JP4845608B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関する。より詳しくは、ポリプロピレン系樹脂と、ゴム含有グラフト共重合体と、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体とを主として含有してなる熱可塑性樹脂組成物であって、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリプロピレン系樹脂中に、ゴム含有グラフト共重合体およびポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体が微細な分散相を形成しているために、耐衝撃性と剛性の物性バランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、低比重で、耐水性、耐加水分解性、耐薬品性、ヒンジ特性、および、成形性に優れ、自動車部品、電気部品、家庭日用品、雑貨等の用途に幅広く使用されている。しかし、耐衝撃性、剛性、耐熱性、外観、成形収縮、および、塗装性に問題を有している。
一方、共役ジエン系ゴムに、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体をグラフト重合したABS樹脂などのゴム強化AS系樹脂は、成形性、耐衝撃性、剛性、外観、および、塗装性に優れているため、自動車部品、電気製品、建材、家庭日用品、雑貨等の用途に用いられてきている。しかし、有機溶剤に対しては耐性が低く、しかも、ポリプロピレン系樹脂と比較して比重が高く軽量化に限界があるいという問題がある。
そこで、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂をポリマーアロイ化することにより、両者のそれぞれの欠点を補い、それぞれの特性を生かしたポリマーアロイ材の開発が検討されてきた。しかし、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂は、相溶性に乏しいためポリマーアロイ化することが難しく、物性を向上させることは困難であった。
これまでポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂とのポリマーアロイ化を目的に、種々の相溶化剤が検討されてきた。相溶化剤は、反応タイプのものと、非反応タイプのものに大別できる。反応タイプの相溶化剤として、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等とエポキシ変性アクリロニトリル・スチレン系共重合体が知られている。そして、これらを相溶化剤として添加してなる組成物が種々提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、これらの相溶化剤によっても、上記した2つの樹脂の相溶化は十分に達成されず、副反応による物性低下も大きいため、物性の向上はほとんど認められない。また、非反応タイプの相溶化剤として、プロピレン重合体セグメントとビニル系共重合体セグメントとからなるグラフト共重合体が提案されている。そして、このグラフト共重合体を相溶化剤として配合することにより一方の共重合体セグメントを粒子径0.001〜10μmの分散相として他方のセグメントにより形成されたマトリックス中に分散させた多相構造熱可塑性樹脂(特許文献3)が提案されている。しかし、この多相構造だけでは依然として相溶性が不足し、衝撃強度と剛性の物性バランスの向上はほとんど認められない。
また、同じオレフィン系重合体であるため比較的ポリプロピレン系樹脂との相溶性に優れているAES樹脂を、AS系樹脂とポリプロピレン系樹脂との相溶性の向上を目的に混合する方法(特許文献4)が提案されているが、この方法でも依然として相溶性の改善が不十分で、物性の向上、とりわけ、剛性の向上が不充分で、耐衝撃性と剛性の物性バランスに劣る。さらに、この相溶性の不足を補うために、ポリオレフィン系樹脂を含有するエチレン−プロピレン系ゴムにビニル単量体を重合してなるグラフト共重合体を相溶化剤として配合する方法(特許文献5)が提案されているが、ポリオレフィン系樹脂とエチレン−プロピレン系ゴムの反応性の違いからエチレン−プロピレン系ゴムに優先的にビニル単量体がグラフト重合するため、この方法では、相溶性の向上及び物性の向上はほとんど認められず、また、低比重の成形品は得られない。
特開平5−9343号公報 特開平6−279545号公報 特開平1−69651号公報 特開昭57−76047号公報 特開2004−99828号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂の上記課題を解決し、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れている上に、ポリプロピレン系樹脂成分中に、ゴム含有グラフト共重合体およびポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体の分散相を形成することにより、耐衝撃性と剛性の物性バランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明によれば、下記成分(A)50〜95質量%と下記成分(B)50〜5質量%とを含有し、更に、該成分(A)と該成分(B)との合計量100質量部あたり、下記成分(C)1〜100質量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂。
成分(B):ゴム含有グラフト共重合体。
成分(C):ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
本発明の樹脂組成物は、更に、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量100質量部あたり、無機充填剤(D)1〜50質量部を含有してもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記成分(B)として、エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるエチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)が使用される。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記成分(B)として、前記成分(B−1)20〜90質量%と、共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなる共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)80〜10質量%とからなるものが使用される(但し、前記成分(B−1)と前記成分(B−2)との合計は100質量%である)。
本発明の更に他の好ましい実施形態によれば、前記成分(C)として、芳香族炭化水素を主体とする溶剤及び重合開始剤の存在下でグラフト共重合して得られたものが使用される。
かくして、本発明によれば、前記成分(A)中に、前記成分(B)及び前記成分(C)が平均粒子径0.01〜10μmで分散している、成分間の相溶性に優れ、耐衝撃性と剛性の物性バランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られる。
