JP5701013B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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本発明は、チタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子により構成される誘電体磁器を誘電体層として用いる積層セラミックコンデンサに関する。
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が急速に進んでいる。それに伴い、積層セラミックコンデンサにおける1層あたりの誘電体層の薄層化が進み、薄層化してもコンデンサとしての信頼性を維持できる誘電体磁器が求められている。特に、高い定格電圧で使用される中耐圧用コンデンサの小型化、大容量化には誘電体磁器に対して非常に高い信頼性が要求される。
従来、内部電極層を構成する材料として卑金属を用いることができ、しかも静電容量の温度変化がEIA規格のX5R特性(−55〜85℃、ΔC=±15%以内)を満足する技術として、本出願人は、特許文献1に開示されている積層セラミックコンデンサを提案した。
この技術は、誘電体磁器をカルシウム濃度の異なる2種のチタン酸バリウムを主体とする結晶粒子によって形成し、これにバナジウム、マグネシウム、希土類元素およびマンガンなどを含有させることにより、比誘電率を向上させ、かつ絶縁抵抗(IR)の高温負荷試験での寿命特性を改善しようとしたものであった。
国際公開第2009/016860号パンフレット
しかしながら、上記特許文献1に開示された積層セラミックコンデンサは、室温(25℃)における比誘電率は4000以上を示すものの、誘電損失が大きく回路素子としての要求特性を満たさないという課題を有しており、また、中耐圧用コンデンサとして、さらなる信頼性の向上が求められている。
従って、本発明は、高誘電率かつ比誘電率の温度特性の安定性に優れるとともに、誘電損失が小さい誘電体層を有する積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
本発明の積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウムと、マンガンと、イットリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびエルビウムから選ば
れる1種の希土類元素(RE)とを含有する誘電体磁器からなる誘電体層と、内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面に設けられた外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体磁器が、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、マグネシウムをMgO換算で0.3〜1.5モル、マンガンをMnO換算で0.05〜0.3モル、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)をRE換算で0.3〜0.6モル含み、前記チタン酸バリウムを主体とし、前記マグネシウムの濃度が0.2原子%以下の結晶粒子からなる第1の結晶群と、前記チタン酸バリウムを主体とし、前記マグネシウムの濃度が0.3原子%以上の結晶粒子からなる第2の結晶群とを有し、前記第1の結晶群および前記第2結晶群のいずれも結晶粒子の結晶構造がペロブスカイト構造の正方晶系であり、前記誘電体磁器の研磨面に見られる前記第1の結晶群を構成する結晶粒子の面積をa、前記第2の結晶群を構成する結晶粒子の面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7であるとともに、前記第1の結晶群を構成する結晶粒子および前記第2の結晶群を構成する結晶粒子を合わせた平均粒径が0.15〜0.40μmであることを特徴とする。
また、上記積層セラミックコンデンサでは、前記誘電体磁器が、前記チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、さらに、バナジウムを 換算で0.05〜0.20モル含有することが望ましい。


なお、希土類元素をREとしたのは、希土類元素の英文表記(Rare earth)に基づくものである。また、本発明では、イットリウムは希土類元素に含まれるものとする。
本発明によれば、高誘電率かつ比誘電率の温度特性の安定性に優れるとともに、誘電損失が小さい誘電体層を有する積層セラミックコンデンサを得ることができる。
(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、図1の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の拡大図であり、結晶粒子および粒界相を示す模式図である。 本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層における結晶粒子に含まれるマグネシウムの濃度分布を示すグラフである。
本実施形態の積層セラミックコンデンサについて、図1の概略断面図をもとに詳細に説明する。図1(a)は、本発明の積層セラミックコンデンサの一例を示す概略断面図であり、(b)は、図1の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層の拡大図であり、結晶粒子および粒界相を示す模式図である。
