JP6473588B2 - 炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブを用いた炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法である。
フッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、耐候性等に優れるため、エンジニアリングプラスチックとしてこれまで様々な製品に採用されている。
フッ素樹脂として最も代表的なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は溶融温度が高いため、高温における粉末圧縮成形(焼結)による成形加工が主流である。また、成形性を改善して溶融成形を可能としたメルト系フッ素樹脂、例えばテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)などの樹脂もあるが、成形温度が高いため、熱分解による腐食性のガスが発生することがあり、射出成形等よりも比較的単純な装置構成の粉末圧縮成形が採用されている。
このような粉末圧縮成形によって成形されたフッ素樹脂製品は、フッ素樹脂の粒子同士が密接する粒界が多く存在し、例えば疲労強度などの機械的特性に劣る。また、フッ素樹脂そのものは耐薬品性に優れるが、粒界の存在によって製品としては耐薬品性が低下する。
さらに、フッ素樹脂自体が高価であるのに加えて、粉末圧縮成形は複雑な製品を成形できないため、粉末圧縮成形後にさらに後加工(切削加工等)しなければならない場合も多くあり、その場合には加工コストも上昇する。しかも、フッ素樹脂の高温成形による腐食性ガス対策のため、金型などに耐食性の材料を採用し、金型の劣化を防止するためのメンテナンスも必要である。そのため、フッ素樹脂の成形加工におけるコスト削減が求められている。
また、フッ素樹脂の機械的特性などを改善するために、各種の充填剤が配合されることが提案されている。例えば、フッ素樹脂に含フッ素エラストマー粒子とナノフィラーなどの無機フィラーとを配合した樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この樹脂組成物によれば、フッ素樹脂の物質透過遮断性、機械的物性、耐熱性、難燃性、導電性などが改善される。しかしながら、フッ素樹脂の成形加工性は、依然として改善されていない。
一方で、含フッ素エラストマーにカーボンナノチューブを配合した炭素繊維複合材料やシール部材が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。このような含フッ素エラストマーの複合材料は、高い体積固有抵抗値や耐パーフルオロポリエーテル性を改善できるがフッ素樹脂製品の代替品としての応用は考えられていない。
特開2009−52028号公報 特開2013−83340号公報 国際公開第2011/77598号公報
本発明は、成形加工性に優れ、フッ素樹脂製品の代替材料として利用可能な炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法を提供する。
本発明に係る炭素繊維複合材料は、
含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相と、
フッ素樹脂からなる第2相と、
を有し、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が2nm〜100nmであり、含フッ素エラストマー中に解繊されて存在し、
前記第1相は、分散相である前記第2相を覆うように形成されていることを特徴とする。
本発明に係る炭素繊維複合材料によれば、摩擦係数が小さく、耐熱性に優れ、耐薬品性に優れることができる。また、炭素繊維複合材料は、第2相を覆うように第1相が存在するため、従来のようなフッ素樹脂の粒界による欠陥がなく、緻密で空隙も存在しない。さらに、フッ素樹脂からなる第2相を分散相とすることにより、フッ素樹脂を溶融成形する必要がなく、フッ素樹脂製品に比べて成形加工性に優れ、加工コストの削減が可能である。
本発明に係る炭素繊維複合材料において、
前記第1相のカーボンナノチューブは、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.5質量部〜50質量部であることができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料において、
前記第2相のフッ素樹脂は、前記第1相の含フッ素エラストマー100質量部に対して、5質量部〜150質量部であることができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料において、
前記第1相の含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン・プロピレン系、テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル系、パーフロロエーテル系、及びフルオロシリコーン系からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記第2相のフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフルオライド系(THV)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン系(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン系(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン系(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン系(FEP)、及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)からなる群より選択される少なくとも1種であることができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料において、
前記含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン系またはパーフロロエーテル系であり、
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法は、
含フッ素エラストマーと平均直径が2nm〜100nmのカーボンナノチューブとを混練して第1混合物を得る第1混練工程と、
前記第1混合物にフッ素樹脂粒子を加えて混練して炭素繊維複合材料を得る第2混練工程と、
を含み、
炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相が分散相であるフッ素樹脂からなる第2相を覆うように形成されることを特徴とする。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法によれば、摩擦係数が小さく、耐熱性に優れ、耐薬品性に優れる炭素繊維複合材料を製造することができる。特に、本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法によれば、従来のフッ素樹脂の溶融成形のような高温を用いないため、フッ素樹脂の熱分解による腐食性のガスが発生することがない。そのため、フッ素樹脂の溶融成形に比べて、成形加工性に優れ、加工コストの削減が可能である。しかも、このようにして製造された炭素繊維複合材料は、フッ素樹脂粒界の欠陥がなく、第2相を覆うように第1相が存在するため、緻密で空隙も存在しない。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記第1混練工程は、0℃〜50℃でロール間隔が0.5mm以下のオープンロールで行う第1薄通し工程を含むことができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記第2混練工程は、0℃〜50℃でロール間隔が0.5mm以下のオープンロールで行う第2薄通し工程を含むことができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造法において、
