JP2023020935A - 炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法 Download PDF

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圭一 川本
Keiichi Kawamoto
宏之 植木
Hiroyuki Ueki
博光 伊藤
Hiromitsu Ito
建作 佐藤
Kensaku Sato
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Abstract

【課題】本発明は、機械的強度、耐熱性に優れながらもコスト競争力に優れる炭素繊維複合材料を提供する。【解決手段】本発明に係る炭素繊維複合材料50は、架橋したエラストマー30中に炭素系補強材を含む。炭素繊維複合材料50の断面において、隣接する2以上の炭素系補強材が100nm以下の距離で近接または接触した集合構造84を複数有する。エラストマー30は、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム等である。炭素系補強材は、カーボンナノチューブ81とカーボンブラック82とを含む。集合構造84における隣接する炭素系補強材間の平均距離は、10nm以上100nm未満である。集合構造84に外接する外接円C1は、直径が10nm~4μmであり、かつ、平均直径が50nm~1.0μmである。断面における集合構造84の占める面積が8%~35%である。【選択図】図1

Description

本発明は、コスト競争力に優れる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法に関する。
近年、カーボンナノチューブで機械的強度、耐熱性を向上させた複合材料が注目されている。しかしながら、カーボンナノチューブは、強い凝集性を有するため、凝集塊になりやすく、繊維状の補強材として複合材料に用いることは非常に困難であった。
これに対し、エラストマーにカーボンナノチューブを混練する過程で、エラストマー分子がカーボンナノチューブの末端のラジカルと結合することにより、カーボンナノチューブの凝集力を弱め、カーボンナノチューブを解繊した状態で複合化した炭素繊維複合材料が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、エラストマーとカーボンナノチューブを複合したシール部材等も提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
特開2005-97525号公報 特許第4229967号公報 特許第5072750号公報
しかしながら、カーボンブラックやシリカなどの補強材と比較してカーボンナノチューブは価格が高く、機械的強度、耐熱性が向上しても炭素繊維複合材料が市場に流通しにくい状況にある。
そこで、本発明は、機械的強度、耐熱性に優れながらもコスト競争力に優れる炭素繊維複合材料及び炭素繊維複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[1]本発明に係る炭素繊維複合材料の一態様は、
架橋したエラストマー中に炭素系補強材を含む炭素繊維複合材料であって、
前記炭素繊維複合材料の断面において、隣接する2以上の炭素系補強材が100nm以下の距離で近接または接触した集合構造を複数有し、
前記エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、
前記炭素系補強材は、平均直径が0.7nm~30nmのカーボンナノチューブと平均
粒径が35nm~300nmのカーボンブラックとを含み、
前記集合構造における隣接する前記炭素系補強材間の平均距離は、10nm以上100nm未満であり、
前記集合構造に外接する外接円は、直径が10nm~4μmであり、かつ、平均直径が50nm~1.0μmであり、
前記断面における前記集合構造の占める面積が8%~35%であることを特徴とする。
[2]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
前記カーボンブラックは、平均粒径が35nm~80nmのハイストラクチャーカーボンブラックを含むことができる。
[3]本発明に係る炭素繊維複合材料の一態様は、
エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを5質量部~14質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラックを10質量部~40質量部と、を含み、
前記エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm~30nmであり、
前記ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm~80nmであり、
前記カーボンナノチューブに対する前記ハイストラクチャーカーボンブラックの質量比が、1.00:0.71~1.00:8.00であることを特徴とする。
[4]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブを含むことができる。
[5]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
前記エラストマー100質量部に対して、過酸化物分解型の二次老化防止剤を0.1質量部~5質量部をさらに含むことができる。
[6]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
120℃で240時間加熱処理した前記炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における抗張積が、前記加熱処理の前の前記炭素繊維複合材料に対する前記引張試験における抗張積の90%以上、120%以下であることができる。
[7]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
120℃で240時間加熱処理した前記炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における破壊エネルギーが、前記加熱処理の前の前記炭素繊維複合材料に対する前記引張試験における破壊エネルギーの90%以上、120%以下であることができる。
[8]上記炭素繊維複合材料の一態様において、
JIS K6253に基づく硬度が65度~85度であることができる。
[9]本発明に係る炭素繊維複合材料の製造方法の一態様は、
架橋前の前記エラストマーに前記炭素系補強材を混合して未架橋の炭素繊維複合材料を
得る工程と、前記未架橋の炭素繊維複合材料における前記エラストマーを架橋して上記炭素繊維複合材料の一態様を得る架橋工程と、を含むことを特徴とする。
炭素繊維複合材料の断面における構造を説明する模式図である。 炭素繊維複合材料の引張破断面のSEM画像である。 集合構造を説明するための炭素繊維複合材料の引張破断面のSEM画像である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料
