JP2013237723A - カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い機械強度と耐候性を有するカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素系化合物由来の構造単位と、を含む共重合樹脂であって、1H−NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたときの4.8〜5.7ppmのピーク積分値が特定の範囲である共重合樹脂(a)と、
(1)カーボンナノ繊維の平均繊維径dが特定の範囲にあり、及び(2)カーボンナノ繊維の532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)が特定範囲にある、カーボンナノ繊維(b)と、
を含み、前記カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が、特定値以上である、カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い機械強度と耐候性を有するカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物及びその製造方法に関する。
カーボンナノ繊維は、平均繊維径1nm以上1μm未満の炭素素材であり、樹脂と複合化することで高性能の複合材料とすることが検討されている。特に、カーボンナノ繊維の高強度特性を生かすべく、樹脂との複合材料(組成物)とすることで機械強度を向上させる検討が行われており、カーボンナノ繊維に対して親和性のある官能基で変性された樹脂や、カーボンナノ繊維に対して親和性がある不飽和二重結合単位を主体とする共重合樹脂等と、カーボンナノ繊維とからなる組成物が、機械強度に優れることが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2006−028410号公報
しかし、カーボンナノ繊維に対して親和性のある官能基で変性されておらず、かつ不飽和二重結合単位が非常に少ない共重合樹脂は、良好な耐候性を有することが期待されるが、カーボンナノ繊維と配合して複合材料とすると、その機械強度は不十分なものとなってしまう。このようなこと等から、機械強度と耐候性の両方が優れているカーボンナノ繊維含有樹脂組成物とすることは困難である。
本発明は、機械強度と耐候性に優れるカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定の共重合樹脂と、平均繊維径及び532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)が、ある特定の数値範囲にあるカーボンナノ繊維と、を用いることにより、高い機械強度と耐候性を有するカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素系化合物由来の構造単位と、を含む共重合樹脂であって、1H−NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき、4.8〜5.7ppmのピーク積分値が0〜1.5である共重合樹脂(a)と、
下記(1)及び(2)を共に満たすカーボンナノ繊維(b)と、
を含み、
前記カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が、0.5以上である、カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物;
(1)カーボンナノ繊維の平均繊維径dが、15nm<d≦500nmである、
(2)カーボンナノ繊維の532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)が、0.5〜3.5である。
[2]上記[1]記載のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を含む成形体。
[3]前記共重合樹脂(a)と前記カーボンナノ繊維(b)とを、前記共重合樹脂(a)が流動状態となる温度以上で溶融混練する、上記[1]記載のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物の製造方法。
本発明に係るカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物は、高い機械強度と耐候性を有する。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態に係るカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素系化合物由来の構造単位と、を含む共重合樹脂であって、1H−NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき、4.8〜5.7ppmのピーク積分値が0〜1.5である共重合樹脂(a)と、
下記(1)及び(2)を共に満たすカーボンナノ繊維(b)と、
を含み、
前記カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が、0.5以上である、カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物;
(1)カーボンナノ繊維の平均繊維径dが、15nm<d≦500nmである、
(2)カーボンナノ繊維の532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)が、0.5〜3.5である。
本実施形態における共重合樹脂(a)とは、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素化合物由来の構造単位と、を含む共重合樹脂であり、構造単位の配列はランダム、ブロック、交互、グラフトいずれの配列であっても構わない。本実施形態の効果が一層優れたものとなる観点から、共重合樹脂(a)は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素化合物由来の構造単位と、からなる共重合樹脂であることが好ましい。
