JP7010792B2 - 炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコーンゴムにカーボンナノチューブを配合した炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法に関する。
シリコーンゴムは低温から高温まで幅広い温度範囲で特性の変化が少ないため、他のゴムに比べて使用温度範囲が非常に広いことが特徴であるが、力学的強度が低いという課題がある。
医療関連機器分野の義肢補綴装置が装着されるライナーに用いるべく、カーボンナノチューブをシリコーンゴム中に解繊させて耐摩耗性に優れた炭素繊維複合材料の製造方法が提案された(特許文献1参照)。しかしながら、カーボンナノチューブとシリコーンゴムとの結合力が極めて弱かったため、引張強さなどの力学的性能については他の技術分野で不十分なものとなっていた。
そこで、本発明者等は、シランカップリング剤等を用いてカーボンナノチューブとシリコーンゴム分子との接着強度を上げることで、通常のシリカ粒子の配合では到達できない引張強さ及び引張疲労耐久性を向上したシリコーンゴムの炭素繊維複合材料の開発に成功した(特許文献2参照)。しかしながら、この炭素繊維複合材料はカーボンナノチューブで引張強さ等を向上させることができたもののゴム材料としての柔軟性が低く、損失正接(tanδ)の値も小さいものであった。
シリコーンゴムは、力学的強度を向上させることで優れた温度特性を利用した用途が広がることが期待され、一方ではこのような用途においても、ゴムとしての柔軟性が求められることが多く、例えば防振用途等では損失正接(tanδ)の値が大きい材料が要求される。
特開2013-49752号公報 特開2017-82145号公報
本発明の目的は、シリコーンゴムにカーボンナノチューブを配合して補強しつつ損失正接(tanδ)が大きな値を示す炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本適用例に係る炭素繊維複合材料は、
シリコーンゴムと、カーボンナノチューブと、カップリング剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.4nm~100nmであり、かつ、前記炭素繊維複合材料における含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、
前記炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、
前記炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上であることを特徴とする。
[適用例2]
前記適用例に係る炭素繊維複合材料において、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が5nm~100nmの多層カーボンナノチューブであることができる。
[適用例3]
前記適用例に係る炭素繊維複合材料において、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が5nm~20nmの多層カーボンナノチューブであることができる。
[適用例4]
前記適用例に係る炭素繊維複合材料において、
前記カーボンナノチューブは、前記炭素繊維複合材料における含有量が0.97質量%~6.41質量%であることができる。
[適用例5]
前記適用例に係る炭素繊維複合材料において、
前記カップリング剤は、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤から選ばれる1種類以上であることができる。
[適用例6]
前記適用例に係る炭素繊維複合材料において、
圧縮率25%の1000回の繰り返し圧縮試験後の圧縮残留ひずみが15.0%以下であることができる。
[適用例7]
本適用例に係る炭素繊維複合材料の製造方法は、
シリコーンゴムに対して、平均直径が0.4nm~100nmのカーボンナノチューブと、カップリング剤と、を混練して混合物を得る混合工程と、
前記混合物をロール間隔が0.5mm以下で、0~50℃のオープンロールに投入して、カーボンナノチューブがシリコーンゴム中で解繊する薄通し工程と、
前記薄通し工程で得られた混合物を架橋して炭素繊維複合材料を得る架橋工程と、
を含み、
炭素繊維複合材料における前記カーボンナノチューブの含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、
前記炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、
前記炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上であることを特徴とする。
本発明によれば、シリコーンゴムにカーボンナノチューブを配合して補強しつつ損失正接(tanδ)が大きな値を示す炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法を提供することができる。
一実施の形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 一実施の形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 一実施の形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
A.炭素繊維複合材料
