JP2008010530A - 積層セラミックコンデンサおよびその製法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサおよびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶粒子の粒子径を小さくしても高誘電率かつ高絶縁性が得られる誘電体層を具備する積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供する。
【解決手段】チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素(Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種)が酸化物として固溶した結晶粒子の粒界からの深さ20nmにおける前記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素(Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種)の酸化物の固溶量が0.05〜0.15原子%である第1結晶粒子5Aと、粒界からの深さ20nmにおける前記酸化物の固溶量が0.2〜0.4原子%である第2結晶粒子5Bとから構成される誘電体磁器により、高い絶縁性と比誘電率を満足させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサおよびその製法に関し、特に、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子によって形成される誘電体層と内部電極層と備えた小型高容量の積層セラミックコンデンサとその製法に関する。
近年、積層セラミックコンデンサは小型化および高容量化の要求に対して、誘電体層の薄層化が行われており、誘電体層を構成するチタン酸バリウムなどの結晶粒子は微粒化が図られている。
また、内部電極層の卑金属化により、還元雰囲気での焼成が必要なことから、誘電体層となる誘電体磁器の主成分であるチタン酸バリウムは、希土類元素、マグネシウムおよびマンガンなどの添加物が加えられ、耐還元性を高めたものとなっている。
上記のような添加物を含むチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子は、内部が強誘電性を示すドメイン分域を残した正方晶の割合の多いコア部となり、一方、コア部の周囲は添加物が固溶することにより結晶構造が正方晶から立方晶へと変化したシェル部となり、コアシェル構造が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
そしてこのようなコアシェル構造を有する微粒のチタン酸バリウムを主成分とする誘電体磁器を薄層化した誘電体層とし、小型高容量の積層セラミックコンデンサが作られている。
特開平6−5460号公報
しかしながら、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末から得られた結晶粒子にはサイズ効果があることから結晶粒子径が小さくなると比誘電率が低下するという問題があり、一方、結晶粒子径が大きくなると所定厚みの誘電体層中に形成される粒界数が減少することから絶縁性が低下する。このため薄層化した誘電体層において高誘電率かつ高絶縁性を確保することが困難になってきている。
従って、本発明は、結晶粒子径を小さくしても高誘電率かつ高絶縁性の得られる誘電体層を具備する積層セラミックコンデンサおよびその製法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素が酸化物として固溶した複数の結晶粒子により形成された誘電体層と内部電極層とが交互に積層されている積層セラミックコンデンサであって、前記結晶粒子は粒界からの深さ20nmにおける前記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素の酸化物の固溶量が0.05〜0.15原子%である第1結晶粒子と、粒界からの深さ20nmにおける前記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素の酸化物の固溶量が0.2〜0.4原子%である第2結晶粒子とから構成されることを特徴とするものであり、上記積層セラミックコンデンサでは、前記第1結晶粒子の平均粒径が0.271〜0.316μmであり、かつ第2結晶粒子の平均粒径が0.33〜0.39μmの範囲であることが望ましい。
また、本発明の積層セラミックコンデンサの製法は、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末を含むグリーンシートと内部電極パターンとが交互に積層されたコンデンサ成形体を焼成する積層セラミックコンデンサの製法において、前記誘電体粉末として、Ba/Ti比が1より大きいチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末と、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末と、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素を金属元素として含む原料粉末との混合粉末を用いることを特徴とするものであり、上記積層セラミックコンデンサの製法では、前記第1の誘電体粉末のBa/Ti比が1.005〜1.02であり、前記第2の誘電体粉末のBa/Ti比が0.98〜1であることが望ましい。ここで希土類元素とは、Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種である。
