JP5535402B2 - コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子により構成される誘電体磁器を誘電体層として用いるコンデンサに関する。
近年、高輝度の青色の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が開発されたことにより高視認性を達成可能なフルカラーのLED表示装置とともに、LEDを発光源とする照明機器の開発が急速に進みつつある。
このようなLEDを用いた電子機器では、AC−DCコンバータを用いて商用電源からLEDを駆動するための直流電圧を生成させる方式が採用されているが、AC−DCコンバータは、商用電源(100V)の交流電圧から所望の直流の出力電圧を生成してLEDを駆動する回路であり、このような回路に用いられる整流回路には制御回路素子としての電界効果型トランジスタ(MOSFET)とともにコンデンサが搭載されている(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、このようなLEDを用いた電子機器では、印加される電圧が高いことに加え、発光時の発熱による温度変化が大きいことから、コンデンサとして、電圧が印加された際にも高い静電容量を維持できるものが求められている。
特開2011−35112号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高温において、電圧が印加された際にも高い静電容量を維持できるコンデンサを提供することを目的とする。
本発明のコンデンサは、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子を有し、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウムの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)を含有する誘電体磁器からなる誘電体層を備えており、前記結晶粒子は、粒界から20nmの深さの位置における、前記希土類元素(RE)の濃度が、0〜0.5原子%の第1の結晶群の結晶粒子と0.3〜0.9原子%の第2の結晶群の結晶粒子とで構成されており、前記第1の結晶群の結晶粒子と前記第2の結晶群の結晶粒子との前記希土類元素(RE)の濃度の差が0.1〜0.7原子%であり、結晶構造がコアシェル構造であることを特徴とする。
本発明によれば、高温において、電圧が印加された際にも高い静電容量を維持できるコンデンサを得ることができる。
(a)は、本発明のコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、図1のコンデンサを構成する誘電体層の拡大図であり、結晶粒子および粒界相を示す模式図である。 (a)は、第1の結晶群を構成する結晶粒子とその内部の希土類元素(RE)の濃度勾配を表す模式図であり、(b)は、第2の結晶群を構成する結晶粒子とその内部の希土類元素(RE)の濃度勾配を表す模式図である。
本実施形態のコンデンサについて、図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。図1(a)は、本発明のコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、図1のコンデンサを構成する誘電体層の拡大図であり、結晶粒子および粒界相を示す模式図である。図2(a)は、第1の結晶群を構成する結晶粒子とその内部の希土類元素(RE)の濃度勾配を表す模式図であり、(b)は、第2の結晶群を構成する結晶粒子とその内部の希土類元素(RE)の濃度勾配を表す模式図である。
本実施形態のコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は、誘電体磁器からなる誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。図1では誘電体層5と内部電極層7との積層状態を単純化して示しているが、本発明のコンデンサは誘電体層5と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体となっている。
誘電体磁器からなる誘電体層5は、結晶粒子9と粒界相11とから構成されており、その平均厚みは5μm以下、特に、3μm以下が望ましく、これにより積層セラミックコンデンサを小型、高容量化することが可能となる。なお、静電容量のばらつきの低減および容量温度特性の安定化並びに高温負荷寿命の向上という点で、誘電体層5の平均厚みは1μm以上であることが望ましい。
内部電極層7は、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、特に、本実施形態のコンデンサを構成する誘電体層5との同時焼成が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。
本実施形態のコンデンサにおける誘電体層5を構成する誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子9を有し、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウムの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)を含有する。ここで、本実施形態のコンデンサを構成する誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子9を主結晶粒子とするものであり、X線回折を行って得られたX線回折パターン上において、チタン酸バリウムに由来する主ピークの回折強度がチタン酸バリウム以外の結晶相の主ピークの回折強度よりも大きいものをいう。
