以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置1の外観構成を示すものであり、図2は、画像読取装置1の主要な内部構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピー装置やファクシミリ装置、スキャナ装置、コピー機能やファクシミリ機構、スキャナ機能等を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2に対して、自動原稿搬送機構であるオート・ドキュメント・フィーダ(ADF:Auto Document Feeder)3を備えた原稿カバー4が、背面側(紙面後方)の蝶番を介して開閉自在に取り付けられたものである。このADF3が本発明に係る原稿搬送装置に相当する。
原稿載置台2の正面側には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、各種操作キー11と液晶表示部12とを具備する。使用者は、操作パネル5を用いて、所望の指令を入力する。例えば、原稿の読取開始を示す「スタート」や、読取り停止を示す「ストップ」の入力は、操作キー11を用いて行われる。画像読取装置1は、これら所定の入力を受けて所定の動作を行う。画像読取装置1は、操作パネル5へ入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作する。
図2に示すように、原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス20,21が配設されている。原稿カバー4が開かれることにより、プラテンガラス20,21が原稿載置台2の上面として露出される。原稿カバー4が閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含めて原稿載置台2の上面全体が覆われる。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス20,21に対向するようにして画像読取ユニット22(画像読取手段)が内蔵されている。
プラテンガラス20は、画像読取装置1をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されており、該開口から露出されたプラテンガラス20の領域がFBSにおける原稿読取領域となる。
プラテンガラス21は、画像読取装置1のADF3を使用する場合の読取位置であり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の読取位置には、プラテンガラス21を露出するための開口が形成されている。該開口から露出されたプラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、画像読取装置1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に、位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、プラテンガラス21と同様に画像読取装置1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのために、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。位置決め部材23の上面には、ADF3によりプラテンガラス21上を通過する原稿をすくい上げるように偏向してADF3に戻すガイド面が形成されている。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光をレンズにより受光素子に集光して電気信号に変換するいわゆるイメージセンサである。画像読取ユニット22として、例えば、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサや縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどを用いることができる。画像読取ユニット22は、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス20,21の下方を往復移動可能に設けられており、キャリッジモータの駆動力を受けてプラテンガラス20,21と平行に往復移動する。
原稿カバー4には、給紙トレイ30(原稿載置部)から原稿搬送路32を通じて排紙トレイ31(原稿排出部)へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置を通過し、プラテンガラス21の下方に待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読み取るようになっている。
図1及び図2に示すように、原稿カバー4には、給紙トレイ30及び排紙トレイ31が、給紙トレイ30を上側として上下二段に設けられている。給紙トレイ30には、ADF3により画像読取りを行う原稿が載置される。複数枚の原稿が、第1面を上向きにした積層状態で給紙方向の先端を原稿搬送路32に挿入するようにして、給紙トレイ30上に載置される。給紙トレイ30の装置背面側が下側へ曲折されることにより、防護壁26が形成されている。防護壁26の下端は原稿カバー4の上面に連結されている。この防護壁26により、原稿カバー4が原稿載置台2に対して開かれた際に、排紙トレイ31上の原稿が落下することが防止される。給紙トレイ30の装置正面側の下方においては、ADF3の筐体の一部に切り欠き27が形成されている。この切り欠き27により、排紙トレイ31に排紙された原稿の装置正面側からの視認性が高められている。特に、サイズの小さい原稿は、給紙トレイ30により視認され難いが、切り欠き27により、給紙トレイ30と排紙トレイ31との間の空間が拡げられるので、サイズの小さい原稿の視認性が特に高められる。
排紙トレイ31は、給紙トレイ30の下側に上下方向に隔てた位置にあり、原稿カバー4の上面に一体的に形成されている。画像読取りが行われてADF3から排紙された原稿は、給紙トレイ30上の原稿と分離した状態で排紙トレイ31上に第1面を下にして積載されるようにして保持される。排紙トレイ31の装置正面側及び装置背面側となる両側部分28は、両側へ向かって上方へ迫り上がった斜面となっている。この両側部分28により、排紙トレイ31に排出された原稿が取り出される際に、原稿を上から押さえるようにして両側部分28の斜面に沿って原稿を滑らせて引き出すことができるので、排紙トレイ31からの原稿の取り出しが容易である。
図2に示すように、ADF3の内部には、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを、プラテンガラス21上の読取位置を経て連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。このように、給紙トレイ30と排紙トレイ31とが上下二段に設けられ、これらを連結するように、縦断面視において横向き略U字形状の原稿搬送路32が形成されることにより、ADF3の幅を狭くして小型化することができる。
原稿搬送路32は、給紙トレイ30から原稿カバー4の一端側(図左側)へ延出され、続いて下方へ反転するように湾曲されてプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から排紙トレイ31へ向かって延出された縦断面視が横向き略U字形状である。原稿搬送路32は、大別すれば、略U字形状において上下二段の直線部分をなす上側部分32A及び下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。原稿搬送路32は、ADF3による原稿の片面読取り及び両面読取りに共通して、原稿の搬送経路として用いられる。
原稿搬送路32には、給紙トレイ30から原稿搬送路32へ原稿を給送するための給送手段(その他の駆動部位)と、原稿搬送路32に給送された原稿を排紙トレイ31へ搬送するための原稿搬送手段とが配設されている。詳細には、図に示すように、原稿搬送路32に設けられた吸入ローラ33及び分離ローラ34が給送手段に相当し、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dとこれらに圧接するピンチローラ37とが原稿搬送手段に相当する。なお、原稿搬送手段を構成する各ローラには、単一のモータ67(駆動源、図3参照)から駆動力が伝達されるが、各ローラへの駆動力伝達機構は後述される。
図に示すように、原稿搬送路32の最上流付近には、吸入ローラ33及び分離ローラ34が設けられている。吸入ローラ33は、分離ローラ34を軸支する軸111(図9参照)に基端側を軸支されたアーム29の先端部に回転自在に設けられている。分離ローラ34は、吸入ローラ33から給紙方向へ隔てた位置に、原稿搬送路32の対向面に当接するようにして回転可能に設けられている。吸入ローラ33及び分離ローラ34は、モータ67からの駆動力が伝達されて回転駆動され、アーム29もモータ67からの駆動力が伝達されて上下動される。吸入ローラ33及び分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。分離ローラ34の対向位置には、分離ローラ34のローラ面と圧接して、摩擦により原稿を分離する分離パッドが配設されている。
搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、原稿搬送路32の異なる位置にそれぞれ配設されている。本実施の形態では、分離ローラ34の直下流側に搬送ローラ35Aが配設され、原稿搬送路32の上側部分32Aに搬送ローラ35Bが配設され、原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直上流側に搬送ローラ35Cが配設され、原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直下流側に搬送ローラ35Dが配設されている。これら搬送ローラ35A,35B,35C,35Dとこれらに圧接されるピンチローラ37とが、本発明に係る搬送ローラ対に相当する。なお、この配置は一例であり、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの数や配置は適宜変更できる。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ設けられている。各ピンチローラ37は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、各搬送ローラ35のローラ面に圧接されている。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dが回転すれば、これに従動してピンチローラ37も回転する。各ピンチローラ37により、原稿が各搬送ローラ35に圧接されて、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転力が原稿に伝達される。
排紙ローラ36は、原稿搬送路32の最下流付近に配設されており、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dと同様に、モータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。排紙ローラ36の対向位置にもピンチローラ37がそれぞれ設けられており、ピンチローラ37はバネにより弾性付勢されて、排紙ローラ36に圧接されている。
原稿搬送路32の下側部分32Cの連結位置38には、スイッチバックパス39(スイッチバック搬送路)が連結されている。スイッチバックパス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読み取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて読取位置の下流側から上流側の原稿搬送路32へ再送するためのものである。スイッチバックパス39は、連結位置38から給紙トレイ30の上側へ向かって斜め上方へ延出されて、原稿搬送路32の上側部分32Aと交叉している。該上側部分32Aとスイッチバックパス39との交叉位置40からスイッチバック搬送された原稿が原稿搬送路32へ戻される。
スイッチバックパス39の終端41は、ADF3の上面に開口されている。スイッチバックパス39の終端41から給紙トレイ30側には、終端41から連続するようにして、原稿支持部42が形成されている。原稿支持部42は、スイッチバックパス39の終端41から突出された原稿を支持するためのものであり、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側においてADF3の上カバー6(図1参照)をなしている。上カバー6は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を含めてADF3の全体を覆うように形成されており開閉可能である。上カバー6として構成された原稿支持部42は、終端41から給紙トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34による給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス39に進入して終端41からADF3の外側へ突出した原稿が原稿支持部41上に支持されるので、給紙トレイ30に積載された原稿の給紙位置より下流側(図左側)に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿が乱されることが防止される。また、上カバー6が開かれることにより、ADF3内の原稿搬送路32及びスイッチバック39の一部が露出され、ジャム処理などのメンテナンス作業を行うことができる。
