JP3546822B2 - 両面原稿読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動的に原稿を順次給送して表裏両面の読み取りが可能な原稿読取装置の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の原稿読取装置では、原稿の両面を読み取る場合、まず、原稿を読取部へ給送して表面を読み取り、排出ローラにより排紙トレイ上の排出口へ搬送した後に、原稿の後端を挟持する排出ローラの回転方向を逆転し、該原稿を原稿戻し経路を通じて反転させつつ再度読取部へ給送して、次に裏面を読み取って排出トレイへ排出するように構成されていた。
さらに、上記技術を改良したものとして、両面の読み取りを終えて排出口へ搬送された原稿を再度スイッチバックさせ、さらにもう一度原稿戻し経路を通じて読取部へ搬送し、このとき該読取部では読み取りを行わずそのまま通過させ、原稿の表面を下にして排出し、給紙口に積まれていたページ順に揃え直しながら順次積載していく技術も発明されている。
上記のような両面原稿読取装置の原稿搬送装置では、原稿の搬送方向の逆転を正逆回転可能な排出ローラで行い、一方、その他のローラによる原稿の搬送は一定方向となるため、該排出ローラ駆動用のモータと他のローラの駆動用のモータとを別々に設ける必要があった。特に、原稿を1枚ずつ分離して取り込むセパレートローラには電磁クラッチを設け、連続して原稿が繰り込まれないようモータからの動力を適宜断接して、その繰り込みタイミングを計っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術において、原稿両面読取後に、元のページ順に揃え直すため、再度排紙トレイ上でスイッチバック反転して原稿戻し経路へ給送し、再び原稿の表裏を反転させて表面を下にし排紙トレイに排出し、順次積載していた。その結果、原稿は読取部を3回通過することとなり、3回目の通過においては、原稿の読み取りを行わないにも拘らず原稿読取部を通過させているため、その間次の原稿を給送することができず、原稿読み取り速度の向上の弊害となっていた。
さらに、原稿の搬送には2つのモータを使用して、各ローラを駆動していたので、装置自体が大型化するとともに、両モータの同期制御等、その制御が複雑となり、製品のコストアップにも繋がっていた。
本発明では前記の点を鑑み、両面原稿読取装置の原稿搬送装置の駆動源は単一として各ローラを所望の回転方向に制御し、さらに、原稿の両面の読み取りに要する時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以上のような課題を解決すべく、次のような手段を用いるものである。
すなわち、請求項1に記載の如く、原稿供給トレイに第1面を上にしてセットされたシート原稿を第1の原稿搬送経路を搬送して、読取部でシート原稿の第1面を読み取った後、排紙口へ送り、該排紙口でシート原稿をスイッチバック反転させて第2の原稿搬送経路を搬送し、該第2の原稿搬送経路と前記第1の原稿搬送経路との合流部からシート原稿を再び第1の原稿搬送経路へ進入させて、前記読取部でシート原稿の第2面を読み取る両面原稿読取装置において、前記原稿供給トレイからシート原稿を繰り込む搬送系の搬送手段と、シート原稿を読取部に搬送して読み取らせる走査系の搬送手段と、読み取られたシート原稿を排出する排出系の搬送手段と、の3系統の搬送手段を駆動する正逆回転可能な単一の駆動源と、前記第2の原稿搬送経路と第1の原稿搬送経路との合流部の下流側に設けられたレジストローラと、前記レジストローラと前記合流部との間に設けられて、シート原稿の通過を検出するレジストセンサと、を備え、前記単一の駆動源の正転駆動により前記搬送系の搬送手段をシート原稿を繰り込む方向に回転させるとともに前記排出系の搬送手段をシート原稿をスイッチバック反転させる方向に回転させ、前記単一の駆動源の逆転駆動により前記レジストローラを含む走査系の搬送手段をシート原稿を読取部に搬送して読み取らせる方向に回転させるとともに前記排出系の搬送手段をシート原稿を排出する方向に回転させる構成で、前記レジストセンサでシート原稿の通過が検出されると、前記単一の駆動源が正転駆動から逆転駆動に切り換えられる構成とする。
【0005】
また、請求項2に記載の如く、前記排出系には、前記排紙口と、第2面読取後のシート原稿が向かう第2の排紙口と、が設けられ、前記単一の駆動源と前記排出系の搬送手段との間に、シート原稿の第2面を読み取る場合に、逆転駆動している単一の駆動源に対して、前記排出系の搬送手段の回転方向を前記排紙口からシート原稿を排出する方向から前記第2の排紙口からシート原稿を排出する方向に切り換える切換手段が設けられた構成とする。
【0006】
そして、請求項3に記載の如く、前記両面原稿読取装置は、前記第1の排紙口へ向けての原稿搬送経路、又は前記第2の排紙口へ向けての原稿搬送経路にシート原稿の搬送方向を切り換えるガイド部材を備え、前記切換手段は該ガイド部材の切換動作に連動して切り換えられる構成とする。
【0007】
本発明の実施の形態を、添付の図面を基に説明する。
図1は両面原稿読取装置を採用するファクシミリの斜視図、図2は同じく側面断面図、図3は両面原稿読取装置のADFの側面断面図、図4は原稿搬送に係る各駆動ローラへの動力伝達構成を示す説明図、図5は駆動源からの回転動力を反転させる正逆回転切替機構の斜視図、図6は両面原稿読取装置の制御構成を示すブロック図、図7は両面原稿読取装置の第1過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図、図8は同じく第2過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図、図9は同じく第3過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図、図10は両面原稿読取装置の制御構成のタイムチャート、図11は両面原稿読取装置の制御構成の第1段階を示す流れ図、図12は同じく第2段階を示す流れ図、図13は同じく第3段階を示す流れ図、図14は同じく第4段階を示す流れ図、図15は同じく第5段階を示す流れ図、図16は同じく最終段階を示す流れ図である。