また、この誘電体磁器は、粒界から20nmの深さの位置における希土類元素(RE)の濃度が0.1原子%以上の差を有する少なくとも2種類の結晶粒子により構成されている。さらに、この誘電体磁器を構成する結晶粒子9はコアシェル構造を有する。
これにより、コンデンサが高温に晒されかつ直流電圧が印加される状態となっても静電容量の低下の小さいコンデンサを得ることができる。例えば、室温(25℃)において直流電圧を印加しない条件で測定された静電容量を基準にしたときに、125℃において、約50Vの直流電圧が印加されたときの静電容量の変化率(以下、高温DCバイアス特性という。)を83%以内にできる。なお、以下では、特性について説明する場合に、静電容量の代わりに比誘電率を用いる場合がある。
これに対し、誘電体磁器を構成する結晶粒子9中に含まれる希土類元素(RE)の濃度に差が無く、粒界から20nmの深さの位置における、希土類元素(RE)の濃度について、0.1原子%以上の差を見出せないような結晶粒子群により構成されている場合には、室温(25℃)において直流電圧を印加しない条件で測定された静電容量を基準としたときに、125℃において、約50Vの直流電圧が印加されたときの静電容量の変化率が83%よりも大きくなってしまう。
本実施形態における誘電体磁器は、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウムの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)を結晶粒子9a、9bの内部にそれぞれ異なる量だけ含んだ2種類の結晶粒子9a、9bにより構成されているものであるが、第1の結晶群の結晶粒子9aは、結晶粒子9中に含まれる希土類元素(RE)の濃度が低いことから、結晶粒子9aの中心部には希土類元素(RE)がほとんど固溶していないため、その中心部は添加成分の少ない正方晶系の結晶相が支配的となっており、これにより比誘電率の高い誘電体磁器を得ることができる。
この第1の結晶群の結晶粒子9aは表面付近に添加成分が固溶し立方晶系の結晶構造を有しており、一方、中心部は正方晶系であることから、この結晶粒子9aは基本的に正方晶系の結晶相をコアとし、その周囲に立方晶系の結晶相がシェルとして形成されているコアシェル構造を有している。このためX線回折パターンにおいて、例えば、200面の回折ピークと002面の回折ピークとの間に立方晶系に起因する回折ピーク(指数は、200、020、002が重なった状態)が現れる。この立方晶系の回折ピークは正方晶系に起因する200面の回折ピークおよび002面の回折ピークと同程度の回折強度を有している。
一方、第2の結晶群の結晶粒子9bは、結晶粒子9中に含まれる希土類元素(RE)の濃度が高いことから、結晶粒子9bの内部の深いところまで希土類元素(RE)が固溶した状態となっており、このため結晶粒子9bは添加成分を含まない正方晶系の結晶相の割合が少なくなり、添加成分が多く固溶したコアシェル構造の結晶相(X線回折パターンにおいて、200面と002面の回折ピークが顕著に表れる正方晶系の結晶相)が現れる。その結果、結晶粒子9bは結晶粒子9aに比較して、酸素空孔などの欠陥が減少し、高い比誘電率を維持したまま、比誘電率の電圧依存性を小さくすることが可能となる。また、この誘電体磁器は結晶粒子9がコアシェル構造を有するものであるため誘電損失が小さく、例えば、室温(25℃)において5%以下、特に、組成によっては2.5%以下にすることができる。
つまり、この実施形態の誘電体磁器はいずれもコアシェル構造を有する第1の結晶粒子に起因する回折ピークと添加成分が多く固溶した第2の結晶粒子に起因する回折ピークとが同時に現れるものであり、ここで第1の結晶粒子9aに起因する回折ピークと第2の結晶粒子9bに起因する回折ピークとは添加成分の固溶度が異なるため格子定数が異なっている。
また、この誘電体磁器は、さらに、バナジウムと、マグネシウムと、マンガンと、イットリウムとを含み、これらの添加成分の割合として、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、バナジウムがV換算で0.05〜0.20モル、イットリウムがY換算で0.5〜2.0モル、マグネシウムがMgO換算で1.0〜3.0モル、マンガンがMnO換算で0.22〜0.50モル、希土類元素(RE)がRE換算で0.65〜2.80モルであり、また、結晶粒子9は、粒界から20nmの深さの位置における、希土類元素(RE)の濃度が0.02〜0.42原子%である第1結晶群と希土類元素(RE)の濃度が0.45〜0.70原子%である第2結晶群とを有しており、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの平均粒径が0.10〜0.18μm、第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの平均粒径が0.2〜0.5μmであり、さらに、誘電体磁器の研磨面の単位面積当たりに見られる第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積をa、第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7であることが望ましい。