前記第1混練工程は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを0.5質量部〜50質量部配合することができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記第2混練工程は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、平均粒径が20μm〜60μmのフッ素樹脂粒子を5質量部〜150質量部配合することができる。
本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法において、
前記第2混練工程によって得られた炭素繊維複合材料は、前記第1相のカーボンナノチューブが含フッ素エラストマー中に解繊されて存在することができる。
本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法の第1混練工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法の第1混練工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法の第1混練工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法の第2混練工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料を用いた成形工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料を用いた成形工程を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る炭素繊維複合材料を用いた成形品の斜視図である。 貯蔵弾性率E’の温度依存性を表すグラフである。 クラック進展速度の負荷依存性を表すグラフである。 加負荷時のひずみに対する残留ひずみを表すグラフである。 比較例6の架橋体サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(100倍)である。 比較例6の架橋体サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(500倍)である。 比較例6の架橋体サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(2,000倍)である。 比較例6の架橋体サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(20,000倍)である。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(100倍)である。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(500倍)である。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(2,000倍)である。 実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真(20,000倍)である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相と、フッ素樹脂からなる第2相と、を有し、前記カーボンナノチューブは、平均直径が2nm〜100nmであり、含フッ素エラストマー中に解繊されて存在し、前記第1相は、分散相である前記第2相を覆うように形成されていることを特徴とする。
本発明の一実施の形態にかかる炭素繊維複合材料の製造方法は、含フッ素エラストマーと平均直径が2nm〜100nmのカーボンナノチューブとを混練して第1混合物を得る第1混練工程と、前記第1混合物にフッ素樹脂粒子を加えて混練して炭素繊維複合材料を得る第2混練工程と、を含み、炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相が分散相であるフッ素樹脂からなる第2相を覆うように形成されることを特徴とする。
(I)含フッ素エラストマー
本実施の形態に用いられる含フッ素エラストマーは、分子中にフッ素原子を含むゴムであることができる。含フッ素エラストマーは、例えば、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン・プロピレン系、テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル系、パーフロロエーテル系、及びフルオロシリコーン系からなる群より選択される少なくとも1種であることができる。含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン系であることができる。
含フッ素エラストマーとしては、例えば、デュポン社製の商品名バイトン、ダイキン工業社製の商品名ダイエルなどをあげることができる。含フッ素エラストマーは、重量平均分子量が好ましくは50,000〜300,000であることができる。含フッ素エラストマーの分子量がこの範囲であると、含フッ素エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、含フッ素エラストマーはカーボンナノチューブを分散させるために良好な弾性を有することができる。含フッ素エラストマーは、粘性を有しているので凝
集したカーボンナノチューブの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノチューブ同士を分離することができる。含フッ素エラストマーの重量平均分子量が50,000より小さいと、含フッ素エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノチューブを分散させる効果が小さくなる傾向がある。また、含フッ素エラストマーの重量平均分子量が300,000より大きいと、含フッ素エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる傾向がある。
含フッ素エラストマーは、公知の加硫剤を用いることができ、例えば、ポリアミン加硫、ポリオール加硫、またはパーオキサイド加硫することができる。含フッ素エラストマーを加硫剤で架橋することによって、耐熱性や耐薬品性に優れた炭素繊維複合材料を製造することができる。
また、含フッ素エラストマーに対して、ゴムの一般的な配合剤として用いられているホワイトカーボン等の補強剤、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤等を必要に応じて適宜添加して用いることができる。