また、本発明の他の局面によれば、上記本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる、下記式(1)に従って求めた値Kが500以上であり、比重が0.98以下である成形体が提供される。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。)
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂に芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体等を特定の方法でグラフト重合させてなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体(C)を相溶化剤として用いたので、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れ、ポリプロピレン系樹脂(A)中に、ゴム含有グラフト共重合体(B)およびポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体(C)が分散相を形成することにより、耐衝撃性と剛性の物性バランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られる。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)ゴム含有グラフト共重合体、(C)ポリプロピレン系樹脂含有グラフト共重合体、および、必要により(D)無機充填剤とを主として含有してなる。
(A)ポリプロピレン系樹脂
本発明に用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とし、更にエチレンまたは炭素数4以上のα―オレフィンをコモノマーとして含有するランダムまたはブロック共重合体、並びにこれらの混合物等が挙げられる。プロピレンと共重合させるコモノマーの具体例としては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらコモノマー成分の含有量は、共重合体全体を100質量%として、通常0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%である。コモノマーの含有量が15質量%を超えると、得られるポリプロピレン系樹脂組成物の剛性が低下する場合がある。これらのうち、高い耐衝撃性を必要とする用途には、プロピレンとエチレンおよび/又はブテン−1とのブロック共重合体が好ましく、高い剛性を必要とする用途には、プロピレン単独重合体が好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂は、230℃ 2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分、より好ましくは2〜100g/10分で、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.2〜10、好ましくは1.5〜8、より好ましくは2〜6であり、DSCで測定した融点(Tm)は、通常150〜170℃、好ましくは155〜167℃である。
本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂は、上記のMFR、分子量分布および融点が満足されていれば、特にその製造法が限定されるものではないが、通常、チーグラー(ZN)触媒、あるいはメタロセン触媒を用いて製造される。
チーグラー(ZN)触媒としては、高活性触媒が好ましく、特に、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせた高活性触媒が好ましい。
メタロセン触媒としては、ジルコニウム、ハフニウム、チタンなどの遷移金属にシクロペンタジエニル骨格を有する有機化合物、ハロゲン原子などが配位したメタロセン錯体と、アルモキサン化合物、イオン交換性珪酸塩、有機アルミニウム化合物などを組み合わせた触媒が有効である。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液法、実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法などを採用することができる。
また、連続重合、回分式重合のいずれを用いてもよい。スラリー重合の場合には、重合溶媒としてヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素を単独で又は混合して用いることができる。
重合条件としては重合温度が通常−78〜160℃、好ましくは0〜150℃であり、そのときの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。また、重合圧力は通常0〜90kg/cm2・G、好ましくは0〜60kg/cm2・G、特に好ましくは1〜50kg/cm2・Gである。
(B)ゴム含有グラフト共重合体
本発明で用いる(B)ゴム含有グラフト(共)重合体としては、ゴム成分の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体などのビニル系単量体からなる単量体成分をグラフト重合して得られるものであれば、特に制限されるものではない。成分(B)で用いるゴム成分としては、共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、下記エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)及び/又は下記共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)を用いることが好ましい。
(B−1)エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体
エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)は、エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
エチレン−プロピレン系ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)を挙げることができ、特に、耐衝撃性の点からEPDMが好ましい。そのMw/Mnは通常1.2〜4.5、好ましくは1.5〜4.0、更に好ましくは1.8〜4.0である。また、そのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は通常5〜90、好ましくは10〜80、更に好ましくは12〜70である。エチレン/プロピレンの質量比は通常90/10〜20/80、好ましくは85/15〜40/60である。EPDMの不飽和基量はヨウ素価に換算して4〜40の範囲が好ましく、用いられる非共役ジエンの種類はアルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類であり、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。また、これらのエチレン−プロピレン系ゴムは、単独で又は混合して使用するができる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和無水物;アクリル酸、メタアクリル酸等の不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物などが挙げられる。これらは、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に支障のない範囲で1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム成分の含有量は、目的に応じて任意に選ぶことができるが、樹脂組成物の耐衝撃性と剛性の物性バランスを損なわないためには、エチレン―プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体全体を100質量%として、通常5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲である。
芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を用いる場合の質量比率は、芳香族ビニル単量体/シアン化ビニル単量体として、好ましくは30/70〜98/2、より好ましくは60/40〜95/5である。
共重合可能な他の単量体を用いる場合、その使用量は、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体の合計を100質量部として、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
本発明で使用するエチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体の製造方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合などの公知の方法を用いることができるが、特に品質の観点から溶液重合が好ましい。また、溶液重合は、回分式重合法と連続式重合法の何れによっても実施できるが、経済性の点から連続式重合法が好ましい。
溶液重合に用いることのできる溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素を主体とする不活性溶剤が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、i−プロピルベンゼンなどが挙げられるが、経済性および品質の観点からトルエンが好ましい。また、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ハロゲン化炭化水素などの極性溶剤を溶剤中の30質量%以下で用いることは差し支えないが、脂肪族炭化水素との併用は好ましくない。不活性溶剤の使用量はエチレン−プロピレン系ゴムと単量体の合計100質量部に対して通常50〜200質量部、好ましくは60〜180質量部である。重合温度は、好ましくは80〜140℃、より好ましくは85〜130℃、更に好ましくは90〜120℃の範囲である。
重合に際しては、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに熱重合で重合してもよいが、重合開始剤を用いる方が好ましい。重合開始剤としては、通常公知のものを用いることができるが、グラフト反応に効果的なジベンゾイルパーオキサイドなどの芳香族ジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−i−ブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化エステル、t−ブチルパーオキシ−i−プロピルカーボネートなどの過酸化炭酸エステル、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのケトンパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましく、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することもできる。ラジカル重合開始剤の使用量は、エチレン−プロピレン系ゴムと単量体の合計100質量部に対して通常0.1〜2.0質量部、好ましくは0.2〜1.0質量部である。また、連鎖移動剤を用いることもでき、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。さらに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよく、その添加方法としては最終製品に混合してもよいし、重合反応前後に添加してもよい。
成分(B−1)のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは成分(B−1)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは成分(B−1)1gに含まれるエチレン−プロピレン系ゴムの質量(g)である。
また、本発明の成分(B−1)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、より好ましくは0.2〜1dl/g、更に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
なお、溶液重合により、エチレン−プロピレン系ゴムの存在下、単量体成分を共重合して得られるエチレン−プロピレン系ゴム含有共重合体(B−1)には、通常、単量体がエチレン−プロピレン系ゴムにグラフトした共重合体と単量体がエチレン−プロピレン系ゴムにグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、単量体同士の単独および共重合体)が含まれる。
(B−2)共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体
共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)は、共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
共役ジエン系ゴムとしては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンランダム共重合ゴム、スチレン−イソプレンランダム共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合ゴム、イソブチレン−イソプレンランダム共重合ゴム(ブチルゴム)、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムなどが挙げられる。これらのうちポリブタジエンゴムが好ましい。
共役ジエン系ゴムのゲル含率は、通常98質量%以下であり、好ましくは40〜98質量%、より好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは60〜90質量%である。この範囲にあれば、耐衝撃性、表面外観に優れた成形品を与える樹脂組成物を得ることができる。尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。即ち、共役ジエン系ゴム1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網(質量をWグラムとする。)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をWグラムとする。)し、下記式に従って算出する。
