樹脂と、300ポアズ未満の溶
融粘度を有するポリフェニレンスルフィド樹脂を混合し
て用いることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれ
か記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、(8)
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物100重量
部に対して、さらに(D)エポキシ基、アミノ基、イソ
シアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中
から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキ
シシラン化合物を0.05〜5重量部添加して得られる
上記(1)〜(7)のいずれか記載のポリフェニレンス
ルフィド樹脂組成物、(9)上記(1)〜(8)のいず
れか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出
成形してなる射出成形品、および、(10)上記(1)
〜(8)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物を射出成形してなるコネクターを提供するもの
である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用するポリフェニレン
スルフィド樹脂とは、下記構造式で示される繰り返し単
位を含む重合体であり、
【0013】
【化1】
【0014】耐熱性の点から、上記構造式で示される繰
返し単位を70モル%以上、特に90モル%以上を含む
重合体であることが好ましい。またPPS樹脂はその繰
り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する
繰り返し単位等で構成することが可能である。
【0015】
【化2】
【0016】本発明で用いられるPPS樹脂は、通常公
知の方法即ち特公昭45−3368号公報に記載される
比較的分子量の小さな重合体を得る方法或は特公昭52
−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記
載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などに
よって製造できる。本発明において上記の様に得られた
PPS樹脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素
などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、
有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、
アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合
物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理
を施した上で使用することも可能であり、さらに、これ
らの処理を2種類以上行うことももちろん可能である。
また、これらの処理を行ったPPS樹脂を、2種類以上
の混合で使用することももちろん可能であり、2種類以
上の混合で使用する場合の具体的方法として、空気中加
熱により架橋したPPSと熱処理を行っていないPPS
の混合、酸水溶液による洗浄を行ったPPSと有機溶媒
による洗浄を行ったPPSの混合、有機溶媒で洗浄した
PPSと有機溶媒で洗浄を行っていないPPSの混合な
どが例示できる。
【0017】本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度
は、溶融混練が可能であれば特に制限はなく、通常50
〜10,000ポアズ(320℃、剪断速度1000s
ec -1)のものが使用されるが、中でも100〜500
0ポアズのものが好ましい。またより優れたバリ低減効
果を得るために、異なる溶融粘度のPPS樹脂を2種類
以上併用して用いることは有効であり、例えば、300
ポアズ以上の溶融粘度を有するPPS樹脂と、300ポ
アズ未満の溶融粘度を有するPPS樹脂を混合して用い
る方法が好適な方法として挙げられる。
【0018】PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化
する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化
性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴ
ンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、所定の温
度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う
方法が例示できる。加熱処理温度は通常、170〜28
0℃が選択され、好ましくは200〜270℃であり、
時間は通常0.5〜100時間が選択され、好ましくは
2〜50時間であるが、この加熱処理温度と時間を適宜
コントロールすることにより目標とする粘度レベルを得
ることができる。加熱処理の装置は減圧仕様、またはシ
ール性の高い仕様の通常の熱風乾燥機でもまた回転式あ
るいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく
しかもより均一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼
付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0019】PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気
下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法として
は、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、
加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜2
70℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2
〜50時間加熱処理する方法が例示できる。加熱処理の
装置は静置型の加熱装置でもまた回転式あるいは撹拌翼
付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均
一に処理する場合は回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置
を用いるのがより好ましい。
【0020】PPS樹脂を有機溶媒で洗浄する場合の具
体的方法としては以下の方法が例示できる。すなわち、
洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂を分解する
作用などを有しないものであれば特に制限はないが、例
えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、
トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲ
ン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレ
ングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶
媒などがあげられる。これらの有機溶媒のなかでN−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ク
