以下、適宜図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施の形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置1の外観構成を示すものであり、図2は、画像読取装置1の主要な内部構成を示すものである。本画像読取装置1は、例えば、コピー機やファクシミリ、スキャナ、或いはコピー機能やファクシミリ機能、スキャナ機能等を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)等において、原稿(本発明のシート部材に相当)の画像読取りを行うための画像読取部として実現される。
図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台2と、自動原稿搬送機構であるADF(Auto Document Feeder)3とを備えた原稿カバー4を有する。なお、上記ADF3が、本発明のシート搬送装置の一例である。
原稿載置台2の正面側には、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、各種操作キー11と液晶表示部12とを具備する。使用者は、操作パネル5を用いて、所望の指令を入力する。例えば、原稿の読取開始又は再開を示す「スタート」や、読取り停止又は中断を示す「ストップ」の入力は、操作キー11を用いて行われる。画像読取装置1は、これら所定の入力を受けて該入力に応じた動作を行う。画像読取装置1は、操作パネル5から入力された指令のほか、コンピュータに接続されて該コンピュータからプリンタドライバやスキャナドライバ等を介して送信される指令によっても動作する。
図2に示すように、原稿載置台2には、原稿カバー4と対向する天面にプラテンガラス20,21が配設されている。原稿カバー4が開かれることにより、プラテンガラス20,21が原稿載置台2の上面として露出される。原稿カバー4が閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含む原稿載置台2の上面全体が覆われる。原稿載置台2の内部には、プラテンガラス20,21に対向するようにして画像読取ユニット22(画像読取手段)が設けられている。
プラテンガラス20は、画像読取装置1をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されており、該開口から露出されたプラテンガラス20の領域がFBSにおける原稿読取領域となる。
プラテンガラス21は、画像読取装置1のADF3を使用する場合の読取位置を構成するものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿載置台2の読取位置には、開口が形成されている。この開口からプラテンガラス21を露出する。このプラテンガラス21は、平面視で長方形である。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に、位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、主走査方向に長尺な平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の位置決め基準として用いられる。そのために、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ、B5サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。位置決め部材23の上面には、ADF3によりプラテンガラス21上を通過する原稿を捕まえて偏向してADF3に戻すガイド面が形成されている。
画像読取ユニット22は、光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光をレンズにより受光素子上に集光して電気信号に変換する(イメージセンサ)。画像読取ユニット22として、例えば、密着型のCIS(Contact Image Sensor)イメージセンサや縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどを用いることができる。画像読取ユニット22は、キャリッジモータ、走査機構であるベルト駆動機構によりプラテンガラス20,21の下方を往復移動可能に設けられる。
原稿カバー4には、給紙トレイ30(本発明の第1トレイの一例)から原稿搬送路32(本発明のシート搬送路、第1搬送路の一例)を通じて排紙トレイ31(本発明の第2トレイの一例)へ原稿を連続搬送するADF3が備えられている。ADF3による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置を通過し、プラテンガラス21の下方に待機する画像読取ユニット22が該原稿の画像を読取るようになっている。
図1及び図2に示すように、原稿カバー4には、給紙トレイ30及び排紙トレイ31が、給紙トレイ30を上側として上下二段に設けられている。本実施形態では、給紙トレイ30を上に配設したが、排紙トレイ31を給紙トレイ30の上に配設してもよい。給紙トレイ30には、ADF3によって搬送される原稿が載置される。複数枚の原稿が、第1面を上向きにした積層状態で搬送方向の先端を原稿搬送路32に挿入するようにして、給紙トレイ30上に載置される。図1に示すように、給紙トレイ30の装置背面側が下側へ曲折されることにより、防護壁26が形成されている。防護壁26の下端は原稿カバー4の上面に連結されている。この防護壁26により、原稿カバー4が原稿載置台2に対して開かれた際に、排紙トレイ31上の原稿が落下することが防止される。給紙トレイ30の装置正面側の下方においては、ADF3の筐体の一部に切り欠き27が形成されている。この切り欠き27により、排紙トレイ31に排紙された原稿の装置正面側からの視認性が高められている。特に、小さい原稿は、給紙トレイ30により視認され難いが、切り欠き27により、給紙トレイ30と排紙トレイ31との間の空間が拡げられるので、小さい原稿の視認性が高められる。
排紙トレイ31に、ADF3から排出される複数の原稿が載置される。排紙トレイ31は、給紙トレイ30の下側に上下方向に隔てた位置にあり、原稿カバー4の上面に一体的に形成されている。ADF3から排出された原稿は、給紙トレイ30上の原稿と分離した状態で排紙トレイ31上に第1面を下にして積載される。排紙トレイ31の装置正面側及び装置背面側となる両側部分28は、それぞれの側へ向かって上方へ迫り上がった斜面となっている。この両側部分28により、排紙トレイ31に排出された原稿が取り出される際に、原稿を上から押さえるようにして両側部分28の斜面に沿って原稿を滑らせて引き出すことができるので、排紙トレイ31からの原稿の取り出しが容易である。
図2に示すように、ADF3の内部には、給紙トレイ30と排紙トレイ31とを、プラテンガラス21上の読取位置を経て連結する原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32は、断面視において略C字形状に形成されている。原稿搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板、ガイドリブ等により、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。
原稿搬送路32は、給紙トレイ30から原稿カバー4の一端側(図左側)へ延出され、続いて下方へ反転するように湾曲されてプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から排紙トレイ31へ向かって延出された縦断面視が略C字形状である。原稿搬送路32は、上側部分32A及び下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとをつなぐ湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。
原稿搬送路32には、給紙トレイ30から排紙トレイ31へ原稿を搬送するための搬送手段が配設されている。詳細には、図2に示すように、原稿搬送路32にそれぞれ設けられたピックアップローラ33、分離ローラ34(本発明のローラ体の一例)、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37とによって搬送手段が構成されている。搬送手段を構成する上記各ローラには、単一のモータ67(本発明の駆動源の一例、図6参照)から後述の駆動力伝達機構を介して駆動力が伝達される。なお、上記搬送手段のうち、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36とこれらに圧接するピンチローラ37が本発明の第1搬送手段に相当する。
図2に示すように、原稿搬送路32の給紙口付近には、ピックアップローラ33及び分離ローラ34が設けられている。ピックアップローラ33は、分離ローラ34を軸支する軸111(図12参照)に基端側を軸支されたアーム29の先端部に回転自在に設けられている。分離ローラ34は、ピックアップローラ33から搬送方向へ隔てた位置に設けられている。この分離ローラ34は、原稿搬送路32の対向面であるガイド板19(本発明のプレートの一例)に当接するようにして回転可能に設けられている。ピックアップローラ33及び分離ローラ34は、モータ67(図6参照)からの駆動力が伝達されて回転駆動される。また、アーム29もモータ67からの駆動力が伝達されて上下動される。ピックアップローラ33及び分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。ガイド板19には、分離ローラ34と対向する位置に、コルクなどで構成された摩擦パッドが設けられている。摩擦パッドは、回転する分離ローラ34のローラ面と圧接した際に発生する摩擦により、複数の原稿束から最上位の原稿を分離する。なお、分離ローラ34とガイド板19とによって、本発明の給送手段が実現されている。
搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、原稿搬送路32の異なる位置にそれぞれ配設されている。本実施の形態では、分離ローラ34の搬送方向下流側の近傍に搬送ローラ35Aが配設されている。原稿搬送路32の上側部分32Aには、搬送ローラ35Bが配設されている。原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の搬送方向上流側の近傍に搬送ローラ35Cが配設される。原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の搬送方向下流側の近傍に搬送ローラ35Dが配設されている。なお、この配置は一例であり、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの数や配置は適宜変更できる。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ設けられている。各ピンチローラ37の軸がバネで弾性付勢されることにより、各搬送ローラ35のローラ面に圧接している。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dが回転すれば、これに従動してピンチローラ37も回転する。各ピンチローラ37により、原稿が各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dに圧接されて、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転力が原稿に伝達される。
排紙ローラ36は、原稿搬送路32の排紙口付近に配設されており、モータ67(図6参照)からの駆動力が伝達されて回転する。排紙ローラ36の対向位置にもピンチローラ37がそれぞれ設けられており、ピンチローラ37はバネにより弾性付勢される。
原稿搬送路32の下側部分32Cには二方向パス39(本発明のシート搬送路、第2搬送路の一例)が連結されている。二方向パス39は、上記読取位置より搬送方向下流側、より詳細には、下側部分32Cの搬送ローラ35Dよりも搬送方向下流側の連結位置38(本発明の所定の第1位置に相当)に連結されている。二方向パス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置において第1面が読取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて読取位置の搬送方向下流側から搬送方向上流側の原稿搬送路32へ再送するためのものである。二方向パス39は、連結位置38から給紙トレイ30の上側へ向かって斜め上方へ延出されて、原稿搬送路32の上側部分32Aと交差している。スイッチバック搬送された原稿は上側部分32Aと二方向パス39との交差位置40から原稿搬送路32へ戻される。
二方向パス39の終端41は、ADF3の上面に開口されている。二方向パス39の終端41から給紙トレイ30側には、終端41から連続するようにして、原稿支持部42が形成されている。原稿支持部42は、二方向パス39の終端41から突出された原稿を支持するためのものである。また、原稿支持部42は、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側に形成され、ADF3の上カバー6(図1参照)をなしている。上カバー6は、給紙ローラ33及び分離ローラ34を含めてADF3の全体を覆うように形成されており、ADF3の筐体に対して支点を中心に開閉可能に構成されている。上カバー6として構成された原稿支持部42は、終端41から給紙トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33より搬送方向上流側に至るまで延出されている。これにより、終端41から外側へ突出した原稿は、原稿支持部41上に支持される。給紙トレイ30に積載された原稿の給紙位置より搬送方向下流側(図2左側)に垂れ下がることがない。給紙トレイ上の原稿が乱されない。また、上カバー6が支点を中心に開かれることにより、ADF3内の原稿搬送路32及び二方向パス39の一部が露出され、ジャム処理などのメンテナンス作業を行うことができる。
