JP2008266606A - 耐アルコール性成形材料及び成形品 - Google Patents

耐アルコール性成形材料及び成形品 Download PDF

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孝雄 市橋
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Abstract

【課題】
アルコールと接触しても白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、超音波接着性に優れ、アルコールと接触する条件での使用に好適な耐アルコール性成形材料及び成形品を提供する。
【解決手段】
下記成分(A)50〜98質量%と、下記成分(B)50〜2質量%とを含有する耐アルコール性成形材料。
成分(A):オレフィン系樹脂;
成分(B):ゴム強化樹脂。さらに、ジエン系(共)重合体の水素添加物(C1);繊維状充填剤(C2);マレイミド系(共)重合体又はα−メチルスチレン系(共)重合体(C3)、ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体(C4)、熱伝導性フィラー(C5)を含有しても良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルコールを収容する容器などの耐アルコール性が要求される成形品のための成形材料、及び、これで成形されたアルコール容器等の成形品に関し、更に詳しくは、アルコールと接触しても、白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、超音波接着性に優れた成形品を与える耐アルコール性成形材料、及び、これで成形されたアルコール容器等の成形品に関する。
近年、燃料電池などに用いられる各種樹脂成形品として、耐薬品性、耐熱性等に優れたものが要求されるようになっている。ここで、燃料電池とは、イオン伝導体である電解質の両側に電極を備え、一方の電極に酸素や空気などの酸化ガスを供給し、他方の電極に水素や炭化水素などの気体燃料、あるいはアルコールなどの液体燃料を供給し、これらの電極間に電気化学反応を起こさせて、電気と水とを発生させる電池である。
燃料としてメタノールを直接供給する直接型メタノール燃料電池(DMFC)は、電解質として固体高分子電解質膜を用いることができるため、100℃以下で動作できる可能性があり、また、燃料が液体で、輸送、貯蔵が容易であることなどから、小型・可搬用に適していると考えられ、将来の自動車用動力源、モバイル電子機器用電源として有力視されている。DMFCの構造は、例えば、特許文献1に開示されている。
また、燃料電池を携帯用電子機器の電源として使用するための方法が、特許文献2に開示されている。この方法によれば、携帯電子機器の内部に小型のDMFCを組み込み、メタノールを充填した取り替え式のカートリッジから燃料が供給される。
カートリッジを形成する材料としては、特許文献1にはアクリル樹脂が、特許文献2にはポリプロピレン、ポリエチレンが記載されている。さらに、特許文献3にはポリフェニレンエーテル系樹脂とポリオレフィン系樹脂、並びにポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂からなるアルコール直接型燃料電池用燃料容器またはカートリッジが記載されている。
特開2003−17102号公報 特開2003−92128号公報 特開2005−222845号公報
アルコール容器用成形材料及びこれで成形されたアルコール容器の性能としては、アルコールと容器が接触しても容器に白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、容器内のアルコールが容器外に漏洩するのを防ぐためにアルコールに対する耐透過性に優れ、アルコール存在下高い使用環境温度で使用する場合においても十分な耐熱性を保持することが求められる。また、たとえば容器製造工程において、樹脂や金属同士を重ね合わせて超音波振動させ、お互いをすり合わせることで摩擦熱を発生させて、溶け合わせて接着する超音波接着性に優れることが求められる。
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている組成物は、上記の耐薬品性、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、超音波接着性が十分でなく、その使用範囲が限られていた。
本発明は、アルコールと接触しても、白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、衝撃強度、成形性、超音波接着性に優れた耐アルコール性成形材料及び成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、オレフィン系樹脂(A)と特定のグラフト共重合体(B)とを含有した成形材料が、前述の耐薬品性、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、衝撃強度、成形性、超音波接着性の課題を解消した成形品を与えることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示される。
1.下記成分(A)50〜98質量%と、下記成分(B)50〜2質量%とを含有する耐アルコール性成形材料。
成分(A):オレフィン系樹脂;
成分(B):エチレン−α−オレフィン系ゴム(a1)及び/又は水添共役ジエン系ゴム(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)、または、該グラフト共重合体(B1)とビニル系単量体(b)の(共)重合体(B2)との混合物からなるゴム強化樹脂。
2.更に、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部あたり、下記成分(C1)、下記成分(C2)、下記成分(C3)、下記成分(C4)及び下記成分(C5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(C)1〜50質量部を含有してなる上記1に記載の耐アルコール性成形材料。
成分(C1):ジエン系(共)重合体の水素添加物;
成分(C2):繊維状充填剤;
成分(C3):マレイミド系(共)重合体及び/又はα−メチルスチレン系(共)重合体;
成分(C4):ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体;
成分(C5):熱伝導性フィラー。
3.上記1又は2に記載の耐アルコール性成形材料で成形された成形品。
4.アルコール容器である上記3に記載の成形品。
本発明の耐アルコール性成形材料で成形された成形品は、アルコールと接触しても白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性に優れ、アルコール存在下において高い環境温度で使用する場合でも十分な耐熱性を備える。また、容器製造工程における超音波接着性にも優れる。したがって、アルコール直接型燃料電池用燃料容器(カートリッジも含む)等のアルコールと接触する条件で使用される成形品の成形材料として極めて有用である。
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合および共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
本発明の耐アルコール性成形材料は、オレフィン系樹脂(A)及び特定のグラフト共重合体(B)を含有してなり、必要に応じて上記成分(C)のうち少なくとも1種を配合してなる。
成分(A)
本発明で使用する成分(A)は、オレフィン系樹脂であり、代表的には、エチレン及び炭素数3〜10のα−オレフィンからなる群より選ばれた少なくとも1種のオレフィン類を構成単量体単位として含有する重合体である。このオレフィン系樹脂としては、X線回折により室温で結晶化度を示すものが好ましく、より好ましくは結晶化度が20%以上であり、融点が40℃以上であることが好ましい。また、このオレフィン系樹脂は、常温下での使用に対する十分な強度と、例えば射出成形等に対する十分な成形性をもつことが好ましい。
上記成分(A)の構成単量体単位であるオレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン等があり、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。また他に、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエン等の他の単量体成分を構成単量体単位の一部として使用することができる。
また、上記成分(A)としては、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン、臭素化ポリエチレン等を用いることもできる。
本発明で用いられる上記成分(A)は、単独重合体または共重合体の何れであってもよく、該共重合体は、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。これらのうちプロピレン単独重合体が特に好ましい。
例えば、上記成分(A)としてのポリプロピレン系樹脂は、230℃、2.16kg荷重の条件で測定したマスメルトフローレート(MFR)が、0.01〜500g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.05〜100g/10分である。
成分(B)
本発明で使用する成分(B)は、エチレン−α−オレフィン系ゴム(a1)及び/又は水添共役ジエン系ゴム(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)、または、該グラフト共重合体(B1)とビニル系単量体(b)の(共)重合体(B2)との混合物からなるゴム強化樹脂である。
