JP2007223703A - 原稿搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】読取位置において原稿を安定して搬送できる原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】ADF3は、縦断面視において横向き略U字形状の搬送路32と、搬送路32の読取位置より搬送方向上流側であって該読取位置より上側に配置された搬送ローラ35C及びピンチローラ37と、搬送路32の読取位置より搬送方向下流側であって該読取位置より上側に配置され、搬送ローラ35Cより速い原稿搬送速度で原稿を狭持して搬送する搬送ローラ35D及びピンチローラ37とを具備する。搬送路32は、搬送ローラ35Dのニップ位置71から反転搬送方向に延びる接線71より上側に延出されたスイッチバックパス39を有する。スイッチバックパス39に、搬送ローラ35Dと同等の搬送力で原稿を狭持して搬送するスイッチバックローラ43及びピンチローラ44が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、原稿供給位置から所定方向に延出され、搬送方向を反転させるべく下側へ湾曲されて読取位置に至り、該読取位置から上記搬送方向と反対方向の反転搬送方向へ原稿を案内する搬送路と、上記搬送路の読取位置より搬送方向上流側であって該読取位置より上側に配置され、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第1搬送ローラ対と、上記搬送路の読取位置より搬送方向下流側であって該読取位置より上側に配置され、上記第1搬送ローラ対より速い原稿搬送速度で、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第2搬送ローラ対と、を具備する原稿搬送装置に関する。
従来より、コピー装置やスキャナ装置、コピー機能やスキャナ機能を併有する多機能装置等に搭載される画像読取装置が知られている。この画像読取装置において、給紙トレイから搬送路を経て排紙トレイへ原稿を搬送するADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿搬送装置を備えたものがある。また、第1面及び第2面の両面に印字された原稿を読み取るために、搬送途中において原稿をスイッチバックさせることにより原稿の先端と後端とを逆転させて、原稿の両面読取りのための搬送を行う自動原稿搬送装置がある(例えば、特許文献1参照)。
図15は、両面読取りが可能なADFを備えた従来の画像読取装置の搬送経路を示すものである。図15に示されるように、給紙トレイ100に第1面(1ページ目)を上向きにして載置された原稿Pが、給紙ローラ101により搬送路102へ給送される。搬送路102においては、原稿Pは適宜設けられた搬送ローラ103に搬送され、読取位置Xを通過する際に原稿Pの第1面がCCDやCIS等の画像読取手段により読み取られる。第1面を読み取られた後の原稿Pの後端をセンサが検知すると、排紙ローラ104は原稿の後端付近をニップした状態で停止される。
図16に示されるように、排紙ローラ104が逆転されることにより、原稿Pがスイッチバックパス105へ搬送される。原稿Pは、スイッチバックパス105から搬送路102の読取位置Xの上流側へ再び進入する。これにより、原稿Pの先端と後端とが逆転する。そして、原稿Pが搬送ローラ103により搬送され、読取位置Xを通過する際に原稿Pの第2面が画像読取手段により読み取られる。第2面を読み取られた後の原稿Pの後端をセンサが検知すると、再び排紙ローラ104は原稿の後端付近をニップした状態で停止され、その後、原稿Pはスイッチバックパス105を逆送される。スイッチバックパス105から搬送路102へ再び進入した原稿Pは、先端と後端とが再び逆転された状態、すなわち第1面を読取位置Xに対向させた状態となる。そして、原稿Pは、搬送路102を搬送されて第1面を下向きにして排紙トレイ106へ排紙される。これにより、原稿Pの第1面及び第2面の両面読取りが行われ、また、給紙トレイ100に積載された順序で排紙トレイ106へ原稿Pが排紙される。
特開平10−87108号公報
このようなADFによる原稿Pの搬送過程において、読取位置Xを通過する原稿Pは、読取位置Xの上流側及び下流側の搬送ローラ103にそれぞれニップされて搬送される。一般に、下流側の搬送ローラ103の周速度(ローラ面の速度)は、上流側の搬送ローラ103の周速度より速く設定される。これにより、読取位置Xにおいて、下流側の搬送ローラ103に引っ張られるように原稿Pが搬送され、原稿Pにたるみが生じることがない。
原稿Pの搬送方向後端が、読取位置Xの上流側の搬送ローラ103を抜ける際には、読取位置の上流側及び下流側の各搬送ローラ103により原稿Pに付与されていたテンションが開放されるので、原稿Pの挙動が不安定になると考えられる。一般に、読取位置の上流側及び下流側の各搬送ローラ103の周速度差は、このような原稿Pの不安定な挙動が起こらない範囲で設定される。しかし、下流側の搬送ローラ103のさらに下流側にも排紙ローラ104が配置され、この排紙ローラ104の周速度が原稿Pの挙動に影響することが考えられる。また、搬送路102の搬送パスの形状やスイッチバックパスが別途も受けられた場合には、読取位置より下流側における搬送パスの形状により原稿Pの挙動が変化することも考えられる。このように、原稿Pの挙動に影響を与える要素が組み合わされた結果、読取位置における原稿Pの挙動が不安定になり、ラインセンサ等の画像読取手段による原稿Pの画像読取りに悪影響を与えるおそれがある。しかし、原稿Pの挙動に影響を与える要素は不明な点が多く、すべてを考慮した上で読取位置において安定した原稿Pの搬送を実現することは難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、読取位置において原稿を安定して搬送できる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明に係る原稿搬送装置は、原稿供給位置から所定方向に延出され、搬送方向を反転させるべく下側へ湾曲されて読取位置に至り、該読取位置から上記搬送方向と反対方向の反転搬送方向へ原稿を案内する搬送路と、上記搬送路の読取位置より搬送方向上流側であって該読取位置より上側に配置され、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第1搬送ローラ対と、上記搬送路の読取位置より搬送方向下流側であって該読取位置より上側に配置され、上記第1搬送ローラ対より速い原稿搬送速度で、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第2搬送ローラ対と、を具備し、上記搬送路は、上記第2搬送ローラ対のニップ位置から反転搬送方向に延びる第2搬送ローラ対の接線より上側に延出された読取後搬送パスを有し、上記読取後搬送パスに、上記第2搬送ローラ対と同等の搬送力で、上記第2搬送ローラ対に狭持されて搬送される原稿を狭持して搬送する第3搬送ローラ対が設けられたものである。
原稿搬送が開始されると、原稿供給位置から搬送路へ原稿が給送される。搬送路に給送された原稿は、原稿供給位置から所定方向に搬送された後、搬送方向を反転させるべく下側へ湾曲されて読取位置に至り、読取位置から上記搬送方向と反対方向の反転搬送方向へ搬送される。このような搬送過程において、原稿は、第1搬送ローラ対に狭持されて読取位置へ搬送され、読取位置を通過した原稿の搬送方向先端は、続いて、第2搬送ローラ対に狭持される。そして、搬送方向先端側を第2搬送ローラ対に狭持され、且つ搬送方向後端側を第1搬送ローラ対に狭持された状態で、読取位置に対向されて原稿が搬送される。
第2搬送ローラ対は、第1搬送ローラ対より速い原稿搬送速度で原稿を狭持して搬送するので、原稿の搬送方向先端が第2搬送ローラ対に速やかに狭持される。そして、読取位置へ向かって下側へ膨らむように湾曲された原稿は、搬送路に沿ってテンションが付与されるので、読取位置において原稿にたるみなどが生じない。
搬送路は、第2搬送ローラ対のニップ位置から反転搬送方向に延びる読取後搬送パスを有する。読取後搬送パスは、第2搬送ローラ対のニップ位置における接線より上側に延出されている。したがって、第2搬送ローラ対を通過した原稿は、読取後搬送パスによって上側へ反り上がるように案内される。読取後搬送パスに案内された原稿は第3搬送ローラ対に狭持される。第3搬送ローラ対は、第2搬送ローラ対と同等の搬送力で、原稿を狭持して搬送する。これにより、第3搬送ローラ対により、読取位置における原稿のテンションの変化が少なく、原稿の搬送方向後端が第1搬送ローラ対を抜けた際の挙動が安定する。なお、搬送ローラ対の搬送力とは、原稿を搬送方向へ搬送する力であり、2つの搬送ローラ対に狭持されて搬送される原稿において、2つの搬送ローラ対の搬送力が異なると、搬送力の差に相当する負荷が原稿に加わる。この搬送力は、例えば、搬送ローラ対の周速度やニップ力(狭持力)、搬送ローラ対に付与される回転トルク等によって変動される。
(2) 上記第3搬送ローラ対は、上記第2搬送ローラ対と同等の周速度で回転されるものが好適である。
前述されたように、第1搬送ローラ対及び第2搬送ローラ対に狭持されて読取位置を搬送されている原稿の搬送方向先端が、第3搬送ローラ対に狭持されることにより、該原稿は、搬送方向先端側を第3搬送ローラ対に狭持され、搬送方向後端側を第1搬送ローラ対に狭持された状態で搬送される。第3搬送ローラ対は、第2搬送ローラ対と同等の周速度で回転されるので、第3搬送ローラ対に原稿が狭持されて搬送されることにより、原稿がさらに引っ張られることがない。つまり、原稿のテンションが変動しない。
(3) また、上記第3搬送ローラ対は、上記第2搬送ローラ対より弱いニップ圧で原稿を狭持するものが好適である。
前述されたように、第1搬送ローラ対及び第2搬送ローラ対に狭持されて読取位置を搬送されている原稿の搬送方向先端が、第3搬送ローラ対に狭持されることにより、該原稿は、搬送方向先端側を第3搬送ローラ対に狭持され、搬送方向後端側を第1搬送ローラ対に狭持された状態で搬送される。第3搬送ローラ対は、第2搬送ローラ対より弱いニップ圧で原稿を狭持するので、第2搬送ローラ対と第3搬送ローラ対との関係において、原稿に負荷が生じると、第3搬送ローラ対による原稿の狭持が先に滑ることになる。これにより、読取位置に対向する原稿は、第1搬送ローラ対及び第2搬送ローラ対の設定速度差で搬送され、読取位置における挙動が安定する。なお、第3搬送ローラ対のニップ圧を弱くするには、第3搬送ローラ対を弾性付勢する付勢力を弱めるほか、第3搬送ローラ対のローラ面に原稿との摩擦を低減するコーティングを施すことが考えられる。
(4) 上記搬送路における上記第1搬送ローラ対から上記第3搬送ローラ対に至る搬送経路は、縦断面視において略S字形状をなすものが考えられる。
(5) 上記読取後搬送パスは、上記原稿供給位置より上側に延出されたものが考えられる。
(6) 上記第3搬送ローラ対は、原稿のスイッチバック搬送を行うものであってもよい。これにより、読取後原稿搬送パスをスイッチバックパスとして用いて、両面読取りのための原稿搬送が実現される。