本実施発明の積層セラミックコンデンサは、コンデンサ本体1の両端部に外部電極3が形成されている。外部電極3は、例えば、CuもしくはCuとNiの合金ペーストを焼き付けて形成されている。
コンデンサ本体1は、誘電体磁器からなる誘電体層5と内部電極層7とが交互に積層され構成されている。図1では誘電体層5と内部電極層7との積層状態を単純化して示しているが、本発明の積層セラミックコンデンサは誘電体層5と内部電極層7とが数百層にも及ぶ積層体となっている。
誘電体磁器からなる誘電体層5は、結晶粒子9と粒界相11とから構成されており、その平均厚みは5μm以下、特に、3μm以下が望ましく、これにより積層セラミックコンデンサを小型、高容量化することが可能となる。なお、静電容量のばらつきの低減および容量温度特性の安定化並びに高温負荷寿命の向上という点で、誘電体層5の平均厚みは1μm以上であることが望ましい。
内部電極層7は、高積層化しても製造コストを抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属が望ましく、特に、本発明における誘電体層5との同時焼成
が図れるという点でニッケル(Ni)がより望ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサにおける誘電体層5を構成する誘電体磁器は、チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウムと、マンガンと、イットリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)とを含有する。
また、この誘電体磁器は、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、マグネシウムをMgO換算で0.3〜1.5モル、マンガンをMnO換算で0.05〜0.3モル、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)をRE換算で0.3〜0.6モル含む。
また、この誘電体磁器は、結晶粒子として、チタン酸バリウムを主体とし、マグネシウムの濃度が0.2原子%以下の結晶粒子9aからなる第1の結晶群と、チタン酸バリウムを主体とし、マグネシウムの濃度が0.3原子%以上の結晶粒子9bからなる第2の結晶群とを含んでいる。
また、この誘電体磁器は、該誘電体磁器の研磨面に見られる第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積をa、前記第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7である。
さらに、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの平均粒径が0.15〜0.40μmである。
これにより、室温(25℃)における比誘電率が4500以上、誘電損失が10%以下であり、比誘電率の温度特性がX5R(25℃を基準にしたときの比誘電率の温度変化率が−55〜85℃において±15%以内)を満足する積層セラミックコンデンサを得ることができる。また、この積層セラミックコンデンサは、温度を140℃、電圧を9.45Vの条件での高温負荷試験において、平均故障時間が5時間以上という優れた寿命特性を有する。ここで、平均故障時間とは、高温負荷試験を行ったときに試験した試料の個数で表した故障率が50%に達したときの時間である。
すなわち、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、マグネシウムの含有量がMgO換算で0.3モルよりも少ないと、誘電損失が大きくなるとともに、比誘電率の温度特性が+側に大きく外れやすくなり、静電容量の温度特性であるX5Rの条件を満足しなくなり、また、高温負荷試験での寿命も短くなるおそれがある。一方、マグネシウムの含有量が1.5モルよりも多いと、室温(25℃)における比誘電率が4500より低くなる。
チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、マンガンの含有量がMnO換算で0.05モルよりも少ないと、誘電体層5の絶縁抵抗が低下するために、この場合も高温負荷試験での寿命が短くなるとともに、静電容量の温度特性であるX5Rの条件を満足しなくなり、また、誘電損失が大きくなる。一方、チタン酸バリウムを多いと、室温(25℃)における比誘電率が4500よりも低くなる。
チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)の含有量がRE換算で0.3モルよりも少ないと、静電容量の温度特性であるX5Rの条件を満足しなくなるとともに、高温負荷試験での寿命が短くなる傾向となり、一方、上記希土類元素の含有量がRE換算で0.6モルよりも多いと、室温(25℃)における比誘電
率が4500よりも低くなる。
図2は、本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層における結晶粒子に含まれるマグネシウムの濃度分布を示すグラフである。この例は、後述する実施例における試料No.1について評価したものである。