【0008】
本発明に係る両面原稿読取装置をファクシミリ装置を例にとり、まず、その全体構成から説明する。
図1乃び図2に示すファクシミリ装置は、記録部2の上方に読取部1を配置して構成されている。記録部2には、記録装置3及び給紙カセット4がそれぞれ上下に内装されており、給紙カセット4内に堆積される用紙を記録装置3へ給紙して、記録した後に、記録紙排出トレイ5へ排出するように構成している。
【0009】
読取部1は、その一部構成体である読取ケース10の底面より延設されるヒンジ10bが、記録部2に配設されたヒンジピン1a上に枢支されていることにより、該記録部2に対して、ヒンジピン1aを支点として上下回動可能とされている。
【0010】
読取部1においては、読取ケース10内に読取装置6が収納されている。読取ケース10の上面には、透明状の静止原稿載置ベッド11を配設しており、該静止原稿載置ベッド11上に原稿が置かれると、該読取装置6が、図2の実線位置から仮想線位置まで移動して走査を行う。
【0011】
読取ケース10の上方には、その一辺を中心として上下開閉可能に構成される原稿押えカバー7が配置され、静止原稿載置ベッド11上に載置された原稿を原稿押えカバー7により上方から押えるものとしている。
【0012】
原稿押えカバー7の一端部には、ADF8が付設されている。ADF8の外観は、図1のように、読取装置6の走査方向と直交する方向上にて並列状にサイドフレーム7a・7bを立設しており、両サイドフレーム7a・7b間に、ADF8の原稿搬送部全体を覆うADFカバー14が挟まれるように配置されたものとなっている。各サイドフレーム7a・7bのADFカバー14側端部に沿う内側開口面には、図示されない板金製の側板がそれぞれ立状に固設されていて、例えば、後記の各フィードローラのうち、駆動ローラのローラ軸の各軸端を軸支している。サイドフレーム7a・7bの一方または両方は、該駆動ローラの駆動源及びその伝動系を覆っており、その内側面が該側板にて覆われているのである。
【0013】
これら原稿押えカバー7とサイドフレーム7a・7b、該両側板、そして、内装される駆動ローラ用駆動源及び伝動系がADF8の装置本体を形成し、該装置本体に左右を挟まれて、ADFカバー14にて覆われる原稿搬送部が配設されて、ADF8全体を構成している。
【0014】
ADF8の給紙口8aに連なるように、該原稿押えカバー7の上方に原稿供給トレイ9が配設されており、その下方における原稿押えカバー7の上面には、ADF8の該給紙口8aの直下に配置された排紙口8cに連なるように、原稿排出トレイ7cが一体成形されている。ADF8内には、給紙口8aから排紙口8cまで原稿搬送経路が構成されている。
【0015】
原稿供給トレイ9上に堆積されたシート原稿は、一枚ずつピックアップされ、給紙口8aに挿入される。ADF8にて給紙されてプラテンガラス12の上を通過する原稿は、図2中で実線にて示した初期位置の読取装置6により読み取られる。読み取られた後の原稿は、排紙口8cから原稿排出トレイ7c上に排出される。
【0016】
このように、読取部1は、読取装置6を走査させて静止原稿を読み取るフラットベッドタイプのスキャナとして用いるとともに、読取装置6を位置固定して原稿をADF8に給送しながら読み取りを行うシートフィードタイプのスキャナとして用いることができるように構成されている。
【0017】
また、読取ケース10の一側方にはキーパネル13が付設されている。該キーパネル13の各種操作キーを押すことにより、原稿内容の読み取りを行ったり、読み取った内容をファクシミリ送信する際の送信先の設定を行ったり、受信内容や読み取った内容の記録装置3による記録を行ったり、様々な操作がなされるのである。
【0018】
次に本発明に係る自動シート搬送装置のADF8の内部構造について説明する。
なお、この説明において、図3に示す側面視にて、原稿搬送方向を前後方向(原稿搬送路について給紙口8a・排紙口8c側を前方、湾曲部(搬送方向折り返し部)側を後方とする。)とし、その水平方向における直交方向を左右方向として、各構造体の上下・前後位置を説明するものとする。
【0019】
まず、本発明に係る原稿搬送経路の構成について説明する。
図3に示すように、まず、給紙口8aから排紙口8cにかけて側面視略「?」の字を寝かせた形状の第1原稿搬送経路R1が形成されている。該第1原稿搬送経路R1は給紙口8aからの「C」状に湾曲した円弧状経路と、排紙口8cへ水平に向かう水平経路と、該円弧状経路と該水平経路とを結ぶ傾斜路とから成り、該水平経路の後端位置には分岐点Qが設けられ、該分岐点Qから後方へ向けて第2原稿搬送経路R2が延設され、該第1原稿搬送経路R1の湾曲部で連通されている。ここで、この連通個所を合流点Pとする。
【0020】
そして、前記第1原稿搬送経路R1における円弧状経路から傾斜路へ移行する個所に分岐点Sが設けられ、また、前記排紙口8cの下方にはシート原稿の搬送方向を逆転させる一時排出口8bが設けられ、該分岐点Sから該一時排出口8bに向けて第3原稿搬送経路R3が延設されている。
前記第3原稿搬送経路R3における分岐点Sと一時排出口8bとの中間位置に分岐点Tが設けられ、該分岐点Tからその上方を前後に走る第1原稿搬送経路R1にかけて、側面視、「U」字を寝かせた形状の反転経路(第4原稿搬送経路)R4が形成されている。ここで、この第4原稿搬送経路R4と第1原稿搬送経路R1との連通個所を合流点Rとする。
【0021】