グラフト共重合体(B1)
上記成分(B)のゴム強化樹脂を構成するグラフト共重合体(B1)は、エチレン−α−オレフィン系ゴム(a1)及び/又は水添共役ジエン系ゴム(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるものである。
エチレン−α−オレフィン系ゴム(a1)としては、例えば、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン/α−オレフィン/非共役ジエン共重合体が挙げられる。該成分(a1)を構成するα−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。α−オレフィンの炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると、共重合性が低下し、成形品の表面外観が十分でなくなる可能性がある。エチレン/α−オレフィンの質量比は、好ましくは5〜95/95〜5、より好ましくは50〜90/50〜10、さらに好ましくは60〜88/40〜12である。α−オレフィンの質量比が95を超えると、耐候性が十分でなく、一方、5未満になるとゴム質重合体のゴム弾性が十分でなくなるため、十分な耐衝撃性が発現しない可能性がある。
非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類が挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。非共役ジエンの、ゴム質重合体全量に対する割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。非共役ジエンの割合が30質量%を超えると、成形外観および耐候性が十分でなくなる可能性がある。尚、成分(a1)における不飽和基量は、ヨウ素価に換算して4〜40の範囲が好ましい。
また、成分(a1)のムーニー粘度(ML1+4、100℃;JIS K6300に準拠)は、好ましくは5〜80、より好ましくは10〜65、さらに好ましくは15〜45である。ムーニー粘度が80を超えると、流動性が不十分に、ムーニー粘度が5未満になると、得られる成形品の耐衝撃性が不十分となる可能性がある。
水添共役ジエン系ゴム(a2)としては、例えば、下記の構造を有する共役ジエンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。すなわち、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックA、1,2−ビニル結合含量が25モル%を超える共役ジエン系化合物単位からなる重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックB、1,2−ビニル結合含量が25モル%以下の共役ジエン系化合物単位からなる重合体のオレフィン性不飽和結合を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックC、および芳香族ビニル化合物単位と共役ジエン系化合物単位の共重合体のオレフィン性不飽和結合を80モル%以上水素添加してなる重合体ブロックDのうち、2種以上を組み合わせたものからなるブロック共重合体である。
上記重合体ブロックAの製造に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましいものは、スチレンである。ブロック共重合体中の重合体ブロックAの割合は、ブロック共重合体中の0〜65質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。重合体ブロックAが65質量%を超えると、耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
上記重合体ブロックB、CおよびDは、共役ジエン系化合物の重合体を水素添加することにより得られる。上記重合体ブロックB、CおよびDの製造に用いられる共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、物性の優れた水添ジエン系ゴム質重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。上記重合体ブロックDの製造に用いられる芳香族ビニル化合物としては、上記重合体ブロックAの製造に用いられる芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましいものは、スチレンである。
上記重合体ブロックB、CおよびDの水素添加率は、80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上である。80モル%未満であると、耐候性が低下する可能性がある。重合体ブロックBの1,2−ビニル結合含量は、25モル%を超え90モル%以下が好ましく、30〜80モル%がさらに好ましい。重合体ブロックBの1,2−ビニル結合含量が25モル%以下であると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなる可能性があり、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が十分でなくなる可能性がある。また、重合体ブロックCの1,2−ビニル結合含量は、25%モル以下が好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。重合体ブロックCの1,2−ビニル結合含量が25モル%を超えると、耐傷つき性および摺動性が十分に発現しない可能性がある。重合体ブロックDの1,2−ビニル結合含量は、25〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がさらに好ましい。重合体ブロックDの1,2−ビニル結合含量が25モル%未満であると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなる可能性があり、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が十分に得られない可能性がある。また、重合体ブロックDの芳香族ビニル化合物含量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。重合体ブロックDの芳香族ビニル化合物含量が50質量%を超えると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
上記ブロック共重合体の分子構造は、分岐状、放射状またはこれらの組み合わせでもよく、さらにブロック構造としては、ジブロック、トリブロック、もしくはマルチブロック、またはこれらの組み合わせでもよい。例えば、A−(B−A)n 、(A−B)n 、A−(B−C)n 、C−(B−C)n 、(B−C)n 、A−(D−A)n 、(A−D)n 、A−(D−C)n 、C−(D−C)n 、(D−C)n 、A−(B−C−D)n 、(A−B−C−D)n 、(ただし、n=1以上の整数)で表されるブロック共重合体であり、好ましくは、A−B−A、A−B−A−B、A−B−C、A−D−C、C−B−Cの構造を有するブロック共重合体である。
上記成分(a1)及び(a2)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、1万〜100万が好ましく、さらに好ましくは3万〜80万、より好ましくは5万〜50万である。Mwが1万未満では、耐衝撃性が十分でなく、一方、100万を超える高分子量のものでは、成形品外観が十分でなくなる可能性がある。
ビニル系単量体(b)は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、およびその他の共重合可能な他のビニル系化合物の群から選ばれた少なくとも1種である。このうち、芳香族ビニル化合物としては、上記共役ジエンブロック共重合体の重合体ブロックAの製造に用いられる芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることもできる。好ましい芳香族ビニル化合物は、スチレンまたは芳香族ビニル化合物中にスチレンを50質量%以上含むものである。芳香族ビニル化合物の使用量は、ビニル系単量体(b)全体に対し、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。芳香族ビニル化合物の使用量が10質量%未満では、樹脂の成形性(流動性)が十分でなく、一方、80質量%を超えると、得られる成形品の耐衝撃性が十分に得られない可能性がある。
また、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられるが、好ましくはアクリロニトリルである。シアン化ビニル化合物の使用量は、ビニル系単量体(b)全体に対し、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35質量%である。シアン化ビニル化合物の使用量が5質量%未満では耐薬品性が十分でなく、一方、50質量%を超えると、成形品の表面外観、樹脂の熱安定性が十分でなくなる可能性がある。