本発明の第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料は、架橋したエラストマー中に炭素系補強材を含む炭素繊維複合材料であって、前記炭素繊維複合材料の断面において、隣接する2以上の炭素系補強材が100nm以下の距離で近接または接触した集合構造を複数有し、前記エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、前記炭素系補強材は、平均直径が0.7nm~30nmのカーボンナノチューブと平均粒径が35nm~300nmのカーボンブラックとを含み、前記集合構造における隣接する前記炭素系補強材間の平均距離は、10nm以上100nm未満であり、前記集合構造に外接する外接円は、直径が10nm~4μmであり、かつ、平均直径が50nm~1.0μmであり、前記断面における前記集合構造の占める面積が8%~35%であることを特徴とする。
第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料は、カーボンブラックとして平均粒径が35nm~80nmのハイストラクチャーカーボンブラックを含むことができる。
1.1.集合構造
炭素繊維複合材料について本発明者等が走査型電子顕微鏡を用いた計測を行った結果、硬度85度以下で機械的強度、耐熱性に優れる炭素繊維複合材料には共通する構造的特徴があることがわかった。
そこで、図1~図3を用いて、炭素繊維複合材料50の構造的特徴について詳細に説明する。図1は炭素繊維複合材料50の断面の画像90における構造を説明する模式図であり、図2は炭素繊維複合材料50の引張破断面のSEMの画像90であり、図3は図2の画像90に集合構造84及び外接円C1を破線で示した画像90である。なお、「断面」は凍結割断面であってもよいし、引張破断面であってもよい。また、「SEM」は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)の略称である。
図1~図3に示す炭素繊維複合材料50は、架橋したエラストマー30中に炭素系補強材を含む。炭素系補強材は、平均直径が0.7nm~30nmのカーボンナノチューブ81と平均粒径が35nm~300nmのカーボンブラックとを含む。カーボンブラックは、後述の「3.2.ハイストラクチャーカーボンブラック」で説明する平均粒径が35nm~80nmのハイストラクチャーカーボンブラック82であり、図1~図3ではこの例について示す。
図1~図3に示すように、炭素繊維複合材料50の断面において、隣接する2以上の炭素系補強材が100nm以下の距離L1で近接または接触した集合構造84を複数有する。距離L1は、隣接する炭素系補強材の最も近接している位置における距離であり、隣接する炭素系補強材が接触している場合には距離L1=0nmとして計測する。図1で網掛けの領域は各炭素系補強材の周囲100nmの範囲であり、集合構造84を示す。また、図3で破線の自由曲線は、各炭素系補強材の周囲100nmを囲むことで集合構造84を示す。
集合構造84における隣接する炭素系補強材間の距離L1の平均値は、10nm以上100nm未満である。さらに、距離L1の平均値は、10nm~95nmであることができる。図1において距離L1は、隣接するハイストラクチャーカーボンブラック82,82の間の距離を示すが、これに限らず、隣接するカーボンナノチューブ81,81間の距離、隣接するカーボンナノチューブ81とハイストラクチャーカーボンブラック82間の距離である。距離L1の平均値が10nm未満であると炭素繊維複合材料50の硬度が85度を超え、柔軟性が低下する。また、距離L1の平均値が100nm以上だと炭素系補強材間の相互作用が減少して補強効果が低下する。距離L1は走査型電子顕微鏡の画像90上で計測する。
図1及び図3の集合構造84に外接する外接円C1は、直径が10nm~4μmであり、かつ、平均直径が50nm~1.0μmである。外接円C1は、走査型電子顕微鏡の画像90上で集合構造84に外接する円を描くことができる。炭素繊維複合材料50は、断面における集合構造84の占める面積が8%~35%である。当該面積は、画像90上で測定できる。
集合構造84は、エラストマー30だけの相よりも高い弾性率を有することにより、炭素繊維複合材料50の中で一つの構造体に近い挙動を示すと推測される。そのため、集合構造84が炭素繊維複合材料50に対する応力を負担することで引裂き強さに優れる。また、集合構造84を有することにより炭素繊維複合材料50は加熱処理後の抗張積維持に優れる。集合構造84の中では隣接する炭素系補強材の応力場による相互作用が生じると考えられる。また、複数の集合構造84が炭素繊維複合材料50の中にそれぞれ独立して点在することにより、変形時の柔軟性を維持する。
2.第2の実施形態に係る炭素繊維複合材料
本発明の第2の実施形態に係る炭素繊維複合材料は、エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを5質量部~14質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラックを10質量部~40質量部と、を含み、エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm~30nmであり、ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm~80nmであり、カーボンナノチューブに対するハイ
ストラクチャーカーボンブラックの質量比が、1.00:0.71~1.00:8.00である。
第2の実施形態に係る炭素繊維複合材料は、第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料と同じ上述の集合構造を形成する。以下、第2の実施形態に係る炭素繊維複合材料について説明するが、第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料も第2の実施形態と同じ原料と配合であれば同じ性能を備える。
炭素繊維複合材料は、JIS K6253に基づく硬度(JIS-A)が65度~85度であることができる。一般的なOリングやダイヤフラムなどのゴム製品は硬度85度以下、特に75度以下が多く、これらと同程度の硬度とすることにより、機械的強度及び耐熱性が高い炭素繊維複合材料の適用範囲・用途・市場を拡大することができる。また、硬度が67度から83度の範囲であることがより好ましい。
炭素繊維複合材料は、高価なカーボンナノチューブの配合量を抑えることにより、コスト競争力に優れる。なぜなら、本発明の炭素繊維複合材料と同程度の硬度(JIS-A)を備えるゴム組成物を補強材としてカーボンナノチューブだけを用いて製造すると、本発明よりも大量のカーボンナノチューブを配合することになるが、本発明のように少量のカーボンナノチューブとカーボンブラックの配合により集合構造を形成することで優れた機械的強度や耐熱性を備えることにより、コスト競争力に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる。
また、炭素繊維複合材料が機械的強度に優れることにより成形における脱型時の破損を抑制することができる。具体的には、炭素繊維複合材料がOリングやダイヤフラム等の製品として成形される際に、製品を高温の金型から取り出す工程(脱型)で金型に貼りついたり、引っかかったりして引っ張られることがあるが、炭素繊維複合材料は機械的強度に優れるため、製品が引裂かれたり、ちぎれたりする成形不良の発生を抑制できる。ここで機械的強度は、引裂き試験における引裂き強さであり、また、引張試験における抗張積、破壊エネルギーを含んでもよい。また、近年各種産業・工業用途において耐久性向上要望、高温など過酷環境下での使用用途が増えており、耐久性、耐熱性及び機械的強度を炭素繊維複合材料は備えることが好ましい。ここで耐熱性は、後述する抗張積維持率や破壊エネルギー維持率として評価でき、また、加熱処理後の抗張積や加熱処理後の破壊エネルギーを評価として含んでもよい。