次にシート原稿をフィードするローラの配置であるが、前記一時排出口8bと前記排紙口8cとの間には正逆回転可能なエキストラローラ30が配設され、その上下の原稿搬送経路R1・R3で摺接するように第1プレスローラ31と第2プレスローラ32とが配設されている。ここで、第1原稿搬送経路R1におけるエキストラローラ30と第1プレスローラ31とのニップ部をE、第3原稿搬送経路R3におけるエキストラローラ30と第2プレスローラ32とのニップ部をFとする。
【0022】
また、給紙口8aの近傍にはセパレートローラ22とリタードローラ23とのニップ部Aが配設され、該セパレートローラ22の両端より前方に向けてアーム20・20が揺動自在に配設され、該アーム20・20の前端部にピックアップローラ21が軸支されている。
そうして、給紙口8aから排紙口8cまでの第1原稿搬送経路R1に沿って、前記セパレートローラ22とリタードローラ23とのニップ部A、レジストローラ24とレジストフォローローラ25とのニップ部B、第1フィードローラ26と第1スレイブローラ27のニップ部C、第2フィードローラ28と第2スレイブローラ29のニップ部D、前記エキストラローラ30と第1プレスローラ31とのニップ部Eの順に配設されている。
【0023】
前記各ローラの働きは大きく3系統に分類され、ローラ21・22・23は原稿供給トレイ9上に堆積されたシート原稿を一枚ずつ分離して、給紙口8aから第1原稿搬送経路R1へ繰り込む取込搬送に係るローラであり、ローラ24・25・26・27・28・29はシート原稿を読取位置であるプラテンガラス12に搬送する読取走査に係るローラであり、ローラ30・31・32は読み取られたシート原稿を繰り出す排出に係るローラである。
【0024】
前述の各ローラのうち、レジストローラ24、第1フィードローラ26、第2フィードローラ28、及びエキストラローラ30の各ローラ軸24a・26a・28a・30aは、両軸端が、それぞれ前記のADF8装置本体の各側板に軸支されて、位置固定されており、ローラ22・24・26・28・30はサイドフレーム7a・7bのいずれか、あるいは両方の内部に配設された駆動源及び伝動機構により駆動されるようになっている。すなわち、図4に示すように、該ローラ22・24・26・28・30は駆動ローラであって、それぞれに接触する各ローラ25・27・29・31・32が各駆動ローラに連れ回る従動ローラとなっている。
【0025】
そうして、図3に示すように、前記分岐点Sの直前方の第1原稿搬送経路R1と第3原稿搬送経路R3との間に、該原稿搬送経路R1・R3間を切り換える第1ガイド部材37が配設され、また、前記分岐点Qの直後方の第1原稿搬送経路R1と第2原稿搬送経路R2との間に、該原稿搬送経路R1・R2間を切り換える第2ガイド部材38が配設され、そして、前記分岐点Tの直後方の第3原稿搬送経路R3と第4原稿搬送経路R4との間に、該原稿搬送経路R3・R4間を切り換える第3ガイド部材39が配設されている。
【0026】
前記第1ガイド部材37は、ソレノイド47等のアクチュエータを用いて電気的に経路の切り換えを行っている。原稿第1面(表面)の読み取り後には第1原稿搬送経路R1へ、原稿第2面(裏面)の読み取り後には第3原稿搬送経路R3へとシート原稿を給送するように制御されている。
【0027】
詳しくは、前記第2ガイド部材38は、通常、分岐点Rから合流点Pへ向けては通過自在で、分岐点Sから分岐点Rへ向けてはその経路を塞ぐように付勢されている。すなわち、排紙口8cから分岐点Qへ向けての搬送では、該第2ガイド部材38に沿って合流点P方向へと案内され、一方、分岐点Sから分岐点Qへ向けての搬送では、シート原稿の先端が該第2ガイド部材38を押し上げて排紙口8c方向へと搬送され、該シート原稿の終端が該分岐点Q位置を通過すると、該第2ガイド部材38はその自重、及びその弾性により元位置へ復帰する。
【0028】
前記第3ガイド部材39についても略同様の構成で、通常、ニップ部Fから合流点Rへ向けては通過自在で、分岐点Sからニップ部Fへ向けてはその経路を塞ぐように付勢されている。すなわち、一時排出口8bから分岐点Tへ向けての搬送では、該第3ガイド部材39に沿って合流点R方向へと案内され、一方、分岐点Sから分岐点Tへ向けての搬送では、シート原稿の先端が該第3ガイド部材39を押し上げて一時排出口8b方向へと搬送され、該シート原稿の終端が該分岐点T位置を通過すると、該第3ガイド部材39はその自重、及びその弾性により元位置へ復帰する。
このように、第2ガイド部材38と、第3ガイド部材39とは電気的に切り換えを行わず、安価な部材を使用し、且つ、シンプルな構成としている。
【0029】
次にシート原稿の搬送に係る各センサについて説明する。
まず、前記第1原稿搬送経路R1の給紙口8a付近にはドキュメントセットセンサ(以下、「DSセンサ」)43が配設されている。給紙口8a奥深くにシート原稿がセットされると、該DSセンサ43により検知され、これによりスタートボタン19と駆動源41との間の回路が接続されて、前記駆動源41の駆動が可能な状態となり、逆に言えば、原稿がセットされていない状態では、該回路が遮断されたままでスタートボタン19を押しても該駆動源41は始動せず、こうして原稿の空送りが防止されている。
そして、該第1原稿搬送経路R1に沿って、第2原稿搬送経路R2との合流点P付近にはレジストセンサ44が配設され、また、第3原稿搬送経路R3との分岐点S付近には第2位置検出センサ45が配設されている。
前記センサ43・44・45はそれぞれその搬送経路における一方の側に発光素子を配置し、他方の側に受光素子を配置した光センサ、またはリミットスイッチ等により構成されており、センサ配置位置を通過するシート原稿の通過開始時、または通過完了時等を検出し、図6に示すコントローラ40に制御信号(検出信号)を出力している。
【0030】
さらに、前記センサ43・44・45の他、図6に示す前述のコントローラ40には、以下に示す制御部材とも接続されており、シート原稿の搬送パターンを制御している。