これにより比誘電率が高く、比誘電率の温度変化率が小さく、かつ高温負荷寿命の信頼性に優れたコンデンサを得ることができる。例えば、室温(25℃)における比誘電率が1900以上であり、比誘電率の温度特性がX7R特性(−55〜125℃の温度範囲において比誘電率の変化率が±15%以内)を満足するとともに、25℃において、直流電圧を負荷しない状態(無負荷状態)で測定した比誘電率に対して、125℃において、誘電体層の単位厚み当りの電圧(直流電圧)を5〜10V印加した状態で測定した比誘電率の変化率を−50%以内(NPO(±0%)に近づく方向)にでき、さらには、170℃、170Vの直流電圧を印加の条件で評価される高温負荷寿命を25時間以上にすることができる。以下、高温負荷寿命と記す場合には上記の条件にて評価した高温負荷寿命のことである。
この場合、また、この誘電体磁器を構成する結晶粒子9a、9bは、図2(a)(b)に示すように、それぞれ異なる希土類元素(RE)の濃度勾配を有し、第1の結晶群の結晶粒子9aが0.05〜0.35原子%/nm、第2の結晶群の結晶粒子9bが0.03原子%/nm以下であるのが良い。
この中で、第2の結晶群の結晶粒子9bの希土類元素(RE)の濃度勾配を0.03原子%/nm以下とした状態で、第1の結晶群の結晶粒子9bの希土類元素(RE)の濃度勾配を0.05〜0.30原子%/nmとすると、コンデンサの高温負荷寿命を26時間以上に向上させることができる。
結晶粒子9aは、これだけでは直流電圧を印加したときの比誘電率の温度変化率を小さくすることは困難であるが、結晶粒子9aに結晶粒子9bを共存させると、元々、結晶粒子9bが比誘電率の電圧依存性を小さくできる性質を有していることに起因して、直流電圧を印加したときの比誘電率の温度変化率が小さいものとなる。
また、本実施形態の誘電体磁器は結晶粒子9bの平均粒径を結晶粒子9aの平均粒径よりも大きくしているために高誘電率化を図ることが可能となる。
その結果、この実施形態のコンデンサは、室温(25℃)における比誘電率が1900以上でありながら、特に、25℃において、直流電圧を負荷しない状態(無負荷状態)で測定した比誘電率に対して、125℃において、誘電体層5の単位厚み当りの電圧(直流電圧)を5〜10V印加した状態(以下、高温負荷状態)での比誘電率の変化率を−50%以内にすることができるとともに、高温負荷寿命の信頼性に優れたものとなるのである。この場合、この実施形態の誘電体磁器を構成する第1の結晶群の結晶粒子9aおよび第2の結晶群の結晶粒子9bの平均粒径は0.13〜0.23μmであるのが良い。
本実施形態の誘電体磁器では、これに含ませる希土類元素(RE)として、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウムを選択しているが、これらの希土類元素(RE)は、周期表にある希土類元素の中でもチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子9に固溶しやすいからである。そして、これらの希土類元素(RE)を結晶粒子9中に固溶させて、希土類元素(RE)の濃度の異なる2種類の結晶粒子9a、9bを誘電体磁器中に形成することにより、高温DCバイアス特性を高めることができることに加え、誘電体磁器の比誘電率、比誘電率の温度変化率および耐電圧特性を向上させることができる。
希土類元素(RE)とは別に含有させているイットリウム(Y)は、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウム等の元素に比べてチタン酸バリウムに対して固溶し難い元素であるため、このことを利用してイットリウムをチタン酸バリウムの結晶粒子9の表面付近に固溶させることができ、こうして誘電体磁器の比誘電率、無負荷状態および高温負荷状態での比誘電率の温度変化率、ならびに高温負荷寿命の信頼性を制御することができる。この場合、イットリウムの濃度勾配は結晶粒子9a、9bともに0.05〜0.20原子%/nmであることが望ましい。
なお、結晶粒子9中の希土類元素(RE)の濃度および濃度分布については、誘電体磁器の断面を研磨した後、透過型電子顕微鏡に付設のモニターに映し出された画像上で結晶粒子が約30個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、元素分析機器を付設した透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行う。このとき選択する結晶粒子9は、その輪郭から画像処理にて各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、求めた結晶粒子9の直径がおおよそ0.08〜0.60範囲にある結晶粒子9とする。分析を行うときの電子線のスポットサイズは0.5〜2nmとし、分析する箇所は結晶粒子9の粒界から20nm(±1nm)の深さの位置とする。
結晶粒子9中の希土類元素(RE)の濃度を求めるときは、結晶粒子9の中心部に電子線を当てて、得られたX線の出力から結晶粒子9に含まれる主要な元素の量を100原子%として求め、この中から希土類元素(RE)の割合を求める。ここで主要な元素としては、例えば、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)および希土類元素(RE)が挙げられる。