本実施形態に係る炭素繊維複合材料は、シリコーンゴムと、カーボンナノチューブと、カップリング剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.4nm~100nmであり、かつ、前記炭素繊維複合材料における含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、前記炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、前記炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上であることを特徴とする。
また、炭素繊維複合材料には、カーボンナノチューブ及びカップリング剤以外にシリコーンゴムに一般に用いられている配合剤を用いることができる。
A-1.シリコーンゴム
一実施の形態に用いるシリコーンゴムとしては特に限定されないが、オルガノポリシロキサンの生ゴムであることができ、主鎖がシロキサン結合で構成され、側鎖にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、γ-フェニルプロピル基等のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などを持つことができる。シリコーンゴムの分子構造は、直鎖状であることができ、一部分岐を有した直鎖状であることができる。
シリコーンゴムには、公知の架橋剤を用いることができ、例えば、架橋形態として縮合型反応、付加型反応、過酸化物反応を用いることができ、過酸化物架橋が好ましい。シリコーンゴムを架橋剤で架橋することによって、耐熱性や耐薬品性に優れた炭素繊維複合材料を製造することができる。
また、シリコーンゴムとしては、シリカが予め配合されているシリコーンゴムコンパウンドを含む。市販されているシリコーンゴムは、通常シリカが配合されている。シリコーンゴムは低温から高温まで幅広い温度で優れた特性を有することが特徴であるが、物理的強度が低いため、予めシリカ粒子が配合されたコンパウンドが一般的である。
A-2.カーボンナノチューブ
本発明の一実施の形態に用いるカーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が0.4nm~100nmである。さらに、カーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が5nm~100nmであることができ、特に、平均直径(繊維径)が5nm~20nmであることができる。カーボンナノチューブの平均直径は、電子顕微鏡による観察によって計測
することができる。カーボンナノチューブは、その表面におけるシリコーンゴムとの反応性を向上させるために、酸化処理することもできる。なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノチューブのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
また、カーボンナノチューブは、前記の通りシリコーンゴムとの接着性等が弱い上に、カーボンナノチューブをシリコーンゴムに配合すると、シリコーンゴムの架橋剤と結びついて架橋阻害を起こしやすい。
炭素繊維複合材料中でカーボンナノチューブによって形成される微小セル構造は、カーボンナノチューブが3次元に張り巡らされた網目構造によってマトリックス材料を囲むように形成されることができる。これまでの研究結果から1つのセルの最大径はおおよそカーボンナノチューブの平均直径の2倍~10倍程度になることが判っている。
炭素繊維複合材料におけるカーボンナノチューブの含有量は、0.80質量%以上6.50質量%未満である。さらに、炭素繊維複合材料におけるカーボンナノチューブの含有量は、0.97質量%~6.41質量%であることができ、さらに、2.85質量%~5.54質量%であることができる。炭素繊維複合材料がカーボンナノチューブを0.80質量%以上含むと力学的特性、特に120℃における引裂き疲労耐久性を向上することができる。炭素繊維複合材料がカーボンナノチューブを6.50質量%未満含むことによって損失正接(tanδ)が大きい値を示すことができる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する単層カーボンナノチューブ(SWNT:シングルウォールカーボンナノチューブ)、多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)であることができる。多層カーボンナノチューブには、2層カーボンナノチューブ(DWNT:ダブルウォールカーボンナノチューブ)を含む。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノチューブは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理の第1のカーボンナノチューブを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃~1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁に第1のカーボンナノチューブを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノチューブを基板上に生成させる触媒担持反応法(Sub strate Reaction Method)等を用いることができる。
A-3.カップリング剤
一実施の形態に用いるカップリング剤は、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤から選ばれる1種類以上である。