37は、原稿の搬送方向を規制する前記した第1ガイド部材であり、該コントローラ40からの制御信号(切換信号)を受信して、原稿の搬送経路を切り換えている。
すなわち、通常状態では、第1ガイド部材37は第3原稿搬送経路R3を塞いで第1原稿搬送経路R1を開放しており、該コントローラ40からの制御信号(切換信号)を受信することで、前記ソレノイド47に電流が流され、アクチュエーターが作用して、該第1ガイド部材37はやや上方へ回動し、第1原稿搬送経路R1を塞いで第3原稿搬送経路R3を開放する。
【0031】
前記ピックアップローラ21は、ソレノイド46等のアクチュエータを用いて上下に揺動する構成で、該コントローラ40からの制御信号(駆動信号)を受信して、該ソレノイド46に電流が流され、該アクチュエーターが作用して、該ピックアップローラ21は下方へ回動し、シート原稿を押さえ込む。
また、各ローラ22・24・26・28・30の駆動源41は、該コントローラ40からの制御信号(駆動信号)を受信して、それぞれのローラ22・24・26・28・30を駆動・停止する。
尚、この駆動源41には、固定子の多相巻線に順次パルスを加え、その1パルスごとに回転子が一定角度だけ回転するステップモータ等を使用し、該コントローラ40ではステップ制御を行って、該駆動源41の回転ステップ数を計測している。
【0032】
前記ローラ22・24・26・28の回転方向は駆動源41の正逆回転に連動し、但し、エキストラローラ30においては図4に示す正逆回転切換機構60を介して制御され、適宜、回転方向を切り換えている。
図5に示すように、前記正逆回転切換機構60は駆動源41とエキストラローラ30との間に設けられ、駆動源41からの動力が伝達される駆動軸64aと、エキストラローラ30へ出力する出力軸69aとの間に、一方は駆動軸64aと同方向の回転を伝達する同方向伝達機構61を、他方はその回転方向を逆転して伝達する逆転伝達機構62を介装する。
【0033】
すなわち、前記同方向伝達機構61は該駆動軸64aに対し遊嵌する第1入力ギア64と、出力軸69aに周設した出力ギア69と、該ギア64・69間に設けられた第1伝達ギア66、第2伝達ギア67とにより構成され、一方、前記逆転伝達機構62は該駆動軸64aに対し遊嵌する第2入力ギア65と、該出力ギア69と、該ギア65・69間に設けられた第3伝達ギア68とにより構成されている。
そして、入力ギア64・65間に電磁クラッチ63を介設し、該電磁クラッチ63を該駆動軸64aにスプライン嵌合させて左右摺動可能としている。
このような構成で、第1ガイド部材37の切換動作に連動して、該コントローラ40から正逆回転切換機構60へ制御信号(切換信号)が出力される。該制御信号が出力されると、電磁クラッチ63が摺動変位し、該電磁クラッチ63と一方の伝達機構の入力ギア64(または65)との噛合が解除され、電磁クラッチ63と他方の伝達機構の入力ギア65(または64)とが噛合し、同方向伝達機構61、または逆転伝達機構62を介して一方の回転のみが出力軸69aへ取り出され、エキストラローラ30の回転方向が切り換えられる。
尚、正逆回転切換機構60は上記記載の機構に限定しない。
【0034】
また、図4に示すように、駆動源41とセパレートローラ22との間には電磁クラッチ51が介設され、該コントローラ40からの制御信号(停止命令信号)を受信して、該電磁クラッチ51を切断し、セパレートローラ22を停止させる。
無論、上記電磁クラッチ51のほか、他の動力断接機構を使用してもよい。
そして、駆動源41とレジストローラ24との間にはワンウェイクラッチ50が介設され、駆動源41が逆転方向に回転しているときのみ、その動力が伝達される構成としている。
また、図1に示すキーパネル13上には、片面/両面読取の変換等、読取モードの設定を行う液晶パネル18、シート原稿の取り込み操作を開始させるスタートボタン19、そして、複数枚のシート原稿を連続して読み取る時などその読取操作を途中で停止するストップボタン16等が配置されており、該液晶パネル18やスタートボタン19、ストップボタン16等の操作が成されると、該コントローラ40へ制御信号が出力される。
【0035】
ここで、本発明に係るシート原稿の両面読み取りについて、その流れを概略説明する。
原稿給紙トレイ9に表面を上にしてセットされたシート原稿は、まず、図7に示すように、第1過程で、給紙口8a→ニップ部A→合流点P→ニップ部B→ニップ部C→ニップ部D→分岐点S→分岐点Q→合流点R→ニップ部E→排紙口8cへと搬送されて原稿第1面、すなわち、表面の読み取りがおこなわれる。次に、図8に示すように、第2過程で、排紙口8c→ニップ部E→合流点R→分岐点Q→合流点P→ニップ部B→ニップ部C→ニップ部D→分岐点S→分岐点T→ニップ部F→一時排出口8bへと搬送されて原稿第2面である裏面の読み取りがおこなわれる。そして、図9に示すように、第3過程で、一時排出口8b→ニップ部F→分岐点T→合流点R→ニップ部E→排紙口8cへと搬送して原稿表裏を反転し、原稿の表面を下にして排出トレイ7cへ排出される。
以下、本発明に係るシート原稿の両面読み取りについて、図10に示すタイムチャート、及び、図11乃至図16に示すフローチャートに基づいて説明する。また、適宜、図7乃至図9に示すシート原稿の搬送パターンを示す図を参照するとよい。
【0036】
図11に示すように、まず、ユーザーはシート原稿の表面を上にして原稿給紙トレイ9にセットし、給紙口8a奥深くに挿し込むと(ステップS1)、該シート原稿の先端は前記DSセンサ43により検知され(ステップS2)、これにより原稿の取り込み準備がなされる。
【0037】