炭素繊維複合材料は、伸びを維持した上で上述の硬度及び機械的強度を備える。ここで伸びは引張試験における切断時伸びで評価できる。これらの性能を備える炭素繊維複合材料は、比較的少量の解繊されたカーボンナノチューブに加えて、カーボンブラックを所定量配合することにより達成できる。また、カーボンブラックとしては少なくともハイストラクチャーカーボンブラックを含むことが好ましく、さらに老化防止剤を含むことが好ましい。
炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブが解繊された状態で全体に分散している。炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブの凝集塊が存在しない。凝集塊が存在すると破壊の起点となり、機械的強度の低下を招くからである。
炭素繊維複合材料は、120℃で240時間加熱処理した炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における抗張積が、加熱処理前の炭素繊維複合材料に対する引張試験における抗張積の90%以上、120%以下であることができる。抗張積は、JIS K6251に基づく引張試験における引張強さ(MPa)と破断伸び(%)との積(TB×EB)として算出される。したが
って、引張強さが大きく、かつ破断伸びが大きいほど抗張積は大きい値を示すため、材料の持つ破断エネルギーの指標となる。また、加熱処理前の抗張積(A)に対する加熱処理後の抗張積(a)の割合を抗張積維持率(a/A(%))とすると、抗張積維持率が90%以上であると加熱による劣化が少なく、耐熱性に優れている。所定量の解繊されたカーボンナノチューブがカーボンブラックと共に集合構造を形成することにより、炭素繊維複合材料の耐熱性が向上する。
炭素繊維複合材料は、120℃で240時間加熱処理した炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における破壊エネルギーが、加熱処理前の炭素繊維複合材料に対する引張試験における破壊エネルギーの90%以上、120%以下であることができる。破壊エネルギーは、JIS K6251に基づく引張試験における応力-歪曲線の初期から破断までの全範囲のエネルギーであり、材料の機械的強度の指標である。また、加熱処理前の破壊エネルギー(B)に対する加熱処理後の破壊エネルギー(b)の割合を破壊エネルギー維持率(b/B(%))とすると、破壊エネルギー維持率が90%以上であると加熱による強度の低下が少なく、耐熱性に優れている。所定量の解繊されたカーボンナノチューブがカーボンブラックと共に集合構造を形成することにより、炭素繊維複合材料の耐熱性が向上する。
3.原料
次に、第2の実施形態に係る炭素繊維複合材料を構成する原料について説明する。なお、第1の実施形態に係る炭素繊維複合材料を構成する原料も基本的には同じであるので、重複する説明は省略する。
3.1.エラストマー
エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であることにより、炭素繊維複合材料は後述する炭素系補強材の配合量の範囲で同様な補強効果を得ることができる。また、エラストマーが、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、アクリルゴム(ACM、AEM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム(H-NBR)、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム(NBR)、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であることにより、炭素繊維複合材料は耐熱性に優れる。主鎖に二重結合を含まない、または二重結合が少ないエラストマーが耐熱性に優れるため、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴムのように二重結合を含まないもの、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム及びアクリレート変性ニトリルゴムのように二重結合が少ないものが好ましい。
エラストマーは、エチレン・プロピレンゴムであることができる。エチレン・プロピレンゴムは、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体とも呼ばれる。以下の説明では、エチレン・プロピレンゴムをEPDMと省略する。EPDMは、エチリデンノルボルネン(ENB)などの第3成分を含み、かつ、エチレンとプロピレンの共重合比は、エチレン含量で45%~80%のEPDMとすることができる。EPDMは、ムーニー粘度の異なる複数のEPDMを混合して用いることができる。EPDMの重量平均分子量は、通常5万以上のものが望ましく、より好ましくは7万以上、特に好ましくは10~50万程度のものを用いることができる。EPDMの分子量がこの範囲であると、EPDM分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、EPDMは、凝集したカーボンナノチューブの相互に侵入しやすく、したがってカーボンナノチューブ同士を分離する効果が大きい。EPD
Mの分子量が5000より小さいと、EPDM分子が相互に充分に絡み合うことができず、後に説明する工程で剪断力をかけてもカーボンナノチューブを分散させる効果が小さくなる傾向がある。また、EPDMの分子量が500万より大きいと、EPDMが固くなりすぎて加工性が低下する傾向がある。エラストマーは、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム(H-NBR)であることができる。水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム(H-NBR)は、水素化ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴムあるいは水素添加アクリロニトリル-ブタジエンゴムなどと呼ばれることがある。以下の説明では、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴムをH-NBRと省略する。H-NBRは、ニトリルゴム(NBR)に含まれる二重結合を水素添加することによって得ることができる。H-NBRは、水素添加率が高いことが架橋後の耐熱性の点で好ましく、例えば、ヨウ素価が57以下であることができ、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは15以下である。また、H-NBRは、例えば、アクリロニトリル含有量が30~50質量%、ムーニー粘度(ML1+4100℃)の中心値が50~100であることができる。
3.2.ハイストラクチャーカーボンブラック
ハイストラクチャーカーボンブラック(以下、「HSカーボン」という)の平均粒径は、35nm~80nmであることができる。ここでストラクチャーとは粒子の凝集状態であり、ハイストラクチャーになると粒子同士のつながり度合いが多く、粒子の凝集力で直接増強作用を与えるため引張応力などに影響を与える。HSカーボンの平均粒径は、HSカーボンの凝集体を構成する小さな球状の成分を単一粒子(基本粒子)とみなしてその粒子直径を走査型電子顕微鏡による2000個以上の撮像によって測定して算術平均値として求めることができる。
