JP4771817B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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本発明は、積層セラミックコンデンサに関し、特に、チタン酸バリウム系結晶粒子中にCaを含有する結晶粒子によって形成される誘電体磁器を誘電体層とする小型高容量の積層セラミックコンデンサに関する。
近年、積層セラミックコンデンサは小型化および高容量化が目覚しく、それを構成する誘電体層の薄層化とそれに用いる誘電体材料の高誘電率化が図られているが、誘電体材料には耐還元性を高めたBaTiOからなるチタン酸バリウム系の誘電体材料(BT)の他に、近年に至り、例えば、上記BaTiOに対してCaを固溶させたBa1−xCaTiOの化学式で表される新たな誘電体材料(BCT)が見いだされ、積層セラミックコンデンサへの採用が検討されている(例えば、特許文献1、2および3参照)。
特開2000−58377号公報 特開2003−68559号公報 特開2005−48774号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されたBCT系の誘電体材料は、従来のBaTiO(BT)に比較して高い誘電率が得られるものの焼成中に粒成長し、誘電体層中において厚み方向の粒界数が少なくなり高い絶縁性を得にくいという問題があった。
従って本発明は、Caを構成元素とするチタン酸バリウム系結晶粒子により構成される誘電体磁器を誘電体層として用いても高誘電率かつ高絶縁性となり、このような誘電体層により構成される高容量の積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を備えている積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、元素としてBa、Ca、TiおよびSiを含有するチタン酸バリウム系の結晶粒子を含む誘電体磁器からなり、前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量が3原子%以上であるとともに、前記結晶粒子の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量が前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量の40%以上であることを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサでは、前記結晶粒子がCaを0.3原子%以上含有すること、前記結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下であることが望ましい。表面付近とは結晶粒子の表面の±5nm程度の範囲である。
本発明によれば、誘電体層に含まれる添加剤のうちSi成分を結晶粒子の内部まで固溶させることにより、Caを構成元素とするチタン酸バリウム系の結晶粒子により構成される誘電体層であっても高誘電率かつ高絶縁性となり、このような誘電体層を用いることにより高容量の積層セラミックコンデンサを形成できる。
図1は、本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。本発明の積層セラミックコンデンサはコンデンサ本体1の端部に外部電極3が設けられている。なお、外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。コンデンサ本体1は誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。ここで本発明の積層セラミックコンデンサにおいては誘電体層5の厚みは2μm以下、特に1.5μm以下であることが望ましい。誘電体層5の厚みが2μm以下であると誘電体層5の薄層化により積層セラミックコンデンサの静電容量が高められるという利点がある。なお、誘電体層5の最低厚みは0.5μm以上であることが望ましい。誘電体層15の最低厚みは0.5μm以上であると、誘電体層5において高い絶縁性の得られる所望の厚みを確保できるという利点がある。