スイッチバックパス39の交叉位置40より終端41側の直下流には、スイッチバックローラ43が配設されている。スイッチバックローラ43は、モータ67からの駆動力が伝達されて正逆双方向に回転駆動される。スイッチバックローラ43の対向位置には、ピンチローラ44が設けられている。ピンチローラ44は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ43のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ43の回転に従動して回転する。ピンチローラ44により、原稿がスイッチバックローラ43に圧接されて、スイッチバックローラ43の回転力が原稿に伝達される。スイッチバックローラ43及びピンチローラ44が、本発明において原稿をスイッチバック搬送するスイッチバック搬送手段に相当する。
なお、本実施の形態では、原稿搬送路32の読取位置の下流側の連結位置38に連結されたスイッチバックパス39を、原稿搬送路32の上側部分32Aと交叉させ、その交叉位置40より終端41側にスイッチバックローラ43を設けているが、スイッチバックパス39の搬送経路は任意であり、原稿搬送路32の所定位置に連結されて、読取位置の下流側から原稿の先端と後端とを逆転させて読取位置の上流側へ戻すものであれば、スイッチバックパスの搬送経路は適宜変更可能である。
図2に示すように、交叉位置40には、所望の搬送経路に原稿を案内するためのガイドフラップ46及びガイドフラップ47が配設されている。ガイドフラップ46は、交叉位置40における原稿搬送路32の読取位置側とスイッチバックパス39の連結位置38側との隅部を回動軸として所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ46は、羽根形状の平板であり、その先端が交叉位置40に突出されている。図においては、ガイドフラップ46は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ46が原稿搬送路32の幅方向(図2の紙面垂直方向、装置奥行き方向)に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ46が一体に回動される。
ガイドフラップ46は、図2に示す位置から図中上側へ回動可能である。また、ガイドフラップ46は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接することにより、図2に示す位置から図中下側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ46が図2に示す位置にあると、交叉位置40において、原稿搬送路32の給紙トレイ30側(図右側)から読取位置側(図左側)への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32からスイッチバックパス39の連結位置38側(図下側)への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の終端41側(図上側)から交叉位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46が図中上側に回動させることにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から終端41側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ46は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2に示す位置にある。スイッチバックパス39を連結位置38から交叉位置40に向かって搬送される原稿がガイドフラップ46に当接することにより、ガイドフラップ46が図中上側に押しやられるように回動される。一方、スイッチバックパス39の終端41側から交叉位置40に搬送された原稿は、ガイドフラップ46に当接するが、ガイドフラップ46は図2に示す位置から図中下側へは回動しないように規制されているので、該原稿はガイドフラップ46に案内されて、原稿搬送路32の上側部分32Aを読取位置側へ進入する。ガイドフラップ46の羽根形状は、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の終端41側から交叉位置40へ搬送される原稿が原稿搬送路32の読取位置側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ46を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ46をモータ67からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ46を実現できる。
ガイドフラップ47は、交叉位置40における原稿搬送路32の給紙トレイ30側とスイッチバックパス39の終端41側との隅部を回動軸として所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ47は、羽根形状の平板であり、その先端が交叉位置40に突出されている。図においては、ガイドフラップ47は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ47が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ47が一体に回動される。
ガイドフラップ47は、図2に示した位置から図中左側へ回動可能である。ガイドフラップ47は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接することにより、図2に示した位置から図中右側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ47が図2に示した位置にあると、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の終端41側から交叉位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ給紙トレイ30側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47が図中左側に回動されると、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の給紙トレイ30側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の終端41側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ47は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2に示す位置にある。原稿搬送路32の給紙トレイ30側から搬送される原稿がガイドフラップ47に当接することにより、ガイドフラップ47が図中左側に押しやられるように回動される。一方、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40に搬送された原稿が、仮にガイドフラップ47に当接したとしても、ガイドフラップ47は図2に示す位置から図中右側へは回動しないように規制されているので、該原稿はガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側へ進入する。ガイドフラップ47の羽根形状は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40へ搬送される原稿がスイッチバックパス39の終端41側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ47を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ47をモータ等からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ47を実現できる。
図2に示すように、連結位置38には、ガイドフラップ50が配設されている。ガイドフラップ50は、原稿搬送路32とスイッチバックパス39との間となる位置を回動軸として回動可能に配設されており、モータ67から駆動力が伝達されることにより、図2に示した位置から図中下側に回動される。ガイドフラップ50は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39のガイド部材に当接することにより、図2に示した位置から図中上側へ回動すること、図中下側へ回動してスイッチバックパス39へ原稿を案内する位置となってからさらに図中下側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ50が図2に示す位置にある場合には、連結位置38において、原稿搬送路32の読取位置側(図左側)から排紙トレイ31側(図右側)への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、原稿搬送路32の下側部分32Cを排紙トレイ31へ向かって連結位置38を案内される。ガイドフラップ50が図2に示す位置から図中下側に回動されることにより、原稿搬送路32の下側部分32Cの読取位置下流側からスイッチバックパス39への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、スイッチバックパス39へ進入するように連結位置38を案内される。このようにして、ガイドフラップ50は、連結位置38において原稿を原稿搬送路32又はスイッチバックパス39のいずれかの搬送経路に案内可能に配設されている。なお、図においては、ガイドフラップ50は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ50が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ50が一体に回動される。このガイドフラップ50が、本発明における案内手段(その他の駆動部位)に相当する。
図2に示すように、原稿搬送路32及びスイッチバックパス39には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に、第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ54が配設されている。スイッチバックパス39の連結位置38と交叉位置40との間には、スイッチバックセンサ55が配設されている。これら各センサは、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39へ出没する検出子の回動をフォトインタラプタのオン/オフとして検出する所謂光学センサである。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32に給送された原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視することにより、原稿搬送路における原稿の先端又は後端の位置が判断される。
読取位置の直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視することにより、原稿の先端又は後端が読取位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置に到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置に到達すれば画像読取りが終了される。
スイッチバックパス39の連結位置38と交叉位置40との間に配設されたスイッチバックセンサ55は、そのオン/オフにより、スイッチバックパス39を搬送される原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、スイッチバックセンサ55が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びスイッチバックローラ43の回転数をエンコーダやモータ67のステップ数等によって監視することにより、原稿の後端が交叉位置40を通過したか否かが判断される。スイッチバックセンサ55を、スイッチバックローラ43の搬送方向上流側の比較的近い位置に配置することにより、リアセンサ54等の検知信号に基づいて原稿の後端を監視するより、スイッチバックローラ43の搬送精度を高めることができる。
図3は、画像読取装置1の制御部60の構成を示している。制御部60は、ADF3のみでなく画像読取装置1の全体動作を制御するものである。制御部60は、図に示すように、CPU61、ROM62、RAM63、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)64を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス65を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)66に接続されている。
ROM62には、画像読取装置1及びADF3の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM63は、CPU61が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM64は、電源オフ後も記憶を保持すべき各種設定やフラグ等を格納する記憶領域である。
ASIC66は、CPU61からの指令に従い、モータ67に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をモータ67の駆動回路68に付与し、駆動回路68を介して駆動信号をモータ67に通電することにより、モータ67の回転制御を行っている。モータ67は、正逆双方向に回転することにより、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ(SBローラ)43及びガイドフラップ50に駆動力を付与するものであり、ADF3における単一の駆動源である。