含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が64質量%〜72質量%、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が40〜97であることができる。含フッ素エラストマーは、例えば、ガラス転移点が0℃以下であることができる。さらに、含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が69質量%〜72質量%であることができる。フッ素含有量が64質量%以上であると耐熱性に優れ、特にフッ素含有量が69質量%以上であると耐薬品性にすぐれることができる。また、フッ素含有量が72質量%以下であれば市場において入手可能である。また、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が47以上であると引張強さ(TS)や圧縮永久ひずみ(CS)などの基本要求性能を有することができ、ムーニー粘度(ML1+10100℃)の中心値が97以下であれば適度な粘度を有するので加工することができる。
含フッ素エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核が1Hで測定した、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは30ないし100μ秒、より好ましくは45ないし60μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、含フッ素エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノチューブを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、含フッ素エラストマーは粘性を有しているので、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを混合したときに、含フッ素エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノチューブの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が30μ秒より短いと、含フッ素エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より長いと、含フッ素エラストマーが液体のように流れやすく、弾性が小さい(粘性は有している)ため、カーボンナノチューブを分散させることが困難となる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法により含フッ素エラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時
間が短いほど分子運動性が低く、含フッ素エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、含フッ素エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
含フッ素エラストマーは、カーボンナノチューブ、特にその末端のラジカルに対して親和性を有するハロゲン基を有する。カーボンナノチューブは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。また、含フッ素エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノチューブのラジカルと親和性(反応性または極性)が高いハロゲン基を有することにより、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを結合することができる。このことにより、カーボンナノチューブの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
含フッ素エラストマーは、未架橋体のままカーボンナノチューブと混練することができる。
(II)カーボンナノチューブ
本実施の形態に用いるカーボンナノチューブは、平均直径が2nmを超え100nm以下である。さらに、カーボンナノチューブは、平均直径が9nmを超え100nm以下であることができ、特に、平均直径が9nmを超え20nm以下であることができる。平均直径が9nm以下のカーボンナノチューブは、少量であっても凝集体を解繊し、炭素繊維複合材料の全体に均一に分散させることによって、優れた常態物性を得ることができるが、一般に高価である。また、一般に10nm級のカーボンナノチューブとして入手可能なカーボンナノチューブの平均直径は9nmを超え20nm以下であり、炭素繊維複合材料の常態物性における引張強さ(TS)の向上に優れている。平均直径が20nmを超え100nm以下のカーボンナノチューブは、価格競争力に優れ、炭素繊維複合材料の常態物性における破断伸び(Eb)に優れ、高い柔軟性を有することができる。カーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、走査型電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノチューブのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び平均長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを0.5質量部〜50質量部含むことができる。さらに、炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを2質量部〜40質量部含むことができ、特に、カーボンナノチューブを5質量部〜20質量部含むことができる。カーボンナノチューブは凝集しやすく、一般に凝集体のままマトリックスに分散させることが多いが、炭素繊維複合材料の第1相におけるカーボンナノチューブは凝集体ではなく、解繊された状態で含フッ素エラストマーマトリックス中に分散して存在する。カーボンナノチューブの配合量は、炭素繊維複合材料の用途に応じてフッ素樹脂粒子の配合量と共に調整することができる。カーボンナノチューブが0.5質量部以上であると耐熱性と耐薬品性を向上させることができ、カーボンナノチューブが50質量部以下であれば柔軟性と圧縮特性を向上させることができる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する単層構造または多層構造を有し、多層構造のものは多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)、気相成長炭素繊維などと呼ばれる。
このようなカーボンナノチューブは、各種気相成長法により製造することができる。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。カーボンナノチューブは、例えばベンゼン、トルエン、天然ガス等の有機化合物を原料に、フェロセン等の遷移金属触媒の存在下で、水素ガスとともに800℃〜1300℃で熱分解反応させることによって得ることができる。また、カーボンナノチューブは、ホウ素、炭化ホウ素、ベリリウム、アルミニウム、ケイ素等の黒鉛化触媒と共に例えば2300℃〜3200℃で黒鉛化処理することができる。
カーボンナノチューブは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(III)フッ素樹脂
本実施の形態に用いるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフルオライド系(THV)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン系(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン系(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン系(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン系(FEP)、及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)からなる群より選択される少なくとも1種であることができる。フッ素樹脂は、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)であることができる。