また、その他の共重合可能なビニル系化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系化合物)などが挙げられ、好ましくはメチルメタクリレート、N−フェニルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。これらのその他の共重合可能なビニル系化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。その他の共重合可能なビニル系化合物の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲であればよく、ビニル系単量体(b)全体を100質量%とした場合に、好ましくは0〜95質量%、より好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは15〜90質量%である。
上記ゴム質重合体(a)の使用量は、成分(a)及び成分(b)の合計100質量%に対して、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%である。成分(a)の使用量が5質量%未満では、耐衝撃性が十分でなく、一方、40質量%を超えると、成形品の表面外観が十分でなくなる可能性がある。
上記成分(B)のグラフト率は、通常10〜200%、好ましくは20〜120%、さらに好ましくは30〜90%である。グラフト率が10%未満では、耐衝撃性が十分でなく、一方、200%を超えると、耐衝撃性と成形品の外観のバランスが十分でなくなる可能性がある。グラフト率は、重合開始剤の種類、量、重合温度、さらには単量体の量などによって容易に調整することができる。
また、上記成分(B)のアセトン可溶分の極限粘度[η](30℃、メチルエチルケトン中で測定)は、0.2〜1.5dl/g、好ましくは0.25〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.3〜0.8dl/gである。極限粘度[η]が0.2dl/g未満であると、成形品の耐衝撃性が十分でなく、一方、1.5dl/gを超えると、成形品表面の外観や成形性が十分でなくなる可能性がある。上記極限粘度[η]は、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤などの種類や量、さらには重合時間、重合温度などを変えることにより、容易に制御することができる。
このグラフト率(質量%)は、次式(1)により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100・・・(1)
上記式(1)中、Tは成分(B)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは該成分(B)1gに含まれる成分(a)の質量(g)である。
共重合体の極限粘度[η]の測定は下記方法で行った。まず、共重合体のアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位はdl/gである。
成分(B)は、成分(a)の存在下に、上記成分(b)を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などでラジカルグラフト重合を行い、製造することができる。このうち好ましくは乳化重合、溶液重合である。なお、上記ラジカルグラフト重合には、通常使用されている重合溶媒(溶液重合の場合)、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤(乳化重合の場合)などを用いることができる。また、成分(B)を製造するのに用いる単量体成分は、ゴム質重合体全量の存在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよく、または分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で、重合してもよい。さらに、ゴム質重合体の全量または一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
溶液重合法で用いられる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶剤であり、例えばエチルベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ジクロロメチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などの有機溶剤が用いられる。溶剤の使用量は、上記成分(a)及び成分(b)の合計量100質量部に対し、好ましくは20〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。
上記重合開始剤は、重合法に合った一般的な開始剤が用いられる。溶液重合の重合開始剤としては、例えばケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物等を用いることができる。また、重合開始剤は、重合系に、一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。
また、乳化重合の重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸、スルホキシレートなどで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系処方、または過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物等を用いることができる。このうち、好ましくは、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどで代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸、スルホキシレートなどで代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系処方がよい。また、開始剤は油溶性でも水溶性でもよく、さらには油溶性と水溶性を組み合わせて用いてもよい。組み合わせる場合の水溶性開始剤の添加比率は、全添加量の好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。さらに、重合開始剤は、重合系に一括または連続的に添加することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分に対し、好ましくは0.1〜1.5質量%、より好ましくは0.2〜0.7質量%である。
また、連鎖移動剤としては、例えばオクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレンおよびペンタフェニルエタンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンのダイマーなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤の使用方法は、一括添加、分割添加、または連続添加のいずれの方法でも差し支えない。連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対し、好ましくは0〜5質量%程度である。
乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。このうち、アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、リン酸系塩、脂肪酸塩などが挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤としては、通常のポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つものが挙げられる。乳化剤の使用量は、単量体成分に対し、好ましくは0.3〜5質量%である。なお、グラフト重合の際の重合温度は、好ましくは10〜160℃、より好ましくは30〜120℃である。
ゴム質重合体(a)の存在下、ビニル系単量体成分(b)を共重合して得られる本発明のグラフト共重合体(B1)には、通常ビニル系単量体成分がゴム質重合体にグラフトした共重合体と、ビニル系単量体成分がゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、下記成分(B2)と同様のビニル系単量体(b)同士の(共)重合体)及びグラフトしていないゴム質重合体(a)が含まれる。
成分(B1)は、(i)上記成分(a1)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体、(ii) 上記成分(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体、及び、(iii) 上記成分(a1)及び上記成分(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体の3態様を少なくとも包含するものである。そして、さらに、上記(i)又は(ii)の態様には、上記(i)又は(ii)のグラフト共重合体に加えて、それぞれ、上記(ii)又は(i)のグラフト共重合体を混合した態様も含まれるものである。
ビニル系単量体(b)の(共)重合体(B2)
上記成分(B)のゴム強化樹脂は、上記グラフト共重合体(B1)とビニル系単量体(b)の(共)重合体(B2)との混合物であってもよい。該(共)重合体(B2)は、ゴム質重合体(a)の非存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるものである。ただし、(共)重合体(B2)から上記成分(C3)に該当するものは除く。
成分(C)
本発明で使用する成分(C)は、上記成分(C1)、上記成分(C2)、上記成分(C3)、上記成分(C4)及び上記成分(C5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分からなる。
成分(C1)