図2に示すように、二方向パス39の終端付近には、リバーシブルローラ43が配設されている。リバーシブルローラ43は、モータ67(図6参照)からの駆動力が伝達されて双方向に回転駆動される。リバーシブルローラ43に対向してピンチローラ44が設けられている。ピンチローラ44は、その軸がバネで弾性付勢されることにより、リバーシブルローラ43のローラ面に圧接されている。ピンチローラ44は、リバーシブルローラ43の回転に従動して回転する。リバーシブルローラ43とピンチローラ44にニップされて、原稿が搬送される。なお、リバーシブルローラ43及びピンチローラ44により、原稿をスイッチバック搬送する本発明のシート搬送手段及び第2搬送手段が実現されている。
図3は、交差位置40付近の構成を示す拡大図である。図2及び図3に示すように、交差位置40にはガイドフラップ46及びガイドフラップ47が配設されている。ガイドフラップ46は、交差位置40における原稿搬送路32の読取位置側と二方向パス39の連結位置38側との隅部(図3左下側)に設けられた軸48を支点に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ46は、平板であり、その先端が交差位置40に突出されている。図3においては、ガイドフラップ46は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ46が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ46が軸48を中心に一体に回動される。
ガイドフラップ46は、軸48を中心に回動することにより、図3に実線で示した第3の位置と、2点鎖線で示した第4の位置とに回動する。ガイドフラップ46は、例えば、原稿搬送路32又は二方向パス39のガイド部材に当接することにより、第3の位置から図3中下側へ回動すること、及び第4の位置から図3中上側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ46が第3の位置にあるとき、給紙トレイ30側(図3右側)から読取位置側(図3左側)への搬送経路が連続する。また、原稿搬送路32から二方向パス39の連結位置38側(図3下側)への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ二方向パス39の連結位置38側へ進入することが制止される。また、二方向パス39の終端41側(図3上側)から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ二方向パス39の連結位置38側へ進入することが防止される。
ガイドフラップ46が第4の位置にあるとき、二方向パス39の連結位置38側から終端41側への搬送経路が接続され、二方向パス39の連結位置38側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。これにより、二方向パス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿は、二方向パス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが防止される。
ガイドフラップ46は、原稿先端の当接により回動する。ガイドフラップ46は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、図3に実線で示した第3の位置にある。連結位置38から交差位置40に向かって搬送される原稿先端がガイドフラップ46に当接することにより、ガイドフラップ46が図3中上側に回動し、図3に2点鎖線で示した第4の位置になる。二方向パス39の終端41側から交差位置40に搬送された原稿先端は、ガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は第3の位置から第4の位置への回動は規制されているので、該原稿はガイドフラップ46に案内される。。ガイドフラップ46の形状は、連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿先端の当接により回動し易く、二方向パス39の終端41側から交差位置40へ搬送される原稿が原稿搬送路32の読取位置側へ案内されやすい形状が採用される。
ガイドフラップ47は、交差位置40における原稿搬送路32の給紙トレイ30側と二方向パス39の終端41側との隅部(図3右上側)に設けられた軸49を中心に所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ47は、翼形状の平板であり、その先端が交差位置40に突出している。図3においては、ガイドフラップ47は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ47は原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられている。これら複数のガイドフラップ47が一体に回動される
ガイドフラップ47は、軸49を中心に回動することにより、図3に実線で示した第5の位置と、2点鎖線で示した第6の位置とに移動する。ガイドフラップ47は、例えば、原稿搬送路32又は二方向パス39のガイド部材に当接することにより、第5の位置から図3中右側へ回動すること、及び第6の位置から図3中上側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ47が第5の位置となることにより、二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続する。また、二方向パス39の連結位置38側から原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路が閉止される。
ガイドフラップ47が第6の位置となることにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から二方向パス39の終端41側への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ二方向パス39の終端41側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47による搬送経路の切換えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ47は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、図3に実線で示した第5の位置にある。原稿搬送路32の給紙トレイ30側から搬送される原稿がガイドフラップ47に当接することにより、ガイドフラップ47が図3中左側に回動し、図3に2点鎖線で示した第6の位置になる。また、連結位置38側から交差位置40に搬送された原稿の先端が、ガイドフラップ47に当接したとしても、該原稿はガイドフラップ47に案内されて、二方向パス39の終端41側へ進入する。ガイドフラップ47の翼形状は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40へ搬送される原稿の当接により回動し易く、二方向パス39の連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿が二方向パス39の終端41側へ案内されやすい形状が採用される。
図4は、連結位置38付近の構成を示す拡大図である。図2及び図4に示すように、連結位置38には、ガイドフラップ50(本発明の案内手段の一例)が配設されている。ガイドフラップ50は、軸51を中心に回動可能に配設される。ガイドフラップ50にモータ67(図6参照)から駆動力が伝達されることにより、図4に実線で示した第1の位置と2点鎖線で示した第2の位置とのいずれかに回動される。ガイドフラップ50は、原稿の搬送経路が二方向パス39側または排紙トレイ31へ続く原稿搬送路32側のいずれかに切り換えられる。ガイドフラップ50は、原稿搬送路32又は二方向パス39のガイド部材に当接することにより、第1の位置から図4中上側へ回動すること、及び第2の位置から図4中下側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ50が第1の位置にある場合には、排紙トレイ31側(図4右側)につながる。ガイドフラップ50が第2の位置にある場合には、二方向パス39につながる。このようにして、ガイドフラップ50は、連結位置38において、原稿搬送路32又は二方向パス39のいずれかに原稿を案内する。なお、図4においては、ガイドフラップ50は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ50が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ50が一体に回動される。
図2に示すように、原稿搬送路32及び二方向パス39には、原稿の搬送を検出するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の搬送方向上流側に第1フロントセンサ52が配設されており、分離ローラ34の搬送方向下流側に第2フロントセンサ53(本発明の第1検出手段の一例)が配設されている。また、読取位置の搬送方向上流側に第1シートセンサ54(本発明の第2検出手段の一例)が配設されている。二方向パス39の連結位置38と交差位置40との間には、第2シートセンサ55(本発明の第3検出手段の一例)が配設されている。これら各センサは、所謂光学センサであり、検出する位置の違いによりセンサアクチュエータの形状等が異なる他は同様の構成をなすものである。従って、本実施の形態では、第1フロントセンサ52を例にその構成を詳細に説明する。
図5は、第1フロントセンサ52の構成を示す拡大図である。図に示すように、第1フロントセンサ52は、原稿搬送路32の下面から突出するとともに、原稿と接触することにより原稿搬送路32から退避するように回動するセンサアクチュエータ56と、センサアクチュエータ56の回動を検出するフォトインタラプタ57とからなる。センサアクチュエータ56には、フォトインタラプタ57により検出される遮光部58が一体的に形成されており、軸59を中心に回動自在に設けられている。センサアクチュエータ56は、不図示のバネ等の付勢手段により、センサアクチュエータ56が原稿搬送路32に突出する位置に、すなわち図5において時計回り方向へ弾性付勢されている。センサアクチュエータ56に外力が付与されない状態では、図5に実線で示すように、センサアクチュエータ56は原稿搬送路32に突出し、遮光部58はフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間に位置する。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されて、第1フロントセンサ52がオフとなる。
給紙トレイ30に原稿が載置されると、該原稿がセンサアクチュエータ56に当接して、センサアクチュエータ56を原稿搬送路32から退避する方向に回動させる。センサアクチュエータ56とともに遮光部58も回動され、図5に2点鎖線で示すように、遮光部58はフォトインタラプタ57の発光部と受光部との間から離れる。これにより、フォトインタラプタ57の光伝達が遮断されなくなり、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、給紙トレイ30に原稿が載置されたか否かが判定される。
第2フロントセンサ53は、分離ローラ34と交差位置40との間に配置される。第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿の有無を検出する。第2フロントセンサ53のオンまたはオフのいずれかの検出信号に基づいて、第2フロントセンサ53における原稿の有無を検出することができる。また、第2フロントセンサ53は、原稿の搬送位置、詳細には、原稿の先端及び後端の搬送位置を検出するためのものでもある。例えば、第2フロントセンサ53が原稿の先端或いは後端を検出してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をモータ67(図6参照)のステップ数やエンコーダの出力値等によって監視することにより、原稿搬送路における原稿の先端又は後端の位置が判定される。
読取位置の搬送方向上流に配設された第1シートセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検出するためのものである。第1シートセンサ54が原稿の先端又は後端を検出してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をモータ67(図6参照)のステップ数やエンコーダの出力値等をカウントすることにより、原稿の先端又は後端が読取位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22は、この第1シートセンサ54の信号に基づいて制御される。つまり、原稿の先端が読取位置に到達すれば、画像読取ユニット22は、画像読取りを開始し、原稿の後端が読取位置に到達すれば画像読取りを終了する。