炭素繊維複合材料の第2相におけるフッ素樹脂は、第1相の含フッ素エラストマー100質量部に対して、5質量部〜150質量部であることができる。さらに、炭素繊維複合材料の第2相におけるフッ素樹脂は、第1相の含フッ素エラストマー100質量部に対して、10質量部〜120質量部であることができ、特に、25質量部〜100質量部であることができる。炭素繊維複合材料にフッ素樹脂を配合することによって、摩擦係数を小さくすることができる。
炭素繊維複合材料の製造方法に用いるフッ素樹脂は、粒子状であることができ、その平均粒径が10nm〜500μmであることができる。フッ素樹脂の平均粒径が500μm以下であれば混練工程における加工が可能であり、10nm以上であれば入手可能であってカーボンナノチューブと共に分散可能である。
(IV)炭素繊維複合材料
炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相と、フッ素樹脂からなる第2相と、を有し、前記カーボンナノチューブは、平均直径が2nm〜100nmであり、含フッ素エラストマー中に解繊されて存在し、前記第1相は、分散相である前記第2相を覆うように形成されていることを特徴とする。
第1相は、含フッ素エラストマーのマトリックス中にカーボンナノチューブが1本1本解れるように解繊されて存在し、カーボンナノチューブの凝集体を有しない。このことは
、炭素繊維複合材料の凍結割断面を走査型電子顕微鏡で観察することによって確認することができる。カーボンナノチューブが解繊されていないと、走査型電子顕微鏡による観察によって1μm〜50μmほどの黒い塊としてカーボンナノチューブの凝集体が確認される。しかしながら、本実施の形態にかかる第1相は、走査型電子顕微鏡による観察によってカーボンナノチューブの凝集体を観察することができない。したがって、第1相は、走査型電子顕微鏡による観察によって解繊したカーボンナノチューブの一部が含フッ素エラストマーの全体に均質に点在するように現れる。
第2相は、フッ素樹脂粒子によって形成され、フッ素樹脂粒子は成形加工によって大きな変形を伴うが、走査型電子顕微鏡による観察によって第1相のマトリックスに点在して海−島状に形成されていることが確認できる。
炭素繊維複合材料は、第1相に覆われた第2相を有することによって、摩擦係数が小さく、耐熱性に優れることができる。また、炭素繊維複合材料は、第1相に覆われた第2相を有することによって、残留ひずみを小さくすることができる。さらに、炭素繊維複合材料は、第1相に覆われた第2相を有することによって、耐薬品性、特に耐ブタジエン性に優れることができる。
(V)炭素繊維複合材料の製造方法
本実施の形態では、炭素繊維複合材料の製造方法として、図1〜図7を用いた例について述べる。炭素繊維複合材料の製造方法は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを混練して第1混合物を得る第1混練工程と、第1混合物にフッ素樹脂粒子を加えて混練して炭素繊維複合材料を得る第2混練工程と、を含む。
図1〜図4は、2本のロールのオープンロール2を用いたオープンロール法を模式的に示す図である。図1〜図4において、符号10は第1のロールを示し、符号20は第2のロールを示す。第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔dで配置されている。第1および第2のロール10,20は、正転あるいは逆転で回転する。図示の例では、第1のロール10および第2のロール20は、矢印で示す方向に回転している。
まず、図1〜図3を用いて、第1混練工程について説明する。
図1に示すように、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第1のロール10に、含フッ素エラストマー30を巻き付け、素練りを行う。第1のロール10と第2のロール20の間隔dは、例えば1.5mmに設定されている。
図2に示すように、ロール10,20間には含フッ素エラストマー30がたまった、いわゆるバンク34が形成される。このバンク34内にカーボンナノチューブ80を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、含フッ素エラストマー30とカーボンナノチューブ80の混合物が得られる。この混合物をオープンロール2から取り出す。
図3に示すように、さらに、第1のロール10と第2のロール20の間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0.1mmないし0.5mmの間隔に設定し、得られた混合物36をオープンロール2に投入して第1薄通し工程として薄通しを行なう。薄通しの回数は、例えば3回〜10回程度行なうことができる。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05ないし3.00であることができ、さらに1.05ないし1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このようにして得られた剪断力により、含フッ素エラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノチューブ80が含フッ素エラストマー分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離して解繊され、含フッ素エラストマー30中にカーボンナノチューブ80が分散した第1混合物50が得られる。
この工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとの混合は、0℃ないし50℃で行うことができ、さらに、5℃ないし30℃の比較的低い温度で行うことができる。このような低温での薄通しは、含フッ素エラストマーがゴム弾性を有しているので、カーボンナノチューブを効率よく解繊し、かつ、マトリックス中に分散することができる。
このとき、本実施の形態の含フッ素エラストマーは、上述した特徴、すなわち、含フッ素エラストマーの分子形態(分子長)や分子運動によって表される弾性と、粘性と、カーボンナノチューブとの化学的相互作用と、を有することによってカーボンナノチューブの分散を容易にするので、分散性および分散安定性(カーボンナノチューブが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。より具体的には、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを混合すると、粘性を有する含フッ素エラストマーがカーボンナノチューブの相互に侵入し、かつ、含フッ素エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノチューブの活性の高い部分と結合する。この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとの混合物に強い剪断力が作用すると、含フッ素エラストマーの移動に伴ってカーボンナノチューブも移動し、さらに剪断後の弾性による含フッ素エラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノチューブが分離されて解繊し、含フッ素エラストマー中に分散されることになる。