HSカーボンのDBP吸収量(A法)は、さらに140cm/100g~160cm/100gであることができる。DBP吸収量は、HSカーボン100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)量(cm/100g)であり、JIS K6217-4(ASTM D 2414)に従って測定される。DBP吸収量によって、HSカーボン粒子同士が融着したアグリゲートの発達度合いであるストラクチャーを間接的に定量することができる。ここでいうHSカーボンのDBP吸収量は、エラストマーに配合する前の状態における測定値である。
炭素繊維複合材料におけるHSカーボンは、エラストマー100質量部に対して、10質量部~40質量部含む。また、炭素繊維複合材料におけるHSカーボンは、エラストマー100質量部に対して、15質量部~25質量部含むことができる。HSカーボンは、粒子同士のつながり度合いが多く、少量で相互作用しやすく複合材料中のカーボンナノチューブとの集合構造の形成に寄与すると共に、機械的強度の向上に寄与するため、10質量部以上配合することが好ましい。また、HSカーボンは、40質量部以下とすることが硬度調整のしやすさから好ましい。
3.3.カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が0.7nm~30nmであることができ、さらに2nm~20nmであることができる。このようなカーボンナノチューブは、その平均直径が比較的細いため、比表面積が大きく、マトリックスであるエラストマーとの表面反応性が向上し、エラストマー中におけるカーボンナノチューブの分散不良を改善しやすい傾向がある。カーボンナノチューブは、直径が0.7nm以上であれば市場で入手可能であり、30nm以下であれば引裂き強さ、加熱後の抗張積維持に優れるという効果を有する。カーボンナノチューブは、その表面のエラストマーとの反応性を向上させるために、公知の活性化処理を施すことができる。カーボンナノチューブの平均直径は、電子顕微鏡による観察によって計測することができる。なお、本発明の詳細な説明において
カーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノチューブのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有するいわゆる多層カーボンナノチューブ(MWCNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)及び単層カーボンナノチューブ(SWCNT:シングルウォールカーボンナノチューブ)の少なくとも一方であり、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブを含んでもよい。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノチューブは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理のカーボンナノチューブを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃~1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁にカーボンナノチューブを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノチューブを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。例えば、平均直径が9nm~20nmのカーボンナノチューブは触媒担持反応法によって得ることができ、これより太いカーボンナノチューブは浮遊流動反応法によって得ることができる。カーボンナノチューブの直径は、例えば金属含有粒子の大きさや反応時間などで調節することができる。
カーボンナノチューブの配合量は、HSカーボンや後述する他のカーボンブラックの配合量と共に調整することができ、エラストマー100質量部に対し、5質量部~14質量部を配合する。また、カーボンナノチューブは、エラストマー100質量部に対し、7質量部~14質量部を配合することがより好ましく、7質量部~11質量部を配合することがさらに好ましい。カーボンナノチューブは、14質量部以下であれば、コスト競争力に優れることができると共に伸びや柔軟性を維持したままゴム硬度を85度以下に調整しやすく、カーボンナノチューブが14質量部以下でカーボンブラックと併用することで機械的強度を高めたままコスト競争力をもたせることができる。また、カーボンナノチューブは、5質量部以上をエラストマー100質量部に配合し解繊した状態で複合化することによって、微小セル構造が点在するように形成され補強効果を発揮する。微小セル構造は、カーボンナノチューブが3次元に張り巡らされた網目構造によってマトリックス材料を囲むように形成されることができる。これまでの研究結果から1つのセルの最大径はおおよそカーボンナノチューブの平均直径の2倍~10倍程度になることが判っている。また、カーボンブラック系の補強材を所定量含ませることで複合材料中のカーボンナノチューブと共に集合構造を形成させることで機械的強度及び耐熱性を高めることができる。特に、従来のカーボンブラックのみを配合したゴム組成物に比べて炭素繊維複合材料は比重が小さく軽量であるため、近年の自動車産業等における部品の軽量化の要請にも対応できる。
3.4.質量比
炭素繊維複合材料は、上述の各配合量の範囲内で、カーボンナノチューブに対するHSカーボンの質量比が、1.00:0.71~1.00:8.00である。質量比1.00
:0.71は、カーボンナノチューブが最大量である14質量部に対しHSカーボンが最小量である10質量部である。また、質量比1.00:8.00は、カーボンナノチューブが最小量である5質量部に対しHSカーボンが最大量である40質量部である。また、炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブに対するカーボンブラック総量の質量比が1.00:0.71~1.00:5.71であることが好ましく、さらに1.00:2.14~1.00:5.71であることが好ましい。
炭素繊維複合材料は、上述の各配合量の範囲内で、カーボンナノチューブに対するHSカーボンと他のカーボンブラックとの質量比が、1.00:0.71~1.00:8.00である場合に、複合材料中で微小セル構造が形成され、さらにカーボンブラック系の補強材とカーボンナノチューブとの相互作用により集合構造が形成されることによりゴム硬度85度以下で機械的強度を高めることができる。
3.5.老化防止剤
炭素繊維複合材料は、老化防止剤を含むことが好ましい。老化防止剤としては、生成したラジカルを捕捉して酸化を防止する一次老化防止剤、または生成したヒドロペルオキシド等を安定なアルコールに変化させることで酸化を防止する二次老化防止剤のいずれであってもよく、一次老化防止剤と二次老化防止剤の両方を含んでもよい。カーボンナノチューブはカーボンブラックと共に集合構造を形成しており、二次老化防止剤が集合構造の影響で高温環境下でも安定化され分解・揮発が抑制されることで老化防止効果が長時間持続すると考えられる。また、カーボンナノチューブは一般の有機系一次老化防止剤と比較して耐熱性及び分解温度が高いため一次老化防止剤が分解・揮発する高温でも安定であることから、カーボンナノチューブのラジカル捕捉能と二次老化防止剤の過酸化物分解効果によって高温でも長時間相乗効果を示すと考えられるため、ラジカルから生じる過酸化物を分解する過酸化物分解型の二次老化防止剤が好ましい。