原稿搬送路32は、分離ローラ34から搬送ローラ35Cの搬送方向上流側の所定の切換位置45(本発明の所定の第2位置に相当、図24参照)までの距離が、画像読取装置1のADF3で搬送可能な原稿における最小の長さよりも短く設定されている。より詳細には、後述するように、搬送ローラ35Cの上流側で原稿が一時停止したときの原稿先端位置から分離ローラ34とガイド板19とのニップ点までの距離が、搬送可能な原稿における最小の長さよりも短く設定されている。従って、原稿の先端が搬送ローラ35Cの搬送方向上流付近に到達した時点において、原稿の後端側は分離ローラ34によってニップされている。
二方向パス39の連結位置38と交差位置40との間に配設された第2シートセンサ55は、そのオン/オフにより、二方向パス39を搬送される原稿の先端又は後端を検出するためのものである。例えば、第2シートセンサ55が原稿の後端を検出してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びリバーシブルローラ43の回転数をモータ67(図6参照)のステップ数やエンコーダの出力値等によって監視することにより、原稿の後端が交差位置40を通過したか否かが判断される。
図6は、画像読取装置1の制御部60の構成を示している。制御部60は、画像読取装置1の全体動作を統括的に制御するものである。制御部60は、図に示すように、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)64を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス65を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)66に接続されている。
ROM62には、画像読取装置1及びADF3の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM63は、CPU61が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域、後述される補正情報、搬送モード情報、読取状態情報、及び回転方向情報の記憶領域として使用される。ROM62、RAM62には、バックアップ電源から電力供給がされており、装置の電源がオフされていても、RAM63に格納された情報を保持することができる。EEPROM64は、電源オフ後も記憶を保持すべき各種設定やフラグ等を格納する記憶領域である。これらCPU61、ROM62、RAM63、及びEEPROM64によって本発明の制御手段が実現される。
ASIC66は、CPU61からの指令に従い、モータ67に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をモータ67の駆動回路68に付与し、駆動回路68を介して駆動信号をモータ67に通電することにより、回転制御を行っている。モータ67は、正回転方向又は逆回転方向(正逆双方向)のいずれかの方向に回転駆動することにより、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50に駆動力を付与する。このモータ67は、ADF3における単一の駆動源である。モータ67は、正転(CW回転)又は逆転(CCW回転)の双方向に回転駆動可能なものであれば如何なる構成や如何なる駆動方式のものでも適用可能である。本実施の形態では、パルス駆動方式で駆動制御されるステッピングモータとして説明する。モータ67への停止指令、及び正転(CW回転)指令又は逆転(CCW回転)指令の履歴はRAM63に記憶される。
駆動回路68は、ASIC66からの出力信号を受けて、モータ67を回転させるためのパルス信号を生成する。このパルス信号はASIC66で生成された周期信号に基づいて生成される。この駆動回路68で生成されたパルス信号はモータ67に対して出力される。該パルス信号を入力してモータ67が所定の回転方向に回転し、モータ67の回転力が後述される各ギアシステム70,110,120,150,170を介して、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50に伝達される。
ASIC66で生成された周期信号はバス65を介してCPU61にフィードバックされている。フィードバックされた周期信号に基づいて、CPU61が、駆動回路68で生成されたパルス信号のパルス数をカウントする。なお、カウントされたパルス信号は、モータ67のステップ数としてRAM63に一時的に記憶される。
ASIC66には、画像読取ユニット22が接続されている。画像読取ユニット22は、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、原稿の画像読取りを行う。なお、図6には示されていないが、画像読取ユニット22を往復動させるための駆動機構も、ASIC66からの出力信号を受けて動作される。
ASIC66には、第1フロントセンサ52、第2フロントセンサ53、第1シートセンサ54及び第2シートセンサ55が接続されている。CPU61は、これら各センサのオン/オフを受け、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、ASIC66に所定の出力信号を出力させる。また、これら各センサのオン/オフの履歴はRAM63に記憶される。各センサのオン/オフの履歴のうち、第1シートセンサ54及び第2シートセンサ55のオン/オフの履歴が読取状態情報として用いられる。
ASIC66には、ソレノイド88、ソレノイド161が接続されている。CPU61は、ROM62に格納された制御プログラムに基づいて、ASIC66に所定のタイミングで出力信号を出力させて、ソレノイド88及びソレノイド161を動作させる。
以下、モータ67から、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50への駆動力伝達機構について説明する。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50の各軸は、原稿搬送路32の幅方向に延設されている。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50は、原稿搬送路32の幅に応じて、各軸の所定位置に設けられている。もちろん、各軸の軸方向のほぼ全域に渡って各ローラ等が設けられていても、原稿搬送路32の幅方向に複数のローラ等が所定間隔で同軸に配置されていてもよい。
図1に示すように、原稿カバー4の上面に設けられたADF3は、原稿搬送路32や各ローラが筐体内に収容されている。各ローラに駆動力を付与するモータ67及び駆動力伝達機構もADF3の筐体内に収容されている。分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50の各軸の一端側には従動ギアが設けられている。モータ67から各駆動力伝達機構を介して各従動ギアに駆動力が伝達されることにより各ローラ等が駆動される。本実施の形態では、モータ67、各駆動力伝達機構、ソレノイド88、ソレノイド161並びに分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、リバーシブルローラ43及びガイドフラップ50の各軸の一端側に従動ギアが設けられている。各従動ギアは、ADF3の筐体の後側に設けられたギアボックス7に収容されている。なお、以下に示される各ギアは、特に限定のない限り、外周に軸線と平行な歯が形成された平歯車である。
図7から図11は、モータ67から分離ローラ34への第1ギアシステム70を示している。第1ギアシステム70(本発明の第2伝達機構の一例)は、モータ67が時計回り(CW:clock wise)回転することにより、分離ローラ34を給送方向に回転させ、CW回転から反時計回り(CCW:counter clock wise)回転への切り換えにより、分離ローラ34への駆動力の伝達を切断するものである。CW回転及びCCW回転は、モータ67の相反する回転方向であり、正転及び逆転にそれぞれ相当する。なお、上記第1ギアシステム70、及び後述する第2ギアシステム120、第3ギアシステム150、第5ギアシステム151によって、本発明の伝達手段が実現される。
図7に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギア69に対して、4つの伝達ギア71,72,73,74が順次噛合されて、遊星ギア装置75に駆動力が伝達されている。なお、4つの伝達ギア71,72,73,74は、特に限定されるものではなく、駆動ギア69から遊星ギア装置75までの距離に応じて適宜設けられる。伝達ギアの数や径は変更可能である。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、順次噛合された伝達ギア71,72,73が所定方向に回転し、伝達ギア74がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
図9は、遊星ギア装置75の構成を示している。遊星ギア装置75は、太陽ギア76の軸77と同軸に支持アーム78が回転自在に設けられ、該支持アーム78に、太陽ギア76とそれぞれ噛合する2つの遊星ギア79,80が軸支されてなる。なお、本実施の形態では、遊星ギア装置75は2つの遊星ギア79,80を有することとしたが、遊星ギアの数は特に限定されるものではなく、例えば、1つの遊星ギアのみを有するものであってもかまわない。
太陽ギア76は大径のギア76Lと小径のギア76Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。支持アーム78は、軸77から2つの径方向にアーム部81,82が延出され、各アーム部81,82の先端に形成された軸受け部83,84により、遊星ギア79,80をそれぞれ軸支するものである。支持アーム78に軸支された遊星ギア79,80は、太陽ギア76のギア76Sとそれぞれ噛合している。太陽ギア76が回転すると、ギア76Sにそれぞれ噛合された遊星ギア79,80が回転する。また、太陽ギア76の回転を受けて支持アーム78も同方向に回転する。つまり、太陽ギア76が回転すると、遊星ギア79,80は、それぞれが自転しながら太陽ギア76の周囲を公転する。
支持アーム78の軸77付近には、係止凹部85が形成されている。第1ギアシステム70は、係止機構86を備える。係止凹部85が、係止機構86に係止されることにより、太陽ギア76の回転にかかわらず支持アーム78が所定位置に制止される。支持アーム78が係止機構86に係止された位置が後述される離脱位置である。
係止機構86は、係止部材87とソレノイド88とから構成されている。係止部材87は、アーム部90と爪91と受動部92とからなる。アーム部90は、軸89から支持アーム78に向かって径方向に延出されている。爪91は、アーム部90の先端に鈎状に形成される。受動部92は、軸89から径方向に延出される。爪91は、支持アーム78の凹部85と係合可能である。爪91は、アーム部90を軸89を中心に回動させることにより凹部85から外れる。受動部92はソレノイド88のシャフト93と連結されている。ソレノイド88は、電力がオンされることにより電磁力が作用して、シャフト93を本体に没入させ、電力がオフされることにより電磁力が消失して、シャフト93を本体から突出させる方向へ付勢させるものである。このシャフト93の駆動が受動部92に伝達されて、係止部材87が軸89を中心に回動されて所定の姿勢になる。ソレノイド88がオフの状態で、図9に実線で示したように、爪91が支持アーム78の凹部85に係合する。。ソレノイド88がオンの状態で、図9に2点鎖線で示したように、爪91が凹部85から離脱する。
図7に示すように、伝達ギア74は遊星ギア装置75の太陽ギア76のギア76Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達ギア74に伝達され、太陽ギア76が所定方向に回転される。例えば、図7に示すように、駆動ギア69がCW回転すると、伝達ギア74はCW回転し、太陽ギア76はCCW回転する。ソレノイド88がオンであれば支持アーム78が回転自在なので、遊星ギア79,80はCCW回転で公転する。なお、ソレノイド88は、爪91を係止凹部85から離脱させるときのみオンにされればよく、支持アーム78が離脱位置から回転した後にソレノイド88がオフにされても、爪91が係止凹部85に係合することはない。
図8に示すように、遊星ギア装置75に隣り合って伝達ギア94が配置されている。伝達ギア94は、遊星ギア装置75の遊星ギア79,80と噛離可能である。図8に示すように、遊星ギア79,80がCCW回転で公転することにより、遊星ギア79が伝達ギア94と噛合し、遊星ギア80は伝達ギア94から離れる。伝達ギア94は、大径のギア94Lと小径のギア94Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。大径のギア94Lに対して、遊星ギア79,80が噛離可能である。小径のギア94Sは、分離ローラ34を軸支する軸111(図12参照)に設けられた従動ギア95と噛合されている。なお、伝達ギア94から従動ギア95までのギア構成は特に限定されるものではなく、伝達ギア94から従動ギア95までの距離に応じて、伝達ギアの数や径は適宜変更可能である。