図3に示すように、薄通しによって混合物36が狭いロール間から押し出された際に、含フッ素エラストマーの弾性による復元力で第1混合物50はロール間隔dより厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した混合物をさらに複雑に流動させ、カーボンナノチューブを解繊しながら含フッ素エラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノチューブは、含フッ素エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
含フッ素エラストマーにカーボンナノチューブを剪断力によって分散させる工程は、上記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノチューブを分離できる剪断力を含フッ素エラストマーに与えることができればよい。
次に、図4を用いて、第2混練工程について説明する。
図4に示すように、第1,第2のロール10,20が回転した状態で、第1のロール10に、第1混合物50を巻き付ける。第1のロール10と第2のロール20の間隔dは、例えば1.5mmに設定されている。ロール10,20間にはバンク54が形成される。このバンク54内にフッ素樹脂粒子90を加えて、第1、第2のロール10,20を回転させると、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブの第1相の中にフッ素樹脂の第2相が海−島状に分散した炭素繊維複合材料が得られる。この炭素繊維複合材料をオープンロール2から分出しする。オープンロール2から取り出した時点において、炭素繊維複合材料は未架橋体である。
第2混練工程の後、さらにオープンロール2を用いて炭素繊維複合材料に架橋剤を配合することができる。架橋剤を配合する時期は、第1混練工程中であってもよいし、第2混
練行程中であってもよいが、各混練工程の間に架橋が開始しないように、第2混練工程後に架橋剤を配合することができる。
また、第2混練工程は、0℃〜50℃でロール間隔が0.5mm以下のオープンロールで行う第2薄通し工程をさらに含むことができる。第2薄通し工程は、第1混練工程において図3を用いて説明した第1薄通し工程と同様に行うことができる。第2薄通し工程を行うことによって、フッ素樹脂粒子をさらに細分化して、炭素繊維複合材料中に分散することができる。フッ素樹脂粒子を細分化することによって、炭素繊維複合材料中における比較的大きめのフッ素樹脂粒子が構造上の欠陥として破壊開始点になることを防止する効果がある。
本実施の形態においては、第1薄通し工程及び第2薄通し工程を行う例について説明したが、これに限らず、フッ素樹脂粒子の配合量によっては、第1薄通し工程を省略して、第2薄通し工程を行うことによってカーボンナノチューブを解繊させ、かつ、炭素繊維複合材料中に均一に分散することができる。フッ素樹脂粒子の配合量が多い場合(例えば、含フッ素エラストマー100質量部に対して150質量部を超える配合量)には、第2薄通し工程だけではカーボンナノチューブが十分に解繊されないので、第1薄通し工程によってあらかじめ含フッ素エラストマー中でカーボンナノチューブを解繊することが望ましい。
最後に、図5〜図7を用いて、成形工程について説明する。
図5に示すように、オープンロール2から分出しした架橋剤が適量配合された炭素繊維複合材料を所望の形状例えばリング状に切り出して、圧縮成形金型70内に配置する。圧縮成形金型70は、下型74と上型72とを有し、下型74と上型72との間に形成されるキャビティ内にリング状に切り出した炭素繊維複合材料60を配置することができる。圧縮成形金型70は図示しない真空プレス機に取り付けられて、キャビティを含む成形領域を真空状態とすることができる。
下型74に対して上型72を近接移動させて炭素繊維複合材料60を圧縮すると共に、下型74と上型72を一次加硫温度に加熱して、所定時間の間、炭素繊維複合材料60を加硫することができる。一次加硫温度及び加硫時間は、成形に用いた含フッ素エラストマー及び架橋剤の種類に応じて設定することができる。
次に、図6に示すように、圧縮成形金型70内から取り出した一次加硫された成形品62をオーブン100内のテーブル104上に配置して、二次加硫温度に加熱することができる。オーブン100内の炉内102は二次加硫温度に設定され、所定時間の間、成形品62を二次加硫することができる。二次加硫温度及び加硫時間は、含フッ素エラストマーの種類に応じて設定することができる。
図7に示すように、二次加硫後、オーブンから取り出された二次加硫された成形品64を得ることができる。なお、このように所定形状に成形された成形品64をさらに切削加工や研磨加工を施すことにより、高精度の成形品に加工することもできる。
このようにして得られた成形品64は、摩擦係数が小さく、耐熱性に優れ、耐薬品性に優れることができる。特に、炭素繊維複合材料の製造方法においては、従来のフッ素樹脂の溶融成形のような高温を用いないため、フッ素樹脂の熱分解による腐食性のガスが発生することがない。そのため、フッ素樹脂の溶融成形に比べて、成形加工性に優れ、加工コストの削減が可能である。しかも、このようにして得られた炭素繊維複合材料は、フッ素樹脂粒子の間には第1相が存在するため、緻密で空隙も存在しない。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)サンプルの作製
実施例1〜3のサンプルは、以下の工程によって作製した。
第1混練工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す100質量部(phr)の含フッ素エラストマー(表1では「FKM」と記載した)を投入して、ロールに巻き付かせた(図1参照)。
次に、表1に示す質量部(phr)のカーボンナノチューブ(表1では「CNT」と記載した)を含フッ素エラストマーに投入した(図2参照)。このとき、ロール間隙dを1.5mmとした。
第1薄通し工程:カーボンナノチューブが混合された含フッ素エラストマーの混合物をロールから取り出し、ロール間隙dを1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをし、第1混合物を得た(図3参照)。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
第2混練工程:第1混合物を第1混練工程と同じオープンロールに巻き付け、第1混合物に表1に示す質量部(phr)のフッ素樹脂粒子(表1では「PFA」と記載した)を投入し、混練して、第2混合物を得た(図4参照)。このとき、ロール間隙dを1.5mmとした。また、これらの架橋剤としての有機過酸化物(パーオキサイド)等の配合剤も投入し、混練した。
第2薄通し工程:第2混合物をロールから取り出し、ロール間隙dを1.5mmから0.3mmと狭くして、第2混合物を投入して薄通しをし、炭素繊維複合材料を得た(図3参照)。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
さらに、ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、未架橋の炭素繊維複合材料を分出しした。
成形工程:未架橋の炭素繊維複合材料を真空プレス機に投入し、160℃、10分間プレス成形(1次加硫)した(図5参照)。
さらに、炭素繊維複合材料をオーブンに移して、200℃、6時間2次加硫して、実施例1〜3のパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た(図6参照)。
また、比較例1は含フッ素エラストマー単体であるので第1混練工程及び第2混練工程を省いて架橋体サンプルを製造し、比較例2はカーボンナノチューブを配合していないので第1混練工程を省いて第2混練工程以降の工程で架橋体サンプルを製造し、比較例3、比較例4はフッ素樹脂を配合していないので第2混練工程を省いて架橋体サンプルを製造した。表1には示していないが、比較例5はフッ素樹脂を380℃の電気炉中で加熱圧縮成形した樹脂成形サンプルであった。