本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5は、マグネシウムの濃度が0.2原子%以下の結晶粒子9aからなる第1の結晶群と、チタン酸バリウムを主体とし、マグネシウムの濃度が0.3原子%以上の結晶粒子9bからなる第2の結晶群とが共存した組織を有している。このため高誘電率かつ比誘電率の温度特性の安定性に優れるとともに、誘電損失が小さくかつ高温負荷試験での寿命特性に優れたものとなる。なお、第2の結晶群を構成する結晶粒子9bに含まれるマグネシウムの濃度は、マグネシウムが固溶した結晶粒子9bの強誘電体材料としての特性を低下させないという理由から0.6原子%以下、特に、0.5原子%以下であることが望ましい。また、マグネシウムの濃度が0.3原子%以上である結晶粒子9bに含まれるマグネシウムは、図2の濃度分布のグラフからわかるように、結晶粒子の粒界から中心部にいたる全領域において一様な濃度分布をしている。また、このマグネシウムの濃度が0.3原子%以上である結晶粒子9bは、上記のように、マグネシウムを結晶粒子9bの中心部にまで含むものであるが、その結晶構造は、マグネシウムの濃度が0.2原子%以下の結晶粒子9aと同様に、チタン酸バリウムの結晶構造であるペロブスカイト構造を維持しており、正方晶系を示すものである。このため本実施形態の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体層5は、高誘電率となる。
ここで、結晶粒子9中のマグネシウムの濃度分布については、誘電体磁器の断面を研磨した後、透過型電子顕微鏡に付設のモニターに映し出された画像上で結晶粒子が約30個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、元素分析機器を付設した透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行う。このとき選択する結晶粒子9は、その輪郭から画像処理にて各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、求めた結晶粒子9の直径が平均粒径の±60%の範囲にある結晶粒子9とする。分析を行うときの電子線のスポットサイズは5nmとし、分析する箇所は結晶粒子9の粒界付近から中央部の中心の位置までの範囲で、その中心へ向けて引いた直線上のほぼ等間隔に位置する点とし、粒界付近と中心との間で8〜10点ほど分析した値から求める。この場合、結晶粒子9の粒界からの深さが20nmから120nmの範囲におけるマグネシウムの濃度の平均を結晶粒子9に含まれるマグネシウムの濃度とする。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサは、上述のように、結晶粒子9として、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aと第2の結晶群を構成する結晶粒子9bとを有するものであるが、その割合は、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積をa、第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7である。
即ち、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積と第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積との割合であるb/(a+b)が0.4よりも小さい場合には、静電容量の温度特性であるX5Rの条件を満足しなくなるとともに、高温負荷試験での寿命が短くなる。一方、b/(a+b)が0.7よりも大きい場合には比誘電率は4500よりも低くなる。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサは、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの平均粒径が0.15〜0.40μmである。
すなわち、第1の結晶群の結晶粒子9aおよび第2の結晶群の結晶粒子9bからなる結晶粒子9の平均粒径が0.15μmよりも小さい場合には比誘電率が4500よりも低いものとなり、第1の結晶群の結晶粒子9aおよび第2の結晶群の結晶粒子9bからなる結晶粒子1の平均粒径が0.40μmよりも大きい場合には比誘電率は高くなるものの高温負荷試験での寿命が短くなる。
ここで、第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bからなる結晶粒子9の平均粒径は、誘電体磁器の断面を研磨(イオンミリング)した研磨面について、透過電子顕微鏡にて映し出されている画像をコンピュータに取り込んで、その画面上で対角線を引き、その対角線上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子の面積を求めて、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子約50個の平均値より求める。
誘電体磁器を構成する第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの合計の面積に対する第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積割合は、上記平均粒径を求める際に用いた面積のデータを使って算出する。
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、前記誘電体磁器が、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、バナジウムを0.05〜0.20モル含有することが望ましい。上記組成とすることにより、誘電体磁器の絶縁抵抗が増加するため高温負荷試験での寿命を延ばすことが可能になる。