CCW回転で公転した遊星ギア79が伝達ギア94に噛合することにより、遊星ギア79の公転が制止される。そして、遊星ギア79は、太陽ギア76から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア94がCCW回転し、従動ギア95がCW回転する。従動ギア95がCW回転することにより、分離ローラ34を軸支する軸111が搬送方向に回転される。
図10に示すように、駆動ギア69がCW回転からCCW回転に切り換えられると、伝達ギア74はCCW回転し、太陽ギア76はCW回転する。図8に示したように、遊星ギア79が伝達ギア94に噛合された状態では、ソレノイド88がオフであっても爪91が係止凹部85に係合することはない。したがって、支持アーム78が回転自在なので、遊星ギア79,80はCW回転で公転する。遊星ギア79,80の公転に伴って支持アーム78が回転することにより、支持アーム85の係止凹部85が爪91と係合可能な位置になる。その際、ソレノイド88がオフであれば、図10に示すように、爪91が係止凹部85に係合し、支持アーム78の回転が規制される。この状態では、遊星ギア79,80の双方ともに伝達ギア94と噛合していない。遊星ギア79,80ともに伝達ギア94から離脱するような支持アーム78の位置を、本明細書において離脱位置と呼ぶ。爪91が係止凹部85に係合されることにより、支持アーム78は回転不能に係止され、つぎにソレノイド88がオンにされるまで、支持アーム78は離脱位置に保持される。
図11に示すように、ソレノイド88がオンにされると、太陽ギア76のCW回転に基づいて、遊星ギア79,80がCW回転で公転する。CW回転で公転した遊星ギア80が伝達ギア94に噛合することにより、遊星ギア80の公転が制止される。そして、遊星ギア80は、太陽ギア76から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア94がCW回転し、従動ギア95がCCW回転する。従動ギア95がCCW回転することにより、分離ローラ34を軸支する軸111が搬送方向と逆方向に回転される。
以下、分離ローラ34を軸支する軸111からピックアップローラ33への第2ギアシステム110について説明する。図2に示すように、ピックアップローラ33は、アーム29の先端側に軸支されて分離ローラ34の逆側に隔てて配置されている。前述したように、モータ67の駆動力は軸111に伝達され、該軸111からアーム29、ピックアップローラ33及び分離ローラ34へ駆動力が伝達される。
図12は、軸111からピックアップローラ33への第2ギアシステム110を示している。第2ギアシステム110は、軸111に設けられた1周クラッチ112と、分離ローラ34に一体に形成されたギア113と、ピックアップローラ33の軸114に固定されたギア115と、ギア113からギア115へ駆動力の伝達を行う伝達ギア116とから構成されている。分離ローラ34は、軸111に回転自在に軸支されている。なお、1周クラッチ112とギア113とは、分離ローラ34の軸方向両側にそれぞれ設けられており、図12においては、分離ローラ34の図12の紙面奥側に1周クラッチ112が設けられ、図12の紙面手前側にギア113が設けられているので、分離ローラ34の奥側にある1周クラッチ112を破線で示している。
1周クラッチ112は、軸111から突設したピン117と、分離ローラ34から側方向に突設した突片118とからなる。ピン117は、分離ローラ34の側方において、軸111の径方向へ突設されており、軸111の回転に伴って回動する。突片118は、分離ローラ34の側面から軸方向に突出している。分離ローラ34の径方向に対する突片118の位置はピン117の突出長さの範囲内であり、ピン117と突片118とは係合可能である。図12に示すように、ピン117が突片118に係合することにより、軸111の回転が、ピン117及び突片118を介して分離ローラ34に伝達され、分離ローラ34が軸111と一体に回転する。
分離ローラ34は軸111方向に移動自在なので、分離ローラ34は、突片118がピン117から離れる方向へ移動可能である。そして、分離ローラ34が軸111に対して略1周分回転すると、突片118が再びピン117に接する。これにより、分離ローラ34は略1周分だけ、軸111からの駆動力の伝達に拘わらずに空転が可能である。
分離ローラ34に設けられたギア113と、ピックアップローラ33の軸114に固定されたギア115との間には、伝達ギア116が介設されている。伝達ギア116は、ギア113及びギア115と噛合している。ギア113は分離ローラ34と一体なので、分離ローラ34の回転に伴って回転される。このギア113の回転を受けて伝達ギア116が回転され、伝達ギア116の回転を受けてギア115が回転される。ギア115は、ピックアップローラ33の軸114に固定されているので、ギア115の回転に伴ってピックアップローラ33に回転力が伝達する。つまり、分離ローラ34とピックアップローラ33とは、常に同方向に回転される。このような第2ギアシステム110により、分離ローラ34を回転自在に軸支する軸111から分離ローラ34及びピックアップローラ33へ駆動力が伝達される。
図12に示すように、アーム29は、その基端側が軸111に回転自在に軸支されており、軸111から駆動力が伝達されることにより上下動する。軸111に不図示の筒体が取り付けられ、該筒体とアーム基端との間には、滑りクラッチが設けられている。この筒体と滑りクラッチにより、軸111の回転がアーム29に伝達される。滑りクラッチは、所定トルク以上の負荷を受けることにより、筒体とアーム基端との間を滑って駆動力伝達が切断されるものである。軸111がCW回転することにより、筒体と滑りクラッチを介してアーム29に同方向の回転力が伝達され、アーム29は降下する。一方、軸111がCCW回転すれば、アーム29は上昇する。図2に示したように、アーム29が降下すれば、ピックアップローラ33は原稿搬送路32のガイド面又は給紙トレイ30上の原稿に当接する。この状態で、更に軸111が回転すると、筒体に対してクラッチが滑り、アーム29が下降した状態で停止する。このように、軸111から筒体、滑りクラッチを介してアーム29に駆動力が伝達され、ピックアップローラ33を原稿搬送路32のガイド面に対して降下又は上昇させるように、アーム29が揺動される。なお、アーム29を駆動力の伝達の有無によって上下動させる機構は本発明に必ずしも必要でなく、省略してもよい。
図13から図15は、モータ67から搬送ローラ35A,35B,35C,35Dへの第3ギアシステム120(本発明の第1伝達機構の一例)を示している。第3ギアシステム120は、モータ67の回転方向に拘わらず、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dに搬送方向、すなわち原稿搬送路32の搬送方向上流側から搬送方向下流側に原稿を搬送する駆動力を伝達するものである。
図13に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギア69に対して、伝達ギア121が噛合されて、遊星ギア装置122に駆動力が伝達されている。なお、駆動ギア69から伝達ギア121までのギア数等は、特に限定されるものではなく、駆動ギア69から遊星ギア装置122までの距離に応じて伝達ギアの数や径は変更可能である。伝達ギア121は、モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、CCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギア装置122は、太陽ギア123の軸124と同軸に支持アーム125が回転自在に設けられている。該支持アーム125には、太陽ギア123と噛合する1つの遊星ギア126が軸支されている。なお、本実施の形態では、遊星ギア装置122は1つの遊星ギア126を有することとしたが、遊星ギアの数は特に限定されるものではなく、例えば、前述した遊星ギア装置75と同様に、2つの遊星ギアを有するものであってもよい。
太陽ギア123は大径のギア123Lと小径のギア123Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。支持アーム125に軸支された遊星ギア126は、太陽ギア123のギア123Sと噛合している。太陽ギア123が回転すると、ギア123Sに噛合された遊星ギア126が回転する。また、ピックアップローラ33はトルクリミッタを介して軸に取り付けられていることから、太陽ギア123の回転を受けて支持アーム125も同方向に回転する。つまり、太陽ギア123が回転すると、遊星ギア126は自転しながら太陽ギア123の周囲を公転する。
伝達ギア121は遊星ギア装置122の太陽ギア123のギア123Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギア121が所定方向へ回転することにより、太陽ギア123が所定方向に回転される。例えば、図13に示すように、駆動ギア69がCCW回転すると、伝達ギア121はCW回転し、太陽ギア123はCCW回転し、遊星ギア126は太陽ギア123に対してCCW回転で公転する。
図13に示すように、遊星ギア装置122に隣り合って伝達ギア128及び伝達ギア129が配置されている。伝達ギア128は、大径のギア128Lと小径のギア128Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。同様に、伝達ギア129は、大径のギア129Lと小径のギア129Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。伝達ギア128のギア128Lに対して、遊星ギア装置122の遊星ギア126が噛離可能である。また、遊星ギア126は、伝達ギア129のギア129Lに対しても噛み合う。さらにまた、ギア128Lとギア129Lとは噛合されている。
図13に示すように、遊星ギア126が太陽ギア123に噛み合いながら、CCW回転で公転する。これにより、遊星ギア126が伝達ギア128のギア128Lと噛合する。このとき、遊星ギア126は伝達ギア129から噛み合いが外れている。CCW回転で公転した遊星ギア126が伝達ギア128に噛合することにより、遊星ギア126の公転が制止される。そして、遊星ギア126は、太陽ギア123から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア128がCCW回転する。そして、伝達ギア128と噛合する伝達ギア129は、CW回転する。
図14に示すように、駆動ギア69がCW回転すると、伝達ギア121をCCW回転させ、太陽ギア123をCW回転させる。このとき、遊星ギア126はCW回転で公転する。そして、遊星ギア126がCW回転で公転することにより、遊星ギア126が伝達ギア129のギア129Lと噛合する。このとき、遊星ギア126は伝達ギア128から離脱しているため、噛み合っていない。CW回転で公転した遊星ギア126が伝達ギア129に噛合することにより、遊星ギア126の公転が制止される。そして、遊星ギア126は、太陽ギア123から駆動力の伝達を受けてCCW回転で回転する。これを受けて伝達ギア129がCW回転する。伝達ギア129と噛合する伝達ギア128は、CCW回転する。このように、駆動ギア69がCW回転であってもCCW回転であっても、伝達ギア128には、CCW回転の駆動力が伝達され、伝達ギア129にはCW回転の駆動力が伝達される。換言すれば、駆動ギア69に連結されたモータ67の回転方向にかかわらず、伝達ギア128及び伝達ギア129には一定の回転方向に各ギアを回転させる駆動力が伝達される。
図15は、伝達ギア128,129から各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36までの駆動力の伝達を示している。伝達ギア128のギア128Sは、5つの伝達ギア130,131,132,133,134に順次噛合されている。そして、伝達ギア133は、搬送ローラ35Aの軸に設けられた従動ギア135が噛合されている。伝達ギア134は、排紙ローラ36の軸に設けられた従動ギア136が噛合されている。伝達ギア128の駆動力が伝達ギア130,131,132,133及び従動ギア135を介して搬送ローラ35Aに伝達される。また、伝達ギア128の駆動力が伝達ギア130,131,132,133,134及び従動ギア136を介して排紙ローラ36に伝達される。
前述したように、伝達ギア128は、駆動ギア69の回転方向にかかわらずCCW回転され、伝達ギア128から、5つの伝達ギア130,131,132,133,134に順次駆動力が伝達され、これを受けて、従動ギア135がCW回転し、従動ギア136がCCW回転する。従動ギア125がCW回転することにより、搬送ローラ35Aが搬送方向に回転する。また、従動ギア126がCCW回転することにより、排紙ローラ36が原稿を排紙トレイ31に排出する方向に回転する。
伝達ギア129のギア129Sには、3つの伝達ギア137,138,139が順次噛合されている。そして、ギア129Sに、搬送ローラ35Dの軸に設けられた従動ギア140が噛合され、伝達ギア138に、搬送ローラ35Cの軸に設けられた従動ギア141が噛合され、伝達ギア139に、搬送ローラ35Bの軸に設けられた従動ギア142が噛合されている。これにより、従動ギア140を介して伝達ギア129の駆動力が搬送ローラ35Dに伝達される。また、伝達ギア138及び従動ギア141を介して伝達ギア129の駆動力が搬送ローラ35Cに伝達される。また、伝達ギア139及び従動ギア142を介して伝達ギア129の駆動力が搬送ローラ35Bに伝達される。