駆動回路68は、モータ67を駆動させるものであり、ASIC66からの出力信号を受けて、モータ67を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてモータ67が所定の回転方向に回転し、モータ67の回転力が後述される各駆動力伝達機構70,110,120,151,170を介して、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ(SBローラ)43及びガイドフラップ50に伝達される。
ASIC66には、ADF3により読取位置へ搬送される原稿の画像読取りを行う画像読取ユニット22が接続されている。ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、画像読取ユニット22は原稿の画像読取りを行う。なお、図には示していないが、画像読取ユニット22を往復動させるための駆動機構も、ASIC66からの出力信号を受けて動作される。
ASIC66には、第1フロントセンサ52、第2フロントセンサ53、リアセンサ54及びスイッチバックセンサ55が接続されている。CPU61は、これら各センサのオン/オフを受け、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、ASIC66に所定の出力信号を出力させて、モータ67や画像読取ユニット22を動作させる。
ASIC66には、給紙ソレノイド88、スイッチバックソレノイド(SBソレノイド)161が接続されている。CPU61は、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、ASIC66に所定のタイミングで出力信号を出力させて、給紙ソレノイド88及びスイッチバックソレノイド161を動作させる。
以下、モータ67から、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50への駆動力伝達機構について説明する。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50の各軸は、原稿搬送路32の幅方向に延設されている。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50は、原稿搬送路32の幅に従って、各軸の所定位置に設けられている。もちろん、各軸の軸方向のほぼ全域に渡って各ローラ等が設けられていても、原稿搬送路32の幅方向に複数のローラ等が所定間隔で同軸に配置されていてもよい。
図1に示すように、原稿カバー4の上面に設けられたADF3は、原稿搬送路32や各ローラが筐体内に収容されている。各ローラに駆動力を付与するモータ67及び駆動力伝達機構もADF3の筐体内に収容されている。モータ67及び駆動力伝達機構は、ADF3の原稿搬送路32の幅方向の一端側に設けられている。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50の各軸の一端側には従動ギヤが設けられている。モータ67から各駆動力伝達機構を介して各従動ギヤに駆動力が伝達されることにより各ローラ等が駆動される。本実施の形態では、モータ67、各駆動力伝達機構、並びに分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、スイッチバックローラ43及びガイドフラップ50の各軸の一端側に設けられた各従動ギヤは、ADF3の筐体の装置奥側の空間7に収容されている。なお、以下に示される各ギヤは、特に限定のない限り、外周に軸線と平行な歯が形成された平歯車である。
図4から図8は、モータ67から分離ローラ34への駆動力伝達機構70を示している。駆動力伝達機構70は、本発明における第3の駆動力伝達機構に相当する。駆動力伝達機構70は、モータ67が時計回り(CW:clock wise)回転することにより、分離ローラ34に給送方向の駆動力を伝達し、CW回転から反時計回り(CCW:counter clock wise)回転への切り替えにより、分離ローラ34への駆動力の伝達を切断するものである。CW回転及びCCW回転は、モータ67の相反する回転方向であり、正転及び逆転にそれぞれ相当するものである。
図4に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギヤ69に対して、4つの伝達ギヤ71,72,73,74が順次噛合されて、遊星ギヤ装置75に駆動力が伝達されている。なお、伝達ギヤ71が、本発明に係る第1駆動力伝達機構、第2駆動力伝達機構及び第3駆動力伝達機構に共有される伝達ギヤであり、本実施形態では、分離ローラ34に駆動力を伝達する駆動力伝達機構70、搬送ローラ35A〜Dに駆動力を伝達する駆動力伝達機構120、スイッチバックローラ43に駆動力を伝達する駆動力伝達機構150、及びガイドフラップ50に駆動力を伝達する駆動力伝達機構170に共有されている。また、駆動力伝達機構70の伝達ギヤ72は、スイッチバックローラ43へ駆動力伝達を行う駆動力伝達機構150における太陽ギヤ72として、また、ガイドフラップ50へ駆動力伝達を行う駆動力伝達機構170の伝達ギヤとして共有される。また、駆動力伝達機構70の伝達ギヤ73は、ガイドフラップ50へ駆動力伝達を行う駆動力伝達機構170の伝達ギヤとして共有される。このようにして、本発明に係る第3駆動力伝達機構が、第2駆動力伝達機構から分岐されたものとなっている。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、順次噛合された伝達ギヤ71,72,73が所定方向に回転し、伝達ギヤ74がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
図6は、遊星ギヤ装置75の構成を示している。遊星ギヤ装置75は、太陽ギヤ76の軸77と同軸に支持アーム78が回転自在に設けられ、該支持アーム78に、太陽ギヤ76とそれぞれ噛合する2つの遊星ギヤ79及び遊星ギヤ80が軸支されてなる。
太陽ギヤ76は大径のギヤ76Lと小径のギヤ76Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。支持アーム78は、軸77から2つの径方向にアーム部81,82が延出され、各アーム部81,82の先端に形成された軸受け部83,84により、遊星ギヤ79,80をそれぞれ軸支するものである。支持アーム78に軸支された遊星ギヤ79,80は、太陽ギヤ76のギヤ76Sとそれぞれ噛合している。太陽ギヤ76が回転すると、ギヤ76Sにそれぞれ噛合された遊星ギヤ79,80が回転する。また、太陽ギヤ76の回転を受けて支持アーム78も同方向に回転する。つまり、太陽ギヤ76が回転すると、遊星ギヤ79,80は、それぞれが自転しながら太陽ギヤ76の周囲を公転する。
支持アーム78の軸77付近には、係止凹部85が形成されている。係止凹部85が係止機構86に係止されることにより、太陽ギヤ76の回転にかかわらず支持アーム78が所定位置に制止される。支持アーム78が係止機構86に係止された姿勢が後述される離脱姿勢である。
係止機構86は、係止部材87と給紙ソレノイド88とから構成されている。係止部材87は、軸89から支持アーム78に向かって径方向に延出されたアーム部90と、アーム部90の先端に鈎状に形成された係止爪91と、軸89から径方向に延出された受動部92とを有する。係止爪91は、支持アーム78の係止凹部85と係合可能であり、アーム部90が軸89を中心に回動されることにより係止凹部85に対して係脱される。受動部92は給紙ソレノイド88のシャフト93と連結されている。給紙ソレノイド88は、電力が供給(オン)されることにより電磁力が作用して、シャフト93を本体に没入させる方向へ直線的に駆動させ、電力が遮断(オフ)されることにより電磁力が消失して、シャフト93を本体から突出させる方向へ弾性復帰させるものである。このシャフト93の駆動が受動部92に伝達されて、係止部材87が軸89を中心に回動されて所定の姿勢になる。給紙ソレノイド88がオフの状態で、図6に実線で示したように、係止部材87は、係止爪91が支持アーム78の係止凹部85に係合可能な姿勢になる。給紙ソレノイド88がオンの状態で、図6に2点鎖線で示したように、係止部材87は、係止爪91を係止凹部85から離脱させる姿勢になる。
図4に示すように、伝達ギヤ74は遊星ギヤ装置75の太陽ギヤ76のギヤ76Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギヤ74が所定方向へ回転することにより、太陽ギヤ76が所定方向に回転される。例えば、図4に示すように、駆動ギヤ69がCW回転すると、伝達ギヤ74はCW回転し、太陽ギヤ76はCCW回転する。給紙ソレノイド88がオンであれば支持アーム78が回転自在なので、遊星ギヤ79,80はCW回転で公転する。なお、給紙ソレノイド88は、係止爪91を係止凹部85から離脱させるときのみオンにされればよく、支持アーム78が離脱姿勢から回転した後に給紙ソレノイド88がオフにされても、係止爪91が係止凹部85に係合することはない。
図5に示すように、遊星ギヤ装置75に隣り合って伝達ギヤ94が配置されている。伝達ギヤ94は、遊星ギヤ装置75の遊星ギヤ79,80と噛離可能である。図に示すように、遊星ギヤ79,80がCCW回転で公転することにより、遊星ギヤ79が伝達ギヤ94と噛合し、遊星ギヤ80は伝達ギヤ94から離れる。伝達ギヤ94は、大径のギヤ94Lと小径のギヤ94Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。大径のギヤ94Lに対して、遊星ギヤ79,80が噛離可能である。小径のギヤ94Sは、分離ローラ34を軸支する軸111(図9参照)に設けられた従動ギヤ95と噛合されている。なお、伝達ギヤ94から従動ギヤ95までのギヤ構成は特に限定されるものではなく、伝達ギヤ94から従動ギヤ95までの距離に応じて、伝達ギヤの数や径は適宜変更可能である。
CCW回転で公転した遊星ギヤ79が伝達ギヤ94に噛合することにより、遊星ギヤ79の公転が制止される。そして、遊星ギヤ79は、太陽ギヤ76から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ94がCCW回転し、従動ギヤ95がCW回転する。従動ギヤ95がCW回転することにより、分離ローラ34を軸支する軸111が給紙方向に回転される。
図7に示すように、駆動ギヤ69がCW回転からCCW回転に切り替えられると、伝達ギヤ74はCCW回転し、太陽ギヤ76はCW回転する。図5に示したように、遊星ギヤ79が伝達ギヤ94に噛合された状態では、給紙ソレノイド88がオフであっても係止爪91が係止凹部85に係合することはない。したがって、支持アーム78が回転自在なので、遊星ギヤ79,80はCW回転で公転する。遊星ギヤ79,80の公転に伴って支持アーム78が回転することにより、支持アーム85の係止凹部85が係止爪91と係合可能な位置になる。その際、給紙ソレノイド88がオフであれば、図7に示すように、係止爪91が係止凹部85に係合し、支持アーム78の回転が規制される。この状態では、遊星ギヤ79,80の双方ともに伝達ギヤ94と噛合していない。遊星ギヤ79,80ともに伝達ギヤ94から離脱するような支持アーム78の姿勢を、本明細書において離脱姿勢と呼ぶ。係止爪91が係止凹部85に係合されることにより、支持アーム78は回転不能に係止され、つぎに給紙ソレノイド88がオンにされるまで、支持アーム78は離脱姿勢に保持される。
図8に示すように、給紙ソレノイド88がオンにされると、太陽ギヤ76のCW回転に基づいて、遊星ギヤ79,80がCW回転で公転する。CW回転で公転した遊星ギヤ80が伝達ギヤ94に噛合することにより、遊星ギヤ80の公転が制止される。そして、遊星ギヤ80は、太陽ギヤ76から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ94がCW回転し、従動ギヤ95がCCW回転する。従動ギヤ95がCCW回転することにより、分離ローラ34を軸支する軸111が給紙方向と逆方向に回転される。このような伝達ギヤ72,73,74,94及び遊星ギヤ装置86が、本発明の第3駆動力伝達機構のギヤ列に相当する。
以下、分離ローラ34を軸支する軸111から吸入ローラ33への駆動力伝達機構110について説明する。図2に示すように、吸入ローラ33は、アーム29の先端側に軸支されて分離ローラ34と給送方向の逆側に隔てて配置されている。前述したように、モータ67の駆動力は軸111に伝達され、該軸111からアーム29、吸入ローラ33及び分離ローラ34へ駆動力が伝達される。
図9は、軸111から吸入ローラ33への駆動力伝達機構110を示している。駆動力伝達機構110は、軸111に設けられた1周クラッチ112と、分離ローラ34に一体に形成されたギヤ113と、吸入ローラ33の軸114に固定されたギヤ115と、ギヤ113からギヤ115へ駆動力の伝達を行う伝達ギヤ116とから構成されている。分離ローラ34は、軸111に回転自在に軸支されている。なお、1周クラッチ112とギヤ113とは、分離ローラ34の軸方向両側にそれぞれ設けられており、図9においては、分離ローラ34の図奥側に1周クラッチ112が設けられ、手前側にギヤ113が設けられているので、分離ローラ34の奥側にある1周クラッチ112を点線で示している。
1周クラッチ112は、軸111から径方向に突設されたピン117と、分離ローラ34から軸方向に突設された係止片118とからなる。ピン117は、分離ローラ34の側方において、軸111の径方向へ突設されており、軸111の回転に伴って回動する。係止片118は、分離ローラ34の側面から軸方向に突出している。分離ローラ34の径方向に対する係止片118の位置はピン117の突出長さの範囲内であり、ピン117と係止片118とは係合可能である。図に示すように、ピン117が係止片118に係合することにより、軸111の回転が、ピン117及び係止片118を介して分離ローラ34に伝達され、分離ローラ34が軸111と同方向に回転される。