なお、表1において、FKM、PFA及びCNTの詳細は以下の通りであった。
FKM:ダイキン社製G−902。3元系含フッ素エラストマー(ビニリデンフロライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンの共重合体)。ムーニー粘度ML(1+10)100℃(中心値)50、フッ素含有量70.5%、パーオキサイド架橋。
PFA:ダイキン社製AC-5600。フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン/パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合)の微粉末。平均粒径(Laser diffraction)20〜60μm、融点(ASTM D3307)303〜313℃、溶融指数MFR(ASTM D3307)1〜30g/10min、見かけ密度(JISK6891)0.5〜0.9g/ml。
CNT:平均直径15.3nm、剛直度4.4の多層カーボンナノチューブ。
実施例1〜3及び比較例1〜5の試験サンプルについて、各種試験を行い、試験結果を表1〜表7及び図8〜図18に示した。なお、カーボンナノチューブのマトリックス(FKM+PFA)に対する配合量としては、比較例3(マトリックス:CNT=100:10)と実施例2(マトリックス:CNT=150:15=100:10)が同程度である。したがって、マトリックスに対するカーボンナノチューブの配合量による効果は、比較例3と実施例2によって比較することができる。
(2)常態物性試験
硬度(Hs(JIS A)):試験サンプルをJIS K6253試験に基づいて測定した。
引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、50%変形時の応力(σ50(MPa))、100%変形時の応力(σ100(MPa))、300%変形時の応力(σ300(MPa))、破壊エネルギー(破壊E(J)):JIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製の引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い測定した。
引裂き強さ(Tr(N/mm))及び引裂きエネルギー(引裂E(J)):試験サンプルをJIS K6252切込み無しのアングル形試験片に打ち抜き、島津製作所社製オートグラフAG−Xを用いて、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂き試験を行い、最大引裂き力(N)を測定し、その測定結果を試験片の厚さ1mmで除して計算した。
表1の結果から、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合することによって引張強さ(TS)が向上し、実施例1、2ではσ50とσ100が向上した。また、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、フッ素樹脂の配合量が増えるにしたがって、破断伸び(Eb)が低下し、実施例3では破断伸び(Eb)が10%であったので、σ50〜σ300の測定ができなかった。
(3)動的粘弾性試験(DMA)
短冊片40mm×1mm×2mm(巾)の試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃(昇温ペース3℃/min)、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い、−50℃〜260℃の温度範囲における貯蔵弾性率(E’(MPa))を測定した。測定結果は、表2及び図8に示した。
図8は、表2のDMA測定結果に基づいて貯蔵弾性率E’の温度依存性を表したグラフである。横軸は測定温度、縦軸は貯蔵弾性率である。C1は比較例1、C2は比較例2、C3は比較例3、C4は比較例4、C5はフッ素樹脂単体の比較例5、E1は実施例1、E2は実施例2、E3は実施例3の貯蔵弾性率E’の温度依存性を表している。
表2及び図8の結果によれば、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例1
〜3の架橋体サンプルに比べて0℃〜50℃の間における貯蔵弾性率の低下が小さく、むしろ比較例5のフッ素樹脂サンプルに近い値を示した。また、100℃〜300℃の間において、比較例5のフッ素樹脂サンプルは貯蔵弾性率が急激に低下したが、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルの貯蔵弾性率は比較的ゆるやかに低下した。
さらに、表2の結果に基づいて、25℃(室温)における貯蔵弾性率と250℃における貯蔵弾性率とを比較し、25℃〜250℃における単位温度当たりの貯蔵弾性率の変化率(MPa/℃)を表3に示した。
表3の結果によれば、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、25℃〜250℃における単位温度当たりの貯蔵弾性率の変化率(MPa/℃)が比較例5に比べて小さかった。
(4)ボールオンディスク摩耗試験
ボールオンディスク高温摩擦摩耗試験器を用いて、JIS1613(セラミックの摩耗試験の規格)を参考にして、回転半径:3mm、回転速度:10cm/s、荷重:2N、温度:23℃、雰囲気:大気中、相手材:直径3mmのステンレスボールで試験を行い、摩擦係数(μ)を測定した。測定結果は、表4に示した。
表4の結果によれば、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルの摩擦係数は、比較例1〜4の架橋体サンプルよりも小さかった。
(5)引裂き疲労試験
SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、幅4mm×20mm(標線間距離10mm)の短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へカミソリ刃によって深さ1mmの切込みを入れ、試験片の両端の短辺付近をチャックにて保持して、260℃の大気雰囲気中、周波数1Hzの条件で繰り返し引張荷重(負荷を0.5N/mm〜5N/mmまで変化させた)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまでの回数を測定した。測定結果は、図9に示した。図9は、クラック進展速度の負荷依存性を表すグラフであって、横軸に負荷(N/mm)、縦軸にクラック進展速度(dc/dn)をとった。C1は比較例1、C2は比較例2、C4は比較例4、E1は実施例1、E2
は実施例2、E3は実施例3のクラック進展速度の負荷依存性を表している。
図9によれば、比較例1,2の架橋体サンプルは低負荷であっても比較的少ない回数で破断するのに対し、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、高負荷であっても破断するまでの繰り返し引張回数が多く、クラック進展速度が遅かった。
(6)耐薬品性試験
短冊片60mm×10mm×1mmについて、常温のメチルエチルケトン(MEK)に70時間浸漬して耐薬品性試験を行った。試験前後の比重変化率、体積変化率、質量変化率(試験前をA、試験後をBとしたとき、(B−A)/A×100)を計算した。試験結果は、表5に示した。
表5によれば、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例1〜3の架橋体サンプルに比べて膨潤による各変化率が小さかった。比較例4は実施例1よりも膨潤による各変化率が小さいが、これは実施例1におけるマトリックス(FKM+PFA)に対するカーボンナノチューブの配合量が比較例4よりも少ないためである。マトリックスに対するカーボンナノチューブの配合量が同じとして対比するのであれば、実施例2は比較例3と同等程度であり、実施例2は比較例3よりもいずれの変化率も小さかった。