前述したように、伝達ギア129は、駆動ギア69の回転方向にかかわらずCW回転され、伝達ギア129から、3つの伝達ギア137,138,139に順次駆動力が伝達される。これを受けて、従動ギア140,141がCCW回転し、従動ギア142がCW回転する。従動ギア140,141がCCW回転することにより、搬送ローラ35D,35Cが搬送方向に回転される。従動ギア142がCW回転することにより、搬送ローラ35Bが搬送方向に回転される。このようにして、駆動ギア69の回転方向にかかわらす、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力が伝達される。なお、伝達ギア128,129から各従動ギア135,136,140,141,142までのギア構成は特に限定されるものではなく、各伝達ギアから各従動ギアまでの距離に応じて、伝達ギアの数や径は適宜変更可能である。
図16から図18は、モータ67からリバーシブルローラ43への第4ギアシステム150及び第5ギアシステム151を示している。第4ギアシステム150は、モータ67の回転方向に基づいて、リバーシブルローラ43に引き込み方向又は戻し方向の駆動力を伝達する。具体的には、第4ギアシステム150は、モータ67がCW回転する場合に二方向パス39における原稿を上記開口側から原稿搬送路32へ戻す方向の駆動力をリバーシブルローラ43に伝達し、モータ67がCCW回転する場合に原稿を上記開口側へ搬送する駆動力をリバーシブルローラ43に伝達する。この第4ギアシステム150とモータ67とによって本発明の第1駆動力供給手段が実現される。
第5ギアシステム151は、モータ67の回転方向が、リバーシブルローラ43の戻し方向から引き込み方向に切り換わる際に、モータ67からリバーシブルローラ43への駆動力伝達を切断する。ここに、引き込み方向とは、原稿搬送路32の上側部分32Aの交差位置40から二方向パス39の終端41側へ原稿が引き込まれる方向であり、戻し方向とは二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32へ原稿が戻される方向である。なお、本実施の形態では、第1駆動力供給手段として、第4ギアシステム150とモータ67とで構成された機構を例示したが、例えば、モータ67とは異なるモータなどの駆動源を別に設け、この駆動源の回転を制御して駆動力をリバーシブルローラ43に供給するようにしてもよい。このような機構であれば、駆動源からリバーシブルローラ43までの伝達機構を簡素化することができる。
図16に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギア69に伝達ギア152が噛合されて、遊星ギア装置153に駆動力が伝達されている。なお、駆動ギア69から伝達ギア152までの構成は特に限定されるものではなく、駆動ギア69から遊星ギア装置153までの距離に応じて、伝達ギアの数や径は変更可能である。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、伝達ギア152がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギア装置153は、太陽ギア154の軸155と同軸に支持アーム156が回転自在に設けられ、該支持アーム156に、太陽ギア154とそれぞれ噛合する2つの遊星ギア157,158が軸支されてなる。なお、本実施の形態では、遊星ギア装置153は2つの遊星ギア157,158を有することとしたが、遊星ギアの数は特に限定されるものではなく、例えば、前述した遊星ギア装置122と同様に、1つの遊星ギアのみを有するものであってもよい。
太陽ギア154は大径のギア154Lと小径のギア154Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。支持アーム156は、軸155に回転自在に設けられて遊星ギア157,158をそれぞれ軸支するものである。支持アーム156に軸支された遊星ギア157,158は、太陽ギア154のギア154Sとそれぞれ噛合している。太陽ギア154が回転すると、ギア154Sにそれぞれ噛合された遊星ギア157,158が回転する。また、太陽ギア154の回転を受けて支持アーム156も同方向に回転する。つまり、太陽ギア154が回転すると、遊星ギア157,158は、それぞれが自転しながら太陽ギア154の周囲を公転する。
支持アーム156が遊星ギア157を軸支する先端付近には、凸部159が形成されている。凸部159が第5ギアシステム151に係止されることにより、太陽ギア154の軸155に対してCCW回転する支持アーム156が所定位置に制止される。図16に示すように、支持アーム156が第5ギアシステム151に係止された位置が後述される離脱位置である。
第5ギアシステム151は、係止部材160とソレノイド161とから構成されている。係止部材160は、軸162から支持アーム156に向かって径方向に延出されたアーム部163と、アーム部163の先端に鈎状に形成された爪164と、軸162から径方向に延出された受動部165とを有する。爪164は、支持アーム156の凸部159と係合可能であり、アーム部163が軸162を中心に回動されることにより凸部159に対して係脱される。受動部165はソレノイド161のシャフト166と連結されている。ソレノイド161は、電力が供給(オン)されることにより電磁力が作用して、シャフト166を本体に没入させる方向へ直線的に駆動させ、電力が遮断(オフ)されることにより電磁力が消失して、シャフト166を本体から突出させる方向へ直線的に弾性復帰させるものである。このシャフト166の駆動が受動部165に伝達されて、係止部材160が軸162を中心に回動されて所定の姿勢になる。
ソレノイド161がオフの状態で、図16に実線で示したように、係止部材160は、爪164が支持アーム156の凸部159に係合可能な姿勢になる。係止部材160は、この係合姿勢から時計回りに回動可能であり、バネ等に付勢されることにより、外力を受けない限り係合姿勢を維持する。凸部159は、支持アーム156の回転に伴って回転するが、その回転方向が係合姿勢の係止部材160の略径方向である。したがって、支持アーム156の回転力が凸部159を介して係止部材160に伝達されても、係止部材160がバネ等の付勢力に反して係合姿勢から回転することはない。ソレノイド161がオンの状態で、図16に2点鎖線で示したように、係止部材160は、爪164を凸部159から離脱させる姿勢になる。
図16に示すように、伝達ギア152は遊星ギア装置153の太陽ギア154のギア156Lと噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギア152が所定方向へ回転することにより、太陽ギア154が所定方向に回転される。例えば、図16に示すように、駆動ギア69がCCW回転すると、伝達ギア152はCW回転し、太陽ギア154はCCW回転する。これを受けて、遊星ギア157,158はCCW回転で公転する。遊星ギア157,158の公転に伴って支持アーム156が回転することにより、支持アーム156の凸部159が爪164と係合可能な位置になる。その際、ソレノイド161がオフであれば、図16に示すように、爪164が凸部159に係合し、支持アーム156の回転が規制される。この状態では、遊星ギア157,158の双方ともに伝達ギア167と噛合していない。遊星ギア157,158ともに伝達ギア167から離脱するような支持アーム156の位置を、本明細書において離脱位置と呼ぶ。爪164が凸部159に係合されることにより、ソレノイド161がオンにされるまで、支持アーム156のCCW回転が規制されて、支持アーム156は離脱位置に保持される。
図16に示すように、伝達ギア167は、遊星ギア装置153に隣り合う位置に配置されている。伝達ギア167は、遊星ギア装置153の遊星ギア157,158と噛離可能である。伝達ギア167は、大径のギア167Lと小径のギア167Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。大径のギア167Lに対して、遊星ギア157,158が噛離可能である。小径のギア167Sは、リバーシブルローラ43の軸に設けられた従動ギア168と噛合されている。なお、伝達ギア167から従動ギア168までのギア構成は特に限定されるものではなく、伝達ギア167から従動ギア168までの距離に応じて、伝達ギアの数や径は適宜変更可能である。
図17に示すように、駆動ギア69がCW回転すると、伝達ギア152はCCW回転し、太陽ギア154はCW回転する。これを受けて、遊星ギア157,158はCW回転で公転する。遊星ギア157,158の公転に伴って支持アーム156が回転する。支持アーム156がCW回転すると、凸部159は爪164から離れる。したがって、ソレノイド161がオフであっても、支持アーム159はCW回転が可能である。遊星ギア157,158がCW回転で公転することにより、遊星ギア157が伝達ギア167と噛合する。
CW回転で公転した遊星ギア157が伝達ギア167に噛合することにより、遊星ギア157の公転が制止される。そして、遊星ギア157は、太陽ギア154から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア167がCW回転し、従動ギア168がCCW回転する。従動ギア168がCCW回転することにより、リバーシブルローラ43が戻し方向に回転される。
図16に示した状態から、ソレノイド161がオンにされると、シャフト166が本体に没入される。これにより、係止部材160が回動されて爪164が凸部159から離脱する。したがって、支持アーム156はCCW回転が可能になり、遊星ギア157,158がCCW回転で公転する。図18に示すように、CCW回転で公転した遊星ギア158が伝達ギア167に噛合することにより、遊星ギア158の公転が制止される。そして、遊星ギア158は、太陽ギア154から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア167がCCW回転し、従動ギア168がCW回転する。従動ギア168がCW回転することにより、リバーシブルローラ43が引き込み方向に回転される。なお、ソレノイド161は、爪164を凸部159から離脱させるときのみオンにされればよく、支持アーム156が離脱位置からCCW回転した後にソレノイド161がオフにされても、爪164が凸部159に係合することはない。
駆動ギア67の回転がCCW回転からCW回転に切り換えられることにより、支持アーム156は、遊星ギア158と伝達ギア167が噛合する図18に示す状態からCW回転することが可能である。支持アーム156がCW回転することにより、遊星ギア157と伝達ギア167が噛合する図17に示す状態となる。そして、駆動ギア67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられることにより、支持アーム156は、図17に示す状態からCCW回転し、図16に示すように爪164と凸部159とが係合する離脱位置になる。
図19及び図20は、モータ67からガイドフラップ50への第6ギアシステム170を示している。この第6ギアシステム170とモータ67とによって本発明の第2駆動力供給手段が実現される。第6ギアシステム170は、モータ67の回転方向に基づく回転駆動力をガイドフラップ50に伝達して、該ガイドフラップ50を第1の位置又は第2の位置に変化させるものである。なお、本実施の形態では、第2駆動力供給手段として、第6ギアシステム170とモータ67とで構成された機構を例示したが、例えば、モータ67とは異なるモータなどの駆動源を別に設け、この駆動源の駆動力をガイドフラップ50に供給するようにしてもよい。
図19に示すように、モータ67の駆動軸に設けられた駆動ギア69に対して、伝達ギア171,172,173が順次噛合されて、伝達ギア173から遊星ギア装置174に駆動力が伝達されている。なお、駆動ギア69から伝達ギア173までのギア数等は、特に限定されるものではなく、駆動ギア69から遊星ギア装置174までの距離に応じて伝達ギアの数や径は変更可能である。モータ67のCW回転又はCCW回転を受けて、伝達ギア173がCCW回転又はCW回転するように駆動力が伝達される。
遊星ギア装置174は、太陽ギア175の軸176と同軸に支持アーム177が回転自在に設けられ、該支持アーム177に、太陽ギア175とそれぞれ噛合する2つの遊星ギア178,179が軸支されてなる。なお、本実施の形態では、遊星ギア装置174は2つの遊星ギア178,179を有することとしたが、遊星ギアの数は特に限定されるものではなく、例えば、前述した遊星ギア装置122と同様に、1つの遊星ギアのみを有するものであってもよい。
太陽ギア175は大径のギア175Lと小径のギア175Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。支持アーム177に軸支された遊星ギア178,179は、太陽ギア175のギア175Sとそれぞれ噛合している。太陽ギア175が回転すると、ギア175Sにそれぞれ噛合された遊星ギア178,179が回転する。また、太陽ギア175の回転を受けて支持アーム177も同方向に回転する。つまり、太陽ギア175が回転すると、遊星ギア178,179は、それぞれが自転しながら太陽ギア175の周囲を公転する。
伝達ギア173は遊星ギア装置174の太陽ギア175と噛合している。モータ67から駆動力が伝達されて伝達ギア173が所定方向へ回転することにより、太陽ギア175が所定方向に回転される。例えば、図19に示すように、駆動ギア69がCW回転すると、伝達ギア173はCCW回転し、太陽ギア175はCW回転し、遊星ギア178,179はCW回転で公転する。