図2は、本発明の本発明の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の微構造を示す模式図である。係る誘電体層5は、元素として、少なくともBa、Ca、TiおよびSiを含有する結晶粒子11と粒界13とからなることを特徴とするものであり、結晶粒子11の平均粒径は0.2μm以下であることが望ましい。結晶粒子11の平均粒径が0.2μm以下であると積層セラミックコンデンサにおいて誘電体層5を薄層化したときに高い絶縁性を得ることができるという利点がある。なお、この誘電体層5を構成する結晶粒子11の平均粒径は最低0.1μm以上であることが望ましい。結晶粒子11の平均粒径が0.1μm以上であると結晶粒子11の結晶性を高められることに起因して高誘電率化を図ることができるという利点がある。
この誘電体層5に用いられるチタン酸バリウム系の誘電体材料としては、Caを0.4原子%以上含有する、{Ba1−xCaTiO (x=0.02〜0.1)}(略称BCT)の化学式で表される誘電体材料が好ましい。このBCTは従来から用いられているBaTiO(BT)に比較して、AC電界の電界強度を高めたときの比誘電率の増加が大きいことから誘電体層5が薄層化されたときに高い比誘電率を期待できる。BCTが高い比誘電率を示すのは誘電体層5の薄層化につれて単位厚み当たりに受ける電界強度が高くなるためである。
なお、{Ba1−xCaTiO (x=0.02〜0.1)}においてはx=0.03〜0.07がより好ましい。x=0.03〜0.07にするとBCTにおいてCaがペロブスカイト構造中に十分に固溶するとともに残存するCaを抑制できるために、均一なペロブスカイト構造が形成され、このためより高い比誘電率が得られるという利点がある。
また本発明では、前記チタン酸バリウム系の結晶粒子11がCaを0.4原子%以上含有するBCTの結晶粒子とCaが0.2原子%以下BTの結晶粒子とからなるものが望ましい。BCTの結晶粒子に対してBTの結晶粒子を共存させることによりBCT単体やBT単体の場合に比較してチタン酸バリウム系の誘電体磁器の比誘電率の温度変化率を小さくすることができ、例えば、X7R特性を満足するものにできるという利点がある。この場合、BCTとBTの比率はモル比でBCT:BT=0.2〜0.8:0.8:0.2が好ましく、特に、BCT:BT=0.3〜0.7:0.7:0.3がより好ましい。
図3は、本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する結晶粒子中のSiの含有量の分布を示す模式図である。この誘電体層5を構成する結晶粒子11は上記のようにCaを含むチタン酸バリウム系の結晶粒子11を主体とするものであるが、特に本発明では結晶粒子11の表面におけるSiの含有量が3原子%以上5原子%以下であり、また、そのSiは結晶粒子の表面を最高含有量として結晶粒子1の表面から結晶粒子11の内部方向にかけて高い含有量を維持し、結晶粒子11の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量が結晶粒子の表面におけるSiの含有量の40%以上であることが重要である。誘電体層5を構成する結晶粒子11について、Si成分を結晶粒子11の表面から内部にかけて高い含有量で含有させることによりCaを含むチタン酸バリウム系の結晶粒子11の粒成長を抑制できる。
これに対して、結晶粒子11の表面におけるSiの含有量が3原子%以上であっても結晶粒子11の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量が結晶粒子の表面におけるSiの含有量の40%より少ないと結晶粒子が粒成長しやすく絶縁性が低下する恐れがある。
本発明の誘電体磁器におけるSiの含有量はSiO換算でBaTiO100モル%に対して1モル%以上4モル%以下が好ましい。Siの含有量がSiO換算で1モル%以上であると上記したSiの固溶の効果に加えて誘電体磁器の焼結助剤としての効果が高まり焼成後の密度を高められるという利点がある。Siの含有量がSiO換算で4モル%以下であると誘電層5中の結晶粒子11以外の粒界13等への残存が減り、これにより誘電体層5の比誘電率を高められるとともに絶縁性を高く維持できるという利点がある。なお、誘電体層5中のSiの濃度分布はEDS分析装置を付設した透過電子顕微鏡(TEM)によって測定できる。
また結晶粒子11が上記Mg、Mn、および希土類元素などの成分によってコア・シェル構造を構成するものであるとチタン酸バリウム系の結晶粒子1の耐還元性を高めることができるという利点がある。