次に、希土類元素(RE)の濃度勾配を求めるときは、粒界付近から中央部の中心の位置までの範囲で、その中心へ向けて引いた直線上のほぼ等間隔に位置する点とし、粒界付近と、粒界からおおよそ20nmおよび200nmの深さ(図2(a)(b)にdと記す)において分析した値から求める。この場合、結晶粒子9の粒界(0〜1nm)における希土類元素(RE)の濃度からそれぞれ深さ19〜21nmおよび195〜205nmにおける希土類元素(RE)の濃度を引いた値(希土類元素の濃度)を、その分析した範囲(例えば、20nm−0nm=20nm、200nm−0nm=200nm)の距離で除して濃度勾配を求める。この後、各結晶粒子9についてそれぞれ希土類元素(RE)の濃度勾配を求めることにより第1の結晶群の結晶粒子9aと第2の結晶群の結晶粒子9bとを決定する。
なお、結晶粒子9がコアシェル構造であるという判定は、上述の希土類元素(RE)の濃度勾配の測定結果から判断することができる。この場合、希土類元素(RE)の濃度勾配が0.05原子%/nm以上であるものをコアシェル構造とする。また、結晶粒子9がコアシェル構造であることは、誘電体磁器を粉砕した試料のX線回折パターンから、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(004)面および(400)面の間に現れるチタン酸バリウムの立方晶系を示す(004)面((040)面、(400)面が重なっている。)の回折強度が、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(400)面および(004)面のうちのいずれか一方の回折強度と同等かもしくはそれよりも大きくなっているパターンからも判定することが可能である。
第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bのそれぞれの平均粒径は、誘電体磁器の断面を研磨(イオンミリング)した研磨面について、透過電子顕微鏡にて映し出されている画像をコンピュータに取り込んで、その画像上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子の面積を求めて、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子30個の平均値より求める。この場合、先に結晶粒子9中から希土類元素(RE)の濃度あるいは濃度勾配を求めた結果に基づいて結晶粒子9aと結晶粒子9bとを区別し、それぞれ平均値を求めて結晶粒子9a、9bの平均粒径を求める。
また、誘電体磁器を構成する第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの合計の面積に対する第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積割合は、上記平均粒径を求める際に用いたデータを使って算出する。
また、誘電体磁器を構成する結晶粒子9a、9bについて、その構成比b/(a+b)を0.4〜0.6にした場合には、高温負荷状態での比誘電率の温度変化率を−49.9%以下にすることができる。
さらに、本実施形態のコンデンサでは、誘電体磁器が、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、イットリウムをY換算で1.0〜2.0モル含有することが望ましく、これにより高温負荷状態での比誘電率の温度変化率を−49.5%より小さくすることができる。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、所望の誘電特性を維持できる範囲であれば、前記した成分以外に他の成分を含んでいてもよく、例えば、焼結性を高めるための助剤としてガラス成分や他の添加成分を誘電体磁器中に0.5〜2質量%の割合で含有させることが可能である。
次に、本実施形態のコンデンサを製造する方法について説明するが、以下に記載する製造方法は一例であり、この方法のみに限定されるものではない。まず、原料粉末として、純度が99質量%以上のチタン酸バリウム粉末(以下、BT粉末という。)と、V粉末と、MgO粉末と、MnCO粉末と、Y粉末と、Tb粉末、Dy粉末、Ho粉末、Er粉末およびGd粉末の群から選ばれる少なくとも1種とを準備する。
ここで、BT粉末の平均粒径は0.10〜0.35μm、特に0.15〜0.30μmが好ましい。添加剤であるV粉末、MgO粉末、MnCO粉末、Y粉末あるいは、Tb粉末、Dy粉末、Ho粉末、Er粉末およびGd粉末についても、平均粒径はBT粉末と同等、もしくはそれ以下のものを用いることが好ましい。
次いで、これらの原料粉末を用いてスラリーを調製するが、本実施形態のコンデンサを製造する場合には、誘電体磁器を形成するために用いるBT粉末の全量のうち、焼成後に第2の結晶群の結晶粒子9bを形成する比率に相当する分量を予め小分けし、小分けしたBT粉末に、添加する希土類元素(RE)の酸化物粉末のうち、こちらも小分けしたBT粉末の比率に相当するモル比の希土類元素(RE)を添加し、コーティング処理を行う。コーティング処理はそれぞれ所定量のBT粉末と希土類元素(RE)の酸化物粉末とを混合した後、450〜800℃の温度での仮焼による。
次に、希土類元素(RE)の酸化物粉末をコーティング処理したBT粉末(以下、被覆粉末という。)と、希土類元素(RE)の酸化物粉末をコーティング処理していない残りのBT粉末と、残りの希土類元素(RE)の酸化物粉末と、V粉末、MgO粉末、MnCO粉末およびY粉末等の添加剤粉末とをそれぞれ所定量添加して誘電体粉末を調製する。
次に、上記のように配合して調製した誘電体粉末に専用の有機ビヒクルを加えてセラミックスラリを調製し、次いで、ドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシートを形成する。この場合、セラミックグリーンシートの厚みは誘電体層5の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜6μmが好ましい。