過酸化物分解型の二次老化防止剤としては、リン系老化防止剤および硫黄系老化防止剤等が挙げられる。二次老化防止剤として、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系老化防止剤としては、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、(オクチル)ジフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト等が挙げられ、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトが好ましい。
硫黄系老化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩等のベンズイミダゾール系、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系が挙げられ、ベンズイミダゾール系が好ましい。
炭素繊維複合材料は、エラストマー100質量部に対して、過酸化物分解型の二次老化防止剤を0.1質量部~5質量部をさらに含むことが好ましい。
3.6.その他の配合剤
エラストマーに対して、ゴムの一般的な配合剤として用いられている他のカーボンブラ
ック、シリカ等の補強材、過酸化物等の架橋剤、多官能性不飽和化合物共架橋剤、酸化亜鉛等の金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、可塑剤、液状エラストマー、老化防止剤、TAIC、ジメタクリル酸エチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等の共架橋剤を必要に応じて適宜添加して用いることができる。このような配合剤は、炭素繊維複合材料のゴム硬度の調整に用いてもよい。また、過酸化物架橋の他、硫黄と有機加硫促進剤を用いた硫黄架橋、臭素化アルキルフェノールを用いた樹脂架橋、アミンを用いたアミン架橋も用いることができる。他のカーボンブラックとしては、上述のHSカーボン以外のカーボンブラックであって、種々の原料を用いた種々のグレードのカーボンブラックを用いることができる。他のカーボンブラックは、平均粒径が100nm~300nmであることができる。他のカーボンブラックの平均粒径は、走査型電子顕微鏡の撮像によって観察して基本構成粒子の粒子直径を2000個以上測定して算術平均して求めることができる。
4.炭素繊維複合材料の製造方法
炭素繊維複合材料の製造方法について図4~図6を用いて詳細に説明する。
図4~図6は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法による炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。炭素繊維複合材料の製造方法は、架橋前のエラストマーに炭素系補強材を混合して未架橋の炭素繊維複合材料を得る工程と、未架橋の炭素繊維複合材料におけるエラストマーを架橋して炭素繊維複合材料を得る架橋工程と、を含む。未架橋の炭素繊維複合材料を得る工程は、例えば、エラストマーに炭素系補強材を混合して混合物を得る混合工程と、混合物をロール間隔が0.5mm以下のオープンロールに投入して薄通しして未架橋の炭素繊維複合材料を得る薄通し工程と、を含むことができる。なお、各原料及び配合量については上記2及び3の通りであるので、重複する説明は省略する。
図4~図6に示すように、2本ロールのオープンロール100における第1のロール110と第2のロール120とは、所定のロール間隔d、例えば0.5mm~1.5mmの間隔で配置され、図4~図6において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。
まず、図4に示すように、第1のロール110に巻き付けられた架橋前のエラストマー30の素練りを行ない、エラストマー分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成されたエラストマーのフリーラジカルがカーボンナノチューブと結びつきやすい状態となる。
4.1.混合工程
混合工程は、第1の混練工程と第2の混練工程とを含むことができる。図5に示すように、第1の混練工程は、エラストマー30に炭素系補強材(例えばHSカーボン及びカーボンナノチューブ)等を含む充填剤80をオープンロール100に投入し、第2の混練工程より50~100℃低い第1の温度で混合することができる。第1の温度は、好ましくは0~50℃、より好ましくは5~30℃の第1の温度であることができる。さらに、第1の混練工程によって得られた第1の混合物を別の混練機例えば密閉式混練機に投入し、第2の混練工程が行なうことができる。第2の混練工程では、エラストマー30の分子を切断してラジカルを生成させるため、第1の温度よりも50~100℃高い第2の温度で混練が行なうことができる。第2の温度は、用いられるエラストマー30の種類によって適宜選択することができるが、50~150℃とすることができる。このようにして第2の混練工程を行なうことで、エラストマー30の分子が切断されてラジカルが生成し、カーボンナノチューブがエラストマー30の分子のラジカルと結合しやすくなる。また、第
2の混練工程は50~150℃に設定されたオープンロール100を用いて行うことができ、充填剤80を混合したエラストマー30を50~200℃の恒温槽やオーブンで加熱した後にオープンロール100に投入して行うこともできる。また、第1の混練工程と第2の混練工程は複数回行うことができ、エラストマー30の種類やHSカーボン及びカーボンナノチューブ等を含む充填剤80の種類、添加量にあわせて分散性、解繊度を調整することができる。また、高い温度の第2の混練工程の条件を低い温度の第1の混練工程より先に行うこともできる。
4.2.薄通し工程
さらに、図6に示すように、第1のロール110と第2のロール120とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、好ましくは0mmを超え0.5mm以下、より好ましくは0mmを超え0.3mm以下の間隔に設定し、混合物36をオープンロール100に投入して薄通しを行なう。
薄通しの回数は、例えば1回~10回程度行なうことができる。
第1のロール110の表面速度をV1、第2のロール120の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05~3.00であることができ、さらに1.05~1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出された炭素繊維複合材料50は、エラストマーの弾性による復元力で図6のように大きく変形し、その際にエラストマーと共にカーボンナノチューブが大きく移動する。
薄通しして得られた未架橋の炭素繊維複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さ、例えば100μm~500μmのシート状に分出ししてもよい。
この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0~50℃、より好ましくは5~30℃の比較的低い温度に設定して行われ、エラストマーの実測温度も0~50℃に調整されることができる。
