JP4771818B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサに関し、特に、微粒の結晶粒子によって形成される誘電体磁器を誘電体層とする小型高容量の積層セラミックコンデンサに関する。
近年、積層セラミックコンデンサの小型化および高容量化は目覚しく、それを構成する誘電体層には耐還元性を高めたチタン酸バリウム系の誘電体材料が好適に用いられており、このような誘電体材料として、例えば、下記の特許文献1、2、3および4に開示されるものが知られている。
例えば、特許文献1、2では、平均粒径が0.4μm程度で、結晶粒子の表面付近に希土類元素を高濃度で存在させたものが開示されている。
また特許文献3では、平均粒径が0.3〜0.5μm程度で、結晶粒子の表面付近に酸化アルミニウムを高濃度で存在させ、結晶粒子中には粒界の1/5以下の濃度とするものが開示されている。
また下記に示す特許文献4では、誘電体層を構成する主成分であるチタン酸バリウム系の誘電体材料だけではなく、その主成分に対して焼結助剤として添加されるガラス成分についても粒径を制御したものを用いることが開示されている。
そして、上記特許文献に記載された積層セラミックコンデンサの静電容量から求められる誘電体層の比誘電率は特許文献1に記載された誘電体磁器では最高で2350であり、特許文献2では3100、また特許文献3では2520であり、特許文献4では3540を示すものとなっている。
尚、これら上記特許文献1〜4に開示された積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の厚みは2〜4μmであり、また、その誘電体層を構成するチタン酸バリウム系の結晶粒子の平均粒径は0.3〜0.5μmである。
特開2005−277393号公報 特開2005−217000号公報 特開2005−187218号公報 特開2003−309036号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に開示されたチタン酸バリウム系の誘電体材料を用いても、これらの誘電体材料について、例えば、平均粒径が0.2μm以下になるように微粒化を行った場合には添加したガラス粉末の成分であるSiが結晶粒子中に固溶して比誘電率が大きく低下するという問題があった。
従って本発明は、高い比誘電率を示す誘電体層により構成される高容量の積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を備えてなる積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、元素としてBaおよびTiを主成分とし、Siを含有する結晶粒子を含み、さらにMg、Mnおよび希土類元素を含有する誘電体磁器からなり、前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量が1.5原子%以上であるとともに、前記結晶粒子の表面から20nmの深さにおける前記Siの含有量が1.2原子%以下であることを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記結晶粒子の表面から20nmの深さにおける前記Siの含有量が0.8原子%以下であること、前記結晶粒子の表面から40nmの深さにおける前記Siの含有量が0.5原子%以下であること、前記結晶粒子の平均粒径が0.18μm以下であること、前記誘電体層の厚みが1.5μm以下であることが望ましい。
本発明によれば、誘電体層に含まれる添加剤のうちSi成分を結晶粒子の表面付近に偏在させ粒子内への固溶を抑制することにより誘電体磁器の高誘電率化を図ることができ、このような誘電体磁器を積層セラミックコンデンサの誘電体層として用いることにより結晶粒子が微粒であっても高容量の積層セラミックコンデンサを形成できる。
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサはコンデンサ本体1の端部に外部電極3が設けられている。なお、外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。コンデンサ本体1は誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。この誘電体層5の厚みは1.5μm以下、特に1.2μm以下であることが望ましい。誘電体層5の厚みが1.5μm以下であると誘電体層5の薄層化により積層セラミックコンデンサの静電容量が高められるという利点がある。なお、誘電体層5の最低厚みは0.5μm以上であることが望ましい。誘電体層5の最低厚みは0.5μm以上であると、誘電体層5において高い絶縁性の得られる所望の厚みを確保できるという利点がある。
図2は、本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の微構造を示す模式図である。その誘電体層5を形成する誘電体磁器は、元素として、少なくともBa、TiおよびSiを含有する結晶粒子11と粒界13とからなることを特徴とするものであり、結晶粒子11の平均粒径は0.18μm以下、特に0.15μm以下であることが望ましい。結晶粒子11の平均粒径が0.18μm以下であると積層セラミックコンデンサにおいて誘電体層5を薄層化したときに高い絶縁性を得ることができるという利点がある。なお、本発明の誘電体層5を構成する結晶粒子11の平均粒径は最低0.1μm以上であることが望ましい。結晶粒子11の平均粒径が0.1μm以上であると結晶粒子11の結晶性を高められることに起因して高誘電率化を図ることができるという利点がある。