本発明の積層セラミックコンデンサは、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素の酸化物の固溶量が上記した範囲で異なる結晶粒子が混在するように誘電体層を形成したものである。上記酸化物の固溶量の多い結晶粒子は粒成長により高い比誘電率を得ることができ、一方、同酸化物の固溶量の少ない結晶粒子はサイズ効果のために結晶粒子径は小さいが高い絶縁性を得ることができる。
この場合、上記酸化物の固溶量の多い結晶粒子の粒子間に同酸化物の固溶量の少ない結晶粒子を混在させることにより、所定厚みの誘電体層中において高誘電率かつ高絶縁性を確保できる。
また、本発明の積層セラミックコンデンサの製法によれば、Ba/Ti比を1より大きくしたチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末では反応性が悪く、上記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素の酸化物の固溶が抑制される。
一方、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末では、チタン酸バリウムと上記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素であるY、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種の酸化物との反応性が高く固溶が著しい。
上記した特徴を有するBa/Ti比の異なるチタン酸バリウムを用いて、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末とBa/Ti比が1より大きいチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末とを調製し、これら第1および第2の誘電体粉末を混在させた状態で焼成することにより、Ba/Ti比を1より大きくしたチタン酸バリウムの結晶粒子によりBa/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の異常な粒成長を抑制でき、このため高い絶縁抵抗を得ることができる。
この場合、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第1の結晶粒子はBa/Ti比が1より大きい第の結晶粒子に比べて粒成長するため高い比誘電率を得ることができる。
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサはコンデンサ本体1の端部に外部電極2が設けられている。この外部電極2は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。コンデンサ本体1は誘電体層3と内部電極層4とが交互に積層され構成されている。この誘電体層3の厚みは1.5μm以下、特に1.2μm以下であることが望ましい。誘電体層3の厚みが1.5μm以下であると誘電体層3の薄層化により積層セラミックコンデンサの静電容量が高められるという利点がある。なお、誘電体層3の厚みは0.5μm以上であることが望ましい。誘電体層5の厚みが0.5μm以上であると、誘電体層5において高い絶縁性の得られる所望の厚みを確保できるという利点がある。
内部電極層4は高積層化しても製造コストを抑制できるという点でNiやCuなどの卑金属が望ましく、特に、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層3との同時焼成を図るという点でNiがより望ましい。この内部電極層4の厚みは平均で1μm以下が好ましい。
図2は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の微構造を示す模式図である。誘電体層3を形成する誘電体磁器は、元素として、少なくともチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とする結晶粒子5と粒界6とから構成されており、また、結晶粒子5は第1結晶粒子5Aと第2結晶粒子5Bによって構成されている。結晶粒子5の平均粒径は0.5μm以下、特に0.4μm以下であることが望ましい。結晶粒子5の平均粒径が0.5μm以下であると積層セラミックコンデンサにおいて誘電体層3を薄層化したときに高い絶縁性を得ることができるという利点がある。なお、本発明の誘電体層3を構成する結晶粒子5の平均粒径は0.1μm以上であることが望ましい。結晶粒子5の平均粒径が0.1μm以上であると結晶粒子5の結晶性を高められることに起因して高誘電率化を図ることができるという利点がある。
図3は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるコア、シェル比の異なる結晶粒子の模式図である。また、図4は、本発明に係る第1結晶粒子および第2結晶粒子における添加物の粒界から粒内への固溶量の変化を示した模式図である。図4において示した破線と曲線5A、5Bの交わる点がシェル部5bの厚みである。