ロロホルムなどの使用が好ましい。また、これらの有機
溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用すること
もできる。有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶
媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必
要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有
機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については
特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選
択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる
傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分
効果が得られる。
【0021】また有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は
残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で
数回洗浄することが好ましい。
【0022】PPS樹脂を熱水で処理する場合の具体的
方法としては以下の方法が例示できる。すなわち熱水洗
浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現
するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であ
ることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の
水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧で或いは圧力容
器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂
と水との割合は、水の多いほうが好ましいが、通常、水
1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選
択される。
【0023】PPS樹脂を酸処理する場合の具体的方法
としては以下の方法が例示できる。
【0024】すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹
脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹
拌または加熱することも可能である。用いられる酸はP
PSを分解する作用を有しないものであれば特に制限は
なく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽
和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハ
ロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸
などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチ
ル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コ
ハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、硫
酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物な
どがあげられる。中でも酢酸、塩酸がより好ましく用い
られる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸
または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄
することが好ましい。また洗浄に用いる水は、酸処理に
よるPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわな
い意味で蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0025】本発明における(B)カーボンブラック添
加の目的はバリの低減であって、制電性、導電性の付与
ではない。特にコネクターなどの電子部品用途で電気抵
抗の低下は好ましくなく、PPS樹脂の電気絶縁性を保
持するためには、PPS樹脂組成物中の体積固有抵抗値
が少なくとも1×1010Ω・cm以上であることが必要
であり、更には1×1012Ω・cm以上が好ましく、特
に1×1014Ω・cm以上となるようにカーボンブラッ
クの量を調整することが好ましい。この意味から、DB
P吸油量が300ml/100g未満のカーボンブラッ
クを用いることが好ましい。
【0026】かかるカーボンブラックの一次粒子の平均
粒子径には特に制限はないが、優れたバリ低減効果を得
るために、通常一次粒子の平均粒子径は10〜100n
mの範囲が好ましく用いられる。また、中でもバリ低減
効果と同時に組成物からのガス発生量の特別の低減効果
を得たい場合には、カーボンブラックとしては、平均粒
子径が10nm以上30nm以下のものが好ましく用い
られる。一方、バリ低減効果及び特に優れた衝撃強度を
必要とする場合には、平均粒子径は30nmを超し10
0nm以下のものが好ましく用いられる。さらにバリ、
ガス発生量、衝撃強度のバランスに優れた組成物を得る
には、カーボンブラックの平均粒子径は20nm〜30
nm以下、または30nm超50nm以下、すなわち2
0〜50nmの範囲のものが好ましく用いられる。
【0027】また、特に優れたバリ低減効果を得る意味
で、pH値が8以上のカーボンブラックを用いることが
好ましい。また、特にpH値が8以上であり、DBP吸
油量が300ml/100g未満のカーボンブラックを
用いることも有効である。
【0028】かかるカーボンブラックは、一次粒子同士
がつながって鎖状構造をとっていてもかまわない。一次
粒子の平均粒子径の測定は、フィラーハンドブック(大
成社刊、昭和60年発行初版、42頁)に記載されてい
るように電子顕微鏡を用いて、通常数百個から数千個の
粒子について個々の大きさを測定することによる計数法
によって求めることができる。カーボンブラックの形状
については、特に制限はなく、生成したままの軽い粉状
のもの、粉状品を圧縮して比重を高くしたプレス品のも
の、粉状品を半径0.3〜1.5mmの粒状にしたもの
いずれでもかまわない。製造法については、特に制限は
ないが、通常天然ガスないし液状炭化水素の不完全燃焼
または熱分解によって得ることができ、炭素含有率につ
いても特に制限はないが、通常95%以上のものが好ま
しい。
【0029】また、本発明における(B)カーボンブラ
ックは、より優れたバリ低減効果を得るために、(B−
1)アセチレンブラックを用いることが好ましい。
【0030】本発明における(B−1)アセチレンブラ
ックとは、アセチレンの不完全燃焼によって得られるカ
ーボンブラックの一種である。製造法については特に制
限はないが、通常熱分解、爆発分解あるいは燃焼法によ
り製造される。
【0031】又、アセチレンブラックの一次粒子の平均
粒子径については、通常10〜100nmのものが好ま
しく用いられ、中でも15〜50nmのものが特に好ま
しく用いられ、さらに好ましくは20〜50nmのもの
が用いられる。またアセチレンブラックの高次構造につ
いては、特に制限はないが、通常一次粒子同士がつなが
って鎖状構造をとっているものが好ましく用いられる。