上記成分(C1)は、ジエン系(共)重合体の水素添加物であり、上記成分(a2)と同様のものが挙げられる。該成分(C1)の使用量は、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。該成分(C1)が1質量部より少ないと耐衝撃性が十分でなく、一方、50質量部を超えると、成形品の耐薬品性や表面外観が十分でなくなる可能性がある。
成分(C2)
上記成分(C2)は、繊維状充填剤であり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、セラミック系ウィスカー等の無機繊維、金属繊維等が挙げられる。
ガラス繊維に用いられるガラスの組成は、珪酸塩ガラス、ほう酸珪酸ガラス、燐酸塩ガラス等が挙げられる。またガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Mガラス、ARガラス、Lガラス等が挙げられるが、Eガラス、Cガラスが好ましい。本発明に用いられるガラス繊維には、適当なサイジング剤を用いても構わない。サイジング剤としては、表面処理剤、フィルム形成剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤等が挙げられる。表面処理剤としては、アミン系、シラン系、エポキシ系等のカップリング剤が挙げられる。本発明に用いられるガラス繊維は、ロービングを用いた長繊維タイプでもよく、チョップドストランドであってもよい。
炭素繊維としては、PAN系、ピッチ系等が用いられる。本発明に用いられる炭素繊維の直径は特に指定はないが、0.5ミクロン〜200ミクロンが好ましく、1ミクロン〜50ミクロンがより好ましく、5ミクロン〜50ミクロンがさらに好ましい。繊維の長さは特に指定はないが、成形品中で20ミクロン以上であることが好ましい。
また、上記炭素繊維は、カーボンナノチューブなどの炭素繊維構造体であってもよい。カーボンナノチューブなどの炭素繊維構造体は、成分(C5)と同様の熱伝導性を備えているので、本発明の目的を達成する上で好都合な成分である。
炭素繊維構造体は、炭素繊維部と、多数本の炭素繊維部を接合する接合部とを備える構造体であれば、特に限定されない。好ましい炭素繊維構造体は、外径15〜100nmの炭素繊維部と、多数本の炭素繊維部を接合する接合部とを備え、3次元ネットワーク構造を有する炭素繊維構造体であり、以下に説明される。尚、この炭素繊維構造体は、SEM又はTEMを用いて観察することにより、以下に示す特定の構造を確認することができる。
炭素繊維構造体は、上記接合部を基に微細な炭素繊維部が複数延出した、嵩高且つ安定な構造体である。従って、上記成分(A)及び(B)とともに用いて、本発明の成形材料を製造すると、この炭素繊維構造体の炭素繊維部が切断等されることなく、3次元ネットワーク構造を維持したまま、マトリックス中に分散される。また、上記成分(A)に対する上記炭素繊維構造体の含有割合が少量であっても、マトリックス中に、均一な広がりをもって配置することができる。
上記炭素繊維構造体を構成する炭素繊維部の断面形状は、好ましくは多角形である。また、長さ(上記接合部からの長さ〉は、特に限定されず、通常、2〜50μmである。更に、外径は15〜100nmであり、好ましくは20〜70nmである。この外径が上記範囲にあれば、成形加工性及び耐衝撃性に優れる。尚、上記外径が15nm未満であると、炭素繊維部の断面が多角形状とならず、一方、炭素繊維部の物性上、直径が小さいほど単位量あたりの本数が増えるとともに、炭素繊維部の軸方向への長さも長くなり、高い導電性が得られるため、100nmを超える外径を有することは、樹脂等のマトリックスへ改質剤、添加剤として配される炭素繊維構造体として適当でない。尚、上記外径の範囲で筒状のグラフェンシートが軸直角方向に積層したもの、即ち多層であるものは曲がりにくく、弾性、即ち変形後も元の形状に戻ろうとする性質が付与されるため、炭素繊維構造体が一旦圧縮された後においても、樹脂等のマトリックスに配された後において、疎な構造を採りやすくなる。上記炭素繊維構造体を、例えば、2400℃以上の温度でアニール処理すると、積層したグラフェンシートの面間隔が狭まり、真密度が1.89g/cmから2.1g/cmに増加するとともに、炭素繊維部の軸直交断面が多角形状となることから、この構造の炭素繊維部は、積層方向、及び、炭素繊維部を構成する筒状のグラフェンシートの方向の両方において、緻密で欠陥の少ないものとなるため、曲げ剛性が向上する。
上記炭素繊維部は、その外径が軸方向に沿って変化するものであることが望ましい。このように、炭素繊維部の外径が軸方向に沿って一定でなく、変化するものであると、マトリックス中において、炭素繊維部に一種のアンカー効果が生じるものと思われ、マトリックス中における移動が生じにくく分散安定性が高まるものとなる。
また、複数の炭素繊維部どうしを接合する、上記接合部は、好ましくは、上記炭素繊維部の外径より長い径(接合部から張り出した炭素繊維部を除いた物体としたときの径)を有する部分である。上記構成であれば、上記成分(A)及び(B)とともに本発明の成形材料を製造した場合に、ある程度の剪断力が加わっても、3次元ネットワークを保持したままマトリックス中に分散させることができる。
上記炭素繊維構造体の円相当平均径(面積基準)は、好ましくは50〜100μmである。ここで、面積基準の円相当平均径とは、炭素繊維構造体をSEM等により撮影し、この撮影画像において、各炭素繊維構造体の輪郭を、画像解析ソフトウェアを用いてなぞり、輪郭内の面積を求め、各繊維構造体の円相当径を計算し、これを平均化したものである。
上記炭素繊維構造体Cは、以下の方法により製造することができる。
先ず、触媒の存在下、トルエン、キシレン等の炭化水素等、エタノール等のアルコール等の有機化合物原料をCVD法で化学熱分解して繊維構造体(以下、「中間体」という)を製造し、その後、更に高温熱処理することにより、上記炭素繊維構造体を製造することができる。
上記中間体の製造に用いる触媒としては、鉄、コバルト、モリブデン等の遷移金属;フェロセン、酢酸の金属塩等の遷移金属化合物と、硫黄、又は、チオフェン、硫化鉄等の硫黄化合物とからなる混合物が挙げられる。
また、上記有機化合物原料としては、分解温度の異なる少なくとも2種以上の有機化合物を用いることが好ましい。
CVD法を行う場合の雰囲気ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性’ガス、水素ガス等が挙げられる。
上記中間体は、公知のCVD装置を用い、有機化合物原料及び触媒の混合物を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1,300℃の温度で熱分解することにより得られる。即ち、この熱分解により、外径が15〜100nmの繊維状体が、触媒を核として成長した粒状体に結合した、疎な3次元構造を有する炭素繊維構造体(中間体)が複数含まれる。数cmから数十センチの大きさの集合体が合成される。この集合体は、その他、未反応原料、非繊維状炭化物、タール分及び触媒を含んでいる。
その後、上記集合体から、これら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の炭素繊維構造体を得るために、更に高温で熱処理される。
例えば、上記集合体を、800〜1,200℃の温度で加熱して、未反応原料、タール分等の揮発成分を除去し、2,400〜3,000℃の温度でアニール処理することによって、繊維状体に含まれる触媒を蒸発及び除去するとともに、所期の炭素繊維構造体が製造される。即ち、このアニール処理により、炭素原子からなるパッチ状のシート片が、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成し、上記炭素繊維構造体の炭素繊維部を構成する。また、このような高温熱処理前もしくは処理後において、炭素繊維構造体の円相当平均径を数cmに解砕処理する工程と、解砕処理された炭素繊維構造体の円相当平均径を50〜100μmに粉砕処理する工程とを備えることで、所望の円相当平均径を有する炭素繊維構造体を得ることができる。尚、解砕処理の代わりに、粉砕処理を行ってもよい。更に、上記炭素繊維構造体Cを複数有する集合体を、使いやすい形、大きさ、嵩密度に造粒する処理を行ってもよい。反応時に形成された上記構造を有効に活用するために、嵩密度が低い状態(極力繊維が伸びきった状態で且つ空隙率が大きい状態)で、アニール処理すると更に樹脂への導電性付与に効果的である。
以上から、上記の製造方法により得られた上記炭素繊維構造体は、微細な炭素繊維部どうしが単に接合部に結合しているものではなく、接合部において相互に強固に結合している。
本発明に用いられる繊維状充填剤の量は、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは3〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。この範囲内において、主として、成形品の耐衝撃性が十分となり、熱変形を抑制する効果が十分となる。繊維状充填剤が1質量部より少ないと、得られる成形体の機械的強度が不十分となる可能性があり、一方、50質量部を超えると成形材料の流動性が不十分となる可能性がある。
成分(C3)
上記成分(C3)は、マレイミド系(共)重合体、及び/又は、α−メチルスチレン系(共)重合体である。マレイミド(系)共重合体とは、マレイミド系化合物を構成単量体単位として含む(共)重合体(以下、「(共)重合体(C3−1)又は成分(C3−1)」ともいう。)である。α−メチルスチレン系(共)重合体とは、α−メチルスチレンを構成単量体単位として含む(共)重合体(以下、「(共)重合体(C3−2)又は成分(C3−2)」ともいう。)である。