ゲル含率(%)=[{W(g)―W(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ゴムの製造時に、分子量調整剤の種類および量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)で用いられる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、およびこれらと共重合可能な他の単量体は、上記成分(B−1)について述べたと同様の記述があてはまる。なお、当該成分(B−2)と上記成分(B−1)を併用する場合、前者に用いられる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体は、後者に用いられるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。
ゴム成分の含有量は、目的に応じて任意に選ぶことができるが、樹脂組成物の耐衝撃性を損なわないためには、共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体全体を100質量%として、通常5〜45質量%、好ましくは10〜40質量%の範囲である。
芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を用いる場合の質量比率は、上記成分(B−1)について述べたと同様の記述があてはまる。
共重合可能な他の単量体を用いる場合、その使用量も、上記成分(B−1)について述べたと同様の記述があてはまる。
上記共重合樹脂は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合およびこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。これらのうち、品質および経済性の観点から乳化重合が特に好ましい。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられる。これらは、公知のものが使用できる。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられ、連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられ、乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロシン酸塩、リン酸塩等のアニオン系界面活性剤、更に、公知のノニオン系界面活性剤も用いることができる。
尚、乳化重合において、共役ジエン系ゴムおよび単量体の添加方法は、共役ジエン系ゴムの存在下に、単量体を一括添加して重合しても、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、共役ジエン系ゴムの一部の存在下に、単量体を一括添加して重合し、重合途中で共役ジエン系ゴムの残部を添加して重合してもよいし、単量体を分割もしくは連続添加して重合し、重合途中で共役ジエン系ゴムの残部を添加して重合してもよい。
乳化重合の後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することによって、共重合樹脂の粉末を得る。この際の凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、または硫酸、塩酸、酢酸等の酸を用いることができる。これらのうち、硫酸が好ましい。
成分(B−2)のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは成分(B−2)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは成分(B−2)1gに含まれる共役ジエン系ゴムの質量(g)である。
また、本発明の成分(B−2)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、より好ましくは0.2〜1dl/g、更に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
なお、乳化重合により、共役ジエン系ゴムの存在下、単量体を共重合して得られる共役ジエン系ゴム含有共重合体(B−2)には、通常、単量体が共役ジエン系ゴムにグラフトした共重合体と単量体が共役ジエン系ゴムにグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、単量体同士の単独および共重合体)が含まれる。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(B)としてエチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)を使用すると、樹脂組成物中の各成分の分散性が向上し、物性バランスが改良され、下記K値を500以上にするのが容易になる。本発明の樹脂組成物が低温耐衝撃性を備える必要がある場合、ゴム含有グラフト共重合体(B)として、必要に応じて、共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)を使用することが好ましい。成分(B)中の成分(B−1)と成分(B−2)の質量比率は、成分(B−1)/成分(B−2)として、通常100/0〜30/70、好ましくは100/0〜40/60、より好ましくは100/0〜50/50である。また、成分(B)中の成分(B−1)のゴム成分と成分(B−2)のゴム成分との質量比率は、成分(B−1)のゴム成分/成分(B−2)のゴム成分として、通常100/0〜30/80、好ましくは100/0〜30/70、より好ましくは100/0〜40/60である。とりわけ、低温耐衝撃性及び剛性の物性バランスを向上させるためには、成分(B)が、成分(B−1)20〜90質量%と、成分(B−2)80〜10質量%とからなることが好ましい(ここにおいて、成分(B−1)と成分(B−2)との合計は100質量%である。)。
また、成分(B)は、ゴムの不存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体成分を(共)重合した(共)重合体で、希釈して使用することもできる。かかる希釈用の(共)重合体は、ゴムを用いない以外、成分(B−1)又は成分(B−2)の製造方法と同様の方法によって製造することができる。
(C)ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体
本発明で用いる(C)ポリプロピレン系樹脂含有グラフト(共)重合体は、ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合して得られる。
ポリプロピレン系樹脂としては、成分(A)のポリプロピレン系樹脂に記載のものを挙げることができ、これらのうち、プロピレン単独重合体が特に好ましい。
成分(C)で用いられるポリプロピレン系樹脂は、230℃ 2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常1〜100g/10分、好ましくは5〜50g/10分、より好ましくは5〜30g/10分で、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.2〜10、好ましくは1.5〜8、より好ましくは2〜6であり、融点(Tm)は、通常150〜170℃、好ましくは155〜167℃である。