つまり、本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層3を構成する結晶粒子5は、その内部に正方晶を示すコア部5aと、コア部5aの周囲に立方晶を示すシェル部5bとから構成される。また、このシェル部5bには添加物であるマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)および希土類元素(Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種)の酸化物が固溶している。
本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5は上記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素(Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種)の酸化物の固溶量の異なる第1結晶粒子5Aおよび第2結晶粒子5Bの2種の結晶粒子から構成されていることを特徴とするものであり、図4に示すようにこれら第1結晶粒子5Aおよび第2結晶粒子5Bは添加物であるマグネシウム、マンガンおよび希土類元素(Y、Dy、Ho、TbおよびYbから選ばれる少なくとも1種)の酸化物の固溶量が結晶粒子5の粒界から内部にかけてが変化しているものである。
そして、本発明では上記酸化物の固溶量が0.05〜0.15原子%である第1の結晶粒子5Aと上記酸化物の固溶量が0.2〜0.4原子%である第2の結晶粒子5Bとから構成されることが重要であり、特に、第1結晶粒子5Aにおける上記酸化物の固溶量が0.1〜0.15原子%の範囲であり、かつ第2の結晶粒子5Bにおける上記酸化物の固溶量が0.22〜0.38原子%の範囲であることがさらに望ましい。また、第1結晶粒子5Aの平均粒径が0.271〜0.316μmであり、かつ第2結晶粒子5Bの平均粒径が0.331〜0.39μmの範囲であることが望ましい。
第1の結晶粒子5Aおよび第2の結晶粒子5Bが上記固溶量および平均粒径の範囲を満足する場合には比誘電率を3610以上、かつ絶縁抵抗を1×10Ω以上に高められるという利点がある。
これに対して、誘電体層3を構成する結晶粒子5が上記本発明のように上記酸化物の固溶量が2つの範囲に分かれた固溶量を有してなく、ほぼ1つの固溶量を示す結晶粒子5からしか構成されない場合、例えば、絶縁抵抗が1×10Ω以上であっても比誘電率が3000以下であるか、または、比誘電率が3960以上であっても絶縁抵抗が1×10Ω以下となる。
本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層3を構成する結晶粒子5はマグネシウム、マンガン、および希土類元素などの成分によってコアシェル構造を構成するものであり、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子5の耐還元性を高めることができるという利点がある。なお、コアシェル構造をとる結晶粒子5では、上記マグネシウム、マンガン、および希土類元素などの成分は結晶粒子5の表面側のシェル部5b側に主として偏在し、コア部5aはシェル部5bよりも上記成分の含有量が少ないものであることが望ましい。コア部5aにマグネシウム、マンガン、および希土類元素などの成分の含有量が少ないとコア部11aを構成するペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウムの正方晶の割合を高められるという利点がある。この場合、結晶粒子5の正方晶性を示す指標として格子定数比c/aが1.005以上であることが望ましい。
また、各種添加物は主成分であるチタン酸バリウム100モル部に対してマグネシウムがMgO換算で0.5〜1.2モル部、マンガンがMnO換算で0.04〜0.4モル部および希土類元素がRE換算で0.2〜3モル部の範囲であることが望ましい。本発明における誘電体層3を構成する誘電体磁器の組成が上記の範囲であると、上述のように耐還元性を有し高誘電率かつ高絶縁性を達成できるという利点がある。ここで、本発明における希土類元素としては、Tb、Dy、Ho、YbおよびYのうち少なくとも1種が好ましく、特に誘電体磁器の比誘電率を高めるという点でYがより好ましい。
なお、誘電体層3中のコア部5aおよびシェル部5bの体積比はEDS(エネルギー分散分析)装置を付設した透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。
また、上述したように本発明の誘電体層3は、BaTiO100モル部に対して、SiがSiO換算で0.6モル部以上2モル部以下が好ましい。Siの含有量がSiO換算で0.6モル部以上であると誘電体磁器の焼結助剤としての効果が高まり焼成後の密度を高められるという利点がある。Siの含有量がSiO換算で2モル部以下であると結晶粒子5中への固溶量が減りチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子5の正方晶の割合を維持でき、これにより誘電体層3の比誘電率を高められるという利点がある。
