JP2021067362A - ピストンシール部材及びディスクブレーキ - Google Patents

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宏之 植木
圭一 川本
Keiichi Kawamoto
圭一 川本
俊介 河田
Shunsuke Kawada
俊介 河田
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Abstract

【課題】本発明は、高温作動時のピストンへの張り付きが抑制されることにより、安定したピストンの作動を可能とするピストンシール部材及びディスクブレーキを提供する。【解決手段】ピストンシール部材8は、シリンダ孔6aと、該シリンダ孔6a内を摺動するピストン5と、を摺動可能に保持する。ピストンシール部材8は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノチューブを0.1質量部〜5質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラックを3質量部〜25質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラック以外の他のカーボンブラックをさらに5質量部〜30質量部と、を含む。カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm〜30nmである。ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm〜80nmである。他のカーボンブラックは、平均粒径が100nm〜300nmである。【選択図】図1

Description

本発明は、ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキに関する。
ピストンシール部材は、一般にゴムを主成分とする架橋体のゴム組成物によって成形されている。例えば、車両用のディスクブレーキには、ピストン及びシリンダを内蔵したキャリパボディが装着され、シリンダの内周面に形成された環状溝には、ピストンシール部材が装着されている。ディスクブレーキは、ブレーキ液圧によって、各車輪に固定されているディスクロータにブレーキパッドを押し付け、摩擦材であるブレーキパッドの摩擦力で車輪の回転を止めるものである。このピストンシール部材は、ブレーキ液をシールする役割と、ブレーキ液圧によって前進したピストンを戻す(ロールバック)役割とを有する。ここで、このブレーキパッドは、ブレーキ液圧によって、シリンダの孔のピストンが前進することにより、ディスクに押し付けられる。
すなわち、このピストンシール部材が装着されていることにより、前記シリンダと、前記シリンダの孔に挿入されたピストンと、を液密的に移動可能な状態で密接させることができる。また、液圧にて前進したピストンは、ピストンシール部材によってロールバックされる(例えば、特許文献1参照)。したがって、このピストンシール部材には、ブレーキ液を確実にシールするための靭性と、液圧にて前進したピストンを元の位置に戻す(ロールバック)ための弾性との両方が求められる。
また、ディスクブレーキのキャリパボディは、ディスクロータとブレーキパッドとの間に生じる摩擦熱によって、作動中に高温になる。これに伴い、ピストンシール部材も高温に曝される。ゴム組成物からなるピストンシール部材は、高温になると熱膨張するとともに、ピストンシール部材の弾性率が低下する。この場合、ピストンシール部材の熱膨張及びピストンシール部材の弾性率の低下によってピストンのロールバック量が変化することになり、ブレーキの効き代が変化することになる。例えば、オートバイのディスクブレーキにおいては、ブレーキ・レバーのストローク量が変化することになり、運転者のブレーキ操作に違和感を生じることがある。
そこで、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)にカーボンナノファイバーやセルロースナノファイバー等を添加したゴム組成物によって成形された耐熱性に優れるピストンシール部材が提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
特公平3−59291号公報 特開2008−223780号公報 特開2017−172677号公報
しかしながら、特許文献2,3で提案されたピストンシール部材は、液温200℃の高温高圧作動耐久試験において10万回の繰り返し作動にも耐える耐熱性を有していたが、高温での長時間の使用ではロールバックが不安定になり、また引き摺りが発生することがあった。これは、長時間高温にさらされたピストンシール部材が軟化劣化することにより
、ピストンシール部材がピストンに張り付いたことが原因と考えられる。
そこで、本発明の目的は、高温作動時のピストンへの張り付きが抑制されることにより、安定したピストンの作動を可能とするとともに高温における耐久性に優れるピストンシール部材及びディスクブレーキを提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[1]本発明に係るピストンシール部材の一態様は、
シリンダ孔と、該シリンダ孔内を摺動するピストンと、を摺動可能に保持するピストンシール部材であって、
前記ピストンシール部材は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、
カーボンナノチューブを0.1質量部〜5質量部と、
ハイストラクチャーカーボンブラックを3質量部〜25質量部と、
前記ハイストラクチャーカーボンブラック以外の他のカーボンブラックをさらに5質量部〜30質量部と、
を含み、
前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm〜30nmであり、
前記ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm〜80nmであり、かつ、DBP吸収量(A法)が140cm/100g〜160cm/100gであり、
前記他のカーボンブラックは、平均粒径が100nm〜300nmであることを特徴とする。
[2]上記ピストンシール部材の一態様において、
前記ピストンシール部材は、瀝青炭粉砕物をさらに5質量部〜20質量部含み、
前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmであることができる。
[3]上記ピストンシール部材の一態様において、
前記ピストンシール部材は、硬度(JIS−A)が70度以上90度未満であることができる。
[4]上記ピストンシール部材の一態様において、
前記ピストンシール部材は、200℃における最大引張応力2N/mmの引裂き疲労試験において、破断するまでの回数が10万回以上であることができる。
[5]上記ピストンシール部材の一態様において、
前記ピストンシール部材は、JIS K6394に準拠した周波数1Hzの動的粘弾性試験における200℃の貯蔵弾性率が15MPa以上であることができる。