上記(共)重合体(C3−1)としては、マレイミド系化合物単位を含む限り特に限定されず、上記ビニル系単量体(b)として例示したマレイミド系化合物と、このマレイミド系化合物と重合可能な化合物との共重合体であってもよいし、無水マレイン酸と、この無水マレイン酸と重合可能な化合物との共重合体を得た後、後イミド化によって生成したマレイミド系化合物単位を含有した共重合体であってもよい。マレイミド系化合物と共重合させる他の化合物としては、α−メチルスチレンを含む芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物等が好ましく、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物がより好ましい。
上記(共)重合体(C3−1)を構成するマレイミド系化合物単位の含有量は、全構成単位に対して、好ましくは10〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは30〜48質量%である。マレイミド系化合物単位の含有量が10質量%未満の場合は、耐熱性の向上効果が十分でなく、55質量%を超える場合は、成形品の耐衝撃性、表面外観が十分でなくなる可能性がある。
上記(共)重合体(C3−1)の製造方法は特に限定されず、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法を用いることができる。また、上記(共)重合体(C3−1)は、上記グラフト共重合体(B1)の未グラフト成分に由来するものであってもよい。すなわち、上記グラフト共重合体(B1)の製造時にビニル系単量体成分(b)としてマレイミド系化合物を用いることにより、本発明の成形材料を、上記(共)重合体(C3−1)を含有するものとして得ることができる。
また、上記(共)重合体(C3−1)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(共)重合体(C3−1)のガラス転移温度(以下、単に「Tg」ともいう。)は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110〜220℃、更に好ましくは120〜200℃である。
また、上記(共)重合体(C3−1)のアセトン可溶分の極限粘度[η]は、メチルエチルケトンを溶媒として、30℃で測定したときに、好ましくは0.1〜1.5dl/g、より好ましくは0.15〜0.8dl/g、更に好ましくは0.2〜0.8dl/gの各範囲である。極限粘度[η]が0.1dl/g未満であると、成形品の耐衝撃性、耐熱性の向上効果が十分でなく、一方、1.5dl/gを超えると成形品の表面外観の低下や成形時の樹脂の流動性の低下を招く可能性がある。
また、上記(共)重合体(C3−2)としては、α−メチルスチレンの単独重合体や、α−メチルスチレンと、このα−メチルスチレンと重合可能な他の化合物との共重合体が挙げられる。α−メチルスチレンと共重合可能な他の化合物としては、α−メチルスチレン以外の芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。
上記(共)重合体(C3−2)を構成するα−メチルスチレン単位の含有量は、全構成単位に対して、好ましくは20〜75質量%、より好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは35〜70質量%である。α−メチルスチレン単位の含有量が20質量%未満の場合は、耐熱性の向上効果が十分でなく、75質量%を超える場合は、成形品の耐衝撃性、表面外観、樹脂の熱安定性が十分でなくなる可能性がある。
上記(共)重合体(C3−2)の製造方法は特に限定されず、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法を用いることができる。また、上記(共)重合体(C3−2)は、上記グラフト共重合体(B1)の未グラフト成分に由来するものであってもよい。すなわち、上記グラフト共重合体(B1)の製造時にビニル系単量体成分(b)としてα−メチルスチレンを用いることにより、本発明の成形材料を、上記(共)重合体(C3−2)を含有するものとして得ることができる。
また、上記(共)重合体(C3−2)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(共)重合体(C3−2)のTgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは100〜130℃、更に好ましくは100〜125℃である。
また、上記(共)重合体(C3−2)のアセトン可溶分の極限粘度[η]は、メチルエチルケトンを溶媒として、30℃で測定したときに、好ましくは0.2〜1.5dl/g、より好ましくは0.3〜1.0dl/gの範囲である。極限粘度[η]が0.2dl/g未満であると、成形品の耐衝撃性、耐熱性の向上効果が十分でなく、一方、1.5dl/gを超えると成形品の表面外観の低下や成形時の樹脂の流動性の低下を招く可能性がある。
上記成分(C3)としては、上記(共)重合体(C3−1)及び上記(共)重合体(C3−2)を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
上記成分(C3)の使用量は、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。この範囲内において、主として、熱変形を抑制する効果が十分となる。上記成分(C3)が1質量部より少ないと、熱変形を抑制する効果が十分でなくなる可能性があり、一方、50質量部を超えると、成形性、得られる成形品の外観が十分でなくなる可能性がある。
成分(C4)
本発明で使用する成分(C4)は、ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体であり、これは、ポリプロピレン系樹脂(c)の存在下にビニル系単量体(d)を重合して得られるグラフト共重合である。
ポリプロピレン系樹脂(c)は、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とし、さらにエチレンまたは炭素数4以上のα―オレフィンをコモノマーとして含有するランダム又はブロック共重合体、並びにこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、プロピレン単独重合体が特に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(c)は、その製造法が限定されるものではないが、通常、チーグラー(ZN)触媒、またはメタロセン触媒を用いて製造される。
チーグラー触媒としては、高活性触媒が好ましく、特に、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせた高活性触媒が好ましい。
メタロセン触媒としては、ジルコニウム、ハフニウム、チタンなどの遷移金属にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子などが配位したメタロセン錯体と、アルモキサン化合物、イオン交換性珪酸塩、有機アルミニウム化合物などを組み合わせた触媒が有効である。
プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらコモノマー成分の含有量は、共重合体全体を100質量%として、通常0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%である。これらのうち、特に好ましいのは、プロピレンとエチレンおよび/又は1−ブテンとのブロック共重合体である。
反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも可能であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液法、実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法などを採用することができる。
また、溶液重合、回分式重合のいずれを用いてもよい。スラリー重合の場合には、重合溶媒としてヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素を単独で又は混合して用いることができる。
重合条件としては重合温度が通常−78〜160℃、好ましくは0〜150℃であり、そのときの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。また、重合圧力は通常0〜90kg/cm・G、好ましくは0〜60kg/cm・G、特に好ましくは1〜50kg/cm・Gである。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(c)は、230℃、2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常1〜100g/10分、好ましくは3〜50g/10分、より好ましくは5〜30g/10分、特に好ましくは5〜20g/10分で、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.2〜10、さらに好ましくは1.5〜8、より好ましくは2〜6であり、融点(Tm)は、好ましくは150〜170℃、より好ましくは155〜167℃である。
上記ビニル系単量体(d)は、上記成分(B)を製造する際に用いたビニル系単量体(b)と同じである。
成分(C4)における成分(c)の含有量は、成分(c)と成分(d)の合計100質量%に対し、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%の範囲である。成分(c)の含有量が、10〜60質量%の場合、オレフィン系樹脂との相溶性に優れ、好ましい。