分離ローラ34は軸111に対して回転自在なので、分離ローラ34は、係止片118がピン117から離れる方向へ回転可能である。そして、分離ローラ34が軸111に対して略1周分回転すると、係止片118が再びピン117の位置に到達して係合する。これにより、分離ローラ34は略1周分だけ、軸111からの駆動力の伝達に拘わらずに空転が可能である。
分離ローラ34に設けられたギヤ113と、吸入ローラ33の軸114に固定されたギヤ115との間には、伝達ギヤ116が介設されている。伝達ギヤ116は、ギヤ113及びギヤ115と噛合している。ギヤ113は分離ローラ34と一体なので、分離ローラ34の回転に伴って回転される。このギヤ113の回転を受けて伝達ギヤ116が回転され、伝達ギヤ116の回転を受けてギヤ115が回転される。ギヤ115は吸入ローラ33の軸114に固定されているので、ギヤ115の回転に伴って吸入ローラ33が回転される。つまり、分離ローラ34と吸入ローラ33とは、常に同方向に回転される。このような駆動力伝達機構110により、分離ローラ34を回転自在に軸支する軸111から分離ローラ34及び吸入ローラ22へ駆動力が伝達される。
図9に示すように、アーム29は、その基端側が軸111に回転自在に軸支されており、軸111から駆動力が伝達されて上下動される。軸111とアーム29の基端側との間には、不図示の滑りクラッチが設けられている。この滑りクラッチにより、軸111の回転がアーム29に伝達される。滑りクラッチは、所定トルク以上の負荷を受けることによりクラッチ板が滑って駆動力伝達が切断されるものである。軸111がCW回転することにより、滑りクラッチを介してアーム29に回転力が伝達され、アーム29は吸入ローラ33を降下させる方向へ回動する。一方、軸111がCCW回転すれば、アーム29は吸入ローラ33を上昇させる方向へ回動する。図2に示したように、アーム29が吸入ローラ33を降下させる方向へ回動すれば、吸入ローラ33は原稿搬送路32のガイド面又は給紙トレイ30上の原稿と当接する。これにより、アーム29の回動に対して負荷が生じて滑りクラッチが滑り、アーム29が静止された状態で軸111は更に回転可能である。アーム29が吸入ローラ33を上昇させる方向へ回動すれば、アーム29はADF3の筐体に当接する。これにより、アーム29の回動に対して負荷が生じて滑りクラッチが滑り、アーム29が静止された状態で軸111は更に回転可能である。このように、軸111から滑りクラッチを介してアーム29に駆動力が伝達され、吸入ローラ33を原稿搬送路32のガイド面に対して降下又は上昇させるように、アーム29が揺動される。
図10から図12は、モータ67から搬送ローラ35A,35B,35C,35Dへの駆動力伝達機構120を示している。駆動力伝達機構120は、モータ67の回転方向にかかわらず、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dに搬送方向、すなわち原稿搬送路32の上流側から下流側への駆動力を伝達するものである。この駆動力伝達機構120が、本発明に係る第1駆動力伝達機構に相当する。
図10に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギヤ69に対して、伝達ギヤ71が噛合されて、遊星ギヤ装置122に駆動力が伝達されている。前述したように、伝達ギヤ71は、駆動力伝達機構120の他、分離ローラ34に駆動力を伝達する駆動力伝達機構70、スイッチバックローラ43に駆動力を伝達する駆動力伝達機構150、及びガイドフラップ50に駆動力を伝達する駆動力伝達機構170に共有されている。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、伝達ギヤ71がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギヤ装置122は、太陽ギヤ123の軸124と同軸に支持アーム125が回転自在に設けられ、該支持アーム125に、太陽ギヤ123とそれぞれ噛合する2つの遊星ギヤ126及び遊星ギヤ127が軸支されてなる。
太陽ギヤ123は大径のギヤ123Lと小径のギヤ123Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。支持アーム125に軸支された遊星ギヤ126,127は、太陽ギヤ123のギヤ123Sとそれぞれ噛合している。太陽ギヤ123が回転すると、ギヤ123Sにそれぞれ噛合された遊星ギヤ126,127が回転する。また、太陽ギヤ123の回転を受けて支持アーム125も同方向に回転する。つまり、太陽ギヤ123が回転すると、遊星ギヤ126,127は、それぞれが自転しながら太陽ギヤ123の周囲を公転する。
伝達ギヤ71は遊星ギヤ装置122の太陽ギヤ123のギヤ123Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギヤ71が所定方向へ回転することにより、太陽ギヤ123が所定方向に回転される。例えば、図10に示すように、駆動ギヤ69がCCW回転すると、伝達ギヤ71はCW回転し、太陽ギヤ123はCCW回転し、遊星ギヤ126,127はCCW回転で公転する。
図に示すように、遊星ギヤ装置122に隣り合って伝達ギヤ128及び伝達ギヤ129が配置されている。伝達ギヤ128は、大径のギヤ128Lと小径のギヤ128Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。同様に、伝達ギヤ129は、大径のギヤ129Lと小径のギヤ129Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。伝達ギヤ128のギヤ128Lに対して、遊星ギヤ装置122の遊星ギヤ126が噛離可能である。伝達ギヤ129のギヤ129Lに対して、遊星ギヤ装置122の遊星ギヤ127が噛離可能である。また、ギヤ128Lとギヤ129Lとは噛合されている。
図10に示すように、遊星ギヤ126,127がCCW回転で公転することにより、遊星ギヤ126が伝達ギヤ128のギヤ128Lと噛合する。一方、遊星ギヤ127は伝達ギヤ129から離脱した状態になる。CCW回転で公転した遊星ギヤ126が伝達ギヤ128に噛合することにより、遊星ギヤ126,127の公転が制止される。そして、遊星ギヤ126は、太陽ギヤ123から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ128がCCW回転する。伝達ギヤ128と噛合する伝達ギヤ129は、CW回転する。
図11に示すように、駆動ギヤ69がCW回転すると、伝達ギヤ71はCCW回転し、太陽ギヤ123はCW回転し、遊星ギヤ126,127はCW回転で公転する。遊星ギヤ126,127がCW回転で公転することにより、遊星ギヤ127が伝達ギヤ129のギヤ129Lと噛合する。一方、遊星ギヤ126は伝達ギヤ128から離脱した状態になる。CW回転で公転した遊星ギヤ127が伝達ギヤ129に噛合することにより、遊星ギヤ126,127の公転が制止される。そして、遊星ギヤ127は、太陽ギヤ123から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ129がCW回転する。伝達ギヤ129と噛合する伝達ギヤ128は、CCW回転する。このように、駆動ギヤ69がCW回転であってもCCW回転であっても、伝達ギヤ128には、CCW回転の駆動力が伝達され、伝達ギヤ129にはCW回転の駆動力が伝達される。
図12は、伝達ギヤ128,129から各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36までの駆動力の伝達を示している。伝達ギヤ128のギヤ128Sには、5つの伝達ギヤ130,131,132,133,134が順次噛合されている。そして、伝達ギヤ133に、搬送ローラ35Aの軸に設けられた従動ギヤ135が噛合され、伝達ギヤ134に、排紙ローラ36の軸に設けられた従動ギヤ136が噛合されている。前述したように、伝達ギヤ128は、駆動ギヤ69の回転方向にかかわらずCCW回転され、伝達ギヤ128から、5つの伝達ギヤ130,131,132,133,134に順次駆動力が伝達され、これを受けて、従動ギヤ135がCW回転し、従動ギヤ136がCCW回転する。従動ギヤ125がCW回転することにより、搬送ローラ35Aが搬送方向に回転される。また、従動ギヤ126がCCW回転することにより、排紙ローラ36が搬送方向に回転される。
伝達ギヤ129のギヤ129Sには、3つの伝達ギヤ137,138,139が順次噛合されている。そして、ギヤ129Sに、搬送ローラ35Dの軸に設けられた従動ギヤ140が噛合され、伝達ギヤ138に、搬送ローラ35Cの軸に設けられた従動ギヤ141が噛合され、伝達ギヤ139に、搬送ローラ35Bの軸に設けられた従動ギヤ142が噛合されている。前述したように、伝達ギヤ129は、駆動ギヤ69の回転方向にかかわらずCW回転され、伝達ギヤ129から、3つの伝達ギヤ137,138,139に順次駆動力が伝達される。これを受けて、従動ギヤ140,141がCCW回転し、従動ギヤ142がCW回転する。従動ギヤ140,141がCCW回転することにより、搬送ローラ35D,35Cが搬送方向に回転される。従動ギヤ142がCW回転することにより、搬送ローラ35Bが搬送方向に回転される。このようにして、駆動ギヤ69の回転方向にかかわらす、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力が伝達される。
これら遊星ギヤ装置122、伝達ギヤ128〜134,137〜139が、本発明における第1駆動力伝達機構のギヤ列に相当する。図12に示すように、伝達ギヤ128,129,137〜139により構成されるギヤ列において、読取位置より直下流側に配置される搬送ローラ35Dから、原稿搬送路32の搬送方向上流側へ向かって搬送ローラ35C、搬送ローラ35Bの順に駆動力が伝達される。また、原稿搬送路32の最も搬送方向上流側に配置された搬送ローラ35Aには、伝達ギヤ128,130〜133により構成されるギヤ列により駆動力が伝達されるが、伝達ギヤ128,129から4つの伝達ギヤ130〜133を介して駆動力が伝達されており、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dのなかで最もギヤ数の多いギヤ列を介して駆動力伝達される。つまり、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dにおける駆動力の伝達順序として下位になっている。
後述されるように、原稿搬送路32を搬送される原稿は、搬送方向上流側の搬送ローラ35A及びピンチローラから、搬送方向下流側の搬送ローラ35B,35C,35D及び各ピンチローラ37により順に狭持される。搬送ローラ35A及びピンチローラ37に狭持された原稿は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37から離脱する前に、搬送方向下流側の次の搬送ローラ35B及びピンチローラ37に狭持される。同様に、搬送ローラ35B及びピンチローラ37から離脱する前に、搬送方向下流側の次の搬送ローラ35C及びピンチローラ37に狭持され、搬送ローラ35C及びピンチローラ37から離脱する前に、搬送方向下流側の次の搬送ローラ35D及びピンチローラ37に狭持される。
前述したように、駆動力伝達機構120では、搬送方向下流側の搬送ローラ35Dから搬送方向上流側へ搬送ローラ35C,35B,35Aと順に駆動力が伝達されるので、例えば、搬送方向下流側の搬送ローラ35Dは、その搬送方向上流側の搬送ローラ35Cよりギヤ列のバックラッシュの影響が少ない。同様に、搬送ローラ35Cは、搬送ローラ35Bよりギヤ列のバックラッシュの影響が少なく、搬送ローラ35Bは、搬送ローラ35Aよりギヤ列のバックラッシュの影響が少ない。したがって、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びピンチローラ37に順に狭持されて搬送される原稿は、常に、バックラッシュの影響が少なく安定して回転する搬送ローラに狭持されることになる。
例えば、原稿搬送路32の読取位置より直上流側に配置された搬送ローラ35Cと、読取位置より直下流側に配置された搬送ローラ35Dとでは、搬送ローラ35C及びピンチローラ37により搬送されて読取位置を通過した原稿の搬送方向先端が、搬送ローラ35D及びピンチローラ37に狭持されるが、搬送ローラ35Dは、搬送ローラ35Cよりバックラッシュの影響が少なく回転が安定しているので、原稿の搬送方向先端が搬送ローラ35D及びピンチローラ37に狭持される際に、原稿の搬送が不安定になることがない。これにより、原稿搬送路32の読取位置における原稿の搬送が安定する。
図13から図15は、モータ67からスイッチバックローラ43への駆動力伝達機構150及び駆動力切断機構151を示している。駆動力伝達機構150は、モータ67の回転方向に基づいて、スイッチバックローラ43に引き込み方向又は戻し方向の駆動力を伝達する。駆動力切断機構151は、モータ67の回転方向が、スイッチバックローラ43の戻し方向から引き込み方向に切り替わる際に、モータ67からスイッチバックローラ43への駆動力伝達を切断する。なお、引き込み方向とは、原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ原稿が引き込まれる方向であり、戻し方向とはスイッチバックパス39から原稿搬送路32へ原稿が戻される方向である。駆動力伝達機構150が、本発明に係る第2駆動力伝達機構に相当する。