(7) 上記読取後搬送パスの終端が装置外へ開口され、上記第3搬送ローラ対は、原稿の一部を該開口から装置外へ突出させてスイッチバック搬送を行うものである場合に、本発明が好適である。このような構造においては、スイッチバック搬送のために第3搬送ローラ対に所定のニップ圧が要求されるので、第3搬送ローラ対による原稿搬送が、読取位置における原稿の挙動に影響を与えやすいので、本発明の効果が特に顕著である。
(8) 上記第3搬送ローラ対は、上記開口から突出された原稿の一部を該開口より下側へ垂れ下がらせてスイッチバック搬送を行うものである場合に、本発明が好適である。原稿が垂れ下がることにより、該原稿を引き上げるようにスイッチバック搬送することになるので、第3搬送ローラ対により強いニップ圧が要求される。このような場合に、本発明の効果が特に顕著である。
(9) 上記搬送路は、上記読取位置に対向されるとともに、該読取位置から退避可能に弾性付勢された読取ガイドを有するものが考えられる。
読取位置において、原稿は、搬送方向先端が第2搬送ローラ対に狭持され、搬送方向後端が第1搬送ローラ対に狭持されて、搬送路に沿ってテンションが付与された状態で搬送される。読取ガイドは、この原稿のテンションに抗して弾性付勢されている。第2搬送ローラ対を通過した原稿は、読取後搬送パスによって上側へ反り上がるように案内されので、仮に、第3搬送ローラ対により読取位置の原稿にさらにテンションが付与されると、読取ガイドは弾性付勢に反して読取位置から退避される。そして、原稿の搬送方向後端が第1搬送ローラ対を抜けた際に、一時にテンションが開放され、読取ガイドが読取位置へ戻る。このような読取ガイドの挙動により原稿が不安定な挙動を示すおそれがあるが、本発明では、第3搬送ローラ対による読取位置における原稿のテンションの変化が少なく、原稿の搬送方向後端が第1搬送ローラ対を抜けた際の挙動が安定する。
このように、本発明に係る原稿搬送装置によれば、読取位置より下流側に配置された第2搬送ローラ対が、読取位置より上流側に配置された第1搬送ローラ対より速い原稿搬送速度で原稿を狭持して搬送するので、読取位置へ向かって下側へ膨らむように湾曲された原稿は、搬送路に沿ってテンションが付与されるので、読取位置において原稿にたるみなどが生じない。また、第2搬送ローラ対のニップ位置における接線より上側に延出された読取後搬送パスに配置された第3搬送ローラ対は、第2搬送ローラ対と同等の搬送力で原稿を狭持して搬送するので、第3搬送ローラ対により、読取位置における原稿のテンションの変化が少なく、原稿の搬送方向後端が第1搬送ローラ対を抜けた際の挙動が安定する。これにより、読取位置において、画像読取りに適した搬送精度で原稿を搬送することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置1の主要な構成を示すものである。図2は、画像読取装置1の内部構成を示す縦断面図である。図3は、交差位置40付近の搬送路32の構成を示す拡大図である。図4は、連結位置38付近の搬送路32の構成を示す拡大図である。図5は、第1フロントセンサ52の構成を示す拡大図である。
画像読取装置1は、例えば、コピー装置やファクシミリ装置、スキャナ装置、コピー機能やファクシミリ機構、スキャナ機能等を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1及び図2に示されるように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、原稿カバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。原稿カバー4には、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3が設けられている。このADF3が本発明に係る原稿搬送装置に相当する。
原稿載置台2の正面側には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、各種操作キー11と液晶表示部12とを有する。使用者は、操作パネル5を用いて、所望の指令を入力する。画像読取装置1は、所定の入力を受けて所定の動作を行う。画像読取装置1は、操作パネル5へ入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作される。
図2に示されるように、原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス20,21が配設されている。原稿カバー4が開かれることにより、プラテンガラス20,21が原稿載置台2の上面として露出される。原稿カバー4が閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含めて原稿載置台2の上面全体が覆われる。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス20,21に対向するようにして画像読取ユニット22(画像読取手段)が内蔵されている。
プラテンガラス20は、例えば透明なガラス板からなる。プラテンガラス20には、画像読取装置1がFBSとして使用される場合に原稿が載置される。原稿載置台2の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス20の領域がFBSにおける原稿読取領域である。
プラテンガラス21は、例えば透明なガラス板からなる。プラテンガラス21は、画像読取装置1のADF3が使用される場合の読取位置である。原稿載置台2の読取位置には、プラテンガラス21を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に、位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、プラテンガラス21と同様に、画像読取装置1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのために、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。位置決め部材23の上面には、ADF3によりプラテンガラス21上を通過する原稿をすくい上げるように偏向してADF3に戻すガイド面が形成されている。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号に変換するいわゆるラインイメージセンサである。画像読取ユニット22は、ADF3の搬送路32の幅方向を走査ラインとして、ADF3によりプラテンガラス21上を搬送される原稿の画像読取りを行う。画像読取ユニット22として、例えば、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサや縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどが用いられる。画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス20,21の下方を往復移動可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス20,21と平行に往復移動する。
原稿カバー4には、ADF3が設けられている。ADF3は、給紙トレイ30(原稿載置部)から搬送路32を通じて排紙トレイ31(原稿排出部)へ原稿を連続搬送する。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置へ搬送され、プラテンガラス21の下方において待機する画像読取ユニット22により該原稿の画像が読み取られる。給紙トレイ30と連結される搬送路32の一端が本発明の原稿供給位置に相当する。
図1及び図2に示されるように、原稿カバー4には、給紙トレイ30及び排紙トレイ31が設けられている。給紙トレイ30及び排紙トレイ31は、給紙トレイ30を上側として上下二段に構成されている。給紙トレイ30には、ADF3により画像読取りを行う原稿が載置される。複数枚の原稿が、第1面を上向きにした積層状態で給紙方向の先端を搬送路32に挿入するようにして、給紙トレイ30上に載置される。給紙トレイ30の装置背面側が下側へ曲折されることにより、防護壁26が形成されている。防護壁26の下端は原稿カバー4の上面に連結されている。この防護壁26により、原稿カバー4が原稿載置台2に対して開かれた際に、排紙トレイ31上の原稿が落下することが防止される。給紙トレイ30の装置正面側の下方においては、ADF3の筐体の一部に切り欠き27が形成されている。この切り欠き27により、排紙トレイ31に排紙された原稿の装置正面側からの視認性が高められている。特に、サイズの小さい原稿は、給紙トレイ30により視認され難いが、切り欠き27により、給紙トレイ30と排紙トレイ31との間の空間が拡げられるので、サイズの小さい原稿の視認性が特に高められる。
排紙トレイ31は、給紙トレイ30の下側に上下方向に隔てられた位置にあり、原稿カバー4の上面に一体的に形成されている。画像読取りが行われた原稿は、搬送路32から排紙トレイ31上に排出される。排紙トレイ31により、画像読取済みの原稿が、給紙トレイ30上の原稿と分離された状態に保持される。排紙トレイ31に排出された原稿は、その第1面を下にして積載される。排紙トレイ31の装置正面側及び装置背面側となる両側部分28は、両側へ向かって上方へ迫り上がった斜面である。この両側部分28により、排紙トレイ31に排出された原稿が取り出される際に、原稿を上から押さえるようにして両側部分28の斜面に沿って原稿を滑らせて引き出すことができるので、排紙トレイ31からの原稿の取り出しが容易である。
図2に示されるように、ADF3の内部には搬送路32が形成されている。搬送路32は、給紙トレイ30から水平方向に原稿カバー4の一端側(図2の左側)へ延出され、搬送方向(図2の左方向)を反転させるべく下側へ湾曲されてプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から上記搬送方向と反対方向の反転搬送方向(図2の右方向)へ原稿を案内し、排紙トレイ31へ連結されている。換言すれば、搬送路32は、縦断面視において横向き略U字形状である。搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。このように、給紙トレイ30と排紙トレイ31とが上下二段に設けられ、これらを連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の搬送路32が形成されることにより、ADF3の幅(図2の左右方向)が狭くなるので装置が小型化される。
搬送路32は、大別すれば、略U字形状において上下二段の直線部分をなす上側部分32A及び下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。また、搬送路32の上側部分32Aには、原稿Gnのたるみを許容する空間32Dが形成されている。搬送路32は、ADF3による原稿の片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿の搬送経路(搬送パス)として用いられる。
搬送路32には、給紙トレイ30から排紙トレイ31へ原稿を搬送するための原稿搬送手段が配設されている。詳細には、図に示すように、搬送路32にそれぞれ設けられた、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びピンチローラ37によって原稿搬送手段が構成されている。なお、原稿搬送手段を構成する各ローラには、駆動源であるモータ67(図6参照)から駆動力が伝達される。