なお、コア・シェル構造を取る結晶粒子11では上記Mg、Mn、および希土類元素などの成分は結晶粒子11の表面側のシェル部側に主として偏在し、コア部はシェル部よりも上記成分の含有量が少ないものであることが望ましい。コア部にMg、Mn、および希土類元素などの成分の含有量が少ないとコア部を構成するペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウムの正方晶性を高められるという利点がある。
また、結晶粒子11の主成分であるCaを含むチタン酸バリウム(Ba1−xCaTiO)におけるBaおよびCaとTiの比(Ba+Ca)/Tiは1.003以上、特に、1.005以上であることが望ましい。Ba/Tiが1.003以上であると比誘電率の向上および粒成長の抑制という利点がある。
上述したように本発明の誘電体磁器は少なくともBa、Ca、TiおよびSiを含有するものであり、特にはBCTとBTとが共存し、さらに、Mg、Mnおよび希土類元素を含有することが望ましいものであるが、その組成としては、BaTiO100モル%に対して、MgがMgO換算で0.5〜1.2モル%、MnがMnO換算で0.04〜0.4モル%および希土類元素がRE換算で0.2〜3モル%の範囲であることが望ましい。本発明の誘電体磁器組成が上記の範囲であると、耐還元性を有し高誘電率かつ高絶縁性を達成できるという利点がある。ここで、本発明における希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ScおよびYのうち少なくとも1種が好ましい。
また本発明の誘電体磁器では粒界13のうち三重点にSi−Ba−O化合物が形成されていることが望ましい。三重点にSi−Ba−O化合物が形成されていると、粒界13の低誘電率の成分が三重点に偏ることにより結晶粒子1同士の界面である二面間粒界に存在する余分なガラス成分を低減せしめることができ、このため結晶粒子11の誘電体としての特性を向上でき、かつ粒界13の絶縁性が高まるという利点がある。
内部電極層7は高積層化しても製造コストを抑制できるという点でNiやCuなどの卑金属が望ましく、特に、本発明の誘電体層5との同時焼成を図るという点でNiがより望ましい。この内部電極層7の厚みは平均で1μm以下が好ましい。
次に本発明の誘電体磁器の製法について説明する。本発明では、先ず、Ba1−xCaTiO (x=0.02〜0.1)粉末(BCT粉末)を用意する。用いるBCT粉末の平均粒径は0.05μm以上0.3μ以下、特に大きい方の粒径は0.2μm以下が好ましい。BCT粉末の平均粒径が0.05μm以上であると結晶性の高いBCT粉末を用いることとなり焼成後に得られる誘電体磁器の比誘電率を高められるという利点がある。一方、BCT粉末の平均粒径が0.3μ以下であると、誘電体層5の薄層化において粒界13を増やすことができ高絶縁性にできるという利点がある。
次に、このBCT粉末にSi成分を被覆する。BCT粉末へのSi成分を被覆する場合には、水や有機溶媒の溶液中にBCT粉末を分散させたスラリを調製した後、このスラリ中にSiを含む溶液を所定量添加して加熱し溶液中からSiを析出させてBCT粉末の表面に被覆する。Siを含む溶液に用いる化合物としてはSiの塩化物や硝酸塩、あるいはキレートやアルコキシドなどが好適である。特に、被覆物の厚みが安定に固着するという点で金属アルコキシドがより望ましい。
次に、Siを被覆したBCT粉末に誘電特性の制御のためのMg、Mnおよび希土類元素などの各種添加剤を混合し、次いで仮焼を行い、各種添加剤がSiの表面にさらに被覆されたBCT粉末を調製する。各種添加剤は上記したMgOやMnO、さらには希土類元素の酸化物である。ここでMnOはMnCO用いることが不純物量の低減および微量添加する際の質量の精度を高めるという点で好ましい。この場合の仮焼温度としては1000℃〜1250℃の範囲が好ましい。仮焼温度が1000℃以上であるとBCT粉末に対して各種添加剤を被覆したときの反応性を高められるという利点がある。一方仮焼温度が1250℃以下であると各種添加剤のBCT粉末の中心部までの過剰な固溶を抑制できBCT粉末をコア・シェル構造に形成する場合にコア部の正方晶性を高められるという利点がある。このように本発明に係るBCT粉末は各種添加剤よりも内側にSiが被覆されているために仮焼によって各種添加剤の影響を抑えてそれよりも先にBCTへのSiの固溶が促進されるものである。これによりBCT粉末の焼成時の粒成長を抑制できる。
これに対して、BCT粉末に上記Mg、Mnおよび希土類元素の各酸化物を添加し、SiOを含むガラス粉末を添加して調製されたものは、BCT粉末へのSiの固溶量が少ないために、BCT粉末の粒成長が起こりやすくなる。