図13に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギヤ69に伝達ギヤ71が噛合されて、遊星ギヤ装置153に駆動力が伝達されている。前述したように、伝達ギヤ71は、駆動力伝達機構150の他、分離ローラ34に駆動力を伝達する駆動力伝達機構70、スイッチバックローラ43に駆動力を伝達する駆動力伝達機構150、及びガイドフラップ50に駆動力を伝達する駆動力伝達機構170に共有されている。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、伝達ギヤ71がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギヤ装置153は、太陽ギヤ72の軸155と同軸に支持アーム156が回転自在に設けられ、該支持アーム156に、太陽ギヤ72とそれぞれ噛合する2つの遊星ギヤ157及び遊星ギヤ158が軸支されてなる。
太陽ギヤ72は大径のギヤ72Lと小径のギヤ72Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。太陽ギヤ72は、駆動力伝達機構70における伝達ギヤ72であり、大径のギヤ72Lが、伝達ギヤ72の役割を果たしている。支持アーム156は、軸155に回転自在に設けられて遊星ギヤ157,158をそれぞれ軸支するものである。支持アーム156に軸支された遊星ギヤ157,158は、太陽ギヤ72のギヤ72Sとそれぞれ噛合している。太陽ギヤ72が回転すると、ギヤ72Sにそれぞれ噛合された遊星ギヤ157,158が回転する。また、太陽ギヤ72の回転を受けて支持アーム156も同方向に回転する。つまり、太陽ギヤ72が回転すると、遊星ギヤ157,158は、それぞれが自転しながら太陽ギヤ72の周囲を公転する。
支持アーム156が遊星ギヤ157を軸支する先端付近には、係止凸部159が形成されている。係止凸部159が駆動力切断機構151に係止されることにより、太陽ギヤ72の軸155に対してCCW回転する支持アーム156が所定位置に制止される。図13に示すように、支持アーム156が駆動力切断機構151に係止された姿勢が後述される離脱姿勢である。
駆動力切断機構151は、係止部材160とスイッチバックソレノイド161とから構成されている。係止部材160は、軸162から支持アーム156に向かって径方向に延出されたアーム部163と、アーム部163の先端に鈎状に形成された係止爪164と、軸162から径方向に延出された受動部165とを有する。係止爪164は、支持アーム156の係止凸部159と係合可能であり、アーム部163が軸162を中心に回動されることにより係止凸部159に対して係脱される。受動部165はスイッチバックソレノイド161のシャフト166と連結されている。スイッチバックソレノイド161は、電力が供給(オン)されることにより電磁力が作用して、シャフト166を本体に没入させる方向へ直線的に駆動させ、電力が遮断(オフ)されることにより電磁力が消失して、シャフト166を本体から突出させる方向へ直線的に弾性復帰させるものである。このシャフト166の駆動が受動部165に伝達されて、係止部材160が軸162を中心に回動されて所定の姿勢になる。
スイッチバックソレノイド161がオフの状態で、図13に実線で示したように、係止部材160は、係止爪164が支持アーム156の係止凸部159に係合可能な姿勢になる。係止部材160は、この係合姿勢から時計回りに回動可能であり、バネ等に付勢されることにより、外力を受けない限り係合姿勢を維持する。係止凸部159は、支持アーム156の回転に伴って回転するが、その回転方向が係合姿勢の係止部材160の略径方向である。したがって、支持アーム156の回転力が係止凸部159を介して係止部材160に伝達されても、係止部材160がバネ等の付勢力に反して係合姿勢から回転することはない。スイッチバックソレノイド161がオンの状態で、図13に2点鎖線で示したように、係止部材160は、係止爪164を係止凸部159から離脱させる姿勢になる。
図13に示すように、伝達ギヤ71は遊星ギヤ装置153の太陽ギヤ72のギヤ156Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギヤ71が所定方向へ回転することにより、太陽ギヤ72が所定方向に回転される。例えば、図13に示すように、駆動ギヤ69がCCW回転すると、伝達ギヤ71はCW回転し、太陽ギヤ72はCCW回転する。これを受けて、遊星ギヤ157,158はCCW回転で公転する。遊星ギヤ157,158の公転に伴って支持アーム156が回転することにより、支持アーム156の係止凸部159が係止爪164と係合可能な位置になる。その際、スイッチバックソレノイド161がオフであれば、図13に示すように、係止爪164が係止凸部159に係合し、支持アーム156の回転が規制される。この状態では、遊星ギヤ157,158の双方ともに伝達ギヤ167と噛合していない。遊星ギヤ157,158ともに伝達ギヤ167から離脱するような支持アーム156の姿勢を、本明細書において離脱姿勢と呼ぶ。係止爪164が係止凸部159に係合されることにより、スイッチバックソレノイド161がオンにされるまで、支持アーム156のCCW回転が規制されて、支持アーム156は離脱姿勢に保持される。
図13に示すように、伝達ギヤ167は、遊星ギヤ装置153に隣り合う位置に配置されている。伝達ギヤ167は、遊星ギヤ装置153の遊星ギヤ157,158と噛離可能である。伝達ギヤ167は、大径のギヤ167Lと小径のギヤ167Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。大径のギヤ167Lに対して、遊星ギヤ157,158が噛離可能である。小径のギヤ167Sは、スイッチバックローラ43の軸に設けられた従動ギヤ168と噛合されている。なお、伝達ギヤ167から従動ギヤ168までのギヤ構成は特に限定されるものではなく、伝達ギヤ167から従動ギヤ168までの距離に応じて、伝達ギヤの数や径は適宜変更可能である。
図14に示すように、駆動ギヤ69がCW回転すると、伝達ギヤ71はCCW回転し、太陽ギヤ72はCW回転する。これを受けて、遊星ギヤ157,158はCW回転で公転する。遊星ギヤ157,158の公転に伴って支持アーム156が回転する。支持アーム156がCW回転すると、係止凸部159は係止爪164から離れる。したがって、スイッチバックソレノイド161がオフであっても、支持アーム159はCW回転が可能である。遊星ギヤ157,158がCW回転で公転することにより、遊星ギヤ157が伝達ギヤ167と噛合する。
CW回転で公転した遊星ギヤ157が伝達ギヤ167に噛合することにより、遊星ギヤ157の公転が制止される。そして、遊星ギヤ157は、太陽ギヤ72から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ167がCW回転し、従動ギヤ168がCCW回転する。従動ギヤ168がCCW回転することにより、スイッチバックローラ43が戻し方向に回転される。
図13に示した状態から、スイッチバックソレノイド161がオンにされると、係止部材160が回動されて係止爪164が係止凸部159から離脱する。したがって、支持アーム156はCCW回転が可能になり、遊星ギヤ157,158がCCW回転で公転する。図15に示すように、CCW回転で公転した遊星ギヤ158が伝達ギヤ167に噛合することにより、遊星ギヤ158の公転が制止される。そして、遊星ギヤ158は、太陽ギヤ72から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ167がCCW回転し、従動ギヤ168がCW回転する。従動ギヤ168がCW回転することにより、スイッチバックローラ43が引き込み方向に回転される。なお、スイッチバックソレノイド161は、係止爪164を係止凸部159から離脱させるときのみオンにされればよく、支持アーム156が離脱姿勢からCCW回転した後にスイッチバックソレノイド161がオフにされても、係止爪164が係止凸部159に係合することはない。
駆動ギヤ67の回転がCCW回転からCW回転に切り替えられることにより、支持アーム156は、遊星ギヤ158と伝達ギヤ167が噛合する図15に示す状態からCW回転することが可能である。支持アーム156がCW回転することにより、遊星ギヤ157と伝達ギヤ167が噛合する図14に示す状態となる。そして、駆動ギヤ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられることにより、支持アーム156は、図14に示す状態からCCW回転し、図13に示すように係止爪164と係止凸部159とが係合する離脱姿勢になる。これら遊星ギヤ装置153及び伝達ギヤ167が、本発明に係る第2駆動力伝達機構のギヤ列に相当する。
図16及び図17は、モータ67からガイドフラップ50への駆動力伝達機構170を示している。駆動力伝達機構170は、モータ67の回転方向に基づいて、ガイドフラップ50を姿勢変化させるものである。駆動力伝達機構170が、本発明に係る第3駆動力伝達機構に相当する。
図16に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギヤ69に対して、伝達ギヤ71,72,73が順次噛合されて、伝達ギヤ73から遊星ギヤ装置174に駆動力が伝達されている。前述したように、伝達ギヤ71は、駆動力伝達機構170の他、分離ローラ34に駆動力を伝達する駆動力伝達機構70、搬送ローラ35A〜Dに駆動力を伝達する駆動力伝達機構120、及びスイッチバックローラ43に駆動力を伝達する駆動力伝達機構150に共有されている。また、伝達ギヤ72は、分離ローラ34に駆動力伝達を行う駆動力伝達機構70の伝達ギヤとして、また、スイッチバックローラ43へ駆動力伝達を行う駆動力伝達機構150における太陽ギヤ72として共有される。また、伝達ギヤ73は、分離ローラ34に駆動力伝達を行う駆動力伝達機構70の伝達ギヤとして共有される。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、伝達ギヤ73がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギヤ装置174は、太陽ギヤ175の軸176と同軸に支持アーム177が回転自在に設けられ、該支持アーム177に、太陽ギヤ175とそれぞれ噛合する2つの遊星ギヤ178,179が軸支されてなる。
太陽ギヤ175は大径のギヤ175Lと小径のギヤ175Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。支持アーム177に軸支された遊星ギヤ178,179は、太陽ギヤ175のギヤ175Sとそれぞれ噛合している。太陽ギヤ175が回転すると、ギヤ175Sにそれぞれ噛合された遊星ギヤ178,179が回転する。また、太陽ギヤ175の回転を受けて支持アーム177も同方向に回転する。つまり、太陽ギヤ175が回転すると、遊星ギヤ178,179は、それぞれが自転しながら太陽ギヤ175の周囲を公転する。
伝達ギヤ73は遊星ギヤ装置174の太陽ギヤ175と噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギヤ73が所定方向へ回転することにより、太陽ギヤ175が所定方向に回転される。例えば、図16に示すように、駆動ギヤ69がCW回転すると、伝達ギヤ73はCCW回転し、太陽ギヤ175はCW回転し、遊星ギヤ178,179はCW回転で公転する。
図に示すように、遊星ギヤ装置174に隣り合って伝達ギヤ180及び伝達ギヤ181が配置されている。伝達ギヤ180は、大径のギヤ180Lと小径のギヤ180Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギヤである。伝達ギヤ180のギヤ180Lに対して、遊星ギヤ装置174の遊星ギヤ178,179が噛離可能である。また、伝達ギヤ180のギヤ180Sと伝達ギヤ181とが噛合されており、伝達ギヤ181は、ガイドフラップ50の軸に設けられた従動ギヤ182と噛合されている。
図16に示すように、遊星ギヤ178,179がCW回転で公転することにより、遊星ギヤ178が伝達ギヤ180のギヤ180Lと噛合する。一方、遊星ギヤ179は伝達ギヤ180から離脱した状態になる。CW回転で公転した遊星ギヤ178が伝達ギヤ180に噛合することにより、遊星ギヤ178,179の公転が制止される。そして、遊星ギヤ178は、太陽ギヤ175から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ180がCW回転する。伝達ギヤ180と噛合する伝達ギヤ181は、CCW回転し、伝達ギヤ181と噛合する従動ギヤ182は、CW回転する。従動ギヤ182がCW回転することにより、ガイドフラップ50は上側へ揺動するように回転されて、図2に示すように、連結位置38において原稿搬送路32の読取位置から排紙トレイ31側へ原稿を案内する位置になる。
図17に示すように、駆動ギヤ69がCCW回転すると、伝達ギヤ73はCW回転し、太陽ギヤ175はCCW回転し、遊星ギヤ178,179はCCW回転で公転する。遊星ギヤ178,179がCCW回転で公転することにより、遊星ギヤ179が伝達ギヤ180のギヤ180Lと噛合する。一方、遊星ギヤ178は伝達ギヤ180から離脱した状態になる。CCW回転で公転した遊星ギヤ179が伝達ギヤ180に噛合することにより、遊星ギヤ178,179の公転が制止される。そして、遊星ギヤ179は、太陽ギヤ175から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギヤ180がCCW回転する。伝達ギヤ180と噛合する伝達ギヤ181は、CW回転し、伝達ギヤ181と噛合する従動ギヤ182は、CCW回転する。従動ギヤ182がCCW回転することにより、ガイドフラップ50は、図2に示す位置から下側へ揺動するように回転されて、連結位置38において原稿搬送路32の読取位置側からスイッチバックパス39へ原稿を案内する位置になる。このような伝達ギヤ72,73、遊星ギヤ装置174,伝達ギヤ180,181が、本発明に係る第3駆動力伝達機構のギヤ列に相当する。