ビニル系単量体(d)は芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を含有してなることが好ましく、この場合における両者の使用割合(芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物)は、両者の合計を100質量%として、好ましくは30/70〜98/2質量%、より好ましくは60/40〜95/5質量%である。
ビニル系単量体(d)の構成単量体成分として、その他の共重合可能な他のビニル系化合物を用いる場合、その使用量は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の合計100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体(C4)の製造方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合などの公知の方法を用いることができるが、特に品質の観点から溶液重合が好ましい。また、溶液重合は、回分式重合法と連続式重合法の何れの方法によっても実施できるが、経済性の点からは連続式重合法が好ましく、品質上の観点からは回分式重合法が好ましい。
上記成分(C4)を溶液重合により製造する際に用いることのできる溶剤としては、例えば芳香族炭化水素を主体とする不活性溶剤が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、イソプロピルベンゼン等が挙げられるが、このうちトルエンが好ましい。また、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ハロゲン化炭化水素などの極性溶剤を溶剤中の30質量%以下用いることは差し支えないが、脂肪族炭化水素との併用は好ましくない。不活性溶剤の使用量はポリプロピレン系樹脂(c)とビニル系単量体(d)成分の合計100質量部に対して、好ましくは50〜200質量部、さらに好ましくは60〜180質量部である。重合温度は、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜135℃、特に好ましくは100〜130℃の範囲である。
グラフト共重合を行う際、上記成分(c)と上記成分(d)の合計を100質量%とした場合に、該成分(c)を10〜60質量%、該成分(d)を90〜40質量%用いることが好ましい。
また、該成分(c)を上記溶媒に予め溶解した後、該成分(d)を添加してグラフト共重合を行うことが好ましい。この時、該成分(c)が、必ず均一に溶解している必要はなく、一部が溶解又は膨潤している状態でもよい場合がある。該成分(c)を上記溶媒に溶解を行う際の前記溶媒の好ましい温度は100℃以上であり、より好ましくは105℃以上であり、さらに好ましくは110〜200℃、特に好ましくは110〜170℃である。この溶解は、上記温度範囲で2〜5時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。該成分(c)の溶解性は、反応容器の仕様によって異なるが、通常100℃未満では十分でなく、グラフト率が下がり、目的とする性能が得られない可能性がある。
グラフト共重合を行う際の重合時間は、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1.5〜8時間、特に好ましくは2〜6時間である。重合時間が短すぎると重合率が上がらず、グラフト率が低くなる可能性があり、長すぎると生産性が低下する可能性がある。
グラフト共重合に際しては、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに熱重合で重合してもよいが、重合開始剤を用いる方が好ましい。重合開始剤としては、通常公知のものを用いることができるが、グラフト反応に効果的な有機過酸化物を用いることが好ましい。
このうち、好ましくはパーオキシエステル系の有機過酸化物であり、さらに好ましくは10時間半減期温度(T10)が80〜120℃であるパーオキシエステル系化合物であり、特に好ましくはt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートである。
重合開始剤の使用量は、上記成分(c)と上記成分(d)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部である。また、連鎖移動剤を用いることもでき、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。さらに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよく、その添加方法としては最終製品に混合する方法でもよいし、重合反応前後に添加する方法でもよい。
重合開始剤として、10時間半減期温度(T10)が80〜120℃であるパーオキシエステル系化合物を用いて溶液重合を行う場合、下記式(2)を満たす温度(T)の範囲で重合を行うことが好ましい。
10≦T≦T10+30(℃) ・・・(2)
(式(2)中、T10は前記重合開始剤の10時間半減期温度(℃)である。)
成分(C4)のグラフト率は、好ましくは10〜200質量%、より好ましくは15〜150質量%、さらに好ましくは20〜120質量%である。このグラフト率(質量%)は、次式(3)により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100・・・(3)
上記式(3)中、Tは成分(C4)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離器(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは該成分(C4)1gに含まれるポリプロピレン系樹脂の質量(g)である。
また、上記成分(C4)のアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、好ましくは0.1〜1.2dl/g、さらに好ましくは0.2〜1dl/g、より好ましくは0.2〜0.8dl/gである。
また、該成分(C4)は、220℃、10kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)は、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは10〜200g/10分である。
また、該成分(C4)は、IZOD(アイゾット)衝撃強度が、好ましくは20〜200J/m、より好ましくは90〜200J/mである。
また、該成分(C4)は、曲げ弾性率が、好ましくは1400〜3000MPa、より好ましくは1500〜3000MPaである。
尚、ポリプロピレン系樹脂(c)の存在下、ビニル系単量体成分(d)を共重合して得られる本発明のポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体(C4)には、通常ビニル系単量体成分がポリプロピレン系樹脂にグラフトした共重合体と、ビニル系単量体成分がポリプロピレン系樹脂にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、ビニル系単量体同士の単独及び共重合体)が含まれる。
上記成分(C4)の使用量は、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部である。この範囲内において、主として、耐衝撃性が向上する効果が得られる。上記成分(C4)が1質量部より少ないと、耐衝撃性が十分でない可能性があり、一方、50質量部を超えると、成形品の成形外観、耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
成分(C5)
本発明で使用する成分(C5)は、熱伝導性フィラーである。該熱伝導性フィラーとしては、代表的には、25℃における熱伝導率が20W/m・K以上である物質からなるものが挙げられ、カーボン系、セラミックス系、金属系、合金系等のいずれであってもよい。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記熱伝導性フィラー(C5)は、粉状及び繊維状の形態があるが、本発明においては、繊維状のものは上記成分(C2)に属するものとする。粉状フィラーとしては、グラファイト粉末、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、亜鉛、金、銀等の金属粉末、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミックス粉末等が好ましく、上記のうち、窒化ホウ素(C5−1)が特に好ましい。
窒化ホウ素(C5−1)としては、c−BN(閃亜鉛鉱構造〉、w−BN(ウルツ鉱構造)、h−BN(六方晶構造)、r−BN(菱面体晶構造〉等の複数の安定構造を備えたものが知られている。本発明においては、いずれの構造の窒化ホウ素も用いることができるが、六方晶構造の窒化ホウ素が好ましい。六方晶構造の窒化ホウ素を用いることにより、成形品を得る際に用いる成形機、及び、金型の摩耗が低減できる。
六方晶構造の窒化ホウ素は、層状の結晶構造を有しており、その形状は、平板状(鱗片状)である。この層状構造を有する窒化ホウ素において、層に平行な方向(a軸方向)の熱伝導性は、層に垂直な方向(c軸方向)のそれの約30倍程度といわれている。
窒化ホウ素の形状は、特に限定されず、球状、線状(繊維状)、平板状(鱗片状)、曲板状等とすることができ、一次粒子が凝集せずに単粒として存在している単粒タイプでも、一次粒子の凝集品である凝集(顆粒)タイプでもよい。単粒が鱗片状の場合、熱伝導性に優れた成形品が得られるとともに、機械的特性が良好となるので好ましい。