さらに、短冊片60mm×10mm×t1mmについて、ブタジエンガスによる暴露試験を行った。暴露試験は、ブタジエンガス濃度100%、ガス供給方法は試験系内にブタジエンガスを充てんして密封する密封法で、暴露温度80℃、暴露圧力0.2MPa、暴露時間360時間であった。試験前後の比重変化率、体積変化率、質量変化率(試験前をA、試験後をBとしたとき、(B−A)/A×100)を計算した。試験結果は、表6に示した。
表6によれば、実施例1〜3の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例1〜4の架橋体サンプルに比べて膨潤による比重変化率が小さかった。また、実施例2,3は、比較例1〜3に比べて体積変化率及び質量変化率が小さかった。
(7)圧縮試験
INSTRON製圧縮試験機を用いて、φ5mm×t1mmのサンプルを圧縮速度0.1mm/minで圧縮後、圧縮応力を解放したときの残留ひずみを測定した。具体的には、目的ひずみ量まで圧縮後、圧縮応力を解放してひずみ0%まで戻し、再び次の目的ひずみ量まで圧縮する際に圧縮応力が発生するまでの変位を残留ひずみとした。70%圧縮ひずみまで、上記手順を繰り返した。比較例5はフッ素樹脂単体の成形品サンプルであった。測定結果は、表7に示した。また、フッ素樹脂製品として通常要求される10%以下の圧縮永久ひずみを比較するために、図10に通常使用範囲の0%〜20%までの加負荷時のひずみに対する残留ひずみを表した。
表7及び図10によれば、各加負荷時のひずみにおける実施例2,3に比べて比較例5の残留ひずみが大きかった。特に、実施例2,3は、図10に示した通常使用範囲である0%〜20%で残留ひずみが小さかった。
(8)電子顕微鏡による観察
試験サンプルの破断面を電子顕微鏡観察した。観察結果は、図11〜図18に示した。図11〜図14は、比較例6として、実施例2と同じ配合で、第1薄通し工程と第2薄通し工程を省略して製造した架橋体サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真である。図15〜図18は、実施例2の炭素繊維複合材料サンプルの凍結割断面の電子顕微鏡写真である。
図11、12の比較例6の架橋体サンプルと図15、16の実施例2の炭素繊維複合材
料サンプルとを比較すると、比較例6の架橋体サンプルではフッ素樹脂90が粒子状のまま存在し、実施例2の炭素繊維複合材料サンプルではフッ素樹脂90の粒子が細分化されていることが確認できた。実施例2の炭素繊維複合材料サンプルでは第2薄通し工程の薄通しによる剪断力によってフッ素樹脂粒子が細分化されたことがわかった。
図13,14の比較例6の架橋体サンプルと図17、18の実施例2の炭素繊維複合材料サンプルとを比較すると、比較例6の架橋体サンプルではカーボンナノチューブ80が凝集体のまま存在し、実施例2の炭素繊維複合材料サンプルではカーボンナノチューブが解繊されて分散していることが確認できた。特に、比較例6の架橋体サンプルにおいては、カーボンナノチューブ80の凝集体が含フッ素エラストマー30のマトリックスに対し海−島状に点在していた。これに対し、実施例2の炭素繊維複合材料サンプルにおいては、カーボンナノチューブ80の凝集体は確認できず、破断面に均質に白い点として現れていた。また、実施例2の炭素繊維複合材料サンプルにおいては、フッ素樹脂90の第2相が、カーボンナノチューブ80が解繊されて存在する第1相の連続相の中に、海−島状に点在することが確認できた。すなわち、カーボンナノチューブ80と含フッ素エラストマーからなる第1相は連続相であり、フッ素樹脂90からなる第2相は第1相に覆われるようにして海−島状に分散した分散相であった。
(9)実施例4,5
実施例4,5のサンプルは、上記(1)と同様にしてパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た。また、比較例7はカーボンナノチューブを配合していないので第1混練工程を省いて第2混練工程以降の工程で架橋体サンプルを製造した。なお、表8において、含フッ素エラストマーであるFKM及びカーボンナノチューブであるCNTは表1と同様であるので省略するが、フッ素樹脂であるPTFE−1の詳細は以下の通りであった。
PTFE−1:喜多村社製KTL−8N。完全焼成された低分子量フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)の微粉末。平均粒径(Laser diffraction)4±0.5μm、融点(ASTM D3307)310℃以上、見かけ密度(JISK6891)0.55±0.10g/ml。
実施例4,5及び比較例7の試験サンプルについて、上記(2)、上記(4)及び上記(6)の各種試験(上記(6)については常温のメチルエチルケトン(MEK)による耐薬品性試験)を行い、試験結果を表8に示した。
表8の結果から、実施例4,5の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合することによって引張強さ(TS)、σ50及びσ100が向上した。また、実施例4,5の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例1の架橋体サンプルに比べて引裂き強さ(Tr)が大きかった。
また、表8の結果によれば、実施例4,5の炭素繊維複合材料サンプルの摩擦係数は、比較例7の架橋体サンプルよりも小さかった。
さらに、表8の結果によれば、実施例4,5の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例7の架橋体サンプルに比べて膨潤による各変化率が小さかった。
(10)実施例6,7
実施例6,7のサンプルは、上記(1)と同様にしてパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た。また、比較例8はカーボンナノチューブを配合していないので第1混練工程を省いて第2混練工程以降の工程で架橋体サンプルを製造した。なお、表8において、含フッ素エラストマーであるFKM及びカーボンナノチューブであるCNTは表1と同様であるので省略するが、フッ素樹脂であるPTFE−2の詳細は以下の通りであった。
PTFE−2:喜多村社製KTL−500F。ポリテトラフルオロエチレンの微粉末であり、平均粒径1μm以下(50%粒子0.3μm程度のファインパウダー)、融点(ASTM D3307)310℃以上、見かけ密度(JISK6891)0.20g/ml以上。
実施例6,7及び比較例8の試験サンプルについて、上記(2)、上記(4)及び上記(6)の各種試験(上記(6)については常温のメチルエチルケトン(MEK)による耐薬品性試験)を行い、試験結果を表9に示した。
表9の結果から、実施例6,7の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合することによって引張強さ(TS)が向上した。また、実施例6,7の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例8の架橋体サンプルに比べて引裂き強さ(Tr)が大きかった。
また、表9の結果によれば、実施例6,7の炭素繊維複合材料サンプルの摩擦係数は、比較例8の架橋体サンプルよりも小さかった。
さらに、表9によれば、実施例6,7の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例8の架橋体サンプルに比べて膨潤による各変化率が小さかった。
(11)実施例8