シラン系カップリング剤としては、信越化学工業社、東レ社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社等のものを用いることができ、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を用いることができる。
チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤としては、味の素社やKENRICH社等のものを用いることができ、チタネート系としては例えばテトラ(2,2ジアリルオキシメチル)ブチル、ジ(ジトリデシル)フォスファイトチタネート等を用いることができ、アルミネート系としては例えばアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を用いることができ、ジルコネート系としてはテトラ(2,2ジアリルオキシメチル)ブチル、ジ(ジトリデシル)フォスファイトジルコネート等を用いることができる。
カップリング剤は、分子中に2種類以上の反応基を有することができ、その内の1種はシリコーンゴムに対する有機官能基であり、他の1種はカーボンナノチューブに対する加水分解性基であることができる。シリコーンゴムに対する接着性のある有機官能基としては、アミノ基、ビニル基、メタクリル基、エポキシ基などがある。カーボンナノチューブに対する接着性のある加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、2-メトキシエトキシ基などがある。
カップリング剤の配合量は、炭素繊維複合材料に配合されるカーボンナノチューブの配合量に応じて適宜設定できる。素繊維複合材料におけるカップリング剤の含有量は、カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%となるように設定する(例えば、炭素繊維複合材料に配合されるカーボンナノチューブが10gであればカップリング剤は0.1g~1gである)。炭素繊維複合材料におけるカップリング剤の含有量は、特にカーボンナノチューブの含有量に対して2質量%~7質量%とすることができる。
炭素繊維複合材料がカップリング剤を含むことで、カップリング剤の一方の反応基がシリコーンゴム分子と結びつき、カップリング剤の他方の反応基がカーボンナノチューブの表面にある官能基と反応し、シリコーンゴムとカーボンナノチューブとの相溶性や接着性を向上させる。また、カップリング剤の反応基がカーボンナノチューブの官能基と反応することによって、カーボンナノチューブの官能基が架橋剤と反応してシリコーンゴムの架橋を阻害することを防止できる。
A-4.その他の配合剤
シリコーンゴムに対して、ゴムの一般的な配合剤として用いられている例えばシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、カーボンブラックなどの補強剤、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤等を必要に応じて適宜添加して用いることができる。カーボンブラックやグラファイトは、炭素繊維複合材料の力学的補強としての効果はほとんどないが、混練加工性の向上などが期待できる。
A-5.引裂き疲労耐久性
炭素繊維複合材料の引裂き疲労耐久性は、引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまでの回数で評価する。引裂き疲労試験は、炭素繊維複合材料の試験片(20mm×幅4mm×厚さ1mm、試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mmの切込み)を、大気雰囲気中、120℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を1.5N/mmの条件と3N/mmの条件とで、繰り返し引っ張り荷重(0N/mm~1.5N/mm、0N/mm~3N/mm)をかけて行う。また引裂き疲労試験は、さらに高温の条件で、炭素繊維複合材料の試験片(20mm×幅4mm×厚さ1mm、試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mm
の切込み)を、大気雰囲気中、200℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を2N/mmの条件と4N/mmの条件とで、繰り返し引っ張り荷重(0N/mm~2N/mm、0N/mm~4N/mm)をかけて行ってもよい。
炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上である。炭素繊維複合材料は、同試験の最大引張応力を3N/mmとしたときの破断回数が200回以上であることができ、さらに同試験(3N/mm)における破断回数が500回以上であることができる。炭素繊維複合材料は、200℃、最大引張応力2N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が200回以上であることができ、さらに同試験(2N/mm)における破断回数が20万回以上であることができる。炭素繊維複合材料は、同試験の最大引張応力を4N/mmとしたときの破断回数が30回以上であることができ、さらに同試験(4N/mm)における破断回数が4000回以上であることができる。
本発明の炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブが比較的少量であっても、カーボンナノチューブが解繊して分散し、全体に補強することで、引裂き疲労耐久性に優れることができる。
A-6.損失正接