次に、本発明の積層セラミックコンデンサの製法について説明する。本発明の積層セラミックコンデンサの製法では、先ず、素原料としてBaTiO粉末において、Ba/Ti比が1より大きいチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末と、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末とを混合して用いる。Ba/Ti比は上述のコア部5aおよびシェル部5bの体積比を満足するため、Ba/Ti=1.005〜1.02、0.98〜1が望ましい。Ba/Ti比が1より大きいチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末は粒成長しにくく添加物が固溶しにくい。逆に、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末は粒成長しやすく添加物が固溶しやすい。そのため、同時焼成において2種類のコア部/シェル部の体積比を有する結晶粒子を形成することが可能となる。Ba/Ti比が1以下のものはマグネシウム、マンガンおよび希土類元素などの添加物の固溶とともに粒成長もしやすいため、粒成長抑制の点から混合比はBa/Ti比についてBa比の高い粉末とBa/Ti比についてBa比の少ない粉末の量比はモル比で6〜8:2〜4が望ましい。
用いるBaTiO粉末の平均粒径はBa比の高い粉末およびBa比の少ない粉末はいずれも0.05μm以上0.2μm以下が好ましい。BaTiO粉末の平均粒径が0.05μm以上であると結晶性の高いBaTiO粉末を用いることとなり焼成後に得られる誘電体磁器の比誘電率を高められるという利点がある。一方、BaTiO粉末の平均粒径が0.2μm以下であると、誘電体層の薄層化において粒界を増やすことができ高絶縁性にできるという利点がある。
次に、上述したチタン酸バリウムを主成分とする粉末に焼結助剤等の添加剤を加えて、ボールミルを用いて混合し、この混合粉末にポリビニルブチラールなどの有機バインダおよびトルエンなどの溶剤を添加してスラリを調製する。
次に、このスラリをドクターブレードによりシート状に成形しグリーンシートを形成する。グリーンシートの厚みは0.4μm以上3μm以下が好ましい。グリーンシートの厚みが0.4μm以上であるとピンホールなどの欠陥を低減できることから絶縁性に優れた誘電体層を形成できるという利点がある。グリーンシートの厚みが3μm以下であると誘電体層3の薄層化により高容量化できるという利点がある。
次に、このグリーンシートの表面に導体ペーストを印刷し、次いで導体ペーストが内部電極パターンとして印刷されたグリーンシートを複数積層して母体の積層体を作製する。内部電極パターンの厚みはグリーンシート上における段差を解消するとともに焼結後においても過度の収縮による有効面積の減少を抑制するという理由から0.3μm以上1.5μm以上が好ましい。次に、この母体の積層体を格子状に切断し、端面に内部電極パターンが露出したコンデンサ本体成形体を作製する。次に、コンデンサ本体成形体を焼成してコンデンサ本体を形成し、この端面に外部電極ペーストを塗布し焼き付けした後に本発明の積層セラミックコンデンサが得られる。
本発明の積層セラミックコンデンサを以下のように作製した。まず、予め合成した平均粒径0.2μmのBaTiO粉末を100モル部、添加物粉末としてMgOを1.0モル部、MnOを炭酸マンガンを用いて0.3モル部、Yを1.0モル部をそれぞれ秤量した。
試料1〜5については、表1に示すように、従来の工法どおりにBa/Ti比が1種であるBaTiO粉末に前記添加物とSiO粉末とを十分に混合し、有機バインダを加えてスラリを調整した。SiO粉末量はチタン酸バリウム粉末に添加物粉末を加えた混合粉末中のチタン酸バリウム粉末100モル部に対して1モル部とした。希土類元素を2種用いる場合は添加量を0.5モル部づつ加えた(試料No.18)。
一方、本発明の試料6〜18については、表2に示すようにBa/Ti比が大きい原料と小さい原料を7:3の割合で混合し、さらに前記添加物とSiO粉末とを十分に混合し、有機バインダを加えてスラリを調整した。この場合もSiO粉末量はチタン酸バリウム粉末に添加物粉末を加えた混合粉末中のチタン酸バリウム粉末100モル部に対して1モル部とした。
次に、このスラリを用いてドクターブレードにより厚み1.5μmのグリーンシートを作製した。次に、このグリーンシート上に、Ni金属を含む導体ペーストをスクリーン印刷して内部電極パターンを形成した。次に、内部電極パターンを形成したグリーンシートを330枚積層し、その上下面に、内部電極パターンを形成していない誘電体グリーンシートをそれぞれ20枚積層しプレス機を用いて一体化し母体の積層体を得た。その後、母体の積層体を格子状に切断してコンデンサ本体成形体を作製した。
次に、このコンデンサ本体成形体を大気中500℃にて脱バインダ処理を行い、1250℃で2時間還元焼成し、大気雰囲気中800℃で4時間再酸化処理をし、コンデンサ本体を作製した。コンデンサ本体1の寸法は1.6mm×0.8mm×0.8mmであり。誘電体層の厚みは1.2μmであった。静電容量に寄与する面積は1.09mmであった。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、その両端部に外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い、外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiおよびSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
作製した積層セラミックコンデンサであるこれらの試料をLCRメーター4284Aを用いて周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vにて静電容量を測定し、内部電極の面積と誘電体厚みから比誘電率を算出した。試料数は各10個とした。また、絶縁抵抗(IR)についてはDC10V、室温下で測定した。