なお、希土類元素のなかでイットリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびエルビウムを含む場合は、チタン酸バリウムに固溶したときに異相が生成し難く、高い絶縁性を得ることができる。高温負荷試験での寿命を高められるという理由からイットリウムがより好ましい。
なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、所望の誘電特性を維持できる範囲であれば、前記した成分以外に他の成分を含んでいてもよく、例えば、焼結性を高めるための助剤としてガラス成分や他の添加成分を誘電体磁器中に0.5〜2質量%の割合で含有させることができる。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサを製造する方法について説明するが、以下に記載する製造方法は一例であり、この方法のみに限定されるものではない。まず、原料粉末として、純度が99質量%以上のチタン酸バリウム粉末(以下、BT粉末という。)およびチタン酸バリウムにマグネシウムが固溶した粉末(以下、BMT粉末という。)と、添加成分として、V粉末と、MgO粉末と、さらに、Y粉末、Dy粉末、Ho粉末およびEr粉末から選ばれる1種の希土類元素の酸化物粉末と、MnCO粉末とを準備する。ここで、BMT粉末はマグネシウム成分を予めBT粉末の表面に被覆し、700℃以下の温度に加熱してBT粉末中に固溶させたものを用いる。このため、後添加するMgO粉末の添加量は、予めBT粉末に被覆し固溶させたマグネシウム量を除いたものとする。
また、BT粉末およびBMT粉末の平均粒径は0.23〜0.33μm、特に0.25〜0.30μmが好ましい。BT粉末およびBMT粉末の平均粒径が0.23μm以上であると、第1の結晶粒子9aおよび第2の結晶粒子9bが高結晶性になるとともに、焼結時の粒成長を抑制できるために比誘電率の向上とともに誘電損失の低下が図れるという利点がある。
一方、BT粉末およびBMT粉末の平均粒径が0.33μm以下であると、マグネシウム、希土類元素およびマンガンなどの添加剤を第1の結晶粒子9aおよび第2の結晶粒子1bの表面付近に固溶させることが容易となる。また、後述するように、焼成前後において、BT粉末およびBMT粉末から、それぞれ第1の結晶群を構成する結晶粒子9aおよび第2の結晶群を構成する結晶粒子9bへの粒成長の比率を所定の範囲まで高められるという利点もある。
添加剤であるY粉末、Dy粉末、Ho粉末およびEr粉末から選ばれる1種の希土類元素の酸化物粉末、V粉末、MgO粉末、およびMnCO粉末についても、平均粒径はBT粉末およびBRT粉末などの誘電体粉末と同等、もしくはそれ以下のものを用いることが好ましい。
次いで、これらの原料粉末を、BT粉末およびBMT粉末を構成するチタン100モルに対して、MgO粉末を0.3〜1.5モル、MnCO粉末を0.05〜0.3モル、Y粉末、Dy粉末、Ho粉末およびEr粉末から選ばれる希土類元素(RE)をRE換算で0.3〜0.6モルの割合で配合する。場合によっては、V粉末を、BT粉末およびBRT粉末を構成するチタン100モルに対して、0.05〜0.20モルの割合で添加する。
次に、上記のように配合して調製した誘電体粉末に専用の有機ビヒクルを加えてセラミックスラリを調製し、次いで、ドクターブレード法やダイコータ法などのシート成形法を用いてセラミックグリーンシートを形成する。この場合、セラミックグリーンシートの厚みは誘電体層5の高容量化のための薄層化、高絶縁性を維持するという点で1〜6μmが好ましい。
次に、得られたセラミックグリーンシートの主面上に矩形状の内部電極パターンを印刷して形成する。内部電極パターンとなる導体ペーストはNi、Cuもしくはこれらの合金粉末が好適である。
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを所望枚数重ねて、その上下に内部電極パターンを形成していないセラミックグリーンシートを複数枚、上下層が同じ枚数になるように重ねてシート積層体を形成する。この場合、シート積層体中における内部電極パターンは、長手方向に半パターンずつずらしてある。
次に、シート積層体を格子状に切断して、内部電極パターンの端部が露出するようにコンデンサ本体成形体を形成する。このような積層工法により、切断後のコンデンサ本体成形体の端面に内部電極パターンが交互に露出されるように形成できる。
次に、コンデンサ本体成形体を脱脂した後焼成する。焼成温度は、本実施形態におけるBT粉末およびBRT粉末への添加剤の固溶と結晶粒子の粒成長を抑制するという理由から1100〜1200℃が好ましい。
また、焼成後に、再度、弱還元雰囲気にて熱処理を行う。この熱処理は還元雰囲気中での焼成において還元された誘電体磁器を再酸化し、焼成時に還元されて低下した絶縁抵抗を回復するために行うものである。その温度は結晶粒子9の粒成長を抑えつつ再酸化量を高めるという理由から900〜1100℃が好ましい。こうして誘電体磁器が高誘電率および低誘電損失となり、かつ高絶縁性化し、X5R特性を示す積層セラミックコンデンサを作製することができる。
次に、このコンデンサ本体1の対向する端部に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを
行い外部電極3を形成する。また、この外部電極3の表面には実装性を高めるためにメッキ膜を形成しても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明の誘電体磁器および積層セラミックコンデンサを詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、原料粉末として、BT粉末、BMT粉末(マグネシウムの固溶量は、BT粉末100モルに対して、0.2モル)、MgO粉末、Y粉末、Dy粉末、Ho粉末、Er粉末、MnCO粉末およびV粉末を準備し、これらの各種粉末を表1に示す割合で混合した。これらの原料粉末は純度が99.9質量%のものを用いた。BT粉末およびBMT粉末の混合比は、BT粉末をaモルとし、BMT粉末をbモルとしたときに、モル比b/(a+b)が表2に示す割合になるように混合した。MgO粉末については、BMT粉末に固溶させた量を除いた量を後添加するようにした。