図19に示すように、遊星ギア装置174に隣り合って伝達ギア180及び伝達ギア181が配置されている。伝達ギア180は、大径のギア180Lと小径のギア180Sとが同軸且つ一体に構成された二段ギアである。伝達ギア180のギア180Lに対して、遊星ギア装置174の遊星ギア178,179が噛離可能である。また、伝達ギア180のギア180Sと伝達ギア181とが噛合されており、伝達ギア181は、ガイドフラップ50の軸に設けられた従動ギア182と噛合されている。
図19に示すように、遊星ギア178,179がCW回転で公転することにより、遊星ギア178が伝達ギア180のギア180Lと噛合する。一方、遊星ギア179は伝達ギア180から離脱した状態になる。CW回転で公転した遊星ギア178が伝達ギア180に噛合することにより、遊星ギア178,179の公転が制止される。そして、遊星ギア178は、太陽ギア175から駆動力の伝達を受けてCCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア180がCW回転する。伝達ギア180と噛合する伝達ギア181は、CCW回転し、伝達ギア181と噛合する従動ギア182は、CW回転する。従動ギア182がCW回転することにより、ガイドフラップ50は上側へ揺動するように回転されて、第1の位置になる。
図20に示すように、駆動ギア69がCCW回転すると、伝達ギア173はCW回転し、太陽ギア175はCCW回転し、遊星ギア178,179はCCW回転で公転する。遊星ギア178,179がCCW回転で公転することにより、遊星ギア179が伝達ギア180のギア180Lと噛合する。一方、遊星ギア178は伝達ギア180から離脱した状態になる。CCW回転で公転した遊星ギア179が伝達ギア180に噛合することにより、遊星ギア178,179の公転が制止される。そして、遊星ギア179は、太陽ギア175から駆動力の伝達を受けてCW回転で自転する。これを受けて伝達ギア180がCCW回転する。伝達ギア180と噛合する伝達ギア181は、CW回転し、伝達ギア181と噛合する従動ギア182は、CCW回転する。従動ギア182がCCW回転することにより、ガイドフラップ50は下側へ揺動するように回転されて、第2の位置になる。
なお、図には示されていないが、従動ギア182が設けられた軸とガイドフラップ50との間には、滑りクラッチが設けられている。この滑りクラッチにより、軸の回転がガイドフラップ50に伝達される。滑りクラッチは、所定トルク以上の負荷を受けることによりクラッチ板が滑って駆動力伝達が切断されるものである。図4に示したように、ガイドフラップ50は、第1の位置と第2の位置との間で揺動されるものであり、ガイド部材等に当接することにより各位置を超えて回動されないように規制されている。したがって、ガイドフラップ50が第1の位置又は第2の位置となった後は、ガイドフラップ50の回転が規制されることにより滑りクラッチが滑って、ガイドフラップ50が第1の位置又は第2の位置に静止された状態で、従動ギア182が設けられた軸は更に回転可能である。また、伝達ギア180から従動ギア182までのギア構成は特に限定されるものではなく、伝達ギア180から各従動ギア182までの距離に応じて、伝達ギアの数や径は適宜変更可能である。
以下、本画像読取装置1による画像読取りの動作について説明する。画像読取装置1は、FBSとして使用することも、ADF3を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略する。ADF3を使用する場合には、原稿カバー4を原稿載置台2に対して閉じた状態とする。原稿カバー4の開閉は、原稿載置台2に設けられたセンサ等により検出され、原稿カバー4が閉じられるとADF3が使用可能となるように制御されている。そして、給紙トレイ30に読取るべきn枚の原稿Gnが載置される。ここに、上記符号Gnは原稿を示し、上記符号nは原稿枚数を示しており、以下、ページ番号の小さい順にG1,G2,・・・,Gnのごとく各原稿を表す。原稿Gnは、表面及び裏面のうち、ページ番号の小さいページ(即ち、前ページ)の紙面(以下「第1面」と称する。)が上側、ページ番号の大きいページ(即ち、第1面の次のページ)の紙面(以下「第2面」と称する。)が下側となるように、所謂フェイスアップにして給紙トレイ30に載置される。また、原稿Gnは1枚であっても複数枚であってもよいが、本実施の形態では、複数枚として説明する。例えば、同じサイズの複数枚の原稿Gnの画像読取りを行う場合には、上記複数枚の原稿Gnは、第1枚目の原稿G1の第1面が上向きとなるように、すなわちフェイスアップで重ね揃えて給紙トレイ30に載置される。
画像読取装置1に読取開始の指示が入力されると、モータ67が駆動されて、ピックアップローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びリバーシブルローラ43が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、ピックアップローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1と当接する。そして、ピックアップローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿G1から1枚ずつ分離されて原稿搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿Gnは、原稿搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で待機された画像読取ユニット22により原稿Gnの画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿Gnは、排紙トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿Gnの片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿Gnの搬送経路が異なる。原稿Gnの片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定された片面読取りモード(片面モード)又は両面読取りモード(両面モード)により判断される。設定された片面読取りモード又は両面読取りモードは、搬送モード情報として、制御部60のRAM63に記憶される。なお、片面読取りモードが設定された場合は、該片面読取りモードに応じた搬送経路で原稿を搬送するよう画像読取装置1が動作され、両面読取モードが設定された場合は、該両面読取りモードに応じた搬送経路で原稿を搬送するよう画像読取装置1が動作される。
以下、図21から図32を参照して、画像読取装置1による両面読取りについて説明する。なお、画像読取装置1に片面読取りモードが設定されると、給紙トレイ30から給送された原稿G1は、第1面を読取位置に対向させて原稿搬送路32を搬送されて、第1面のみの片面読取りが行われ、その後、排紙トレイ31に排出される。このような片面読取りは、本発明に特に関連しないため、詳細な説明は省略する。ここに、図21は、両面読取りモードにおける画像読取装置1の動作を説明するためのフローチャートである。図22は、両面読取りモードにおける各構成要素の動作タイミングを示すタイミングチャートである。また、図23は、分離ローラ34が空転した状態を示す図である。図24から図32は、両面読取りモードにおける原稿Gnの搬送状態を示す模式図である。なお、各図において、原稿Gnに「1」で示された面は第1面を示し、「2」で示された面は第2面を示しており、これら第1面と第2面とは表裏面の関係にある。
原稿Gnの給紙前は、図24に示すように、ガイドフラップ50は、第1の位置、すなわち連結位置38における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から排紙トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、第3の位置、すなわち交差位置40における搬送経路を原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にあり、ガイドフラップ47は、第5の位置、すなわち交差位置40における搬送経路を二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
画像読取装置1に読取開始の指示が入力されると(S11(Y))、第1フロントセンサ52により給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されているか否かが判定される(S12)。制御部60は、給紙トレイ30上に原稿Gnが載置されていないと判断した場合には(S12(N))、画像読取装置1の表示部に「原稿なし」のエラー表示を行う(S13)。給紙トレイ30に原稿Gnが載置されていれば、モータ67をCW回転で駆動する。モータ67へのCW回転指令は、RAM63に回転方向情報として記憶される。なお、本実施の形態では、読取開始時にモータ67をCW回転するものとして説明するが、読取開始時にモータ67をCW回転させるかCCW回転させるかは任意であり、モータ67の回転方向は相対的な概念である。
制御部60は、モータ67をCW回転で駆動するとともに、ソレノイド88をオンにする(図22参照)。このとき、図7及び図8に示したように、第1ギアシステム70の遊星ギア装置75は、係止機構86による係止が解除され、太陽ギア76の回転に基づいて遊星ギア79,80をCCW回転で公転させて伝達ギア94に駆動力伝達する。これにより、従動ギア95がCW回転する。従動ギア95がCW回転することにより、アーム29に駆動力が伝達されてアーム29が降下する。アーム29が降下すると、ピックアップローラ33が給紙トレイ30上の原稿G1に当接する。また、従動ギア95のCW回転が第2ギアシステム110によりピックアップローラ33及び分離ローラ34に伝達され、ピックアップローラ33及び分離ローラ34が給送方向に回転することにより、原稿G1は原稿搬送路32へ繰り込まれる。給紙トレイ30に複数枚の原稿Gnが載置されている場合に、最上位置の原稿G1に伴って、その直下の原稿G2が重送されることがあるが、原稿G2はガイド板19に設けられた摩擦パッドにより制止される。このようにして、原稿G1が原稿搬送路32に給紙される(S14)。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36にモータ67からの駆動力が第3ギアシステム120により伝達されて、各ローラが原稿搬送路32の搬送方向上流側から搬送方向下流側へ原稿Gnを搬送するように、すなわち搬送方向に回転する。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、原稿搬送路32を交差位置40に搬送される。なお、原稿搬送路32に原稿G1が給送されて、原稿G1の搬送方向先端が第2フロントセンサ53によって検出されると、第2フロントセンサ53がオンになる(図22参照)。
ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、交差位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端はガイドフラップ47に当接する。そして、図25に示すように、ガイドフラップ47は、原稿G1の先端に押された、第5の位置から第6の位置に変化する。これにより、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、二方向パス39の終端41側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、二方向パス39の連結位置38側への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の給紙トレイ30側から交差位置40に到達した原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、二方向パス39のいずれの方向にも進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
モータ67から第3ギアシステム120により駆動力が伝達されて回転する各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36の周速度は、モータ67から第1ギアシステム70及び第2ギアシステム110により駆動力が伝達されて回転する分離ローラ34の周速度より速くなるように設定されている。給紙トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、図25に示すように、分離ローラ34と圧接しながら、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて搬送されている。図12に示したように、分離ローラ34は、1周クラッチ112により、給送方向に略1周分の空転が許容されている。したがって、図23に示すように、原稿G1と圧接する分離ローラ34は、搬送ローラ35Aにより所定の速度で搬送される原稿G1により連れ回りして、軸111より給送方向に進むように空転する。これにより、1枚目の原稿G1と2枚目の原稿G2とに搬送方向に所定の間隙が形成される。
原稿搬送路32に給送された原稿G1は、各搬送ローラ35A,35B,35Cによって、原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送されて、第1シートセンサ54に到達する。このとき、原稿G1の搬送方向先端が第1シートセンサ54によって検出されて、第1シートセンサ54がオンになる(図22参照)。