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面上に矩形状の内部電極パターンを印刷して形成する。内部電極パターンとなる導体ペーストはNi、Cuもしくはこれらの合金粉末が好適である。
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねてシート積層体を形成する。この場合、シート積層体中における内部電極パターンは、長手方向に半パターンずつずらしてある。
次に、シート積層体を格子状に切断して、内部電極パターンの端部が露出するようにコンデンサ本体成形体を形成する。このような積層工法により、切断後のコンデンサ本体成形体の端面に内部電極パターンが交互に露出されるように形成できる。
次に、コンデンサ本体成形体を脱脂した後焼成する。焼成温度は、本実施形態におけるBT粉末および被覆粉末への添加剤の固溶と結晶粒子の粒成長を抑制するという理由から1200〜1300℃が好ましい。
また、焼成後に、再度、弱還元雰囲気にて熱処理を行う。この熱処理は還元雰囲気中での焼成において還元された誘電体磁器を再酸化し、焼成時に還元されて低下した絶縁抵抗を回復するために行うものである。その温度は結晶粒子9の粒成長を抑えつつ再酸化量を高めるという理由から900〜1100℃が好ましい。こうして高温負荷状態においても比誘電率の温度変化率の小さい誘電体磁器を得ることができる。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを行い外部電極3を形成する。また、この外部電極3の表面には実装性を高めるためにメッキ膜を形成しても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明のコンデンサを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、原料粉末として、BT粉末と、V粉末と、MgO粉末と、MnCO粉末と、Y粉末と、Tb粉末、Dy粉末、Ho粉末、Er粉末およびGd粉末の群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)の酸化物粉末(以下、希土類元素の酸化物粉末という。)を準備し、これらの各種粉末を以下の手順で混合して、誘電体粉末の組成が最終的に表1、表2に示す割合になるよう調製した。これらの原料粉末は純度が99.9質量%のものを用いた。BT粉末は平均粒径が0.2μmのものを用いた。V粉末、MgO粉末、MnCO粉末、Y粉末、希土類元素の酸化物粉末は平均粒径が約0.1μmのものを用いた。BT粉末のBa/Ti比はいずれも1とした。
BT粉末に希土類元素の酸化物粉末をコーティング処理して付着させた粉末(以下、被覆粉末という。)を調製する場合には、用いるBT粉末および希土類元素の酸化物粉末の全量のうち、誘電体磁器中に形成する第2の結晶群の結晶粒子の割合に応じたBT粉末の分量と、この小分けしたBT粉末の比率に対応する割合の希土類元素の酸化物粉末をそれぞれ秤量し、これらの粉末をボールミルを用いて混合した後、セラミックス製の容器に入れ、500℃、1時間の熱処理を行った。こうして被覆粉末を調製した。
次に、被覆粉末に、残りのBT粉末と、残りの希土類元素の酸化物粉末と、V粉末と、MgO粉末と、MnCO粉末と、Y粉末とを添加して誘電体粉末を調製した。
この場合、被覆粉末とBT粉末との混合比は、被覆粉末が第2の結晶群の結晶粒子に対応し、また、BT粉末が第1の結晶群の結晶粒子に対応するように、表1のb/(a+b)比になるようにした。
焼結助剤はSiO=55、BaO=20、CaO=15、LiO=10(モル%)組成のガラス粉末を用いた。ガラス粉末の添加量はBT粉末100質量部に対して1質量部とした。
次に、これらの原料粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合しセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み2μmのセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンに用いた導体ペーストは、Ni粉末は平均粒径0.3μmのものを、共材としてグリーンシートに用いたBT粉末をNi粉末100質量部に対して30質量部添加した。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを300枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸法に切断して積層成形体を形成した。
得られた積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃にて脱バインダ処理を行い、同じ昇温速度で加熱した後、500℃からの昇温速度を300℃/hとし、水素−窒素中、1250℃で2時間焼成し、次いで、300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却した後、窒素雰囲気中1000℃で4時間の加熱処理(再酸化処理)を施し、300℃/hの降温速度で冷却してコンデンサ本体を作製した。このコンデンサ本体のサイズは積層セラミックコンデンサの型式で3216型に適合するサイズとした。誘電体層の平均厚みは3.6μm、内部電極層の1層の有効面積は3.54mmであった。ここで、有効面積とは、コンデンサ本体の異なる方向の端面に露出するように形成される内部電極層同士が重なる面積のことである。