炭素繊維複合材料の損失正接は、動的粘弾性試験を行い、25℃における損失正接(tanδ)を測定することで得られる。動的粘弾性試験は、炭素繊維複合材料の試験片(40mm×1mm×2mm)を、チャック間距離20mm、測定温度-130~300℃(昇温ペース3℃/min)、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行う。試験結果から25℃における損失正接(tanδ)を求めることができる。
炭素繊維複合材料は、同試験における25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上である。炭素繊維複合材料は、試験片の列理方向に対して引張モードにて測定する場合の同試験における25℃における損失正接(tanδ)が0.15~0.20であることができ、さらに0.16~0.19であることができる。列理方向とは、オープンロールで分出しする方向に沿った方向である。
炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブを少量しか含まないため、ゴムとしての柔軟性を備え、損失正接が大きい値を示すことができる。
A-7.50%モジュラス
炭素繊維複合材料の50%モジュラス(σ50)は、引張試験を行い、50%ひずみ時における応力(MPa)を測定することで得られる。引張試験は、JIS K6251に準拠して、JIS6号ダンベル(標準線間距離20mm)を用いて、23℃±2℃、引張速度500mm/minとする。
炭素繊維複合材料の50%モジュラスが2MPa以上であることができる。炭素繊維複合材料はカーボンナノファイバーによって補強されることで50%モジュラスが2MPa以上の値を示すことができる。
A-8.圧縮残留ひずみ
炭素繊維複合材料の圧縮残留ひずみは、圧縮率25%の1000回の繰り返し圧縮試験後の残留ひずみを測定し、その測定値から計算によって得られる。繰返し圧縮試験は、φ12mm×高さ4mmのサンプルを用いて、周波数1Hz、繰り返し回数1000回、室温、圧縮率0%と圧縮率25%との繰り返し圧縮とする。圧縮残留ひずみの計算は、繰返
し圧縮試験後、30分後のサンプルの高さを測定し、サンプルの初期高さから試験後の高さを引いた値を初期高さで割った値{(初期高さ-試験後の高さ)/初期高さ}である。
炭素繊維複合材料の圧縮残留ひずみは、カーボンナノチューブを含まないゴム成分単体の圧縮残留ひずみより小さい値であることができる。炭素繊維複合材料の圧縮残留ひずみは、15.0%以下であることができる。炭素繊維複合材料の圧縮残留ひずみが小さいということは、圧縮疲労性に優れるということである。
B.炭素繊維複合材料の製造方法
本実施形態に係る炭素繊維複合材料の製造方法は、シリコーンゴムに対して、平均直径
が0.4nm~100nmのカーボンナノチューブと、カップリング剤と、を混練して混合物を得る混合工程と、前記混合物をロール間隔が0.5mm以下で、0~50℃のオープンロールに投入して、カーボンナノチューブがシリコーンゴム中で解繊する薄通し工程と、前記薄通し工程で得られた混合物を架橋して炭素繊維複合材料を得る架橋工程と、を含み、炭素繊維複合材料におけるカーボンナノチューブの含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上であることを特徴とする。
炭素繊維複合材料の製造方法について図1~図3を用いて詳細に説明する。図1~図3は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。
図1~図3に示すように、2本ロールのオープンロール2における第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm~1.5mmの間隔で配置され、図1~図3において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。
まず、図1に示すように、第1のロール10に巻き付けられたシリコーンゴム30の素練りを行なってもよく、シリコーンゴム分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたシリコーンゴムのフリーラジカルがカーボンナノチューブと結びつきやすい状態となる。
B-1.混合工程
次に、図2に示すように、第1のロール10に巻き付けられたシリコーンゴム30のバンク34に、カーボンナノチューブ80、カップリング剤82及び他の充填剤を投入し、混練し、混合物を得る。この混練におけるシリコーンゴム30の温度は、例えば0℃~50℃であることができ、さらに10℃~20℃であることができる。シリコーンゴム30とカーボンナノチューブ80及びカップリング剤82とを混合する工程は、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
ここで、カーボンナノチューブ80とカップリング剤82とを直接ロールに投入する方法は、いわゆるインテグラルブレンド法と呼ばれる。一段階でコンパウンディングできるため、工業的に採用されやすい。また、均一処理という点では乾式処理法や湿式処理法で予めカーボンナノチューブにカップリング剤を添加する方法がある。
充填剤の配合の種類及び量の説明については上述した通りであるので省略する。また、カップリング剤の加水分解性基を加水分解するために、水分を添加するが、水分をカップリング剤と共に予めカーボンナノチューブに添加しておいてもよい。
B-2.薄通し工程
さらに、図3に示すように、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隙dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mmを超え0.5mm以下の間隔に設定し、混合物36をオープンロール2に投入して薄通しを行なう。