このようにして得られた剪断力により、エラストマーに高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノチューブがエラストマー分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離して解繊し、エラストマー中に分散される。このように混練条件を適宜設定することによりエラストマーにカーボンナノチューブを分散することができる。そして、カーボンナノチューブの分散性及び分散安定性(カーボンナノチューブが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料50を得ることができる。
より具体的には、エラストマーとカーボンナノチューブとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノチューブの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノチューブの活性の高い部分と結合する。カーボンナノチューブの表面の活性が適度に高いと、特にエラストマー分子と結合し易くなることができる。次に、エラストマーに強い剪断力が作用すると、エラストマー分子の移動に伴ってカーボンナノチューブも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノチューブが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。
本実施の形態によれば、炭素繊維複合材料が狭いロール間から押し出された際に、エラストマーの弾性による復元力で炭素繊維複合材料はロール間隔より厚く変形する。その変
形は、強い剪断力の作用した炭素繊維複合材料をさらに複雑に流動させ、カーボンナノチューブをエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノチューブは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
薄通し工程は、エラストマーにカーボンナノチューブを剪断力によって解繊させることができれば、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノチューブを分離して解繊できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。エラストマーとカーボンナノチューブとの混合前、混合中、あるいは薄通し後の分出しされた炭素繊維複合材料に、架橋剤を混合することができる。エラストマーの架橋は、例えば、耐熱性に優れた過酸化物架橋を用いることができる。
4.3.架橋工程
架橋工程は、薄通し工程で得られた未架橋の炭素繊維複合材料におけるエラストマーを架橋して炭素繊維複合材料を得る。架橋工程は、例えば、架橋剤を含む炭素繊維複合材料を金型内に配置し、金型を加熱することでエラストマーを架橋すると共にプレス加工することで炭素繊維複合材料を用いた所望形状のゴム製品を成形することができる。架橋工程で得られた炭素繊維複合材料は、その断面の走査型電子顕微鏡の画像において前述した集合構造を観察できる。
前記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)サンプルの作製
実施例1~6及び比較例1~9のサンプルは、以下の工程によって作製した。
混練工程:ロール径が6インチのオープンロールに、表1~表3に示す100質量部(phr)のエチレン・プロピレンゴム(表1~表3では「EPDM」と記載した)をエラストマーとして投入して、ロールに巻き付かせた(図4参照)。
次に、表1~表3に示す質量部(phr)のHSカーボン等の配合剤(表1~表3では「HS-CB-1」、「HS-CB-2」、「MWCNT」、「SWCNT」、「二次老化防止剤」と記載した)をEPDMに投入してロール温度を10~50℃(第1の温度)に調整して第1の混練工程を実施し、さらにロール温度を50~100℃(第2の温度)に調整して第2の混練工程を実施した(図5参照)。このとき、ロール間隔dを1.5mmとした。
薄通し工程:カーボンナノチューブが混合されたEPDMの混合物をロールから取り出し、ロール間隔dを1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物をオープンロールに投入して薄通しをし、第1混合物を得た(図6参照)。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
さらに、架橋剤として有機過酸化物を加え、ロールを所定の間隔(1.0mmから2.5mm)にセットして、未架橋の炭素繊維複合材料を分出しした。
架橋工程:実施例1~6及び比較例5,6,9については、未架橋の炭素繊維複合材料
(比較例1~4,7,8は未架橋のゴム組成物)を真空プレス機に投入し、170℃、20分間プレス成形(1次プレス架橋)して、架橋した厚さ2mmのシート状の炭素繊維複合材料サンプル(比較例1~4,7,8はゴム組成物サンプル)を得た。
実施例1~4及び比較例1~6の各サンプルは、ゴム硬度(Hs)が80±5度(75度以上、85度以下)になるように炭素系補強材の配合量を調整した。また、実施例5,6及び比較例7~9の各サンプルは、ゴム硬度(Hs)が70±5度(65度以上、75度以下)になるように炭素系補強材の配合量を調整した。
なお、表の配合欄におけるEPDM及び各種配合剤の詳細は以下の通りであった。また、「質量比」として、カーボンナノチューブに対するHS-CBの質量比(CNT:HS-CB)を記載した。
EPDM:比重が0.85、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が28、エチレン含量52質量%、ENB含量8.1質量%のエチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、
HS-CB-1:ハイストラクチャーSRFグレードのカーボンブラック、平均直径70nm、DBP吸収量(A法)152cm/100g、
HS-CB-2:ハイストラクチャーFEFグレードのカーボンブラック、平均直径50nm、DBP吸収量(A法)160cm/100g、
MWCNT:マルチウォールカーボンナノチューブ、平均直径15.3nm、
SWCNT:シングルウォールカーボンナノチューブ、平均直径5nm、
二次老化防止剤:2-メルカプトベンズイミダゾール、
であった。
実施例1~6及び比較例1~9の試験サンプルについて、以下に説明する各種試験を行い、試験結果を表1~表3に示した。
(2)基本特性試験
実施例及び比較例の各サンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS-A))をJIS K 6253に基づいて測定した。
また、実施例及び比較例の各サンプルのJIS3号形ダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG-Xの引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))及び破壊エネルギー(破壊E(J))を測定した。また引張強さ(MPa)×破断伸び(%)を抗張積として求めた。測定結果として、表の「抗張積」、「破壊E(J)」、「硬度(Hs)」の欄に記載した。
(3)引裂き試験
実施例及び比較例の各サンプルの試験片を、JIS K6252切込み無しのアングル形試験片に打ち抜き、島津製作所社製オートグラフAG-Xを用いて、室温において、引張速度500mm/minでJIS K6252に準拠して引裂き試験を行い、引裂き強さ(N/mm)を計算した。測定結果は、表の「引裂き強さ(N/mm)」の欄に示した。
(4)加熱処理後引張試験
実施例及び比較例の各サンプルのJIS3号形ダンベル形状に打ち抜いた試験片について、スガ試験機株式会社製ギアーオーブンTG-100を使用して120℃×240時間加熱処理を実施した。さらに、加熱処理後の試験片に対し上記(2)の基本特性試験を実