共重合樹脂(a)の1H−NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき、4.8〜5.7ppmのピーク積分値は、耐候性の観点から、0以上1.5以下であり、好ましくは0以上1.0以下である。この4.8〜5.7ppmのピーク積分値は、不飽和二重結合に対する水素添加の程度を促進する(高水添率)ことで小さくなる傾向にある。
共重合樹脂(a)における芳香族ビニル化合物由来構造単位の含有率は、剛性と耐衝撃性の観点から、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。共重合樹脂(a)における不飽和二重結合の含有率は、耐候性の観点から、10mol%以下が好ましく、より好ましくは5mol%以下である。共重合樹脂(a)中の芳香族ビニル化合物の含有率と不飽和二重結合の含有率は、重水素化溶媒に溶解させた共重合樹脂(a)を、核磁気共鳴装置(NMR)を用いプロトン核(1H)測定後、該当シグナルの積分値より計算して求めることができる。
本実施形態における共重合樹脂(a)が、ブロック共重合樹脂(a´)である場合、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックAと、飽和炭化水素化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックBとから構成される。芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する芳香族ビニル化合物との共重合体ブロック及び/又は芳香族ビニル化合物単独重合体ブロックを示し、飽和炭化水素化合物を主体とする重合体ブロックBは、飽和炭化水素化合物由来の構造単位を好ましくは50質量%以上を超える量で、より好ましくは60質量%以上含有する芳香族ビニル化合物との共重合ブロック及び/又は単独重合体ブロックを示す。重合体ブロックAと重合体ブロックBとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
ブロック共重合樹脂(a´)の製造方法は、例えば、まず特公昭40−23798号公報、特公昭49−036957号公報、特公昭56−028925号公報等に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック共重合させて芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とからなるブロック共重合樹脂を得る。次に、該ブロック共重合樹脂の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合を水素添加することにより目的とするブロック共重合樹脂(a´)を得ることができる。
水添触媒としては、特に限定されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、例えば、特公昭42−008704号公報、特公昭43−006636号公報、特公昭63−004841号公報、特公平01−037970号公報、特公平01−053851号公報、特公平02−09041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、例えば、特開平08−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格或いはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物或いは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1〜15MPa、より好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaである。また、水添反応時間は、好ましくは3分〜10時間、より好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
なお、ここでは、ブロック共重合樹脂(a′)の水添反応を行う場合を一例として説明したが、ブロック構造でない共重合樹脂(a)の場合であっても、同様に水添反応を行うことができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン;α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン;等が挙げられ、経済性の観点から好ましくはスチレンである。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、機械強度の観点から好ましくは1,3−ブタジエンである。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ブロック共重合樹脂(a´)における芳香族ビニル化合物の含有率は、生産性、加工性の観点から、10質量%以上であることが好ましく、柔軟性、ゴム的特性の観点から、90質量%以下であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上80質量%以下である。
ブロック共重合樹脂(a´)の数平均分子量は、耐熱性の観点から好ましくは4×104以上、成形性の観点から好ましくは40×104以下、より好ましくは5×104以上30×104以下である。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、標準ポリスチレンの測定より求めた検量線より換算して求めることができる。
本実施形態におけるカーボンナノ繊維(b)は、共重合樹脂(a)への分散性と強度発現の観点から、平均繊維径が15nmより大きく500nm以下であり、15nmより大きく300nm以下であることが好ましい。カーボンナノ繊維(b)の平均繊維長は、通常、数十nm〜数mmである。カーボンナノ繊維(b)は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