更に原稿G1が搬送されて、図25に示すように、原稿G1の搬送方向後端が第2フロントセンサ53を通過すると、第2フロントセンサ53によって原稿G1の搬送方向後端が検出される。つまり、第2フロントセンサ53はオフになる(図22参照)。このとき、制御部60は、上記第2フロントセンサ53のオフ信号に基づいて、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換える。本実施の形態では、分離ローラ34は、1周クラッチ112により、給送方向に略1周分の空転が許容されるため、第2フロントセンサ53がオフとなってから所定の時間T(図22参照)が経過した時点で、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換える。ここで、上記時間Tは、上記分離ローラ34の空転が終わり、回転を再開するまでに要する時間、より詳細には、分離ローラ34が再び回転して、後続の原稿G2の搬送方向先端をニップするまでに要する時間に予め設定される。なお、モータ67がCW回転からCCW回転に切り換えられた時点で、原稿G1の搬送方向先端は読取位置に到達しているが、この時点では、原稿G1の第1面の画像読取りは行われない。また、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられた時点では、後続の原稿G2の搬送方向先端は、交差位置40には達していない。
原稿G1の搬送方向後端が第2フロントセンサ53によって検出されてから上記時間T(図22参照)が経過するまでの間、分離ローラ34は一時空転するが、その後、搬送方向へ回転する。前述したように、第2フロントセンサ53は分離ローラ34の搬送方向下流側に設けられている。そのため、原稿G1の搬送方向後端の検出後に上記時間Tが経過するまでの間は、分離ローラ34は、次の原稿G2を原稿搬送路32に給送する動作(本発明の給送動作に相当)を行う。つまり、分離ローラ34は、原稿G2の搬送方向先端をニップして、原稿G2を給紙トレイ30から取り出す動作を行う。そして、分離ローラ34が原稿G2の搬送方向先端をニップしたときに、上記時間Tが経過して、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられる。モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられると、図10に示すように、係止機構86により遊星ギア装置75の支持アーム78が係止されて離脱位置に保持される。これにより、従動ギア95への駆動力伝達が切断され、分離ローラ34を軸支する軸111が停止する。したがって、分離ローラ34は回転しないため、原稿G2は、分離ローラ34とガイド板19とにニップされた状態で停止する。なお、このように原稿G2がニップされて停止した状態は、原稿G1の両面の読取りが完了するまで継続される。言い換えれば、原稿G1の搬送過程においては、原稿G1の給送が開始されてから最初にモータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられるまでの間に限り、モータ67から分離ローラ34への駆動力伝達が行われる。
なお、本実施の形態では、前述したように、第2ギアシステム110の軸111に1周クラッチ112を設け、原稿G1が分離ローラ34を抜けた際に分離ローラ34を空転させる機構を採用しているが、例えば、1周クラッチ112を設けず、分離ローラ34の空転を生じさせない機構を採用した場合は、第2フロントセンサ53がオフとなった時点で、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換えてもよい。この場合、分離ローラ34の搬送方向下流側の第2フロントセンサ53が原稿G1の搬送方向後端を検出するまで分離ローラ34は搬送方向へ回転している。そのため、原稿G1の搬送方向後端が分離ローラ34とガイド板19とのニップ点を通過した後から第2フロントセンサ53によって検出されるまでの間は、分離ローラ34は、次の原稿G2を原稿搬送路32に給送する動作を行う。
モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換えるために、制御部60のCPU61は、まず、モータ67へ停止指令を出力し、その後、CCW回転指令を出力する。既に出力されたCW回転指令とともに、停止指令及びCCW回転指令の履歴が、RAM63に回転方向情報として記憶される。
一方、第3ギアシステム120は、図13から図15に示したように、モータ67の回転がCW回転であってもCCW回転であっても、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達する。したがって、図25及び図26に示すように、モータ67の回転が切り換えられた後も、原稿G1は搬送ローラ35B等により原稿搬送路32を読取位置へ向かって搬送される。なお、モータ67の回転が切り換えられる際に、上記停止指令が出力されてモータ67は一時的に停止される。その後、CCW回転指令が出されてモータ67のCCW回転が開始された直後であっても、遊星ギア126が伝達ギア128を離脱してから伝達ギア129に噛合するまでは各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36にモータ67の駆動力が伝達されないというギアロス(駆動ロス)が生じる。この間、モータ67は実質的に空転することになる。このギアロスによって原稿G1は一時的に原稿搬送路32中で停止される。画像読取中に原稿G1が停止されると画質の低下を招くことになるが、このタイミングでは画像読取りは開始されないため、上記ギアロスによる不具合は生じない。
モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられると、第4ギアシステム150は、第5ギアシステム151が遊星ギア装置153を離脱位置に保持して、従動ギア168への駆動力伝達を切断する。これにより、リバーシブルローラ43が停止する(図22参照)。第6ギアシステム170は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられることにより、ガイドフラップ50を第2の位置(図26参照)に変化させる。なお、原稿G1の後端が交差位置40を通過することにより、ガイドフラップ47は、第6の位置から第5の位置に復帰する。
原稿G1は、第1面を読取位置に対向させた状態で原稿搬送路32を搬送される。更に原稿G1が搬送されて、原稿G1の先端がガイドフラップ50に到達すると、図27に示すように、原稿G1の先端は、ガイドフラップ50に案内されて、連結位置38を原稿搬送路32から二方向パス39へ進入する。第2シートセンサ55は、二方向パス39に進入した原稿G1の先端を検出してオンになる(図22参照)。一方、第1シートセンサ54は、原稿G1の後端が第1シートセンサ54を通り過ぎることにより、その後端を検出してオフになる(図22参照)。第2シートセンサ55のオン/オフの履歴は、読取状態情報として、制御部60のRAM63に記憶される。第2シートセンサ55のオンを受けて、制御部60は、ソレノイド161をオンにする(図22参照)。これにより、原稿G1が二方向パス39に引き込まれる際に、第5ギアシステム151による遊星ギア装置153の支持アーム156の係止が解除されて、図18に示すように、モータ67からCCW回転の駆動力伝達を受けた遊星ギア装置153は、従動ギア168にCW回転の駆動力を伝達し、リバーシブルローラ43が引き込み方向に回転する。
ガイドフラップ46は、二方向パス39から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、二方向パス39に進入した原稿G1の先端は、交差位置40に到達する際にガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図27に示すように、二方向パス39を搬送される原稿G1の先端に押し上げられるように回動して、第3の位置から第4の位置に変化する。これにより、二方向パス39の連結位置38側から二方向パス39の終端41側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47により、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路は閉止されている。したがって、二方向パス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿G1の先端は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、原稿搬送路32に進入することなく、二方向パス39へ搬送される。そして、原稿G1の先端は、リバーシブルローラ43及びピンチローラ44にニップされ、リバーシブルローラ43の引き込み方向の回転により二方向パス39を終端41側へ搬送される。
図28に示すように、原稿G1の後端が、二方向パス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り換える(図22参照)。モータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り換えるために、制御部60のCPU61は、モータ67への停止指令を出力した後、CW回転指令を出力する。この停止指令及びCW回転指令は、モータ67の駆動のために既に出力された指令とともに、RAM63に回転方向情報として記憶される。
第2シートセンサ55は、二方向パス39を搬送される原稿G1の後端を検出してオフになり、それから所定時間経過後に原稿G1の後端が交差位置40を通過する。したがって、制御部60は、第2シートセンサ55の検出信号と搬送ローラ35D及びリバーシブルローラ43による搬送距離又は搬送時間のカウントする。これにより、原稿G1の後端が、二方向パス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入したことを判断する。モータ67の回転が切り換えられることにより、リバーシブルローラ43とピンチローラ44にニップされて終端41からADF3の外側へ突出された原稿G1は、交差位置40へ戻される。
原稿G1の一部が二方向パス39の終端41からADF3の外側へ突出した際に、その原稿G1の一部分は原稿支持部42(図1参照)により支持される。また、原稿G1の先端は、給紙トレイ30上の原稿G2に乗りかかるように重なる。このとき、給紙トレイ30上の原稿の整列状態が乱されるおそれがあるが、前述したように、給紙トレイ30上の原稿G2は、その先端側が分離ローラ34と対向位置のガイド板19とによってニップされた状態を維持しているので、給紙トレイ30上において原稿Gnの整列状態が乱されることはない。
原稿G1が交差位置40を通過してガイドフラップ46から離れることにより、ガイドフラップ46は下側へ回動して、第3の位置に復帰する。
モータ67がCCW回転からCW回転に切り換えられることにより、第4ギアシステム150の遊星ギア装置153は、図17に示すように、支持アーム156をCW回転させてモータ67の駆動力を従動ギア168に伝達し、従動ギア168をCCW回転させる。これにより、リバーシブルローラ43が戻し方向に回転する。これを受けて、原稿G1は、二方向パス39を交差位置40へ戻るようにスイッチバック搬送される(S15)。
一方、第3ギアシステム120は、図13から図15に示したように、モータ67の回転がCW回転であってもCCW回転であっても、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に一方向に回転するように駆動力を伝達する。したがって、モータ67の回転が切り換えられた後も、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36は、一方向に回転する。なお、モータ67がCCW回転からCW回転に切り換えられる際は、遊星ギア126が伝達ギア129を離脱してから伝達ギア128に噛合するまではモータ67が空転して、モータ67の駆動力が各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に伝達されないというギアロスが生じる。
第1ギアシステム70は、モータ67の回転がCCW回転からCW回転に切り換えられた際に、係止機構86が遊星ギア装置75を離脱位置に保持して、従動ギア95への駆動力伝達を切断している。その後、ソレノイド88が動作されていないので、遊星ギア装置75は、モータ67がCW回転になっても離脱位置に保持される。したがって、分離ローラ34への回転駆動力の伝達は継続して遮断されている。第6ギアシステム170は、モータ67の回転がCCW回転からCW回転に切り換えられることにより、ガイドフラップ50を第1の位置に変化させる(図29参照)。
二方向パス39から戻し方向へ搬送された原稿G1は、交差位置40において、第3の位置のガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、第3の位置から下側へ回動しないように規制されている。したがって、二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、二方向パス39の連結位置38側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の給紙トレイ30側への搬送経路を閉止している。したがって、原稿G1は、図29に示すように、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、二方向パス39の連結位置38側や原稿搬送路32の給紙トレイ30側へ進入することなく、二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。原稿G1が二方向パス39から原稿搬送路32の読取位置の搬送方向上流側へ戻されることにより、原稿G1は、最初に原稿搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で原稿搬送路32を再送される。このようにして、原稿G1がスイッチバック搬送される。