次に、上述したSiおよび各種添加剤を含むBCT粉末に対して焼結助剤を微量添加してボールミルを用いて混合し、この混合粉末にポリビニルブチラールなどの有機バインダおよびトルエンなどの溶剤を添加してスラリを調製する。次に、このスラリをドクターブレードによりシート状に成形し誘電体グリーンシートを形成する。誘電体グリーンシートの厚みは0.4μm以上2μm以下が好ましい。誘電体グリーンシートの厚みが0.4μm以上であるとピンホールなどの欠陥を低減できることから絶縁性に優れた誘電体層を形成できるという利点がある。誘電体グリーンシートの厚みが2μm以下であると誘電体層の薄層化により高容量化できるという利点がある。
次に、この誘電体グリーンシートの表面に導体ペーストを印刷し、次いで導体ペーストが内部電極パターンとして印刷された誘電体グリーンシートを複数積層して母体の積層体を作製する。内部電極パターンの厚みは誘電体グリーンシート上における段差を解消するとともに焼結後においても過度の収縮による有効面積の減少を抑制するという理由から0.3μm以上1.5μm以上が好ましい。次に、この母体の積層体を格子状に切断し、端面に内部電極パターンが露出したコンデンサ本体成形体を作製する。次に、コンデンサ本体成形体を焼成してコンデンサ本体を形成し、この端面に外部電極ペーストを塗布し焼き付けした後に本発明の積層セラミックコンデンサが得られる。
本発明の積層セラミックコンデンサを以下のように作製した。なお誘電体磁器については積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の評価を持って誘電体磁器の評価とした。まず、予め合成したBaCa/Ti比が1.003のBa0.98Ca0.02TiOおよびBa0.95Ca0.05TiOおよびBa0.93Ca0.07TiO組成のBCT粉末を用意した。BCT粉末の平均粒径は0.15μm、0.12μmのものを用意した。
本発明の試料については、この粉末100モル部に対して、原料としてオルト珪酸テトラエチルを用いゾルゲル法により室温にて、撹拌時間2時間、乾燥150℃の条件によりSiを1〜4モル部被覆させたBCT粉末を調製した。
次に、このSiを被覆したBCT粉末100モル部に対して添加物粉末としてMgOを0.8モル部、MnOを0.3モル部と、Y、DyおよびHoのうち1種を0.8モル部をそれぞれ秤量し温度950℃、2時間の仮焼を行った。この後、仮焼粉末にBaO−CaO−SiO粉末(モル比(%)25:25:50)を0.6質量部添加し十分に混合し、有機バインダを加えてスラリを調整した。比較例である試料No.10については、従来の工法どおりに平均粒径0.15μmのBCT粉末に添加物粉末のみを加えて予め1050℃で仮焼して被覆し、さらにこのBCT粉末100質量部BaO−CaO−SiO粉末(モル比(%)25:25:50)を1.2質量部添加し十分に混合し、有機バインダを加えてスラリを調整した。次に、このスラリを用いてドクターブレードにより厚み1.5μmの誘電体グリーンシートを作製した。次に、この誘電体グリーンシート上に、Ni金属を含む導体ペーストをスクリーン印刷して内部電極パターンを形成した。次に、内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを150枚積層し、その上下面に、内部電極パターンを形成していない誘電体グリーンシートをそれぞれ20枚積層しプレス機を用いて一体化し母体の積層体を得た。その後、母体の積層体を格子状に切断して、1.6mm×0.8mm×0.8mmのコンデンサ本体成形体を作製した。内部電極層の1層当たりの面積は1.21×0.48mmであった。次に、このコンデンサ本体成形体を大気中500℃にて脱バインダ処理を行い、500℃からの昇温速度が200℃/hの昇温速度で、1240℃で2時間焼成し、大気雰囲気中800℃で4時間再酸化処理をし、コンデンサ本体を作製した。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、その両端部に外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い、外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiおよびSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