[6]上記ピストンシール部材の一態様において、
前記ピストンシール部材は、ディスクブレーキのキャリパボディに用いられることができる。
[7]本発明に係るディスクブレーキの一態様は、
上記ピストンシール部材の一態様と、
シリンダ孔を有するシリンダと、
前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、
を含み、
前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせることを特徴とする。
[8]上記ディスクブレーキの一態様において、
車両のハンドルバーに取り付けられた操作レバーと、前記操作レバーを前記ハンドルバーに近接するように操作することにより液圧を発生させる液圧マスタシリンダと、をさらに含み、
前記ピストンは、前記操作レバーの操作により前記液圧マスタシリンダに発生する液圧で前進することができる。
図2に示すピストンシール部材を含むディスクブレーキを模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るピストンシール部材を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係るディスクブレーキを作動する操作レバー及び液圧マスタシリンダを模式的に示す平面図である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。 実施例2のサンプルの電子顕微鏡写真である。 実施例1のサンプルを用いた高温作動時の張り付き試験後のピストンの写真である。 比較例5のサンプルを用いた高温作動時の張り付き試験後のピストンの写真である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.ディスクブレーキ
図1は、図2に示すピストンシール部材8を含むディスクブレーキ20を模式的に示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るピストンシール部材8を模式的に示す断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係るディスクブレーキ20を作動する操作レバー13及び液圧マスタシリンダ12を模式的に示す平面図である。本実施形態においては、一例として、フローティングタイプの車両用ディスクブレーキについて説明する。
図1に示す一実施形態にかかるディスクブレーキ20は、ピストンシール部材8と、シリンダ孔6aを有するシリンダ6と、シリンダ孔6aに挿入されるピストン5と、を含む。ピストンシール部材8は、シリンダ孔6aの内周壁に形成された環状溝のピストンシール溝7に嵌め込まれ、シリンダ孔6aに挿入されたピストン5を液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進したピストン5をロールバックさせる。
ディスクブレーキ20は、車体(図示せず)に固定されたブラケット3と、ブラケット3に摺動可能な状態で支持されたキャリパボディ1と、を有している。キャリパボディ1は、作用部1b及び反作用部1cを含み、ピストン5及びシリンダ6は作用部1bにある。この作用部1b及び反作用部1cは、ブリッジ部1aを介して一体的に形成されている
。車輪(図示せず)と一体回転するディスクロータ2の両側の摩擦面に臨ませて、一対の摩擦パッド4b,4cが配置されている。ブラケット3には、摩擦パッド4b,4cをディスクロータ2に押圧するキャリパボディ1がスライドピン(図示せず)を介して進退可能に連結している。このキャリパボディ1は、一方の摩擦パッド4bの背面に配置する作用部1bと、他方の摩擦パッド4cの背面に配置する反作用部1cと、ディスクロータ2の外周を跨いで作用部1b及び反作用部1cを連結するブリッジ部1aとで構成される。
摩擦パッド4bは、シリンダ孔6aに挿入されたピストン5によって押されて移動し、ディスクロータ2の一方の側面に接する。摩擦パッド4cは、反作用部1cによって押されて移動し、ディスクロータ2の他方の側面に接する。上記の動作により、制動が行なわれる。
シリンダ孔6aの内周壁には、環状のピストンシール溝7が設けられている。このピストンシール溝7に環状のピストンシール部材8が嵌め込まれている。ピストンシール部材8の材質及びその製造方法については後述する。
液圧室9は、ピストン5の底部とシリンダ6との間に設けられている。この液圧室9には、供給口10よりブレーキ液が供給される。ピストンシール部材8は、このブレーキ液をシールする機能と、液圧室9の液圧が低下したときに、前進していたピストン5をロールバックさせる機能と、を有する。供給口10は、液圧経路28を介して、図3に示す液圧源である液圧マスタシリンダ12(後述する)の出力ポート(図示せず)に接続されている。
図2に示すように、ピストンシール溝7は、面取コーナ7aと面取コーナ7bとを有している。ピストンシール部材8は、図2に示す黒い矢印方向(図1におけるディスクロータ2側)にピストン5が摺動して前進することによって、ピストン5の摺動面に追従してピストンシール部材8の一部が面取コーナ7aに入り込む。そして、液圧室9の液圧が低下したらピストンシール部材8の弾性によって復元することでピストン5が矢印と反対方向にロールバックされる。なお、ディスクブレーキ20の形式は、本実施形態のようなピンスライド式に限らず、ピストンがディスクロータの両側に配置された対向型ディスクブレーキでもよく、ピストンの数やピストンシール部材の形状も本実施形態に限定されない。
ディスクブレーキ20は、自動二輪車や自動三輪車等のバーハンドル車両に用いることができる。
図3に示すように、ディスクブレーキ20は、バーハンドル車両のハンドルバー17に取り付けられた操作レバー13と、操作レバー13をハンドルバー17に近接するように操作することにより液圧を発生させる液圧マスタシリンダ12と、をさらに含むことができる。ハンドルバー17にはアクセルグリップ122が取り付けられる。
液圧マスタシリンダ12は、車体前後方向に配設されたシリンダボディ15と、シリンダボディ15内に配置される図示しない操作側ピストンと、操作レバー13と液圧マスタシリンダ12との間で動力を伝達するプッシュロッド14と、シリンダボディ15と一体のブラケット半体15aと、別途の半割体ブラケット16とを備える。
液圧マスタシリンダ12は、ハンドルバー17の車体前部側に取り付けられる。車体前部にあるハンドルバー17をブラケット半体15aと半割体ブラケット16で包持した状態でブラケット同士をボルト18で締結して、ハンドルバー17に液圧マスタシリンダ12が取り付けられる。シリンダボディ15は、車体後部側に前述のブラケット半体15a
が延設された部分に形成される。シリンダボディ15における車体前部の車体中央寄りに上下一対のレバーブラケット15b,15bが突設される。