使用したBT粉末およびBMT粉末の平均粒径は、ともに0.25μmのものを用いた。MgO粉末、Y粉末、Dy粉末、Ho粉末、Er粉末、Tb粉末、MnCO粉末およびV粉末は平均粒径が0.1μmのものを用いた。BT粉末およびBRT粉末のBa/Ti比およびBa(RE)/Tiはいずれも1とした。焼結助剤はSiO=55、BaO=20、CaO=15、LiO=10(モル%)組成のガラス粉末を用いた。ガラス粉末の添加量はBT粉末100質量部に対して1質量部とした。
次に、これらの原料粉末を直径5mmのジルコニアボールを用いて、溶媒としてトルエンとアルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合した。湿式混合した粉末にポリビニルブチラール樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶媒を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボールを用いて湿式混合しセラミックスラリを調製し、ドクターブレード法により厚み2.5μmのセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの上面にNiを主成分とする矩形状の内部電極パターンを複数形成した。内部電極パターンに用いた導体ペーストは、Ni粉末は平均粒径0.3μmのものを、共材としてグリーンシートに用いたBT粉末をNi粉末100質量部に対して30質量部添加した。
次に、内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを350枚積層し、その上下面に内部電極パターンを印刷していないセラミックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し、プレス機を用いて温度60℃、圧力10Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸法に切断して積層成形体を形成した。
得られた積層成形体を10℃/hの昇温速度で大気中で300℃にて脱バインダ処理を行い、同じ昇温速度で加熱した後、500℃からの昇温速度を300℃/hとし、水素−窒素中、1150〜1160℃で2時間焼成し、次いで、300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却した後、窒素雰囲気中1000℃で4時間の加熱処理(再酸化処理)を施し、300℃/hの降温速度で冷却してコンデンサ本体を作製した。このコンデンサ本体のサイズは積層セラミックコンデンサの型式で1608型に適合するサイズとした。誘電体層の平均厚みは1.2μm、内部電極層の1層の有効面積は0.92mmであった。ここで、有効面積とは、コンデンサ本体の異なる方向の端面に露出するように形成される内部電極層同士が重なる面積のことである。
次に、焼成したコンデンサ本体をバレル研磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉
末とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製した。
<評価>
得られた積層セラミックコンデンサについて以下の評価を行った。ここで、比誘電率、誘電損失、静電容量の温度特性の評価はいずれも試料数10個とし、その平均値を求めた。
(1)比誘電率
静電容量を温度25℃、周波数1.0kHz、測定電圧1Vrmsの測定条件で測定し、得られた静電容量から誘電体層の厚み、内部電極層の全面積および真空の誘電率をもとに換算して求めた。
(2)誘電損失
静電容量と同条件で測定した。
(3)静電容量の温度特性
静電容量を温度85℃で測定して25℃のときの静電容量に対する変化率を求めた。
(4)高温負荷試験
温度140℃において、印加電圧9.45Vの条件で行った。高温負荷試験での試料数は各試料30個とし、故障確率が50%に達したときの時間である平均故障時間を調べた。
(5)第1の結晶群を構成する結晶粒子および第2の結晶群を構成する結晶粒子からなる結晶粒子の平均粒径
誘電体磁器の断面を透過電子顕微鏡にて観察可能となる状態まで研磨(イオンミリング)した研磨面について、透過電子顕微鏡にて映し出されている画像をコンピュータに取り込んで、その画面上で対角線を引き、その対角線上に存在する結晶粒子の輪郭を画像処理し、各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、算出した結晶粒子約50個の平均値として求めた。
(6)b/(a+b)の測定