図2は、本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層の構成する結晶粒子中のSiの含有量分布を示す模式図である。かかる結晶粒子1は上記のようにチタン酸バリウム系の結晶粒子11を主体とするものであるが、特に本発明の誘電体層5において粒界13におけるSiの含有量が1.5原子%以上、特に2〜3原子%であり、また、そのSiは粒界13を最高含有量として結晶粒子11の表面から結晶粒子11の中心部にかけて減少する含有量の勾配を有するとともに、結晶粒子11の表面から20nmの深さにおけるSiの含有量が1.2原子%以下であることが重要である。誘電体層5を構成する結晶粒子11について、誘電体層5中に含まれるSiを結晶粒子11の表面側に偏在させ結晶粒子11の内部におけるSiの含有量を減少させることによりBaおよびTiを主成分とする結晶粒子11、即ちチタン酸バリウム系の結晶粒子11の正方晶性が高まり、これにより誘電体層5の磁器の比誘電率を高めることができる。上記誘電体層5の磁器では、特に結晶粒子11の表面から20nmの深さにおけるSiの含有量が0.8原子%以下であることが望ましく、さらには結晶粒子1の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量が0.5原子%以下であることが望ましい。
これに対して結晶粒子11におけるSiの含有量の変化が結晶粒子の内部にむけて緩やかに変化し、要するに結晶粒子11の内部側のSiの含有量が本発明よりも高い場合にはチタン酸バリウム系の結晶粒子11の正方晶性が低下するために、比誘電率が低くなる恐れがある。なお、結晶粒子11の深さ方向とは結晶粒子11の表面の接線に対して垂直な方向である。
本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5を構成する結晶粒子11は、Si以外にMg、Mn、および希土類元素を含有し、結晶粒子11がコア部11aとシェル部11bとから構成されるコア・シェル構造を構成するものであることが望ましい。
この誘電体層5におけるSiの含有量はSiO換算でBaTiO100モル%に対して0.6モル%以上2モル%以下が好ましい。Siの含有量がSiO換算で0.6モル%以上であると誘電体磁器の焼結助剤としての効果が高まり焼成後の密度を高められるという利点がある。Siの含有量がSiO換算で2モル%以下であると結晶粒子11中への固溶量が減りチタン酸バリウム系の結晶粒子11の正方晶性を維持でき、これにより誘電体層5の比誘電率を高められるという利点がある。なお、誘電体層中のSiの含有量分布はEDS分析装置を付設した透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定できる。結晶粒子11が上記Mg、Mn、および希土類元素などの成分によってコア・シェル構造を構成するものであるとチタン酸バリウム系の結晶粒子11の耐還元性を高めることができるという利点がある。なお、コア・シェル構造を取る結晶粒子11では、上記Mg、Mn、および希土類元素などの成分は結晶粒子11の表面側のシェル部11b側に主として偏在し、コア部11aはシェル部11bよりも上記成分の含有量が少ないものであることが望ましい。コア部11aにMg、Mn、および希土類元素などの成分の含有量が少ないとコア部11aを構成するペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウムの正方晶性を高められるという利点がある。この場合、結晶粒子11の正方晶性を示す指標として格子定数比c/aが1.005以上であることが望ましい。
また、結晶粒子の主成分であるチタン酸バリウム(BaTiO)におけるBaとTiの比Ba/Tiは1.003以上、特に、1.005以上であることが望ましい。Ba/Tiが1.003以上であると比誘電率の向上および粒成長の抑制という利点がある。
上述したように本発明の誘電体磁器はBaおよびTiを主成分とし、Siを含有するものであり、また、Mg、Mnおよび希土類元素を含有するものであるが、その組成としては、BaTiO 100モル%に対して、MgがMgO換算で0.5〜1.2モル%、MnがMnO換算で0.04〜0.4モル%および希土類元素がRE換算で0.2〜3モル%の範囲であることが望ましい。本発明の誘電体磁器組成が上記の範囲であると、耐還元性を有し高誘電率かつ高絶縁性を達成できるという利点がある。ここで、本発明における希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ScおよびYのうち少なくとも1種が好ましく、特に誘電体磁器の比誘電率を高めるという点でYがより好ましい。
また本発明の誘電体磁器では粒界13のうち三重点にSi−Ba−O化合物が形成されていることが望ましい。三重点にSi−Ba−O化合物が形成されていると、粒界13の低誘電率の成分が三重点に偏ることにより結晶粒子1同士の界面である二面間粒界に存在する余分なガラス成分を低減せしめることができ、このため結晶粒子1の誘電体としての特性を向上でき、かつ粒界13の絶縁性が高まるという利点がある。
内部電極層7は高積層化しても製造コストを抑制できるという点でNiやCuなどの卑金属が望ましく、特に、本発明の誘電体層5との同時焼成を図るという点でNiがより望ましい。この内部電極層3の厚みは平均で1μm以下が好ましい。