操作レバー13は、シリンダボディ15に取着される回動基部13aと、該回動基部13aからアクセルグリップ122の前方に沿って配設される握り操作部13bと、回動基部13aの車体後部側でプッシュロッド14を押動する作用腕13cとからなる。回動基部13aは、シリンダボディ15のレバーブラケット15b,15bの間に差し込まれ、これらにピボット123を挿着することによって、操作レバー13がレバーブラケット15b,15bに回動可能に取り付けられる。
シリンダボディ15は接続パイプ117に接続し、接続パイプ117はホース118に接続し、ホース118は別途に配設された図示しないリザーバに接続する。これにより、リザーバとシリンダボディ15の内部にあるシリンダ孔との間を作動液が流通する。シリンダ孔に形成される図示しないマスタシリンダ液圧室は、図示しないブレーキホースを用いて前輪のディスクブレーキ20と接続される。作動液は、マスタシリンダ液圧室、ブレーキホース及び液圧室9に充填される。
ディスクブレーキ20のピストン5は、操作レバー13の操作により液圧マスタシリンダ12に発生する液圧で前進する。図3は、操作レバー13を握り操作しない非作動時を示し、操作レバー13及びプッシュロッド14(及び図示しない操作側ピストン)がそれぞれ後退限に位置する。この非作動状態から、操作レバー13の握り操作部13bをアクセルグリップ122側に握り操作すると、操作レバー13がピボット123を支点にハンドルバー17方向へ回動し、操作レバー13の作用腕13cがプッシュロッド14先端の球状凹部121を押動する。そして、プッシュロッド14が前進することで、マスタシリンダ液圧室内の作動液を徐々に昇圧していき、所定圧の作動液を前輪のディスクブレーキ20へ供給する。
操作レバー13のレバーストロークは、握り操作部13bの先端が非作動時から作動時アクセルグリップ側へ移動する距離である。熱安定性に優れるピストンシール部材8を用いたディスクブレーキ20は、レバーストロークが安定する。
2.ピストンシール部材
図2に示す一実施形態にかかるピストンシール部材8は、シリンダ孔6aと、該シリンダ孔6a内を摺動するピストン5と、を摺動可能に保持するピストンシール部材8である。ピストンシール部材8は、例えば図1に示すようなディスクブレーキ20のキャリパボディ1に用いられることができる。
ピストンシール部材8は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、カーボンナノチューブを0.1質量部〜5質量部と、ハイストラクチャーカーボンブラックを3質量部〜25質量部と、前記ハイストラクチャーカーボンブラック以外の他のカーボンブラックをさらに5質量部〜30質量部と、を含む架橋された炭素繊維複合材料からなる。ここで、「質量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴム等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。
ピストンシール部材8は、無端状のシール部材である。ピストンシール部材8は、円環状であってもよい。ピストンシール部材8の断面形状は、ディスクブレーキ20に適合する形状を適宜採用することができ、例えば図2に示すような略矩形状であってもよい。
ピストンシール部材8は、例えばディスクブレーキ20に採用された場合には、高温作
動時のピストン5への張り付きが抑制され、そのため、温度変化に伴うブレーキ・レバーのストロークの変化量が小さい。このようにピストンシール部材8が熱安定性に優れていることで、ディスクブレーキ20の引き摺り不良を起こしにくい。また、このようなピストンシール部材8を得るためには、熱安定性を向上させるために線膨張係数の平均値を低く抑えることが望ましい。
以下、ピストンシール部材8を構成する架橋された炭素繊維複合材料について説明する。炭素繊維複合材料は、20℃〜150℃において、線膨張係数の平均値が50ppm(1/K)〜240ppm(1/K)であることができる。炭素繊維複合材料の20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50ppm(/K)未満であると金属と同程度であるため、シール性を得るためには50ppm(/K)以上であることが望ましい。また、温度上昇に伴う熱膨張によるシール性の低下を抑えるためには、炭素繊維複合材料の20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が240ppm(/K)以下であることが望ましい。炭素繊維複合材料は、同試験における線膨張係数の平均値が50ppm(1/K)〜230ppm(1/K)であることができ、さらに50ppm(1/K)〜220ppm(1/K)であることができる。
炭素繊維複合材料は、JIS K6394に準拠した周波数1Hzの動的粘弾性試験における200℃の貯蔵弾性率が15MPa以上であることができ、さらに、20MPa以上35MPa以下であることができる。このような炭素繊維複合材料を用いることで、耐熱性に優れたピストンシール部材を得ることができる。そして、このようなピストンシール部材は、常温時も高温時も高い貯蔵弾性率を維持することができるため、シール性や追従性の低下を防止することができる。
炭素繊維複合材料は、疲労試験(実施例において後述する)において、試験片が破断するまでの回数が多いことが望ましい。例えば、炭素繊維複合材料を、大気雰囲気中、200℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を2N/mmで繰返し引張荷重をかけて引裂き疲労試験を行ったときの試験片が破断するまでの引張回数(疲労寿命(回))が10万回以上であることができる。また、最大引張応力を3N/mmとした場合の疲労寿命が4000回以上であることができる。すなわち、炭素繊維複合材料が疲労寿命に優れていることにより、疲労耐久性に優れたピストンシール部材を得ることができる。
また、炭素繊維複合材料は、含フッ素エラストマーに解繊されたカーボンナノチューブが分散し、直径が10μm以上の凝集体を有しないことが好ましく、直径が5μm以上の凝集体を有しないことがより好ましく、直径が1μm以上の凝集体を有しないことがさらに好ましい。凝集体は、カーボンナノチューブが寄り集って絡み合った状態の塊である。
炭素繊維複合材料によれば、凝集体を有しておらず、カーボンナノチューブが解繊した状態で分散することで補強され、剛性、強度、低線膨張係数及び耐疲労性に優れる。
炭素繊維複合材料は、硬度(JIS−A)が70度以上90度未満であることができる。ピストンシール部材8をディスクブレーキ20に装着しやすくするためには、ピストンシール部材8を構成する炭素繊維複合材料が90度未満の硬度(JIS−A)であることが好ましく、85度未満の硬度(JIS−A)であることが好ましい。
2.1.含フッ素エラストマー
ピストンシール部材8に含フッ素エラストマーを用いることにより、ピストンシール部材8が熱安定性に優れることができる。そのため、例えばディスクブレーキ20のピストンシール部材8は、高温作動時のピストン5への張り付きが抑制される。含フッ素エラストマーは、2元系、3元系、低温性改良タイプなどの含フッ素エラストマーであって、分