次にユーザーは前記キーパネル13の液晶パネル18を操作して、原稿読取面を両面読取モードに選択し(ステップS3)、キーパネル13に配設されたスタートボタン19を押すと(ステップS4)、コントローラ40からピックアップローラ21、駆動源41、及びセパレートローラ22の電磁クラッチ51へ制御信号が出力され、該ピックアップローラ21のソレノイド46に正のパルスが印加され、該ソレノイド46は瞬間的に励磁される。これによりピックアップローラ21は下方へ回動して(ステップS5)、シート原稿を押さえ込み、その位置姿勢は全シート原稿の取り込みが終了するまで保持される。これと同時に、駆動源41が正転方向に回転し始め(ステップS6)、また、セパレートローラ22の電磁クラッチ51が接続されて(ステップS7)、各駆動ローラ22・26・28は正転方向(図7では時計方向)に回転し始める。
【0038】
尚、エキストラローラ30は前記正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62を介して逆転方向(図7では反時計方向)に回転し始め、また、レジストローラ24は前記ワンウェイクラッチ50により回転動力が切断され、そのまま停止している。
こうして、ピックアップローラ21、セパレートローラ22、及びリタードローラ23等により最上層のシート原稿(1枚目のシート原稿)のみが分離されて給紙口8aからゆっくりと取り込まれる(ステップS8)。
【0039】
そして、前記1枚目のシート原稿の先端がレジストセンサ44で検知されると(ステップS9)、駆動源41のステップ制御により該シート原稿の先端を該レジストセンサ44位置からレジストローラ24とレジストフォローローラ25とのニップ部B位置まで搬送させた後、該駆動源41の回転方向を反転させる(ステップS10)。このとき、シート原稿の先端はレジストローラ24とレジストフォローローラ25に突き当てられ、ニップされた状態にあり、駆動源41が逆転方向に回転し始めると、前記ワンウェイクラッチ50が接続されて、レジストローラ24は回転し始める。また、他のローラ26・28・30も回転方向が反転し、すなわち、フィードローラ26・28は逆転方向(図7では反時計方向)に回転し、正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62を介したエキストラローラ30は正転方向(図7では時計方向)に回転し始める。
そして、前記セパレートローラ22の電磁クラッチ51へ制御信号が出力され、前記1枚目のシート原稿の終端が前記ニップ部A位置を通過し終える前に、該電磁クラッチ51が切られ、セパレートローラ22は停止する(ステップS11)。
尚、このときレジストローラ24とレジストフォローローラ25にニップされた前記シート原稿の先端側は、該レジストローラ24の駆動により繰り込まれつつある。これにより該シート原稿の終端側をニップするセパレートローラ22とリタードローラ23とは連れ回って、シート原稿は前後方向に引っ張られることなく取り込まれる。
【0040】
こうしてレジストローラ24とレジストフォローローラ25とによりシート原稿の斜行が整えられつつ搬送され、前記コントローラ40では、駆動源41のステップ制御により該シート原稿の先端が前記ニップ部B位置からプラテンガラス12後端位置まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第1の回転角度)が計測され、図12に示すように、該第1の回転角度に達した後(ステップS12)、該コントローラ40から読取装置6へ制御信号が出力されて、まず、1枚目のシート原稿表面の読み取りが開始される(ステップS13)。
【0041】
こうして、前記1枚目のシート原稿はレジストローラ24とレジストフォローローラ25、第1フィードローラ26と第1スレイブローラ27、そして、第2フィードローラ28と第2スレイブローラ29とにより搬送され、レジストセンサ44により該1枚目のシート原稿の終端が通過し終えたことが検知されると(ステップS14)、その検知信号がコントローラ40へ出力され、該コントローラ40から読取装置6へ制御信号が出力される。
【0042】
また、このレジストセンサ44により1枚目のシート原稿の終端の通過が検知されたときから、前記コントローラ40では該シート原稿の終端が該位置検出センサ44位置からプラテンガラス12前端位置まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第2の回転角度)が計測され、該第2の回転角度に達した後(ステップS15)、1枚目のシート原稿表面の読み取りを終了する(ステップS16)。
【0043】
そうして、前記1枚目のシート原稿は第1ガイド部材37に沿ってさらに第1原稿搬送経路R1の下流側へと進み、第2ガイド部材38を押し上げて排紙口8c方向へと搬送される。そして、該1枚目のシート原稿はエキストラローラ30と第1ガイドローラ31とにより繰り出され、その先端が排紙口8cから排出されつつ、その終端が反転センサ45位置を通過すると(ステップS17)、該反転センサ45からその検知信号がコントローラ40へ出力される。このときより該コントローラ40では、シート原稿の終端が反転センサ45位置から分岐点Qと合流点Rとの間まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第3の回転角度)が計測され、該第3の回転角度に達した後(ステップS18)、該コントローラ40から駆動源41へ制御信号が出力されて、駆動源41の回転方向が反転される(ステップS19)。
【0044】
ここで、駆動源41は正転方向に回転し始め、これにより前記ワンウェイクラッチ50が切られ、レジストローラ24は停止する。また、他のローラ26・28・30は回転方向が反転し、すなわち、フィードローラ26・28は正転方向(図7では時計方向)に回転し、正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62を介したエキストラローラ30は逆転方向(図7では反時計方向)に回転し始める。