成分(C)で用いられる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、およびこれらと共重合可能な他の単量体は、上記成分(B)について述べたと同様の記述があてはまる。なお、当該成分(C)に用いられる芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体は、上記成分(B)に用いられるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体全体を100質量%として、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは20〜50質量%の範囲である。5質量%より小さくても、70質量%より大きくても相溶性が不足する傾向を示し、好ましくない。
芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体を用いる場合の質量比率は、上記成分(B)について述べたと同様の記述があてはまる。
共重合可能な他の単量体を用いる場合、その使用量も、上記成分(B)について述べたと同様の記述があてはまる。
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体(C)の製造方法としては、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合などの公知の方法を用いることができるが、特に品質の観点から溶液重合が好ましい。また、溶液重合は、回分式重合法と連続式重合法の何れの方法によっても実施できるが、経済性の点から連続式重合法が好ましい。
溶液重合に用いることのできる溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素を主体とする不活性溶剤が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、i−プロピルベンゼンなどが挙げられるが、経済性および品質の観点からトルエンが好ましい。また、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ハロゲン化炭化水素などの極性溶剤を溶剤中の30質量%以下で用いることは差し支えないが、脂肪族炭化水素との併用は好ましくない。不活性溶剤の使用量はポリプロピレン系樹脂と単量体の合計100質量部に対して通常50〜200質量部、好ましくは60〜180質量部である。重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは90〜135℃、特に好ましくは100〜130℃の範囲である。
重合に際しては、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに熱重合で重合してもよいが、重合開始剤を用いる方が好ましい。重合開始剤としては、通常公知のものを用いることができるが、グラフト反応に効果的な有機過酸化物を用いることが好ましい。有機過酸化物としては、パーオキシエステル系化合物、ジアルキルパーオキサイド系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、パーオキシジカーボネート系化合物、パーオキシケタール系化合物などが挙げられる。パーオキシエステル系化合物としては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。ジアルキルパーオキサイド系化合物としては、例えば、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などが挙げられる。ジアシルパーオキサイド系化合物としては、例えば、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジ−(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイドなどが挙げられる。パーオキシジカーボネート系化合物としては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。パーオキシケタール系化合物としては、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用することできる。これらのうち、パーオキシエステル系化合物が好ましく、t―ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが最も好ましい。重合開始剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂と単量体の合計100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部、更に好ましくは0.1〜2質量部である。また、連鎖移動剤を用いることもでき、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。さらに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよく、その添加方法としては最終製品に混合してもよいし、重合反応前後に添加してもよい。
成分(C)のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは(C)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(C)成分1gに含まれるポリプロピレン系樹脂の質量(g)である。
また、本発明に関わる(C)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.2〜0.8dl/gである。
なお、溶液重合により、ポリプロピレン系樹脂の存在下、単量体を共重合して得られるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体(C)には、通常、単量体がポリプロピレン系樹脂にグラフトした共重合体と単量体がポリプロピレン系樹脂にグラフトしていない未グラフト成分(すなわち、単量体同士の単独および共重合体)が含まれる。
(D)無機充填材
本発明で用いることができる無機充填材(D)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタンホワイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、カーボン繊維、及び、炭化ケイ素ウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等のウィスカーなどが挙げられ、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、タルク、酸化亜鉛ウィスカー、及び塩基性硫酸マグネシウムウィスカーが好ましい。無機充填材(D)を配合することにより、本発明の樹脂組成物の剛性が向上し、下記K値を向上させるのが容易になる場合がある。
(E)その他の配合剤
また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物には、上記の成分(A)から成分(D)の他に、必要に応じて、酸化防止剤、加工安定剤、紫外吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、結晶化核剤、滑剤、可塑剤、金属不活性剤、着色顔料、各種無機充填剤、ガラス繊維、強化剤、難燃剤、離型剤、発泡剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。また、必要に応じ他の樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドなどを本発明の目的を損なわない範囲で配合することもできる。