図2に示されるように、搬送路32の最上流付近には、ピックアップローラ33及び分離ローラ34が搬送方向と直交する方向を回転軸として設けられている。ピックアップローラ33は、アーム29の先端部に回転自在に設けられている。アーム29は、基端側が分離ローラ34の軸に支持されて、先端側が上下動される。分離ローラ34は、ピックアップローラ33から給紙方向へ隔てられた位置に配置されている。分離ローラ34は、搬送路32の対向面に当接した状態で回転される。ピックアップローラ33及び分離ローラ34は、モータ67から駆動力が伝達されて回転駆動される。アーム29も、モータ67から駆動力が伝達されて上下動される。ピックアップローラ33及び分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。分離ローラ34の対向位置には、分離ローラ34のローラ面と圧接して、摩擦により原稿を分離する分離パッドが配設されている。
搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、搬送路32の異なる位置にそれぞれ配設されている。本実施形態では、分離ローラ34より搬送方向の直下流側に搬送ローラ35Aが配設され、搬送路32の上側部分32Aに搬送ローラ35Bが配設され、搬送路32の下側部分32Cであって読取位置より搬送方向の直上流側に搬送ローラ35Cが配設され、搬送路32の下側部分32Cであって読取位置より搬送方向の直下流側に搬送ローラ35Dが配設されている。搬送路32において、プラテンガラス21上の読取位置は最も下側になるので、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、いずれも読取位置より上側に配置されている。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ一対となるように設けられている。各ピンチローラ37は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、それぞれ一対となる各搬送ローラ35のローラ面に圧接されている。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dが回転すれば、これに従動してピンチローラ37も回転する。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと、これらと対になる各ピンチローラ37との間に原稿が進入すれば、各ピンチローラ37は弾性付勢に抗して退避される。各ピンチローラ37により、原稿が各搬送ローラ35に圧接されるように狭持され、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転力が原稿に伝達されて、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転方向に原稿が搬送される。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びこれらと一対になる各ピンチローラ37のうち、読取位置より搬送方向の上流側に配置された搬送ローラ35C及びピンチローラ37が、本発明における第1搬送ローラ対に相当する。また、読取位置より搬送方向の下流側に配置された搬送ローラ35D及びピンチローラ37が、本発明における第2搬送ローラ対に相当する。なお、これら以外の搬送ローラ35A,35Bの配置は一例であり、搬送路32に設けられる各搬送ローラの数や配置は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更されてもよい。
排紙ローラ36は、搬送路32の最下流付近に配設されている。排紙ローラ36は、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと同様に、モータ67から駆動力が伝達されて回転駆動される。排紙ローラ36の対向位置にもピンチローラ37がそれぞれ設けられている。ピンチローラ37は、バネにより弾性付勢されて、排紙ローラ36に圧接されている。
搬送路32がプラテンガラス21と対向する位置、つまり読取位置に対向する位置には、読取ガイド45が設けられている。読取ガイド45は、プラテンガラス21と同様に、装置の奥行き方向に長尺の部材である。読取ガイド45がプラテンガラス21と対向する面は原稿のガイド面である。そのガイド面は、搬送方向の上流側へ向かって上方へ反り上がっており、搬送路32の湾曲部32Bを搬送される原稿を滑らかにプラテンガラス21上に案内する。
読取ガイド45は、ADF本体に設けられた軸45Aにより回動可能に支持されている。軸45Aは搬送方向と直交する方向(図2の紙面垂直方向)に延設されている。軸45Aに支持された読取ガイド45は、その搬送方向下流側が上方へ退避するように回動される。図には示されていないが、読取ガイド45は、バネによりプラテンガラス21側へ弾性付勢されている。したがって、読取ガイド45は、外力が付与されない限り、常時プラテンガラス21に接触されている。読取ガイド45の長手方向の両端には、下方へ突出する突部が形成されており、該突部がプラテンガラス21に当接されることにより、プラテンガラス21と読取ガイド45のガイド面との間に所定の隙間が形成されている。搬送路32を搬送される原稿は、このプラテンガラス21と読取ガイド45のガイド面との隙間を通過する。
搬送路32の下側部分32Cの連結位置38には、スイッチバックパス39(読取後搬送パスに相当)が連結されている。スイッチバックパス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて読取位置の下流側から上流側の搬送路32へ戻すためのものである。スイッチバックパス39は、連結位置38から給紙トレイ30の上側へ向かって斜め上方へ延出されて、搬送路32の上側部分32Aと交差し、給紙トレイ30の上側に至っている。このスイッチバックパス39と搬送路32により、搬送ローラ35Cから後述されるスイッチバックローラ44へ至る搬送パスは、図2に示されるように、縦断面視において略S字形状をなしている。上側部分32Aとスイッチバックパス39との交差位置40からスイッチバック搬送された原稿が搬送路32へ戻される。
スイッチバックパス39は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37のニップ位置71から反転搬送方向(図2の右側)に延びる接線70より上側に延出されている。図2に示されるように、接線70は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37のニップ位置71を通過する。そして、ニップ位置71と搬送ローラ35Dの回転軸とを結ぶ直線は、接線70と直交する。搬送路32の下側部分32Cにおいて、読取位置から連結位置38までの搬送パスは、ほぼ接線70に沿って斜め上方に形成されている。そして、連結位置38から延出されるスイッチバックパス39は、接線70より上側に延出されて上側部分32Aと交差される。一方、連結位置38から排紙トレイ31へ至る搬送パスは、接線70より下側においてほぼ水平方向に延出されている。
スイッチバックパス39の終端41は、ADF3の外面(装置外)に開口されている。スイッチバックパス39の終端41から給紙トレイ30側には、終端41から水平方向へ延出された原稿支持部42が形成されている。原稿支持部42により、スイッチバックパス39の終端41から突出された原稿が支持される。また、原稿支持部42は、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側においてADF3の上カバー6をなしている。上カバー6は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を含めてADF3の全体を覆うように形成されており、ADF3の筐体(装置筐体)をなしている。上カバー6として構成された原稿支持部42は、終端41から給紙トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34による給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス39に進入して終端41からADF3の外側へ突出した原稿の一部が原稿支持部41上に支持されるので、給紙トレイ30に積載された原稿の給紙位置より下流側(図2左側)に垂れ下がることがない。
スイッチバックパス39の交差位置40より終端41側には、スイッチバックローラ43が配設されている。スイッチバックローラ43は、モータ67から駆動力が伝達されて、搬送方向と直交する方向を回転軸として正逆双方向に回転駆動される。スイッチバックローラ43の対向位置には、ピンチローラ44が設けられている。ピンチローラ44は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ43のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ43の回転に従動して回転する。ピンチローラ44がスイッチバックローラ43に対して弾性付勢される力は、ピンチローラ37が搬送ローラ35Dに対して弾性付勢される力より弱く設定されている。したがって、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37より弱いニップ圧で原稿を狭持する。ピンチローラ44により、原稿がスイッチバックローラ43に圧接されるように狭持され、スイッチバックローラ43の回転力が原稿に伝達されて、該原稿がスイッチバックローラ43の回転方向に搬送される。スイッチバックローラ43及びピンチローラ44による原稿の搬送力は、このニップ圧と後述される周速度によって調整されており、搬送ローラ35D及びピンチローラ37による原稿の搬送力とほぼ同等にされている。スイッチバックローラ43及びピンチローラ44が、本発明における第3搬送ローラ対に相当する。
図2及び図3に示されるように、交差位置40には、所望の搬送経路に原稿を案内するためのガイドフラップ46及びガイドフラップ47が配設されている。ガイドフラップ46は、交差位置40における搬送路32の読取位置側とスイッチバックパス39の連結位置38側との隅部(図3左下側)に設けられた軸48を中心に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ46は、羽根形状の平板であり、その先端が交差位置40に突出されている。図2及び図3においては、ガイドフラップ46は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ46が搬送路32の幅方向(図3の紙面垂直方向、装置奥行き方向)に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ46が一体に回動される。