【0032】アセチレンブラックの好ましい具体例とし
て、デンカブラック(粉状)、デンカブラック(50%
プレス品)、デンカブラック(75%プレス品)、デン
カブラック(100%プレス品)、デンカブラック(H
S−100)、デンカブラック(粒状品)、デンカブラ
ック(FX−35)(以上電気化学工業社製)などが挙
げられ、中でもデンカブラック(粒状品)、デンカブラ
ック(FX−35)が好適に用いられる。
【0033】また上記においてDBP吸油量が300m
l/100g未満のカーボンブラックとは、ASTM−
D2424−79に規定された吸油量が300ml/1
00g未満のカーボンブラックを意味する。
【0034】これら(B)カーボンブラックの添加量
は、組成物の体積固有抵抗値が1×1010Ω・cm以上
となるような量で添加されるが、PPS樹脂組成物の優
れたバリ低減効果を得るために、通常PPS樹脂100
重量部に対して0.001重量部以上添加することが好
ましい。また、電気絶縁性を保つために、多くとも10
重量部未満の範囲で添加することが好ましい。さらに
0.01〜8重量部であることが好ましく、特に好まし
くは0.1〜5重量部であり、最も好ましくは0.8〜
4重量部である。添加量が少なすぎると、十分なバリ低
減効果が得られず、また多すぎるとPPS組成物の絶縁
抵抗が著しく低下する問題が顕在化する。但し、(B)
カーボンブラックの中でも、特に高い導電性を付与する
ケッチェンブラックEC600JDと他のカーボンブラ
ックでは、電気絶縁性を保つ添加量が異なる。
【0035】本発明において、(C)次亜リン酸塩を併
用することは、より優れたバリ低減効果を得るために有
効である。かかる(C)次亜リン酸塩としてはアルカリ
金属塩、アルカリ土類金属塩などが好ましく、その具体
例としては、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸ナトリウ
ム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸マグネシウム、次
亜リン酸カルシウム、次亜リン酸バリウム、次亜リン酸
マンガン、次亜リン酸鉄、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸
アルミニウムおよびこれらの混合物などが挙げられる。
なお、ここで用いる次亜リン酸塩は、無水塩であっても
含水塩であってもかまわない。
【0036】本発明において、とくに有用な次亜リン酸
塩は、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の
アルカリ金属塩、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マ
グネシウム等のアルカリ土類金属塩およびこれらの混合
物などが挙げられる。とりわけ好ましいものとしては、
次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムなどの例
を挙げることができる。
【0037】かかる(C)次亜リン酸塩はより優れた低
バリ性を得るために用いられ、その添加量は(A)PP
S樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部 の
範囲が選択され、好ましくは0.05〜2重量部であ
り、より好ましくは0.1〜1重量部である。
【0038】本発明において、アルコキシシラン化合物
を併用することは、優れた機械強度を得るために有効で
ある。かかるアルコキシシラン化合物としては、例えば
(D)エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸
基、メルカプト基、ウレイド基の中から選ばれた少なく
とも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物が挙
げられる。その具体例としては、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含
有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキ
シシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合
物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウ
レイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレ
イドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどの
ウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシア
ナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメ
チルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチ
ルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチル
ジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロ
ロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化
合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメ
トキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合
物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含
有アルコキシシラン化合物などが挙げられ、中でもγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランな
どのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレ
イドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピ
ルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)
アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含
有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピル
トリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシ
シラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシ
ラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなど
のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物等が好ま
しい。特に好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコ
キシシラン化合物が挙げられる。
【0039】かかる(D)エポキシ基、アミノ基、イソ
シアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基の中
から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキ
シシラン化合物は、より優れた機械的強度を得るために
用いられ、その添加量は(A)PPS樹脂100重量部
に対して、0.05〜5重量部の範囲が選択され、0.