なお、図には示されていないが、従動ギヤ182が設けられた軸とガイドフラップ50との間には、滑りクラッチが設けられている。この滑りクラッチにより、軸の回転がガイドフラップ50に伝達される。滑りクラッチは、所定トルク以上の負荷を受けることによりクラッチ板が滑って駆動力伝達が切断されるものである。ガイドフラップ50は、各搬送経路に原稿を案内する姿勢に揺動されるものであり、ガイド部材等に当接することにより各姿勢を超えて回動されないように規制されている。したがって、ガイドフラップ50が所定の案内姿勢となった後は、ガイドフラップ50の回転が規制されることにより滑りクラッチが滑って、ガイドフラップ50が所定の案内姿勢に静止された状態で、従動ギヤ182が設けられた軸は更に回転可能である。また、伝達ギヤ180から従動ギヤ182までのギヤ構成は特に限定されるものではなく、伝達ギヤ180から各従動ギヤ182までの距離に応じて、伝達ギヤの数や径は適宜変更可能である。
前述した各駆動力伝達機構70,110,120,150,170により、単一のモータ67から、分離ローラ34,吸入ローラ33,搬送ローラ35A〜D,スイッチバックローラ43,ガイドフラップ50へ駆動力が伝達される。駆動力伝達機構70,120,150,170において、モータ67の駆動出力軸に設けられた駆動ギヤ69と、駆動ギヤ69に噛合する伝達ギヤ71とが共有されている。駆動力伝達機構120は、伝達ギヤ71から分岐されたギヤ列により、搬送ローラ35A〜Dに駆動力を伝達する。また、駆動力伝達機構150は、伝達ギヤ71から分岐されたギヤ列により、スイッチバックローラ43に駆動力を伝達する。これに対し、駆動力伝達機構70,170は、伝達ギヤ71より駆動力伝達方向下流側の伝達ギヤ72,73から分岐されたギヤ列により、分離ローラ34,ガイドフラップ50に駆動力を伝達する。
駆動ギヤ69に噛合された伝達ギヤ71には、駆動ギヤ69と伝達ギヤ71間のバックラッシュのみが存在する。これに対し、伝達ギヤ71より駆動力伝達方向下流側においては、さらに伝達ギヤ72,73を重ねた分だけのバックラッシュの累積がある。駆動力伝達機構120を伝達ギヤ71から分岐させたギヤ列として、各搬送ローラ35A〜Dへ駆動力を伝達させることにより、バックラッシュの少ない駆動力伝達が実現される。同様に、駆動力伝達機構150を伝達ギヤ71から分岐させたギヤ列として、スイッチバックローラ43へ駆動力を伝達されることにより、バックラッシュの少ない駆動力伝達が実現される。また、伝達ギヤ71のバックラッシュが少ないことにより、例えば、分離ローラ34が原稿を給送し終えて分離パッドに接触しながら回転する際に生じた負荷変動や、ガイドフラップ50が所定の案内姿勢となった後に滑りクラッチが滑ることによる負荷変動が、伝達ギヤ71を介して各搬送ローラ35A〜D、スイッチバックローラ43の回転に影響することが抑制される。
また、駆動力伝達機構70,170は、駆動力伝達機構150から分岐されたものであり、駆動力伝達機構120からは、他の駆動力伝達機構が分岐されていない。したがって、分離ローラ34及びガイドフラップ50における負荷変動が、搬送ローラ35A〜Dに影響することが特に抑制される。また、伝達ギヤ71から分岐される駆動力伝達経路が、駆動力伝達機構120と駆動力伝達機構150の2方向に集約されることにより、ギヤ列の構成が簡易になる。
また、駆動力伝達機構170によりモータ67から駆動力が伝達されるガイドフラップ50は、原稿搬送路32の連結位置38において搬送経路を切り替えるためのものであり、原稿の搬送方向先端が連結位置に到達するまでに、所望の搬送経路への切り替えが完了されていれば足りる。また、ガイドフラップ50の動作速度の若干の変化などは、ガイドフラップ50が所定の搬送経路に原稿を案内するという作用に悪影響を及ぼすことがない。したがって、駆動力伝達機構70,170が、駆動力伝達機構120,150よりバックラッシュの影響が大きい駆動力伝達となることの弊害はないか、極めて小さいものと考えられる。
以下、本画像読取装置1による画像読取りの動作について説明する。
画像読取装置1は、FBSとして使用することも、ADF3を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略する。ADF3を使用する場合には、原稿カバー4を原稿載置台2に対して閉じた状態とする。原稿カバー4の開閉は、原稿載置台2に設けられたセンサ等により検知され、原稿カバー4が閉じられるとADF3が使用可能となるように制御されている。そして、給紙トレイ30に読み取るべき原稿Gnが載置される。原稿Gnは、読取面(第1面)が上側となるように、所謂フェイスアップにして給紙トレイ30に載置される。また、原稿Gnは1枚であっても複数枚であってもよい。例えば、同じサイズの複数枚の原稿Gnの画像読取りを行う場合には、第1枚目の原稿G1の第1面が上向きとなるように、すなわちフェイスアップで重ね揃えて給紙トレイ30に載置される。
画像読取装置1に読取開始が入力されると、モータ67が駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ43が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿G1から1枚ずつ分離されて原稿搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿Gnは、原稿搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で待機された画像読取ユニット22により原稿Gnの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gnは、排紙トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gnの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gnの搬送経路が異なる。原稿Gnの片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定された片面読取りモード又は両面読取りモードにより判断される。
図18は、片面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を示すフローチャートである。図19は、両面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を示すフローチャートである。また、図20は、片面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を示すタイミングチャートである。図21は、片面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を示すタイミングチャートである。また、図22から図26は、片面読取りモードにおける原稿Gnの搬送状態を示す模式図である。図27から図32は、両面読取りモードにおける原稿Gnの搬送状態を示す模式図である。なお、図において原稿Gnに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
片面読取り開始前においては、図22に示すように、ガイドフラップ50は、連結位置38における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、原稿Gnが当接していない状態では、交叉位置40における搬送経路を原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にある。ガイドフラップ47は、原稿Gnが当接していない状態では、交叉位置40における搬送経路をスイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
画像読取装置1に読取開始が入力されると(S1(Y))、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されているか否かが検知される(S2)。制御部60は、給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されていないと判断した場合には(S2(N))、画像読取装置1の液晶表示部12に「原稿なし」のエラー表示を行う(S3)。給紙トレイ30に原稿Gnが載置されていれば、モータ67をCW回転で駆動する。なお、本実施の形態では、読取開始時にモータ67をCW回転するものとして説明するが、読取開始時にモータ67をCW回転させるかCCW回転させるかは任意であり、モータ67の回転方向は相対的な概念である。
制御部60は、モータ67をCW回転で駆動するとともに、給紙ソレノイド88をオンにする。これにより、図4及び図5に示したように、駆動力伝達機構70の遊星ギヤ装置75は、係止機構86による係止が解除され、太陽ギヤ76の回転に基づいて遊星ギヤ79,80をCCW回転で公転させて伝達ギヤ94に駆動力伝達する。これにより、従動ギヤ95がCW回転する。従動ギヤ95がCW回転することにより、アーム29に駆動力が伝達されてアーム29が下方へ下がる。これにより、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と圧接する。また、従動ギヤ95のCW回転が駆動力伝達機構110により吸入ローラ33及び分離ローラ34に伝達され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給送方向に回転することにより、原稿G1は原稿搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gnが載置されている場合に、最上位置の原稿G1に伴って、その直下の原稿G2が重送されることがあるが、原稿G2は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。このようにして原稿G1の給紙が行われる(S4)。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36にモータ67からの駆動力が駆動力伝達機構120により伝達されて、各ローラが原稿搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gnを搬送するように、すなわち搬送方向に回転する。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、原稿搬送路32を交叉位置40に搬送される。なお、原稿搬送路32に原稿G1が給送されることにより、第2フロントセンサ53がオンになる。
ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40への搬送経路を閉止しているので、交叉位置40に搬送される原稿G1はガイドフラップ47に当接する。図23に示すように、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32を搬送される原稿G1に押しやられるように図中左側に回動する。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40に到達した原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39のいずれの方向にも進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
モータ67から駆動力伝達機構120により駆動力が伝達されて回転する各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36の周速度は、モータ67から駆動力伝達機構70,110により駆動力が伝達されて回転する分離ローラ34の周速度より速くなるように設定されている。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、図23に示すように、分離ローラ34と圧接しながら、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて搬送されている。図9に示したように、分離ローラ34は、1周クラッチ112により、給送方向に略1周分の空転が許容されている。したがって、図24に示すように、原稿G1と圧接する分離ローラ34は、搬送ローラ35Aにより所定の速度で搬送される原稿G1により連れ回りして、軸111より給送方向に進むように空転する。
図25に示すように、1枚目の原稿G1が給紙トレイ30から完全に原稿搬送路32に給送されることにより、原稿G1は分離ローラ34から離れる。これにより、原稿G1により連れ回りしていた分離ローラ34の空転が止まる。図24に示すように、分離ローラ34の空転により、軸111のピン117に対して、分離ローラ34の係止片118が給送方向に進んでいる。軸111にはモータ67から駆動力が伝達されているが、ピン117が係止片118と係合する位置に回転するまで分離ローラ34は回転しない。したがって、分離ローラ34と圧接する2枚目の原稿G2は、分離ローラ34が回転するまで原稿搬送路32に給送されない。一方、原稿搬送路32に給送された原稿G1は、搬送ローラ35A,35Bの回転により原稿搬送路32を搬送される。これにより、図25に示すように、1枚目の原稿G1と2枚目の原稿G2とに搬送方向に所定の間隙が形成される。そして、ピン117が係止片118と係合するまで軸111が回転すれば、ピン117及び係止片118により軸111の回転が分離ローラ34に伝達されて分離ローラ34が給送方向に回転する。これにより、図26に示すように、2枚目の原稿G2が原稿搬送路32に給送される。このようにして、各原稿Gn毎に給紙ソレノイド88を駆動させることなく、各原稿Gnを所定の間隙で連続的かつ高速に原稿搬送路32へ給送することができる。なお、第2フロントセンサ53は、図25に示すように、原稿G1の後端が通過することによりオフになり、その後、図26に示すように、原稿G2の先端が通過することによりオンとなる。
