JP2007057092A - ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストンシール部材8は、シリンダ孔6aと、シリンダ孔6a内を摺動するピストン5と、を液密にかつ摺動可能に保持する。ピストンシール部材8は、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する熱可塑性エラストマーと、該熱可塑性エラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含むエラストマー組成物で形成される。
【選択図】図1
Description
カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する熱可塑性エラストマーと、該熱可塑性エラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含むエラストマー組成物で形成されたことを特徴とする。
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである。
シリンダ孔を有するシリンダと、
前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、
前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせる。
本実施の形態にかかるディスクブレーキ20は、環状のピストンシール部材8と、シリンダ孔6aを有するシリンダ6と、シリンダ孔6aに挿入されるピストン5と、を含み、ピストンシール部材8は、シリンダ孔6aの内周壁に形成された環状のピストンシール溝7に嵌め込まれ、シリンダ孔6aに挿入されたピストン5を液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進したピストン5をロールバックさせる。
本実施の形態にかかるピストンシール部材8は、例えばディスクブレーキ20のキャリパボディ1に設けられたシリンダ孔6aと、該シリンダ孔6a内を摺動するピストン5と、を液密にかつ摺動可能に保持し、カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する熱可塑性エラストマーと、該熱可塑性エラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含むエラストマー組成物で形成される。
まず、本実施の形態にかかる熱可塑性エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。熱可塑性エラストマーの分子量がこの範囲であると、熱可塑性エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、熱可塑性エラストマーは、カーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。熱可塑性エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノファイバー同士を分離することができる。熱可塑性エラストマーの分子量が5000より小さいと、熱可塑性エラストマー分子が相互に充分に絡み合うことができず、後の工程で剪断力をかけても弾性が小さいためカーボンナノファイバーを分散させる効果が小さくなる。また、熱可塑性エラストマーの分子量が500万より大きいと、熱可塑性エラストマーが固くなりすぎて加工が困難となる。
本実施の形態にかかるカーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである。ピストンシール部材において、カーボンナノファイバーの配合量は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、5〜80重量部であることが好ましい。エラストマー組成物におけるカーボンナノファイバーの配合量が5重量部よりも少ないとカーボンナノファイバーの補強効果が小さく、80重量部を超えると硬度や弾性率が高くなり好ましくない。このように非常に細いカーボンナノファイバーで補強することによって、高温における物性低下を小さくすることができる。なお、カーボンナノファイバーが0.7nmより細いものは入手が困難であり、15nmを越えるものは材料特性(補強効果)を得ることができないので好ましくない。
本実施の形態にかかるエラストマー組成物の製造方法としては、熱可塑性エラストマーと、カーボンナノファイバーと、を、オープンロール、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の混合機に供給し、混練する方法が挙げられる。カーボンブラック及び繊維などのカーボンナノファイバー以外の充填材は、カーボンナノファイバーを供給する前に混合器に供給することが好ましい。通常、この混練の際に、カーボンブラックと同量程度のプロセスオイルが使用されるが、本発明のエラストマー組成物の製造過程では使用しないことが望ましい。プロセスオイルを用いて製造されたピストンシール部材を用いた液圧マスタシリンダは、プロセスオイルが作動液中に溶け出し、作動液の性能の経時変化や耐熱性の変化の原因となるからである。
本実施の形態にかかるエラストマー組成物は、10Hz、30℃及び120℃における動的弾性率がいずれも8MPa以上である。また、このピストンシール部材は、30℃から120℃への温度上昇に伴う動的弾性率の保持率が10%以上である。ピストンシール部材としては、高温においても高い動的弾性率を安定して維持することが好ましく、特に、本実施の形態にかかるディスクブレーキのキャリパボディにおけるピストンシールとして用いた場合、望ましいロールバック量を有するためには動的弾性率が8MPa以上であることが好ましい。また、本実施の形態にかかるディスクブレーキのキャリパボディにおけるピストンシールとして用いた場合、30℃から120℃への温度上昇に伴う動的弾性率の保持率が10%以上であると、高温においても望ましいロールバック量を有する。
混練されたエラストマー組成物は、ピストンシール部材の形状を有した金型を用いて押出成形もしくは射出成形される。一般にゴム組成物を架橋成形してピストンシール部材を得るが、本実施の形態にかかるピストンシール部材は、熱可塑性エラストマーを用いているため架橋工程を経ることなく成形され、再利用(リサイクル)可能である。
(a)エラストマー組成物の作製
1)6インチオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、熱可塑性エラストマーを投入して、ロールに巻き付かせた。
2)熱可塑性エラストマー100重量部(phr)に対して表1に示す量(重量部(phr))のカーボンナノファイバー(表1では「CNT13」と記載する)を熱可塑性エラストマーに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。