2〜3重量部の範囲がより好ましく選択される。少なす
ぎると、アルコキシシラン化合物添加による機械的強度
の向上効果が十分発現しなく、また多すぎると、上記改
良効果が飽和に達するばかりでなく、組成物のガス発生
量を増加させる傾向にある。
【0040】本発明においては、強度及び寸法安定性等
を向上させるため、必要に応じて充填材を用いてもよ
い。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状で
あってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み
合わせて用いてもよい。かかる充填材としては、ガラス
繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カ
リウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウム
ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金
属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフ
ィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミ
ナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化
マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄
などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素な
どの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であって
もよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用するこ
とも可能である。また、これら繊維状および/または非
繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系
化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合
物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理し
て使用することは、より優れた機械的強度を得る意味に
おいて好ましい。
【0041】強度及び寸法安定性等を向上させるため、
かかる充填材を用いる場合、その配合量は特に制限はな
いが、通常PPS樹脂100重量部に対して30〜40
0重量部配合される。
【0042】本発明のPPS樹脂組成物には本発明の効
果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイ
ドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル
系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、タルク、カオ
リン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンな
どの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系
化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミ
ド系化合物、などの離型剤、防食剤、着色防止剤、酸化
防止剤、熱安定剤、ステアリン酸リチウム、ステアリン
酸アルミニウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難
燃剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加することができ
る。また、本発明のPPS樹脂組成物は本発明の効果を
損なわない範囲で、ポリエステル、ポリアミド、ポリフ
ェニレンオキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレ
ン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエ
ーテルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリ
エチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹
脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマ、
ポリアルキレンオキサイド、あるいはカルボキシル基等
を含有するオレフィン系共重合体等の樹脂を含んでも良
い。
【0043】本発明のPPS樹脂組成物の調製方法は特
に制限はないが、原料の混合物を単軸あるいは2軸の押
出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシング
ロールなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜3
80℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げる
ことができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全
ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方
法、一部の原材料を混合し、この混合物と残りの原材料
を配合後、上記の方法により溶融混練する方法、一部の
原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの
原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材
料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中
にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方
法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加
剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練し
ペレット化した後、成形前に添加して成形に供すること
ももちろん可能である。
【0044】本発明により得られるPPS樹脂組成物
は、PPS樹脂組成物の本来有する熱安定性、電気特
性、機械特性などを大きく損なうことなく、より優れた
低バリ性が付与されたPPS樹脂組成物である。
【0045】かくして得られたPPS樹脂組成物は、射
出成形のみならず、押出成形、圧縮成形、吹込成形、射
出圧縮成形など各種公知の成形法への適用も可能である
が、特に射出成形には好適な樹脂組成物である。
【0046】本発明のPPS樹脂組成物の成形体は、コ
ネクター、コイルをはじめとして、センサー、LEDラ
ンプ、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッ
チ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光
ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、
プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォ
ン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、
パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、
FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボ
ラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電
子部品用途に適している他、発電機、電動機、変圧器、
変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、
電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロ
ッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品用途、
VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ
ー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディ
オ・レーザーディスク・コンパクトディスク等の音声機
器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプ
ライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される
家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連
部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機
関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイ
プライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双
眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械
関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーター
コネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポ
テンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バル
ブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーイン
テークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃
料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメ
インボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセン
サー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパット
ウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、ク
ランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメー
ター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモ
スタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、
ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォータ
ーポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモータ
ー関係部品、デュストリビューター、スタータースイッ
チ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤー
ハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネ
ルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ
用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ス
テップモーターローター、ランプソケット、ランプリフ
レクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレ
ノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケ
ース等の自動車・車両関連部品等々、各種用途に適用で
きる。かくして得られる本発明のPPS樹脂組成物は通
常公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、チューブ成
形、トランスファー成形、圧縮成形などの任意の方法に
よる成形に供することにより、射出成形品、シート、フ
ィルム、パイプ、繊維、棒状体などの押出成形品、トラ
ンスファー成形品、圧縮成形品とすることができるが、
良好なバリ特性をいかして、射出成形に供し、射出成形
品とすることが好ましく、中でもコネクター、コイルを
はじめとする電子部品とすることが好ましく、さらにコ
ネクターとすることが特に好ましい。
【0047】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
【0048】実験方法 (1)バリ長さの測定:日精樹脂工業社製PS20E2
ASE成形機を用い、一列に50個のピン穴(ピン穴間
隔1.27mm)を2列有し、うちのりが68mm×5
mm×高さ7mm、そとのりが70mm×7mm×高さ
9.3mmの箱型形状を有し、長手方向の両端部にリブ
が設けられた形状を有するコネクター成形品を成形し
た。
【0049】図1aはかかるコネクター成形品の平面図
であり、図1bは側面図である。コネクターは1列につ
き50個のピン穴を有している。矢印2はゲート位置を
示す。
【0050】成形は金型温度135℃、樹脂温度320
℃で行い、先ず樹脂が先端まで充填する最低射出圧力を
求め、その圧力+3kgf/cm2(ゲージ圧)の射出
圧力で成形を行った。得られた成形片のピン穴部分に生
じたバリ長さを万能投影機を用いて、図1b上側より測
定し、その平均値を求めた。
【0051】(2)体積固有抵抗の測定 タケダ理研TR−6877コンピューテイング・デジタ
ル・マルチメーターを用いて、形状40mm、厚さ3m
mなる円板のサンプルを面荷重5kg/cm2、雰囲気
18℃40%Rhで測定した。
【0052】(3)ガス発生量の測定 130℃で3時間予備乾燥を行った約10gのペレット
を秤量し、さらに320℃で2時間加熱し、加熱処理後
のペレットを秤量し、加熱減量(%)を測定した。
【0053】(4)アイゾット衝撃強度:ASTM D
256。
【0054】参考例1(PPS樹脂の重合) (1)A−1 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.
005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205k
g(2.5モル)およびN−メチル−2−ピロリドン
(以下NMPと略す)5kgを仕込み、窒素を通じなが
ら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出
した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジク
ロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびに
NMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃
まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、
反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱さ
れたNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続け
たのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを9
0℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に
投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のp
Hが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、8
0℃で24時間減圧乾燥してPPS、2.43kgを得
た。このPPSは直鎖状であり、溶融粘度450ポアズ
(320℃、剪断速度1000sec-1)であった。
【0055】(2)A−2 攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.
004kg(25モル)、およびN−メチル−2−ピロ
リドン(以下NMPと略す)4.5kgを仕込み、窒素
を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リッ
トルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、
1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モ
ル)ならびにNMP3kgを加えて、窒素下に密閉し、