カーボンナノ繊維(b)の532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)は、0.5以上3.5以下である。通常、Dバンドは、1350〜1365cm-1に観測されるラマンシグナルであり、Gバンドは、1575〜1590cm-1に観測されるラマンシグナルである。カーボンナノ繊維(b)のD/Gの値が小さいほど該カーボンナノ繊維の結晶化度が高いといえる。本実施形態におけるカーボンナノ繊維(b)のD/Gの値は、共重合樹脂(a)との親和性とカーボンナノ繊維(b)の強度の観点から、0.5以上3.5以下であり、1.0以上2.5以下であることが好ましい。
本実施形態において、共重合樹脂(a)に対するカーボンナノ繊維(b)の濃度は、好ましくは1質量%以上70質量%以下、より好ましくは5質量%以上60質量%以下、更に好ましくは10質量%以上50質量%以下である。上記濃度とすることにより、機械強度と加工性のバランスが一層向上する。
本実施形態で使用されるカーボンナノ繊維(b)の製造方法は、一般的な製造方法、例えば、アーク法、レーザー法、気相成長法等で製造されたものを使用することができる。また、製造後、オゾン処理、有機酸処理、無機酸処理、焼成処理、加熱処理、過酸化物処理、各種カップリング剤等の反応性モノマーによる処理、コーティング剤処理、電子線照射、プラズマ照射、マイクロ波照射、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、紫外線照射、等による表面改質;紡糸、紡績等の加工処理;各種ポリマー、各種低分子化合物、各種エマルジョン等を用いた造粒処理;等が施されていても構わない。
カーボンナノ繊維(b)の製造方法においては、通常、より高温でカーボンナノ繊維を熱処理することにより、カーボンナノ繊維(b)の結晶化がより進行し、カーボンナノ繊維(b)のD/Gの値が小さくなる傾向にある。
さらに、本実施形態の効果を損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。添加剤としては、二酸化珪素等の無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤,ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、カーボンブラック、カーボンナノ繊維(b)以外の炭素繊維、金属ウィスカ、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本実施形態のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物は、カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が0.5以上である。ここでいう1質量%とは、共重合樹脂(a)に対するカーボンナノ繊維(b)の含有率であり、300%歪時応力上昇指数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態におけるカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物の製造方法は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ロール、プラストミル、各種ニーダー等を用いて共重合樹脂(a)が流動状態となる温度以上で溶融混練する方法が挙げられる。これにより、機械強度を一層向上させることができる。
カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物の製造方法において、径が細くD/G値が大きいカーボンナノ繊維を用いることにより、カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が大きくなる傾向にある。
ここでいう共重合樹脂(a)の流動状態とは、弾性率が1MPa以下である状態をいう。弾性率は、溶融粘弾性測定によって測定することができる。
本実施形態において共重合樹脂(a)が流動状態となる温度としては、加工性と熱劣化防止の観点から、好ましくは110〜320℃であり、より好ましくは130〜300℃である。
カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を製造する際、カーボンナノ繊維(b)は、事前に必要量の一部又は必要量の共重合樹脂(a)とミキサー等で混合処理されていても、事前に必要量の一部又は必要量の共重合樹脂(a)とカーボンナノ繊維(b)とを含む樹脂ワニスやエマルジョンを作製後溶媒の除去を行う方法により複合化されていても、構わない。
本実施形態におけるカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物はその用途に応じて成形することができる。その成形方法は、例えば射出成形、カレンダー成形、トランスファー成形、圧縮成形等が挙げられる。これにより、本実施形態におけるカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を含む成形体とすることができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。まず、評価方法と用いた原料について述べる。
<評価方法>
1)共重合樹脂(a)中の不飽和二重結合の含有率
試料25mgを重クロロホルム0.75mLに溶解し、下記条件にて1H−NMR測定を行った。
装置:JEOL製 JNM ECA−500
周波数:500MHz
積算回数:128回
繰り返し時間:6.7秒
測定温度:室温
化学シフト基準:重クロロホルム中のクロロホルム 7.26ppm
2)カーボンナノ繊維(b)の平均繊維径
カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物1mgをトルエン50mLに十分溶解させ、フィルター(直径0.025μm)を用いてろ過した。得られたろ物から溶媒を留去した後、走査型電子顕微鏡S−4700(倍率:2000倍)を用いフィルター上のカーボンナノ繊維200本を観察し、繊維径の算術平均値を求めた。