窒化ホウ素の好ましい物性について言及すると、レーザー回折法で測定した体積平均粒子径は2〜100μmが好ましく、より好ましくは3〜50μm、更に好ましくは5〜30μmである。比表面積は、8m/g以下が好ましく、より好ましくは4m/gである。また、粒度分布を測定して得られた累積体積が10%であるときの粒子径D10は7μm以下が好ましく、より好ましくは6μm以下であり、90%であるときの粒子径D90は30μm以上が好ましく、より好ましくは35μm以上である。また、D10とD90の比D90/Dl0の値は3〜15であることが好ましく、より好ましくは5〜10である。また、窒化ホウ素のアスペクト比は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5〜10である。純度は、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。タップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.7g/cm3以上である。これらの範囲の物性値を備えた窒化ホウ素を使用することにより、放熱性、熱伝導性に優れた成形品を得ることができる。また、上記範囲であれば、異なる粒子径の窒化ホウ素を組み合わせて用いてもよい。更に、窒化ホウ素は一次粒子が凝集した凝集タイプのものより、単粒タイプの方が好ましい。
上記成分(C5)の使用量は、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部に対し、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部である。この範囲内において、成形材料に良好な熱伝導性が与えられ、メタノール等のアルコール容器(例えば、カートリッジ)に成形した場合、アルコールを気化させるための熱を容器に効率的且つ安定に伝えることができるようになる。上記成分(C5)が1質量部より少ないと、熱伝導率が十分に向上しない可能性があり、一方、50質量部を超えると、成形加工性又は成形品の耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
耐アルコール性成形材料の製造
本発明の耐アルコール性成形材料は、上記成分(A)及び上記成分(B)を含有してなり、必要に応じて上記成分(C)のうち少なくとも1種を配合してなる。該成分(A)と該成分(B)の配合割合(成分(A)/成分(B))は、両者の合計を100質量%として、50〜98/50〜2質量%、より好ましくは60〜95/40〜5質量%、さらに好ましくは70〜90/30〜10質量%である。該成分(A)が50質量%未満の場合は耐薬品性、アルコールに対する耐透過性が十分でなく、98質量%を超える場合は耐衝撃性が十分でなくなる。一方、該成分(B)が2質量%未満の場合は耐衝撃性が十分でなく、50質量%を超える場合は耐薬品性が十分でなくなる。
成分(C)は、必要に応じて配合することができるが、好ましい配合量については、上記のとおりである。
尚、本発明の耐アルコール性成形材料は、必要に応じて、繊維状充填剤(C2)以外の充填剤、滑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、老化防止剤、可塑剤、抗菌剤、着色剤等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
さらに、本発明の耐アルコール性成形材料は、必要に応じて、他の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドなどを、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。
本発明の耐アルコール性成形材料は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混合機を用いて、適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。さらに、それぞれの成分を混練するに際しては、それぞれの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練した後、押出機によりペレット化することもできる。また、充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200〜300℃、好ましくは220〜280℃である。
この様にして得られる本発明の耐アルコール性成形材料は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形などによって各種成形品に成形することができる。本発明の耐アルコール性成形材料は、アルコールと接触しても、白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、超音波接着性に優れた成形品を提供するものであり、これらの特性を生かして、OA・家電分野、電気・電子分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野などの各種パーツ、ハウジング、シャーシ、トレーなどに使用することができる。そのなかでも、アルコール直接型燃料電池のアルコールを貯蔵する容器(カートリッジも含む)に好適である。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に何等制約されるものではない。尚、実施例中、部および%は特に断らない限り質量基準である。
(1)評価方法
下記の実施例及び比較例における、各種評価項目の測定方法を以下に示す。
(1−1)物性試験:引張強さ・引張破断伸び
ISO527に準じ、島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフAG5000E型」を用いて測定した。測定値の単位は、引張強さがMPa、引張破断伸びが%(歪み)である。
(1−2)物性試験:曲げ強さ・曲げモジュラス
ISO178に準じ、島津製作所製の精密万能試験機「オートグラフAG5000E型」を用いて測定した。測定値の単位は、曲げ強さがMPa、曲げモジュラスがMPaである。
(1−3)物性試験:シャルピー衝撃強さ
ISO179に準じて、室温におけるシャルピー衝撃強さ(Edgewise Impact、ノッチ付き)を測定した。測定条件は、
試験片タイプ : Type 1
ノッチタイプ : Type A
荷重 : 2J
で、単位はKJ/mである。
(1−4)物性試験:ロックウェル硬さ
ISO2039に準じて、室温におけるロックウェル硬さ(硬度スケールは、R−スケール。)を測定した。
(1−5)物性試験:マスメルトフローレート
ISO1133に準じ、測定温度240℃、荷重98Nの条件で測定を行った。測定値の単位は、g/10分である。
(1−6)物性試験:熱変形温度(HDT)
ISO75に準じ、荷重1.80MPaの条件で測定を行った。測定値の単位は℃である。
(1−7)物性試験:熱伝導率
耐アルコール性成形材料の溶融物を、直径10mm及び長さ50mmの円柱形のキャビティ空間を有する金型(金型温度;50〜80℃)の、下面中心に位置するゲートから射出成形し、直径10mm及び長さ50mmの円柱体を作製した。その後、長さ方向のほぼ中央部において、厚さが1.5mmの円板となるように切り出し、これを試験片(直径10mm及び厚さ1.5mm)とした。耐アルコール性成形材料の流動方向の熱伝導率を測定するために、この試験片における上面及び下面の各表面にプローブを当て、アルパック理工社製のレーザーフラッシュ法熱定数測定装置「TR−7000R型」を用い、室温(25℃)における熱伝導率を測定した。測定値の単位は、W/(m・K)である。
(1−8)耐メタノール性試験:ガスバリア性(カップ試験)
図1に示すように、直径60mmの金属製円筒状カップ1にメタノール2を10g入れ、カップ1の開口部を、厚さ1mm、直径74mmの円板状試験片3で、カップ内部のメタノールが外部に漏洩しないように密閉した。そして、70℃の恒温槽内に4時間放置した後、これを取り出し、メタノールの減少量(%)を測定した。測定結果は、メタノールの減少量が小さいほど、成形材料のメタノールに対する耐透過性が優れる。
(1−9)耐メタノール性試験:耐熱性(カップ試験)
上記(1−8)のガスバリア性試験において、恒温槽から取り出した時の試験片中央部の上方への変形量(mm)を測定した。測定結果は、試験片中央部の変形量が小さいほど、高温での使用環境下における変形が少なく、耐熱性に優れる。
(1−10)耐メタノール性試験:耐薬品性(1/4楕円法)
165mm×40mm×1.6mmの成形品に1/4楕円法で1%までの歪をかけ、メタノールを塗布し、72時間後の成形品表面状態を観察し、下記基準で評価した。
○;クラックの発生なし
×;クラックの発生あり
(1−11)耐メタノール性試験:浸漬試験
射出成形機により作成した厚さ1.6mmの成形品から、70mm×40mm×1.6mmの試験片を切り出した。次に、500mlビーカー中にメタノール(100%)を150g入れ、メタノールの揮発を防ぐためにアルミ箔でビーカーに蓋をし、ウォーターバス中で70℃に加熱した。その後、ビーカー内温が70℃になったところで、上記試験片を40mmの辺がビーカー底面に接し、試験片底面から3.5cmがメタノールに浸るように、ビーカー壁面に立てかけた。ビーカー内温を70℃に保持しつつ、そこから8時間後に、試験片がメタノールに浸漬された部分の外観の変化と、メタノールに浸漬していない部分の変化も含めた試験片全体での変形(軟化)の発生を目視で評価した。評価は下記基準で行った。
○;外観変化なし、且つ、変形(軟化)発生なし。
×;外観変化あり、及び/または、変形(軟化)発生あり。
(1−12)超音波溶着試験方法
使用樹脂片:曲げ試験用試験片(120mm×10mm×4mm)を2本使用。
使用溶着試験機:精電舎電子工業(株)製SONOPET Σ−1200。