ガイドフラップ46は、軸48を中心に回動されることにより、図3に実線で示された第3の案内姿勢と、2点鎖線で示した第4の案内姿勢とに姿勢変化される。ガイドフラップ46は、例えば、搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接されることにより、第3の案内姿勢から図3の下側に回動すること、及び第4の案内姿勢から図3の上側に回動することが制止されている。ガイドフラップ46が第3の案内姿勢となることにより、搬送路32の給紙トレイ30側(図3右側)から読取位置側(図3左側)への搬送経路が連続するとともに、搬送路32からスイッチバックパス39の連結位置38側(図3下側)への搬送経路が閉止される。これにより、搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の終端41側(図3上側)から交差位置40に到達した原稿は、搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46が第4の案内姿勢となることにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から終端41側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ搬送路32の読取位置側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ46は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図3に実線で示された第3の案内姿勢にある。スイッチバックパス39を連結位置38から交差位置40に向かって搬送される原稿がガイドフラップ46に当接することにより、ガイドフラップ46が図3の上側に押しやられるように回動されて、図3に2点鎖線で示された第4の案内姿勢になる。一方、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40に搬送された原稿は、ガイドフラップ46に当接するが、ガイドフラップ46は第3の案内姿勢から図3の下側へは回動しないように制止されているので、該原稿はガイドフラップ46に案内されて、搬送路32の上側部分32Aを読取位置側へ進入する。ガイドフラップ46の羽根形状は、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40へ搬送される原稿が搬送路32の読取位置側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ46を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ46をモータ67からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ46が実現される。
ガイドフラップ47は、交差位置40における搬送路32の給紙トレイ30側とスイッチバックパス39の終端41側との隅部(図3右上側)に設けられた軸49を中心に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ47は、羽根形状の平板であり、その先端が交差位置40に突出されている。図2及び図3においては、ガイドフラップ47は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ47が搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ47が一体に回動される。
ガイドフラップ47は、軸49を中心に回動されることにより、図3に実線で示された第5の案内姿勢と、2点鎖線で示した第6の案内姿勢とに姿勢変化される。ガイドフラップ47は、例えば、搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接されることにより、第5の案内姿勢から図3の右側に回動すること、及び第6の案内姿勢から図3の上側に回動することが制止されている。ガイドフラップ47が第5の案内姿勢となることにより、スイッチバックパス39の終端41側から搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40に到達した原稿は、搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ給紙トレイ30側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47が第6の案内姿勢となることにより、搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、搬送路32の給紙トレイ30側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。これにより、搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の終端41側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ47は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図3に実線で示された第5の案内姿勢にある。搬送路32の給紙トレイ30側から搬送される原稿がガイドフラップ47に当接することにより、ガイドフラップ47が図3の左側に押しやられるように回動して、図3に2点鎖線で示された第6の案内姿勢になる。一方、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に搬送された原稿が、仮にガイドフラップ47に当接したとしても、ガイドフラップ47は第5の案内姿勢から図3の右側へは回動しないように制止されているので、該原稿はガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側へ進入する。ガイドフラップ47の羽根形状は、搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿がスイッチバックパス39の終端41側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ47を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ47をモータ67からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ47が実現される。
図2及び図4に示されるように、連結位置38には、ガイドフラップ50が配設されている。ガイドフラップ50は、軸51を中心に回動可能に配設されており、モータ67から駆動力が伝達されることにより、図4に実線で示された第1の案内姿勢と2点鎖線で示された第2の案内姿勢とに回動される。ガイドフラップ50は、例えば、搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接されることにより、第1の案内姿勢から図4の上側に回動すること、及び第2の案内姿勢から図4の下側に回動することが制止されている。ガイドフラップ50が第1の案内姿勢にある場合には、搬送路32の読取位置側(図4左側)から排紙トレイ31側(図4右側)への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、搬送路32の下側部分32Cを排紙トレイ31へ向かって連結位置38を案内される。ガイドフラップ50が第2の案内姿勢にある場合には、搬送路32の下側部分32Cの読取位置下流側からスイッチバックパス39への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、スイッチバックパス39へ進入するように連結位置38を案内される。このようにして、ガイドフラップ50は、連結位置38において原稿を搬送路32又はスイッチバックパス39のいずれかに案内可能に配設されている。なお、図2及び図4においては、ガイドフラップ50は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ50が搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ50が一体に回動される。
図2に示されるように、搬送路32及びスイッチバックパス39には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されている。また、搬送路32の読取位置の直上流側にリアセンサ54が配設されている。搬送路32におけるスイッチバックパス39の連結位置38と交差位置40との間には、スイッチバックセンサ55が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、検出する位置の違いにより検出子の形状等が異なる他は同様の構成をなすものなので、第1フロントセンサ52を例に構成を説明する。
第1フロントセンサ52は、図5に示されるように、検出子56と、検出子56の回動を検出するフォトインタラプタ57とからなる。検出子56は、搬送路32の下面から突出されるとともに、原稿と接触することにより搬送路32から退避するように軸59を中心に回動される。検出子56には、フォトインタラプタ57により検知される遮蔽部58が一体的に形成されている。検出子56は、不図示のバネ等の付勢手段により、検出子56が搬送路32に突出する位置に、すなわち図5において時計回り方向へ弾性付勢されている。検出子56に外力が付与されない状態では、図5に実線で示されるように、検出子56が搬送路32に突出され、遮蔽部58はフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間に位置される。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されて、第1フロントセンサ52がオフとなる。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、該原稿が検出子56に当接して、検出子56が搬送路32から退避するように反時計回りに回動される。検出子56とともに遮蔽部58も回動され、図5に2点鎖線で示されるように、遮蔽部58がフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間から離れる。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されなくなり、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。
分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、搬送路32に給送された原稿の先端又は後端を検知する。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数がエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視されることにより、搬送路32における原稿の先端又は後端の位置が判断される。