薄通しの回数は、例えば1回~10回程度行なうことができる。
第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05~3.00であることができ、さらに1.05~1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出された炭素繊維複合材料50は、シリコーンゴムの弾性による復元力で図3のように大きく変形し、その際にシリコーンゴムと共にカーボンナノチューブが大きく移動する。
薄通しして得られた炭素繊維複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さのシート状に分出しされる。
この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0~50℃、より好ましくは5~30℃の比較的低い温度に設定して行われ、シリコーンゴムの実測温度も0~50℃に調整されることができる。
このようにして得られた剪断力により、シリコーンゴムに高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノチューブがシリコーンゴム分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離して解繊し、シリコーンゴム中に分散される。特に、シリコーンゴムは、弾性と、粘性と、カーボンナノチューブとの化学的相互作用と、を有するため、カーボンナノチューブを容易に分散することができる。そして、カーボンナノチューブの分散性および分散安定性(カーボンナノチューブが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールでシリコーンゴムとカーボンナノチューブとを混合すると、粘性を有するシリコーンゴムがカーボンナノチューブの相互に侵入し、かつ、シリコーンゴムの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノチューブの活性の高い部分と結合する。カーボンナノチューブの表面の活性が適度に高いと、特にシリコーンゴム分子と結合し易くなることができる。次に、シリコーンゴムに強い剪断力が作用すると、シリコーンゴム分子の移動に伴ってカーボンナノチューブも移動し、さらに剪断後の弾性によるシリコーンゴムの復元力によって、凝集していたカーボンナノチューブが分離されて、シリコーンゴム中に分散されることになる。
本実施の形態によれば、炭素繊維複合材料が狭いロール間から押し出された際に、シリコーンゴムの弾性による復元力で炭素繊維複合材料はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した炭素繊維複合材料をさらに複雑に流動させ、カーボンナノチューブをシリコーンゴム中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノチューブは、シリコーンゴムとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
薄通し工程は、シリコーンゴムにカーボンナノチューブを剪断力によって解繊させることができれば、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混
練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノチューブを分離して解繊できる剪断力をシリコーンゴムに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。なお、オープンロール法以外の場合には、混練中の混合物の温度を前記のロールの温度範囲とすることが適切な剪断力を得るために好ましい。
B-3.熱処理工程
薄通しした炭素繊維複合材料をオープンロール2から取り出し、オーブン内で100℃~200℃で10分間~1時間加熱してカップリング剤の加水分解を促進することができる。
熱処理した炭素繊維複合材料を再び第1のロール10に巻き付け、架橋剤を添加し、ロール間隙を所定の間隙(1.1mm)にセットして、炭素繊維複合材料を分出しする。架橋剤の添加は、シリコーンゴムとカーボンナノチューブとの混合前、混合中、あるいは薄通し後の分出しされた炭素繊維複合材料に対して行うことができる。
B-4.架橋工程(成形工程)
炭素繊維複合材料(未架橋体)をパーオキサイド架橋または付加架橋して炭素繊維複合材料(架橋体)を得ることができる。架橋剤は、公知のものを採用することができ、特にシリコーンゴムの種類によって最適なものを採用すればよい。
このようにして製造された炭素繊維複合材料は、上記A-5及び上記A-6で説明した特性を備えることができる。
前記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)サンプルの作製
実施例のサンプルは、以下の工程によって作製した。
混練工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10~20℃)に、シリコーンゴムを投入して、ロールに巻き付かせた(図1参照)。
次に、表1及び表2に示す配合割合(炭素繊維複合材料に占める配合剤の質量%)となるようにカーボンナノチューブ等の配合剤(表1及び表2では「MWCNT」、「カップリング剤」、「架橋剤等」と記載した)をシリコーンゴムに投入した(図2参照)。このとき、ロール間隙dを1.5mmとした。なお、カップリング剤及び水分は、投入前に予めカーボンナノチューブに含ませた。水分は、カーボンナノチューブの配合量に対して4質量%とし、表におけるカーボンナノチューブの配合量には水分を含ませる前の配合量を記載した。