子中にフッ素原子を含むフッ化ビニリデン系の合成ゴムであり、2元系、3元系フッ素ゴムなどとも呼ばれ、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)2元共重合体(VDF−HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)−テトラフルオロエチレン(TFE)3元共重合体(VDF−HFP−TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(FMVE)−テトラフルオロエチレン(TFE)などの低温性を改良した3元共重合体(VDF−FMVE−TFE)などが挙げられる。
含フッ素エラストマーとしては、例えば、ケマーズ社製の商品名バイトン、ダイキン工業社製の商品名ダイエル、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の商品名テクノフロン、スリーエム社製の商品名ダイニオンなどをあげることができる。以下の説明では、含フッ素エラストマーをFKMと省略する場合がある。
含フッ素エラストマーは、重量平均分子量が好ましくは50,000〜300,000であることができる。含フッ素エラストマーの分子量がこの範囲であると、含フッ素エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、含フッ素エラストマーはカーボンナノチューブを分散させるために良好な弾性を有することができる。含フッ素エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノチューブの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノチューブ同士を分離することができる。含フッ素エラストマーの重量平均分子量が50,000より小さいと、含フッ素エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノチューブを分散させる効果が小さくなる傾向がある。また、含フッ素エラストマーの重量平均分子量が300,000より大きいと、含フッ素エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる傾向がある。
含フッ素エラストマーは、公知の加硫剤を用いることができ、例えば、ポリアミン加硫、ポリオール加硫、または過酸化物加硫することができ、過酸化物加硫が好ましい。含フッ素エラストマーを加硫剤で架橋することによって、耐熱性や耐薬品性に優れた炭素繊維複合材料を製造することができる。
含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が60質量%以上であり、さらに、60質量%〜72質量%であることができ、特に、65質量%〜72質量%であることができる。含フッ素エラストマーは、フッ素含有量が60質量%以上であると耐熱性に優れることができる。また、含フッ素エラストマーは、耐薬品性を考慮すると、フッ素含有量が65質量%以上であることが望ましい。
含フッ素エラストマーは、ムーニー粘度(ML1+10121℃)の中心値が15〜75であることができる。また、ムーニー粘度(ML1+10121℃)の中心値が15〜75であれば適度な粘度を有するのでカーボンナノチューブを混合する際の加工性に優れることができる。
含フッ素エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核がHで測定した、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは30ないし100μ秒、より好ましくは45ないし60μ秒である。上記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、含フッ素エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノチューブを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、含フッ素エラストマーは粘性を有しているので、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを混合したときに、含フッ素エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノチューブの相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が30μ秒より
短いと、含フッ素エラストマーが充分な分子運動性を有することができない。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より長いと、含フッ素エラストマーが液体のように流れやすく、弾性が小さい(粘性は有している)ため、カーボンナノチューブを分散させることが困難となる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法により含フッ素エラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、含フッ素エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、含フッ素エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかる炭素繊維複合材料は中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法及び90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
含フッ素エラストマーは、カーボンナノチューブ、特にその末端のラジカルに対して親和性を有するハロゲン基を有する。カーボンナノチューブは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。また、含フッ素エラストマーの主鎖、側鎖及び末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノチューブのラジカルと親和性(反応性または極性)が高いハロゲン基を有することにより、含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを結合することができる。このことにより、カーボンナノチューブの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。
2.2.ハイストラクチャーカーボンブラック
ハイストラクチャーカーボンブラック(以下、「HSカーボン」という)の平均粒径は、35nm〜80nmであることができる。HSカーボンの平均粒径は、HSカーボンの凝集体を構成する小さな球状の成分を単一粒子(基本粒子)とみなしてその粒子直径を2000個以上を走査型電子顕微鏡の撮像によって測定して算術平均値として求めることができる。