読取位置の直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知する。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数がエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視されることにより、原稿の先端又は後端が読取位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置に到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置に到達すれば画像読取りが終了される。
スイッチバックパス39の連結位置38と交差位置40との間に配設されたスイッチバックセンサ55は、そのオン/オフにより、スイッチバックパス39を搬送される原稿の先端又は後端を検知する。例えば、スイッチバックセンサ55が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びスイッチバックローラ43の回転数がエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視されることにより、原稿の後端が交差位置40を通過したか否かが判断される。
図6は、画像読取装置1の制御部60(制御手段)の構成を示す図である。制御部60は、図6に示されるように、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)64を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス65を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)66に接続されている。
ROM62には、画像読取装置1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM63は、CPU61が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM64は、電源オフ後も記録を保持すべき各種設定やフラグ等を格納する記憶領域である。
ASIC66は、CPU61からの指令に従い、モータ67に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をモータ67の駆動回路68に付与し、駆動回路68を介して駆動信号をモータ67に通電することにより、モータ67の回転制御を行っている。モータ67は、正逆双方向に回転することにより、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ(SBローラ)43及びガイドフラップ50に駆動力を付与する。つまり、モータ67は、ADF3における駆動源である。
駆動回路68は、モータ67を駆動させるものであり、ASIC66からの出力信号を受けて、モータ67を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてモータ67が所定の速度で所定の回転方向に回転し、モータ67の回転力が駆動力伝達機構をそれぞれ介して、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50に伝達される。
ASIC66には、ADF3により読取位置へ搬送される原稿の画像読取りを行う画像読取ユニット22が接続されている。ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、画像読取ユニット22は原稿の画像読取りを行う。なお、図6には示されていないが、画像読取ユニット22を往復動させるための駆動機構も、ASIC66からの出力信号を受けて動作される。
ASIC66には、第1フロントセンサ52、第2フロントセンサ53、リアセンサ54及びスイッチバックセンサ(SBセンサ)55が接続されている。CPU61は、これら各センサのオン/オフを受け、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、ASIC66に所定の出力信号を出力させて、モータ67や画像読取ユニット22を動作させる。
モータ67から駆動力伝達機構をそれぞれ介して、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ43に駆動力が伝達されることにより、各ローラは所定の周速度(ローラ面の速度、原稿搬送速度に相当)で回転駆動される。前述したように、これら各ローラの周速度に応じて、原稿が所定の搬送速度で搬送路32又はスイッチバックパス39を搬送される。
搬送ローラ35A,35Bにおいては、搬送ローラ35Aの周速度が、搬送ローラ35Bの周速度より速くなるように設定されている。つまり、搬送ローラ35Aの周速度をVa、搬送ローラ35Bの周速度をVbとすると、Va>Vbの関係が成立する。したがって、原稿が搬送ローラ35A,35Bにより搬送される際には、搬送ローラ35A,35B間で原稿が撓むように搬送される。
搬送ローラ35B,35C,35Dにおいては、読取位置より直上流側に配置された搬送ローラ35Cの周速度が、搬送ローラ35B,35Dの周速度より遅くなるように設定されている。つまり、各搬送ローラ35Cの周速度をVc、搬送ローラ35Dの周速度をVdとすると、Vb>Vc<Vdの関係が成立する。したがって、原稿が搬送ローラ35B,35Cにより搬送される際には、搬送ローラ35B,35C間で原稿が撓むように搬送される。また、原稿が搬送ローラ35C,35Dにより搬送される際には、搬送ローラ35Dにより原稿が引っ張られるようにテンションが付与されて搬送される。
搬送ローラ35Dとスイッチバックローラ43との関係では、スイッチバックローラ43の周速度が、搬送ローラ35Dの周速度とほぼ同等となるように設定されている。つまり、スイッチバックローラ43の周速度をVsとすると、Vd≒Vsの関係が成立する。したがって、搬送ローラ35Dにより搬送されている原稿が、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されることにより、原稿に付与されているテンションが変化することがない。
搬送ローラ35Bとスイッチバックローラ43との関係では、スイッチバックローラ43の周速度が、搬送ローラ35Bの周速度より速くなるように設定されている。つまり、スイッチバックローラ43の周速度をVsとすると、Vb<Vsの関係が成立する。したがって、原稿が搬送ローラ35Bとスイッチバックローラ43とにより搬送される原稿は、搬送ローラ35Bとスイッチバックローラ43との間で撓むように搬送される。
このような各搬送ローラ35A,35B,35C,35D、及びスイッチバックローラ43の周速度の差は、例えば、各ローラのローラ径により簡易に設定することができる。つまり、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dのローラ径(ローラ軸からローラ面までの距離)をRa,Rb,Rc,Rdとすると、Va>Vbの関係を満たすためには、Ra>Rbとすればよい。また、Vb>Vc<Vdの関係を満たすためには、Rb>Rc<Rdとすればよい。同様に、スイッチバックローラ43のローラ径をRsとすると、Vd≒Vsの関係を満たすためには、Rd≒Rsとすればよい。また、Vb<Vsの関係を満たすためには、Rb<Rsとすればよい。これにより、単一のモータ67から駆動伝達機構を介して略等速の回転が各ローラに伝達される場合に、各ローラのローラ径により周速度が簡易に設定される。
なお、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D、及びスイッチバックローラ43の周速度の差は、各ローラのローラ径によって設定されるものに限定されず、例えば、モータ67から各搬送ローラ35A,35B,35C,35D、及びスイッチバックローラ43に駆動力を伝達する駆動力伝達機構のギヤ比を調整するなどのその他の公知の手段を用いてもよいことは言うまでもない。
以下、本画像読取装置1による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置1は、FBSとして使用することも、ADF3を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略される。ADF3を使用する場合には、原稿カバー4を原稿載置台2に対して閉じた状態とする。原稿カバー4の開閉は、原稿載置台2に設けられたセンサ等により検知され、原稿カバー4が閉じられるとADF3が使用可能となるように制御されている。そして、給紙トレイ30に読み取るべき原稿Gnが載置される。原稿Gnは、読取面(第1面)が上側となるように、所謂フェイスアップにして給紙トレイ30に載置される。また、原稿Gnは1枚であっても複数枚であってもよい。例えば、同じサイズの複数枚の原稿Gnの画像読取りを行う場合には、第1枚目の原稿G1の第1面が上向きとなるように、すなわちフェイスアップで重ね揃えて給紙トレイ30に載置される。
画像読取装置1に読取開始が入力されると、モータ67が駆動されて、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ43が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、ピックアップローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と圧接する。そして、ピックアップローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿G1から1枚ずつ分離されて搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿Gnは、搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で待機された画像読取ユニット22により原稿Gnの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gnは、排紙トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gnの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gnの搬送経路が異なる。原稿Gnの片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定された片面読取りモード又は両面読取りモードにより判断される。
以下、両面読取りモードについて説明する。図7は、両面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を示すフローチャートである。図8から図14は、両面読取りにおける原稿Gnの搬送状態を示す模式図である。原稿Gnの給紙前は、図8に示されるように、ガイドフラップ50は、連結位置38における搬送経路を、搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、第3の案内姿勢、すなわち交差位置40における搬送経路を搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にあり、ガイドフラップ47は、第5の案内姿勢、すなわち交差位置40における搬送経路をスイッチバックパス39の終端41側から搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。なお、図において原稿Gnに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