このように、給紙トレイ30から給送された原稿G1が原稿搬送路32及び二方向パス39を通って読取位置の搬送方向上流側の原稿搬送路32へ戻る経路が、本発明の第1経路に相当する。
二方向パス39から原稿搬送路32の読取位置の搬送方向上流側へ戻された原稿G1の搬送方向先端が、読取位置の搬送方向上流側の所定の位置、具体的には、搬送ローラ35Cの直上流の切換位置45に到達すると、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられる。制御部60は、二方向パス39において原稿G1をスイッチバックさせた時点、即ち、モータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り換えた時点からカウントされた経過時間又はモータ67の回転量等により、モータ67の回転を切り換えるタイミングを判断することができる。なお、CW回転からCCW回転への切換は、原稿G1の搬送方向先端が読取位置に到達する前、すなわち、原稿G1が読取位置において画像読取ユニット22により画像読取りが行われる前になされる。
図30に示すように、原稿G1は、原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、第1シートセンサ54が原稿G1の先端を検出してオンになる(図22参照)。原稿G1の先端は、第1シートセンサ54に検出されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の先端が読取位置へ到達すれば、制御部60は画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の画像読取りを行う(S16、図22参照)。原稿G1は、第2面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、画像読取ユニット22により原稿G1の第2面の画像が読取られる。このとき、制御部60は、原稿G1の後端が読取位置を通過するまで継続して画像読取ユニット22を動作させる。原稿G1が更に搬送されて、原稿G1の後端が第1シートセンサ54を通り過ぎると、第1シートセンサ54は、原稿G1の後端を検出してオフになる(図22参照)。制御部60は、第1シートセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、原稿G1の搬送方向後端が読取位置を通過したと判断して、画像読取ユニット22による原稿G1の第2面の画像読取りを終了する(図22参照)。
画像読取ユニット22により読取られた原稿G1の第2面の画像データは、RAM63の所定領域に記憶される。制御部60は、該画像データをRAM63に書き込むとともに、第2面の画像読取りが終了したことを示す変数をRAM63の所定領域に書き込む。この変数は、「第2面の読取り終了」を示すものであり、読取状態情報として用いられる。
制御部60は、図31に示されるように、原稿G1の先端が原稿搬送路32の読取位置の搬送方向上流側の上記切換位置45に到達すれば、前述したように、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換える。この際に、制御部60のCPU61から出力される停止指令及びCCW回転指令も、読取状態情報としてRAM63に記憶される。第3ギアシステム120は、モータ67の回転方向の切換時に前記ギアロスにより駆動力の伝達が一時的に遮断されるものの、モータ67の回転方向にかかわらず、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達するので、モータ67の回転が切り換えられた後も、原稿G1は搬送ローラ35B等により原稿搬送路32を読取位置へ向かって搬送される。
第4ギアシステム150は、モータ67の回転がCW回転からCCW回転に切り換えられると、遊星ギア装置153の支持アーム156がCCW回転して、駆動切断機構151に係止される。これにより、遊星ギア装置153から従動ギア168への駆動力伝達が切断され、リバーシブルローラ43が停止する。したがって、図30に示すように、原稿G1の先端側が搬送ローラ35B及びピンチローラ37にニップされ、原稿G1の端側がリバーシブルローラ43及びピンチローラ44にニップされた状態でモータ67の回転が切り換えられても、リバーシブルローラ43が引き込み方向に回転することがない。モータ67からの駆動力伝達が切断されたリバーシブルローラ43は、搬送ローラ35Bの回転により搬送される原稿G1により、戻し方向に連れ回りする。
第1ギアシステム70は、係止機構86を遊星ギア装置75から離脱させる。このとき、ソレノイド88が動作されていないので、遊星ギア装置75は、モータ67をCCW回転させても離脱したままである。第6ギアシステム170は、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換えることにより、ガイドフラップ50を第2の位置に回転させる。
原稿G1が更に搬送され、二方向パス39に進入した原稿G1の搬送方向先端を第2シートセンサ55が検出してオンになると、制御部60は、ソレノイド161をオンにする(図22参照)。これにより、原稿G1が二方向パス39に引き込まれる際に、駆動切断機構151による遊星ギア装置153の支持アーム156の係止が解除されて、図18に示すように、モータ67からCCW回転の駆動力伝達を受けた遊星ギア装置153は、従動ギア168にCW回転の駆動力を伝達し、リバーシブルローラ43が引き込み方向に回転する。
交差位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端は、図27と同様にして、ガイドフラップ46を押し上げて第3の位置から第4の位置に変化させて、交差位置40を二方向パス39の終端41側に進入する。そして、図28と同様にして、原稿G1の後端が、二方向パス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部60はモータ67の回転をCCW回転からCW回転に切り換え、リバーシブルローラ43を戻し方向に回転させて、原稿G1を交差位置40へ戻す。この際に、制御部60のCPU61から出力される停止指令及びCW回転指令も、読取状態情報としてRAM63に記憶される。そして、図29と同様にして、二方向パス39から戻された原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、二方向パス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。これにより、原稿G1は、再び先端と後端とが逆転した状態で、すなわち最初に原稿搬送路32に給送された状態で原稿搬送路32を再送される(S17)。
このように、二方向パス39から原稿搬送路32に戻された原稿G1が、原稿搬送路32及び二方向パス39を通って再び読取位置の搬送方向上流側へ戻る経路が、本発明の第2経路に相当する。
なお、第3ギアシステム120は、モータ67の回転方向の切換時に前記ギアロスにより駆動力の伝達が一時的に遮断されるものの、モータ67の回転方向にかかわらず各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36に搬送方向の駆動力を伝達するので、各搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36は搬送方向に回転する。第1ギアシステム70は、係止機構86が遊星ギア装置75を離脱位置に保持した状態であり、従動ギア95への駆動力伝達を切断している。第6ギアシステム170は、モータ67の回転がCCW回転からCW回転に切り換えられることにより、ガイドフラップ50を第1の位置に変化させる。
二方向パス39から原稿搬送路32の読取位置の搬送方向上流側へ戻された原稿G1の搬送方向先端が第1シートセンサ54に到達して、第1シートセンサ54によって検出されると、第1シートセンサ54はオンになる(図22参照)。原稿G1の搬送方向先端は、第1シートセンサ54に検出されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の搬送方向先端が読取位置へ到達すれば、制御部60は画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の画像読取りを行う(S18、図22参照)。この場合、原稿G1は、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過する。画像読取ユニット22により原稿G1の第1面の画像が読取られる。原稿G1が更に搬送されて、原稿G1の搬送方向後端が第1シートセンサ54を通り過ぎると、第1シートセンサ54が原稿G1の搬送方向後端を検出してオフになってから所定時間経過した後に、原稿G1の搬送方向後端が読取位置を通過したと判断して、制御部60は、画像読取ユニット22による原稿G1の第1面の画像読取りを終了する(図22参照)。
画像読取ユニット22により読取られた原稿G1の第1面の画像データは、RAM63の所定領域に記憶される。制御部60は、該画像データをRAM63に書き込むとともに、第1面の画像読取りが終了したことを示す変数をRAM63の所定領域に書き込む。この変数は、「第1面の読取り終了」を示すものであり、読取状態情報として用いられる。
第1面を読取られた後の原稿G1は、図32に示されるように、その搬送方向先端がガイドフラップ50により連結位置38を排紙トレイ31側へ案内される。そして、排紙ローラ36により、第1面を下にした状態で排紙トレイ31に排出される(S19)。
このように、二方向パス39から再び原稿搬送路32に戻された原稿G1が、原稿搬送路32を通って排紙トレイ31へ排出される経路が、本発明の第3経路に相当する。
原稿G1の排出後、次の原稿G2が給紙トレイ30にセットされている場合(S20(Y))、すなわち第1フロントセンサ52がオンである場合は、制御部60は、ソレノイド88をオンにして、係止機構86による遊星ギア装置75の支持アーム78の係止を解除して、第1ギアシステム70によりモータ67から従動ギア95へ駆動力を伝達させて、分離ローラ34を給送方向に回転させる。これにより、給紙トレイ30上の原稿G2が原稿搬送路32に給送され、前述と同様にして原稿G2の両面の画像読取りが行われる。
そして、給紙トレイ30に載置された最後の原稿Gnを原稿搬送路32から排紙トレイ31へ排出した後、制御部60は、モータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換えるとともに、ソレノイド88をオンにする。これにより、図11に示すように、遊星ギア装置75から駆動力が伝達されて、従動ギア95がCCW回転し、軸111が給送方向と逆方向に回転する。この軸111の回転がアーム29に伝達されて、アーム29が上昇して給紙ローラ33が原稿搬送路32のガイド面から離れる。これにより、次に画像読取りを行う原稿Gnを、給紙ローラ33の下方を超えて分離ローラ34に当接するまで挿入することができる初期状態に復帰する。その後、制御部60がモータ67を停止して、両面読取りモードの画像読取りが終了する。
このように、第1経路で原稿Gnを搬送する過程では、原稿Gnの画像読取りを行わずに読取位置を通過させ、第2経路で原稿Gnを搬送する過程で原稿Gnの第2面の画像読取りを行い、第3経路で原稿Gnを搬送する過程で原稿Gnの第1面の画像読取りを行う両面読取りモードにおいて、第1経路の搬送過程で、原稿G1の搬送方向後端が第2フロントセンサ53により検出されてから時間T(図22参照)が経過したときにモータ67の回転をCW回転からCCW回転に切り換えて、分離ローラ34への駆動力伝達を切断することとしたので、分離ローラ34により原稿G2の搬送方向先端側が圧接された状態で原稿G2は停止する。したがって、スイッチバック搬送の際に、二方向パス39から突出された原稿G1の先端が、給紙トレイ30上の原稿G2に接触したとしても、原稿G2の載置状態が維持される。これにより、原稿G1を搬送した後、確実且つ迅速に原稿G2を原稿搬送路32に給送することができる。
なお、本画像読取装置1では、原稿Gnを原稿搬送路32へ再送するための二方向パス39を、原稿搬送路32の読取位置の搬送方向下流側の連結位置38から延出して、読取位置の搬送方向上流側の交差位置40に交差するように形成したが、二方向パス39の搬送経路は一例であり、本発明が前述の実施の形態で示した原稿搬送路32及び二方向パス39の搬送経路に限定されるものでないことは当然である。したがって、原稿の先端と後端とを逆転させるスイッチバック搬送において、原稿を開口から給紙トレイ30の上側へ一時的に露出する搬送経路であれば、双方向パスの搬送経路は適宜変更可能である。もちろん、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47は双方向パスの搬送経路に応じて適宜変更可能であり、例えば、ガイドフラップ46,47に代えて例えば弾性変形可能なフィルムを案内部材として採用してもよい。