作製した積層セラミックコンデンサにおける誘電体層の結晶粒子の平均粒径は表1に示した。結晶粒子の平均粒径は得られた積層セラミックコンデンサの破断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡を用いて3箇所の内部組織の写真を倍率10000倍にて撮った。次いで、その写真に映し出されている結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子を円と見立ててその直径を求め、平均化して求めた。
比誘電率は作製した積層セラミックコンデンサであるこれらの試料をLCRメータ4284Aを用いて周波数1.0kHz、入力信号レベル1.0Vにて静電容量を測定し、内部電極層の1層の面積と誘電体層厚みから求めた。試料数は各試料について100個とした。絶縁抵抗は絶縁抵抗計を用いて、温度25℃において電圧2V、印加時間1分後の値を測定した。試料数は各試料について100個とした。静電容量の温度変化率(85℃)は、上記したLCRメータと恒温槽とを用い静電容量の測定条件を用いて測定し、室温(25℃)における静電容量を基準としたときの変化率を求めた。試料数は各試料について10個とした。結晶粒子中のSiの濃度分布は元素分析機器を付設した透過電子顕微鏡装置を用いて測定した。試料は積層セラミックコンデンサを断面カットしたものを用い、その試料は薄片化したものをFIB加工して透過電子顕微鏡用試料とし、誘電体層を構成するチタン酸バリウム系の結晶粒子全体が明確に見えるものを選択した。そのような試料についてチタン酸バリウム系の結晶粒子の表面付近から中心に向けて40nm位置にEDSを当てて元素分析を行った。EDSは誘電体層に含まれるBa、Ti、Mg、Mn、SiおよびY成分を特定してその全量に対してSi量を求めた。測定は試料1個について5点行い平均化したものを結果とした。表1に結果を示す。
Figure 0004771817
Figure 0004771817
表1、2から明らかなように、BCT粉末に予めSi成分を被覆しないでガラス粉末として添加しただけの従来工法で作成した試料No.10では、粒界のSiの含有量に対して粒界から0nmにおけるSiの含有量が38%であるために結晶粒子の平均粒径が0.7μmとなり、比誘電率は5900と高いものの、絶縁抵抗が80MΩと低かった。また、85℃での比誘電率の温度変化率が30%となり比誘電率の温度変化率が大きいものであった。
これに対して、Si成分を被覆したBCT粉末を用いた本発明の試料No.1〜9では、結晶粒子の平均粒径が0.15〜0.22μmと小さくなり、比誘電率が4330〜4900、絶縁抵抗が200〜500MΩであった。また、結晶粒子の粒径が小さいために比誘電率の温度特性も−14.2〜−18%の範囲であった。
本発明の積層セラミックコンデンサを示す断面模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層の微構造を示す模式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する結晶粒子中のSiの含有量の分布を示す模式図である。
符号の説明
1 コンデンサ本体
5 誘電体層
7 内部電極層
11 結晶粒子
13 粒界

Claims (3)

  1. 誘電体層と内部電極層とを交互に積層してなるコンデンサ本体を備えている積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体層が、元素としてBa、Ca、TiおよびSiを含有するチタン酸バリウム系の結晶粒子を含む誘電体磁器からなり、前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量が3原子%以上であるとともに、前記結晶粒子の表面から40nmの深さにおけるSiの含有量が前記結晶粒子の表面付近における前記Siの含有量の40%以上であることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記結晶粒子がCaを0.3原子%以上含有する請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記結晶粒子の平均粒径が0.2μm以下である請求項1または2に記載の積層セラミックコンデンサ。
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