画像読取装置1に読取開始が入力されると(S1(Y))、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されているか否かが検知される(S2)。制御部60は、給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されていないと判断した場合には(S2(N))、画像読取装置1の操作パネル5の液晶表示部12に「原稿なし」のエラー表示を行う(S3)。給紙トレイ30に原稿Gnが載置されていれば(S2(Y))、モータ67を所定速度で駆動して、原稿G1の給紙を行う(S4)。
詳細には、制御部60は、モータ67を駆動するとともに、アーム29を降下させる。これにより、ピックアップローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と圧接する。モータ67の駆動力が伝達されてピックアップローラ33及び分離ローラ34が給送方向に回転することにより、原稿G1は搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gnが載置されている場合に、最上位置の原稿G1に伴って、その直下の原稿G2が重送されることがあるが、原稿G2は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。
搬送路32では、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に、モータ67からの駆動力が所定のタイミングで伝達されて、各ローラが搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gnを搬送するように、すなわち搬送方向に回転する。給紙トレイ30から搬送路32へ給送された原稿G1は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、搬送路32を交差位置40に搬送される。なお、搬送路32に原稿G1が給送されることにより、第2フロントセンサ53がオンになる。
ガイドフラップ47は、搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、交差位置40に搬送される原稿G1はガイドフラップ47に当接する。図9に示されるように、ガイドフラップ47は、搬送路32を搬送される原稿G1に押しやられるように回動されて、第5の案内姿勢から第6の案内姿勢に姿勢変化する。これにより、搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路は閉止されている。したがって、搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39のいずれの方向にも進入することなく、搬送路32の読取位置側へ搬送される。
交差位置40から搬送路32の読取位置側へ搬送された原稿G1は、搬送方向先端が搬送ローラ35Bに狭持されて搬送される。前述したように、搬送ローラ35A,35Bの周速度は、Va>Vbであるから、搬送方向先端側を搬送ローラ35B及びピンチローラ37に狭持され、且つ搬送方向後端側を搬送ローラ35A及びピンチローラ37に狭持されて搬送されている原稿G1は、搬送ローラ35A,35B間で撓むように変形する。これにより、原稿G1の斜行が矯正される。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36の周速度は、分離ローラ34の周速度より速くなるように設定されているので、分離ローラ34と圧接しながら、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて搬送されている原稿G1により、分離ローラ34が空転し、これにより、1枚目の原稿G1と2枚目の原稿G2とに搬送方向に所定の間隙が形成される。制御部60は、第2フロントセンサ53が原稿G1の搬送方向後端を検知してオフとなった後、ピックアップローラ33及び分離ローラ34への駆動伝達を切断する。これにより、原稿G2は給紙トレイ30から搬送路32へ給送されずに、給紙トレイ30上に保持される。
図10に示されるように、原稿G1は、搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ搬送方向を反転するように搬送され、搬送方向先端側が搬送ローラ35C及びピンチローラ37に狭持される。前述したように、搬送ローラ35B,35C,35Dにおいては、搬送ローラ35Cの周速度が最も遅く、Vb>Vc<Vdとなるように回転されている。したがって、搬送方向先端側を搬送ローラ35C及びピンチローラ37に狭持され、且つ搬送方向後端側を搬送ローラ35B及びピンチローラ37に狭持されて搬送されている原稿G1は、搬送ローラ35B,35C間で撓む。これにより、搬送路32の湾曲部分32Bの内側ガイド面に原稿G1が張り付くことなく、湾曲部分32Bの外側ガイド面に沿って下側へ反転するように原稿G1が円滑に搬送される。
リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。原稿G1の搬送方向先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の搬送方向先端が読取位置へ到達すれば、制御部60は、画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の画像読取りを行う。原稿G1は、読取ガイド45のガイド面に案内されて、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿G1の第1面の画像が読み取られる(S5)。また、原稿G1の画像読取りにおいて、原稿G1の搬送方向先端側は搬送ローラ35D及びピンチローラ37に狭持され、搬送方向後端側は、搬送ローラ35C及びピンチローラ37に狭持されて搬送される。前述したように、搬送ローラ35C,35Dの周速度は、Vc<Vdである。したがって、搬送ローラ35C,35Dにより搬送される原稿G1は、搬送ローラ35Dにより引っ張られ、所定のテンションが付与された状態で搬送される。これにより、原稿G1は、搬送ローラ35C,35D間において読取ガイド45のガイド面に沿って下側に膨らむように湾曲し、余分なたるみが生じることなく一定速度で読取位置上を搬送される。
図11に示されるように、第1面の画像読取りが行われた原稿G1の搬送方向先端は、スイッチバック搬送されるために(S6)、ガイドフラップ50に案内されて、連結位置38を搬送路32からスイッチバックパス39へ進入する。ガイドフラップ50は、原稿G1が連結位置38に至るまでの任意のタイミングで第2の案内姿勢に姿勢変化されている。スイッチバックパス39は、搬送ローラ35Dのニップ位置71における接線70より上側に延出されているので、スイッチバックパス39に進入した原稿G1は、連結位置38から上側へ反り上がるように案内される。スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。
ガイドフラップ46は、スイッチバックパス39から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端は、交差位置40に到達する際にガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図11に示されるように、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の搬送方向先端に押し上げられるように回動されて、第3の案内姿勢から第4の案内姿勢に姿勢変化される。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が連続するとともに、搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47により、搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は閉止されている。したがって、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、搬送路32に進入することなく、スイッチバックパス39の終端41側へ搬送される。
交差位置40をスイッチバックパス39の終端41側へ進入した原稿G1の搬送方向先端は、引き込み方向に回転するスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持される。前述したように、搬送ローラ35D及びスイッチバックローラ43の周速度は、Vd≒Vsである。したがって、搬送ローラ35Dにより搬送されている原稿G1の搬送方向先端が、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44により速やかに狭持される。
図11に示されるように、原稿G1の搬送方向先端がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持される際に、原稿G1の搬送方向後端側は、読取位置に対向して搬送され、画像読取ユニット22により画像読取りされている。原稿G1の搬送方向先端がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44により速やかに狭持されることにより、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44が原稿G1を狭持する際に、読取位置に対向する原稿G1の搬送方向後端側の搬送が乱されることがない。
原稿G1は、搬送方向先端側がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持され、且つ搬送方向後端側が搬送ローラ35D及びピンチローラ37に狭持されてスイッチバックパス39を搬送される。スイッチバックローラ43の周速度Vsは、搬送ローラ35Dの周速度Vdと同等なので、原稿G1がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されて搬送されることにより、原稿G1の搬送速度が変化されることがない。また、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44による原稿G1のニップ圧は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37による原稿G1のニップ圧より弱い。したがって、仮に、ローラの径の個体差等が影響して、搬送ローラ35Dの周速度Vdとスイッチバックローラ43の周速度Vsとに若干の差が生じて、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44により原稿G1に搬送方向に引っ張られるテンションが負荷されたとしても、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44による原稿G1の狭持が滑る。したがって、読取位置に対向する原稿G1の搬送方向後端側は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37により一定の搬送速度で読取位置上を搬送される。