270℃まで昇温後、274℃で1時間反応した。冷却
後、反応生成物を温水で2回洗浄し、次にこのスラリー
を撹拌基付きオートクレーブにイオン交換水3kgと共
に入れ190℃まで昇温し、190℃到達後、室温まで
冷却後濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを濾過
後、80℃で24時間減圧乾燥してPPS、2.48k
gを得た。このPPSは直鎖状であり、溶融粘度150
ポアズ(320℃、剪断速度1000sec-1)であっ
た。
【0056】B−1:カーボンブラック(ケッチェン・
ブラック・インターナショナル社製、ケッチェンブラッ
クEC−600JD、平均粒子径:30nm、DBP吸
油量:495ml/100g)、pH=9 B−2:カーボンブラック(ケッチェン・ブラック・イン
ターナショナル社製、ケッチェンブラックEC、平均粒
子径:30nm、DBP吸油量:360ml/100
g)、pH=9 B−3:カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカ
ブラック(粒状)、平均粒子径:35nm、アセチレン
ブラック、DBP吸油量:160ml/100g)、p
H=9〜10 B−4:カーボンブラック(電気化学工業社製、デンカ
ブラック(FX−35)平均粒子径:23nm、アセチレ
ンブラック、DBP吸油量:220ml/100g)、
pH=9〜10 B−5:カーボンブラック(三菱化学工業社製、#10
B平均粒子径:84nm、DBP吸油量:83ml/1
00g)、pH=7 なお、カーボンブラックのpH値の測定方法はつぎのと
おりである。カーボンブラック試料約5gを蒸留水15
0ccにて5分間煮沸した後放置し、室温まで冷却し、
遠心分離器にて3分間遠心分離(2,000RPM)を
行い、上澄液を排除してスラッジを分離し、測定試料と
する。このスラッジをビーカーに入れpHメーターにて
測定する。
【0057】C−1:次亜リン酸カルシウム D−1:β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン E−1:平均繊維径13μmのEガラス F−1:カルボン酸アマイド系ワックス(ステアリン酸
とセバシン酸とエチレンジアミンの反応生成物)。
【0058】実施例1〜5 (A)PPS樹脂、(B)カーボンブラック、およびそ
の他の添加剤を表1に示す割合でドライブレンドし、タ
ンブラーにて2分間予備混合したのち、シリンダー温度
300〜340℃に設定した2軸押出機で溶融混練し、
ストランドカッターによりペレット化し、120℃で1
晩乾燥した。かかるペレットを用いバリ長さ、体積固有
抵抗値、加熱減量、及びアイゾット衝撃強度を測定し
た。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】比較例1 (B)カーボンブラックを添加しないこと以外は実施例
1〜5と同様にしてペレット化し、かかるペレットを用
いバリ長さ、体積固有抵抗値、加熱減量、及びアイゾッ
ト衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0061】比較例2 (B)カーボンブラックの添加量を変えた以外は実施例
1〜5と同様にしてペレット化し、かかるペレットを用
いバリ長さ、体積固有抵抗値、加熱減量、及びアイゾッ
ト衝撃強度を測定した。結果を表1に示すが、体積固有
抵抗値の低下が著しいものであった。
【0062】実施例6〜7 (B)カーボンブラックの添加量を変えた以外は実施例
1〜5と同様にしてペレット化し、かかるペレットを用
いバリ長さ、体積固有抵抗値、加熱減量、及びアイゾッ
ト衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0063】実施例8 (C)次亜リン酸塩として、次亜リン酸カルシウムを添
加した以外は実施例1〜5と同様にしてペレット化し、
かかるペレットを用いバリ長さ、体積固有抵抗値、加熱
減量、及びアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1
に示す。
【0064】実施例9 (D)シラン化合物を添加しないこと以外は実施例1〜
5と同様にしてペレット化し、かかるペレットを用いバ
リ長さ、体積固有抵抗値、加熱減量、及びアイゾット衝
撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0065】実施例10 (A)A−1とA−2の混合物を用いた以外は実施例1
〜5と同様にしてペレット化し、かかるペレットを用い
バリ長さ、体積固有抵抗値、加熱減量、及びアイゾット
衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【発明の効果】本発明のPPS樹脂組成物は、電気絶縁
性が損なわれることなく、かつ射出成形時におけるバリ
の発生量が抑制されたPPS樹脂組成物であり、特に電
気・電子部品等の小型精密部品などの用途に有用なPP
S樹脂組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは実施例で成形したコネクター成形品の
平面図であり、図1bはその側面図である。
【符号の説明】
1:ピン穴 2:ゲート位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/544 C08K 5/54 B H01R 13/46 301 F // B29K 81:00 B29L 31:36

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂に対
    して、(B)カーボンブラックを添加してなるポリフェ
    ニレンスルフィド樹脂組成物であり、該ポリフェニレン
    スルフィド樹脂組成物の体積固有抵抗値が1×1010Ω
    ・cm以上であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂10
    0重量部に対して、(B)カーボンブラックを0.00
    1重量部以上添加してなる請求項1記載のポリフェニレ
    ンスルフィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(B)カーボンブラックが、そのpH値が
    8以上のカーボンブラックであることを特徴とする請求
    項1〜2のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】(B)カーボンブラックが、そのDBP吸
    油量が300ml/100g未満のカーボンブラックで
    あることを特徴とする請求項3記載のポリフェニレンス
    ルフィド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(B)カーボンブラックが、(B−1)ア
    セチレンブラックからなる請求項1〜4のいずれか記載
    のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】更に(C)次亜リン酸塩を、(A)ポリフ
    ェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.0
    1〜5重量部添加してなる請求項1〜5のいずれか記載
    のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂とし
    て、320℃、剪断速度1000sec-1で、300ポ
    アズ以上の溶融粘度を有するポリフェニレンスルフィド
    樹脂と、300ポアズ未満の溶融粘度を有するポリフェ
    ニレンスルフィド樹脂を混合して用いることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか記載のポリフェニレンスルフ
    ィド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成
    物100重量部に対して、さらに(D)エポキシ基、ア
    ミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウ
    レイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有
    するアルコキシシラン化合物を0.05〜5重量部添加
    して得られる請求項1〜7のいずれか記載のポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか記載のポリフェニ
    レンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる射出成形