次に本発明の積層セラミックコンデンサの製法について説明する。本発明の製法では、先ず、BaTiO粉末と各種添加剤とを混合し仮焼を行い、各種添加剤が被覆されたチタン酸バリウム系の誘電体粉末を調製する。各種添加剤は上記したMgOやMnO、さらには希土類元素の酸化物である。ここでMnOはMnCO用いることが不純物量の低減および微量添加する際の質量の精度を高めるという点で好ましい。この場合の仮焼温度としては1000℃〜1250℃の範囲が好ましい。仮焼温度が1000℃以上であるとBaTiO粉末に対して各種添加剤を被覆したときの反応性を高められるという利点がある。一方仮焼温度が1250℃以下であると各種添加剤のBaTiO粉末の中心部までの過剰な固溶を抑制できBaTiO粉末をコア・シェル構造に形成する場合にコア部の正方晶性を高められるという利点がある。
用いるBaTiO粉末の平均粒径は0.05μm以上0.12μ以下が好ましい。BaTiO粉末の平均粒径が0.05μm以上であると結晶性の高いBaTiO粉末を用いることとなり焼成後に得られる誘電体磁器の比誘電率を高められるという利点がある。一方、BaTiO粉末の平均粒径が0.12μ以下であると、誘電体層の薄層化において粒界を増やすことができ高絶縁性にできるという利点がある。
次に、誘電体層5に用いる焼結助剤はBaO−CaO−SiO粉末(モル比10〜30:10〜30:40〜60)にBaCO粉末を添加したものを用いることが好ましい。ここでBaO−CaO−SiO粉末に対するBaCO粉末量はBaCO/(BaO−CaO−SiO)のモル比で0.05〜1であることが好ましい。BaO−CaO−SiO粉末とBaCO粉末との混合粉末を用いることでBaTiO粉末に対してBaO−CaO−SiO粉末中のSi成分の固溶が抑制される。通常、焼結時には添加したBaO−CaO−SiO粉末がBaTiO粉末に反応してSi成分が粉末中に拡散しようとするが、BaO−CaO−SiO粉末とともにBaCOを同時に添加することでSi成分を優先的にBaCOに化合することができるためである。
ここでBaO−CaO−SiO粉末およびBaTiO粉末の平均粒径は主成分であるBaTiO粉末と同等かそれ以下であることが望ましく、0.05〜0.12μmが好ましい。
また、BaCO粉末の平均粒径はBaO−CaO−SiO粉末よりも小さいことが好ましく、0.04〜0.1μmであることが望ましい。BaCO粉末の平均粒径がBaO−CaO−SiO粉末よりも小さいと主成分であるBaTiO粉末の表面により接着しやすくなりSi成分のBaTiO粉末への拡散が抑制されるという利点がある。
次に、上述したチタン酸バリウム系の粉末と焼結助剤とをボールミルを用いて混合し、この混合粉末にポリビニルブチラールなどの有機バインダおよびトルエンなどの溶剤を添加してスラリを調製する。次に、このスラリをドクターブレードによりシート状に成形し誘電体グリーンシートを形成する。誘電体グリーンシートの厚みは0.4μm以上2μm以下が好ましい。誘電体グリーンシートの厚みが0.4μm以上であるとピンホールなどの欠陥を低減できることから絶縁性に優れた誘電体層を形成できるという利点がある。誘電体グリーンシートの厚みが2μm以下であると誘電体層の薄層化により高容量化できるという利点がある。
次に、この誘電体グリーンシートの表面に導体ペーストを印刷し、次いで導体ペーストが内部電極パターンとして印刷された誘電体グリーンシートを複数積層して母体の積層体を作製する。内部電極パターンの厚みは誘電体グリーンシート上における段差を解消するとともに焼結後においても過度の収縮による有効面積の減少を抑制するという理由から0.3μm以上1.5μm以上が好ましい。次に、この母体の積層体を格子状に切断し、端面に内部電極パターンが露出したコンデンサ本体成形体を作製する。次に、コンデンサ本体成形体を焼成してコンデンサ本体を形成し、この端面に外部電極ペーストを塗布し焼き付けした後に本発明の積層セラミックコンデンサが得られる。
本発明の積層セラミックコンデンサを以下のように作製した。なお誘電体磁器については積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の評価を持って誘電体磁器の評価とした。まず、予め合成したBa/Ti比が1.003、c/aが1.005のBaTiO粉末を100モル部、添加物粉末としてMgOを0.8モル部、MnOを0.3モル部、Yを0.8モル部をそれぞれ秤量した。
試料1については、従来の工法どおりに平均粒径0.1μmのBaTiO粉末に前記添加物と表1にあるBaO−CaO−SiO粉末(モル比(%)25:25:50)とを十分に混合し、有機バインダを加えてスラリを調整した。
一方、本発明の試料2〜7については、上記平均粒径0.1μm、0.08μmのBaTiO粉末と添加物粉末を予め1050℃で仮焼し、一方で表1に示すBaO−CaO−SiO粉末に対してBaCO粉末をモル比で0.4(40%)の割合になるように混合させた焼結助剤粉末を調製し、この焼結助剤粉末と添加剤を含む上記BaTiO粉末とを混合し、これに有機バインダを加えてスラリを調整した。BaTiO粉末に対するBaO−CaO−SiO粉末の添加量は表1に示した。次に、このスラリを用いてドクターブレードにより厚み2μm、1.7μmの誘電体グリーンシートを作製した。次に、この誘電体グリーンシート上に、Ni金属を含む導体ペーストをスクリーン印刷して内部電極パターンを形成した。次に、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを150枚積層し、その上下面に、内部電極パターンを形成していない誘電体グリーンシートをそれぞれ20枚積層しプレス機を用いて一体化し母体の積層体を得た。その後、母体の積層体を格子状に切断して、1.6mm×0.8mm×0.8mmのコンデンサ本体成形体を作製した。次に、このコンデンサ本体成形体を大気中500℃にて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が200℃/hの昇温速度で、1240℃℃で2時間焼成し、大気雰囲気中800℃で4時間再酸化処理をし、コンデンサ本体を作製した。