さらに原稿G1が搬送されると、読取位置を搬送される原稿G1の搬送方向後端は、搬送ローラ35Cとピンチローラ37によるニップ位置を通過する。これにより、搬送ローラ35C,35D間における原稿G1のテンションが一時に開放される。これとともに、原稿G1の搬送方向後端側は、読取ガイド45のガイド面からプラテンガラス21上へ移動する。このような原稿G1の挙動は、搬送ローラ35C,35Dの周速度Vc,Vdの差により予測されている。また、読取ガイド45のガイド面とプラテンガラス21との隙間も予め定められている。そして、スイッチバックローラ43の周速度Vsが搬送ローラ35Dの周速度Vdと同等なので、スイッチバックパス39により上側へ反り上がるように案内された原稿G1がスイッチバックローラ39により狭持されて搬送されることによって、搬送ローラ35C,35Dの周速度Vc,Vdの差は影響を受けない。また、搬送ローラ35C,35D間において原稿G1に付与されているテンションも変化されない。これにより、原稿G1の搬送方向後端が搬送ローラ35Cとピンチローラ37によるニップ位置を通過する際の挙動は、搬送ローラ35C,35Dの周速差により当初に予測された範囲内で安定され、その他の要因に基づいて原稿G1の不安定な挙動により、読取位置における原稿G1の搬送が乱れることがない。
リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向後端を検知するとオフになる。制御部60は、リアセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、画像読取ユニット22による原稿G1の第1面の画像読取りを終了する。画像読取ユニット22により読み取られた第1面の画像データは、制御部60のRAM63に格納される。
図12に示されるように、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転方向を切り替える。スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の搬送方向後端を検知してオフになり、それから所定時間経過後に原稿G1の搬送方向後端が交差位置40を通過する。したがって、制御部60は、スイッチバックセンサ55の検知信号と搬送ローラ35D及びスイッチバックローラ43による搬送距離又は搬送時間のカウントにより、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入したことを判断する。モータ67の回転方向が切り替えられることにより、スイッチバックローラ43とピンチローラ44にニップされて終端41から突出された原稿G1は、交差位置40へ戻される。すなわち、原稿G1は、スイッチバックパス39を交差位置40へ戻るようにスイッチバック搬送される(S6)。
原稿G1の一部がスイッチバックパス39の終端41からADF3の外側へ突出した際に、突出した原稿G1の一部分は原稿支持部42により支持されるが、原稿支持部42からはみ出された原稿G1の搬送方向先端は、下側に垂れ下がる。スイッチバック搬送の際には、該原稿G1を終端41から引き込むように搬送するので、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44には、垂れ下がった原稿G1を支持すべく狭持し、スイッチバック搬送するだけのニップ力が要求される。なお、原稿G1が交差位置40を通過してガイドフラップ46から離れることにより、ガイドフラップ46は下側へ回動して、第3の案内姿勢に復帰する。
図13に示されるように、スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、交差位置40において、第3の案内姿勢のガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、第3の案内姿勢から下側へ回動しないように規制されている。したがって、スイッチバックパス39の終端41側から搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47は、搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路を閉止している。したがって、原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の連結位置38側や搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することなく、スイッチバックパス39の終端41側から搬送路32の読取位置側へ搬送される。原稿G1がスイッチバックパス39から搬送路32の読取位置の上流側へ戻されることにより、原稿G1は、最初に搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で搬送路32を再送される。このようにして、原稿G1がスイッチバック搬送される。
スイッチバック搬送されて搬送路32へ戻された原稿G1は、搬送方向先端側が搬送ローラ35B及びピンチローラ37に狭持され、搬送方向後端側がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されて搬送される。前述したように、搬送ローラ35Bの周速度とスイッチバックローラ43の周速度とは、Vb<Vsであるから、原稿G1は、搬送ローラ35B及びスイッチバックローラ43間で撓むように変形する。これにより、原稿G1の斜行が矯正される。また、スイッチバック搬送される原稿G1に負荷される搬送方向に引っ張る力、すなわちテンションが軽減される。このようにして、搬送ローラ35B及びピンチローラ37とスイッチバックローラ43及びピンチローラ44とによって、スイッチバック搬送された原稿Gnの斜行を矯正するレジスト機構が実現される。
斜行矯正された原稿G1は、搬送路32の湾曲部分32Bに沿って下側に搬送方向を反転するように搬送され、その搬送方向先端がリアセンサ54に検知される。そして、原稿G1の搬送方向先端が読取位置に到達すれば、図14に示されるように、制御部60は、画像読取ユニット22に、原稿G1の第2面の画像読取りを行わせる(S7)。原稿G1は、読取ガイド45に案内されて第2面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿G1の第2面の画像が読み取られる。
原稿G1の第2面の画像読取りが行われる際に、交差位置40をスイッチバックパス39の終端41側へ進入した原稿G1の搬送方向先端は、引き込み方向に回転するスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されるが、前述したように、搬送ローラ35D及びスイッチバックローラ43の周速度が同等(Vd≒Vs)なので、搬送ローラ35Dにより搬送されている原稿G1の搬送方向先端が、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44により速やかに狭持される。したがって、第2面の画像読取りの際にも、読取位置に対向する原稿G1の搬送方向後端側の搬送が乱されることがない。
また、原稿G1の第1面の画像読取りと同様に、スイッチバックローラ43の周速度Vsが、搬送ローラ35Dの周速度Vdと同等なので、原稿G1がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されて搬送されることにより、原稿G1の搬送速度が変化されることがない。
また、スイッチバックローラ43の周速度Vsが搬送ローラ35Dの周速度Vdと同等なので、スイッチバックパス39により上側へ反り上がるように案内された原稿G1がスイッチバックローラ39により狭持されて搬送されることによって、搬送ローラ35C,35Dの周速度Vc,Vdの差は影響を受けず、テンションが変化することもない。したがって、原稿G1の搬送方向後端が搬送ローラ35Cとピンチローラ37によるニップ位置を通過する際の挙動は、搬送ローラ35C,35Dの周速度差により当初に予測された範囲内で安定され、その他の要因による不安定な挙動により読取位置における原稿G1の搬送が乱れることがない。
リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向後端を検知するとオフになる。制御部60は、リアセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、画像読取ユニット22による原稿G1の第2面の画像読取りを終了する。画像読取ユニット22により読み取られた第2面の画像データは、制御部60のRAM63に格納される。
第2面を読み取られた原稿G1は、ページ方向を揃えるために、再びスイッチバック搬送される(S8)。スイッチバック搬送は前述と同様である。すなわち、スイッチバックパス39に進入して交差位置40に到達した原稿G1は、図11に示された状態と同様にして、ガイドフラップ46を押し上げるように回動させて第3の案内姿勢から第4の案内姿勢に姿勢変化させて、交差位置40をスイッチバックパス39の終端41側に進入する。そして、図12に示された状態と同様にして、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転方向を切り替え、スイッチバックローラ43を戻し方向に回転させて、原稿G1を交差位置40へ戻す。そして、図13に示された状態と同様にして、スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側から搬送路32の読取位置側へ搬送される。これにより、原稿G1は、再び先端と後端とが逆転した状態で、すなわち最初に搬送路32に給送された状態で搬送路32を再送される。
その後、原稿G1は、第1面を対向させて読取位置を通過する。その際、リアセンサ54が原稿G1を検知してオンになるが、この搬送は、給紙トレイ30に載置された複数枚の原稿Gnの順序を維持した状態で排紙トレイ31へ排紙するためのものなので、制御部60は、原稿G1の画像読取りを行わない。
連結位置38に到達した原稿G1は、ガイドフラップ50により連結位置38を排紙トレイ31側へ案内され、排紙ローラ36により、第1面を下にした状態で排紙トレイ31側へ搬送される。ガイドフラップ50は、原稿G1が連結位置38に到達するまでの任意のタイミングで、第1の案内姿勢に姿勢変化される。そして、原稿G1は、排紙ローラ36及びピンチローラ37に狭持されて、第1面を下側にして排紙トレイ31へ排出される(S9)。
制御部60は、原稿G1の両面読取りを終了すれば、給紙トレイ30に次に読み取るべき原稿G2がセットされているか否かを判断する(S10)。給紙トレイ30に、次の原稿G2がセットされている場合は、第1フロントセンサ52がオンである。制御部60は、原稿G2があると判断すれば(S10(Y))、モータ67から給紙ローラ33及び分離ローラ34に駆動伝達して回転させる。これにより、給紙トレイ30上の原稿G2が搬送路32に給送され、原稿G1と同様の両面読取りが行われる。一方、制御部60は、次に読取りべき原稿Gnがない場合には(S10(N))、両面読取り動作を終了する。