3)カーボンナノファイバーを投入し終わったら、熱可塑性エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。
4)ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し10回行った。
5)ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
前記(a)で得られたエラストマー組成物を射出成形し、実施例1〜5および比較例1〜4のピストンシール部材を得た。
各エラストマー組成物について、電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンナノファイバー及びカーボンブラックの分散の状態を観察した。全てのサンプルでカーボンナノファイバー及びカーボンブラックが熱可塑性エラストマー中に均一に分散している様子が観察された。
各エラストマー組成物について、ゴム硬度(JISA)、引張強度(TB)および切断伸び(EB)を測定した。ゴム硬度(JISA)については、JIS K 6253によって測定した。TB及びEBについては、JIS K 6521−1993によって測定した。これらの結果を表1に示す。
各エラストマー組成物について、30℃及び120℃におけるE’(動的粘弾性率)をJIS K 6521−1993によって測定した。さらに、E’保持率(%)として30℃のE’に対する120℃のE’の割合(E’保持率(%)=E’(30℃)/E’(120℃)・100)を計算した。これらの結果を表1に示す。
各エラストマー組成物について、圧縮永久歪(JIS K6262)を測定した。圧縮永久歪は、100℃、70時間、25%圧縮の条件で行なった。圧縮永久歪は、ピストンシール部材のいわゆる耐ヘタリ性についての評価である。この結果を表1に示す。
エラストマー組成物を調整して成形したピストンシール部材をディスクブレーキの環状のピストンシール溝に嵌め込み、ロールバック量の評価試験及び図示せぬマスタシリンダを作動させる図示せぬ操作レバーのレバーストローク増加量について評価試験を行い、その特性を評価した。その結果を表1に示す。なお、ロールバック量の測定は、140℃において、液圧0.5MPaをディスクブレーキに10回加えて作動させた後、液圧6.9MPaで5秒間保持し、そのときのピストン位置に対する液圧を解放した時のピストン移動量を測定した。また、レバーストローク増加量は、ピストンシール部材が30℃と140℃の状態におけるブレーキの効きはじめまでの2輪車用のブレーキレバーのストローク量を測定した。さらに、ピストンシール部材の耐久性評価として引きずりの有無を確認した。なお、表1において、「○」は引きずりが見られなかったものを示す。
1a ブリッジ部
1b 作用部
1c 反作用部
2 ディスクロータ
3 ブラケット
4b,4c 摩擦パッド
5 ピストン
6 シリンダ
6a シリンダ孔
7 ピストンシール溝
7a,7b 面取コーナ
8 ピストンシール部材
9 液圧室
10 供給口
11 ブーツ
20 ディスクブレーキ
28 液圧経路
Claims (7)
- シリンダ孔と、該シリンダ孔内を摺動するピストンと、を液密にかつ摺動可能に保持するピストンシール部材であって、
カーボンナノファイバーに対して親和性を有する不飽和結合または基を有する熱可塑性エラストマーと、該熱可塑性エラストマーに分散されたカーボンナノファイバーと、を含むエラストマー組成物で形成された、ピストンシール部材。 - 請求項1において、
前記エラストマー組成物は、前記熱可塑性エラストマー100重量部に対して、前記カーボンナノファイバーを5〜80重量部含み、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が0.7〜15nmかつ平均長さが0.5〜100μmである、ピストンシール部材。 - 請求項1または2において、
前記熱可塑性エラストマーは、分子量が5000ないし500万である、ピストンシール部材。 - 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記熱可塑性エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、二重結合、三重結合、α水素、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基などの官能基から選択される少なくともひとつを有する、ピストンシール部材。 - 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーである、ピストンシール部材。 - 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマーである、ピストンシール部材。 - 請求項1ないし6のいずれかに記載のピストンシール部材と、
シリンダ孔を有するシリンダと、
前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、
前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせる、ディスクブレーキ。
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JP2008223781A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-09-25 | Nissin Kogyo Co Ltd | ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ |
JP2009241783A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Nissin Kogyo Co Ltd | 車両用ブレーキ液圧制御装置のリザーバ |
JP2010181018A (ja) * | 2009-02-09 | 2010-08-19 | Ntn Corp | エンドレスタイプのシールリングおよびベルト式無段変速機 |
JP2013237723A (ja) * | 2012-05-11 | 2013-11-28 | Asahi Kasei Chemicals Corp | カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物及びその製造方法 |
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2006
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