誘電体層の厚みは1.2μm、1μmであった。結晶粒子の平均粒径はいずれも0.18μm、0.15μmであった。結晶粒子の平均粒径は得られた積層セラミックコンデンサの破断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて3箇所の内部組織の写真を倍率10000倍にて撮った。次いで、その写真に映し出されている結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子を円と見立ててその直径を求め、平均化して求めた。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、その両端部に外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い、外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiおよびSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
作製した積層セラミックコンデンサであるこれらの試料を、LCRメーター4284Aを用いて周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vにて静電容量を測定した。試料数は各10個とした。高温加速試験は、各試料6個につき、温度125℃、電圧は10Vの条件で、300時間行い、平均故障時間(MTTF)の算出を行った。
結晶粒子中のSiの含有量の分布は元素分析機器を付設した透過電子顕微鏡装置を用いて測定した。試料は積層セラミックコンデンサを断面カットしたものを用い、その試料は薄片化したものをFIB加工して透過電子顕微鏡用試料とし、誘電体層を構成するチタン酸バリウム系の結晶粒子全体が明確に見えるものを選択した。そのような試料についてチタン酸バリウム系の結晶粒子の粒界側から中心部にかけて約10〜60nm間隔でEDSを当てて元素分析を行った。EDSは誘電体層に含まれるBa、Ti、Mg、Mn、SiおよびY成分を特定してその全量に対してSi量を求めた。測定は試料1個について5点行い平均化したものを結果とした。実施例の試料について測定したSiの含有量の分布を図4に示す。表1に結果を示す。
Figure 0004771818
表1から明らかなように、試料2〜7では、粒界におけるSi量が1.5原子%以上であり結晶粒子の表面から20nmの深さにおけるSiの含有量が1.2原子%以下であり、このため比誘電率が3141以上、MTTFが51時間以上であった。結晶粒子の表面から20nmの深さにおけるSiの含有量が0.8原子%以下である試料3〜6では比誘電率が3328以上、MTTFが81時間以上であった。平均粒径0.08μmのBaTiOを用いた試料7においても比誘電率が2520、MTTFが48時間であった。
これに対して従来の製法によって作製した試料1では粒界におけるSiの含有量が3.27原子%であり、結晶粒子の表面から20nmの深さにおけるSiの含有量が2.61原子%であり、結晶粒子の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量も2.03原子%であり、Siがチタン酸バリウム系の結晶粒子の内部まで拡散しているために比誘電率が2510、MTTFが41時間であった。
本発明の誘電体磁器の微構造を示す模式図である。 本発明の誘電体磁器を構成する結晶粒子中のSiの含有量の分布を示す模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。 実施例の試料における結晶粒子中のSiの含有量の分布の測定結果である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
5 誘電体層
7 内部電極層
11 結晶粒子
13 粒界

Claims (5)

  1. 誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を備えてなる積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、元素としてBaおよびTiを主成分とし、Siを含有する結晶粒子を含み、さらにMg、Mnおよび希土類元素を含有する誘電体磁器からなり、前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量が1.5原子%以上であるとともに、前記結晶粒子の表面から20nmの深さにおける前記Siの含有量が1.2原子%以下であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記結晶粒子の表面から20nmの深さにおける前記Siの含有量が0.8原子%以下である請求項1記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記結晶粒子の表面から40nmの深さにおける前記Siの含有量が0.5原子%以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記結晶粒子の平均粒径が0.18μm以下である請求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記誘電体層の厚みが1.5μm以下である請求項1乃至4のうちいずれかに記載の積層セラミックコンデンサ。
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