【0045】
ここで、エキストラローラ30と第1ガイドローラ31とによりニップされている1枚目のシート原稿はスイッチバック反転し、逆方向(後方)へ搬送される。尚、1枚目のシート原稿の終端が分岐点Qを通過した後は、前記第2ガイド部材38は自重により元位置に復帰しているため、該1枚目のシート原稿は該第2ガイド部材38に沿って第2原稿搬送経路R2へ給送されていく。
【0046】
そして、図13に示すように、前記1枚目のシート原稿の先端が再びレジストセンサ44で検知されると(ステップS20)、駆動源41のステップ制御により該シート原稿の先端を該レジストセンサ44位置からレジストローラ24とレジストフォローローラ25とのニップ部B位置まで搬送させた後、該駆動源41の回転方向を反転させる(ステップS21)。このとき、シート原稿の先端はレジストローラ24とレジストフォローローラ25に突き当ててニップされた状態にあり、駆動源41が逆転方向に回転し始めると、前記ワンウェイクラッチ50が接続されて、レジストローラ24は回転し始める。また、他のローラ26・28・30も回転方向が反転し、すなわち、フィードローラ26・28は逆転方向(図8では反時計方向)に回転し、正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62を介したエキストラローラ30は正転方向(図8では時計方向)に回転し始める。
【0047】
また、このとき、コントローラ40から第1ガイド部材37に制御信号が出力されており、該第1ガイド部材37のソレノイド47に電流が流される。これにより該ソレノイド47が励磁されて第1ガイド部材37をやや上方へ回動させる(ステップS22)。
【0048】
こうして第1原稿搬送経路R1を塞いで第3原稿搬送経路R3を開き、この第1ガイド部材37の切り換えにより前記正逆回転切換機構60へ制御信号が出力され、電磁クラッチ63が切り換えられて、今度は該正逆回転切換機構60の同方向伝達機構61を介して駆動源41からの動力が伝達され、エキストラローラ30はすぐさま逆転方向(図8では反時計方向)に回転し始める(ステップS23)。
【0049】
こうしてレジストローラ24とレジストフォローローラ25とによりシート原稿の斜行が整えらつつ搬送され、コントローラ40では、駆動源41のステップ制御により該シート原稿の先端が前記ニップ部B位置からプラテンガラス12後端位置まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第1の回転角度)が計測され、該第1の回転角度に達した後(ステップS24)、該コントローラ40から読取装置6へ制御信号が出力されて、1枚目のシート原稿裏面の読み取りが開始される(ステップS25)。
【0050】
こうして、前記1枚目のシート原稿はレジストローラ24とレジストフォローローラ25、第1フィードローラ26と第1スレイブローラ27、そして、第2フィードローラ28と第2スレイブローラ29とにより搬送され、レジストセンサ44により該1枚目のシート原稿の終端が通過し終えたことが検知されると(ステップS26)、その検知信号がコントローラ40へ出力され、該コントローラ40から読取装置6へ制御信号が出力される。
【0051】
このレジストセンサ44により1枚目のシート原稿の終端の通過が検知されたときから、前記コントローラ40では該シート原稿の終端が該位置検出センサ44位置からプラテンガラス12前端位置まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第2の回転角度)が計測され、該第2の回転角度に達した後(ステップS27)、1枚目のシート原稿裏面の読み取りを終了する(ステップS28)。
【0052】
そうして、前記1枚目のシート原稿は第1ガイド部材37に沿って第3原稿搬送経路R3へと給送され、次に第3ガイド部材39を押し上げて一時排出口8b方向へと搬送される。そして、図14に示すように、該1枚目のシート原稿はエキストラローラ30と第2ガイドローラ32とにより繰り出され、その先端が一時排出口8bから排出されつつ、その終端が反転センサ45位置を通過すると(ステップS29)、該反転センサ45からその検知信号がコントローラ40へ出力される。このときよりコントローラ40では、シート原稿の終端が反転センサ45位置から分岐点Tとニップ部Fとの中間位置まで搬送される距離に相当する駆動源41の回転ステップ数(第4の回転角度)が計測され、該第4の回転角度に達した後(ステップS30)、前記DSセンサにより給紙口8aに次のシート原稿(2枚目のシート原稿)がある場合には(ステップS31)、該コントローラ40から駆動源41、及びセパレートローラ22の電磁クラッチ51へ制御信号が出力される。これにより該駆動源41が正転方向に回転し始め(ステップS32)、また、セパレートローラ22の電磁クラッチ51が接続されて(ステップS33)、各駆動ローラ22・26・28・30は正転方向(図7では時計方向)に回転し始める。尚、レジストローラ24は前記ワンウェイクラッチ50により回転動力が切断され、ここで停止する。
【0053】
こうして、ピックアップローラ21、セパレートローラ22、及びリタードローラ23等により次のシート原稿が分離されて給紙口8aからゆっくりと取り込まれる(ステップS34)。
【0054】
そして、前記次のシート原稿の先端がレジストセンサ44で検知されると(ステップS35)、駆動源41のステップ制御により該次のシート原稿の先端を該レジストセンサ44位置からレジストローラ24とレジストフォローローラ25とのニップ部B位置まで搬送させた後、図15に示すように、コントローラ40からセパレートローラ22へ制御信号が出力され、該次のシート原稿の終端が前記ニップ部A位置を通過し終える前に、該電磁クラッチ51が切られ、セパレートローラ22は停止する(ステップS36)。