HSカーボンのDBP吸収量(A法)は、さらに140cm/100g〜160cm/100gであることができる。DBP吸収量は、HSカーボン100gが吸収するDBP(ジブチルフタレート)量(cm/100g)であり、JIS K6217−4(ASTM D 2414)に従って測定される。DBP吸収量によって、HSカーボン粒子同士が融着したアグリゲートの発達度合いであるストラクチャーを間接的に定量することができる。ここでいうHSカーボンのDBP吸収量は、含フッ素エラストマーに配合する前の状態における測定値である。
炭素繊維複合材料におけるHSカーボンは、含フッ素エラストマー100質量部に対して、3質量部〜25質量部含むことができ、さらに3質量部〜20質量部含むことができ
る。HSカーボンを3質量部以上配合することで、架橋した炭素繊維複合材料が優れた圧縮永久ひずみ特性を有しながら引張強さ及び剛性を向上することができる。また、HSカーボンを25質量部以下配合することで、上記のように少量のカーボンナノチューブを配合しても炭素繊維複合材料のゴム硬度を容易に調整可能である。
2.3.カーボンナノチューブ
本発明の一実施の形態に用いるカーボンナノチューブは、平均直径(繊維径)が0.7nm〜30nmであることができ、さらに2nm〜20nmであることができる。このようなカーボンナノチューブは、その平均直径が比較的細いため、比表面積が大きく、マトリックスであるエラストマーとの表面反応性が向上し、エラストマー中におけるカーボンナノチューブの分散不良を改善しやすい傾向がある。カーボンナノチューブは、直径が0.7nm以上であれば市場で入手可能であり、逆に30nm以下では引裂き疲労性及び耐摩耗性に優れると共に柔軟性が比較的高くゴム硬度が高くなりにくいという効果を有する。カーボンナノチューブによって形成される微小セル構造は、カーボンナノチューブが3次元に張り巡らされた網目構造によってマトリックス材料を囲むように形成されることができる。また、カーボンナノチューブは、その表面のエラストマーとの反応性を向上させるために、公知の活性化処理を施すことができる。カーボンナノチューブの平均直径は、電子顕微鏡による観察によって計測することができる。なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノチューブの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノチューブのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有するいわゆる多層カーボンナノチューブ(MWCNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)又は単層カーボンナノチューブ(SWCNT:シングルウォールカーボンナノチューブ)であり、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノチューブは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させて未処理のカーボンナノチューブを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃〜1000℃の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁にカーボンナノチューブを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノチューブを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。例えば、平均直径が9nm〜20nmのカーボンナノチューブは触媒担持反応法によって得ることができ、これより太いカーボンナノチューブは浮遊流動反応法によって得ることができる。カーボンナノチューブの直径は、例えば金属含有粒子の大きさや反応時間などで調節することができる。
カーボンナノチューブの配合量は、HSカーボンや他のカーボンブラックの配合量と共に調整することができ、含フッ素エラストマー100質量部に対し、0.1質量部〜5質量部を配合する。特に、カーボンナノチューブは、含フッ素エラストマー100質量部に対し、0.5質量部〜5質量部を配合することができる。カーボンナノチューブは、5質
量部以下であれば、高温(200℃)における優れた圧縮永久ひずみ(CS)を有することができる。平均直径が0.7nm〜30nmという細いカーボンナノチューブは、大量に配合すると圧縮永久ひずみ(CS)特性を損ないやすいからである。また、カーボンナノチューブは、0.1質量部以上を含フッ素エラストマー100質量部に配合し解繊した状態で複合化することによって、HSカーボンによって構成された骨格部分を補強することができる。
2.4.他のカーボンブラック
炭素繊維複合材料に用いるHSカーボン以外の他のカーボンブラックは、種々の原料を用いた種々のグレードの他のカーボンブラックを用いることができる。他のカーボンブラックは、平均粒径が100nm〜300nmであることができる。他のカーボンブラックの平均粒径は、走査型電子顕微鏡の撮像によって観察して基本構成粒子の粒子直径を2000個以上測定して算術平均して求めることができる。
このような他のカーボンブラックとしては、例えば、FTグレード,MTグレードなどの補強用カーボンブラックなどを用いることができる。比較的大きな粒径を有するカーボンブラックを用いることにより、炭素繊維複合材料の柔軟性を維持しつつ、カーボンブラックの間にできた隙間にある含フッ素エラストマーを分散したカーボンナノチューブによって囲むように構成することで、カーボンナノチューブによって囲まれた微小セルを形成して補強することができる。MTグレードのカーボンブラックを用いることができる。
他のカーボンブラックの配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、5質量部〜30質量部であり、さらに5質量部〜20質量部とすることができる。他のカーボンブラックの配合量が5質量部以上であれば、補強効果を向上させることができる。また、他のカーボンブラックの配合量が30質量部以下であれば、適切な硬度設定が可能である。
2.5.瀝青炭粉砕物
炭素繊維複合材料は、カーボンナノチューブ、HSカーボン及び他のカーボンブラック以外にさらに瀝青炭粉砕物を5質量部〜20質量部含んでもよい。瀝青炭粉砕物(bitumious coal)は、石炭の一種で高品位炭と呼ばれる瀝青炭(JIS M1002の石炭分類でB1、B2、C)を含む石炭一般を、平均粒径1μm〜100μmに粉砕したものである。さらに、瀝青炭粉砕物の平均粒径は1μm〜10μmであることができ、特に、瀝青炭粉砕物の平均粒径は3μm〜8μmであることができる。瀝青炭粉砕物は、カーボンブラックの1つの種類と考えられることもあるが、ここではカーボンブラックには含まれないものとして説明する。