図26に示すように、原稿G1は、原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、リアセンサ54が原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。原稿G1の搬送方向先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の搬送方向先端が読取位置へ到達すれば、制御部60は画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の画像読取りを行う(S5)。原稿G1は、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿G1の第1面の画像が読み取られる。リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向後端を検知するとオフになる。制御部60は、リアセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、画像読取ユニット22による原稿G1の画像読取りを終了する。
モータ67はCW回転なので、図27に示すように、ガイドフラップ50は、連結位置38において原稿G1を原稿搬送路32の排紙トレイ31側へ案内する。排紙ローラ36及びピンチローラ37が原稿G1をニップして、原稿搬送路32から排紙トレイ31へ排出する(S6)。また、2枚目の原稿G2の搬送方向先端をリアセンサ54が検知してオンになれば、制御部60は、所定時間経過後に画像読取ユニット22を動作させて原稿G2の画像読取りを行う。また、原稿G2により空転された後、所定時間停止していた分離ローラ34が回転することにより、3枚目の原稿G3が原稿搬送路32に給送される。これらの動作を繰り返すことにより、ADF3は、給紙トレイ30上の原稿G1,G2,G3,・・・を順次原稿搬送路32に給送し、画像読取ユニット22が各原稿原稿G1,G2,G3,・・・の画像読取りを行い、読取り後の原稿G1,G2,G3,・・・を排紙トレイ31に順次排出する。
図20に示すように、給紙トレイ30に載置された最後の原稿Gkを原稿搬送路32から排出した後、制御部60は、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り替えるとともに、給紙ソレノイド88をオンにする。給紙トレイ30に載置された原稿Gkが最後の原稿であるか否かは、第2フロントセンサ53が原稿Gkの後端を検知してオフになった際に、第1フロントセンサ52がオフであるか否かにより判断される。第1フロントセンサ52がオフであれば、原稿Gkは給紙トレイ30に載置された最後の原稿であり、オンであれば給紙トレイ30には次の原稿が存在すると判断される。モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられ、給紙ソレノイド88がオンにされることにより、図8に示すように、遊星ギヤ装置75から駆動力が伝達されて、従動ギヤ95がCCW回転し、軸111が給送方向と逆方向に回転する。この軸111の回転がアーム29に伝達されて、アーム29が上昇して給紙ローラ33が原稿搬送路32のガイド面から離れる。これにより、次に画像読取りを行う原稿Gnを、給紙ローラ33の下方を超えて分離ローラ34に当接するまで挿入することができる。その後、制御部60がモータ67を停止して、片面読取りモードの画像読取りが終了する。
つぎに、両面読取りについて説明する。原稿Gnの給紙前は、片面読取りモードの説明において図22示したように、ガイドフラップ50は、連結位置38における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、交叉位置40における搬送経路を原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にあり、ガイドフラップ47は、交叉位置40における搬送経路をスイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
画像読取装置1に読取開始が入力されると(S11)、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されているか否かが検知される(S12)。制御部60は、給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されていないと判断した場合には(S12(N))、画像読取装置1の液晶表示部12に「原稿なし」のエラー表示を行う(S13)。給紙トレイ30に原稿Gnが載置されていれば、モータ67をCW回転で駆動する。モータ67へのCW回転指令は、RAM63に回転方向情報として記憶される。
制御部60は、モータ67をCW回転で駆動するとともに、給紙ソレノイド88をオンにする。これにより、図4及び図5に示したように、駆動力伝達機構70の遊星ギヤ装置75は、係止機構86による係止が解除され、太陽ギヤ76の回転に基づいて遊星ギヤ79,80をCCW回転で公転させて伝達ギヤ94に駆動力伝達する。これにより、従動ギヤ95がCW回転する。従動ギヤ95がCW回転することにより、アーム29に駆動力が伝達されてアーム29が降下する。これにより、吸入ローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と圧接する。また、従動ギヤ95のCW回転が駆動力伝達機構110により吸入ローラ33及び分離ローラ34に伝達され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給送方向に回転することにより、原稿G1は原稿搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gnが載置されている場合に、最上位置の原稿G1に伴って、その直下の原稿G2が重送されることがあるが、原稿G2は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。このようにして、原稿G1が原稿搬送路32に給紙される(S14)。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36にモータ67からの駆動力が駆動力伝達機構120により伝達されて、各ローラが原稿搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gnを搬送するように、すなわち搬送方向に回転する。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、原稿搬送路32を交叉位置40に搬送される。なお、原稿搬送路32に原稿G1が給送されることにより、第2フロントセンサ53がオンになる。
ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40への搬送経路を閉止しているので、交叉位置40に搬送される原稿G1はガイドフラップ47に当接する。片面読取りモードの説明において図23に示したように、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32を搬送される原稿G1に押しやられるように図中左側に回動する。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交叉位置40に到達した原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39のいずれの方向にも進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
片面読取りモードにおいて説明したように、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36の周速度は、分離ローラ34の周速度より速くなるように設定されているので、分離ローラ34と圧接しながら、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて搬送されている原稿G1により、分離ローラ34が空転し、これにより、1枚目の原稿G1と2枚目の原稿G2とに搬送方向に所定の間隙が形成される。制御部60は、図21に示すように、原稿G2が給送されるタイミング、すなわち空転した分離ローラ34が再び回転する前に、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り替える。制御部60は、第2フロントセンサ53が原稿G1の先端を検知してオンとなった後、又は原稿G1の後端を検知してオフとなった後の経過時間又はモータ67の回転量等により、モータ67の回転を切り替えるタイミングを判断することができる。
モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられると、図7に示すように、係止機構86により遊星ギヤ装置75の支持アーム78が係止されて離脱姿勢に保持される。これにより、従動ギヤ95への駆動力伝達が切断され、分離ローラ34を軸支する軸111が停止する。
駆動力伝達機構120は、図10から図12に示したように、モータ67の回転がCW回転であってもCCW回転であっても、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達する。したがって、モータ67の回転が切り替えられた後も、原稿G1は搬送ローラ35B等により原稿搬送路32を読取位置へ向かって搬送される。
駆動力伝達機構150は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられることにより、駆動切断機構151が遊星ギヤ装置153を離脱姿勢に保持して、従動ギヤ168への駆動力伝達を切断する。これにより、スイッチバックローラ43が停止する。駆動力伝達機構170は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられることにより、ガイドフラップ50を連結位置38においてスイッチバックパス39に原稿を案内するように切り替えられる。なお、原稿G1の後端が交叉位置40を通過することにより、ガイドフラップ47は、図2に示す位置に復帰する。
図28に示すように、原稿G1は、原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、リアセンサ54が原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。原稿G1の先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の搬送方向先端が読取位置へ到達すれば、制御部60は画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の画像読取りを行う(S15)。原稿G1は、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿G1の第1面の画像が読み取られる。リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向後端を検知するとオフになる。制御部60は、リアセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、画像読取ユニット22による原稿G1の第1面の画像読取りを終了する。画像読取ユニット22により読み取られた原稿G1の第1面の画像データは、RAM63の所定領域に記憶される。
図29に示すように、第1面を読み取られた原稿G1の搬送方向先端は、ガイドフラップ50に案内されて、連結位置38を原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ進入する。スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。スイッチバックセンサ55のオンを受けて、制御部60は、スイッチバックソレノイド161をオンにする。これにより、原稿G1がスイッチバックパス39に引き込まれる際に、駆動切断機構151による遊星ギヤ装置153の支持アーム156の係止が解除されて、図15に示すように、モータ67からCCW回転の駆動力伝達を受けた遊星ギヤ装置153は、従動ギヤ168にCW回転の駆動力を伝達し、スイッチバックローラ43が引き込み方向に回転する。
ガイドフラップ46は、スイッチバックパス39から交叉位置40への搬送経路を閉止しているので、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端は、交叉位置40に到達する際にガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図29に示すように、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の搬送方向先端に押し上げられるように図中上側に回動する。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47により、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は閉止されている。したがって、スイッチバックパス39の連結位置38側から交叉位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、原稿搬送路32に進入することなく、スイッチバックパス39へ搬送される。そして、原稿G1の搬送方向先端は、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44にニップされ、スイッチバックローラ43の引き込み方向の回転によりスイッチバックパス39を終端41側へ搬送される。