配合比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成分(A)と成分(B)の質量比率は、成分(A)/成分(B)として、95/5〜50/50、好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは85/15〜70/30である。95/5より大きいと耐衝撃性並びに剛性の向上が期待できず、50/50より小さいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
上記成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対する成分(C)の質量配合比は、1〜100質量部、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜30質量部である。1質量部より小さいと耐衝撃性並びに剛性の向上が期待できず、100質量部より大きいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
また、本発明の樹脂組成物において、成分(B)中のゴム成分の量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、更に好ましくは2〜40質量部、特に好ましくは3〜30質量部である。ゴム成分の量が少くな過ぎると、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向があり、多すぎると成形性が低下し比重が高くなる傾向がある。
本発明の樹脂組成物が無機充填剤(D)を含有する場合、その質量配合量は、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、通常1〜50質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜30質量部である。50質量部より大きいと比重が大きくなり軽量化に好ましくない。
混合および混練
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混練機を用いて適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。また、無機充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200〜260℃、好ましくは220〜240℃である。
かくして、各成分を溶融混練して得られる本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)が連続相を形成し、連続相を形成する成分(A)中に成分(B)および成分(C)から構成される成分が分散相を形成する。分散相の平均粒子径は0.01〜10.0μmであることが好ましい。この平均粒子径は電子顕微鏡により公知の方法により測定することができる。分散相の平均粒子径の調整は、溶融混練温度、せん断速度等を調整することによって行うことができ、混練機として押出機などの連続混練機を使用する場合は、樹脂組成物の供給量、回転数等によっても調整できる。
成形
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は熱可塑性樹脂組成物であって、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得ることができる。
物性
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)及び(B)の相溶性に優れるため、成形体にて測定した23℃におけるIZOD衝撃強度(IS)と曲げ弾性率(FM)を用いて下記式(1)で求められたK値を500以上にすることができる。成分(D)を配合する場合、K値を550以上にすることが容易になる。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISは常温におけるIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、ASTM D256に準拠して、厚み1/4インチ、ノッチつきの試験片を用いて測定した。また、式(1)中、FMは常温における曲げ弾性率(単位:MPa)であり、ASTM D790に準拠して、厚み1/4インチの試験片を用いて、曲げスパン100mm、曲げ速度30mm/分の条件で測定した。)
一般に、ポリプロピレン系樹脂のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率はトレードオフの関係にあることが知られている。そこで、本発明者が種々のポリプロピレン系樹脂のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率をグラフの縦軸と横軸にそれぞれプロットして検討した結果、式(1)において0.225の係数が求められ、さらに、値Kは、耐衝撃性と剛性の物性バランスを示す指標として用いることができることが判明した。
本発明によれば、成形品が耐衝撃性と曲げ弾性率の両者に優れていることは、式(1)で得られる値Kで代表させることができる。
本発明では、式(1)において、IZOD衝撃強度が30J/m以上であることが好ましく、35J/m以上であることがより好ましく、曲げ弾性率が1600MPa以上であることが好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、比重0.98以下の低比重成形体を提供することができる。
用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記のような優れた性質を有するので、上記成形法によって得られる各種成形品は、その優れた性質を利用して、自動車分野の外板部品、外装部品、内装部品等の各種部品、家電製品の各種部品及び各種ハウジング、電気・電子分野の各種部品及び各種ハウジング、雑貨などに使用することができる。
以下、例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例中、部および%は、特に断らない限り質量基準である。
(1)評価方法
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。また、下記の評価方法は、本明細書における各種物性値の測定方法を定義するものである。
(1−1)比重
ASTM D792に準拠して23℃にて測定した。
(1−2)流動性
流動性はMFRをASTM D1238に準拠して230℃、2.16kgの条件で測定して、評価した。
(1−3)耐衝撃性
耐衝撃性は、アイゾット(IZOD)衝撃強度をASTM D256に準拠して、厚み1/4インチ、ノッチつきの試験片を用いて測定して、評価した。
(1−4)剛性
剛性は、曲げ弾性率をASTM D790に準拠して、厚み1/4インチの試験片を用いて、曲げスパン100mm、曲げ速度30mm/分の条件で測定して、評価した。
(1−5)外観
外観は、240.0mm×80.0mm×3.0mmの平板状の試験片を用いて、目視にて以下の基準にて評価した。なお、試験片は、射出成形により作成した。
○:ヒケ、反り、フローマークなどが全く認められず、均一な外観を有している。
△:部分的にヒケ、反り、フローマークなどが認められ、部分的に不均一な外観を有している。
×:全体的にヒケ、反り、フローマークなどが認められ、不均一な外観を有している。