施しゴム硬度(Hs(JIS-A))、引張強さ(Ts(MPa))、破断伸び(Eb(%))及び破壊エネルギー(加熱後破壊E(J))を測定した。加熱処理後の引張強さ(MPa)×破断伸び(%)を加熱処理後の抗張積を算出し、表の「加熱後抗張積」欄に記載した。
実施例及び比較例について「加熱後抗張積」÷「(加熱前)抗張積」を計算し、抗張積維持率(%)を求め、表の「抗張積維持率(%)」欄に記載した。実施例及び比較例について「加熱後破壊E」÷「(加熱前)破壊E」を計算し、破壊エネルギー維持率(%)を算出し、表の「破壊E維持率(%)」欄に記載した。
(5)比重
実施例及び比較例について、JIS K6268に準拠して電子比重計で比重を測定し、表の「比重(g/cm)」欄に記載した。
(6)SEM計測
実施例及び比較例の引張試験後の各サンプルの破断面をSEMで画像を撮影した。各画像における隣接する炭素系補強材(HS-CB-1、HS-CB-2、MWCNT及びSWCNT)間の距離を計測し、100nm以下で隣接する炭素系補強材に基づいて集合構造を推定すると共に集合構造の面積を計測し、各集合構造の外接円を画像に描き、外接円の直径を測定した。測定結果は、表1~表3の各欄に記載した。表1~表3における「外接円平均径」は集合構造の外接円の直径の平均値であり、「外接円最大径」及び「外接円最小径」は集合構造の外接円の直径の最大値と最小値であり、「距離平均」及び「距離標準偏差」は集合構造における隣接する炭素系補強材間の距離から算出し、「面積」は画像における集合構造の面積の百分率(%)である。
Figure 2023020935000002
Figure 2023020935000003
Figure 2023020935000004
表1~表3によれば、実施例1~実施例4及び比較例1~比較例6のサンプルは硬度が80度付近(76度~81度)に調整され、実施例5,6及び比較例7~比較例9のサンプルは硬度が70度付近(69度~72度)に調整されていた。ゴム組成物は硬度によって用途を選択することが一般的であるため、同程度の硬度のサンプル同士で比較を行った。
表1及び表2によれば、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例1~比較例4のサンプルに比べて、引裂き強さが高く、機械的強度に優れていた。また、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例1~比較例4のサンプルに比べて、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きく、また抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率が90%を超えており加熱処理によって物性変化が少なく物性が劣化しにくいことがわかった。また、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例1~比較例4のサンプルに比べて、比重が小さく軽量であった
表3によれば、実施例5,6の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例7,8のサンプルに比べて、引裂き強さが高く、機械的強度に優れていた。また、実施例5,6の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例7,8のサンプルに比べて、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きく、また抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率が90%を超えており加熱処理によって物性変化が少なく物性が劣化しにくいことがわかった。また、実施例5,6の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例7,8のサンプルに比べて、比重が小さく軽量であった。
表1及び表2によれば、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、炭素系補強材としてカーボンナノチューブのみを配合した比較例6のサンプルに比べて、抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率は同等であったが、引裂き強さは同等か若干高く、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きかった。また、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例6のサンプルに比べて高価なカーボンナノチューブの使用量が少ないため、コスト競争力に優れる。
表3によれば、実施例5,6の炭素繊維複合材料サンプルは、炭素系補強材としてカーボンナノチューブのみを配合した比較例9のサンプルに比べて、抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率は同等であったが、引裂き強さが高く、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きかった。また、実施例5,6の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例9のサンプルに比べて高価なカーボンナノチューブの使用量が少ないため、コスト競争力に優れる。
表1及び表2によれば、実施例1~実施例4の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブ5質量部を配合した比較例5のサンプルに比べて、引裂き強さが高く、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きく、抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率が大きかった。
表1~表3によれば、実施例1~実施例6の炭素繊維複合材料サンプルの集合構造における外接円の直径は0.35μm~2.01μm、平均直径は0.68μm~0.87μm、距離の平均値は61.3nm~67.9nm、距離の標準偏差は26.7nm~30.8nm、面積は12.9%~23.5%であった。これに対し比較例1~比較例9のサンプルの集合構造における外接円の直径は0.38μm~2.78μm、平均直径は0.63μm~1.21μm、距離の平均値は42.0nm~75.4nm、距離の標準偏差は16.5nm~31.7nm、面積は5.2%~36.3%であった。
(7)サンプルの作製
エラストマーを水素化ニトリルゴム(表4及び表5では「H-NBR」)として上記(1)に記載の方法により、実施例7~10及び比較例10~14の架橋した厚さ2mmのシート状の炭素繊維複合材料サンプル(比較例10はゴム組成物サンプル)を作製した。
なお、表の配合欄におけるH-NBRは以下の通りであり、他の配合剤は上記(1)と同じものを使用した。また、「質量比」として、カーボンナノチューブに対するHS-CB-1の質量比(CNT:HS-CB)を記載した。
H-NBR:水素化ニトリルゴム、比重0.95、ヨウ素価11.0mg/100g、結合アクリロニトリル量36.2%、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)85.0であった。
実施例7~10及び比較例10~14の試験サンプルについて、上記(2)~(6)で説明した各種試験を行い、試験結果を表4及び表5に示した。