結晶粒子中のマグネシウムの濃度分布については、誘電体磁器の断面を研磨した後、透過型電子顕微鏡に付設のモニターに映し出された画像上で結晶粒子が約30個入る円を描き、円内および円周にかかった結晶粒子を選択し、元素分析機器を付設した透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行った。このとき選択する結晶粒子は、その輪郭から画像処理にて各粒子の面積を求め、同じ面積をもつ円に置き換えたときの直径を算出し、求めた結晶粒子9の直径が平均粒径の±60%の範囲にある結晶粒子とした。分析を行うときの電子線のスポットサイズは5nmとし、分析する箇所は結晶粒子の粒界付近から中央部の中心の位置までの範囲で、その中心へ向けて引いた直線上のほぼ等間隔に位置する点とし、粒界付近と中心との間で8〜10点ほど分析した値から求めた。この場合、結晶粒子の粒界からの深さが20nmから120nmの範囲におけるマグネシウムの濃度の平均を結晶粒子に含まれるマグネシウムの濃度とした。このような分析において、マグネシウムの濃度が0.2原子%以下を示した結晶粒子を「第1の結晶群を構成する結晶粒子」とし、マグネシウムの濃度が0.2原子%以上を示した結晶粒子を「第2の結晶群を構成する結晶粒子」とした。誘電体磁器において、第1の結晶群を構成する結晶粒子および第2の結晶群を構成する結晶粒子の合計の面積に対する第2の結晶群を構成する結晶粒子の面積割合、b/(a+b)(但し、aは第1の結晶群を構成する結晶粒子9aの面積を示し、bは第2の結晶群を構成する結晶粒子9bの面積を示す)は、上記約50個について結晶粒子9a、9bの平均粒径を求めた面積のデータから算出した。
(7)試料の組成分析
得られた焼結体である試料の組成分析はICP分析および原子吸光分析により行った。この場合、得られた誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合し溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず、原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる元素の定性分析を行い、次いで、特定した各元素について標準液を希釈したものを標準試料として、ICP発光分光
分析にかけて定量化した。また、各元素の価数を周期表に示される価数として酸素量を求めた。なお、マンガンについてはMnOに換算して求めた。分析した結果、誘電体層の組成はいずれの試料についても調合組成に一致していた。調合組成と特性の結果を表1、2に示した。
表1、2の結果から明らかなように、本発明の試料No.1〜3、7、8、10、11、14〜16、18〜23、25〜28、30および31は、比誘電率が4500以上、誘電損失10%以下、比誘電率の温度変化がEIA規格のX5R特性を満足するものとなり、また、高温負荷試験での平均故障時間が、140℃、9.45Vの条件で5時間以上であった。
また、誘電体磁器が、チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、さらに、バナジウムを0.05〜0.20モル含有するものを誘電体層とした試料No.1〜3、7、8、11、14〜16、18〜23、25〜28、30および31は、比誘電率が4500以上、誘電損失10%以下、比誘電率の温度変化がEIA規格のX5R特性を満足し、高温負荷試験での平均故障時間が8時間以上であった。
これに対して、本発明の範囲外の試料No.4〜6、9、12、13、17、24、29および32〜35では、比誘電率が4500より低いか、誘電損失が10%より大きいか、比誘電率の温度変化がEIA規格のX5R特性を満足しないか、または、高温負荷試験の寿命特性が4時間以下であった。
1・・・・・コンデンサ本体
3・・・・・外部電極
5・・・・・誘電体層
7・・・・・内部電極層
9・・・・・結晶粒子
9a・・・・第1の結晶群を構成する結晶粒子
9b・・・・第2の結晶群を構成する結晶粒子
11・・・・粒界相

Claims (2)

  1. チタン酸バリウムを主成分とし、マグネシウムと、マンガンと、イットリウム、ジスプロシウム、ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)とを含有する誘電体磁器からなる誘電体層と、内部電極層とが交互に積層されたコンデンサ本体と、該コンデンサ本体の前記内部電極層が露出した端面に設けられた外部電極とを有する積層セラミックコンデンサであって、前記誘電体磁器が、
    チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、
    マグネシウムをMgO換算で0.3〜1.5モル、
    マンガンをMnO換算で0.05〜0.3モル、
    イットリウム,ジスプロシウム,ホルミウムおよびエルビウムから選ばれる1種の希土類元素(RE)をRE換算で0.3〜0.6モル含み、
    前記チタン酸バリウムを主体とし、前記マグネシウムの濃度が0.2原子%以下の結晶粒子からなる第1の結晶群と、前記チタン酸バリウムを主体とし、前記マグネシウムの濃度が0.3原子%以上の結晶粒子からなる第2の結晶群とを有し、
    前記第1の結晶群および前記第2結晶群のいずれ結晶粒子の結晶構造がペロブスカイト構造の正方晶系であり、前記誘電体磁器の研磨面に見られる前記第1の結晶群を構成する結晶粒子の面積をa、前記第2の結晶群を構成する結晶粒子の面積をbとしたときに、b/(a+b)が0.4〜0.7であるとともに、前記第1の結晶群を構成する結晶粒子および前記第2の結晶群を構成する結晶粒子を合わせた平均粒径が0.15〜0.40μmであることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記誘電体磁器が、前記チタン酸バリウムを構成するチタン100モルに対して、さらに、バナジウムを 換算で0.05〜0.20モル含有することを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
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