このように、本実施形態に係るADF3によれば、読取位置より下流側に配置された搬送ローラ35Dが、読取位置より上流側に配置された搬送ローラ35Cより速い原稿搬送速度で原稿Gnを狭持して搬送するので、読取位置へ向かって下側へ膨らむように湾曲された原稿Gnは、搬送路32の読取ガイド45に沿ってテンションが付与され、読取位置においてたるみなどが生じない。
また、搬送ローラ35Dのニップ位置71における接線70より上側に延出されたスイッチバックパス39に配置されたスイッチバックローラ43は、搬送ローラ35Dと同等の搬送力で原稿を狭持して搬送するので、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されることにより、読取位置における原稿Gnの搬送速度及びテンションに変化が生じず、原稿Gnの搬送方向後端が搬送ローラ35C及びピンチローラ37のニップ位置を抜けた際の挙動が安定する。これにより、読取位置において、画像読取りに適した搬送精度で原稿Gnを搬送することができる。
また、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44は、搬送ローラ35D及びピンチローラ37より弱いニップ圧で原稿Gnを狭持するので、搬送ローラ35D及びピンチローラ37とスイッチバックローラ43及びピンチローラ44との関係において、原稿Gnに負荷が生じると、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44による原稿Gnの狭持が先に滑ることになる。これにより、読取位置に対向する原稿Gnは、搬送ローラ35Cと搬送ローラ35Dとの周速度差で確実に搬送され、読取位置における挙動がさらに安定する。
また、スイッチバックパス39の終端41がADF3の外側へ開口され、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44によりスイッチバック搬送される原稿Gnは、その一部が終端41からADF3外へ突出され、下側へ垂れ下がるので、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44には、該原稿Gnを支持し且つ引き上げてスイッチバック搬送するに十分なニップ圧が要求される。このような場合に、前述された効果が特に顕著である。なお、スイッチバックパス39において、スイッチバックローラ43より終端41側に、さらに別の搬送ローラ対が設けられている場合には、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44のニップ圧が、これら単独で原稿Gnを支持し且つ引き上げる場合より弱められてもよい。
読取位置において、原稿Gnは、搬送ローラ35C,35D及び各ピンチローラ37によりテンションが付与された状態で、読取ガイド45に沿って搬送される。連結位置38を通過した原稿Gnは、スイッチバックパス39によって上側へ反り上がるように案内されので、仮に、原稿Gnがスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されて搬送されることより、読取位置の原稿Gnにさらにテンションが付与されるとすれば、テンションの増加により読取ガイド45が弾性付勢に反して読取位置から退避される。そして、原稿Gnの搬送方向後端が搬送ローラ35C及びピンチローラ37によるニップ位置を抜けた際に、一時にテンションが開放され、読取ガイド45が読取位置へ戻る。このような読取ガイド45の挙動により原稿Gnが不安定な挙動を示すおそれがあるが、本ADF3では、原稿Gnがスイッチバックローラ43及びピンチローラ44に狭持されて搬送されることにより、読取位置における原稿Gnのテンションに変化が生じないので、原稿Gnの搬送方向後端が搬送ローラ35C及びピンチローラ37によるニップ位置を抜けた際の挙動が安定する。
なお、本画像読取装置1による搬送精度の維持やレジスト機構を実現するための各搬送ローラ35B,35C,35D及びスイッチバックローラ43の周速度の差は、ローラ間の距離等に応じて適宜設定されるものではあるが、例えば約0.1〜1%程度の周速度の差を設けることが考えられる。
なお、本実施形態では、給紙トレイ30に載置された複数枚の原稿Gnの順序を維持した状態で排紙トレイ31へ排紙されるものとして、画像読取装置1による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ30に載置された原稿Gnの順序と排紙トレイ31に排紙された原稿Gnの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gnの第2面を対向させて原稿が搬送された後、再びスイッチバックパス39に原稿Gnを進入させることなく、連結位置38を排紙トレイ31側へ搬送して、排紙トレイ31へ原稿Gnを排出させることとしてもよい。これにより、排紙トレイ31において原稿Gnの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送が省略されるので、原稿Gnの両面読取りに要する時間が短縮される。また、原稿G1の排紙と原稿G2の給紙とが重複して行うことにより、複数枚の原稿Gnを連続して両面読取りする場合の搬送時間を短縮させてもよい。
また、片面読取モードが設定されている場合には、制御部60によりモータ67が回転されて、給紙トレイ30から搬送路32へ原稿Gnが繰り込まれ、原稿Gnが読取位置に至ると、第1面の画像読取りが行われる。そして、原稿Gnが読取位置を通過すると、排紙ローラ36により原稿Gnが排紙トレイ31に排出される。本実施形態のように、搬送ローラ35Dから排紙ローラ36に至る搬送パスが接線70より下側に形成されている場合には、仮に、排紙ローラ36の周速度Veが搬送ローラ35Dの周速度Vdより速く設定されたとしても、該搬送パスに案内される原稿Gnは水平方向にテンションが付与されることになるので、原稿Gnの搬送方向後端が搬送ローラ35C及びピンチローラ37のニップ位置を抜けた際に原稿Gnに生じる上下方向の挙動変化が少なく、読取り画質に顕著な劣化が生じない。しかし、搬送ローラ35Dから排紙ローラ36に至る搬送パスが接線70より上側に形成されている場合には、排紙ローラ36の周速度Veを、搬送ローラ35Dの周速度Vdと同等にすることにより、前述と同様の効果が得られる。つまり、本発明に係る読取後搬送パスはスイッチバックパス39に限定されず、接線71より上側に延出されるものであれば、排紙トレイ31へ通じる搬送パスであってもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置1の外観構成を示す斜視図である。 図2は、画像読取装置1の内部構成を示す縦断面図である。 図3は、交差位置40の構成を示す拡大図である。 図4は、連結位置38の構成を示す拡大図である。 図5は、第1フロントセンサ52の構成を示す拡大図である。 図6は、制御部60の構成を示すブロック図である。 図7は、画像読取装置1の両面読取り動作を示すフローチャートである。 図8は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図9は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図10は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図11は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図12は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図13は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図14は、両面読取りモードの画像読取動作を示す模式図である。 図15は、従来の自動原稿搬送装置による両面読取りのための原稿搬送を示す模式図である。 図16は、従来の自動原稿搬送装置による両面読取りのための原稿搬送を示す模式図である。
符号の説明
3・・・ADF(原稿搬送装置)
30・・・給紙トレイ(原稿供給位置)
32・・・搬送路
35C・・・搬送ローラ(第1搬送ローラ対)
35D・・・搬送ローラ(第2搬送ローラ対)
37・・・ピンチローラ(第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対)
39・・・スイッチバックパス(読取後原稿搬送パス)
41・・・終端
43・・・スイッチバックローラ(第3搬送ローラ対)
44・・・ピンチローラ(第3搬送ローラ対)
45・・・読取ガイド
70・・・接線
71・・・ニップ位置

Claims (9)

  1. 原稿供給位置から所定方向に延出され、搬送方向を反転させるべく下側へ湾曲されて読取位置に至り、該読取位置から上記搬送方向と反対方向の反転搬送方向へ原稿を案内する搬送路と、
    上記搬送路の読取位置より搬送方向上流側であって該読取位置より上側に配置され、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第1搬送ローラ対と、
    上記搬送路の読取位置より搬送方向下流側であって該読取位置より上側に配置され、上記第1搬送ローラ対より速い原稿搬送速度で、該搬送路を通過する原稿を狭持して搬送する第2搬送ローラ対と、を具備し、
    上記搬送路は、上記第2搬送ローラ対のニップ位置から反転搬送方向に延びる第2搬送ローラ対の接線より上側に延出された読取後搬送パスを有し、
    上記読取後搬送パスに、上記第2搬送ローラ対と同等の搬送力で、上記第2搬送ローラ対に狭持されて搬送される原稿を狭持して搬送する第3搬送ローラ対が設けられたものである原稿搬送装置。
  2. 上記第3搬送ローラ対は、上記第2搬送ローラ対と同等の周速度で回転されるものである請求項1に記載の原稿搬送装置。
  3. 上記第3搬送ローラ対は、上記第2搬送ローラ対より弱いニップ圧で原稿を狭持するものである請求項1又は2に記載の原稿搬送装置。
  4. 上記搬送路における上記第1搬送ローラ対から上記第3搬送ローラ対に至る搬送経路は、縦断面視において略S字形状をなすものである請求項1から3のいずれかに記載の原稿搬送装置。
  5. 上記読取後搬送パスは、上記原稿供給位置より上側に延出されたものである請求項1から4のいずれかに記載の原稿搬送装置。
  6. 上記第3搬送ローラ対は、原稿のスイッチバック搬送を行うものである請求項1から5のいずれかに記載の原稿搬送装置。
  7. 上記読取後搬送パスの終端が装置外へ開口され、上記第3搬送ローラ対は、原稿の一部を該開口から装置外へ突出させてスイッチバック搬送を行うものである請求項6に記載の原稿搬送装置。
  8. 上記第3搬送ローラ対は、上記開口から突出された原稿の一部を該開口より下側へ垂れ下がらせてスイッチバック搬送を行うものである請求項7に記載の原稿搬送装置。
  9. 上記搬送路は、上記読取位置に対向されるとともに、該読取位置から退避可能に弾性付勢された読取ガイドを有するものである請求項1から8のいずれかに記載の原稿搬送装置。

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