瀝青炭粉砕物の平均粒径は、市販されている場合はメーカーで平均粒径を測定し公表しているが、瀝青炭粉砕物を走査型電子顕微鏡の撮像によって観察して単一粒子(基本粒子)とみなしての粒子直径を2000個以上測定して算術平均値として求めることができる。
また、瀝青炭粉砕物は、比重が1.6以下であることができ、さらに1.35以下であることができる。
瀝青炭粉砕物の配合量は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、5質量部〜20質量部であることができ、さらに5質量部〜10質量部とすることができる。瀝青炭粉砕物の配合量が5質量部以上であれば、補強効果を向上させることができる。また、瀝青炭粉砕物の配合量が20質量部以下であれば、摩耗性を向上させることができる。
2.6.その他の配合剤
含フッ素エラストマーに対して、ゴムの一般的な配合剤として用いられているカーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、過酸化物等の加硫剤、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、老化防止剤、可塑剤等を必要に応じて適宜添加して用いることができる。このような配合剤は、炭素繊維複合材料のゴム硬度の調整に用いてもよい。
3.ピストンシール部材の製造方法
ピストンシール部材の製造方法について図4〜図6を用いて詳細に説明する。
図4〜図6は、本発明の一実施形態にかかるオープンロール法によるピストンシール部材を構成する炭素繊維複合材料の製造方法を模式的に示す図である。
図4〜図6に示すように、2本ロールのオープンロール100における第1のロール110と第2のロール120とは、所定のロール間隔d、例えば0.5mm〜1.5mmの間隔で配置され、図4〜図6において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。
まず、図4に示すように、第1のロール110に巻き付けられた含フッ素エラストマー30の素練りを行ない、含フッ素エラストマー分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。素練りによって生成された含フッ素エラストマーのフリーラジカルがカーボンナノチューブと結びつきやすい状態となる。
3.1.混合工程
次に、図5に示すように、第1のロール110に巻き付けられた含フッ素エラストマー30のバンク34に、HSカーボン、カーボンナノチューブ、瀝青炭粉砕物及び他のカーボンブラックなどの充填剤80を投入し、混練し、混合物を得る。この混練における含フッ素エラストマー30の温度は、例えば0℃〜50℃であることができ、さらに10℃〜20℃であることができる。含フッ素エラストマー30と充填剤80とを混合する工程は、オープンロール法に限定されず、例えば密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。
3.2.薄通し工程
さらに、図6に示すように、第1のロール110と第2のロール120とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mm〜0.5mmの間隔に設定し、混合物36をオープンロール100に投入して薄通しを行なう。
薄通しの回数は、例えば1回〜10回程度行なうことができる。
第1のロール110の表面速度をV1、第2のロール120の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。
このように狭いロール間から押し出された炭素繊維複合材料50は、含フッ素エラストマーの弾性による復元力で図6のように大きく変形し、その際に含フッ素エラストマーと共にカーボンナノチューブが大きく移動する。
薄通しして得られた炭素繊維複合材料50は、ロールで圧延されて所定厚さのシート状に分出しされる。
この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を例えば0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の比較的低い温度に設定して行われ、含フッ素エラストマーの実測温度も0〜50℃に調整されることができる。
このようにして得られた剪断力により、含フッ素エラストマーに高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノチューブが含フッ素エラストマー分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離して解繊し、含フッ素エラストマー中に分散される。特に、含フッ素エラストマーは、弾性と、粘性と、カーボンナノチューブとの化学的相互作用と、を有するため、カーボンナノチューブを容易に分散することができる。そして、カーボンナノチューブの分散性及び分散安定性(カーボンナノチューブが再凝集しにくいこと)に優れた炭素繊維複合材料50を得ることができる。
より具体的には、オープンロールで含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとを混合すると、粘性を有する含フッ素エラストマーがカーボンナノチューブの相互に侵入し、かつ、含フッ素エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノチューブの活性の高い部分と結合する。カーボンナノチューブの表面の活性が適度に高いと、特に含フッ素エラストマー分子と結合し易くなることができる。次に、含フッ素エラストマーに強い剪断力が作用すると、含フッ素エラストマー分子の移動に伴ってカーボンナノチューブも移動し、さらに剪断後の弾性による含フッ素エラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノチューブが分離されて、含フッ素エラストマー中に分散されることになる。
本実施の形態によれば、炭素繊維複合材料が狭いロール間から押し出された際に、含フッ素エラストマーの弾性による復元力で炭素繊維複合材料はロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した炭素繊維複合材料をさらに複雑に流動させ、カーボンナノチューブを含フッ素エラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノチューブは、含フッ素エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
薄通し工程は、含フッ素エラストマーにカーボンナノファイバーを剪断力によって解繊させることができれば、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程では、凝集したカーボンナノチューブを分離して解繊できる剪断力を含フッ素エラストマーに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。含フッ素エラストマーとカーボンナノチューブとの混合前、混合中、あるいは薄通し後の分出しされた炭素繊維複合材料に、加硫剤を混合することができる。含フッ素エラストマーの架橋は、例えば、耐熱性に優れた過酸化物加硫を用いることができる。