(1−6)成形収縮率
成形収縮率は、240.0mm×80.0mm×3.0mmの平板状の試験片を用いて、測定した。なお、試験片は、射出成形により作成した。
(2)各種成分
(2−1)成分(A)(ポリプロピレン系樹脂)
[製造例A−1](プロピレン単独重合体の製造)
(i)固体触媒成分(a)の製造
窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後2時間反応した。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30重量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(a)390gを得た。
得られた固体触媒成分(a)中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを20℃を越えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して予備重合した。その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分(a)が得られた。
(ii)MFR4.5のホモポリマーの製造
内容積230リットルの流動床式反応器を用いて重合を行った。重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.004となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、結晶性プロピレン重合体を得た。得られた結晶性プロピレン重合体を成分A−1とした。
[製造例A−2](プロピレン系ブロック共重合体の製造)
(前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.005となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記製造例A−1記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
(後段重合工程:プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の製造)
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力1.5MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.50となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0045となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.2倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。得られたプロピレン系ブロック共重合体を成分A−2とした。
[製造例A−3](プロピレン系ブロック共重合体の製造)
(前段重合工程:結晶性プロピレン重合体成分の製造)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cm(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.040となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(a)として、上記製造例A−1記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体成分を製造した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した。
(後段重合工程:プロピレン・エチレンランダム共重合体成分の製造)
続いて、第2反応器内が、重合温度80℃、圧力1.5MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.50となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0045となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.2倍モルになるように供給し、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分を製造した。第2反応器で重合が終了したパウダー(結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン・エチレンランダム共重合体成分とからなるプロピレン系ブロック共重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン系ブロック共重合体を得た。得られたプロピレン系ブロック共重合体を成分A−3とした。
なお、上記製造例A−1〜A−3で得られた成分A−1〜A−3の諸物性を表1に示した。
Figure 0004845608
(2−2)成分(B−1)
[製造例B−1]
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)20であるエチレン−プロピレン系共重合体)32部、スチレン44部、アクリロニトリル24部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応を開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って終了した。
内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、40mmφベント付き押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を770mmHgに調節して揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたゴム含有グラフト共重合体のグラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
(2−3)成分(B−2)
[製造例B−2]
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達して時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部およびブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合を継続させた後、2,2′―メチレン−ビス(4−エチル−6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してゴム含有グラフト共重合体を得た。このグラフト共重合体のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
なお、上記製造例B−1及びB−2で得られた共重合体をそれぞれ成分B−1及びB−2という。
(2−4)成分(B−3)
成分B−3:AS樹脂
溶液重合により、アクリロニトリル含量24.3質量%、極限粘度〔η〕0.6のスチレン―アクリロニトリル共重合体樹脂(AS樹脂)を製造した。
(2−5)成分(B−4)
成分B−4:
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、プロピレン単独重合体13.4部、エチレン―プロピレン系ゴム21.3部、トルエン140部を仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpm攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン45.7部、アクリロニトリル19.6部、クメンハイドロパーオキサイド1.0部を添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行って終了した。内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去した。得られた共重合体のグラフト率は25%で、ηは0.32dl/gであった。
Figure 0004845608
(2−6)成分(C)
[製造例C−1]
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、プロピレン単独重合体40部、トルエン140部を仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpmで攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン42部、アクリロニトリル18部、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.5部を添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行った。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去した。得られた共重合体のグラフト率は60%で、極限粘度〔η〕は0.23dl/gであった。
[製造例C−2]
表3に示す処方を用いた以外、製造例C−1と同様の方法にて製造した。分析結果も表3に示す。
なお、上記製造例C−1及びC−2で得られた共重合体をそれぞれ成分C−1及びC−2という。
Figure 0004845608
(2−7)成分(D)
成分D−1: 日本タルク製のタルク(商品名:ミクロエースL−1)
成分D−2: 宇部マテリアル製の塩基性硫酸マグネシウム無機繊維であるウィスカ(商品名:モスハイジ)
(2−8)その他の成分
酸化防止剤1: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のフェノール系酸化防止剤である「イルガノックス1010(商品名)」
酸化防止剤2: 旭電化製のリン系酸化防止剤である「アデカスタブPEP−36(商品名)」
実施例1〜15および比較例1〜9
表4〜5に記載の配合割合で上記成分(A)〜(D)とその他の成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(バレル設定温度220℃)で混練し、ペレット化した。得られたペレットを射出成形機(東芝機械社製IS1006N、設定温度220℃、金型温度50℃)で評価用の各種試験片を成形した。そして、得られた試験片を用いて、前記の方法で評価した。以上の評価結果を表4〜5に示した。
Figure 0004845608
Figure 0004845608
表4〜5に示された結果から、以下のことが明らかである。
表4から明らかなように、本発明の実施例1〜15の樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性、剛性、外観、成形収縮率及び耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、しかも、低比重であった。
表5から明らかなように、比較例1〜3は成分(B)および成分(C)を含まない例であり、耐衝撃性、剛性及びこれらのバランスの少なくとも1つにおいて劣る。比較例4は成分(C)を含まない例であり、剛性及び剛性と耐衝撃性とのバランスにおいて劣る。比較例5は特開2004−99828号公報に開示の例であるが、成分(C)に対応するものを実質的に含まないので、比較例4と同様、剛性及び剛性と耐衝撃性とのバランスにおいて劣る。比較例6は、成分(A)の含有量が少なすぎ、成分(B)の含有量が多すぎる例であり、耐衝撃性が劣る。
比較例7は成分(B)を含まない例であり、耐衝撃性が劣る。比較例8は成分(D)を含む系における例であるが、成分(B)及び(C)を含まないため、耐衝撃性及び外観が劣る。比較例9は成分(D)を含む系における例であるが、成分(C)を含まないため、剛性が劣る。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れ、耐衝撃性と剛性の物性バランスにも優れているため、自動車、家電製品、電気・電子製品、雑貨等の各種分野で用いられる種々の成形品の成形材料として有用である。

Claims (6)

  1. 下記成分(A)50〜95質量%と下記成分(B)50〜5質量%とを含有し、更に、該成分(A)と該成分(B)との合計量100質量部あたり、下記成分(C)1〜100質量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分(A):ポリプロピレン系樹脂。
    成分(B):下記エチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体(B−1)及び/又は下記共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体(B−2)からなるゴム含有グラフト共重合体。
    成分(C):ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
    成分(B−1):エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるエチレン−プロピレン系ゴム含有グラフト共重合体。
    成分(B−2):共役ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなる共役ジエン系ゴム含有グラフト共重合体。
  2. 更に、前記成分(A)と前記成分(B)と前記成分(C)との合計量100質量部あたり、無機充填剤(D)1〜50質量部を含有する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記成分(B)が、前記成分(B−1)20〜90質量%と、前記成分(B−2)80〜10質量%とからなる請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記成分(C)が、芳香族炭化水素を主体とする溶剤及び重合開始剤の存在下でグラフト共重合して得られたものである請求項1乃至の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記成分(A)中に、前記成分(B)及び前記成分(C)が平均粒子径0.01〜10μmで分散している請求項1乃至の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる、下記式(1)に従って求めた値Kが500以上であり、比重が0.98以下である成形体。
    K = IS +(0.225 × FM) …(1)
    (式(1)中、ISは常温におけるIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは常温における曲げ弾性率(単位:MPa)である。)
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