なお、試料No.36、84については、希土類元素(Tb)の酸化物粉末の全量を後添加(コーティング処理に用いたもの無し)して調製したものである。試料No.37、85は、全量の希土類元素(Tb)の酸化物粉末と全量のBT粉末とを混合して被覆粉末を調製し、これにV粉末と、MgO粉末と、MnCO粉末と、Y粉末と、焼結助剤とを添加したものである。試料No.38、86は、平均粒径が0.1μmのBT粉末を用いて調製した被覆粉末と、平均粒径が0.45μmのBT粉末とを混合して調製したものである。試料No.39、87は、被覆粉末を調製するBT粉末として平均粒径が0.2μmのものを用い、後添加するBT粉末(表1において第1の結晶群の結晶粒子に対応する結晶粒子)として平均粒径が50nmのものを用いたものである。試料No.40、41、46〜48、54、88、89、97〜99および105は、本焼成する際の500℃から最高温度までの昇温速度を変更したものであり、試料No.40、88は1000℃/h、試料No.41、89は1500℃/h、試料No.46、97は1300℃/h、試料No.47、98は150℃/h、試料No.48、99は1900℃/h、試料No.54、105は1100℃/hである。
試料No.49、100は、被覆粉末となるBT粉末として平均粒径が50nmのBT粉末を用いたものである。
試料No.50〜53、101〜104は、被覆粉末を調製する際の仮焼温度を変更したものであり、試料No.50、101は450℃、試料No.51、102は650℃、試料No.52、103は300℃および試料No.53、104は950℃である。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層型のコンデンサを作製した。
<評価>
得られた積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。ここで、比誘電率、誘電損失、静電容量の温度特性の評価はいずれも試料数10個とし、その平均値を求めた。
(1)比誘電率および高温DCバイアス特性
静電容量を温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧1Vrmsの測定条件で測定し、得られた静電容量から誘電体層の厚み、内部電極層の全層の有効面積の和および真空の誘電率をもとに換算して求めた。
(2)誘電損失
静電容量と同条件で測定した。
(3)比誘電率の温度特性
静電容量を温度125℃で測定して25℃のときの静電容量に対する変化率を求めた。また、25Vおよび50Vの直流電圧を印加して、125℃での静電容量を測定し、無負荷(DC=0V)状態で25℃のときの静電容量に対する変化率を求めた。
(4)高温負荷試験
温度170℃において、印加電圧170Vの条件で行った。高温負荷試験での試料数は各試料30個とし、故障確率が50%に達したときの時間である平均故障時間を調べた。
(5)結晶粒子中の希土類元素(RE)の濃度、濃度勾配および結晶粒子比(b/(a+b))ならびに結晶粒子の平均粒径の測定
結晶粒子中の希土類元素(RE)の濃度分布については、誘電体磁器の断面を研磨した後、透過型電子顕微鏡に付設のモニターに映し出された画像上で結晶粒子が約30個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、元素分析機器を付設した透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行った。なお、本実施例では、結晶粒子が約30個入る円を単位面積とした。このとき選択する結晶粒子は、その輪郭から画像処理にて各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、求めた結晶粒子の直径がおおよそ0.08〜0.60範囲にある結晶粒子とした。分析を行うときの電子線のスポットサイズは0.5〜2nmとし、分析する箇所は、結晶粒子の粒界から20nm(±1nm)の深さの位置とした。具体的に結晶粒子中の希土類元素(RE)の濃度を求めるときには、結晶粒子の中心部に電子線を当てて、得られたX線の出力から結晶粒子に含まれる主要な元素(バリウム(Ba)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)および希土類元素(RE))の量を100原子%として求め、この中から希土類元素(RE)の割合を求めた。
次に、希土類元素(RE)の濃度勾配を求めるときは、分析する箇所は結晶粒子の粒界付近から中央部の中心の位置までの範囲で、その中心へ向けて引いた直線上のほぼ等間隔に位置する点とし、粒界付近と、粒界からおおよそ20nmおよび200nmの深さにおいて分析した値から求めた。この場合、結晶粒子の粒界(0〜1nm)における希土類元素(RE)の濃度からそれぞれ深さ19〜21nmおよび195〜205nmにおける希土類元素(RE)の濃度を引いた値(希土類元素の濃度)を、その分析した範囲(例えば、20nm−0nm=20nm、200nm−0nm=200nm)の距離で除して濃度勾配を求めた。この後、各結晶粒子についてそれぞれ希土類元素(RE)の濃度勾配を求めることにより第1の結晶群の結晶粒子9aと第2の結晶群の結晶粒子9bとを決定した。この分析を各試料5箇所行って平均値を求めた。
このような分析において、希土類元素(RE)の濃度勾配が0.0〜0.0原子%