結晶粒子の平均粒径は得られた積層セラミックコンデンサの破断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて内部組織の写真を撮り、次いで、その写真に映し出されている結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子を円と見立ててその直径を求め平均化して求めた。
粒界から20nmでの添加物固溶量はまず、元素分析機器(EDS)を付設した透過電子顕微鏡装置(TEM)を用いた。試料は積層セラミックコンデンサを断面カットしたものを用い、その試料は薄片化したものをFIB加工して透過電子顕微鏡用試料とし、誘電体層を構成する結晶粒子全体が明確に見えるものを選択した。そのような試料についてチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子50個について粒界から中心部にかけて約20nm位置でEDS装置により元素分析を行った。EDSは誘電体層に含まれるBa、Ti、マグネシウム、マンガン、希土類元素の成分を特定してその全量に対してマグネシウム、マンガン、希土類元素の合計量を固溶量とした。
Figure 2008010530
Figure 2008010530
表1、2の結果から明らかなように、従来の工法どおりにBa/Ti比が1種であるBaTiO粉末を用いた場合の例として、Ba/Ti比を1より大きいものだけ用いた試料No.1〜3では、粒界から20nmの位置における固溶量が0.06〜0.16原子%と少なく平均粒径が0.311〜0.371μmとなり、比誘電率が2330〜2914、絶縁抵抗が1×10〜3×10Ωであった。
一方、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムだけ用いた試料No.4、5では、粒界から20nmの位置における固溶量が0.32〜0.36原子%と多くなり、平均粒径が0.426〜1.23μmと大きくなり、比誘電率が3960〜5630であったが、絶縁抵抗が1×10以下であった。
これに対して、Ba/Ti比を1より大きいチタン酸バリウムとBa/Ti比が1以下のチタン酸バリウムとを用いた試料No.7〜18では、粒界から20nmの位置における固溶量が0.06〜0.17原子%の範囲であり、平均粒径が0.21〜0.32μmの第1結晶粒子と、粒界から20nmの位置における固溶量が0.13〜0.41原子%の範囲であり、平均粒径が0.22〜0.4μmの範囲の第2結晶粒子とが混在するものとなり、比誘電率が2930以上かつ絶縁抵抗が8×10Ω以上であり、高誘電率かつ高絶縁性が得られた。
特に、第1結晶粒子における上記酸化物の固溶量が0.1〜0.15原子%の範囲であるとともに平均粒径が0.271〜0.316μmであり、かつ第2結晶粒子における上記酸化物の固溶量が0.24〜0.38原子%の範囲であるとともに平均粒径が0.33〜0.39μmの範囲を満足する場合には比誘電率を3610以上、かつ絶縁抵抗が1×10Ω以上であった。
本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の微構造を示す模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層におけるコア、シェル比の異なる結晶粒子内に固溶した添加物量の模式図である。 本発明に係る結晶粒子における添加物の粒界から粒内への固溶量の変化を示した模式図である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
3 誘電体層
5 結晶粒子
5a コア部
5b シェル部
5A 第1結晶粒子
5B 第2結晶粒子

Claims (4)

  1. チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素が酸化物として固溶した複数の結晶粒子により形成された誘電体層と内部電極層とが交互に積層されている積層セラミックコンデンサであって、前記結晶粒子は粒界からの深さ20nmにおける前記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素の酸化物の固溶量が0.05〜0.15原子%である第1結晶粒子と、粒界からの深さ20nmにおける前記マグネシウム、マンガンおよび希土類元素酸化物の固溶量が0.2〜0.4原子%である第2結晶粒子とから構成されることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記第1結晶粒子の平均粒径が0.271〜0.316μmであり、かつ第2結晶粒子の平均粒径が0.33〜0.39μmの範囲である請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. チタン酸バリウムを主成分とする誘電体粉末を含むグリーンシートと内部電極パターンとが交互に積層されたコンデンサ成形体を焼成する積層セラミックコンデンサの製法において、前記誘電体粉末として、Ba/Ti比が1より大きいチタン酸バリウムを主成分とする第1の誘電体粉末と、Ba/Ti比が1以下のチタン酸バリウムを主成分とする第2の誘電体粉末と、マグネシウム、マンガンおよび希土類元素を金属元素として含む原料粉末との混合粉末を用いることを特徴とする積層セラミックコンデンサの製法。
  4. 前記第1の誘電体粉末のBa/Ti比が1.005〜1.02であり、前記第2の誘電体粉末のBa/Ti比が0.98〜1である請求項3に記載の積層セラミックコンデンサの製法。
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