3)D/G
スライドガラス上にカーボンナノ繊維をサンプリング後、Thermo Scientific社製、顕微レーザラマンNicolet AlmegaXRを用い、レーザー波長532nmにおけるスペクトルを測定した。Dバンドピーク(1350〜1365cm-1)とGバンドピーク(1575〜1590cm-1)の波形分離を行い、Gバンドピークに対するDバンドピークのピーク面積比(D/G)を求めた。
4)引張試験
試験片の調製はJIS K 6251の方法で行った。ダンベル状3号型に打ち抜いた試験片を、Instron社製、5582型引張試験機にて、23℃下引張速度50mm/分で測定し、300%歪時応力(M300)と引張強さを求めた。
カーボンナノ繊維を含有することによる応力増加分(MPa)を、共重合樹脂(a)に対するカーボンナノ繊維の含有率(質量%)で除した指数、即ちカーボンナノ繊維1質量%あたりのM300上昇指数は次式により求めた。
カーボンナノ繊維1質量%あたりのM300上昇指数=(T−T0)/C
T:カーボンナノ繊維添加時のM300[MPa]
0:カーボンナノ繊維未添加時のM300[MPa]
C:共重合樹脂(a)に対するカーボンナノ繊維の含有率[質量%]
5)耐候性評価
サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製、WEL−SUN−HC型)を用い、ブラックパネル温度63℃、スプレーサイクル18分/120分の条件で、後述するシートの曝露を行った。曝露前後で引張試験を行って引張強さを評価した。曝露前の引張強さを100とした場合、曝露後の引張強さが95以上であれば「○」、95未満であれば「×」と評価した。
<用いた原料>
1)共重合樹脂(a)
・共重合樹脂(a−1):「タフテックH1041」
(商品名、旭化成ケミカルズ社製、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、1H‐NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき4.8〜5.7ppmのピーク積分値:0.4)
・共重合樹脂(a−2):「タフプレンT−125」
(商品名、旭化成ケミカルズ社製、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、1H‐NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき4.8〜5.7ppmのピーク積分値:43)
2)カーボンナノ繊維(b)
多層カーボンナノ繊維(b−1):平均繊維径80nm、平均繊維長10μm、D/G=1.6
多層カーボンナノ繊維(b−2):平均繊維径80nm、平均繊維長10μm、D/G=0.1
多層カーボンナノ繊維(b−3):平均繊維径150nm、平均繊維長8μm、D/G=0.1
[実施例1,2、比較例1,2,4]
ローラーブレードを備えたブランベンダー製プラスチコーダー(内容量55mL)を用い、混練温度140℃、回転数30rpmの条件で共重合樹脂(a)とカーボンナノ繊維(b)を、表1に示す割合で配合し、10分間混練を行い、複合組成物を得た。なお、混練後の温度は、165℃であった。得られた複合組成物を、東邦プレス社製、25トン油圧式成形機にて200℃、10MPa、2分間の条件で、2mm厚のシートに加工した。得られたシートは、引張試験と耐候性評価に供した。その結果を表1に示す。なお、実施例1,2、比較例1,2,4の混練温度は、共重合樹脂(a)が流動状態となる温度であった。
[比較例3]
カーボンナノ繊維を加えなかった点を除き実施例1,2、比較例1,2,4と同様の方法で混練、シート加工し、引張試験と耐候性評価に供した。比較例3の混練後の温度は、160℃であった。その結果を表1に示す。
Figure 2013237723
表1に示すように、いずれの実施例も、機械強度と耐候性のいずれも優れていることが確認された。
本発明のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物は、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバッグカバー等の自動車内装部品;モール等の自動車外装部品;ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツ等の自動車機能部品;パッキン、ガスケット等の各種シール材やダイヤフラム等の工業用部品;等として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 芳香族ビニル化合物由来の構造単位と、飽和炭化水素系化合物由来の構造単位と、を含む共重合樹脂であって、1H−NMRスペクトルにおける0〜2.7ppmのピーク積分値を100としたとき、4.8〜5.7ppmのピーク積分値が0〜1.5である共重合樹脂(a)と、
    下記(1)及び(2)を共に満たすカーボンナノ繊維(b)と、
    を含み、
    前記カーボンナノ繊維(b)1質量%あたりの300%歪時応力上昇指数が、0.5以上である、カーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物;
    (1)カーボンナノ繊維の平均繊維径dが、15nm<d≦500nmである、
    (2)カーボンナノ繊維の532nmのラマン分光スペクトルにおいて、Gバンドピーク面積(G)に対するDバンドピーク面積(D)の比(D/G)が、0.5〜3.5である。
  2. 請求項1記載のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物を含む成形体。
  3. 前記共重合樹脂(a)と前記カーボンナノ繊維(b)とを、前記共重合樹脂(a)が流動状態となる温度以上で溶融混練する、請求項1記載のカーボンナノ繊維含有共重合樹脂組成物の製造方法。
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