を示した結晶粒子を「第1の結晶群を構成する結晶粒子」とし、希土類元素(RE)の濃度勾配が0.03原子%以下を示した結晶粒子を「第2の結晶群を構成する結晶粒子」とした。また、誘電体磁器を粉砕した試料についてX線回折を行い、回折パターンからコアシェル構造を判定した。この場合、結晶粒子がコアシェル構造であるものは、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(004)面および(400)面の間に現れるチタン酸バリウムの立方晶系を示す(004)面((040)面、(400)面が重なっている。)の回折強度が、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(400)面および(004)面のうちのいずれか一方の回折強度と同等かもしくはそれよりも大きくなっているものとした。

第1の結晶群を構成する結晶粒子および第2の結晶群を構成する結晶粒子のそれぞれの平均粒径は、誘電体磁器の断面を研磨(イオンミリング)した研磨面について、透過電子顕微鏡にて映し出されている画像をコンピュータに取り込んで、その画像上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子の面積を求めて、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子30個の平均値より求めた。この場合、先に結晶粒子中から希土類元素(RE)の濃度勾配を求めた結果に基づいて第1の結晶群の結晶粒子と第2の結晶群の結晶粒子とを区別し、それぞれ平均値を求めて結晶粒子の平均粒径を求めた。
誘電体磁器において、第1の結晶群を構成する結晶粒子および第2の結晶群を構成する結晶粒子の合計の面積に対する第2の結晶群を構成する結晶粒子の面積割合、b/(a+b)(但し、aは第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積を示し、bは第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積を示す)は、上記約30個について第1の結晶群の結晶粒子および第2の結晶群の結晶粒子のそれぞれの平均粒径を求めたデータから算出した。作製した試料のb/(a+b)比はいずれもBT粉末および被覆粉末の混合比に相当するものであった。
(6)試料の組成分析
得られた焼結体である試料の組成分析はICP分析および原子吸光分析により行った。この場合、得られた誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず、原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる元素の定性分析を行い、次いで、特定した各元素について標準液を希釈したものを標準試料として、ICP発光分光分析にかけて定量化した。また、各元素の価数を周期表に示される価数として酸素量を求めた。なお、マンガンについてはMnOに換算して求めた。分析した結果、誘電体層の組成はいずれの試料についても調合組成に一致していた。調合組成と特性の結果を表1〜4に示した。
表1、2、3および4の結果から明らかなように、希土類元素の酸化物粉末の一部をBT粉末に被覆し、残りを後添加して作製した試料No.1〜35、38〜83および86〜105では、誘電体磁器が希土類元素の濃度が0.1原子%以上の差を有する結晶粒子により構成されたものとなっており、125℃において、50V印加したときの高温バイアス特性が83%以内であった。
また、試料No.1〜3、6、7、10、13、14、17、19、20、23、24、27、28、31〜35、40、43、44〜47、50、51、54、55、56、59、60、63、66、67、70、72、73、76、77、80、81、88、91〜98、101、102および105では、誘電体磁器の室温(25℃)における比誘電率が1900以上であり、静電容量の温度特性がX7R特性を満足するとともに、25℃において直流電圧を負荷しない状態(無負荷状態)で測定した静電容量に対して、125℃において誘電体層に25Vの直流電圧を印加した状態で測定した静電容量の変化率(以下、125℃、25Vでの高温DCバイアス特性とする)を−50%以内(NPO(±0%)に近づく方向)にでき、さらに、170℃、170Vの直流電圧を印加の条件で評価される高温負荷寿命が25時間以上であった。
この中で、第2の結晶群の結晶粒子の希土類元素(RE)の濃度勾配を0.03原子%/nm以下とした状態で、第1の結晶群の結晶粒子の希土類元素(RE)の濃度勾配が0.05〜0.30原子%/nmであった試料(試料No.1〜3、6、7、10、13、14、17、19、20、23、24、27、28、31〜35、40、43、44、45、47、50、51、54、55、56、59、60、63、66、67、70、72、73、76、77、80、81、88、91〜96、98、101、102および105)では、コンデンサの高温負荷寿命が26時間以上であった。
また、誘電体磁器を構成する結晶粒子9a、9bの構成比b/(a+b)を0.4〜0.6にした試料No.No.1、2、6、7、10、13、14、17、19、20、23、24、28、31〜35、40、43、44〜47、50、51、54、55、56、59、60、63、66、67、70、72、73、76、77、81、88、91〜96、98、101、102および105では、125℃、25Vでの高温DCバイアス特性が−49.9%以内であった。