3.3.成形工程
成形工程は、例えば、加硫剤を含む炭素繊維複合材料を金型内に配置し、架橋すると共にプレス加工することでピストンシール部材を成形することができる。
ピストンシール部材は、加硫剤を含む炭素繊維複合材料を加硫成形して得られる。ピストンシール部材の成形は、一般に採用されるゴムの成形加工、例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えば無端状に成形することで得ることができる。ピストンシール部材は、架橋された炭素繊維複合材料からなることができる。
前記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
(1)サンプルの作製
実施例1〜5及び比較例1〜4のサンプルは、以下の工程によって作製した。
混練工程:ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す100質量部(phr)の含フッ素エラストマー(表1では「FKM」と記載した)を投入して、ロールに巻き付かせた(図4参照)。
次に、表1に示す質量部(phr)のHSカーボン等の配合剤(表1では「HS−CB」、「MT−CB」、「オースチンブラック」、「MWNT」、「SWCNT」と記載した)、加硫剤として有機過酸化物を含フッ素エラストマーに投入した(図5参照)。このとき、ロール間隙dを1.5mmとした。
薄通し工程:カーボンナノチューブが混合された含フッ素エラストマーの混合物をロールから取り出し、ロール間隙dを1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをし、第1混合物を得た(図6参照)。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。
さらに、ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、未架橋の炭素繊維複合材料を分出しした。
成形工程:実施例1〜5については、未架橋の炭素繊維複合材料(比較例1,2は未架橋のゴム組成物)を真空プレス機に投入し、160℃、10分間プレス成形(1次加硫)した。比較例3〜4については、175℃、10分間プレス成形した。
さらに、炭素繊維複合材料をオーブンに移して、230℃、4時間2次加硫して、実施例1〜5の過酸化物加硫したシート状の炭素繊維複合材料サンプル(比較例1,2は過酸化物加硫したゴム組成物)を得た。
実施例1及び比較例1はゴム硬度(Hs)が75度程度に、実施例2,3はゴム硬度(Hs)が80度程度に、実施例4,5及び比較例2,4はゴム硬度(Hs)が85度程度に、比較例3はゴム硬度(Hs)が90度程度になるように、カーボンナノチューブ及びカーボンブラックの配合量を調整した。比較例5は、現行のディスクブレーキに採用されているピストンシール部材をサンプルとした。なお、比較例3,4のサンプルは、含フッ素エラストマーの代わりにEPDMを用いて作製し、比較例3のサンプルは前記特許文献2の実施例1と同じ配合とした。
なお、表において、含フッ素エラストマー(比較例3,4においてはEPDM)及び各種配合剤の詳細は以下の通りであった。
FKM:3元系FKM。ムーニー粘度ML1+10121℃(中心値)65、
EPDM:JSR社製エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EP103AF)、
HS−CB:ハイストラクチャーSRFグレードのカーボンブラック、平均直径70nm、DBP吸収量(A法)152cm/100g、
MT−CB:MTグレードのカーボンブラック、平均直径200nm、
オースチンブラック:平均直径5μmの瀝青炭粉砕物、
MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ、平均直径15.3nm、
SWNT:シングルウォールカーボンナノチューブ、平均直径5nm、
であった。
実施例1〜5及び比較例1〜4の試験サンプルについて、以下に説明する各種試験を行い、試験結果を表1及び表2に示した。
(2)基本特性試験
実施例及び比較例のサンプルについて、ゴム硬度(Hs(JIS−A))をJIS K
6253に基づいて測定した。
また、実施例及び比較例のサンプルのJIS3号形ダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、引張速度500mm/minでJIS K6251に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、破断伸び(Eb(%))及び50%応力(M50(MPa))を測定した。測定結果は、表の各欄に示した。
(3)圧縮永久ひずみ試験
実施例及び比較例のサンプルのJIS大型試験片(直径29.0±0.5mm、厚さ12.5±0.5mmの円柱状試験片)を、JIS K6262に準拠して、200℃、70時間、25%圧縮の条件で、圧縮永久ひずみ(CS(%))を測定した。測定結果は、表の「CS 200℃ 70h」の欄に示した。
(4)動的粘弾性試験
実施例及び比較例のサンプルについて、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度−100〜300℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K6394に基づいて動的粘弾性試験を行い200℃における貯蔵弾性率(E’(MPa))を測定した。測定結果は、表の「E’(200℃)」の欄に示した。
(5)引裂き疲労試験
実施例及び比較例のサンプルを、10mm×幅4mm×厚さ1mmの短冊状の試験片に打ち抜き、その試験片の長辺の中心から幅方向へ深さ1mmの切込みを入れ、SII社製TMA/SS6100試験機を用いて、大気雰囲気中、200℃、周波数1Hzの条件で最大引張応力を2N/mmの条件と3N/mmの条件とで、繰返し引張荷重(0N/mm〜2N/mm、0N/mm〜3N/mm)をかけて引裂き疲労試験を行い、試験片が破断するまでの引張回数(疲労寿命(回))を測定した。測定結果は、表の「Tr 2N/mm」と「Tr 3N/mm」の欄に示した。なお、引張回数は、最大10万回とし、10万回で破断しなかった場合は表に「100,000」と記載した。
(6)装着性
実施例及び比較例のサンプルでピストンシール部材を作製し、このピストンシール部材をディスクブレーキの環状のピストンシール溝に嵌め込んでピストンシール部材のディスクブレーキへの装着性を評価した。装着性は、ピストンシール溝にピストンシール部材が嵌め込まれたシリンダ孔に、ピストンを手動で押し込むことが可能であれば「〇」、ピストンを手動で押し込むことが困難であれば「×」として、評価結果を表の「装着性」の欄に示した。
(7)高温作動時の張り付き