図30に示すように、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交叉位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り替える。スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の後端を検知してオフになり、それから所定時間経過後に原稿G1の後端が交叉位置40を通過する。したがって、制御部60は、スイッチバックセンサ55の検知信号と搬送ローラ35D及びスイッチバックローラ43による搬送距離又は搬送時間のカウントにより、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交叉位置40を超えて終端41側に完全に進入したことを判断する。モータ67の回転が切り替えられることにより、スイッチバックローラ43とピンチローラ44にニップされて終端41から突出された原稿G1は、交叉位置40へ戻される。
なお、原稿G1の一部がスイッチバックパス39の終端41からADF3の外側へ突出した際に、突出した原稿G1の一部分は原稿支持部42により支持される。また、原稿G1が交叉位置40を通過してガイドフラップ46から離れることにより、ガイドフラップ46は下側へ回動して、図2に示す位置に復帰する。
モータ67がCCW回転からCW回転に切り替えられることにより、駆動力伝達機構150の遊星ギヤ装置153は、図14に示すように、支持アーム156をCW回転させてモータ67の駆動力を従動ギヤ168に伝達し、従動ギヤ168がCCW回転する。これにより、スイッチバックローラ43が戻し方向に回転する。これを受けて、原稿G1は、スイッチバックパス39を交叉位置40へ戻るようにスイッチバック搬送される(S16)。
駆動力伝達機構120は、図10から図12に示したように、モータ67の回転がCW回転であってもCCW回転であっても、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達する。したがって、モータ67の回転が切り替えられた後も、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36は、搬送方向に回転する。
駆動力伝達機構70は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられた際に、係止機構86が遊星ギヤ装置75を離脱姿勢に保持して、従動ギヤ95への駆動力伝達を切断している。その後、給紙ソレノイド88が動作されていないので、遊星ギヤ装置75は、モータ67がCW回転になっても離脱姿勢に保持される。駆動力伝達機構170は、モータ67の回転がCCW回転からCW回転に切り替えられることにより、ガイドフラップ50を、連結位置38において原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ原稿を案内する位置に切り替えられる。
図31に示すように、スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、交叉位置40においてガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図に示す位置から下側へ回動しないように規制されている。したがって、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路を閉止している。したがって、原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の連結位置38側や原稿搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することなく、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。原稿G1がスイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置の上流側へ戻されることにより、原稿G1は、最初に原稿搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で原稿搬送路32を再送される。このようにして、原稿G1がスイッチバック搬送される。そして、原稿G1は、第2面を読取位置に対向させるようにして原稿搬送路32を搬送される。
制御部60は、スイッチバック搬送された原稿G1の搬送方向先端が原稿搬送路32の読取位置の上流側の所定の位置に到達すれば、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り替える。駆動力伝達機構120は、モータ67の回転方向にかかわらず、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達するので、モータ67の回転が切り替えられた後も、原稿G1は搬送ローラ35B等により原稿搬送路32を読取位置へ向かって搬送される。
駆動力伝達機構150は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられると、遊星ギヤ装置153の支持アーム156がCCW回転して、駆動切断機構151に係止されて離脱姿勢になる。これにより、遊星ギヤ装置153から従動ギヤ168への駆動力伝達が切断され、スイッチバックローラ43が停止する。したがって、原稿G1の搬送方向先端側が搬送ローラ35B及びピンチローラ37にニップされ、原稿G1の搬送方向後端側がスイッチバックローラ43及びピンチローラ44にニップされた状態でモータ67の回転が切り替えられても、スイッチバックローラ43が引き込み方向に回転することがない。モータ67からの駆動力伝達が切断されたスイッチバックローラ43は、搬送ローラ35Bの回転により搬送される原稿G1により、戻し方向に連れ回りする。
駆動力伝達機構70は、係止機構86が遊星ギヤ装置75を離脱姿勢に保持した後、給紙ソレノイド88が動作されていないので、遊星ギヤ装置75は、モータ67がCCW回転になっても離脱姿勢に保持される。駆動力伝達機構170は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り替えられることにより、ガイドフラップ50を、連結位置38において原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ原稿を案内する位置に切り替えられる。
原稿G1の搬送方向先端がリアセンサ54に検知され、該搬送方向先端が読取位置に到達すれば、図32に示すように、制御部60は、画像読取ユニット22に、原稿G1の第2面の画像読取りを行わせる(S17)。第2面を読み取られた後の原稿G1の搬送方向先端は、ガイドフラップ50に案内されて、連結位置38を原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ進入する。原稿G1の搬送方向後端がリアセンサ54に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、制御部60は、画像読取ユニット22による原稿G1の第2面の画像読取りを終了する。画像読取ユニット22により読み取られた原稿G1の第2面の画像データは、RAM63の所定領域に記憶される。
スイッチバックセンサ55が、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになると、制御部60は、スイッチバックソレノイド161をオンにする。これにより、原稿G1がスイッチバックパス39に引き込まれる際に、駆動切断機構151による遊星ギヤ装置153の支持アーム156の係止が解除されて、図15に示すように、モータ67からCCW回転の駆動力伝達を受けた遊星ギヤ装置153は、従動ギヤ168にCW回転の駆動力を伝達し、スイッチバックローラ43が引き込み方向に回転する。
交叉位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端は、図29と同様にして、ガイドフラップ46を図中上側に押し上げて、交叉位置40をスイッチバックパス39の終端41側に進入する。そして、図30と同様にして、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交叉位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り替え、スイッチバックローラ43を戻し方向に回転させて、原稿G1を交叉位置40へ戻す。そして、図31と同様にして、スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。これにより、原稿G1は、再び先端と後端とが逆転した状態で、すなわち最初に原稿搬送路32に給送された状態で原稿搬送路32を再送される(S18)。
なお、駆動力伝達機構120は、モータ67の回転方向にかかわらず各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達するので、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36は搬送方向に回転する。駆動力伝達機構70は、係止機構86が遊星ギヤ装置75を離脱姿勢に保持した状態であり、従動ギヤ95への駆動力伝達を切断している。駆動力伝達機構170は、モータ67の回転がCCW回転からCW回転に切り替えられることにより、ガイドフラップ50を、連結位置38において原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ原稿を案内する位置に切り替えられる。
その後、原稿G1は、第1面を対向させて読取位置を通過し、ガイドフラップ50により連結位置38を排紙トレイ31側へ案内され、排紙ローラ36により、第1面を下にした状態で排紙トレイ31に排出される(S19)。給紙トレイ30に、次の原稿G2がセットされている場合(S20(Y))、すなわち第1フロントセンサ52がオンであれば、制御部60は、給紙ソレノイド88をオンにして、係止機構86による遊星ギヤ装置75の支持アーム78の係止を解除して、駆動力伝達機構70によりモータ67から従動ギヤ95へ駆動力を伝達させて、分離ローラ34を給送方向に回転させる。これにより、給紙トレイ30上の原稿G2が原稿搬送路32に給送され、前述と同様にして原稿G2の両面の画像読取りが行われる。
そして、片面読取りモードと同様に、給紙トレイ30に載置された最後の原稿Gkを原稿搬送路32から排紙トレイ31へ排出した後、制御部60は、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り替えるとともに、給紙ソレノイド88をオンにする。これにより、図8に示すように、遊星ギヤ装置75から駆動力が伝達されて、従動ギヤ95がCCW回転し、軸111が給送方向と逆方向に回転する。この軸111の回転がアーム29に伝達されて、アーム29が上昇して給紙ローラ33が原稿搬送路32のガイド面から離れる。これにより、次に画像読取りを行う原稿Gnを、給紙ローラ33の下方を超えて分離ローラ34に当接するまで挿入することができる初期状態に復帰する。その後、制御部60がモータ67を停止して、両面読取りモードの画像読取りが終了する。
なお、本実施の形態では、給紙トレイ30に載置された複数枚の原稿Gnの順序を維持した状態で排紙トレイ31へ排紙されるものとして、画像読取装置1による両面読取りの動作を説明したが、給紙トレイ30に載置された原稿Gnの順序と排紙トレイ31に排紙された原稿Gnの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gnの第2面を対向させて原稿Gnが搬送された後、再びスイッチバックパス39に原稿Gnを進入させることなく、連結位置38を排紙トレイ31側へ搬送して、排紙トレイ31へ原稿Gnを排出することとしてもよい。これにより、排紙トレイ31において原稿Gnの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gnの両面読取りに要する時間を短縮することができる。
このように、本画像読取装置1によれば、単一のモータ67の駆動出力軸に設けられた駆動ギヤ69及び駆動ギヤ69に噛合する伝達ギヤ71を共有する駆動力伝達機構70,120,150,170において、駆動力伝達機構120,150が、伝達ギヤ71から分岐されたギヤ列により、各搬送ローラ35A〜D又はスイッチバックローラ43に駆動力を伝達し、駆動力伝達機構70,170が、伝達ギヤ71より駆動力伝達方向下流側の伝達ギヤ72,73から分岐されたギヤ列により、分離ローラ34,ガイドフラップ50に駆動力を伝達することとしたので、駆動力伝達機構120,150においてバックラッシュの少ない駆動力伝達が実現される。また、駆動力伝達機構70,170を、駆動力伝達機構150から分岐させることにより、分離ローラ34又はガイドフラップ50において生じた負荷変動が搬送ローラ35A〜Dの回転速度に影響することが抑制される。これにより、搬送ローラ35A〜D及びピンチローラ37による原稿の搬送精度が高められる。
なお、本実施の形態では、各駆動力伝達機構70,120,150,170において、伝達ギヤ71,72,73からそれぞれ分岐されて、分離ローラ34,各搬送ローラ35A〜D,ガイドフラップ50,スイッチバックローラ43に駆動力を伝達する経路を複数のギヤから構成されるギヤ列としたが、これらはギヤ列に限定されるものではなく、単一のギヤであってもよい。
また、本画像読取装置1では、原稿Gnを原稿搬送路32へ再送するためのスイッチバックパス39を、原稿搬送路32の読取位置の下流側の連結位置38から延出して、読取位置の上流側の交叉位置40に交叉するように形成したが、スイッチバックパス39の搬送経路は一例であり、本発明が実施の形態で示した原稿搬送路32及びスイッチバックパス39の搬送経路に限定されるものでないことは当然である。したがって、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47はスイッチバックパスの搬送経路に応じて適宜変更可能であり、また、ガイドフラップ46,47に代えて例えば弾性変形可能なフィルムを案内部材として採用してもよい。