Figure 2023020935000005
Figure 2023020935000006
表4及び表5によれば、実施例8~実施例10及び比較例11~比較例14のサンプルは硬度が80度付近(77度~84度)に調整され、実施例7及び比較例10のサンプルは硬度が70度付近(71度~73度)に調整された。ゴム組成物は硬度によって用途を選択することが一般的であるため、同程度の硬度のサンプル同士で比較を行った。
表4及び表5によれば、実施例7の炭素繊維複合材料サンプルは、抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率が100%を超えており、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例10のサンプルに比べて、加熱処理によって物性変化が少なく物性が劣化しにくいことがわかった。また、実施例7の炭素繊維複合材料サンプルは、カーボンナノチューブを配合しなかった比較例10のサンプルより比重が小さく軽量であった。
表4及び表5によれば、実施例8~実施例10の炭素繊維複合材料サンプルは、炭素系補強材としてカーボンナノチューブのみを配合した比較例13,14のサンプルに比べて、抗張積維持率及び破壊エネルギー維持率は近い値であったが、引裂き強さは高く、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きかった。また、実施例8~実施例10の炭素繊維複合材料サンプルは、比較例12~14のサンプルに比べて高価なカーボンナノチュー
ブの使用量が少ないため、コスト競争力に優れる。
表4及び表5によれば、実施例8~実施例10の炭素繊維複合材料サンプルは、炭素系補強材としてカーボンナノチューブに加えてカーボンブラックを50質量部配合した比較例11のサンプルに比べて、抗張積維持率、破壊エネルギー維持率及び引裂き強さが高く、加熱処理後の抗張積及び破壊エネルギーが大きかった。
表4及び表5によれば、実施例7~実施例10の炭素繊維複合材料サンプルの集合構造における外接円の直径は0.38μm~2.45μm、平均直径は0.77μm~0.88μm、距離の平均値は48.6nm~55.2nm、距離の標準偏差は22.1nm~30.5nm、面積は18.1%~23.5%であった。これに対し比較例10~比較例14のサンプルの集合構造における外接円の直径は0.35μm~2.85μm、平均直径は0.62μm~1.21μm、距離の平均値は42.4nm~55.3nm、距離の標準偏差は22.2nm~31.3nm、面積は6.2%~36.5%であった。
30…エラストマー、34…バンク、36…混合物、50…炭素繊維複合材料、80…充填剤、81…カーボンナノチューブ、82…ハイストラクチャーカーボンブラック、84…集合構造、90…画像、100…オープンロール、110…第1のロール、120…第2のロール、d…ロール間隔、C1…外接円、L1…距離、V1,V2…回転速度

Claims (9)

  1. 架橋したエラストマー中に炭素系補強材を含む炭素繊維複合材料であって、
    前記炭素繊維複合材料の断面において、隣接する2以上の炭素系補強材が100nm以下の距離で近接または接触した集合構造を複数有し、
    前記エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記炭素系補強材は、平均直径が0.7nm~30nmのカーボンナノチューブと平均粒径が35nm~300nmのカーボンブラックとを含み、
    前記集合構造における隣接する前記炭素系補強材間の平均距離は、10nm以上100nm未満であり、
    前記集合構造に外接する外接円は、直径が10nm~4μmであり、かつ、平均直径が50nm~1.0μmであり、
    前記断面における前記集合構造の占める面積が8%~35%である、炭素繊維複合材料。
  2. 請求項1において、
    前記カーボンブラックは、平均粒径が35nm~80nmのハイストラクチャーカーボンブラックを含む、炭素繊維複合材料。
  3. エラストマー100質量部に対して、カーボンナノチューブを5質量部~14質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラックを10質量部~40質量部と、を含み、
    前記エラストマーは、架橋前の比重が0.84~1.38であり、かつ、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ヨウ素価が57以下の水素化ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリルゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム、結合アクリロニトリル量31%以上のカルボキシル化ニトリルゴム、アクリレート変性ニトリルゴム及びこれらの混合物の中から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm~30nmであり、
    前記ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm~80nmであり、
    前記カーボンナノチューブに対する前記ハイストラクチャーカーボンブラックの質量比が、1.00:0.71~1.00:8.00である、炭素繊維複合材料。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
    前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブを含む、炭素繊維複合材料。
  5. 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
    前記エラストマー100質量部に対して、過酸化物分解型の二次老化防止剤を0.1質量部~5質量部をさらに含む、炭素繊維複合材料。
  6. 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
    120℃で240時間加熱処理した前記炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における抗張積が、前記加熱処理の前の前記炭素繊維複合材料に対する前記引張試験における抗張積の90%以上、120%以下である、炭素繊維複合材料。
  7. 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
    120℃で240時間加熱処理した前記炭素繊維複合材料に対する23℃、引張速度500mm/minのJIS K6251に基づく引張試験における破壊エネルギーが、前記加熱処理の前の前記炭素繊維複合材料に対する前記引張試験における破壊エネルギーの90%以上、120%以下である、炭素繊維複合材料。
  8. 請求項1~請求項3のいずれか一項において、
    JIS K6253に基づく硬度が65度~85度である、炭素繊維複合材料。
  9. 架橋前の前記エラストマーに前記炭素系補強材を混合して未架橋の炭素繊維複合材料を得る工程と、前記未架橋の炭素繊維複合材料における前記エラストマーを架橋して請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の前記炭素繊維複合材料を得る架橋工程と、を含む、炭素繊維複合材料の製造方法。
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