溶着条件:溶着時間 1.0sec、保持時間 1.0sec、加圧 1.0kgf 振幅 21um。
図2に示すように、2枚の試験片を互いに17mm重なり合うように置き、その重なり合った上側の試験片の末端から10mm離れた部分にホーンを押し当てて、上記条件にて溶着させた。溶着後の試験サンプルを用い、上記物性試験で使用したオートグラフにて通常の引張り試験を行い、その引張り強度を測定した。
(2−1)成分(A)(オレフィン系樹脂)
成分(A−1):ホモタイプポリプロピレン「ノバテックPP MA4U」(商品名:日本ポリプロ社製)を用いた。
成分(A−2):ブロックタイプポリプロピレン「ノバテックPP BC6C」(商品名:日本ポリプロ社製)を用いた。
(2−2)成分(B)(グラフト共重合体)
成分(B−1):AES樹脂
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン=63/32/5(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)33であるエチレン−プロピレン系共重合体)30部、スチレン45部、アクリロニトリル25部、トルエン140部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って終了した。
内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、40mmφベント付き押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を770mmHgに調節して揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたAES樹脂のグラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/g、透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径は0.57μmであった。なお、極限粘度[η]はウベローデ粘度計を用いて求めた。
(2−3)成分(C1)(ジエン系(共)重合体の水素添加物)
成分(C1):選択水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SBBS)「P2000」(商品名:旭化成社製)を用いた。
(2−4)成分(C2)(繊維状充填材)
成分(C2−1):マイクログラス チョップド ストランド「RES 03−TP89」(商品名:日本板硝子社製)を用いた。
成分(C2−2):炭素繊維「HTA−C6−SRS」(商品名:東邦テナックス社製)を用いた。
成分(C2−3):炭素繊維構造体「MWNT(Malti Wall Carbon)」(商品名:ナノカーボンテクノロジーズ社製;炭素繊維部の外径20〜60nm、平均繊維長 数〜数十μm)。
(2−5)成分(C3)(マレイミド系(共)重合体及び/又はα−メチルスチレン系(共)重合体)
成分(C3):ポリイミレックス「PAS−1460」(商品名:日本触媒社製)を用いた。
(2−6)成分(C4)(ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体)
使用原料
ポリプロピレン系樹脂PP−1:ホモタイプポリプロピレン、日本ポリプロ社製「ノバテックPP MA3」(商品名)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 11g/10min。
重合開始剤PO−1:パーオキシエステル系化合物、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、日本油脂社製「パーブチルI」(商品名)、10時間半減期温度(T10)98.7℃。
製造法
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、ポリプロピレン系樹脂として上記PP−1を30部、トルエンを140部仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpmで攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン49部、アクリロニトリル21部、重合開始剤として上記PO−1を0.5部添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行った。その後、内温を100℃に冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留を行って未反応単量体と溶媒とを留去した。得られたポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体のグラフト率は60%で、極限粘度[η]は0.23dl/gであった。なお、極限粘度[η]はウベローデ粘度計を用いて求めた。
(2−7)成分(C5)(熱伝導性フィラー)
成分(C5):窒化ホウ素「デンカボロンナイトライド粉末SGP」(商品名:電気化学工業社製;六方晶構造、平均粒径18.0μm、比表面積2m/g、D10=5.4μm、D90=41.6μm、D90/D10=7.7)。
(2−8)成分(D)(ABS樹脂)
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部およびブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合を継続させた後、2,2′―メチレン−ビス(4−エチル−6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してゴム含有グラフト共重合体を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は55%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
実施例1〜10及び比較例1〜4
表1に記載の配合割合で、上記成分(A)〜(D)をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44、バレル設定温度220℃)で混練し、ペレット化した。次いで、得られたペレットを、除湿乾燥機を用いて十分に乾燥し、射出成形機(シリンダー温度230℃;金型温度50℃)を用いて、各評価用の試験片を得た。そして得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。以上の評価結果を表1に示した。
Figure 2008266606
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜10は、アルコールに対する耐薬品性、耐透過性、耐熱性に優れていることがわかる。
これに対し、比較例1は、エチレン−α−オレフィン系ゴム及び水添共役ジエン系ゴム以外の水添されていない共役ジエン系ゴムのグラフト共重合体を用いたものであるが、耐メタノール試験における変形量が大きく耐熱性に劣り、引っ張り強さ、曲げ強さも弱く、ロックウェル固さも低い。また、比較例2は、エチレン−α−オレフィン系ゴム及び水添共役ジエン系ゴム以外の水添されていない共役ジエン系ゴムのグラフト共重合体を用いたものであるが、耐メタノール性試験における耐薬品性、浸漬試験結果に劣る。また、比較例3は、オレフィン系樹脂の配合量が少な過ぎる例であるが、アルコールに対する耐薬品性、耐透過性、耐熱性が劣る。また、比較例4は、オレフィン系樹脂を単独で使用した例であるが、アルコールに対する耐透過性、超音波溶着性が著しく劣る
本発明の耐アルコール性成形材料及びこれで成形されたアルコール容器等の成形品は、アルコールと接触しても容器に白化、亀裂、変形等の不良現象の発生が少なく耐薬品性に優れ、アルコールに対する耐透過性、アルコール存在下における耐熱性、超音波接着性に優れ、アルコール直接型燃料電池用燃料容器(カートリッジも含む)等のアルコールと接触する条件での使用に極めて有用である。
実施例で行った耐メタノール性試験の方法を示す概略縦断面図である。 実施例で行った超音波溶着試験の方法を示す概略斜視図である。

Claims (4)

  1. 下記成分(A)50〜98質量%と、下記成分(B)50〜2質量%とを含有する耐アルコール性成形材料。
    成分(A):オレフィン系樹脂;
    成分(B):エチレン−α−オレフィン系ゴム(a1)及び/又は水添共役ジエン系ゴム(a2)からなるゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体(B1)、または、該グラフト共重合体(B1)とビニル系単量体(b)の(共)重合体(B2)との混合物からなるゴム強化樹脂。
  2. 更に、上記成分(A)と上記成分(B)の合計100質量部あたり、下記成分(C1)、下記成分(C2)、下記成分(C3)、下記成分(C4)及び下記成分(C5)からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(C)1〜50質量部を含有してなる請求項1に記載の耐アルコール性成形材料。
    成分(C1):ジエン系(共)重合体の水素添加物;
    成分(C2):繊維状充填剤;
    成分(C3):マレイミド系(共)重合体及び/又はα−メチルスチレン系(共)重合体;
    成分(C4):ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体;
    成分(C5):熱伝導性フィラー。
  3. 請求項1又は2に記載の耐アルコール性成形材料で成形された成形品
  4. アルコール容器である請求項3に記載の成形品。
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