このとき、駆動源41は正転方向に回転しているため、前記ワンウェイクラッチ50が切られてレジストローラ24は停止状態にあり、次のシート原稿はその先端をレジストローラ24とレジストフォローローラ25にニップされた状態で待機している。
また、前記ステップS32での駆動源41の正転駆動により、エキストラローラ30と第2ガイドローラ32とによりニップされている前記1枚目のシート原稿は、次のシート原稿が取り込まれると同時にスイッチバック反転し、逆方向(後方)へ進み出す。尚、前記第3ガイド部材39は、1枚目のシート原稿の終端が分岐点Tを一時排出口8b方向へ通過したことで、その自重により元位置へ復帰している。よって、該1枚目のシート原稿は該第3ガイド部材39に沿って今度は第4原稿搬送経路R4へ案内される。
【0055】
そして、前記1枚目のシート原稿はエキストラローラ30と第1プレスローラ31とにより排紙口8cから繰り出され、原稿表面を下にして排出トレイ7cへ排出される(ステップS37)。
また、コントローラ40では前記ステップS32で駆動源41の回転方向を反転させたときから、1枚目のシート原稿が第4原稿搬送経路R4を経て完全に排出されるまでの駆動源41の回転ステップ数(第5の回転角度)を計測しており、該第5の回転角度に達したところで(ステップS38)、第1ガイド部材37、及び駆動源41へ制御信号が出力される。
【0056】
前記制御信号により第1ガイド部材37のソレノイド47を流れる電流が切られて、該第1ガイド部材37は元位置へ復帰し、第3原稿搬送経路R3を塞いで第1原稿搬送経路R1を開く(ステップS39)。この切り換えにより前記正逆回転切換機構60へ制御信号が出力され、前記電磁クラッチ63が切り換えられて、今度は該正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62を介して駆動源41からの動力が伝達され(ステップS40)、また、この直後に駆動源41は逆転方向に回転し始め(ステップS41)、結果的に、逆転伝達機構62を介したエキストラローラ30はそのまま正転方向(図7では時計方向)に回転することとなる。
【0057】
前記待機状態にある次のシート原稿の先端はレジストローラ24とレジストフォローローラ25とによりニップされており、駆動源41の逆転駆動により前記ワンウェイクラッチ50が接続されて、レジストローラ24が回転し始め、該次のシート原稿は繰り込まれる。これにより、該シート原稿の終端側をニップするセパレートローラ22とリタードローラ23とは連れ回り、シート原稿は前後方向に引っ張られることなく搬送される。その後、該次のシート原稿は、前記ステップS12へ戻り、1枚目のシート原稿と同様に読取処理が行われる。
【0058】
こうして、次々とシート原稿が読み込まれ、但し、最後のシート原稿の両面の読み取りを終了したときには、次のシート原稿がないため、前記DSセンサ43はOFFとなり、前記ステップS31ではNoが選択され、この場合、コントローラ40から駆動源41へ制御信号が出力される。
【0059】
図10のタイムチャートで示すように、正確には、最後のシート原稿(ここでは2枚目のシート原稿)の取り込みが終了した時点で、前記DSセンサ43はOFFとなり、この後、コントローラ40からピックアップローラ21へ制御信号が出力され、該ピックアップローラ21のソレノイド46に負のパルスが印加される。これにより該ソレノイド46は瞬間的に励磁され、該ピックアップローラ21は上方へ回動し、元位置へ復帰している。
【0060】
図16に示すように、これにより該駆動源41が正転方向に回転し始め(ステップS42)、エキストラローラ30と第2ガイドローラ32とによりニップされている最後のシート原稿はスイッチバック反転し、逆方向(後方)へ進み出す。
【0061】
このとき、前記第3ガイド部材39は自重により元位置へ復帰しているため、該最後のシート原稿は該第3ガイド部材39に沿って第4原稿搬送経路R4へと案内される。そうして、最後のシート原稿はエキストラローラ30と第1プレスローラ31とにより排紙口8cから繰り出され、排出トレイ7cへ排出される(ステップS43)。
【0062】
また、コントローラ40では前記ステップS47で駆動源41が回転方向を反転したときから、最後のシート原稿が第4原稿搬送経路R4を経て完全に排出されるまでの駆動源41の回転ステップ数(第5の回転角度)を計測しており、該第5の回転角度に達したところで(ステップS44)、第1ガイド部材37、及び駆動源41へ制御信号が出力される。
【0063】
前記制御信号により第1ガイド部材37のソレノイド47を流れる電流が切られて、第1ガイド部材37を元位置となる第3原稿搬送経路R3を塞いで第1原稿搬送経路R1を開いた状態に復帰させ(ステップS45)、この切り換えにより前記正逆回転切換機構60へ制御信号が出力されて、前記電磁クラッチ63は該正逆回転切換機構60の逆転伝達機構62に接続される(ステップS46)。つまり、この動作により正逆回転切換機構60は原稿取り込み開始時の初期状態に復帰している。
そして、最後に前記制御信号を受けて駆動源41が停止する(ステップS47)。
こうして、1枚目のシート原稿から最後のシート原稿までの読み取りが行われ、一連の動作が完了する。
尚、図10に示すタイムチャートでは紙面の関係上、原稿の読み取りは便宜的に2枚としており、ここでは、2枚目のシート原稿が最後のシート原稿に相当する。
【0064】
このように本発明では、従来2個使用していた各ローラ22・24・26・28・30の駆動源41を1個で構成しているため、装置全体の小型化を図ることができるとともにコストの削減を図ることができる。
【0065】
また、このように構成した原稿搬送経路R1・R2・R3・R4では、シート原稿の読取位置であるプラテンガラス12上の通過はシート原稿表面と裏面の読み取り時の2回だけで済み、両面読取後は該読取位置を経由しない該第4原稿搬送経路R4を経て排出される。