薄通し工程:ロール間隙dを1.5mmから0.3mmと狭くして、熱処理した混合物を投入して薄通しをし、第1混合物を得た(図3参照)。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
熱処理工程:薄通しした混合物をロールから取り出し、オーブン内で150℃、30分間加熱してカップリング剤の加水分解を促進した。
さらに、熱処理した混合物を再びロールに巻き付け、架橋剤を添加し、ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、未架橋の混合物を分出しした。
成形工程:未架橋の混合物を真空プレス機に投入し、150℃~170℃、5分間~30分間プレス成形(一次加硫)した。
さらに、一次加硫した混合物をオーブンに移して、200℃、4時間二次加硫して、実施例1~5のパーオキサイド架橋したシート状の炭素繊維複合材料サンプルを得た。比較例1,2も実施例と同様にして各サンプルを得た。
なお、表1及び表2において、シリコーンゴム及び各種配合剤の詳細は以下の通りであった(シリコーンゴムは珪素と酸素の結合からなるシロキサン結合を骨格としたシリコーンポリマーとシリカを主成分とするコンパウンド)。また、実施例1~5及び比較例1のカップリング剤については、カーボンナノチューブに対して4質量%配合した(配合したカーボンナノチューブを100質量%としたときの4質量%になるようにカップリング剤を配合した)。比較例2のサンプルは、シリコーンゴムに、過酸化物を主成分とする架橋剤を0.50質量%配合した。
下記表1及び表2に示す配合剤は、
シリコーンゴム:信越化学工業社製、製品名KE-5560-U、
MWCNT:マルチウォールカーボンナノチューブ、平均直径10.5nm、
シラン系:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)、
架橋剤等:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンであった。
(2)動的粘弾性試験
実施例及び比較例のサンプルを、短冊片40mm×1mm×2mm(巾)の試験片で、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度-130~300℃(昇温ペース3℃/min)、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い、25℃における損失正接(tanδ)を測定した。動的粘弾性試験は、試験片の列理方向に対して引張モードで行った。25℃における損失正接(tanδ)の測定結果を表1及び表2に示した。
(3)引裂き疲労試験
実施例及び比較例のサンプルを、20mm×幅4mm×厚さ1mmの短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、大気雰囲気中、200℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を2N/mmの条件(表では「引裂疲労寿命-1」)と4N/mmの条件(表では「引裂疲労寿命-2」)とで、繰り返し引っ張り荷重(0N/mm~2N/mm、0N/mm~4N/mm)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまでの引張回数(疲労寿命(回))を測定した。測定結果は、表の「引裂疲労寿命-1」(最大2N/mm)と「引裂疲労寿命-2」(最大4N/mm)の欄に示した。
さらに、実施例及び比較例のサンプルを、20mm×幅4mm×厚さ1mmの短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、大気雰囲気中、120℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を1.5N/mmの条件(表では「引裂疲労寿命-3」)と3N/mmの条件(表では「引裂疲労寿命-4」)とで、繰り返し引っ張り荷重(0N/mm~1.5N/mm、0N/mm~3N/mm)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまでの引張回数(疲労寿命(回))を測定した。測定結果は、表の「引裂疲労寿命
-3」(最大1.5N/mm)と「引裂疲労寿命-4」(最大3N/mm)の欄に示した。
なお、いずれの引裂き疲労試験においても引張回数は、最大20万回とし、20万回で破断しなかった場合は表に「200,000(中断)」と記載した。比較例2では4N/mmの試験は行わなかった。
(4)硬度
実施例及び比較例のサンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS A))をJIS K6253試験に基づいて測定した。測定結果を表1及び表2に示した。
(5)引張試験
実施例及び比較例のサンプルについて、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))、及び50%変形時の応力(σ50(MPa))を、JIS6号形のダンベル形状に打ち抜いた試験片で、島津製作所社製の引張試験機オートグラフAG-Xを用いて、23±2℃、標準線間距離20mm、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い測定した。測定結果を表1及び表2に示した。
(6)圧縮試験