さらに、誘電体磁器の組成のうち、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、イットリウムをY換算で1.0〜2.0モルとした試料No.1、2、6、7、10、13、14、17、19、20、23、24、27、28、31〜35、40、43、44〜47、50、51、54、55、59、60、63、66、67、70、72、73、76、77、81、88、91〜96、98、101、102および105では、125℃、25Vでの高温DCバイアス特性が−49.5%より小さかった。
なお、試料No.1を基本組成として、Tb以外の希土類元素であるDy、Ho、Yb、Gd、Erを半分のモル量だけ置換した場合にも試料No.1と同等の結果が得られた。
これに対して、希土類元素の酸化物粉末の全量を一括にして被覆処理に用いるかまたは全量を一括にて添加して作製した試料No.36、37、84および85では、誘電体磁器を構成する結晶粒子が、希土類元素の濃度が0.05原子%以下であり、0.1原子%以上の差を有するものとはなっておらず、125℃において、50V印加したときの高温DCバイアス特性が−83%よりも大きかった。
また、表に示した試料の他に、表1、3における試料No.3に対して、平均粒径が0.1μmのBT粉末を用い、Vを0.15モルとした以外は同様の方法にてコンデンサの試料を作製し評価した。この場合、誘電体磁器を粉砕したX線回折パターンからは、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(004)面および(400)面の間に現れるチタン酸バリウムの立方晶系を示す(004)面((040)面、(400)面が重なっている。)の回折強度は、チタン酸バリウムの正方晶系を示す(400)面および(004)面の回折強度のいずれよりも小さくなっていた。また、結晶粒子中の希土類元素(Tb)の濃度勾配も0.02原子%/nmであり、希土類元素が結晶粒子中に多く固溶した状態であり、コアシェル構造を有するものではなかった。この試料は、125℃における50V印加での高温DCバイアス特性が−86%、誘電損失が6.7%と大きかった。
他の組成についても、誘電体磁器が、粒界から20nmの深さの位置における希土類元素(RE)の濃度が0.1原子%以上の差を有する2種以上の結晶粒子であることおよび結晶構造がコアシェル構造であることの両方を満足しないものは、125℃における50V印加での高温DCバイアス特性が−83%よりもマイナス側に大きくなっていた。
1・・・・コンデンサ本体
3・・・・外部電極
5・・・・誘電体層
7・・・・内部電極層
11・・・粒界相
9・・・・結晶粒子
9a・・・第1の結晶群を構成する結晶粒子
9b・・・第2の結晶群を構成する結晶粒子

Claims (5)

  1. チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子を有し、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびガドリニウムの群から選ばれる少なくとも1種の希土類元素(RE)を含有する誘電体磁器からなる誘電体層を備えており、前記結晶粒子は、粒界から20nmの深さの位置における、前記希土類元素(RE)の濃度が、0〜0.5原子%の第1の結晶群の結晶粒子と0.3〜0.9原子%の第2の結晶群の結晶粒子とで構成されており、前記第1の結晶群の結晶粒子と前記第2の結晶群の結晶粒子との前記希土類元素(RE)の濃度の差が0.1〜0.7原子%であり、結晶構造がコアシェル構造であることを特徴とするコンデンサ。
  2. 前記誘電体磁器が、バナジウムと、マグネシウムと、マンガンと、イットリウムとを含み、
    前記チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、
    前記バナジウムをV換算で0.05〜0.20モル、
    前記イットリウムをY換算で0.5〜2.0モル、
    前記マグネシウムをMgO換算で1.0〜3.0モル、
    前記マンガンをMnO換算で0.22〜0.50モル、
    前記希土類元素(RE)をRE換算で0.65〜2.80モル含み、
    前記結晶粒子は、粒界から20nmの深さの位置における、前記希土類元素(RE)の濃度が0.02〜0.42原子%である前記第1の結晶群および前記希土類元素(RE)の濃度が0.45〜0.70原子%である前記第2の結晶群により構成されており、
    前記第1の結晶群を構成する結晶粒子の平均粒径が0.10〜0.18μm、前記第2の結晶群を構成する結晶粒子の平均粒径が0.2〜0.5μmであるとともに、
    前記誘電体磁器の研磨面の単位面積当たりに見られる、前記第1の結晶群を構成する結晶粒子の面積をa、前記第2の結晶群を構成する結晶粒子の面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
  3. 前記第1の結晶群の結晶粒子および前記前記第2の結晶群の結晶粒子は、いずれも前記粒界から内部に向けて前記希土類元素(RE)の濃度が減少する濃度勾配を有し、前記第1の結晶群の結晶粒子は粒界から20nmの深さの範囲における前記濃度勾配が0.05〜0.30原子%/nmであり、前記第2結晶群の結晶粒子は、粒界から200nmの深さの範囲における前記希土類元素(RE)の濃度勾配が0.03原子%/nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ。
  4. 前記b/(a+b)が0.4〜0.6であることを特徴とする請求項に記載のコンデンサ。
  5. 前記イットリウムがY換算で1.0〜2.0モルであることを特徴とする請求項に記載のコンデンサ。
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