このときシート原稿はエキストラローラ30の下方側と第2プレスローラ32により繰り送られるつつ、該エキストラローラ30の上方側と第1プレスローラ31とにより排出され、すなわち、この構成では排出に係るローラ数を3つに減らすことができ、部品点数の削減となるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0066】
さらに、読取位置を経由しないでシート原稿の表裏を反転させているので、先行するシート原稿の表裏反転時に次の原稿の繰り込む制御構成とすることができ、次のシート原稿を待機位置となるレジストローラ24とレジストフォローローラ25のニップ部B位置まで取り込んで複数枚のシート原稿の読取処理時間を短縮し、作業効率の向上を図ることができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。
すなわち、請求項1に記載の発明では、従来2個使用していた駆動源を1個で構成することができ、原稿読取装置の小型化を図ることができるとともに、コストの削減を図ることができる。
【0068】
また、請求項2に記載の発明では、従来2個使用していた各ローラの駆動源を1個とした構成で、排出系の搬送手段の回転方向を適宜切り換えることができる。
【0069】
そして、請求項3に記載の発明では、従来2個使用していた各ローラの駆動源を1個とした構成で、排出系の搬送手段の回転方向を適宜切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両面原稿読取装置を採用するファクシミリの斜視図。
【図2】同じく側面断面図。
【図3】両面原稿読取装置のADFの側面断面図。
【図4】原稿搬送に係る各駆動ローラへの動力伝達構成を示す説明図。
【図5】駆動源からの回転動力を反転させる正逆回転切替機構の斜視図。
【図6】両面原稿読取装置の制御構成を示すブロック図。
【図7】両面原稿読取装置の第1過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図。
【図8】同じく第2過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図。
【図9】同じく第3過程での原稿の流れを示すADFの側面断面図。
【図10】両面原稿読取装置の制御構成のタイムチャート。
【図11】両面原稿読取装置の制御構成の第1段階を示す流れ図。
【図12】同じく第2段階を示す流れ図。
【図13】同じく第3段階を示す流れ図。
【図14】同じく第4段階を示す流れ図。
【図15】同じく第5段階を示す流れ図。
【図16】同じく最終段階を示す流れ図。
【符号の説明】
8 ADF
8a 給紙口
8b 一時排出口
8c 排紙口
21 ピックアップローラ
22 セパレートローラ
23 リタードローラ
24 レジストローラ
25 レジストフォローローラ
26 第1フィードローラ
27 第1スレイブローラ
28 第2フィードローラ
29 第2スレイブローラ
30 エキストラローラ
31 第1プレスローラ
32 第2プレスローラ
40 コントローラ
41 駆動源
60 正逆回転切替機構
61 同方向伝達機構
62 逆転伝達機構
63 電磁クラッチ
Claims (3)
- 原稿供給トレイに第1面を上にしてセットされたシート原稿を第1の原稿搬送経路を搬送して、読取部でシート原稿の第1面を読み取った後、排紙口へ送り、該排紙口でシート原稿をスイッチバック反転させて第2の原稿搬送経路を搬送し、該第2の原稿搬送経路と前記第1の原稿搬送経路との合流部からシート原稿を再び第1の原稿搬送経路へ進入させて、前記読取部でシート原稿の第2面を読み取る両面原稿読取装置において、
前記原稿供給トレイからシート原稿を繰り込む搬送系の搬送手段と、シート原稿を読取部に搬送して読み取らせる走査系の搬送手段と、読み取られたシート原稿を排出する排出系の搬送手段と、の3系統の搬送手段を駆動する正逆回転可能な単一の駆動源と、
前記第2の原稿搬送経路と第1の原稿搬送経路との合流部の下流側に設けられたレジストローラと、
前記レジストローラと前記合流部との間に設けられて、シート原稿の通過を検出するレジストセンサと、
を備え、
前記単一の駆動源の正転駆動により前記搬送系の搬送手段をシート原稿を繰り込む方向に回転させるとともに前記排出系の搬送手段をシート原稿をスイッチバック反転させる方向に回転させ、前記単一の駆動源の逆転駆動により前記レジストローラを含む走査系の搬送手段をシート原稿を読取部に搬送して読み取らせる方向に回転させるとともに前記排出系の搬送手段をシート原稿を排出する方向に回転させる構成で、
前記レジストセンサでシート原稿の通過が検出されると、前記単一の駆動源が正転駆動から逆転駆動に切り換えられることを特徴とする両面原稿読取装置。 - 前記排出系には、前記排紙口と、第2面読取後のシート原稿が向かう第2の排紙口と、が設けられ、
前記単一の駆動源と前記排出系の搬送手段との間に、シート原稿の第2面を読み取る場合に、逆転駆動している単一の駆動源に対して、前記排出系の搬送手段の回転方向を前記排紙口からシート原稿を排出する方向から前記第2の排紙口からシート原稿を排出する方向に切り換える切換手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の両面原稿読取装置。 - 前記両面原稿読取装置は、
前記排紙口へ向けての原稿搬送経路、又は前記第2の排紙口へ向けての原稿搬送経路にシート原稿の搬送方向を切り換えるガイド部材を備え、
前記切換手段は該ガイド部材の切換動作に連動して切り換えられることを特徴とする請求項2に記載の両面原稿読取装置。
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