    品。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれか記載のポリフェ
    ニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなるコネク
    ター。
JP34861999A 1998-12-10 1999-12-08 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Pending JP2000230120A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34861999A JP2000230120A (ja) 1998-12-10 1999-12-08 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35187298 1998-12-10
JP10-351872 1998-12-10
JP34861999A JP2000230120A (ja) 1998-12-10 1999-12-08 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000230120A true JP2000230120A (ja) 2000-08-22

Family

ID=26578797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34861999A Pending JP2000230120A (ja) 1998-12-10 1999-12-08 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000230120A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1303158C (zh) * 2003-08-19 2007-03-07 阿尔卑斯电气株式会社 成型用树脂组合物、导电性部件以及静电驱动器
JP2009035598A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Denki Kagaku Kogyo Kk アセチレンブラック、その製造方法及び用途
WO2012131829A1 (ja) 2011-03-25 2012-10-04 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品
KR20180039758A (ko) 2015-09-11 2018-04-18 포리프라스틱 가부시키가이샤 수지 조성물 및 수지 조성물의 굽힘 파단 변형의 저하를 억제하는 방법
CN109016348A (zh) * 2018-07-16 2018-12-18 昆山市华创塑胶有限公司 一种应用于注塑机的热风过滤回收装置
KR20230035574A (ko) 2020-07-10 2023-03-14 포리프라스틱 가부시키가이샤 폴리아릴렌설파이드 수지 조성물의 버 억제 방법
US11649317B2 (en) 2017-03-31 2023-05-16 Kose Corporation Polyurethane gel composition and use thereof

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1303158C (zh) * 2003-08-19 2007-03-07 阿尔卑斯电气株式会社 成型用树脂组合物、导电性部件以及静电驱动器
JP2009035598A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Denki Kagaku Kogyo Kk アセチレンブラック、その製造方法及び用途
WO2012131829A1 (ja) 2011-03-25 2012-10-04 東レ株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品
US9947433B2 (en) 2011-03-25 2018-04-17 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition and molded product using the same
KR20180039758A (ko) 2015-09-11 2018-04-18 포리프라스틱 가부시키가이샤 수지 조성물 및 수지 조성물의 굽힘 파단 변형의 저하를 억제하는 방법
US11649317B2 (en) 2017-03-31 2023-05-16 Kose Corporation Polyurethane gel composition and use thereof
CN109016348A (zh) * 2018-07-16 2018-12-18 昆山市华创塑胶有限公司 一种应用于注塑机的热风过滤回收装置
KR20230035574A (ko) 2020-07-10 2023-03-14 포리프라스틱 가부시키가이샤 폴리아릴렌설파이드 수지 조성물의 버 억제 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007262217A (ja) ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP5742377B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品
JPH10292114A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP4069629B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造方法
JP2003268236A (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP2000230120A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2003301107A (ja) 樹脂組成物
JP3823802B2 (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP4747424B2 (ja) 高熱伝導性樹脂組成物
JP7151086B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2000086892A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形体
JPH10298430A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2003119383A (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP3605933B2 (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2007238693A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法
JP4100027B2 (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP2003147200A (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP2001348478A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2000103963A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2003171552A (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JPH11269385A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP2003073555A (ja) 高誘電性樹脂組成物
JP2020143274A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2003313423A (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物
JP2001247768A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物