実施例8のサンプルは、上記(1)と同様にしてパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た。また、比較例9は含フッ素エラストマー単体であるので第1混練工程及び第2混練工程を省いて架橋体サンプルを製造し、比較例10はカーボンナノチューブを配合していないので第1混練工程を省いて第2混練工程以降の工程で架橋体サンプルを製造した。なお、表10において、フッ素樹脂であるPFA及びカーボンナノチューブであるCNTは表1と同様であるので省略するが、含フッ素エラストマーであるFFKM−1の詳細は以下の通りであった。
FFKM−1:ソルベイ社製PFR LT。パーフルオロエラストマー。ムーニー粘度ML(1+10)121℃(中心値)25、比重(ASTM D792)2.00g/cm3、パーオキサイド架橋。
実施例8及び比較例9,10の試験サンプルについて、上記(2)の各種試験及び(6)の常温のメチルエチルケトン(MEK)による耐薬品性試験を行い、試験結果を表10
に示した。
表10の結果から、実施例8の炭素繊維複合材料サンプルは、フッ素樹脂及びカーボンナノチューブを配合することによって、引張強さ(TS)、σ50及び引裂き強度(Tr)が向上した。
また、表10の結果によれば、実施例8の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例9,10の架橋体サンプルに比べて膨潤による各変化率が小さかった。
(12)実施例9〜11
実施例9〜11のサンプルは、上記(1)と同様にしてパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た。また、比較例11はカーボンナノチューブを配合していないので第1混練工程を省いて第2混練工程以降の工程で架橋体サンプルを製造した。なお、表11において、フッ素樹脂であるPFAは表1と同様であるので省略するが、含フッ素エラストマーであるFFKM−2及びカーボンナノチューブであるCNT−2の詳細は以下の通りであった。
FFKM−2:ソルベイ社製PFR95HT。パーフルオロエラストマー。ムーニー粘度ML(1+10)121℃(中心値)75、比重(ASTM D792)2.05g/cm3、パーオキサイド架橋。
CNT:保土谷化学社製NT−7B。平均直径68nmの多層カーボンナノチューブ。
実施例9〜11及び比較例11の試験サンプルについて、上記(6)のブタジエンガスによる暴露試験を行い、試験結果を表11に示した。
表11によれば、実施例9〜11の炭素繊維複合材料サンプルは、実施例11の質量変化率を除いて、比較例11の架橋体サンプルに比べて膨潤による各変化率が小さかった。
10 第1のロール、20 第2のロール、30 含フッ素エラストマー、34 バンク、36 混合物、50 第1混合物、54 バンク、60 炭素繊維複合材料、62 1次加硫した成形品、64 2次加硫した成形品、70 金型、72 上型、74 下型、80 カーボンナノチューブ、90フッ素樹脂、100 オーブン、102 炉室、104 テーブル、F 荷重

Claims (11)

  1. 含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相と、
    フッ素樹脂からなる第2相と、
    を有し、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が2nm〜100nmであり、含フッ素エラストマー中に解繊されて存在し、
    前記第1相は、分散相である前記第2相を覆うように形成されていることを特徴とする、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記第1相のカーボンナノチューブは、含フッ素エラストマー100質量部に対して、0.5質量部〜50質量部であることを特徴とする、炭素繊維複合材料。
  3. 請求項1または2において、
    前記第2相のフッ素樹脂は、前記第1相の含フッ素エラストマー100質量部に対して、5質量部〜150質量部であることを特徴とする、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記第1相の含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン・プロピレン系、テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル系、パーフロロエーテル系、及びフルオロシリコーン系からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記第2相のフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフルオライド系(THV)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン系(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン系(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン系(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン系(FEP)、及びテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項4において、
    前記含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン系またはパーフロロエーテル系であり、
    前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする、炭素繊維複合材料。
  6. 含フッ素エラストマーと平均直径が2nm〜100nmのカーボンナノチューブとを混練して第1混合物を得る第1混練工程と、
    前記第1混合物にフッ素樹脂粒子を加えて混練して炭素繊維複合材料を得る第2混練工程と、
    を含み、
    炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを含む連続相である第1相が分散相であるフッ素樹脂からなる第2相を覆うように形成されることを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
  7. 請求項6において、
    前記第1混練工程は、0℃〜50℃でロール間隔が0.5mm以下のオープンロールで
    行う第1薄通し工程を含むことを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
  8. 請求項6または7において、
    前記第2混練工程は、0℃〜50℃でロール間隔が0.5mm以下のオープンロールで行う第2薄通し工程を含むことを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項において、
    前記第1混練工程は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを0.5質量部〜50質量部配合することを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項において、
    前記第2混練工程は、含フッ素エラストマー100質量部に対して、平均粒径が20μm〜60μmのフッ素樹脂粒子を5質量部〜150質量部配合することを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項において、
    前記第2混練工程によって得られた炭素繊維複合材料は、前記第1相のカーボンナノチューブが含フッ素エラストマー中に解繊されて存在することを特徴とする、炭素繊維複合材料の製造方法。
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