実施例及び比較例のサンプルについて、1000回の繰り返し圧縮試験を実施し、試験後の残留ひずみを測定した。繰返し圧縮試験は、φ12mm×高さ4mmのサンプルを用いて、室温において、圧縮率0%(初期状態)から圧縮率25%まで圧縮した後、圧縮率0%に戻すことを1回の圧縮として1000回まで周波数1Hzで繰り返した。残留ひずみは圧縮試験から30分後のサンプルの高さを測定し、「圧縮残留ひずみ」はサンプルの初期高さから試験後の高さ(圧縮ひずみ)を引いた値を初期高さで割った値{(初期高さ-試験後の高さ)/初期高さ}で計算した。計算結果を表1及び表2に示した。
Figure 0007010792000001
Figure 0007010792000002
表1及び表2によれば、実施例1~5のサンプルは、比較例1,2よりも引裂き疲労寿命の回数が多かった。実施例1~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-1」が200回以上であり、実施例2~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-1」が20万回以上であった。また、実施例1~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-2」が30回以上であり、実施例2~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-2」が4000回以上であった。
実施例1~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-3」が20万回以上であり、実施例1~5のサンプルは、「引裂き疲労寿命-4」が588回以上であった。
また、実施例1~5のサンプルは、比較例1に比べて、損失正接(tanδ)が大きく、0.16以上であった。
また、実施例1~5のサンプルは、「TS」の値が比較例2と同等以上であり、「σ50」の値が比較例2に比べて大きく、2.1MPa以上であった。実施例1~5のサンプルは、「Eb」の値が比較例1よりも大きかった。
さらに、実施例1~5のサンプルは、圧縮試験の圧縮残留ひずみが比較例1に比べて小
さく、13.4%以下であった。
(5)電子顕微鏡観察
実施例のサンプルの引張破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。炭素繊維複合材料には解繊されたカーボンナノチューブが観察できた。実施例のサンプルにおいては、カーボンナノチューブの凝集塊が発見できなかった。
2…オープンロール、10…第1のロール、20…第2のロール、30…シリコーンゴム、34…バンク、36…混合物、50…炭素繊維複合材料、80…カーボンナノチューブ、82…カップリング剤、V1,V2…回転速度、d…ロール間隙

Claims (7)

  1. シリコーンゴムと、カーボンナノチューブと、カップリング剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.4nm~100nmであり、かつ、前記炭素繊維複合材料における含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、
    前記炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、
    前記炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上である、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が5nm~100nmの多層カーボンナノチューブである、炭素繊維複合材料。
  3. 請求項1又は2において、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が5nm~20nmの多層カーボンナノチューブである、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1~3のいずれか1項において、
    前記カーボンナノチューブは、前記炭素繊維複合材料における含有量が0.97質量%~6.41質量%である、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項1~4のいずれか1項において、
    前記カップリング剤は、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤から選ばれる1種類以上である、炭素繊維複合材料。
  6. 請求項1~5のいずれか1項において、
    圧縮率25%の1000回の繰り返し圧縮試験後の圧縮残留ひずみが15.0%以下である、炭素繊維複合材料。
  7. シリコーンゴムに対して、平均直径が0.4nm~100nmのカーボンナノチューブと、カップリング剤と、を混練して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物をロール間隔が0mmを超え0.5mm以下で、0~50℃のオープンロールに投入して、カーボンナノチューブがシリコーンゴム中で解繊する薄通し工程と、
    前記薄通し工程で得られた混合物を架橋して炭素繊維複合材料を得る架橋工程と、
    を含み、
    前記炭素繊維複合材料における前記カーボンナノチューブの含有量が0.80質量%以上6.50質量%未満であり、
    前記炭素繊維複合材料における前記カップリング剤の含有量は、前記カーボンナノチューブの含有量に対して1質量%~10質量%であり、
    前記炭素繊維複合材料は、120℃、最大引張応力1.5N/mm、周波数1Hzの引裂き疲労試験における破断回数が20万回以上であり、かつ、25℃における損失正接(tanδ)が0.15以上である、炭素繊維複合材料の製造方法。
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