前記(6)で作成した実施例及び比較例のピストンシール部材を、耐久試験用ディスク
ブレーキに装着し、液圧13MPa、液温200℃で10万回繰り返し作動させた。10万回作動後のピストンシール部材を確認し、張り付きがなければ「無」、張り付きがあれば「有り」として、評価結果を表の「高温作動時の張り付き」欄に示した。図8は、張り付きがないと評価された、実施例1のサンプルで作製されたピストンシール部材で高温作動時の張り付き試験を実施した後のピストンの写真である。図9は、張り付きがあると評価された、比較例5のピストンシール部材で高温作動時の張り付き試験を実施した後のピストンの写真である。
(8)レバーストロークの変化量
前記(6)で作製した実施例1のサンプルで作製されたピストンシール部材及び比較例5のピストンシール部材を、耐久試験用ディスクブレーキに装着して、前記(7)の高温作動時の張り付き試験前後のレバーストロークの変化量を求めた。レバーストロークは、ブレーキ時におけるバーハンドル車両の操作レバーの先端とアクセルグリップとの間隔で測定した。測定結果は、比較例5のレバーストロークの変化量の測定値を1としたときの実施例1のレバーストロークの変化量の測定値を表1に記載した。
Figure 2021067362
Figure 2021067362
表1及び表2によれば、実施例1〜実施例5及び比較例1,2のピストンシール部材は、装着性に優れ、かつ、高温作動時の張り付きが無かった。実施例1〜5のサンプルは、比較例1,2のサンプルに比べて、高温の引裂き疲労試験における耐久性に優れていた。実施例1,2,3のサンプルは、比較例1のサンプルに比べて、同程度の圧縮永久ひずみ(CS)特性を維持しながら、引張強さ(TS)、破断伸び(Eb)、50%応力(M50)に優れていた。実施例4、5のサンプルは、比較例2のサンプルに比べて、同程度の圧縮永久ひずみ(CS)特性を維持しながら、引張強さ(TS)、破断伸び(Eb)、50%応力(M50)に優れていた。実施例1のサンプルは比較例5のサンプルと比較して、高温作動時の張り付き試験前後のレバーストロークの変化が小さく、レバーストロークが安定していた。このことから、実施例1のサンプルは、高温作動時の張り付き試験後もピストンシール部材のロールバックが安定していたことがわかった。
図8によれば、実施例1のサンプルを用いたピストンの表面にはピストンシール部材の張り付きは確認されなかった。図9によれば、比較例5のサンプルを用いたピストンの表面にはゴムが残っており、ピストンシール部材の張り付きが確認された。
(9)電子顕微鏡観察
実施例2のサンプルの引張破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。解繊されて凝集塊の無いカーボンナノチューブ(図6ではMWNTと記載して円内に示した)と、分散したカーボンブラック(図6ではHS−CB及びMT−CBと記載して各々円内に示した)と、
が観察できた。
1…キャリパボディ、1a…ブリッジ部、1b…作用部、1c…反作用部、2…ディスクロータ、3…ブラケット、4b,4c…摩擦パッド、5…ピストン、6…シリンダ、6a…シリンダ孔、7…ピストンシール溝、7a,7b…面取コーナ、8…ピストンシール部材、9…液圧室、10…供給口、12…液圧マスタシリンダ、13…操作レバー、13a…回転基部、13b…握り操作部、13c…作動腕、14…プッシュロッド、15…シリンダボディ、15a…ブラケット半体、15b…レバーブラケット、16…半割体ブラケット、17…ハンドルバー、18…ボルト、20…ディスクブレーキ、28…液圧経路、30…含フッ素エラストマー、34…バンク、36…混合物、50…炭素繊維複合材料、80…充填剤、100…オープンロール、110…第1のロール、117…接続パイプ、118…ホース、120…第2のロール、121…球状凹部、122…アクセルグリップ、123…ピボット、d…ロール間隔、V1,V2…回転速度

Claims (8)

  1. シリンダ孔と、該シリンダ孔内を摺動するピストンと、を摺動可能に保持するピストンシール部材であって、
    前記ピストンシール部材は、含フッ素エラストマー100質量部に対し、
    カーボンナノチューブを0.1質量部〜5質量部と、
    ハイストラクチャーカーボンブラックを3質量部〜25質量部と、
    前記ハイストラクチャーカーボンブラック以外の他のカーボンブラックをさらに5質量部〜30質量部と、
    を含み、
    前記カーボンナノチューブは、平均直径が0.7nm〜30nmであり、
    前記ハイストラクチャーカーボンブラックは、平均粒径が35nm〜80nmであり、かつ、DBP吸収量(A法)が140cm/100g〜160cm/100gであり、
    前記他のカーボンブラックは、平均粒径が100nm〜300nmである、ピストンシール部材。
  2. 請求項1において、
    前記ピストンシール部材は、瀝青炭粉砕物をさらに5質量部〜20質量部含み、
    前記瀝青炭粉砕物は、平均粒径が1μm〜100μmである、ピストンシール部材。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記ピストンシール部材は、硬度(JIS−A)が70度以上90度未満である、ピストンシール部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記ピストンシール部材は、200℃における最大引張応力2N/mmの引裂き疲労試験において、破断するまでの回数が10万回以上である、ピストンシール部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    前記ピストンシール部材は、JIS K6394に準拠した周波数1Hzの動的粘弾性試験における200℃の貯蔵弾性率が15MPa以上である、ピストンシール部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記ピストンシール部材は、ディスクブレーキのキャリパボディに用いられる、ピストンシール部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のピストンシール部材と、
    シリンダ孔を有するシリンダと、
    前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、
    を含み、
    前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせる、ディスクブレーキ。
  8. 請求項7において、
    車両のハンドルバーに取り付けられた操作レバーと、前記操作レバーを前記ハンドルバーに近接するように操作することにより液圧を発生させる液圧マスタシリンダと、をさらに含み、
    前記ピストンは、前記操作レバーの操作により前記液圧マスタシリンダに発生する液圧
    で前進する、ディスクブレーキ。
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